JP2001124766A - 血液検査用具 - Google Patents

血液検査用具

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JP2001124766A
JP2001124766A JP30452899A JP30452899A JP2001124766A JP 2001124766 A JP2001124766 A JP 2001124766A JP 30452899 A JP30452899 A JP 30452899A JP 30452899 A JP30452899 A JP 30452899A JP 2001124766 A JP2001124766 A JP 2001124766A
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JP
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blood
factor
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fibrinogen
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JP30452899A
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Yoshiyuki Tanaka
義行 田中
Yuichiro Noda
雄一郎 野田
Yoshi Hirao
佳 平尾
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Arkray Inc
Original Assignee
Arkray Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 血球の溶血を防ぎ、安定した状態で血液検体
を保持できる血液検査用具を提供する。 【解決手段】 キャピラリー管1の内壁にフィブリノー
ゲン2を保持させたものを血液検査用具とする。フィブ
リノーゲン2の量は、血液1ml当たり1〜20mgの
範囲が好ましい。また、前記血液検査用具は、さらに、
フィブリノーゲン以外の血液凝固因子や、ヘビ毒、シリ
カ粉末、ガラス粉末等の血液凝固促進剤を保持してもよ
い。前記血液凝固因子としては、好ましくは、血液凝固
XIII因子およびトロンビンである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、血液検査に使用す
る血液検査用具に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、患者は、各種病気の治療や診断の
ために、医療機関に出向いて、血液を採取し、検査して
もらう必要があった。しかし、これらの検査結果は、採
血後すぐに得ることができず、長時間待つか、次回の受
診まで待たなければならないため、患者や医療機関にと
って非常に手間がかかっていた。このため、例えば、遠
隔地の被検者や、採血のためだけに医療機関に出向くこ
とが困難である被検者が、在宅で検査結果を知ることが
できるシステム(以下、「遠隔臨床検査システム」とい
う)として、患者自身が在宅で容易に採血を行ない、こ
れを医療機関に輸送する方法の確立が求められている。
【0003】また、前述のように、患者自身が在宅で採
血を行なう場合だけでなく、医療機関で採血を行なった
場合でも、例えば、成分分析専門の機関等に血液分析を
依託することがあるため、血液検体を安定な状態で輸送
することが必要とされている。
【0004】これらの問題を解決するために、例えば、
特開平10−104226号公報には、濾紙から形成さ
れた採血カードが開示されている。例えば、患者は、こ
の採血カードの濾紙部分に自分自身で採血した血液を含
浸・乾燥させ、これを医療機関に郵送する。これを受け
取った医療機関は、前記採血カードから血液を抽出し
て、各検査項目について検査を行い、患者が医療機関に
来た時に、前記検査結果に基づいて治療や診断を行な
う。しかしながら、このように濾紙を用いた場合、前記
血液の回収のために、例えば、前記濾紙の血液含浸部分
を切り出し、これを抽出液に浸漬させて一定時間の抽出
を行なった後、遠心分離により前記濾紙を除去しなけれ
ばならないため、操作が煩雑で非常に時間を要する。ま
た、血液成分が前記濾紙に吸着するため、充分な回収も
困難である。
【0005】一方、前記血液を液状のまま輸送する方法
もある。例えば、血液をキャピラリー管に吸引させた場
合、通常、血液が固相表面に接触することにより血液凝
固がおこり、血球層と血清層とに分離されるため、遠心
等の分離操作が不要となり、血清の回収が容易になる。
しかし、血液凝固は、患者の疾患やホルモンバランス等
に影響されるため、凝固程度が一律ではなく、検体間差
が生じる。また、血液凝固がおきても、前記輸送には最
低でも二日間を要し、さらに輸送時に震動等の刺激を伴
うため、血球が溶血してしまう。このため、血清中に血
球内成分が溶出され、血清中成分の検査を正確に行なう
ことが困難となる。
【0006】例えば、ヘパリン、EDTA等の抗凝固剤
を有する採血管により血液を採血した場合も、血液中に
おいて血球は浮遊しており物理的に不安定な状態なた
め、血球が溶血し易い。また、遠心分離等による分離操
作も必要となる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明の目的
は、非乾燥状態で保持させた血液の成分検査を正確に行
なうことができ、かつ容易に血球分離を行なって、血清
および血球を高い収率で回収できる血液検査用具の提供
である。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明の血液検査用具は、血液保持部を有し、この
血液保持部に血液と接触するようにフィブリノーゲンを
有する構成である。
【0009】血液凝固は、通常、血液検体に含まれるフ
ィブリノーゲンがフィブリンに分解され、このフィブリ
ンが網状に血球を取り込むことにより血球塊を形成す
る。本発明の血液検査用具によれば、フィブリノーゲン
を有するため、血液検体由来のフィブリンだけでなく、
さらに多くのフィブリンにより血球が取り込まれ、より
強固に凝固した血球塊が形成される。このため、血球は
物理的に安定化されて、溶血が防止され、血清成分を正
確に測定することが可能になる。また、血液凝固によ
り、血球と血清とが充分に分離されるため、前記両者を
遠心分離等により分離する必要がなく、簡便かつ迅速に
高収率で前記両者ををそれぞれ回収できる。さらに、前
述のように、血液凝固は、個々の患者の疾患や性別、ホ
ルモンバランス等により検体間差が見られるが、本発明
によれば、充分量のフィブリノーゲンにより血球が強固
に凝固されるため、検体間差を回避できる。このような
血液検査用具は、血液検体を安定に保つことができるた
め、臨床医療等における各種検査に有用である。
【0010】本発明の血液検査用具は、例えば、採血
後、直ぐに成分分析等ができない場合でも、血球の溶血
を防ぎ、長時間血液を安定に保つことができるため、血
液保存用に適している。
【0011】また、本発明の血液検査用具は、前述のよ
うに、強固に凝固した血球塊を形成するため、例えば、
震動等の物理的刺激に対しても血球溶血が起こり難く、
また、長時間の保存も可能であることから、血液の輸送
用に適している。したがって、本発明の血液検査用具
は、特に前述のような遠隔臨床検査システムに有用であ
る。
【0012】本発明の血液検査用具において、前記血液
保持部がキャピラリー管であることが好ましく、前記キ
ャピラリー管としては、毛細管現象により血液を吸引で
きれば特に制限されない。これによれば、例えば、前記
キャピラリー管の一端を血液に接触させるだけで、直
接、採血を行なうこともできるため、例えば、患者自身
が在宅で容易に血液を採取できる。また、キャピラリー
管を用いれば、例えば、震動等による刺激を受けても、
血清層および血球層に揺れが生じにくいため、さらに血
球の溶血を防止でき、安定な状態で医療機関等に輸送を
行なうことができる。したがって、特に前記輸送用に有
用である。
【0013】本発明の血液検査用具において、フィブリ
ノーゲンに加えて、さらに、前記血液保持部に血液と接
触するように、フィブリノーゲン以外の血液凝固因子を
有することが好ましい。これにより、最終的にフィブリ
ノーゲンの分解反応が促進され、血球塊が迅速に形成さ
れる。
【0014】前記血液凝固因子は、例えば、II因子(プ
ロトロンビン)、活性化II因子(トロンビン)、III因
子(組織トロンボプラスチン)、IV因子(カルシウムイ
オン)、V因子、活性化V因子、VII因子、活性化VII因
子、VIII因子、活性化VIII因子、IX因子、活性化IX因
子、X因子、活性化X因子、XI因子、活性化XI因子、XII
因子、活性化XII因子、XIII因子(フィブリン安定化因
子)、活性化XIII因子、プレカリクレイン、カリクレイ
ン、高分子キニノーゲンおよびリン脂質からなる群から
選択された少なくとも一つの血液凝固因子であることが
好ましい。前記血液凝固因子の中でも、より好ましく
は、隣接するフィブリンを共有結合により架橋させ、物
理的に強固なフィブリン網の形成を触媒する血液凝固XI
II因子や、フィブリノーゲンの分解を触媒するトロンビ
ンである。なお、前記血液凝固因子は、一種類でもよい
し、二種類以上を併用してもよい。
【0015】また、本発明の血液検査用具において、さ
らに、前記血液保持部に血液と接触するように、血液凝
固促進剤(以下、「促進剤」という)を有することが好
ましい。前記促進剤としては、例えば、ヘビ毒、シリカ
粉末、ガラス粉末等があげられる。これにより、例え
ば、血液凝固に関与する血液凝固因子が活性化されるた
め、最終的にフィブリノーゲンの分解反応が促進され、
血球塊が迅速に形成される。なお、前記促進剤は、一種
類でもよいし、二種類以上を併用してもよい。また、前
記血液凝固因子と併用してもよい。
【0016】本発明の血液検査用具において、フィブリ
ノーゲンを、血液1ml当たり1〜100mgの範囲に
なるように有することが好ましく、より好ましくは、3
〜20mgの範囲、特に好ましくは5〜10mgの範囲
である。
【0017】本発明の血液検査用具において、前記血液
凝固因子は、血液1ml当たり0.1〜100mgの範
囲になるように有することが好ましく、より好ましく
は、0.3〜20mgの範囲、特に好ましくは、0.5
〜5mgの範囲である。また、前記促進剤は、血液1m
l当たり1〜100mgの範囲になるように有すること
が好ましく、より好ましくは、10〜50mgの範囲、
特に好ましくは、20〜30mgの範囲である。
【0018】
【発明の実施の形態】図1に本発明の血液検査用具の一
例を示す。図示のように、この検体検査用具は、血液保
持部がキャピラリー管1であり、血液が接触するように
前記キャピラリー管1の内壁にフィブリノーゲン2を有
している。
【0019】前記キャピラリー管は、毛管現象により全
血を吸引できるものであれば、特に制限されず、その大
きさは、例えば、キャピラリー管の材質等により適宜決
定できる。具体的には、例えば、ガラス製キャピラリー
管の場合、内径0.5〜2.0mmの範囲、長さ5〜1
5cmの範囲が好ましく、より好ましくは、内径0.8
〜1.2mmの範囲、長さ8〜12cmの範囲である。
このような大きさのキャピラリー管の場合、例えば、5
0〜100μlの範囲の血液を吸引することができる。
また、前記キャピラリー管の材質は、前記ガラスには制
限されないが、吸引した血液量や血液凝固を容易に確認
できる透明部材が好ましく、前記ガラスの他に、例え
ば、ポリスチレン(PS)、ポリメチルメタクリレート
(PMMA)、ポリエチレンテレフタレート(PT
F)、ポリビニルセルロース(PVC)等のプラスチッ
ク製キャピラリー管の内壁を親水化処理したものがあげ
られる。前記親水性処理は、前記内壁を、例えば、ポリ
ビニルアルコール(PVA)、ヒドロキシプロピルセル
ロース(HPC)、カルボキシメチルセルロース(CM
C)等の親水性高分子や、レシチン等で処理すればよ
い。
【0020】前記血液検査用具は、前述のように、フィ
ブリノーゲンを、血液1ml当たり1〜100mgの範
囲になるように保持することが好ましく、より好ましく
は、3〜20mgの範囲、特に好ましくは、5〜10m
gの範囲である。
【0021】また、前記血液検査用具は、前述のよう
に、フィブリノーゲンに加えて、さらに前記血液凝固因
子を保持してもよい。例えば、前記血液凝固因子を、血
液1ml当たり、0.1〜100mgの範囲になるよう
に保持することが好ましく、より好ましくは、0.3〜
20mgの範囲、特に好ましくは、0.5〜5mgの範
囲である。具体的に、前記血液凝固因子が血液凝固XIII
因子の場合、例えば、血液1ml当たり0.1〜20m
gの範囲が好ましく、より好ましくは、0.3〜10m
gの範囲、特に好ましくは、0.5〜2mgの範囲であ
る。また、前記血液凝固因子がトロンビンの場合は、例
えば、血液1ml当たり0.5〜20 IUの範囲が好
ましく、より好ましくは、1〜10 IUの範囲、特に
好ましくは、2〜5 IUの範囲である。
【0022】また、前述のように、フィブリノーゲンに
加えて、さらに、前記促進剤を保持してもよい。例え
ば、前記促進剤を、血液1ml当たり、1〜100mg
の範囲になるように保持することが好ましく、より好ま
しくは、10〜50mgの範囲、特に好ましくは、20
〜30mgの範囲である。
【0023】また、前記血液検査用具は、さらに、血液
中の成分に対する安定化剤を保持してもよい。前記安定
化剤は、分析対象成分の種類等により適宜決定できる
が、例えば、スクロース、トレハロース、ラクトース、
グルコース等の糖類、グリシン、塩化ナトリウムおよび
塩化カリウム等の塩類、リン酸緩衝剤、クエン酸緩衝剤
およびグッド緩衝剤等の緩衝剤等が使用できる。前記安
定化剤の保持量は、その種類等によって適宜決定でき
る。例えば、前記安定化剤が前記糖類の場合、血液1m
lに対して、5重量%〜30重量%の範囲になるように
保持させることが好ましい。また、前記安定化剤が前記
塩類の場合は、例えば、血液1mlに対して、50mM
〜150mMの範囲になるように保持することが好まし
い。
【0024】このような血液検査用具は、例えば、予
め、所定濃度のフィブリノーゲン溶液を準備し、これを
毛管現象等によりキャピラリー管に吸引させた後、前記
キャピラリー管を乾燥することにより作製できる。前記
キャピラリー管の乾燥は、例えば、自然乾燥、凍結乾燥
等により行なうことができる。なお、前記キャピラリー
管の吸引工程および乾燥工程は、前記フィブリノーゲン
溶液の濃度や保持させるフィブリノーゲン量等に応じて
複数回行なってもよい。
【0025】前記フィブリノーゲン溶液は、例えば、フ
ィブリノーゲン粉末を溶媒に溶解して調製できる。その
濃度は、キャピラリー管に保持させるフィブリノーゲン
量に応じて適宜決定でき、例えば、1〜100mg/m
lの範囲であり、好ましくは、30〜50mg/mlの
範囲である。前記溶媒としては、例えば、蒸留水、生理
食塩水、緩衝液等が使用でき、前記緩衝液としては、例
えば、トリス塩酸緩衝液、リン酸緩衝液等が使用でき
る。前記緩衝液のpHは、pH7〜8の範囲が好まし
い。
【0026】具体的には、例えば、内径0.8〜1.2
mmの範囲、長さ8〜12cmの範囲であるキャピラリ
ー管を用いて、50〜100μlの範囲の血液を採取す
る場合は、前記キャピラリー管の内壁面積1cm2当た
り、0.1〜0.5mgの範囲のフィブリノーゲンを保
持させることが好ましく、例えば、濃度30〜50mg
/mlの範囲であるフィブリノーゲン溶液を吸引させ、
乾燥すればよい。
【0027】また、前述のように、前記キャピラリー管
に、さらに、前記血液凝固因子、前記促進剤、前記安定
化剤等を保持させる場合は、例えば、前記フィブリノー
ゲン溶液に、前記血液凝固因子、前記促進剤、前記安定
化剤等を溶解することが好ましい。これらの濃度は、前
記血液凝固因子、前記促進剤、前記安定化剤の種類、保
持させる量等に応じて適宜決定できる。
【0028】このような血液検査用具(キャピラリー
管)は、例えば、以下のようにして使用できる。まず、
患者の指等の皮膚を針や刃物等で穿刺し、前記穿刺部か
らの血液に前記血液検査用具の一端を接触させる。これ
により、前記血液は、毛細管現象で前記キャピラリー管
に吸引される。この際、例えば、毛管現象による吸引が
停止するまで血液を吸引させてもよいし、必要量の血液
を吸引させた時点で前記吸引を終了させてもよい。な
お、吸引する血液量の目安として、前記キャピラリー管
の目的の血液量に達する箇所に、印をつけておくことが
好ましい。
【0029】血液採取後、前記キャピラリー管の両端を
封止して液漏れを防止する。図2にキャピラリー管の両
端を封止した状態の一例を示す。なお、図2において、
図1と同一部分には同一符号を付している。図示のよう
に、凸部を有する専用のキャップ3の前記凸部を、前記
キャピラリー管1の両端に嵌入する。前記キャップとし
ては、図示のように凸部を有するキャップや、円柱状の
栓等が使用できるが、キャピラリー管からの液漏れを防
止できれば、その大きさおよび形状は特に制限されな
い。前記キャップの材質も、特に制限されず、例えば、
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等のプラ
スチック等が使用できる。なお、前記キャピラリー管の
封止は、前記キャップを使用する他に、例えば、シリコ
ンパテ、パラフィン樹脂等のシーラー、粘土等が使用で
きる。
【0030】このようにして、前記血液検査用具により
血液を採取すれば、約3秒〜約3分の範囲で血液凝固が
起こり、図2に示すように血清層5と血球層4とに分離
される。
【0031】次に、血清の回収を行なうために、前記キ
ャピラリー管1を、血球層4と血清層5との境界線で切
断する。例えば、ガラス製キャピラリー管の場合は、前
記境界線にやすり等で傷を入れ、その部位で割ればよ
く、プラスチック製キャピラリー管の場合は、前記境界
線をカッター等で切断すればよい。そして、前記血清を
有するキャピラリー管の一端を封止しているキャップを
はずし、一端からシリンジ等を差し込み血清を押し出す
ことによって血清のみを回収し、成分分析等に供する。
前記血清の回収方法は、これには制限されず、この他に
も、例えば、前記血清を有するキャピラリー管に溶媒を
流し込んだり、前記キャピラリー管の一端を溶媒に接触
させて血清を前記溶媒中に流出させることにより、血清
を回収することができる。前記溶媒としては、例えば、
蒸留水、生理食塩水、緩衝液等が使用でき、前記緩衝液
としては、例えば、トリス塩酸緩衝液、リン酸緩衝液等
が使用できる。前記緩衝液のpHは、pH7〜8の範囲
である。また、試薬を含有する試験紙に前記キャピラリ
ー管の一端を接触させ、前記試験紙に血清を吸収させる
ことにより反応を開始させて、直接検査を行なう事もで
きる。
【0032】一方、血球も、前述と同様にシリンジ等を
用いて回収することができる。回収した血球は、例え
ば、その重量や容量を測定することにより、血液中の血
球数を求めることができる。
【0033】本発明の血液検査用具は、血液の保存用に
使用できる。フィブリノーゲンを保持していない従来の
血液検査用具では、室温に放置した場合、血球の溶血に
は、検体間差が見られるが、通常、長くても二日を経過
すると溶血が生じる。しかし、本発明の血液検査用具に
よれば、検体間差が生じることなく、長期間溶血を防止
できる。
【0034】本発明の血液検査用具によれば、例えば、
血球1ml当たりのフィブリノーゲン量が1mg以上の
場合、室温で3日以上、血球1ml当たりのフィブリノ
ーゲン量が3mg以上の場合、室温で7日以上、溶血を
防止できる。
【0035】血液の保存温度は、例えば、0〜25℃の
範囲であり、好ましくは4〜15℃の範囲、より好まし
くは、4〜8℃の範囲である。
【0036】また、本発明の血液検査用具は、輸送用に
使用できる。血液検体を郵送すると、通常、採血してか
ら二日を要するが、本発明の血液検査用具は、前述のよ
うに、長期保存性に優れ、また、血球が強固に凝固する
ことにより震動等による溶血も防止できるからである。
例えば、前記キャピラリー管を用いて、前述と同様に血
液を採取し、その両端を封止した後、前記キャピラリー
管を専用のホルダーに固定して、衝撃に耐える状態で郵
送すればよい。また、輸送時には、震動等による血清層
および血球層の揺れを低減するために、血液検査用具を
立てた状態であることが好ましい。なお、輸送時の温度
は、特に制限されず、例えば、0〜25℃の範囲であ
り、好ましくは4〜15℃の範囲であり、より好ましく
は4〜8℃の範囲である。
【0037】本発明の血液検査用具は、前述のようなキ
ャピラリー管には限定されず、その他に、例えば、試験
管、血沈管、スピッツ管等も使用できる。
【0038】その大きさは、特に制限されないが、例え
ば、最大内径5〜20mmの範囲、長さ5〜15cmの
範囲であり、好ましくは、最大内径8〜12mmの範
囲、長さ8〜10cmの範囲である。このような大きさ
の血液検査用具の場合、添加する血液量は、例えば、3
〜10mlの範囲であり、好ましくは5〜7mlの範囲
である。
【0039】前記試験管等にフィブリノーゲンを保持さ
せるには、例えば、前記試験管等にフィブリノーゲン粉
末を添加しておくだけでもよいし、前述と同様にして、
例えば、所定濃度のフィブリノーゲン溶液を添加し、こ
れを乾燥させて保持させてもよい。なお、フィブリノー
ゲンの保持量は、前述と同様である。
【0040】このような血液検査用具は、例えば、以下
に示すようにして使用できる。注射針を有する採血管等
により血液を採取し、前記血液を前記血液検査用具に添
加する。この際、保持させたフィブリノーゲンと前記血
液とが均一に接触するように、緩やかに混合する。そし
て、開口部を、シーラー等を用いて密閉する。血清の回
収は、前述のように血清と血球とが血液凝固により分離
されているため、例えば、ピペット等を用いて上清の血
清のみを採取すればよい。
【0041】
【実施例】(実施例1)以下に示すようにして、本発明
の血液検査用具を作製した。
【0042】フィブリノーゲン−人血液凝固第XIII因
子粉末(ベリプラスト、バイアル1:ヘキスト・マリオ
ン・ルセル社製)を蒸留水に溶解し、濃度80mg/m
lのフィブリノーゲン水溶液(以下同じ)を調製した。
そして、前記フィブリノーゲン水溶液(5.6μl、
7.1μl、10μl、16.7μl、25μl)を、
それぞれ直径1mm、長さ75mmのガラス製キャピラ
リー管(イワキガラス社製、以下同じ)に吸引させた
後、凍結乾燥し、前記キャピラリー管の内壁にフィブリ
ノーゲンを保持させたものを血液検査用具とした。
【0043】(比較例1)未処理のガラス製キャピラリ
ー管を血液検査用具として使用した。
【0044】健常者の指先をランセットにより穿刺して
血液を絞りだし、この血液に、実施例および比較例の前
記各血液検査用具の先端を接触させ、全血50μlを吸
引させた後、前記各血液検査用具の両端をシーラー(シ
リコンパテ)で封止した。そして、前記血液検査用具を
垂直に立てて放置し、ヘモグロビンの溶出による着色を
観察することにより血球の溶血を調べた。
【0045】その結果、実施例1の血液検査用具は、直
ぐに血球層と血清層とに分離し、放置後7日経過して
も、凝固した血球の溶血は見られなかった。これに対
し、比較例の血液検査用具は、2日後には、血清層がヘ
モグロビンにより赤く着色し、血球の溶血が確認され
た。
【0046】(実施例2)前記ガラス製キャピラリー管
に前記フィブリノーゲン水溶液10μlを吸引させ、凍
結乾燥することにより血液検査用具を作製した。これを
用いて前記実施例1と同様にして血液を採取して、放置
した。7日間放置した後、凝固した血球層と血清層との
境目で前記血液検査用具を折り、前記血清層を有するキ
ャピラリー管にシリンジを挿入することにより、血清を
押し出して回収し、前記血清における各成分量の測定を
行なった。
【0047】なお、前述と同様にして作製した血液検査
用具を用いて、同じ血液を採取し、血球が凝固した直後
(初期)の血清を回収し、これをコントロールとして、
成分量の測定を行なった。
【0048】各血清液中の各成分量は、以下に示す市販
キットを用いて、それらの使用方法に準じて測定した。
各種測定において、ブランクは精製水を用いた。
【0049】1.HDL−コレステロール(HDL−
C):コレテストHDL(第一化学薬品社製) 2.トータルコレステロール(T−Cho):デタミナ
ーL TCII(協和メデックス社製) 3.尿素窒素(BUN):尿素窒素II−HAテストワコ
ー(7070:和光純薬工業社製) 4.グルタミック−オキサロアセティックトランスアミ
ナーゼ(GOT):トランスアミナーゼHR−II(GO
T−7070:和光純薬工業社製) 5.グルタミック−ピルビックトランスアミナーゼ(G
PT):トランスアミナーゼHR−II(GPT−707
0:和光純薬工業社製) 6.クレアチンキナーゼ(CPK):CK E−HAテ
ストワコー(和光純薬工業社製) 7.アミラーゼ(Amy):AmyII−HAテストワコ
ー(和光純薬工業社製) 8.クレアチニン(Cre):ピュアオートS CRE
−N(第一化学薬品社製) 9.γ−グルタミルトランスペプチダーゼ(γ−GT
P):γ−GTP J−HAテストワコー(和光純薬工
業社製) 10.アルカリホスファターゼ(ALP):ALPII−
HAテストワコー(7150:和光純薬工業社製) 11.トータルプロテイン(TP):TP II−HAワ
コー(和光純薬工業社製) 12.アルブミン(Alb):クリニメイトALB(第
一化学薬品社製) 13.乳酸脱水素酵素(LDH):LDH II−HAテ
ストワコー(7150:和光純薬工業社製) 14.トリグリセライド(TG):トリグリセライドE
−HAテストワコー(和光純薬工業社製)
【0050】これらの結果を、下記表1に示す。なお、
GOT、GPT、CPK、Amy、γ−GTP、AL
P、LDHについては、コントロール(初期)の血清に
おける活性量を100%とした場合の相対活性(%)を
示し、HDL−C、T−Cho、BUN、Cre、T
P、Alb、TGについては、初期の血清における量を
100%とした場合の相対量(%)を示した。
【0051】(比較例2)血液検査用具として未処理の
前記ガラス製キャピラリー管を使用した以外は、前記実
施例2と同様にして、血清における各種成分量の測定を
行なった。この結果を下記表2に示す。
【0052】
【表1】 (実施例2) 成分 相対量(%) コントロール(初期) 7日後 HDL−C 100 93 T−Cho 100 101 BUN 100 107 GOT 100 109 GPT 100 100 CPK 100 101 Amy 100 100 Cre 100 100 γ−GTP 100 100 ALP 100 98 TP 100 101 Alb 100 101 LDH 100 103 TG 100 106
【0053】
【表2】 (比較例2) 成分 相対量(%) コントロール(初期) 7日後 HDL−C 100 125.6 T−Cho 100 126.8 BUN 100 153.9 GOT 100 300.0 GPT 100 112.5 CPK 100 144.8 Amy 100 111.9 Cre 100 112.5 γ−GTP 100 163.6 ALP 100 81.6 TP 100 127.8 Alb 100 119.2 LDH 100 651.6 TG 100 96.2
【0054】前記表1に示すように、実施例の血液検査
用具によれば、7日間放置しても、血清成分は、ほぼ1
00%の相対値を示した。これに対し、比較例は、血球
の溶血が生じたため、成分量が大幅に変動し、特にBU
N,GOT,CPK,γ−GTP、LDHは、それぞれ
153.9%、300.0%、144.8%、163.
6%、651.6%にまで相対値が変動した。このこと
から、本発明の血液検査用具によれば、採血した血液を
そのまま長時間放置しても、血球の溶血を生じることが
なく、血清中の成分測定を高精度に行なうことができる
といえる。
【0055】
【発明の効果】以上のように、本発明の血液検査用具に
よれば、血球が溶血することなく安定した状態で血液を
保持でき、かつ、血清と血球とを優れた収率で回収する
ことができる。このため、血液の保存用や、血液の輸送
用にも適しており、例えば、臨床医療における診断等
や、前述のような遠隔臨床検査システムに特に有用であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の血液検査用具の一例を示す断面図であ
る。
【図2】前記血液検査用具に血液を保持させた状態を示
す断面図である。
【符号の説明】
1 キャピラリー管 2 フィブリノーゲン 3 キャップ 4 血球層 5 血清層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 平尾 佳 京都府京都市南区東九条西明田町57番地 株式会社京都第一科学内 Fターム(参考) 2G045 AA13 BB32 BB38 CA25 HA09 HA14

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 血液保持部を有し、この血液保持部に血
    液と接触するようにフィブリノーゲンを有する血液検査
    用具。
  2. 【請求項2】 血液保持部がキャピラリー管である請求
    項1記載の血液検査用具。
  3. 【請求項3】 さらに、血液保持部に血液と接触するよ
    うに、II因子(プロトロンビン)、活性化II因子(トロ
    ンビン)、III因子(組織トロンボプラスチン)、IV因
    子(カルシウムイオン)、V因子、活性化V因子、VII因
    子、活性化VII因子、VIII因子、活性化VIII因子、IX因
    子、活性化IX因子、X因子、活性化X因子、XI因子、活性
    化XI因子、XII因子、活性化XII因子、XIII因子(フィブ
    リン安定化因子)、活性化XIII因子、プレカリクレイ
    ン、カリクレイン、高分子キニノーゲンおよびリン脂質
    からなる群から選択された少なくとも一つの血液凝固因
    子を有する請求項1または2記載の血液検査用具。
  4. 【請求項4】 血液凝固因子が、血液凝固XIII因子であ
    る請求項3記載の血液検査用具。
  5. 【請求項5】 血液凝固因子が、トロンビンである請求
    項3記載の血液検査用具。
  6. 【請求項6】 さらに、血液保持部に血液と接触するよ
    うに、血液凝固促進剤を有する請求項1〜5のいずれか
    一項に記載の血液検査用具。
  7. 【請求項7】 血液凝固促進剤が、ヘビ毒、シリカ粉末
    およびガラス粉末からなる群から選択された少なくとも
    一つの物質である請求項6記載の血液検査用具。
  8. 【請求項8】 フィブリノーゲンを、血液1ml当たり
    1〜100mgの範囲になるように有する請求項1〜7
    のいずれか一項に記載の血液検査用具。
  9. 【請求項9】 血液凝固因子を、血液1ml当たり0.
    1〜100mgの範囲になるように有する請求項3〜8
    のいずれか一項に記載の血液検査用具。
  10. 【請求項10】 血液凝固促進剤を、血液1ml当たり
    1〜100mgの範囲になるように有する請求項6〜9
    のいずれか一項に記載の血液検査用具。
  11. 【請求項11】 その用途が、血液保存用である請求項
    1〜10のいずれか一項に記載の血液検査用具。
  12. 【請求項12】 その用途が、血液輸送用である請求項
    1〜11のいずれか一項に記載の血液検査用具。
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JP2012518157A (ja) * 2009-02-17 2012-08-09 エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー 血液成分を提供する方法及び装置
JP2021067602A (ja) * 2019-10-25 2021-04-30 株式会社シン・コーポレイション 毛細管キャップ及びそれを用いた液体試料の取出方法

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