JP2018105831A - 血液分析方法及び血液検査キット - Google Patents

血液分析方法及び血液検査キット Download PDF

Info

Publication number
JP2018105831A
JP2018105831A JP2016255675A JP2016255675A JP2018105831A JP 2018105831 A JP2018105831 A JP 2018105831A JP 2016255675 A JP2016255675 A JP 2016255675A JP 2016255675 A JP2016255675 A JP 2016255675A JP 2018105831 A JP2018105831 A JP 2018105831A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
blood
concentration
hemolysis
plasma
component
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2016255675A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6789109B2 (ja
Inventor
福井 康太
Yasuta Fukui
康太 福井
晋哉 杉本
Shinya Sugimoto
晋哉 杉本
功 米久保
Isao YONEKUBO
功 米久保
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
LEISURE Inc
Fujifilm Corp
Original Assignee
LEISURE Inc
Fujifilm Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by LEISURE Inc, Fujifilm Corp filed Critical LEISURE Inc
Priority to JP2016255675A priority Critical patent/JP6789109B2/ja
Priority to EP17887217.2A priority patent/EP3564666A1/en
Priority to CN201780080172.6A priority patent/CN110114670B/zh
Priority to PCT/JP2017/047202 priority patent/WO2018124273A1/ja
Publication of JP2018105831A publication Critical patent/JP2018105831A/ja
Priority to US16/454,064 priority patent/US11442070B2/en
Application granted granted Critical
Publication of JP6789109B2 publication Critical patent/JP6789109B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N33/00Investigating or analysing materials by specific methods not covered by groups G01N1/00 - G01N31/00
    • G01N33/48Biological material, e.g. blood, urine; Haemocytometers
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N33/00Investigating or analysing materials by specific methods not covered by groups G01N1/00 - G01N31/00
    • G01N33/48Biological material, e.g. blood, urine; Haemocytometers
    • G01N33/50Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing
    • G01N33/72Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing involving blood pigments, e.g. haemoglobin, bilirubin or other porphyrins; involving occult blood
    • G01N33/721Haemoglobin
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N1/00Sampling; Preparing specimens for investigation
    • G01N1/28Preparing specimens for investigation including physical details of (bio-)chemical methods covered elsewhere, e.g. G01N33/50, C12Q
    • G01N1/38Diluting, dispersing or mixing samples
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N33/00Investigating or analysing materials by specific methods not covered by groups G01N1/00 - G01N31/00
    • G01N33/48Biological material, e.g. blood, urine; Haemocytometers
    • G01N33/483Physical analysis of biological material
    • G01N33/487Physical analysis of biological material of liquid biological material
    • G01N33/49Blood
    • G01N33/491Blood by separating the blood components
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N33/00Investigating or analysing materials by specific methods not covered by groups G01N1/00 - G01N31/00
    • G01N33/48Biological material, e.g. blood, urine; Haemocytometers
    • G01N33/50Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing
    • G01N33/96Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing involving blood or serum control standard

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Hematology (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Urology & Nephrology (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Pathology (AREA)
  • Analytical Chemistry (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Food Science & Technology (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Cell Biology (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Ecology (AREA)
  • Investigating Or Analysing Biological Materials (AREA)

Abstract

【課題】微量の血液検体中の分析対象成分量を測定する際に、溶血が起きた場合、複数の分析対象成分の測定を精度よく行うことを可能とする血液分析方法及び血液検査キットを提供すること。【解決手段】採取された血液検体を希釈液で希釈する工程と、血液中に恒常的に存在する標準成分の標準値を用いて希釈倍率を決定する工程と、血液検体中の分析対象成分の濃度を分析する工程とを含む、分析対象成分の濃度を測定する血液分析方法であって、血液検体中の溶血量を測定し、測定した溶血量に応じて希釈倍率を補正し、補正した希釈倍率を用いて分析対象成分の濃度を分析する、血液分析方法。【選択図】なし

Description

本発明は、血液検体中の分析対象成分濃度を測定するための血液分析方法及び血液検査キットに関する。
一般に、採血には、医師等一定の有資格者が注射器を用いて静脈から血液を採取する一般採血と、検査対象者が、自分の手の指等に採血針を刺して血液を採取する自己採血とがある。
一般採血により採取された血液は、採取容器に密閉された状態で医療機関又は検査機関に輸送され、そこで検査が行われている。血液を血球と血漿とに分離せずに輸送する場合には、医療機関又は検査機関にて遠心分離機により血液を血球と血漿とに分離した後に検査が行われる。また、検査対象者が行う自己採血では、採血後の血液は分離膜により血球と血漿とに分離され、この分離された状態で検査場所に輸送され、そこで検査が行われる。
特許文献1には、自己採血により採取された血液検体の検査方法が記載されている。具体的には、1)容量を定量することなしに採取した定量すべき成分を含有する未知容量の生体試料と一定量の指示物質を含有する一定量の水性溶液とからなる定量用試料を調製する工程、2)一定量の指示物質を含有する一定量の水性溶液中の指示物質の濃度(C1)と定量用試料中の指示物質の濃度(C2)とから生体試料の希釈倍率(a)を求める工程、3)定量用試料中の定量すべき成分の濃度(Y)を求める工程、4)上記2)で求めた生体試料希釈倍率(a)と上記3)で求めた定量用試料中の定量すべき物質の濃度(Y)とから生体試料中の定量すべき成分を決定する工程を含む生体試料中の定量すべき成分の定量方法が記載されている。
特許文献2には、検体中の分析対象成分量を測定し、さらに、これ以外の恒常的に検体中に元来存在する標準成分の量を測定し、この標準成分の量と、検体中での標準成分の既知濃度とから検体の量を決定し、この検体量と、分析対象成分量とから、検体中の分析対象成分の濃度を決定する定量分析法が記載されている。
また、特許文献3には、血液希釈定量器具を用いてヒトや動物から微量血液を採取しそのまま又は希釈したのち一定量を他の機器や容器又は直接試薬に供給することが記載されている。さらに特許文献4には、希釈用水溶液中の指示物質の吸光度を利用して、生物学的試料中の定量すべき成分の濃度を定量する方法が記載されている。
特許文献5には、検体中の分析対象成分の濃度を測定する定量分析法であって、検体中の分析対象成分量を測定し、さらに、これ以外の恒常的に検体中に元来存在する標準成分の量を測定し、この標準成分の量と、検体中での標準成分の既知濃度とから検体の量を決定し、この検体量と、分析対象成分量とから、検体中の分析対象成分の濃度を決定する方法が開示されており、外部標準法における希釈生体試料の分析方法が記載されている。
特許文献6には、検体中に存在する成分の測光法による実際の測定に先立って、検体を予備反応にかけて反応において検体の溶血度を測定し、そして、溶血度と干渉成分の測定誤差寄与とを相関させることにより決定された数値を用いて、その後得られた検査成分の測定値を補正することからなる、溶血による測定誤差を回避しながら医学的検体を分析する方法が記載されている。
特開2003−161729号公報 特開2001−330603号公報 特開2009−122082号公報 特開2009−109196号公報 特開2016−118565号公報 特開平08−101191号公報
特許文献1に記載の方法においては、血液検体が微量である場合には、血液検体量に対する希釈液の割合を高くすることが必要になる。しかし、この場合、血液検体を希釈する前後での希釈液の体積変化率が非常に小さくなるため、内部標準物質の濃度の変化率が小さくなり、測定値の繰り返し再現性が低下するという問題がある。
特許文献2には、健常者全血約100μLを多孔質膜に滴下し、血球を分離して血清を展開した後に、150μLの生食等張PBS(Phosphate−buffered saline: pH7.4)を添加して得た液を遠心分離して得られた上清を分析試料として分析しているが、100μL未満の採血については記載されていない。
特許文献3の方法では、10μLの血液量をマイクロピペットで正確に採取して分析しているが、採血に不慣れな患者が採取する場合には一定量を正確に採取することは難しく、誤差を含む採血で検査をした場合には測定値に誤差が含まれる結果となる。
特許文献4に記載の測定方法は希釈倍率が10倍程度の測定であり、希釈倍率をさらに高めて希釈血液量を十分に確保する場合には、特許文献1と同様に、測定値の繰り返し再現性が低下するという問題がある。
特許文献5に記載の方法においては、内部標準物質及び外部標準物質を用いて血液試料の希釈倍数を算出することが記載されているが、血液成分の溶血があると、血球と血漿中の標準成分濃度が異なるために、血漿中の標準成分濃度が血球中の標準成分濃度の影響を受けてしまう。例えば、ナトリウムイオンの場合は、血球中濃度は血漿中濃度よりも低いために溶血した場合は濃度が低下してしまい、血漿中に存在するナトリウムを外部標準物質で希釈倍率を決定する場合には非常に大きな誤差が生じる。上記の通り、特許文献5の記載では溶血が発生した場合には、定量分析の測定精度が低くなるとの懸念がある。
一方で、患者又は被検者の痛みを軽減するために、微量の血液検体から複数の対象物質を測定する精度良い測定方法が望まれている。その場合には、微量の血液を希釈し、測定に使用できる容量を増加させて複数の対象物質を測定する方法が行われている。その場合は血液検体の希釈倍率を決定する必要がある。特許文献6には、特許文献5の課題である溶血時に対象物質を補正する技術が開示されているが、希釈した血液の補正は記載がなく、微量血液から複数の対象物質の測定についての記載がなく、微量の血液検体の場合には、分析可能な対象物質が限られるとの問題がある。
上記の通り、特許文献5の課題を解決するために、ヘモグロビンの検出量により対象成分の補正をする方法を特許文献5に適応した場合でも、検体が溶血した場合、血球と血漿中の標準成分濃度が異なるために、血漿中の標準成分濃度が血球中の標準成分濃度の影響を受けてしまう問題が解決されず、微量血液から測定精度よく複数の対象物質の分析を行うことができなかった。
本発明は、血液検体中の分析対象成分濃度を測定するための血液分析方法及び血液検査キットであって、上記のように微量の血液検体中の分析対象成分量を測定する際に、溶血が起きた場合、複数の分析対象成分の測定を精度よく行うことを可能とする血液分析方法及び血液検査キットを提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、採取された血液検体を希釈液で希釈し、血液中に恒常的に存在する標準成分の標準値を用いて希釈倍率を決定し、血液検体中の分析対象成分の濃度を分析することを含む、分析対象成分の濃度を測定する血液分析方法において、血液検体中の溶血量を測定し、測定した溶血量に応じて希釈倍率を補正することによって、複数の分析対象成分の測定を精度よく行うことができることを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明によれば以下の発明が提供される。
(1) 採取された血液検体を希釈液で希釈する工程と、
血液中に恒常的に存在する標準成分の標準値を用いて希釈倍率を決定する工程と、
血液検体中の分析対象成分の濃度を分析する工程と、
を含む、分析対象成分の濃度を測定する血液分析方法であって、
上記血液検体中の溶血量を測定し、
上記測定した溶血量に応じて上記希釈倍率を補正し、
上記補正した希釈倍率を用いて上記分析対象成分の濃度を分析する、血液分析方法。
(2) 上記血液分析方法が、
血液検体を希釈するための希釈液と、
希釈された血液検体から血漿成分を回収するための分離手段と、
希釈された血液検体から回収された血漿成分を収容するための容器と、
を含む血液検査キットを用いることによって行われる、(1)に記載の血液分析方法。
(3) 上記希釈液が、血液中に存在しない標準成分を含み、上記血液検査キットが、上記の血液中に存在しない標準成分を用いて血液検体中の分析対象成分濃度を分析するための血液検査キットである、(2)に記載の血液分析方法。
(4) 上記血液検査キットを用いて、希釈された血液検体から血漿成分を回収し、回収した血漿成分中、恒常的に存在する上記標準成分を用いて、希釈された血液検体の希釈倍率を決定し、血液検体中の分析対象成分の濃度を分析する、(2)又は(3)に記載の血液分析方法。
(5) 上記希釈液が、血液中に存在しない標準成分を含み、上記血液検査キットが、上記の血液中に存在しない標準成分を用いて、希釈された血液検体の希釈倍率を決定し、血液検体中の分析対象成分濃度を分析する、(2)から(4)の何れか一に記載の血液分析方法。
(6) 上記血液中に恒常的に存在する標準成分がナトリウムイオン、塩化物イオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、総タンパクおよびアルブミンから選択される少なくとも一つの物質である、(1)から(5)の何れか一に記載の血液分析方法。
(7) 血液検体を希釈するための希釈液と、
希釈された血液検体から血漿成分を回収するための分離手段と、
希釈された血液検体から回収された血漿成分を収容するための容器と、
を含む、(1)から(6)の何れか一に記載の血液分析方法において使用するための血液検査キット。
本発明の血液分析方法及び血液検査キットによれば、血液検体が溶血した場合でも精度の高い分析を行うことができる。
図1は、本発明の実施の態様に係る血液検査キットの断面図である。 図2は、溶血度と、血漿中の総タンパク濃度、及びカリウム濃度の関係を示した図である。 図3は、溶血度と、血漿中のナトリウム濃度の関係を示した図である。 図4は、血漿中の総コレステロール濃度の、溶血度による補正有無での計算値を示した図である。 図5は、血漿中のクレアチニン濃度の、溶血度による補正有無での計算値を示した図である。
以下、本発明について詳細に説明する。なお、X〜Yで示される範囲は、上限Xと下限Yの値を含む。血液中に恒常的に存在する標準成分のことを、外部標準物質又は外部標準ということがある。また、血液中に存在しない標準成分のことを、内部標準物質又は内部標準ということがある。
本発明は、微量血液検体を緩衝液で希釈して対象成分の濃度を分析するための分析方法であって、血液中に恒常的に存在する外部標準を用いて対象成分の分析を行うに際して、従来技術にはない精度で希釈倍率を求めることができる、血液分析方法を提供することを目的とする。そのための解決手段として、血液検体中の溶血量を測定し、測定した溶血量に応じて希釈倍率を補正することで分析対象成分の濃度を精度よく分析可能にしたものである。
本発明により、血液中の分析対象成分を測定する測定方法において、患者自らが血液を採血し分離膜で濾過する場合、分離速度などが原因で発生する溶血による希釈倍率の誤差要因を取り除いた高精度な対象物質測定が可能である、血液測定方法及び血液分析キットを実現することが可能となる。
本発明は、
採取された血液検体を希釈液で希釈する工程と、
血液中に恒常的に存在する標準成分の標準値を用いて希釈倍率を決定する工程と、
血液検体中の分析対象成分の濃度を分析する工程と、
を含む、分析対象成分の濃度を測定する血液分析方法であって、
液検体中の溶血量を測定し、
測定した溶血量に応じて希釈倍率を補正し、
補正した希釈倍率を用いて分析対象成分の濃度を分析する、血液分析方法に関するものである。
血液検体中の対象成分の濃度を分析するとは、対象成分の濃度を決定すること(即ち、対象成分を定量すること)、又は対象成分の濃度が所定の基準値以上であるか所定の基準値以下であるかを決定することなどを包含し、分析の形態は特に限定されない。
(溶血)
本発明において、溶血とは、振動又はせん断等の外部エネルギーによって、血球膜の破壊により血球内成分が血漿中へ溶出することである。血球中と血漿中の濃度が異なるために溶出が起こると血漿中の恒常性成分の濃度が変化してしまい、正しい希釈倍率を算出できなくなってしまう。これらを是正する方法を本発明で提供するものである。溶血の度合いは血漿中のヘモグロビン濃度(mg/dL)を算出することで求める事ができる。本発明では、このヘモグロビン濃度(mg/dL)値を溶血度と定義する。
血漿中ではナトリウムイオンが陽イオンの大部分を占めているのに対して、血球内では、カリウムイオンが陽イオンの大部分を占めていて、血球内のナトリウムイオン濃度は血漿中のナトリウムイオン濃度に比較してかなり低い。また、総タンパク量も血漿中に存在する量とは異なることが知られており、溶血が起こると、血漿中のナトリウムイオン濃度は減少し、総タンパクの濃度は増加する。従って、希釈倍率を測定するための標準物質として、これらナトリウムイオン又は総タンパクを用いる場合には、溶血が起こることにより算出された希釈倍率がずれる結果となり、測定精度が低下する懸念が生じる。本発明では、溶血により血漿中に溶出するヘモグロビン濃度を測定し、溶血度として溶血量を決定し、この溶血度を用いて希釈液と血漿の混合物中のナトリウムイオン又は総タンパク等の、標準物質の濃度を補正し、補正した標準物質の濃度を使用して希釈倍率を補正し、この補正後の希釈倍率を使用して測定対象物質の血漿中の濃度を精度良く求めることが可能となる。
〔血液検体の採取方法と採取量〕
本発明では、血液検体を採取して、血液検体中の対象成分を分析する。本発明の血液分析方法における血液の採取は、対象者自身が行ってもよく、医師等の有資格者が行ってもよい。
好ましい態様では、患者本人が、ランセットなどのナイフ付の器具を用いて指先などを傷つけて皮膚外にでた血液を採取する。患者の負担を減らすために、侵襲性低く血液を採取することが好ましく、血液を採取するときに無痛、あるいは、痛みが非常に少ない状態で採血できることがより好ましく、その場合、傷の深さ、大きさは小さいことが望ましく、採取できる血液も非常に少なくなる。従って、本発明の血液検査キットで採取される検体の容量(すなわち、採血量)は100μL以下であることが好ましく、70μL以下がより好ましく、50μL以下が更に好ましい。
〔血液に恒常的に存在する標準成分〕
上記のように、血漿成分の希釈倍率の高い希釈血漿の希釈後の対象成分について、希釈前の血液の血漿中に存在する対象成分の濃度を正確に分析する必要がある。希釈液中にあらかじめ存在する物質の標準物質としてその濃度変化率から対象成分濃度を求める場合には、濃度の変化の割合が非常に小さくなるために測定誤差が生じやすく、測定の再現性が悪化する弊害がある。従って本発明の血液分析方法は、血液中に恒常的に存在する標準成分を用いて血液検体中の対象成分の濃度を分析する血液分析方法により行われる。
ここで、標準成分を「用いて」とは、標準成分についての標準値(恒常値)に基づき、対象成分の濃度を分析するための希釈倍率を決定することを意味する。したがって、血液中に恒常的に存在する標準成分を用いて血液検体中の対象成分の濃度を分析することは、血液中に恒常的に存在する標準成分の恒常値(標準値)に基づき希釈倍率を決定し、対象成分の濃度を分析することでもある。
血液中に恒常的に存在する標準成分は、例えば、ナトリウムイオン、塩化物イオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、総タンパク、及びアルブミン等が挙げられる。血液検体の血清及び血漿中に含まれるこれらの標準成分の濃度は、ナトリウムイオン濃度は、134〜146mmol/L(平均値:142mmol/L)、塩化物イオン濃度は、97〜107mmol/L(平均値:102mmol/L)、カリウムイオン濃度は、3.2〜4.8mmol/L(平均値:4.0mmol/L)、マグネシウムイオン濃度は、0.75〜1.0mmol/L(平均値:0.9mmol/L)、カルシウムイオン濃度は、4.2〜5.1mmol/L(平均値:4.65mmol/L)、総タンパク濃度は、6.7〜8.3g/100mL(平均値:7.5g/100mL)、アルブミン濃度は、4.1〜5.1g/100mL(平均値:4.6g/100mL)である。本発明では、患者の痛みを和らげるために採血する血液量が非常に少ない場合でも対象成分の測定を精度よく行うことが可能となる。採取した血液が微量の場合には、希釈液中に存在する「血液中に恒常的に存在する標準成分」の濃度を精度よく測定する必要がある。希釈倍率が高くなると、もともと血液中に存在する成分の希釈液中の濃度が低下し、希釈倍率によっては濃度測定時に、測定誤差を含む可能性がある。従って、微量な血液成分を希釈倍率高く希釈したときに、上記標準成分を十分に精度高く検出するためには、微量な血液中に高い濃度で存在する標準成分を測定することが好ましい。本発明では、血液検体中に恒常的に存在する成分の中でも高濃度に存在する、ナトリウムイオン(Na+)又は塩化物イオン(Cl-)を用いることが好ましい。更には、上述の血液中に恒常的に存在する標準成分の中でも血液中に存在する量が一番高いナトリウムイオンを測定することが最も好ましい。ナトリウムイオンは、平均値が標準値(基準範囲の中央値)を表し、その値は、142mmol/Lであり、血漿中の総陽イオンの90モル%以上を占める。
被検者の血液中における血漿成分の占有率は、容積の比率で約55%であるが、被検者の塩分摂取量の変化などで変動する。そのため、本発明の血液分析方法で対象成分を分析する場合は、血漿中に恒常的に存在する標準成分の標準値を用いて血漿の希釈倍率を決定し、決定された希釈倍率を用いて血液検体の血漿中の対象成分の濃度を分析する。この場合、血球の溶血がないか、溶血が存在しても無視できる程度に少ない場合において希釈倍率を決定する方法としては、血漿の希釈液中の外部標準物質(例えば、ナトリウムイオンなど)の測定値(濃度X)と、血液検体の血漿中に含まれる上記外部標準物質(例えば、ナトリウムイオンなど)の既知濃度値(濃度Y;ナトリウムイオンの場合には142mmol/L)とから、血液検体中の血漿成分の希釈倍率(Y/X)を算出することにより希釈倍率を求めることができる。この希釈倍率を用いて、血漿の希釈液中の対象成分の測定値(濃度Z)を測定し、この測定値に希釈倍率を掛け合わせることにより、実際に血液検体の血漿中に含まれる分析対象成分の濃度[Z×(Y/X)]を測定することが可能となる。
しかしながら、患者や被検者が、血液の希釈液から血球を分離する場合などに、血球、特に赤血球が破壊され、血液中に血球成分が溶出する、溶血の影響が無視できない場合がある。本発明は、このような場合についても精度よく測定対象物質を分析することが可能な血液分析方法である。本発明においては、溶血によって血漿中に溶出したヘモグロビン濃度と、血漿中の標準成分濃度の変化の関係を予め求めておき、この関係から、血球の崩壊により希釈倍率の計算に影響する、血漿希釈液中の標準物質濃度を補正する。上記のようにして希釈倍率を補正することにより、本発明においては、溶血した血液においても精度高く測定対象物質を分析することが可能となる。
血漿中の外部標準物質(例えば、ナトリウムイオンなど)は溶血した場合に変化する。ナトリウムイオンを例とすると、溶血した場合の溶血度(ヘモグロビン濃度(mg/dL))とナトリウムイオン濃度変化量(mmol/L)Xとの関係は、
式1: 濃度変化量(X)=−0.0482×溶血度(ヘモグロビン濃度(mg/dL))
で表すことができる。ここで、溶血度は、ナトリウムイオンの既知濃度値(Y)と、血漿を希釈液で希釈した後のヘモグロビンの測定濃度値(W)、血漿を希釈液で希釈した後のナトリウムイオン濃度測定値(V)を用いて、以下の式で近似できる。なお、既知濃度値(Y)の単位は、mmol/Lであり、ナトリウムイオン濃度測定値(V)の単位は、mmol/Lである。ヘモグロビンの測定濃度値(W)の単位は、mg/dLである。
式2: 溶血度 ≒ ヘモグロビンの測定濃度値(W)×(既知濃度値(Y)/ナトリウムイオン濃度測定値(V))
この溶血に応じた式1、及び式2から求めた濃度変化量(X)を用いて、溶血時の血漿中の外部標準物質の濃度値(Z)を既知濃度値(Y)と濃度変化量(X)の和で表すことができる。なお、溶血時濃度値(Z)の単位は、mmol/Lである。
式3: 溶血時濃度値(Z)=既知濃度値(Y)+濃度変化量(X)
従って、血漿と希釈液の混合液中の外部標準物質(例えば、ナトリウムイオンなど)の濃度測定値(V)と溶血時の外部標準物質の濃度値Zから、補正された希釈倍率が、以下の式により求めることができる。この補正された希釈倍率と、血漿と希釈液の混合液中の測定対象物質の濃度測定値とを掛け合わせることで、もともと血漿中に存在する、測定対象物質の濃度を精度よく求めることが可能となる。
式4: 補正された希釈倍率 = 溶血時濃度値(Z) / 濃度測定値(V)
ナトリウムイオン濃度及び塩化物イオン濃度は、例えば、炎光光度法、ガラス電極法、滴定法、イオン選択電極法、酵素活性法等により測定することができる。
ナトリウムイオンの測定ではナトリウムイオンにより酵素ガラクトシダーゼは酵素活性が活性化することから、緩衝液で希釈された非常に低濃度ナトリウムイオン試料を数μLで測定する酵素的測定法を用いることができる。この方法は生化学・免疫自動分析装置に適応でき、ナトリウムイオン測定のために別の測定機器を必要としない点で効率性が高く経済的である。また、標準物質として総タンパクの濃度を使用する場合には、総タンパクの測定法としては、ビューレット法や、紫外吸収法、ブレッドフォード法、ローリー法、ビシンコニン酸(Bicinchoninic Acid:BCA)法、蛍光法など公知の方法があり、測定試料の特性や感度、試料量などに応じて適宜使用する方法を選択することができる。
また、溶血による補正が正確に行われているか、血液の希釈と血漿の回収の方法が正常に行われているか確証するためには、血漿中の別の標準成分から独立に希釈倍率を追加的に求めて、その値が上で求めた希釈倍率と一致することを確認することが好ましい。一致するとは、2つの測定値(a,b)において、それらの差のそれらの平均値に対する割合、すなわち(a−b)/{(a+b)/2}×100が、20%以下であることであり、好ましくは10%以下であることであり、より好ましくは5%以下であることである。これにより、血液検体中の対象成分の濃度の分析が正常に行われていることの検証が可能となる。ここで、ナトリウムイオン又は塩化物イオン以外の血漿中に恒常的に存在する標準成分の例としては、総タンパク又はアルブミンから選択されることが好ましく、総タンパクであることがより好ましい。
〔血液中に存在しない標準成分〕
好ましい態様の一つとして、血液中に恒常的に存在する標準成分とともに、血液中に存在しない標準成分を希釈液中に用いて血液検体中の対象成分の濃度を分析し、血液中に恒常的に存在する標準成分から求めた希釈倍率の補正に使用することもできる。また、血液中に恒常的に存在する標準成分と共に希釈倍率を算出することも可能である。
血液中に存在しない標準成分は、キット中の希釈液(後述する。)に、所定の濃度になるように添加して用いることができる。血液中に存在しない標準成分としては、血液検体中に全く含まれないか、若しくは含まれていたとしても極微量である物質を使用することができる。血液中に存在しない標準成分としては、血液検体中の対象成分の測定に干渉を与えない物質、血液検体中の生体酵素の作用を受けて分解しない物質、希釈液中で安定な物質、血球膜を透過せず血球中に含まれない物質、緩衝液の保存容器に吸着しない物質、精度良く測定できる検出系が利用できる物質を用いることが好ましい。
血液中に存在しない標準成分としては、希釈液に添加した状態で長期間保管しても安定な物質が好ましい。血液中に存在しない標準成分の例としては、グリセロール三リン酸、アルカリ金属としてLi、Rb、Cs、又はFr、そしてアルカリ土類金属としてはSr、Ba、又はRaが挙げられ、これらの中で、Li及びグリセロール三リン酸が好ましい。
これらの血液中に存在しない標準成分は、血液希釈後の濃度測定時に第二の試薬を添加することで発色させ、その発色濃度から希釈血液中の濃度を求めることができる。例えば、希釈液に添加したリチウムイオンの測定は、キレート比色法(ハロゲン化ポルフィリンキレート法:パーフルオロ−5,10,15,20−テトラフェニル−21H,23H−ポルフィリン)を利用して生化学自動分析装置で大量試料を微量の試料で容易に測定できる。
この場合、血液中に恒常的に存在しない標準成分の希釈液中の濃度C1、血漿成分と希釈液を混合した混合液の血液中に恒常的に存在する標準成分の濃度C0とした場合、希釈倍率は、C1/(C1−C0)で求めることができる。
血液中に恒常的に存在する標準成分(外部標準成分ともいう)とともに、血液中に存在しない標準成分(内部標準成分ともいう)を用いて血液検体中の対象成分の濃度を分析するための血液検査キットを用いること、すなわち2つの標準成分を併用することで、より信頼性の高い分析が実現可能となる。
この場合、血液検体の成分の希釈率を、下記式5から8のいずれかの式で算出し、希釈液中の分析対象成分の濃度に、上記希釈率を乗じて血液検体の成分中の対象成分の濃度を分析することが好ましい。
上記式において、A、B、C、D、B’及びXは、以下のように定義される。
A : 内部標準成分を含む希釈液の測定吸光度
B : Aから血液検体の成分を希釈した希釈液の吸光度を差し引いた吸光度
C : 恒常性物質としてナトリウムイオン濃度が142mmol/Lである、測定された吸光度
D : 血液検体の成分を希釈した希釈液のナトリウムイオンの吸光度
B’ : 血漿ナトリウムの吸光度から算出した希釈倍率による、希釈血漿中の血液中に存在しない標準成分の吸光度の補正値
X : 血漿希釈倍数
希釈率を求める際のもう一つの算出方法として、二乗平均法を用いた式9で算出し、希釈液中の分析対象成分の濃度に、式9で算出した希釈率を乗じて血液検体の成分中の対象成分の濃度を分析する態様も好ましい。
血液検体の成分中の対象成分の濃度は、希釈液中の対象成分の濃度から、上記希釈倍率に基づいて算出できる。
〔希釈液〕
本発明の血液分析方法においては、希釈液を用いて採取した血液検体を希釈する。この血液検体を希釈するための希釈液は、血液中に恒常的に存在する標準成分を含有しない希釈液を用いる態様が好ましい。本明細書において「含有しない」とは、「実質的に含有しない」ことを意味する。ここで、「実質的に含有しない」とは、希釈倍率を求める時に使用する恒常性のある物質をまったく含まないか、あるいは含まれていたとしても、血液検体を希釈した後の希釈液の恒常性のある物質の測定に影響を及ぼさない程度の極微量の濃度で含まれる場合を意味する。血液中に恒常的に存在する標準成分として、ナトリウムイオン又は塩化物イオンを用いる場合には、希釈液としては、ナトリウムイオン又は塩化物イオンを実質的に含有しない希釈液を使用する態様が好ましい。
本発明においては、患者又は被検者が採血した血液検体を希釈した後、医療機関又は検査機関に輸送して対象成分の濃度を分析することができる。採血から分析までには長時間かかる可能性があることから、その間に、希釈液中における血液の対象成分の分解や変性を防止することが好ましい。血液のpHは、健常者では通常pH7.30〜7.40程度で一定に保たれている。従って、対象成分が分解や変性するのを防止するために、希釈液は、pH6.5〜pH8.0、好ましくはpH7.0〜pH7.5、更に好ましくはpH7.3〜pH7.4のpH域で緩衝作用を有する緩衝液であることが好ましく、希釈液は、pHの変動を抑える緩衝成分を含有する緩衝液であることが好ましい。
緩衝液の種類としては、酢酸緩衝液(Na)、リン酸緩衝液(Na)、クエン酸緩衝液(Na)、ホウ酸緩衝液(Na)、酒石酸緩衝液(Na)、Tris(トリス(ヒドロキシメチル)アミノエタン)緩衝液(Cl)、HEPES([2−[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル]エタンスルホン酸])緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水(Na)等が知られている。これらの中でpH7.0〜pH8.0付近の緩衝液としては、リン酸緩衝液、Tris緩衝液、HEPES緩衝液が代表的なものである。しかしながら、リン酸緩衝液はリン酸のナトリウム塩が含まれていること、Tris緩衝液は、解離pKaは8.08であるため、pH7.0〜pH8.0付近で緩衝能を持たせるためには通常は塩酸と組み合わせて使用されること、HEPESのスルホン酸の解離のpKaは7.55であるが、イオン強度一定での緩衝溶液を調整するため、通常は水酸化ナトリウムと塩化ナトリウムとHEPESの混合物が用いられることから、これらはpHを一定に保つ作用を有する緩衝液としては有用であるが、本発明において外部標準物質として用いることが好ましい物質であるナトリウムイオンあるいは塩化物イオンを含有するため、本発明への適用は好ましくない。
本発明のキットに含まれる希釈液としては、ナトリウムイオン又は塩化物イオンを含有しない緩衝液を用いることが好ましい。本発明で用いる希釈液は好ましくは、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(AMP)、2−エチルアミノエタノール、N−メチル−D−グルカミン、ジエタノールアミン、及びトリエタノールアミンからなる群から選択される少なくとも1種のアミノアルコール化合物、並びにGood’s緩衝液(グッドバッファー)でpKaが7.4付近の緩衝剤であるHEPESとも称する2−[4−(2−ヒドロキシエチル−1−ピペラジニル]エタンスルホン酸)(pKa=7.55)、TESとも称するN−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスルホン酸(pKa=7.50)、MOPSとも称する3−モルホリノプロパンスルホン酸(pKa=7.20)、及びBESとも称する(N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−アミノエタンスルホン酸(pKa=7.15)からなる群から選択される緩衝剤を含む希釈液である。上記の中でも、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(AMP)とHEPES、TES、MOPS又はBESとの組み合わせが好ましく、さらに、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(AMP)とHEPESとの組み合わせが最も好ましい。
上記緩衝液を調製するためには、アミノアルコールとGood’s緩衝液を1:2〜2:1、好ましくは1:1.5〜1.5:1、更に好ましくは1:1の濃度比で混合すればよい。緩衝液の濃度は限定されないが、アミノアルコール又はGood’s緩衝液の濃度は、0.1〜1000mmol/L、好ましくは、1〜500mmol/L、さらに好ましくは10〜100mmol/Lである。
緩衝液中には、分析対象成分を安定に保つことを目的にキレート剤、界面活性剤、抗菌剤、防腐剤、補酵素、糖類等が含有されていてもよい。キレート剤としては、エチレンジアミン四酢酸塩(EDTA)、クエン酸塩、シュウ酸塩等が挙げられる。界面活性剤としては、例えば、陽イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、両性界面活性剤又は非イオン界面活性剤が挙げられる。防腐剤としては、たとえば、アジ化ナトリウムや抗性物質等が挙げられる。補酵素としては、ピリドキサールリン酸、マグネシウム、亜鉛等が挙げられる。赤血球安定化剤の糖類としては、マンニトール、デキストロース、オリゴ糖等が挙げられる。特に、抗生物質の添加により、手指採血時に手指表面から一部混入する細菌の増殖を抑えることができ、生体成分の細菌による分解の安定化を図ることができる。
これらの緩衝液は血液に恒常的に存在する標準成分や内部標準物質を含まず、測定系に干渉を与えないことが重要である。また、これらの緩衝液で希釈された成分は生化学・免疫自動分析装置での種々の測定法でも測定に干渉しないこと、さらに血球が溶血をしないことや生体成分が37℃でも安定に保存できることが好ましい。
血液検体に全血を使用する場合には、希釈した血液中の血球成分をフィルターなどにより分離する必要から、緩衝液の浸透圧を血液と同等(285mOsm/kg(mOsm/kgは、溶液の水1kgが持つ浸透圧で、イオンのミリモル数をあらわす))又はそれ以上とすることにより血球の溶血を防止することができる。浸透圧は、対象成分の測定、及び血液中に恒常的に存在する標準成分の測定に影響しない塩類、糖類又は緩衝剤等により、等張に調整することができる。
〔希釈液の量、希釈倍率〕
血液検査として、肝機能、腎機能、メタボリズムなど、特定の臓器、特定の疾患を検査する場合には、臓器や疾患に特有の複数の測定対象成分の情報を入手して、臓器の状態、生活習慣の予測などを行うために、一般的には、複数の測定対象成分の分析が同時に行われる。例えば、肝臓の状態を検査するためには、一般的には、ALT(アラニントランスアミナーゼ)、AST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)、γ−GTP(γグルタミルトランスペプチダーゼ)、ALP(アルカリホスファターゼ)、総ビリルビン、総タンパク、アルブミン等、数種類以上もの物質の血液中の濃度が測定される。このように、複数の対象成分をいつの血液検体から測定するためには、再測定の可能性も考慮して、希釈された血液の量はある程度必要となる。従って、採取した血液を希釈する希釈液は、ある程度の量を確保することが重要である。キットにおける希釈液の量は、血漿の容量の4倍以上(すなわち希釈倍率は、血漿の容量の5倍以上)であることが好ましく、10倍以上がより好ましく、14倍以上が更に好ましい。例えば、採血量を50μLとすると、血液量中の血漿量の比が0.55の場合、血漿の容量は27.5μLと計算でき、希釈液が360μLであれば、希釈倍率は14倍となる。なお、血漿を基準とした場合の希釈倍率から、計算で求めた血漿量をR、希釈液量をSとすると、(R+0.55×S)/Rを求めることにより、血液検体を基準とした希釈倍率が概算できる。血液分析に使用する希釈液の量は、血液検体の容量に対しては2.7倍以上であることが好ましく、6.0倍以上であることがより好ましく、8.2倍以上が更に好ましい。
〔血液検体の希釈物から血漿を分離回収するための分離器具〕
本発明の血液分析方法のために採取された血液検体は、分析が行われるまで、希釈された状態で長時間経過する可能性がある。その間に、例えば赤血球の溶血が起こると、血球内に存在する物質や酵素などが血漿あるいは血清中に溶出して検査結果に影響を与えたり、溶出したヘモグロビンが有する吸収により、分析対象成分の光学的な吸収などの光情報で分析対象成分量を測定する場合に影響を及ぼす可能性がある。本発明は、溶血時でも補正により精度良く対象物質の測定を可能にするものであるが、誤差の原因を少なくするために、溶血の度合いを極力小さく抑えることが好ましい。そのため、血液検体の希釈物から血漿を分離回収するための分離器具を血液検査キットに含む態様が好ましい。分離器具の好ましい例は、分離膜である。分離膜は、例えば血液検体の希釈液に圧力を加えることによって、血球成分は分離膜で捕獲し、血漿成分を通過させて、血球を分離して血漿成分を回収するように用いることができる。この場合、抗凝固剤を用いることが好ましい。また、測定の精度を確保するために、分離膜を通過した血漿が血球側へ逆流しないことが好ましく、そのためには具体的には、特開2003−270239号公報に記載の、逆流防止手段をキットの構成要素とすることができる。
[2]血液検査キット
本発明の血液分析方法は、好ましくは、血液検体を希釈するための希釈液と、希釈された血液検体から血漿成分を回収するための分離手段と、希釈された血液検体から回収された血漿成分を収容するための容器とを含む血液検査キットを用いることによって行うことができる。
血液検査キットは、より好ましくは、血液を採取する採取器具、希釈液が収容された第一の収容器具、希釈された血液検体から血漿を分離回収するための分離器具、分離器具を保持するための保持器具、希釈された血液検体から回収された血漿を収容するための第二の収容器具を含むものである。
血液検査キットは、さらに好ましくは、上記に加えて、収容した血漿を第二の収容器具内に維持するための封止器具を含むものである。
本発明の血液検査キットの一例としては、血液検体の成分を希釈するための希釈液、希釈液が収容された第一の収容器具、希釈液で希釈された血液検体から血漿を分離回収するための分離器具、分離器具を保持するための保持器具、回収した血漿を収容するための第二の収容器具、収容した血漿を第二の収容器具内に維持するための封止器具、皮膚に傷をつけて血液を皮膚外に染み出させる針又はランセット、傷に貼る絆創膏又は消毒部材(例えば、イソプロパノール(70%イソプロパノールなど)又はエタノールなどを含浸させた不織布)、及び取扱説明書、等を備えることができる。希釈された血液検体から血漿成分を回収するための分離器具としては、分離膜である態様が好ましく、血球成分を分離可能な細孔を有するフィルタがより好ましい。
第一の収容器具、及び第二の収容器具は、1つの器具を第一の収容器具及び第二の収容器具として兼用してもよいし、別々の器具を備える態様であってもよい。収容器具内にある血液を希釈した希釈液を、患者、あるいは、希釈倍率の測定や分析対象成分の分析を行う測定者に確認可能とするために、第一の収容器具、及び第二の収容器具は、透明な素材でできていることが好ましい。
分離器具を保持する保持器具は、ガスケットである態様が好ましい。また、封止器具としては、収容器具が筒状の形状をした器具などの場合には、開口に蓋をすることが可能なキャップや、螺旋状の溝を有する蓋、あるいはゴム栓などを使用することができる。
上記の構成により、希釈液により血液を希釈した後に、直ちに血漿血球分離する機能を血液と希釈液の混合容器に付与することにより、血液成分の安定性と血球細胞からの溶血による成分の変動の影響を排除し、血液採取後の試料の安定性を付与できる。
本発明の血液分析方法では、100μL以下の採血量であっても、測定精度よく分析対象成分を分析できる方法を実現可能とするものであり、血液分析用の血液検査キットには、患者に、100μL以下の少ない採血量でも精度よく測定することが可能であること等の情報が記載された取り扱い説明書を含むことが好ましい。
〔血液検査キットの具体例〕
好ましい態様の一つにおいて、血液分析用の血液検査キットは、希釈液、希釈液が収容された第一の収容器具(血液検体の希釈物を収容するための収容器具でもある。)、希釈液で希釈された血液検体から血漿を分離回収するための分離器具、分離器具を保持するための保持器具、回収した血漿を収容するための第二の収容器具、及び収容した血漿を第二の収容器具内に維持するための封止器具を含む。具体的な器具としては、例えば、特許第3597827号公報の図1から図13に記載された器具を使用することができる。特許第3597827号公報の図1を、本願の図1として援用する。
血液分離器具1は採血容器2(希釈液が収容された収容器具、第一の収容器具ということもある。血液検体の希釈物を収容するための収容器具でもある。)と、採血容器2に嵌挿可能な筒体3(回収した血漿を収容するための第二の収容器具)と、筒体3に冠着可能なキャップピストン4と、キャップピストン4の下端に設けられた密閉蓋5(封止器具)とを備え、使用前は、図1に示すように、採血容器2の上端開口部はキャップ6によりパッキン7を介して密閉されている。本発明における希釈された血液検体を収容するための収容器具は、図1の構成においては、採血容器2と筒体3の組み合わせに対応する。すなわち、希釈された血液検体を収容するための収容器具は1個でも2個以上の組み合わせでもよい。
採血容器2は透明な材質製で円筒状を成し、その上端部には、外面に螺子部8が形成され、内面に係止部9が突設されている。また、採血容器2の下端部には、逆円錐状の底部10が形成され、底部10の周囲に円筒状の脚部11が形成されている。脚部11は、血液の分析検査時に使用するサンプルカップと同一外径を有しており、好ましくは、その下端の対向する位置にそれぞれ鉛直方向にスリット溝12が形成されている。さらに、採血容器2内には、図1に示されているように、所要量、例えば、500mm3の希釈液13が予め入れられていてもよい。
筒体3は透明な材質製で円筒状を成し、その上端部には拡径部14が形成されている。拡径部14は薄肉部15を介して本体部16と接続されている。筒体3の下端部には、縮径部18が形成され、縮径部18の内面には係止突起部19が形成されている。さらに、縮径部18の下端部には外鍔部20(保持器具)が形成され、外鍔部20の下端開口部は濾過膜21(分離器具)により覆われ、濾過膜21は血液中の血漿の通過を許容し、血球の通過を阻止するようになっている。
縮径部18の外周にはシリコンゴム製のカバー22が装着されている(図1)。
キャップピストン4は、略円筒状の摘み部26と、摘み部26と同心で下方に延びる心棒部27とで構成されている。摘み部26の内側上端部には筒体3の拡径部14が嵌合可能な円筒状の空間28が形成され、また、その下方は螺刻され、螺子に螺合可能となっている。心棒部27はその下端部29がピン状に形成され、下端部29に密閉蓋5が着脱可能に設けられている(図1参照)。密閉蓋5はシリコンゴム製である。
血液検体の希釈物からの血漿の分離回収操作は、具体的には、次のように行う。希釈液を収容する採血容器2に、採取した血液を投入した後、採血容器2の上部を持って泡立てないように注意しながら血液と希釈液とを十分に振り混ぜる。次に、濾過膜21を保持する筒体3(血漿、血球分離時のシリンダ側面への回りこみによる液漏れを防止)を濾過膜が下になるように採血容器2に差し込み、ゆっくりと一定のスピードで採血容器2の底面まで濾過膜を押し下げる。このとき、筒体3の濾過膜を通って血漿が上部に上がり、血球は採血容器2の下部に残る。その後、キャップピストン4を筒体3にゆっくりと差し込んで、密閉栓5により逆流による血漿と血球の混合を防止する。
上記した器具による血液分離方法の詳細は、特許第3597827号公報の段落番号0023〜0026並びに図12及び図13に記載されており、その内容は本明細書に引用される。
本発明の血液分析用の血液検査キットに含まれる各々の要素の個数は特に限定されず、各々1個でもよいし、2個以上の複数でもよい。
本発明の血液分析用の血液検査キットに含まれる部材の材料は、破損しにくさ、衛生面、価格等の観点から、合成樹脂であることが好ましい。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂(ABS樹脂)、アクリロニトリルスチレン樹脂(AS樹脂)、アクリル樹脂(PMMA)、ポリカーボネート、シリコーン樹脂等が挙げられる。
本発明の血液分析用の血液検査キットは、種々の部材のすべてを、収納容器に収納した形態として提供することができる。本発明の血液分析用の血液検査キットに使用される部材は、プラスチック、ガラス又はゴムを素材とするものでよい。
[3]その他
本発明はまた、本明細書の上記[1]及び[2]で説明した構成の血液検査キットを用いた血液分析方法を提供する。血液分析方法は、ヒトに対する医療行為(医師が行う行為)である態様とヒトに対する医療行為ではない態様(例えば、採血者が患者自身であり、かつ分析者が医師以外の者である態様、非ヒト動物に対する態様、等)が含まれる。本発明の血液分析方法は、対象者自身が血液を採取する自己採血で実施してもよいし、医師等の有資格者が注射器を使用して血液を採取する一般採血においても実施してもよい。好ましい態様としては、患者本人が、ランセットなどのナイフ付の器具を用いて指先などを傷つけて皮膚外に滲み出た血液を採取する。
本発明の血液分析方法の対象となる生体試料は血液であり、血液とは、血清又は血漿を含む概念である。血液の起源はヒトに限定されず、ヒト以外の動物(非ヒト動物)である哺乳類、鳥類、魚類等であっても良い。ヒト以外の動物としては、例えば、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、イヌ、ネコ、マウス、クマ、パンダ等が挙げられる。好ましくは、生体試料の起源はヒトである。
本発明の血液分析を行う場合、分析の対象成分は限定されず、血液中に含まれるあらゆる物質が対象となる。例えば臨床診断に用いられる血液中の生化学検査項目、腫瘍マーカーや肝炎のマーカー等各種疾患のマーカー等が挙げられ、タンパク質、糖、脂質、低分子化合物等が挙げられる。また、測定は物質濃度だけでなく、酵素等の活性を有する物質の活性も対象となる。各対象成分の分析は、公知の方法で行うことができる。
以下、本発明の実施例について説明する。
(希釈液の調製)
希釈液−1を以下の組成で調製した。浸透圧は、OSMOATAT OM−6040(アークレイ(株)社製)を用いて測定した値を表示した。浸透圧の単位は、溶液の水1kgが持つ浸透圧で、イオンのミリモル数をあらわす。
HEPES 50mmol/L
2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(AMP) 50mmol/L
D−マンニトール 284mmol/L
塩化リチウム 1mmol/L
EDTA−2K 0.8mmol/L
PALP(ピリドキサールリン酸) 0.05mmol/L
チアベンダゾール 0.0001質量%
アミカシン硫酸塩 0.0003質量%
硫酸カナマイシン 0.0005質量%
メロペネム三水和物 0.0005質量%
浸透圧 355mOsm/kg
pH 7.4
(ナトリウム濃度の測定)
上記で調製した希釈液のナトリウム濃度の測定には、β−ガラクトシダーゼがナトリウムで活性化することを利用し、それぞれの希釈液中のナトリウム濃度とβ−ガラクトシダーゼ活性が比例関係にあることを利用した酵素活性法により行った。具体的には、ナトリウムイオンを含まない精製水で上記のように濾過した希釈液−1を5倍希釈した後、3μLを秤量し下記のように調製した第一試薬52μLを加えて、37℃で5分間加温し、下記のように調製した第二試薬を26μL加え、1分間の吸光度の変化をJCA−BM6050型生化学自動分析装置(日本電子(株)社製)を用いて主波長410nm、副波長658nmで吸光度を測定することにより求めた。あらかじめ作成した検量線から、ナトリウムの濃度を測定した。
(ナトリウム測定試薬の調製)
以下の組成のナトリウム測定試薬を調製した。
第一試薬
HEPES・LiOH(pH8.0) 100mmol/L
D−マンニトール 60mmol/L
N−アセチルシステイン 30mmol/L
硫酸マグネシウム 1.52mmol/L
β−ガラクトシダーゼ 1.1kU/L
TritonX−100 0.05質量%
第二試薬
HEPES・LiOH(pH8.0) 100mmol/L
o−Nitrophenyl−β−D−Galactpyranoside 15mmol/L
(血漿希釈混合液中の総タンパク濃度の測定)
ビューレット法を測定原理とする測定を行った。ビウレット試薬:3.0mmol/L硫酸銅 400μL、酒石酸カリウムナトリウム 21.3mmol/L、NaOH 0.75mol/Lを準備し、希釈した血漿と混合した。混合後、37℃で10分間放置して、アルカリ性下で血漿中のタンパクと銅イオンによる540〜560nmの青紫色を呈する錯体が形成されるまで待ち、545nmで吸光度を測定し、標準溶液の吸光度から得た検量線を用いて血漿希釈混合液中の総タンパク濃度を定量した。
1.サンプル作製
デメカルキット(株式会社リージャー社製)を用いて、上記で調製した希釈液と、希釈倍率が8.8倍となるように採血した血液を計量して混合し、希釈血漿作成時に行う分離作業のシリンダーを素早く押したサンプルと5秒以上かけてゆっくりと押したサンプルを作成し、溶血を強制的に起こした試料と溶血を極力抑えた試料を調製した。このように調製した2つのサンプルを種々の比率で混合することで、5種類の溶血度が異なるサンプルを作成した。この5種類のサンプルに対して、7180形日立自動分析装置で、ヘモグロビン定量試薬を用いて、ヘモグロビン濃度(mg/dL)を定量することで溶血度の測定を行った。このヘモグロビン濃度(mg/dL) を溶血度とした。自動分析装置と測定試薬を用いた評価は添付文書、取扱説明書に沿って実施した。
2.標準成分の溶血度の影響による標準成分の正確度変動
血液中に存在する標準成分として、総タンパク(TP)、ナトリウムイオン(Na)、カリウムイオン(K)を用いて、上記のように作製した5種類の溶血度が異なるサンプルに対して、8.8倍の希釈倍率を用いて、希釈していない状態のNa濃度、K濃度、TP濃度を求めた。横軸にヘモグロビンの溶血度、縦軸にそれぞれの濃度をプロットした図を図2及び図3に示した。このように、溶血度に応じてそれぞれの含有濃度値が変動することが分かる。血漿と希釈液の混合液中での標準成分の濃度溶血時に高くなった場合、みかけの希釈倍率は低くなり、逆に標準成分の濃度が低くなった場合、みかけの希釈倍率は高くなる。
3.総タンパクを標準成分とした場合の補正
1.で調製した5種類の溶血度が異なるサンプルを7180形日立自動分析装置により上述したTP濃度測定試薬を用いてTP濃度を測定し、希釈倍率8.8を用いて、それぞれのサンプルの血漿中のTP濃度を算出した。算出したTP濃度は標準成分と同じ値になるべきであるが、溶血度に応じて血漿中のTP濃度が高い値となった。これは、溶血により血漿中のTP濃度が高まる結果を反映している。従って、溶血のない血漿中のTP濃度値(測定値が算出されない場合は、標準値)と、血漿と希釈液の混合液中でのTP濃度の測定値を用いて、以下の式のように希釈倍率を求める場合には、溶血度に応じて、血漿と希釈液の混合液中のTP濃度測定値(A)が高くなるため、(表1)に示したように見かけの希釈倍率は低くなった。
式10: 見かけの希釈倍率 = 溶血のない血漿中TP濃度値/TP濃度測定値(A)
溶血のない血漿中TP濃度値及びTP濃度測定値(A)の単位は、g/dLである。
ここで、下記に示すように、溶血により増加した総タンパクの増加分を用いて、血漿中の総タンパク濃度を補正した。この補正は、2.で求めた、溶血度(ヘモグロビン濃度(mg/dL))と、血漿希釈液中のヘモグロビン測定濃度(U)を用いて、下記の式から算出した。
式11: 補正TP濃度=
(溶血のない血漿中のTP濃度値)−
(ヘモグロビン測定濃度(U))×(希釈倍率)×0.0041
(式11中、0.0041は溶血度とTP量の傾きを表す)
補正TP濃度の単位は、g/dLである。
この補正TP濃度と、TP濃度測定値(A)を用いて、5つのサンプルについてそれぞれ希釈倍率を以下の方法により算出した。
式12: 補正後希釈倍率 = 補正TP濃度/TP濃度測定値(A)
補正後の希釈倍率の算出結果を、表1に記載した。図2に示した溶血度と溶血に応じたTP濃度の関係を使って混合液中の測定されたTP濃度を補正することで補正後の希釈倍率は一定にできることが確認された。
4.総コレステロール(TC)の補正結果
1.で用いた5つの溶血度が異なるサンプルを用いて、分析対象成分として総コレステロール(TC)を、7180形日立自動分析装置及び総コレステロール(TC)測定試薬を用いて測定した。3.と同様に、溶血補正前の総コレステロール濃度の算出には、測定値に3.で得られた見かけの希釈倍率の値を掛けて算出した。溶血補正後の総コレステロール濃度の算出には、3.で得られた補正後希釈倍率を用いて算出した。算出した結果を表1に示した。溶血補正を行わない場合には、溶血度に応じて測定値が低下してしまい、溶血度が高い場合は誤差が大きく基準範囲下限を下回ってしまうが、溶血度により希釈倍率を補正することによって、溶血度の影響を受けない結果が得られた。図4に、溶血補正有無での、溶血度に対するTC濃度の変化のプロットを示した。補正を行うことで、溶血度にかかわらず、TC濃度が変化しないことが分かる。
5.ナトリウムを標準成分にした場合
1.で用いた5種類の溶血度が異なるサンプルに含まれるナトリウムの測定には、7180形日立自動分析装置を用いて、上記のように調製したナトリウム測定試薬を使用して測定した。3.と同様に、溶血補正前のNa濃度の算出には、Na濃度測定値に、3.で用いた8.8倍の希釈倍率の値を掛けて算出した。算出した値(Na測定値)を表2に示した。算出したNa濃度は標準成分と同じ値になるべきであるが、溶血度に応じて血漿中のNa濃度が低い値となった。これは、溶血により血漿中のNa濃度が低下する結果を反映している。従って、溶血のない血漿中のNa濃度値(測定値が算出されない場合は、標準値)と、血漿と希釈液の混合液中でのNa濃度の測定値を用いて、以下の式のように、希釈倍率を求める場合には、溶血度に応じて、血漿と希釈液の混合液中のNa濃度測定値(B)が低くなるため、表2に示したように見かけの希釈倍率は高くなった。
式13: みかけの希釈倍率 = 溶血のない血漿中のNa濃度値/Na濃度測定値(B)
溶血のない血漿中のNa濃度値及びNa濃度測定値(B)の単位は、mmol/Lである。
ここで下記に示すように、溶血により減少したNa濃度の減少分を用いて、血漿中のNa濃度を補正した。この補正は、2.で求めた、溶血度(ヘモグロビン濃度)と、血漿希釈液中のヘモグロビン測定濃度(U)を用いて、下記の式から算出した。
式14: 補正Na濃度 =
(溶血のない血漿中のNa濃度値)+
(ヘモグロビン測定濃度(U))×(希釈倍率)×0.0482
(式14中の0.0482は図3で求めた溶血度とNa量の傾きを表す)
補正Na濃度の単位は、mmol/Lである。
この補正Na濃度と、Na濃度測定値(B)を用いて、5つのサンプルについてそれぞれ希釈倍率を以下の方法により算出した。
式15: 補正後希釈倍率 = 補正Na濃度/Na濃度測定値(B)
補正後の希釈倍率の算出結果を、表2に記載した。図3に示した溶血度と溶血に応じたNa濃度の関係を使って混合液中の測定されたNa濃度を補正することで補正後の希釈倍率は一定にできることが確認された。
6.クレアチニン(CRE)の補正結果
1.で用いた5つの溶血度が異なるサンプルを用いて、分析対象成分としてクレアチニン(CRE)を、7180形日立自動分析装置及びクレアチニン(CRE)測定試薬を用いて測定した。3.と同様に、溶血補正前のCRE濃度の算出には、測定値に5.で得られた見かけの希釈倍率の値を掛けて算出した。溶血補正後のCRE濃度の算出には、5.で得られた補正後希釈倍率を用いて算出した。算出した結果を表2に示した。溶血補正を行わない場合には、溶血度に応じて測定値が上昇してしまい、溶血度が高い場合は誤差が大きく基準範囲上限を上回ってしまうが、溶血度により希釈倍率を補正することによって、溶血度の影響を受けない結果が得られた。図5に、溶血補正有無での、溶血度に対するCRE濃度の変化のプロットを示した。補正を行うことで、溶血度にかかわらず、CRE濃度が変化しないことが分かる。
1 血液分離器具
2 採血容器
3 筒体
4 キャップピストン
5 密閉蓋
6 キャップ
7 パッキン
8 螺子部
9 係止部
10 底部
11 脚部
12 スリット溝
13 希釈液
14 拡径部
15 薄肉部
16 本体部
18 縮径部
19 係止突起部
20 外鍔部
21 濾過膜
22 カバー
26 摘み部
27 心棒部
28 空間
29 下端部
31 段差部
33 上端部
34 頂部

Claims (7)

  1. 採取された血液検体を希釈液で希釈する工程と、
    血液中に恒常的に存在する標準成分の標準値を用いて希釈倍率を決定する工程と、
    血液検体中の分析対象成分の濃度を分析する工程と、
    を含む、分析対象成分の濃度を測定する血液分析方法であって、
    前記血液検体中の溶血量を測定し、
    前記測定した溶血量に応じて前記希釈倍率を補正し、
    前記補正した希釈倍率を用いて前記分析対象成分の濃度を分析する、血液分析方法。
  2. 前記血液分析方法が、
    血液検体を希釈するための希釈液と、
    希釈された血液検体から血漿成分を回収するための分離手段と、
    希釈された血液検体から回収された血漿成分を収容するための容器と、
    を含む血液検査キットを用いることによって行われる、請求項1に記載の血液分析方法。
  3. 前記希釈液が、血液中に存在しない標準成分を含み、前記血液検査キットが、前記の血液中に存在しない標準成分を用いて血液検体中の分析対象成分濃度を分析するための血液検査キットである、請求項2に記載の血液分析方法。
  4. 前記血液検査キットを用いて、希釈された血液検体から血漿成分を回収し、回収した血漿成分中、恒常的に存在する前記標準成分を用いて、希釈された血液検体の希釈倍率を決定し、血液検体中の分析対象成分の濃度を分析する、請求項2又は3に記載の血液分析方法。
  5. 前記希釈液が、血液中に存在しない標準成分を含み、前記血液検査キットが、前記の血液中に存在しない標準成分を用いて、希釈された血液検体の希釈倍率を決定し、血液検体中の分析対象成分濃度を分析する、請求項2から4の何れか一項に記載の血液分析方法。
  6. 前記血液中に恒常的に存在する標準成分がナトリウムイオン、塩化物イオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、総タンパクおよびアルブミンから選択される少なくとも一つの物質である、請求項1から5の何れか一項に記載の血液分析方法。
  7. 血液検体を希釈するための希釈液と、
    希釈された血液検体から血漿成分を回収するための分離手段と、
    希釈された血液検体から回収された血漿成分を収容するための容器と、
    を含む、請求項1から6の何れか一項に記載の血液分析方法において使用するための血液検査キット。
JP2016255675A 2016-12-28 2016-12-28 血液分析方法及び血液検査キット Active JP6789109B2 (ja)

Priority Applications (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016255675A JP6789109B2 (ja) 2016-12-28 2016-12-28 血液分析方法及び血液検査キット
EP17887217.2A EP3564666A1 (en) 2016-12-28 2017-12-28 Blood analysis method and blood test kit
CN201780080172.6A CN110114670B (zh) 2016-12-28 2017-12-28 血液分析方法及血液检查试剂盒
PCT/JP2017/047202 WO2018124273A1 (ja) 2016-12-28 2017-12-28 血液分析方法及び血液検査キット
US16/454,064 US11442070B2 (en) 2016-12-28 2019-06-27 Blood analysis method and blood test kit

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016255675A JP6789109B2 (ja) 2016-12-28 2016-12-28 血液分析方法及び血液検査キット

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018105831A true JP2018105831A (ja) 2018-07-05
JP6789109B2 JP6789109B2 (ja) 2020-11-25

Family

ID=62709572

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016255675A Active JP6789109B2 (ja) 2016-12-28 2016-12-28 血液分析方法及び血液検査キット

Country Status (5)

Country Link
US (1) US11442070B2 (ja)
EP (1) EP3564666A1 (ja)
JP (1) JP6789109B2 (ja)
CN (1) CN110114670B (ja)
WO (1) WO2018124273A1 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2023136251A1 (ja) * 2022-01-13 2023-07-20 株式会社Provigate 血液試料を検査する方法

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6350743A (ja) * 1986-08-20 1988-03-03 Hitachi Ltd 溶血のある血液試料の分析方法
JP2001221794A (ja) * 1999-12-01 2001-08-17 Srl Inc 血清分離シートを使用した血液検体の生化学的検査
JP2001330603A (ja) * 2000-05-18 2001-11-30 Arkray Inc 定量分析法
JP2016118565A (ja) * 2014-07-25 2016-06-30 株式会社リージャー 希釈生体試料成分の分析方法(外部標準法)

Family Cites Families (29)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS597827B2 (ja) 1977-05-23 1984-02-21 東レ株式会社 親水化処理剤
JPS596604B2 (ja) 1979-10-29 1984-02-13 三菱農機株式会社 田植機における株間一定装置
FR2528939A1 (fr) 1982-06-17 1983-12-23 Applic Gaz Sa Robinet a gaz couple a un systeme piezo-electrique et appareils a gaz incorporant un tel robinet
JPS59168371A (ja) * 1983-03-16 1984-09-22 Hitachi Ltd 血液生化学成分の分析方法およびその装置
US5296347A (en) * 1991-02-08 1994-03-22 Ciba Corning Diagnostics Corp. Bridge immunoassay
EP0574267A3 (en) * 1992-06-12 1994-08-24 Gen Probe Inc Preparation of nucleic acid from blood
DE4427492A1 (de) * 1994-08-03 1996-02-08 Boehringer Mannheim Gmbh Verfahren zur Analyse einer medizinischen Probe unter Vermeidung von Störbeiträgen aufgrund von Hämolyse
JP2001074748A (ja) * 1999-09-08 2001-03-23 Arkray Inc グリコヘモグロビンの分析方法および装置
US6936473B2 (en) 2000-01-05 2005-08-30 Leisure, Inc. Method of preparing a biological sample for quantification
US20030027347A1 (en) * 2001-05-25 2003-02-06 Phyllis Shapiro Automated method for correcting blood analysis parameter results affected by interference from exogenous blood substitutes in whole blood, plasma, and serum
US20030068822A1 (en) * 2001-09-28 2003-04-10 Merrit Jacobs Hemoglobin assay calibration and control
US7323144B2 (en) * 2002-03-18 2008-01-29 Leisure, Inc. Apparatus for separating biological sample and separating method of the same
US20070054404A1 (en) * 2005-09-08 2007-03-08 Beckman Coulter, Inc. Method of hemoglobin correction due to temperature variation
EP2202516B1 (en) 2007-09-27 2014-07-30 Sysmex Corporation Reagent kit for sample analysis and sample analysis method
EP2205147A1 (en) * 2007-10-10 2010-07-14 Optiscan Biomedical Corporation Fluid component analysis system and method for glucose monitoring and control
JP2009109196A (ja) 2007-10-26 2009-05-21 Panasonic Corp 希釈倍率導出方法、定量方法、及び分析装置
JP2009122082A (ja) 2007-11-13 2009-06-04 Seiri Kagaku Kenkyusho:Kk 血液希釈定量器具
JP5812701B2 (ja) * 2010-06-23 2015-11-17 アークレイ株式会社 血漿グルコース測定方法
EP2400034B1 (en) * 2010-06-23 2016-08-24 ARKRAY, Inc. Diluent for preparing analytical sample
JP5588336B2 (ja) * 2010-12-17 2014-09-10 株式会社堀場製作所 血液分析装置及び血液分析方法
JP5906604B2 (ja) * 2011-08-11 2016-04-20 東洋紡株式会社 全血検体の成分測定方法
JP6103776B2 (ja) * 2012-03-29 2017-03-29 積水メディカル株式会社 ヘマトクリット値の測定方法
US20140058232A1 (en) * 2012-08-24 2014-02-27 Meditasks, Llc Dilution guided correction (dgc) method and apparatus for adjusting noninvasively measured total hemoglobin measurements and method for evaluating hydration state of a subject using the same
JP5903017B2 (ja) 2012-09-20 2016-04-13 東亜ディーケーケー株式会社 定量方法、定量装置及び定量用キット
JP6350743B2 (ja) * 2015-04-07 2018-07-04 住友電装株式会社 グロメットおよびワイヤハーネス
CN107923902A (zh) * 2015-07-06 2018-04-17 富士胶片株式会社 血液检查试剂盒及血液分析方法
JP6518630B2 (ja) * 2015-07-06 2019-05-22 富士フイルム株式会社 血液検査キット及び血液分析方法
KR20180016513A (ko) * 2015-07-06 2018-02-14 후지필름 가부시키가이샤 혈액 검사 키트, 및 그것을 이용한 분석 방법
CN108027359A (zh) * 2015-07-06 2018-05-11 富士胶片株式会社 血液检查试剂盒、其部件及它们的制造方法

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6350743A (ja) * 1986-08-20 1988-03-03 Hitachi Ltd 溶血のある血液試料の分析方法
JP2001221794A (ja) * 1999-12-01 2001-08-17 Srl Inc 血清分離シートを使用した血液検体の生化学的検査
JP2001330603A (ja) * 2000-05-18 2001-11-30 Arkray Inc 定量分析法
JP2016118565A (ja) * 2014-07-25 2016-06-30 株式会社リージャー 希釈生体試料成分の分析方法(外部標準法)

Non-Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
OSAWA,S. ET AL.: "B-257 Development of an assay for measuring biochemical parameters in 65-μL fingertip blood samples", 68TH AACC ANNUAL SCIENTIFIC MEETING ABSTRACTS, JPN6018012860, August 2016 (2016-08-01), pages 231, ISSN: 0004245691 *
大澤進 他: "家庭でできる臨床検査技術と検査データの配信方法", 日本臨床検査自動化学会会誌, vol. 41, no. 2, JPN6018012861, 2016, pages 154 - 160, ISSN: 0004245692 *

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2023136251A1 (ja) * 2022-01-13 2023-07-20 株式会社Provigate 血液試料を検査する方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP6789109B2 (ja) 2020-11-25
CN110114670B (zh) 2020-07-24
CN110114670A (zh) 2019-08-09
EP3564666A4 (en) 2019-11-06
US11442070B2 (en) 2022-09-13
US20190317112A1 (en) 2019-10-17
EP3564666A1 (en) 2019-11-06
WO2018124273A1 (ja) 2018-07-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US10823745B2 (en) Blood test kit and blood analysis method
US10697870B2 (en) Blood test kit and analyzing method using the same
US20190313958A1 (en) Blood test kit and blood analysis method
WO2017006963A1 (ja) 血液検査キット、及びそれを用いた分析方法
WO2017006962A1 (ja) 血液検査キット及び血液分析方法
US10788478B2 (en) Blood test kit, member thereof, and method for manufacturing the same
US10634661B2 (en) Blood analysis method and blood test kit
US10739361B2 (en) Blood analysis method and blood test kit
JP6789108B2 (ja) 血液分析方法及び血液検査キット
WO2018124273A1 (ja) 血液分析方法及び血液検査キット
US11179081B2 (en) Blood analysis method and blood test kit
WO2017006964A1 (ja) 血液検査キット、その部材及びそれらの製造方法
WO2017006965A1 (ja) 血液分析方法及び血液検査キット

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190227

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200407

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20200605

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200731

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20201006

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20201102

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6789109

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250