JP3290168B2 - 血液検査用具 - Google Patents

血液検査用具

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JP3290168B2 JP37482599A JP37482599A JP3290168B2 JP 3290168 B2 JP3290168 B2 JP 3290168B2 JP 37482599 A JP37482599 A JP 37482599A JP 37482599 A JP37482599 A JP 37482599A JP 3290168 B2 JP3290168 B2 JP 3290168B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、血液検査に使用す
る血液検査用具に関する。
【0002】
【従来の技術】血液を検査する場合、検体毎に使い切る
シート状の血液検査用具(試験片ともいう)が汎用され
ている。この検査用具は、血液を保持し、ここから血液
を抽出して検査を行うタイプのものや、予め試薬等を含
浸させ、血液と試薬とを反応させて光学的手法や電気化
学的手法により測定するものなどがある。
【0003】このような、血液検査用具は、一般の臨床
検査等では汎用されているが、これだけでなく、例え
ば、遠隔臨床検査システムにおいても、使用することが
検討され、一部で実際に使用されている。この遠隔臨床
検査システムは、在宅で患者等が血液を自己採血し、こ
れを血液検査用具に含浸乾燥させ、この血液検査用具を
病院などの検査機関に郵送し検査するシステムである。
血液を郵送した患者等は、郵便等で検査結果を知ること
ができ、また直接病院等に出向いても検査結果を知るこ
とができる。
【0004】血糖値等のように、検査項目が血漿または
血清中の成分の場合は、血液検査用具において、血球を
分離する必要がある。従来の血液検査用具では、ガラス
フィルター等の血球分離材を血液検査用具に組み込むこ
とが一般的であった。この他に、最近、孔径が厚み方向
に変化する非対称性多孔質膜を用いた血液検査用具も開
発されている。非対称性多孔質膜の孔径が大きい方の面
から血液を供給すると、血液が厚み方向に浸透する過程
で血球が分離され、血漿または血清が反対側に出てく
る。非対称性多孔質膜を用いた血液検査用具は、血球の
目詰まりが防止されるという利点を有する。
【0005】しかしながら、これら従来の血液検査用具
は、血漿または血清の回収量が少ないという問題があ
る。例えば、従来の血液検査用具での血漿または血清の
回収率は、多くて約25%程度であった。このため、血
漿または血清中の微量成分を分析する場合、サンプル量
が不足して正確な分析ができなくなるおそれがあった。
特に、遠隔臨床検査システムでは、患者自身が採血する
ため、多量の血液の確保が難しく、また検査項目も多い
ことから、血漿または血清の回収量の向上が求められて
いた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明の目的
は、容易に血球分離を行い、血漿または血清を高い収率
で回収できる血液検査用具を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明の血液検査用具は、厚み方向に平均孔径が連
続的または不連続的に小さくなる孔径分布の非対称性多
孔質膜を有し、前記非対称性多孔質膜において、その一
部が血液供給部であり、その他の一部が展開部であり、
前記血液供給部と前記展開部との間に、血球が通過でき
ない孔径の孔のみからなる血球遮断部が形成され、血液
を前記血液供給部の孔径が大きい側の面に供給すると、
毛細管現象により前記血液は前記多孔質膜の面方向に移
動するが、前記展開部には、血漿または血清のみが移動
して展開するという用具である。
【0008】このように、本発明の血液検査用具は、非
対称性多孔質膜において、血液をその面方向(横方向)
に移動させ、その途中で血球を分離する。このようにす
れば、従来のように厚み方向に移動させる場合と異な
り、強力な毛細管現象を発現させることができ、多量の
血漿または血清を回収できる。また、また移動してきた
血漿または血清を保持するための部位も充分確保でき
る。このため、本発明の血液検査用具によれば優れた回
収率で血漿または血清を得ることができ、かつ、血球の
分離も充分に行なうことができる。本発明の血液検査用
具における血漿または血清の回収率は、例えば、約60
〜70%である。また、本発明の血液検査用具では、血
液供給部と展開部とが重なりあっていないから、光学的
手段(目視も含む)により直接測定を行なう場合は、前
記展開部のいずれの面からも測定することができる。な
お、本発明において、「血球が通過できない孔径の孔」
とは、孔径が血球の球径より小さいという意味ではな
く、どのようなメカニズムかは問わず、結果的に血球が
通過できない孔径であればよい。したがって、血球が通
過できない孔径には、血球の球径より大きい孔径も含ま
れる。また、「平均孔径が不連続的に小さくなる」と
は、例えば、段階的に小さくなること等をいう。
【0009】本発明の血液検査用具において、前記血液
供給部と前記展開部との間に溝が形成され、前記溝の底
面からこの底面に対応する非対称性多孔質膜表面までの
間の部分が、血球遮断部であることが好ましい。
【0010】本発明の血液検査用具において、前記展開
部が、血球が通過できない孔径の孔のみからなることが
好ましい。このように、展開部が血球遮断部を兼ねてい
る構造でもよい。
【0011】本発明の血液検査用具において、前記血球
遮断部の孔径が1〜50μmの範囲であることが好まし
く、より好ましくは5〜30μmの範囲、特に好ましく
は10〜20μmの範囲である。
【0012】本発明の血液検査用具において、前記非対
称性多孔質膜の最大孔径が30〜300μmの範囲であ
り、その最小孔径が1〜30μmの範囲であることが好
ましい。
【0013】本発明の血液検査用具において、前記非対
称性多孔質膜が、単層構造であることが好ましい。この
ように単層構造であれば界面(層と層との接触面)がな
いため、例えば、界面がある場合に比べて血漿または血
清の移動が容易になり、また、血球が界面に接触した場
合におこる溶血等も防止できる。
【0014】本発明の血液検査用具において、前記非対
称性多孔質膜が、支持体で支持されていることが好まし
い。これによれば、前記非対称性多孔質膜の強度に関係
なく、充分な強度の血液検査用具を得ることができ、取
り扱いが簡便になる。
【0015】本発明の血液検査用具において、前記非対
称性多孔質膜が、ポリスルホン、ポリアミド、ポリイミ
ド、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリアリールヒ
ドラジド等の樹脂から形成されたことが好ましく、より
好ましくは、ポリスルホンである。
【0016】つぎに、本発明の血液検査用具の製造方法
は、前記血液供給部と展開部との間に溝が形成され、前
記溝の底面からこの底面に対応する非対称性多孔質膜表
面までの間の部分が血球遮断部である前記血液検体用具
の製造方法であって、前記非対称性多孔質膜の一部を圧
縮することにより溝を形成する方法である。また、前記
非対称性多孔質膜の一部を切り取り、溝を形成する方法
であってもよい。
【0017】このような方法により前記非対称性多孔質
膜に溝を形成すれば、容易に前記血球遮断部を形成する
ことができる。
【0018】
【発明の実施の形態】(実施形態1)図1に本発明の血
液検査用具の一例を示す。同図(a)は、血液検査用具
の平面図であり、同図(b)はそのI−I方向断面図で
ある。図示のように、この血液検査用具10は、単層の
非対称性多孔質膜からなり、血液供給部11、展開部1
2および前記両者間に形成された溝を有している。前記
溝の底面からこの底面に対応する非対称性多孔質膜表面
までの間の部分13が血球遮断部となる。
【0019】前記非対称性多孔質膜の各部位の孔径は、
例えば、以下に示すとおりである。前記血液供給部11
の最大孔径は、例えば、30〜300μmの範囲であ
り、好ましくは50〜150μmの範囲、最小孔径は、
例えば、1〜30μmの範囲であり、好ましくは5〜1
0μmの範囲である。展開部12の最大孔径は、例え
ば、30〜300μmの範囲であり、好ましくは50〜
150μmの範囲、最小孔径は、例えば、1〜30μm
の範囲であり、好ましくは5〜10μmの範囲である。
前記血球遮断部13の孔径は、例えば、1〜50μmの
範囲であり、好ましくは5〜30μmの範囲である。
【0020】前記血液検査用具10の大きさは、特に制
限されず、供給する血液検体の量等に応じて適宜決定で
きる。供給する全血が約80〜120μlの場合、前記
血液供給部11の大きさは、厚み50〜500μmの範
囲が好ましく、より好ましくは厚み150〜400μm
の範囲であり、長さ1〜30mmの範囲が好ましく、よ
り好ましくは長さ5〜15mmの範囲であり、幅1〜3
0mmの範囲が好ましく、より好ましくは幅5〜20m
mの範囲である。前記展開部12の大きさは、厚み50
〜500μmの範囲が好ましく、より好ましくは厚み1
50〜400μmの範囲であり、長さ1〜50mmの範
囲が好ましく、より好ましくは長さ10〜40mmの範
囲であり、幅1〜50mmの範囲が好ましく、より好ま
しくは幅10〜40mmの範囲である。前記血球遮断部
13の大きさは、厚み1〜200μmの範囲が好まし
く、より好ましくは厚み50〜150μmの範囲であ
り、長さ1〜30mmの範囲が好ましく、より好ましく
は長さ5〜15mmの範囲であり、幅1〜2000μm
の範囲が好ましく、より好ましくは幅100〜1000
μmの範囲である。また、溝の最大幅は、1〜2000
μmの範囲が好ましく、より好ましくは100〜100
0μmの範囲であり、溝の最小幅は、1〜2000μm
の範囲が好ましく、より好ましくは100〜1000μ
mの範囲である。血液検査用具10全体の大きさは、厚
み50〜500μmの範囲が好ましく、より好ましくは
厚み150〜400μmの範囲であり、全長2〜100
mmの範囲が好ましく、より好ましくは全長20〜80
mmの範囲であり、幅1〜50mmの範囲が好ましく、
より好ましくは幅10〜40mmの範囲である。
【0021】前記非対称性多孔質膜は、前述のような樹
脂から形成されることが好ましく、この中でも、作製の
容易性や適度な剛性等の理由から、好ましくはポリスル
ホンである。このような非対称性多孔質膜は、前記樹脂
を用いて作製してもよいし、市販の非対称性多孔質膜、
例えば、U.Sフィルター社製のBST−SP、Pri
mecare社製のMPS等を使用してもよい。
【0022】前記非対称性多孔質膜は、例えば、ヒドロ
キシプロピルセルロース(HPC)、ポリビニルアルコ
ール(PVA)、カルボキシメチルセルロース(CM
C)等の親水性高分子や、レシチン、界面活性剤等の処
理溶液に浸漬することにより、親水化処理を施してもよ
い。前記処理溶液の濃度は、例えば、0.1〜50重量
%の範囲であり、処理時間は、例えば、0.1〜24時
間の範囲である。前記溶液の溶媒としては、例えば、水
や各種有機溶媒等が使用でき、前記有機溶媒としてはエ
タノール等のアルコール類等があげられる。
【0023】前記展開部12は、展開して保持する血漿
または血清中の成分を安定に保つために、例えば、スク
ロース、トレハロース、ラクトース、グルコース等の糖
類、塩化ナトリウム、塩化カリウム等の塩類、グリシ
ン、リン酸緩衝剤、クエン酸緩衝剤、グッド緩衝剤等の
緩衝剤等の安定化剤を含有してもよい。前記安定化剤の
含有量は、その種類等によって適宜決定できるが、例え
ば、展開部12の体積1cm3当たり0.01〜100
mgの範囲である。前記安定化剤は、一種類でもよい
し、二種類以上を併用してもよい。また、前記安定化剤
は、前記展開部12だけでなく、非対称性多孔質膜全体
に含有させてもよい。
【0024】前記溝は、例えば、前記非対称性多孔質膜
の表面の一部を圧縮して形成できる。例えば、円盤状ロ
ーラーを転がして圧縮したり、刃先が鈍い刃物で切れな
い程度に圧縮することにより形成できる。このように、
圧縮により溝を形成した場合、血球遮断部において、非
対称性多孔質膜の大きい孔径の孔も含まれることとなる
が、圧縮により孔が変形したり潰れたりしているため、
血球が通過することがない。
【0025】また、前記溝は、例えば、カッター等の刃
物を用いて、前記非対称性多孔質膜の一部を切り取って
形成してもよい。この時の溝の大きさなどは前述と同様
である。
【0026】つぎに、図1に基づき、前記血液検査用具
10に血液を添加して血漿試料または血清試料を調製す
る一例について説明する。
【0027】まず、血液を血液供給部11の孔径が大き
い側の面(同図(b)において、上面)に滴下する。血
液は、血液供給部11の内部を厚み方向に移行しながら
血球を分離しつつ、その面方向(同図(b)において矢
印方向)に移動する。面方向の移動により血球遮断部1
3に達した血液のうち、血球は血球遮断部13を通過で
きずに捕獲され、血漿または血清のみが前記血球遮断部
13を通過して、展開部12に展開される。
【0028】この血液検査用具10を、風乾または自然
乾燥等により乾燥した後、前記血液検査用具10から展
開部12を切り抜き、または展開部12からパンチ等に
よる打ち抜き等を行なう。
【0029】切り抜き等により得られた切片を、例え
ば、試験管に入れ、これに抽出溶液を添加して放置する
ことによって血漿または血清を抽出し、回収する。前記
抽出溶液としては、血漿または血清を抽出でき、血漿ま
たは血清中の分析対象成分の検出に影響を与えないもの
であれば特に制限されず、例えば、緩衝液、生理食塩
水、精製水、蛋白溶液等が使用でき、これらの混合液で
あってもよい。前記緩衝液としては、例えば、リン酸、
クエン酸、塩酸、酢酸等を含む各種緩衝液等があげら
れ、そのpHは、例えば、pH6〜8の範囲である。前
記抽出溶液の添加量は、特に制限されないが、切片の大
きさ等によって適宜決定でき、例えば、切片体積の1〜
1000倍の範囲である。また、抽出処理時間は、特に
制限されず、例えば、1〜300分の範囲である
【0030】そして、前記回収液を用いて、血漿または
血清中の分析対象成分の測定を行ない、成分量を決定す
る。
【0031】一方、この血液検査用具において、展開部
12に保持された血漿または血清を抽出液で回収せず
に、そのまま分析を行なうこともできる。
【0032】この場合は、予め、前記展開部12に分析
用試薬を含有させればよい。前記展開部に試薬を配置す
る方法は、例えば、印刷法、含浸法、噴霧法等があげら
れる。
【0033】前記試薬は、特に制限されず、目的の分析
対象成分の種類により適宜決定できる。前記試薬の成分
としては、例えば、各種酵素、リン酸塩や炭酸塩等の緩
衝物質、発色剤等があげられる。具体的には、グルコー
スを分析する場合は、例えば、グルコキナーゼ、グルコ
ース−6−リン酸脱水素酵素、β−NADP、ATPお
よび緩衝液等を含有させればよい。
【0034】また、展開部12に、血漿または血清の移
動方向に対し並列に試薬を含有させれば、同一の血液検
査用具において、多項目の分析を行なうことができる。
この場合、多項目の試薬が混合しないように、例えば、
疎水性樹脂溶液の含浸により境界層を設けることが好ま
しい。
【0035】このような血液検査用具は、前記実施形態
1と同様にして血液を供給し、血漿または血清を展開さ
せると、展開部12内で各種分析対象成分とその検出試
薬とが、それぞれ反応する。この反応による発色等を、
電気化学的手法や光学的手法(目視を含む)により検出
すれば、容易に分析を行なうことができる。
【0036】(実施形態2)図2に、本発明の血液検査
用具のその他の例を示す。図示のように、この血液検査
用具20は、単層の非対称性多孔質膜からなり、展開部
22が、血液供給部21より厚みが薄く形成され、血球
が侵入しないようになっている。
【0037】この血液検査用具20は、展開部22の厚
み、その最大孔径およびその最小孔径が前記実施形態1
の血球遮断部と同じであり、血液供給部21と展開部2
2との境界において血球が遮断され、血漿のみが展開す
る。前記展開部22の厚みおよび孔径以外は、前記実施
形態1の血液検査用具と同じ構成であり、その使用も同
様にして行なうことができる。
【0038】このような血液検査用具は、例えば、非対
称性多孔質膜の血液供給部21以外の領域について、孔
径が大きい方の面側を、ナイフの刃等で所定の厚み分だ
け削り取ることにより作製できる。
【0039】(実施形態3)図3に、非対称性多孔質膜
が支持体で支持されている本発明の血液検査用具の一例
を示す。図示のように、この血液検査用具30は、前記
実施形態1における非対称性多孔質膜が支持体34上に
積層されている。同図において、図1と同一部分には同
一符号を付している。
【0040】前記支持体34を形成する材料としては、
例えば、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート
(PET)、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂、アクリロ
ニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS)等
のプラスチックが使用できる。前記材料は、いずれか一
種類には制限されず、二種類以上を使用してもよい。
【0041】また、例えば、前述のように光学的手法等
によって、支持体34側から血液検査用具30を直接測
定する場合は、展開部12に対応する箇所が、光透過性
であることが好ましい。この場合、前記材料としては、
例えば、ポリスチレン、PET、アクリル樹脂等が好ま
しい。
【0042】また、さらに、支持体を非対称性多孔質膜
の上面(同図において上面)に積層してもよい。この場
合、非対称性多孔質膜の血液供給部11に対応する箇所
に、血液を供給するための貫通孔を設けることが好まし
い。
【0043】
【実施例】(実施例1)20重量%グリシン水溶液に浸
漬して親水化処理を行った帯状の非対称性多孔質膜(ポ
リスルホン製、長さ35mm、幅16mm、厚み320
μm、最大孔径50〜100μm、最小孔径5〜10μ
m)を、30重量%スクロース溶液に浸漬後、乾燥させ
た。この多孔質膜の長さ方向の一端から12mmの部分
において、円盤ローラを加圧して転がして、その幅方向
に、溝(最小幅0.1mm、最大幅1mm、深さ150
〜250μm)を形成し、図1に示すような血液検査用
具を作製した。この血液検査用具において、血液供給部
の長さは11mmであり、展開部の長さは23mmであ
る。
【0044】前記血液供給部の中心に健常者全血100
μlを滴下し、前記展開部に血清を充分に展開させてこ
れを乾燥した。前記血液検査用具から前記展開部を切り
出し、これをさらに短冊状に切断した後、この切片を試
験管(容量500μl)に入れ、さらに、抽出溶液とし
て生食等張PBS溶液(Phosphate−buffered salin
e:pH7.4、以下同じ)150μlを添加した。室
温で20分間放置した後、遠心分離して、上清を血清試
料液とした。そして、前述と同様にして、合計20検体
の血清試料液を調製し、これらについて、以下に示すよ
うに各成分の測定を行なった。なお、コントロールとし
ては、同健常者の全血をヘパリン採血管で採取し、遠心
分離(3000rpm、10分間)して得られた血漿を
使用した。
【0045】実施例の各血清試料液およびコントロール
の血漿試料液中の各成分量は、以下に示す市販キットを
用いて、それらの使用方法に準じて測定した。各種測定
において、ブランクは精製水を用いた。
【0046】1.尿素窒素(BUN):尿素窒素II−H
Aテストワコー(7070:和光純薬工業社製) 2.トリグリセライド(TG):トリグリセライドE−
HAテストワコー(和光純薬工業社製) 3.グルコース(Glc):グルコースII−HAテスト
ワコー(和光純薬工業社製) 4.トータルコレステロール(T−Cho):デタミナ
ーL TCII(協和メデックス社製) 5.グルタミック−オキサロアセティックトランスアミ
ナーゼ(GOT):トランスアミナーゼHR−II(GO
T−7070:和光純薬工業社製) 6.グルタミック−ピルビックトランスアミナーゼ(G
PT):トランスアミナーゼHR−II(GPT−707
0:和光純薬工業社製) 7.γ−グルタミルトランスペプチダーゼ(γ−GT
P):γ−GTP J−HAテストワコー(和光純薬工
業社製) 8.クレアチンキナーゼ(CPK):CK E−HAテ
ストワコー(和光純薬工業社製)
【0047】これらの結果を、図4〜図11に示す。こ
れらの図は、本発明の血液検査用具を用いて調製した血
清試料中の成分量と、コントロールの成分量との関係を
示すグラフであり、図4はBUN、図5はTG、図6は
Glc、図7はT−Cho、図8はGOT、図9はGP
T、図10はγ−GTP、図11はCPKの成分量(濃
度)をそれぞれ示す。
【0048】前記各図に示すように、本発明の血液検査
用具を用いて調製した血清試料は、遠心分離により調製
した血漿中の成分量(コントロール)と同様の値が得ら
れ、両者は高い相関関係を示した。このことから、本発
明の血液検査用具により、血清を回収しても、その成分
測定は高い信頼性があるといえる。また、血液検査用具
の展開部において、ヘモグロビンによる赤い着色が見ら
れなかったことから、血球が充分に分離されていること
が確認された。
【0049】(実施例2)前記実施例1と同様の血液検
査用具を作製して、その血液供給部の中心にヘパリン採
血管を用いて採血した健常者全血100μl(ヘマトク
リット(Ht)40%)を滴下し、前記展開部に血漿を
充分に展開させてこれを乾燥した。そして、前記実施例
1と同様にして抽出操作を行い、得られた上清を血漿試
料液とした。同様にして合計20個の血液検査用具を作
製し、同血液の血漿試料液を調製した。
【0050】(比較例1)前記実施例1と同様の非対称
性多孔質膜(長さ14mm、幅14mm)を未処理のま
ま(溝を形成せずに)、展開部となるセルロース膜(長
さ14mm、幅14mm、厚み550μm)に積層し、
積層型の血液検査用具を作製した。前記セルロース膜
は、30重量%スクロース溶液に浸漬した後、乾燥した
ものを使用し、前記非対称性多孔質膜は、孔径が小さい
側の面を前記セルロース膜上に積層した。
【0051】そして、前記血液検査用具の非対称性多孔
質膜表面に、前記実施例2と同様の全血を滴下し、前記
セルロース膜に血漿を展開させてこれを乾燥した。前記
非対称性多孔質膜とセルロース膜とを分離し、前記セル
ロース膜を短冊状に切断した後、前記実施例1と同じ条
件で抽出操作を行い、得られた上清を血漿試料液とし
た。同様にして合計20個の積層型血液検査用具を作製
し、同血液の血漿試料液を調製した。
【0052】前記実施例2および比較例1の各血漿試料
液における回収血漿量およびヘモグロビン(Hb)量を
以下に示す方法により測定した。これらの結果を下記表
1に示す。
【0053】(血漿回収量の測定)前記実施例2および
比較例1の各血漿試料液について、自動分析器(製品名
BM−8:日本電子社製)を用いて、総タンパクの量を
測定した。そして、全血100μl中の血漿量の理論値
およびその血漿中の前記総タンパク量を基準とし、実施
例2および比較例1の総タンパク量の測定値から回収さ
れた血漿量を求めた。前記血漿量の理論値は、全血のH
tが40%であることから60μlとし、その血漿中の
総タンパク量の基準値は、同じ全血を遠心分離して得ら
れた血漿について、前記自動分析器により測定した値と
した。血漿回収率は、血漿量の理論値を100%とした
場合の相対値(%)である。
【0054】(Hbの測定)既知濃度のHb溶液につい
て、410nmの吸光度を測定することにより検量線を
作成した。そして、前記各血漿試料液の410nmの吸
光度を測定し、この吸光度と前記検量線とからHb濃度
を求めた。
【0055】 (表1) サンプル数 血漿回収量 血漿回収率 (μl) (%) 実施例2 20 39〜46(平均42) 65〜77(平均70) 比較例1 20 11〜41(平均17) 18〜68(平均28)
【0056】 (表2) サンプル数 Hb濃度 (μg/μl) 実施例2 20 0〜170(平均 40) 比較例1 20 70〜720(平均220)
【0057】前記表1に示すように、実施例の血液検査
用具によれば、比較例の血液検査用具に比べて、2倍以
上の収率で血漿を回収することができた。また、展開部
に流れた血球およびその溶血を、血漿試料中のHb濃度
の測定により確認したところ、前記表2に示すように、
実施例の血液検査用具では、比較例と異なり、血球がほ
とんど展開部に移動することはなく、また溶血も防止さ
れていた。このことから、実施例の血液検査用具によれ
ば、血漿を高収率で回収し、かつ、各種成分の測定を阻
害する原因となる血球の分離も充分に行うことができ、
溶血も防止されることが確認できた。
【0058】
【発明の効果】以上のように、本発明の血液検査用具に
よれば、血漿または血清を高い収率で回収でき、血球も
充分に分離することができる。このため、血液試料が少
ない場合でも充分に血漿または血清を回収することがで
き、例えば、臨床医療等の分野に有用であり、血液採取
量が限られている遠隔臨床検査システムに特に有用であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、本発明の血液検査用具の一実施例を
示す平面図であり、(b)はその断面図である。
【図2】本発明の血液検査用具のその他の実施例を示す
断面図である。
【図3】本発明の血液検査用具のさらにその他の実施例
を示す断面図である。
【図4】本発明のさらにその他の実施例において、回収
した血清中のBUN量を示すグラフである。
【図5】前記実施例において、回収した血清中のTG量
を示すグラフである。
【図6】前記実施例において、回収した血清中のGlc
量を示すグラフである。
【図7】前記実施例において、回収した血清中のT−C
ho量を示すグラフである。
【図8】前記実施例において、回収した血清中のGPT
量を示すグラフである。
【図9】前記実施例において、回収した血清中のGOT
量を示すグラフである。
【図10】前記実施例において、回収した血清中のγ−
GTP量を示すグラフである。
【図11】前記実施例において、回収した血清中のCP
K量を示すグラフである。
【符号の説明】
10、20、30 血液検査用具 11、21 血液供給部 12、22 展開部 13 血球遮断部 34 支持体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 33/48 G01N 33/52

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 厚み方向に平均孔径が連続的または不連
    続的に小さくなる孔径分布の非対称性多孔質膜を有し、
    前記非対称性多孔質膜において、その一部が血液供給部
    であり、その他の一部が展開部であり、前記血液供給部
    と前記展開部との間に、血球が通過できない孔径の孔の
    みからなる血球遮断部が形成され、血液を前記血液供給
    部の孔径が大きい側の面に供給すると、毛細管現象によ
    り前記血液は前記多孔質膜の面方向に移動するが、前記
    展開部には、血漿または血清のみが移動して展開する血
    液検査用具。
  2. 【請求項2】 血液供給部と展開部との間に溝が形成さ
    れ、前記溝の底面からこの底面に対応する非対称性多孔
    質膜表面までの間の部分が、血球遮断部である請求項1
    記載の血液検査用具。
  3. 【請求項3】 展開部が、血球が通過できない孔径の孔
    のみからなる請求項1記載の血液検査用具。
  4. 【請求項4】 血球遮断部の孔径が1〜50μmの範囲
    である請求項1〜3のいずれか一項に記載の血液検査用
    具。
  5. 【請求項5】 非対称性多孔質膜において、その最大孔
    径が30〜300μmの範囲であり、その最小孔径が1
    〜30μmの範囲である請求項4記載の血液検査用具。
  6. 【請求項6】 非対称性多孔質膜が、単層構造である請
    求項1〜5のいずれか一項に記載の血液検査用具。
  7. 【請求項7】 非対称性多孔質膜が、支持体で支持され
    ている請求項1〜6のいずれか一項に記載の血液検査用
    具。
  8. 【請求項8】 非対称性多孔質膜が、ポリスルホン、ポ
    リアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリスチレ
    ンおよびポリアリールヒドラジドからなる群から選択さ
    れた少なくとも一つの樹脂から形成された請求項1〜7
    のいずれか一項に記載の血液検査用具。
  9. 【請求項9】 請求項2記載の血液検査用具を製造する
    方法であって、非対称性多孔質膜の一部を圧縮すること
    により溝を形成する製造方法。
  10. 【請求項10】 請求項2記載の血液検査用具を製造す
    る方法であって、非対称性多孔質膜の一部を切り取り、
    溝を形成する製造方法。
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