JP2001221794A - 血清分離シートを使用した血液検体の生化学的検査 - Google Patents

血清分離シートを使用した血液検体の生化学的検査

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JP2001221794A
JP2001221794A JP2000365484A JP2000365484A JP2001221794A JP 2001221794 A JP2001221794 A JP 2001221794A JP 2000365484 A JP2000365484 A JP 2000365484A JP 2000365484 A JP2000365484 A JP 2000365484A JP 2001221794 A JP2001221794 A JP 2001221794A
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blood
sample
serum
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amount
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JP2000365484A
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Hitoshi Kobayashi
均 小林
Yasue Hagiwara
恭恵 萩原
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 少量あるいは微量の血液を濾紙に付着あるい
は吸着させるという方法に準じた手法で、血液検体試料
を得て、当該試料を用いて生化学的検査を行い、信頼性
があり、且つ確実な臨床検査に利用できる測定を行う。 【解決手段】 血液検体の生化学的検査において、血清
分離シートから溶出した検体試料を使用して測定を行う
ことにより、血球などの測定を妨害する物質を有効に排
除しつつ、簡単に血清成分を使用しての測定を可能にす
ることができ、且つ定量測定も可能である。GOT, GPT,
γ-GTP, T-Cho(総コレステロール), HDL(HDLコレステロ
ール), TG(トリグリセライド), UA(尿酸), BUN (尿素窒
素), Cre (クレアチニン) などの生化学的検査を、簡単
な操作で行うことができ、また信頼性があり且つ正確な
結果を得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、少量の血液検体の
生化学的検査において、血清分離シートから溶出した検
体試料を使用して測定を行うことを特徴とする血液検体
測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】血液を検体として使用して、そこに含ま
れる成分を分析検査測定することは、例えば臨床医学、
法医学、環境汚染のチェックあるいはそれらに関連した
その他の領域といった分野で広く行われている。最近で
は、生活習慣病のチェック、例えば糖尿病、コレステロ
ール値、肝機能、腎機能、痛風などに関連した検査を行
い、病気の事前の予防や生活習慣の改善に資する目的
で、簡単且つプライバシーを保護しながら、定常的に検
査を行うことが求められている。しかしながら、通常、
血液成分の検査をする場合には、医師又は看護婦等によ
り上腕の静脈から注射器で3〜10 ml の血液を採取し
(普通には、10 ml の血液を採取する)、こうして採血
された血液を遠心分離機を用いて処理して、検査材料で
ある血清や血漿を得ていることから、このような採血法
では、個人が簡単に採血するというわけにもいかず、必
ず医療機関で医師や看護婦等により行う必要がある。さ
らに、注射器で採血する方法では、患者などの負担が大
きく、より少量の血液を得るだけで済ます方法の開発が
求められている。したがって、個人の責任で、ほんの少
量の血液を簡便に採取しうる方法並びにそうした血液検
体を使用しての検査方法の確立が求められている。
【0003】また、上記のような注射器を使用した採血
法では得られたサンプルは液体であるため取り扱いが面
倒であるし、その輸送にも特別な配慮が要求され、さら
に一旦得られた血液を遠心分離機などを備えた専門の機
関で処理するということも必要であり、さらに当該処理
も場合によっては採血後迅速に行う必要がある。非常に
多数の血液検体を扱う場合(定常的に検査を実施するな
ら、非常に多数の検体を同時に処理する必要が生じるこ
とになる)、こうした作業は、大変なものとなる。最
近、一部の血液検査の部門では、採血器ランセットを用
いて指先から少量の血液を採取し、濾紙に血液を染み込
ませ、その染み込んだ部分から血液を溶出するなどして
測定を行う試みがなされている。こうした濾紙血を使用
する検査では、血球(主に赤血球)を含んだ全血をその
まま測定に使用している。ところが、こうした濾紙血を
使用する検査は、測定試料中に必然的に含まれる血球成
分の影響を受け難い内分泌系物質中心に限られ、さらに
比較的高感度な測定が期待できるイムノアッセイ系に限
られるというのが実情である。これは、濾紙に血液を染
み込ませる方法では、取り扱う血液量は極めて少量とな
らざるを得ない(採血器ランセットを用いてのパーソナ
ルな採血法では、各個人の慣れにより解決されるという
期待もあるが、通常、一度に1〜3滴程度、多くても5
滴程度の血液を得るのがせいぜいである)し、かつ血液
中に含まれている血球(主に赤血球)、血餅などの固形
成分を、その測定の前に分離するなどということは到底
できず、それをそのまま測定系に存在せしめざるを得
ず、そうした血球などが測定を妨害することとなるため
である。普通の濾紙を使用した方法〔現在の濾紙法〕で
は、血液検体を生化学的検査に付すことは不可能であっ
た。特に、普通の濾紙を使用して得た血液検体を使用
し、多数の生化学的検査項目を対象にする場合には、信
頼性のある且つ確実な臨床診断に耐える測定を行うこと
は、全く不可能である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】個人の責任で、ほんの
少量の血液を簡便に採取しうる方法として、採血器ラン
セットなどの採血器具を用いて指先などから少量の血液
を採取し(パーソナル採血法)、こうして採取された少
量の血液を使用して、生活習慣病のチェックなどのため
に有用な生化学的検査データを得ることが求められてい
る。また、幼児や小児では、通常採血は容易なことでは
なく、1乃至2滴の血液しか採血できないということが
多くあり、そうした少量の血液を検体として用いても確
実に生化学的検査を実施できるようにすることが求めら
れている。血球成分の影響を受け易い生化学的検査を行
うことは、1滴とか2滴といったような少量の血液検体
を用いる場合、従来の濾紙血では、全血での測定とな
り、血球成分の影響により、その測定をなすことが不可
能であった。普通の濾紙を使用した場合、そこに付着あ
るいは吸着させた血液の量は微量であり、当該濾紙から
溶出した後に血清成分と血球成分などに分離するなどと
いった処理を行うことは不可能である。また、イムノア
ッセイよりも、生化学的検査は感度が劣るという問題も
あり、微量の血液を扱うこととなる濾紙血では、その測
定検査が不可能であった。こうした血球、血餅などの固
形成分による妨害を排除し(あるいは反対に血球などの
固形成分を血清などの成分と分けて)、且つ少量の試料
を用いても確実な臨床評価をなすことのできる信頼性の
ある血液の生化学的検査の測定技術が必要である。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、少量の血液検
体、例えばパーソナル採血法により得られた少量の血液
検体を用いて生化学的検査を行うにあたり、血清分離シ
ートから溶出した検体試料を使用して測定を行うことを
特徴とする血液検体測定方法を提供する。本発明では、
血清分離シートを使用することにより、1滴、2滴など
といったような少量の血液検体であっても、当該血清分
離シートに採取した血液を適用することにより、血清と
血球とに分離せしめることができ、そうして分離された
血清部分及び/又は血球部分を測定に使用することで、
血球の影響を排除すること及び/又は選択的に血球成分
からの生化学的検査を得ることを可能にせしめるもので
ある。本発明の好ましい態様では、当該分離せしめられ
た血清部分の血清分離シートを分離して、そこから血清
試料が溶出せしめられ、及び/又は当該分離せしめられ
た血球部分の血清分離シートを分離して、そこから検査
試料が溶出せしめられ、溶出された試料を用いて測定検
査が実施される。本発明の特に好ましい態様では、定量
測定を行うことができる。
【0006】本発明は、血液検体の生化学的検査におい
て、採血器ランセットなどの採血器具を用いて指先など
から少量の血液を採取し、こうして採取された少量の血
液を血清分離シートに染み込ませ、その染み込んだ部分
のうち、血清成分あるいは血漿成分を保持する領域(1)
と血球成分などの固形成分保持領域(2) とを分離せし
め、ついで該領域(2) から分けられた当該領域(1) を溶
出処理に付し、及び/又は該領域(1) から分けられた当
該領域(2) を溶出処理に付し、次いで得られた溶出物を
検体試料として使用することを特徴とする血液検体測定
方法を提供する。本発明の好ましい態様では、測定を、
生化学的検査用自動分析機を用いて行い、高い測定感度
を得るに十分な当該分析機への試料の供与量とする。本
発明の別の好ましい態様では、測定は、生化学的検査用
自動分析機を用いて行われるものであり、例えば、測定
にあたり当該分析機への試料の供与量を、生化学的検査
では一般的ではない程度に多い量(例えば、遠心分離機
を用いて血液から調製された血清成分あるいは血漿成分
からなる試料の場合では、その供給量の1.5 倍量以上、
例えば 1.5〜20倍量、好ましくは 2〜20倍量、さらに好
ましくは 4〜20倍量、より好ましくは 4〜15倍量)とす
るものである。本発明のさらに別の好ましい態様では、
測定を行うにあたり、使用した検体試料中の総蛋白を求
め、当該総蛋白のデータを用いて生化学的検査データを
補正することを特徴としている。本発明の態様によれ
ば、採取した血液を染み込ませる血清分離シートへの血
液の滴下量や、当該シートでの血清分離率、さらには当
該シートからの血清溶出率は、必ずしも一定とはならな
いという問題を、該総蛋白を内部標準として用いたり、
あるいは使用した検体試料の希釈倍率及び回収率から成
る群から選ばれたものを求め、当該データを用いて生化
学的検査データを補正することでそうした問題を解決で
き、定量化を可能としている。本発明の態様によれば、
血清分離シートを使用して得られた血球成分などの固形
成分をその測定対象とした場合にも、同様に、採取した
血液を染み込ませる血清分離シートへの血液の滴下量
や、当該シートでの血清分離率、さらには当該シートか
らの血清溶出率が、必ずしも一定とはならないという問
題を、該総蛋白を内部標準として用いたり、あるいは使
用した検体試料の希釈倍率及び回収率から成る群から選
ばれたものを求め、当該データを用いて生化学的検査デ
ータを補正することでそうした問題を解決でき、定量化
を可能としている。本発明は、パーソナル採血法により
得られた少量の血液検体を使用しての生化学的検査、特
には多項目の生化学的検査を同時に測定することを可能
にすることを特徴としている。
【0007】
【発明の実施の形態】新鮮な血液を放置すると、血液凝
固が起こり、ついで血球並びにフィブリンは塊状に収縮
し、透明な上清が遊離してくるが、この上清を血清とい
う。したがって、血清とは、血液の液体成分で、普通全
血からフィブリン塊と血球を除いたものをいうが、検査
測定に好適に利用できる取扱の簡単な血液の液体成分で
あれば特に限定されない。血漿とは、生体を循環する血
液の液性成分をいい、新鮮な全血から赤血球その他の有
形成分を除いた部分に相当するものであり、通常採血後
シュウ酸塩、クエン酸塩、エチレンジアミン四酢酸(EDT
A)塩、あるいはヘパリンなどの抗血液凝固剤を加える
か、あるいは低温に保って血液凝固の進行を阻止したの
ち、放置又は遠心操作により有形成分を分離して除いて
得られるものをいうが、検査測定に好適に利用できる血
液の液体成分であれば特に限定されない。
【0008】本発明において、血清分離シート(代表的
には、血清分離濾紙の形態のもの)としては、血液を浸
透せしめること及び/又は吸着できるとともに、その浸
透せしめられた血液及び/又は吸着された血液をクロマ
トグラフィー原理による分離をなし、分離を受けた血液
中の成分を分離された状態で保持することができるも
の、あるいは血清とそれ以外の成分とに分離し、該血清
成分を分離された状態で保持することができるもの、あ
るいは血漿とそれ以外の成分とに分離し、該血漿成分を
分離された状態で保持することができるものが挙げら
れ、好ましくは、繊維構造のものが挙げられる。特にこ
うしたものとしては、グラスファイバーの繊維あるいは
合成高分子の繊維からなる構造体であるものが挙げられ
る。該合成高分子繊維構造体は合成高分子樹脂からなる
もので、好ましくは熔融吹き込みプロセスによって凝集
ウェブを形成するのに使用され得るものが挙げられる。
こうした合成高分子樹脂(ポリマー)としては、ポリブ
チレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、
ポリプロピレンテレフタレートなどのポリアルキレンテ
レフタレート類、ポリメチルペンテン、ポリプロピレ
ン、ポリエチレンなどのポリアルキレン類、ポリヘキサ
メチレンアジパミド(ナイロン66)、ナイロン6、ナイ
ロン610 、ナイロン7、ナイロン11、ナイロン12などの
各種のポリアミド類、ポリカーボネート等が挙げられ
る。好ましくはこうしたポリマーは、繊維シート(繊維
マット)の形状の成形体(構造体)に加工されて用いら
れるのである。こうしたポリマー繊維からなるシート
は、その表面をグラフト化し、体液に対して繊維シート
が良好に濡れることにより所定の体液の浸透能及び/又
は吸着能が得られるように改質されたものが好ましい。
また該グラスファイバー繊維構造体は、当該分野で知ら
れたものから選択して用いることができ、その繊維から
なるシートも、同様に、その表面をグラフト化されてい
てよい。
【0009】該繊維構造のものとしては、特に好ましく
は全血を血球などの成分と血漿成分とに、あるいは血餅
と血清成分とにクロマトグラフィー原理で分離すること
のできる性状を持った繊維構造から構成されたものが挙
げられる。こうしたものとしては、繊維構造の表面に出
来る限り高い密度のヒドロキシル基を有するようグラフ
ト化したもの、ヒドロキシル基とカルボキシル基が混在
するようにグラフト化したもの、ヒドロキシル基とメチ
ル基が混在するようにグラフト化したもの、あるいはア
ミン基を有するようにグラフト化したものなどが挙げら
れる。望ましいプロセスでは、ヒドロキシル基を呈示す
るモノマーを使い、これらモノマーを水性環境下で重合
化することによっても得られる。当該分野の当業者であ
れば、如何なるモノマーを選択するかとか、どのように
してグラフト化を行うかの条件の選択はその目的に応じ
て容易に行うことが出来よう。本発明で使用されるシー
ト(あるいは繊維構造物、代表的には濾紙形態のもの)
は、好適には例えば親水性でポリアミド材あるいはグラ
スファイバー材から成るものが挙げられる。該ポリアミ
ドの代表的なものとしては、ナイロンが挙げられる。好
ましいナイロンとしてはポリヘキサメチレンアジペー
ト、ポリ−ε−カプロラクタム、ポリメチレンセバカミ
ド、ポリ-7- アミノヘプタノアミド、あるいはポリヘキ
サメチレンアゼレアミド等が挙げられ、特に好ましいも
のとしてはポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン6
6)が挙げられる。更に特に好ましいのは無皮質の実質
上アルコール不溶性の親水性ポリアミド材が挙げられ
る。これらのシート(繊維)はまた好適には約5:1 から
約7:1 の範囲内のメチレンCH2:アミドNHCOの比をもつも
のであることもできる。この好ましいタイプの材の性質
は少なくとも一部は、表面上のポリアミドのアミン末端
基およびカルボキシルの末端基の濃度から生ずる。この
「表面」あるいは「材表面」としては、一つの構成材あ
るいは複数の構成材を用いることにより、目に見えるよ
う露出されているような外部表面、並びに繊維により構
成されたシートの内部に存在する材の内部表面などが挙
げられる。すなわち、表面は流体、特に液体によって接
触されることができる材の部分である。
【0010】制御された表面性質をもつ親水性のポリア
ミド材やグラスファイバー材が好ましいものとして挙げ
られる。特には制御された表面性質をもつ親水性で微孔
質の無皮質ポリアミド材あるいはグラスファイバー材が
好ましいものとして挙げられる。該制御された表面性質
をもつ親水性で実質上アルコール不溶性の材は、例えば
上述のタイプのアルコール不溶性ポリマー樹脂、すなわ
ちメチレンCH2:アミドNHCOの比が約5:1 から約7:1 の範
囲にある樹脂などを、官能性極性基をもつ水溶性の表面
変性用ポリマーと一緒に同時に紡糸あるいは延伸するこ
とによって形成することもできる。本発明において有用
である制御された表面性をもつポリアミド材及びグラス
ファイバー材をつくるのに用いる表面変性ポリマーは、
ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミン基およびイミ
ン基のような親核性の化学的官能基の実質的部分を含む
ものである。その結果、構造材はその表面の上に、ヒド
ロキシル基、カルボキシル基、アミン基あるいは相互に
反応しない上記の基のいずれかの組合せといったような
高濃度の官能基を含むこととなる。制御された表面性質
をもつこれらのポリアミドは、制御された表面性質をも
たないポリアミド樹脂、すなわち好ましいポリアミド樹
脂から形成されるが、しかし表面変性ポリマーで以て被
覆されていないそれら出発ポリアミドなどよりも高濃度
のカルボキシル基あるいはアミン基をもつ。
【0011】本発明の血清分離シート構成材として特に
有用であるのは、高濃度のカルボキシル成分を含むこと
によって生ずる制御された表面性質をもつ、前述のメチ
レンCH2:アミドNHCOの比をもつヘキサメチレンアジパミ
ドから形成された、親水性で微孔質の実質上アルコール
不溶性のポリアミド材である。表面カルボキシル成分を
含ませることはそのナイロンを多量のカルボキシル基を
含むコポリマーと一緒に同時に成形処理して製造でき
る。本発明のシート構成材において特に有用であるその
他の物質は、制御された表面性質をもち、そのナイロン
を豊富な一級および二級アミン基を含むポリマーと一緒
に同時に成形処理することによってアミン官能基で以っ
て表面が変性されているものである。こうして得られる
ヒドロキシル基変性表面を含むポリヘキサメチレンアジ
パミドから形成される材も本発明において有用である。
こうした材料は多量のヒドロキシル基を含むポリマーと
一緒にナイロン樹脂を同時延伸することによってつくら
れる。
【0012】これらのポリマーなどから成る繊維マット
は好適に体液と接触してその体液を含浸せしめるもので
あることが必要である。こうした目的のためには、該繊
維マットの湿潤性を賦与することのできる表面張力の臨
界値(湿潤性賦与表面張力臨界値)は、通常いずれも約
46ダイン/cm 以下であるから、これを65ダイン/cm 以
上、望ましくは95ダイン/cm 以上、更に望ましくは 110
ダイン/cm 以上に上げる必要がある。ここで湿潤性賦与
表面張力臨界値とは特定の表面張力を有する液体の特定
の量をその表面に滴下し、その表面が湿潤するか否かを
測定することにより決めることが出来るものである。例
えば、ある液体を材料の表面に10滴ずつ滴下して、その
まま静置された場合、その滴下された場所で液体が吸収
されるか、あるいは滴下された10滴のうちの9滴までが
明らかに吸収された場合を湿潤が生起したとされ、その
反対にその滴下された場所で液体が吸収されることがな
いか、あるいは滴下された10滴のうちの9滴までもが吸
収されることがない場合を湿潤が生じないとされる。そ
して表面張力が26ダイン/cm の液体を滴下した場合に
は、速やかな湿潤が生起したが、表面張力が29ダイン/c
m の液体を滴下した場合には、湿潤が生じないままであ
った場合に、その材料(マット)の湿潤性を賦与するこ
とのできる表面張力の臨界値(湿潤性賦与表面張力臨界
値)は、27.5ダイン/cm とされることになる。この湿潤
が生起するか湿潤が生じない場合の値は、勿論構成材料
を構成する物質の表面物性や、液体と相互作用する面に
存在する孔のサイズによっても異なることになる。例え
ば全血を含浸せしめるためには、湿潤性賦与表面張力臨
界値ができるだけ高いことが好ましい。湿潤性賦与表面
張力臨界値が65ダイン/cm 、より望ましくは110 ダイン
/cm を越えることが、本発明にとって望ましい製品のめ
やすでもある。該グラスファイバー材についても、上記
ポリアミド材と同様に、上記で説明したような性状、物
性を持つものは好適であり、同様な手法で得ることので
きるものであってよい。
【0013】本発明において、体液を浸透及び/又は吸
着できるとともに、その浸透及び/又は吸着された体液
をクロマトグラフィー原理による分離をなし、分離を受
けた体液中の成分を分離された状態で保持することがで
きる繊維構造のものは、成形体、例えば繊維シート(あ
るいは繊維マット、代表的には濾紙)などの構造物に成
形される。体液を浸透及び/又は吸着させた領域、例え
ば血液を浸透及び/又は吸着させる領域からその体液か
らの所要の成分の現れる場所、例えば血清あるいは血漿
の現れる場所までの動きの方向は、重要なデザインを行
うためのファクターであり、これを流れの方向と称する
こととする。繊維ウェブを作るための熔融吹き込みプロ
セスでは、繊維形成ノズルとして二つ以上の通路を有す
るものを使用するが、そのうち最も内側にある通路では
柔らかくなった高分子樹脂、又は熔融された高分子樹脂
をノズルの先端に運ぶようにされ、一方その他の通路で
は、樹脂を希釈して繊維とするための気体(通常は空
気)を高速度で運ぶようにされている。本発明の望まし
い実施例では、こうしたプロセスで得られた繊維を集
め、ノズル先端から通常5〜25cmのところに位置する運
動している収集表面上にウェブを形成する。高度の延伸
を達成するには、運動する収集表面の運動速度を約10m/
min あるいはそれを越えるものとすることが好ましい。
こうした速度の下で収集すると、収集される繊維のユニ
ットあたりの重量は、小さくなる傾向がある。ある場合
には、例えば本発明の容器で使用する場合に必要とされ
る厚みの約1/10 〜1/100と小さくなりがちであること
から、好ましくは本発明で使用する構造体では材料を約
100 層ほどにする必要がある場合がある。また高度に延
伸されたマットを使用する場合には、血清又は血漿の流
れの方向に対するウェブの延伸の度合いに応じて、これ
とは全く異なる結果が得られる。
【0014】こうして得られた材料はそれを一体形状化
して、好ましい構造物にすることができる。例えば上述
のように作られた多層構造体は、ふたつの運動ベルトか
ら成ることを特徴とする積層オーブン中に製品を通過さ
せ、そしてそのオーブン中で圧力ロールを用いて材料を
所定の密度とすることができる。この操作によりその層
同志を結合させて単一の一体型のシートとし、次に、本
発明での使用に望まれるサイズに裁断することができよ
う。望ましい条件を得るために行われるグラフト化は積
層の前でも後でもかまわない。また熱盤の間で圧縮する
ことによりレイアップを行い、積層シートを得ることも
できる。さらに、加熱ダイを用いて特殊な形状とした
り、隣接する領域の間の気孔サイズを変えてもよい。熱
成形によってあらかじめ成型された形として圧延シート
状に成形することもできる。例えば、直径が3μm以下
である繊維からなる多層繊維マットは常温成型すること
ができ、本発明で用いることは十分可能なものである。
【0015】体液がクロマトグラフィー原理の分離を受
ける場合、例えば全血から血清を分離して得る場合、全
血中の各成分がそれぞれ全く別個になるよう分離が生起
する必要はなく、所要の測定あるいは分析にあたり問題
とならない範囲で分離が達成できれば十分である。ある
場合には全血中の液体成分が殆ど血清成分として実質的
に回収できるものであることが望ましい。同様に、例え
ば全血から血漿を分離して得る場合も、所要の測定ある
いは分析にあたり問題とならない範囲で分離が達成でき
れば十分である。全血から血漿を得る場合、通常はクエ
ン酸塩、シュウ酸塩、エチレンジアミン四酢酸塩、ヘパ
リンあるいはその塩などの抗血液凝固剤(例えば、クエ
ン酸ナトリウム、エデト酸ナトリウム(EDTA-2Na)、ヘパ
リンナトリウム、ヘパリンなど)に、必要に応じてトラ
ジノールなどのインヒビターを加えたものが入った容器
に、血液を直接採血するか、あるいは採取した血液をそ
うした抗血液凝固剤やインヒビターなどの入った容器に
入れ、次によく混和した後、上記クロマトグラフィー原
理の分離処理にかける。更に別の手法としては、採取さ
れた新鮮血液を浸透及び/又は吸着せしめる部位に、あ
らかじめ上記抗血液凝固剤及び必要に応じて酵素阻害剤
などのインヒビターを存在せしめておき、そうした領域
に該採取された新鮮血液を直接適用し、次に分離を達成
せしめることにより目的を果たすことができる。
【0016】本発明では体液検体を保持するのに使用さ
れる構造物は、指向性分離シートの性状を持つものが好
ましく且つ便利に用いられる。特に好ましい指向性分離
シート(あるいは指向性分離マットと呼ぶこともでき
る)は、全血を血球成分などの血餅と血清成分とに、あ
るいは血液の有形成分と血漿成分とに、クロマトグラフ
ィー原理で分離することのできる性状を持ったものであ
る。こうした指向性分離シートでは、その分離の生起す
る領域の中にバリヤー層を設けて血清成分又は血漿成分
の移動は許容するが、血餅など血清成分から除いておき
たい成分、あるいは赤血球などの血漿成分から除いてお
きたい成分の通過を実質的に防止することのできる層
(防護層)を設けておくこともできる。防護層として
は、多孔質であるもの、より好ましくは微孔質膜である
ものが挙げられる。こうした微孔質膜としては、例えば
ナイロン6、ナイロン66、ナイロン61などのポリアミド
などからなるものが挙げられる。微孔質膜の表面は親水
性樹脂膜であるものが好ましく、例えば親水性のフルオ
ロカーボン樹脂膜のものが挙げられる。また指向性分離
シートには、血清又は血漿を保持するのに適した強い毛
細管吸引力を有する構造を設けてあってよい。こうした
構造としては、上記した微孔質膜であるものが挙げられ
る。こうした体液検体を保持するのに使用される構造物
としては、例えば特開平5-312802号公報に開示されたよ
うなものが挙げられる。また好ましくはヘマセップ L
(Hemasep L) (商品名:旧名称−ヘマダイン (Hemadyn
e);米国ニューヨーク州 ポート ワシントン ハーバ
ー パーク ドライブ 25 (25 Harbor Park Drive Port
Washington, NY, USA) 、ポール(Pall)社〔ポール
バイオサポート ディビジョン(Pall BioSupport Divis
ion)〕から入手可能)メンブレンあるいはヘマセップL
血液分離膜〔商品名:ゲルマンサイエンスジャパン株式
会社(注:日本ポール株式会社の合併後の名称)から入
手可能〕として市販されているものなどが挙げられる。
さらに、本発明で使用するに適した血清分離シートは、
Whatman International Ltd., Springfield Mill James
Whatman Way Maidstone Kent, Englandからも入手可能
であり、例えば、PVA 結合グラスファイバー (PVA boun
d glass fiber)製の濾紙、あるいは非結合グラスファイ
バー(Unbound glass fiber) 製の濾紙であって、血液分
離能を有するものが挙げられる。該濾紙は、例えば Bas
is Weight 40〜150 g/m2、好ましくは 45 〜120 g/m2
で、厚さ 200〜1000μm @ 53kPa、好ましくは 220〜785
μm @ 53kPa で、 Standard Porosity 1.0〜9 s/100 m
l/in2、好ましくは 1.5〜8.1 s/100 ml/in2で、 Water
Absorption 20〜150 mg/cm2、好ましくは 25 〜102 mg/
cm2のものが挙げられる。その具体例としては、例えば
グレード GF/AVA, F487-09, F487-14, F147-11, GF/D,
F145-02, GF/DVA (いずれもWhatman 社製) などが挙げ
られ、特に好ましい血清分離シートとしては、例えば F
487-09, F487-14, F147-11, GF/AVAなどが挙げられ、と
りわけF487-09 は好適に用いることができる。
【0017】本発明で指向性とは血液試料を浸透及び/
又は吸着させた部位から見て得られた血清成分又は血漿
成分の保持されている部位が特定の方向に実質的に偏っ
ており、クロマトグラフィー原理による分離が一定の方
向性を持って達成されていることを意味する。従って指
向性分離シートに血液試料を浸透及び/又は吸着させる
と、一定の方向に向かってクロマトグラフィー移動して
分離が生起して、所要の部位で分離された血清成分又は
血漿成分の保持が生起し、こうした性状を持つものであ
れば指向性があるとすることができる。
【0018】指血あるいは耳朶血を被検試料として用い
る場合の血液採取法としては、より具体的には、被検者
の指先あるいは耳朶を穿刺前によくマッサージあるいは
暖めて充血させておき、消毒ガーゼで穿刺部位を拭いて
乾燥させ、ディスポーザブル・ランセット、あるいは簡
易メス刃で指先あるいは耳朶を穿刺して出血させる。こ
の場合、創口はなるべく小さい(3mm以下程度)ことが
好ましい。ランセットを使用して血液を得る方法が簡単
で好ましく用いられる。普通穿刺部から十分に出血させ
た後血清分離シートに吸い取らせる。場合によっては、
最初の血滴を拭い去って後にこの分離シートの繊維に吸
着させることをしてもよい。通常血清分離シートは検体
を吸着させるまでは乾燥した状態に保持されている。ま
た、適用される血液量としては、通常指先の場合で出血
が直径 5〜6 mmの玉状のものが好ましく、1滴で20〜30
μL 程度(例えば、約25μL 程度) である。生化学的検
査の場合には、1〜15滴の血液、より普通には1〜5 滴
の血液、例えば数滴、好ましくは2〜3滴(例えば、約
25μL 〜100 μL 、好ましくは約75μL)の血液である。
各個人が自分で該ランセットなどを使用して採血する場
合(パーソナル採血法)、各個人が手技に通じているか
否かにより異なるけれども、通常は一回に1〜3滴の血
液、多くても5滴程度までを得るのが限界であると考え
られる。それ以上の出血を期待するのはあまり現実的で
ないと推察される。出血させた血液を該血清分離シート
に吸い取らせると、血液は展開して行き、血清分離が行
われる。すなわち、血清成分が、血球 (主に赤血球から
なる) などの固形成分から分離され、それぞれ該血清分
離シートの血清成分担持部分と血球などの担持部分とを
ハサミで切るなどして分けることが可能となる。例えば
特定の箇所(滴下部分)に血液を滴下した場合、血清分
離シート上で該滴下部分の周囲に血清部分を得ることが
できる。血清への分離処理は、 1〜15分間程度、通常2
〜5分間程度で完結することができる。通常、出血させ
た血液一滴毎に、各該血清分離シートの短冊(あるいは
ディスク)一枚に吸い取らせることが好ましい。
【0019】血清分離処理が完結した後、通常の処理で
は必要に応じ血清分離シートを乾燥させてよい。分離処
理された血液検体は、好適には自然乾燥(風乾)させる
ことができる。充分自然乾燥させた後、血清を保持する
血清分離シートは、それを吸湿を避けて冷蔵庫(2〜8
℃)に保管することができる。分離処理された血清部分
を湿った状態に保ちたい場合には、血清分離シートを密
封可能な袋等の容器内に収納後その袋の口を密封しても
よい。
【0020】こうして保存及び/又は輸送された血清を
保持する血清分離シートは、検査実施時には次のように
取り扱うことができる。分離シート上の血清部分を該分
離シートごとハサミで切り取る。特には検査に使用する
所要部分を選択して切り取る。切取りは、ハサミを使用
して行うこともできるし、分離シート上の血清部分を選
択的に認識する機構を備えたコンピューター制御のカッ
ターを使用して行うこともできる。通常、切取りの際に
は、血清あるいは血漿を担持する部分と、血球などを担
持する部分とが別々となるようにし、できるだけ血清あ
るいは血漿を担持する部分が多く得られるようにするこ
とが望ましい。その切り取られた血清部分の分離シート
からそこに保持された被検成分を液相へ溶出し、こうし
て得られた検体を所要の測定・分析にかける。また検体
として使用を希望する成分の位置する分離シート部分を
任意に選択して切り取って用いることもできる。
【0021】該分離シートに保持された被検成分を、液
相へ実質的にネイティブ (native)な溶出を行うことが
可能である限り、この溶出を行うための溶出用溶液ない
し溶出方法は特に制限されない。通常は緩衝液を用いて
溶出処理できる。該緩衝液を調製するに用いる緩衝剤と
しては、生化学測定法を適用して測定対象アナライトを
測定するにあたり、測定に障害をもたらさないものが好
ましいが、当該分野でそれら生化学測定法において通常
使用されるものあるいは容易に使用できるもののうちか
ら選択して使用できる。例えば、緩衝剤としては、リン
酸、N-(2- ヒドロキシエチル)ピペラジン-N'-(2- エタ
ンスルホン酸)(HEPES)、ピペラジン-N,N'-ビス(2- エタ
ンスルホン酸)(PIPES)、3-( シクロヘキシルアミノ)-1-
プロパンスルホン酸(CAPS)、3-(N- モルホリノ)プロパ
ンスルホン酸(MOPS)、ホウ酸、クエン酸、バルビター
ル、イミダゾール、あるいはそれらの塩などが挙げられ
る。これらは単独でも、任意に組合わせるなどして配合
しても用いることができる。
【0022】また適当な酸、例えば、塩酸、硫酸、硝
酸、リン酸などの無機酸、酢酸、クエン酸、マレイン
酸、フマール酸などの有機酸などやアルカリ、例えば、
水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、
炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム
などのアルカリ水酸化物、トリエチルアミンなどの有機
塩基などにより、pHを適切な値に調節できるようにし
て、任意にそれらを組合わせたり、配合しても用いるこ
とができる。好ましくは水溶液が使用され、例えばリン
酸塩緩衝液、TES 緩衝液、HEPES 緩衝液、ホウ酸緩衝
液、クエン酸緩衝液、バルビタール緩衝液、イミダゾー
ル−塩酸緩衝液などが挙げられるが、できる限りネイテ
ィブに溶出を行う点からは、リン酸緩衝液等の緩衝液(p
H6.8〜8.2 、好ましくは pH7.0〜8.0)を溶出用溶液とし
て用いることが好ましい。
【0023】通常該分離シートに保持された被検成分は
非常に少量あるいは極微量であることから、使用する溶
出用溶液の量は、有効な溶出が達成可能であれば、可能
な限り少ない量を使用できるが、被検成分を保持する該
分離シートの容積がある程度あることから、あまり少量
であると該溶出用溶液に該分離シートが浸らないという
問題も生じるのでこの点を考慮したり、さらに測定装置
の必要とする量など測定の都合からその下限値は決定で
きる。一方、あまり大量の溶出用溶液を用いると該分離
シートに保持された被検成分は非常に少量であることか
ら、測定可能濃度のものが得られないという問題をきた
す。これは、別の観点からは、一方では一旦溶出した液
中に存在する被検成分の濃度を調整すること自体かなり
困難であることをも意味する。例えば1〜3滴の血液
(約20〜80μL)を滴下した血清分離シート(通常1〜3
枚のシート)の場合、使用する溶出用溶液の量は、血清
成分を扱う場合、例えば50μL 以上、代表的には 100〜
1000μL 、好ましくは 120〜800 μL 、さらに好ましく
は150 〜600 μL 、より好ましくは200 〜550 μL 、も
っと好ましくは 250〜550 μL である。血球成分を扱う
場合には、例えば血清成分を扱う場合の二倍量を用い
る。血清成分につき10項目の生化学的検査項目を一つの
検体を用いて行う場合、一般的には 200μL 以上、例え
ば300 〜350 μL程度が用いられる。しかしながら、測
定系としては、10項目の生化学的検査を一つの検体を用
いて一度に測定できることが可能な条件を採用すれば、
1項目の生化学的検査から10項目の生化学的検査まで適
宜測定を行うことができるので、より好ましい。なお、
血清分離シートの枚数は何枚であっても特に制限はない
が、現実的には6枚以内程度である。
【0024】溶出する時の温度及び溶出時間としては、
有効な溶出が達成できれば特に限定されないが、溶出温
度では、通常冷蔵温度から常温で実施でき、例えば 0℃
〜40℃、より普通には 10 ℃〜30℃、より一般的には15
℃〜26℃である。溶出時間としては、特に制限はなく、
効率の点ではより短時間であることは好ましいが、通常
5分間〜24時間程度、好ましくは30分間〜6時間程度、
より好適には40分間〜4時間程度で、代表的には45分間
〜2時間程度である。溶出は、静置して行っても、適度
に溶出用溶液を撹拌あるいはそれに振動を与えながら行
ってもよい。溶出条件は特に制限されないが、代表的に
は、例えば該分離シート1枚に各1滴の血液(約25μL)
を吸着させてある該分離シート3枚を用いる場合、以下
の条件が好ましく用いられる。 溶出用溶液:純水〜リン酸緩衝液 (0.01 mol/L以下, 好
ましくは 0.005〜0.050 mol/L)または生理食塩水 溶出用溶液の量: 200〜550 μL 溶出温度:常温(約25℃) 溶出時間:1時間程度 上記説明は主に血清を得る場合について説明してある
が、血清に代えて血漿あるいは血漿検体を得る場合につ
いても同様に処理することにより、検査に使用できる検
体を得ることができるし、その運搬並びに保存もでき
る。また溶出用溶液の量は、検体試料が希釈されて測定
不能にならない範囲であれば特に制限はなく、例えば 6
00μL までの量、好適には 550μL 以内の量を使用して
よい。
【0025】上記した溶出液中の各種測定が可能である
限り、該測定の方法は特に制限されない。アナライトの
測定には、例えば高速液体クロマトグラフィー、ネフェ
ロメトリー、化学発光法、競合性蛋白結合分析法、ラジ
オレセプターアッセイ、螢光法、比色法、電気泳動法、
超遠心法、沈殿法、原子吸光分析法、ガスクロマトグラ
フィーなどが挙げられる。例えば、41種にものぼる各
種アミノ酸やイミノ酸などは、O-フタールアルデヒド/
N-アセチル-L- システイン (OPTA/AcCys) などを含めた
O-フタールアルデヒド(OPTA)を使用しての液体クロマト
グラフィーと蛍光分析によりその測定が効率的に行われ
うる。また酵素反応を利用した方法を用いることができ
る。酵素反応を利用した生化学的検査としては、リパー
ゼ、アミラーゼ、リゾチーム、酸性フォスファターゼ、
アルドラーゼ、血清アラニンアミノトランスフェラーゼ
(ALT〔グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ;GP
T〕) 、血清アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ
(AST〔グルタミン酸オキザロ酢酸トランスアミナーゼ;G
OT〕) 、コリンエステラーゼ(ChE) 、クレアチンフォス
フォキナーゼ(CPK又はCK) 、レシチン- コレステロール
アシルトランスフェラーゼ (L-CAT)、アデノシンデアミ
ナーゼ、乳酸脱水素酵素(LDH) 、α−ヒドロキシ酪酸脱
水素酵素 (α-HBDH)、γ−グルタミントランスペプチダ
ーゼ (γ-GTP)、ロイシンアミノペプチダーゼ(LAP) な
どの酵素についてのものが挙げられ、場合によっては特
定の合成基質あるいは天然由来の基質を用いたりして、
その酵素活性を直接測定したり、共役酵素を用いたりす
ることができる。
【0026】また特異的結合を利用した方法、例えば、
相補的核酸配列、エフェクターとレセプター、酵素とイ
ンヒビター、受容体とリガンド、補体結合反応などの反
応を利用した方法などを用いることもできる。上記相補
的核酸配列を利用した方法としては、ポリメラーゼ・チ
ェイン・リアクション(PCR) 法、リバース・トランスク
リプターゼ・ポリメラーゼ・チェイン・リアクション(R
T-PCR)法、ASPCR (allele-specific PCR) 法、in situ
ハイブリダイゼーション、サザンブロット・ハイブリダ
イゼーションなどが挙げられる。その他遺伝子診断法も
利用でき、例えば、RFLP (restriction fragment lengt
h polymorphism) 法などが挙げられる。
【0027】本発明の血清分離シートを用いて得られた
被検サンプル、例えば、血清や血漿などは、各種測定に
かけることができ、そうした検査・測定としては、生化
学的検査が挙げられる。生化学的検査としては、例えば
総蛋白(TP)などの蛋白検査、膠質反応検査、生体色素検
査、例えばグルコース(GLU) などの糖代謝検査、例えば
総脂肪(TL), リン脂質(PL), トリグリセライド (中性脂
肪:TG), 総コレステロール(T-CHO) などの脂質検査、例
えば尿素窒素(UN)、クレアチン、尿酸(UA)などの含窒素
成分検査、クリアランス検査、電解質検査、金属検査、
酵素活性検査、ビタミンその他の検査(鉛・有機溶剤な
どの産業医学関連検査を含む)などが挙げられる。酵素
活性検査としては、リパーゼ, アミラーゼ(AMY), P型ア
ミラーゼ, リゾチーム, 酸性フォスファターゼ, 前立腺
性酸性フォスファターゼ(PAP), CPK(CK), CPK-MB(CK-M
B), CPK-MM アイソフォーム(CK-MMアイソフォーム),
アルドラーゼ, L-CAT, GOT(AST),ミトコンドリア-GOT(G
OT-m), GPT(ALT), LDH(LD),アルカリフォスファターゼ
(ALP), LAP, γ-GTP, ChE,α-HBDH,イソクエン酸脱水素
酵素(ICDH), グルタミン酸脱水素酵素(GLDH), モノアミ
ンオキシダーゼ(MAO),胎盤性ロイシンアミノペプチダー
ゼ(P-LAP),アンギオテンシン転換酵素(ACE),N-アセチル
グルコサミニダーゼ(NAG),グアナーゼ, アデノシンデア
ミナーゼ(ADA),プロリルヒドロキシラーゼ(PH), ドーパ
ミン- β- 水酸化酵素(DBH),顆粒球エラスターゼなどが
挙げられる。また、血球あるいはその他の固形成分を測
定対象として検査・測定して、例えばグリコヘモグロビ
ン A1c検査することなどが挙げられる。これら検査・測
定としては、必要であれば、例えば田中久及び横山節男
編集、医薬品の開発 10巻、診断薬、廣川書店、平成2
年3月15日発行;株式会社エスアールエル、総合検査案
内 1995、1995年4月作成、60,000NEにリストされ
た各種検査を挙げることができ、その内容及びそこで引
用されている文献に記載された内容は本明細書において
参照事項として本明細書の内容のうちに含められる。
【0028】本発明の血清分離シートを用いて得られた
被検サンプルは、通常生化学的検査用自動分析装置を使
用してその測定を行う。生化学的検査用自動分析装置と
しては、通常の生化学的検査用に開発され、市販されて
いる機器を使用でき、例えば株式会社日立製作所、日本
ロシュ株式会社、オリンパス光学工業などから市販され
ている装置が挙げられるが、その他にも当該分野で知ら
れた製造販売業者から入手できる装置を使用できる。該
生化学的検査用自動分析装置の例としては、臨床化学自
動分析装置コバスインテグラ (日本ロシュ株式会社) 、
日立7350形や7600形シリーズ生化学自動分析装置 (いず
れも、日立製作所) 、オリンパス AU5200, AU800, AU64
0, AU600, AU400, AU100, AU2700 (いずれも、オリンパ
ス光学工業) などが挙げられる。一般に生化学的検査用
自動分析装置で一回の測定に使用されるサンプルの量
は、注射器で3〜10 ml の血液を採取 (普通は、10 ml
の血液を採取) し、こうして採血された血液を遠心分離
機を用いて処理して、検査材料である血清や血漿を得て
いる場合、検査項目や使用する試薬系によっても異なる
が、普通 2μL 〜8 μL 程度で、多くても10μl 程度で
ある (機器・試薬, 16:4, 667-674 (1993); 同誌, 18:
2, 137-152 (1995); 同誌, 20:2, pp.195-200 (1997)
等) 。
【0029】これに対して、検査項目にもよるが、本発
明の血清分離シートを用いて得られた被検サンプルの場
合、高い測定感度を得るに十分な当該分析機への試料の
供与量を使用することを特徴とする。特には、生化学的
検査では一般的ではない程度に多い量、例えば、上記の
一般的なサンプル適用量の1.5 倍量以上、代表的には1.
5 〜20倍量、又は2 〜20倍量、好ましくは3 〜20倍量、
又は4 〜20倍量、あるいは1.5 〜15倍量、又は2 〜15倍
量、好ましくは3 〜15倍量、又は4 〜15倍量、さらに好
ましくは 5〜15倍量用いる。あるいは当該分析機への試
料の供与量として設定された上限量までの量用いてよ
い。本発明の被検サンプルの場合、 10 μL 以上、好ま
しくは 13 μL 以上、さらに好ましくは 13 μL 〜50μ
L 、ある場合には 13 μL 〜30μL 、別の場合には 15
μL 〜50μL 、好ましくは20μL 〜50μL 、さらに好ま
しくは 15 μL 〜40μL 、ある場合には 15 μL 〜30μ
L 、別の場合には 20 μL 〜40μL 、好ましくは20μL
〜30μL の量が、当該生化学的検査用自動分析装置にか
けられる。典型的な場合、遠心分離機を用いて処理して
得られた被検血清や血漿を用いる時に普通 2μL のサン
プルを当該生化学的検査用自動分析装置にかけている場
合では、好ましくは本発明の被検サンプルを 10 μL 以
上, より好ましくは13μL 〜50μL,さらに好ましくは15
μL 〜50μL を該自動分析装置にかける。また遠心分離
機を用いて処理して得られた被検血清や血漿を用いる時
に普通 8μL のサンプルを当該生化学的検査用自動分析
装置にかけている場合では、好ましくは本発明の被検サ
ンプルを 12 μL 以上, より好ましくは13μL 〜50μL,
さらに好ましくは18μL 〜50μL を該自動分析装置にか
ける。
【0030】一般的には、本発明の血清分離シートを用
いて被検サンプルを溶出液として得る方法は、先ず扱う
血液の量が、非常に少量あるいは極微量であること、し
たがって、血清成分などの測定対象成分として扱うこと
のできる量がこれまた非常に少量あるいは極微量となる
し、また当該血清分離シートに適用される血液量は採取
法の特性からも必ずしも一定しない。また、たとえ該血
清分離シートに適用される血液量を一定にできたとして
も、血球などの成分から分離せしめられた血清成分の量
は、その手法上の特性から、必ずしも一定とすることが
困難である。また、扱う血液の量が、非常に少量あるい
は極微量であることを考慮すると、その解決法を従来技
術のうちには見出すことができないという問題がある。
さらに、取り扱う血液の量が、非常に少量あるいは極微
量であり、おまけに、血清成分などの測定対象成分とし
て扱うことのできる量もこれまた、非常に少量あるいは
極微量となるので、血清成分などの測定対象成分自体
を、それが測定可能である程度十分な量及び/又は濃度
で得られるか否かという疑問が存在していたばかりでな
く、それらの量自体の変動が、測定結果の評価を不可能
にするという問題が存在していた。特にパーソナル採血
法に従った血液検体を扱うにあたり問題であった。
【0031】上記で説明してあるように、本発明では、
測定にあたり当該分析機への試料の供与量を、遠心分離
機を用いて血液から調製された血清成分あるいは血漿成
分からなる試料の通常の供給量と比較して格段に多い量
を用いることにより解決が図られているが、さらに本発
明では、使用した検体試料中の総蛋白 (TP) を求め、当
該総蛋白のデータを用いて生化学的検査データを補正す
ることにより、上記した問題点の解決を図ることもその
特徴としている。当該総蛋白のデータを用いて、生化学
的検査データを補正するにあたっては、人の総蛋白の平
均値が使用でき、例えば平均値 7.5 g/dL が使用でき
る。
【0032】したがって、本発明は、血液検体の生化学
的検査において、目的対象測定項目のほか、総蛋白を測
定し、該目的対象測定項目のデータに補正を加えること
を特徴とする血清分離シートから溶出した検体試料を使
用して測定を行う血液検体測定方法を提供している。特
にパーソナル採血法に従った血液検体を使用した該血液
検体測定方法を提供している。このように微量血液検体
による定量生化学的検査を行うことを可能にしている。
別の面では、一検体当たり多項目の生化学的検査を行う
ことをも可能にしている。代表的な補正方法としては、
注射器で血液を採取し、こうして採血された血液を遠心
分離機を用いて処理して、検査材料である血清や血漿を
得て、それについて測定した総蛋白を「総蛋白の標準
値」= A (例えば人の総蛋白の平均値 7.5 g/dL )とし
た時、本発明の血清分離シートを用いて被検サンプルを
溶出液として得る方法における試料中の測定した総蛋白
を「試料中の総蛋白の値」= B として、A ÷ B = C (試
料の希釈倍率) を求め、当該試料中の特定の測定項目の
測定値= D を得た場合に C × D = 当該試料中の特定の測定項目の定量値 とする方法が挙げられる。さらに、注射器で血液を採取
し、こうして採血された血液を遠心分離機を用いて処理
して、検査材料である血清や血漿を得て、それについて
測定したデータと、本発明に従って血清分離シートを使
用し、それから溶出した検体試料を使用して測定して得
たデータとは必ずしも一致した値が得られるとは限ら
ず、両者の間には一定の関係が見出されることを見出し
た。本発明では、血清分離シートを使用した方法では、
従来の方法(遠心分離機を用いて血清を得て測定する方
法)で得られる値より低値を示す傾向が認められた。し
たがって、本発明では、血清分離シートを使用した方法
で得たデータをX軸に、Y軸に従来の方法の結果をそれ
ぞれプロットし、関係式を求め、それに基づいて計算す
ることにより、補正計算(報告値)をすることが可能で
ある。
【0033】別の態様では、本発明では、使用した検体
試料の希釈倍率及び回収率から成る群から選ばれたもの
を求め、当該データを用いて生化学的検査データを補正
する。該回収率は、血清検体と血清分離シート検体の相
関から求めることができる。以下に、この場合の血清分
離シート(血清分離濾紙)を使用しての生化学検査につ
いて説明する。血清分離濾紙の血液検体は、通常郵便に
て搬入する。そして受取後ただちに前処理を実施する。 1.前処理 (1)濾紙の切断 血清分離濾紙の血清が付着している部分を外側から6
mmカッターで切り取る。6mmでとれない場合は3mmカッ
ターで切り取る。切り取る際には、血液部分を避けて切
り取る。これは、血球部分が混入すると溶血の影響で測
定誤差となるからである。そして1枚の濾紙に対し両側
2個所のみを切り取ることとする。この結果、例えば濾
紙3枚から6mmカット濾紙が最高6枚取れる。 次に、切断した濾紙は自動分析機用サンプルカップに
入れる。 (2)抽出処理 濾紙を入れたカップの中に室温に戻した抽出液、例え
ば 550μl を入れる。 濾紙を抽出後に全て浸すためにおおよそ1分間震盪
し、室温にて1時間静置。その後抽出された液を攪拌す
るためにおおよそ15分間間歇震盪する。 震盪後に濾紙をガラス棒で除去する。 サンプルカップに1個ずつパラフィルムを巻き遠心機
のラックに並べおおよそ3000rpmで約5分間遠心する。 直ちに測定できない場合は、上清を分取し、パラフィ
ルムを巻いて冷蔵保存する。 2.測定 (1)測定準備 自動分析機を濾紙測定条件にセットする。Blank は抽
出液を使用。キャリブレーション条件にルーチン検査で
求めたファクターを入力する。なお、T-cho BUNTGは10
倍希釈の STDでキャリブレーションをとる。またμ-TP
は原倍のSTD でキャリブレーションをとる。その他の項
目は試験ブランクをとる。 (2)測定濃度の確認 濃度既知の試料を測定して測定系の安定性を確認す
る。例えば、抽出液で30倍希釈したコンセーラI5件、
コンセーラIIEX5件、抽出液5件を測定して管理範囲内
であることを確認する。 (3)測定 指定された項目の測定を行う。同時にμ-TP も測定す
る。測定可能項目としては、例えば GOT, GPT, γ-GT
P, T-cho, TG, HDL, BUN, Cre, UA, μ-TP の10項目で
ある。 3.濾紙検査結果の算出方法 (1)希釈倍数の算出 4mm × 6mmカット片1枚に含まれる血清量は 3.312μl これを6枚とり、 550μl のBufferで抽出すると ((3.312 × 6) + 550) /(3.312× 6) =28.6771 倍 (2)回収率を求める 項目ごと濾紙からの回収率に差があるため、血清検体と
濾紙検体の相関から、回収率を求める。 (3)結果の算出 濾紙の測定結果、希釈倍数、回収率から、報告値を算出
する。
【0034】上記で使用した抽出液は、例えば次のよう
にして作製される。例えば、抽出液(pH 7.5のリン酸バ
ッファー)の作成方法は次のとおりである。 (1)試薬を秤量し溶解 リン酸2カリウム8.7gを 500mlの純水で溶解(0.1M) リン酸1カリウム6.8gを 500mlの純水で溶解(0.1M) (2)抽出液を指定濃度にする (0.01M) 上記(1)のリン酸2カリウム 100mlに純水 900mlを
加え攪拌。 上記(1)のリン酸1カリウム 100mlに純水 900mlを
加え攪拌。 (3)溶液を指定 pH7.5にする 上記(2)のリン酸2カリウム1リットルに上記
(2)のリン酸1カリウム 300mlを加えて攪拌。 (4)保存 冷蔵保存する。使用時は別容器に必要量を取り分けて室
温に30分放置後使用する。本発明に従った測定において
は、例えば試薬ブランクについては、リン酸Buffer 0.0
25M 以上の場合は pH7.0以下で GOT、GPT に正誤差を与
えるが、リン酸Buffer 0.001M 以下の濃度ではどのpHで
も良好である。そして、純水と生理食塩水のブランク値
は良好である。また、抽出液に関しては、TGは純水によ
る抽出が良く、ブランク値との比較で抽出液はリン酸Bu
ffer 0.01M、pH7.5 が好適である。
【0035】別の態様では、本発明では、血清分離シー
ト(血清分離濾紙)のうちの血球成分あるいは固形成分
保持領域を使用しての生化学検査ができ、以下それにつ
きグリコヘモグロビンA1c検査を例に挙げて説明す
る。血清分離濾紙の血液検体は冷蔵保存にて搬入。受取
後、検査まで冷蔵保存とする。 1.前処理 (1)濾紙の切断 血清分離濾紙の血球が付着している部分の中心を3mm
パンチで3枚切り取る。 切断した濾紙は自動分析機用のサンプルカップに入れ
る。 (2)抽出 濾紙を入れたカップの中にあらかじめ40℃に加温して
おいたHi-AUTO A1c 専用溶血・洗浄液 50H-Cを 1000 μ
l 入れる。 10分間静置後よく混和し濾紙をガラス棒で取り出す。 濾紙浮遊物を除去するため、3000rpm 5分遠心し、上
清を 500μl ずつ2つのグリコヘモグロビン用サンプル
カップに分注する。 (3)測定状態の確認 コントロールを測定し管理範囲内であることを確認す
る。 (4)測定 溶血検体用マーカーをラックにセットし、検体を2重
測定する。 2本のデーターにばらつきがないことを確認し、2本
目のデーターを報告する。
【0036】
【実施例】次に本発明を実施例を挙げて説明するが、本
発明はこれらに限定されるものではない。本発明は明細
書及び請求の範囲に記載の概念に基づき、それを逸脱し
ない範囲で様々な態様が挙げられるが、それらはすべて
本発明の範囲内にあると理解されるべきである。 実施例1 (A) 血液の採取並びに血清試料の調製 自己採血器具として、市販のランセット、イージレット
((株)三和化学研究所)を用いて採血を行った。血清
分離シートとして血清分離濾紙のヘマセップL(米国:
Pall社)を、幅4mm、長さ60 mm に切断して使用した。
血液の採取は次のようにして行った。採血は手を石鹸で
洗った後に指先をよくマッサージしてからイージレット
で穿刺して出血させて血液を得ることにより行った。血
液は3つの血清分離濾紙に一滴ずつ滴下した。滴下した
血液は該濾紙に吸収され、約5分で血球と血清に分離さ
れたが、そのままの状態で血清分離濾紙は検査まで冷蔵
保存した。血清の溶出は次のようにして実施した。上記
の血清を含んだ濾紙部分だけをハサミで切り取る。この
濾紙片を容器に入れ、次いで容器に350 μL の0.01 mol
リン酸緩衝液(pH7.5) を入れ、1時間溶出を行った。濾
紙を容器から除去して得られた液を測定のための試料と
した。
【0037】(B) 血清試料のアッセイサンプリング量の
調査(1) 測定機器としては日立自動分析機7350 ((株)日立製作
所) を用いた。測定機器である上記自動分析機を次のよ
うにして調整しておく。すなわち、 (1) 使用説明書に基づいて、機器を使用可能な状態にす
る。(2) キャリブレーションは、標準品を純水で10倍希
釈して行う。(3) コントロール血清を10倍希釈して測定
を行い、平常値であることを確認しておく。 測定項目: GOT, GPT, HDL (HDLコレステロール), TG(ト
リグリセライド), UA(尿酸), Cre (クレアチニン), γ
-GTP, TC(総コレステロール), BUN (尿素窒素), TP(総
蛋白) をそれぞれ測定した。血清分離シートである血清
分離濾紙を使用して得た血清試料を用いて、それが生化
学的検査項目につき測定可能か否かを実験した。「一般
的な血清測定」では、注射器で血液を採取し、こうして
採血された血液を遠心分離機を用いて血清を分離し、得
られた血清を検体試料に用いて測定する従来の方法
(「現法」ともいう)で得られるものを指し、さらにそ
の従来の方法の場合に普通に採用されている各測定項目
毎のサンプリング量を「一般的なサンプリング量」とし
て、表1に示す。表1の「一般的な血清測定」で用いた
分析機器条件で且つその「一般的なサンプリング量」と
同じ量で、血清分離濾紙を使用して得た血清試料を用い
て測定(血清分離濾紙血清測定)した結果、試料濃度が
低いため、すべて測定感度不足との結果となった(表
1)。
【0038】
【表1】
【0039】そこで、サンプリング量を大幅に増加せし
めて測定を行った。その結果を表2に示す。血清分離濾
紙を使用して得た血清試料を用いても、生化学的検査項
目につき測定可能であることが判明した。
【0040】
【表2】
【0041】(C) 血清試料のアッセイサンプリング量の
調査(2) 測定機器としてオリンパス生化学自動分析装置 AU2700
(オリンパス光学工業(株)) を用い、各測定項目毎の
サンプリング量として、当該分析装置 AU2700 において
「現法」で採用される一般的なサンプリング量を用いた
以外は上記(B) の「アッセイサンプリング量の調査(1)
」と同様に処理して測定を行った。従来の方法の場合
に普通に採用されている各測定項目毎のサンプリング量
を「一般的なサンプリング量」として、表3に示す。表
3の「一般的な血清測定」で用いた分析機器条件で且つ
その「一般的なサンプリング量」と同じ量で、血清分離
濾紙を使用して得た血清試料を用いて測定(血清分離濾
紙血清測定)した結果、試料濃度が低いため、すべて測
定感度不足との結果となった(表3)。
【0042】
【表3】
【0043】そこで、同様に、サンプリング量を大幅に
増加せしめて測定を行った。その結果を表4に示す。血
清分離濾紙を使用して得た血清試料を用いても、生化学
的検査項目につき測定可能であることが判明した。
【0044】
【表4】
【0045】同時に、普通の濾紙(東洋濾紙製)を用
い、その濾紙に血液を吸収させた後乾燥したものから溶
出処理して得られた検体を用いて同様に測定を行った結
果を、表5に示す。普通の濾紙では、血清と血球成分と
を分離できないので、血液を検査しているのと同じと考
えられる。測定の結果、普通の濾紙では、血液中の血球
成分が測定を妨害し、異常な値を示すので、それによる
生化学的検査の測定は困難であると考えられる。
【0046】
【表5】
【0047】(D) 血清試料のアッセイ並びにデータ処理 試料のサンプリング量を、一律20μL に設定する以外
は、上記(B) におけるように測定機器を調整し測定を行
った。以下の実施例においても同様である。測定にあた
っては、目的の項目の他に総蛋白も同時に測定する。下
記の項目、すなわち、GOT, GPT, γ-GTP, T-Cho(総コレ
ステロール), HDL(HDLコレステロール), TG(トリグリセ
ライド), UA(尿酸), BUN (尿素窒素), Cre (クレアチニ
ン)をそれぞれ測定した。また、定量値を求めるため、
各項目の測定結果を同時に測定した総蛋白値で補正して
定量計算する。すなわち、注射器で血液を採取し、こう
して採血された血液を遠心分離機を用いて処理して、得
られた血清を用いて得られる総蛋白を〔総蛋白の標準
値〕= A ( すなわち、人の総蛋白の平均値 7.5 g/dL )
とし、一方、血清分離シートを用いて被検サンプルを溶
出して得た試料を測定して得られた総蛋白を〔試料中の
総蛋白の値〕= B として、A (=7.5 g/dL)÷ B = C〔試
料の希釈倍率〕を求め、〔当該試料中の特定の測定項目
の測定値〕= D を得た場合、 C × D = 〔当該試料中の特定の測定項目の定量値〕 とした。
【0048】(E) 血清分離シートを使用しての血清試
料調製条件の検討 血清分離濾紙に血液を滴下し、乾燥後に、血清を含んで
いる濾紙部分を切取り、該血清担持濾紙から数種類の溶
出用溶液を用いて血清成分の溶出状況を調べた。まず、
溶出用溶液中の塩濃度の違いによる影響を次のものを用
いて調査した。すなわち、溶出用溶液として、リン酸緩
衝液(pH 8) (0.050M, 0.025M, 0.01M, 0.005M)、0.85%
食塩水、純水をそれぞれ用いた。得られた結果を図1に
示す。結果は純水では一部の項目が低値傾向を示すが、
塩濃度の差によって溶出率は変わらないと考えられる。
次に、溶出用溶液のpHの違いによる血清成分の溶出に与
える影響を次のものを用いて調査した。すなわち、溶出
用溶液として、リン酸緩衝液(0.01M) をそれぞれpH 4.
5, 6.0, 7.0, 8.0 及び 9.5に調製して調査した。得ら
れた結果を図2に示す。その結果は pH7.0以下で低値と
なる項目があるので、溶出液の pH は 7.0〜8.0 が良い
と思われる。さらに、溶出時間の及ぼす影響を調査し
た。溶出時間としては、20分、40分、60分、及び 80 分
間につきそれぞれ調査した。得られた結果を図3に示
す。結果、溶出時間 40 分以下ではやや低値となるの
で、60分の溶出時間が良いと思われる。
【0049】(F) 血清分離シート及び標準物質を使用
しての直線性の検討 血清分離濾紙に標準物質を滴下し、乾燥後に、当該濾紙
からリン酸緩衝液(0.01M, pH7.5)を溶出用溶液として使
用して60分の溶出処理をした後、測定を行い、直線性を
調べた。使用した標準物質の濃度は下記の通りである。 GOT 39, 79, 157, 314 IU/l/37℃ GPT 35, 70, 139, 278 IU/l/37℃ γ-GTP 44, 89, 177, 354 IU/l/37℃ T-Cho 51, 103, 205, 410 mg/dl HDL 15, 30, 59, 118 mg/dl TG 50, 100, 200, 400 mg/dl UA 2.5, 5, 10, 20 mg/dl BUN 7.5, 3.5, 7, 14 mg/dl Cre 1.25, 2.5, 5, 10 mg/dl TP 1.75, 3.5, 7, 14 g/dl 得られた結果を図4、図5に示す。結果、全ての項目で
良好な直線性が得られた。
【0050】(G) 血清分離シートを使用しての再現性
の検討 血清分離濾紙に血液を滴下し、乾燥後に、血清を含んで
いる濾紙部分を切取り、該血清担持濾紙からリン酸緩衝
液(0.01M, pH7.5)を溶出用溶液として使用して60分の溶
出処理をした後、連続10回測定を行い、同時再現性につ
いて調べた。得られた結果を表6に示す。結果、同時再
現性は項目によって 4.1〜12.3%であり、精度よく測定
が可能であった。
【0051】
【表6】
【0052】(H) 血清分離シートを使用して得た血清
試料の希釈試験 血清を純水で 1〜8 倍に希釈してから血清分離濾紙に滴
下し、乾燥後に、血清を含んでいる濾紙部分を切取り、
該血清担持濾紙からリン酸緩衝液(0.01M, pH7.5)を溶出
用溶液として使用して60分の溶出処理をした後、測定し
て希釈直線性を調べた。得られた結果を図6、図7に示
す。結果、ほぼ原点に収束した希釈直線性を示した。
【0053】(I) 血清担持血清分離シートの保存温度
による検体の安定性 血清分離濾紙に血液を滴下して、それぞれの保存温度で
それぞれ数日間保存後、血清を含んでいる濾紙部分を切
取り、該血清担持濾紙からリン酸緩衝液(0.01M, pH7.5)
を溶出用溶液として使用して60分の溶出処理をした後、
得られた血清試料を測定し、血清担持血清分離シートの
保存温度による検体の安定性を調べた。保存温度はそれ
ぞれ−20℃、4℃、20℃、40℃、60℃で、それぞれ3
日、5日、7日保存を行った。得られた結果を、図8〜
図10に示す。保存温度による安定性は項目によって違
うが、冷蔵または冷凍保存が一番安定である。20℃保
存ではGOT 、GPT の値が約半分になるが、その他の項目
は比較的安定であることが判明した。
【0054】(J) 濾紙法と現法の相関 血清分離シートとして血清分離濾紙を使用し、該濾紙に
血液を滴下して約4℃で5日間保存後、血清を含んでい
る濾紙部分を切取り、該血清担持濾紙からリン酸緩衝液
(0.01M, pH7.5)を溶出用溶液として使用して60分の溶出
処理をし、こうして得られた血清試料につき測定し、こ
れを濾紙法の結果とした。一方、注射器で血液を採取
し、こうして採血された血液を約4℃で5日間保存後遠
心分離機を用いて処理して、得られた血清を検体試料に
用いて測定し、これを現法の結果とした。こうして、濾
紙法と現法の相関を調べた。得られた結果をまとめて図
11、図12に示す。相関係数は全ての項目で 0.89 以
上と良好である。
【0055】(K) 測定結果の補正 前記濾紙法と現法の相関性についての検討の結果、濾紙
法と現法ではそのデータ傾向に差があるので、検査結果
の報告に際しては測定値を補正する必要があることが判
明した。補正式は前記の検討データを利用して、X軸に
濾紙法の結果、Y軸に現法の結果で計算すれば得られ
る。特に低値を与えるサンプルから高値を与えるサンプ
ルまでを使用して、バランスの良い相関検討を行なうと
共に、なるべく多くの相関検討をなして、関係式を作成
することが重要である。
【0056】実施例2 血清分離濾紙を用いた生化学検査 血清分離濾紙として、F487-09, Whatman社製を用いた。
血清分離濾紙選定にあたっては、血清展開距離、血清・
血液の滴下量と血清の展開距離、そして検査項目、GOT-
2, GPT-2, γ-GTP-2, TC-2, TG-2, HDL-2, BUN-2, CRE-
2, UA-2, TP-2につき実際に測定した結果、抽出処理に
よる影響を検討して決定した。血清分離濾紙の血液検体
は通常郵便にて搬入。受取後ただちに前処理を実施し
た。 1.前処理 (1)濾紙の切断 血清分離濾紙の血清が付着している部分を外側から6
mmカッターで切り取った。なお、6mmカッターでとれな
い場合は3mmカッターで切り取り、切取りに際し、血液
部分を避けて切り取った(血球部分が混入すると溶血の
影響で測定誤差となる)。1枚の濾紙に対し両側2個所
のみ切り取った(濾紙3枚からは、6mmカット濾紙が最
高6枚取れた)。 切断した濾紙は自動分析機用サンプルカップに入れ
る。 (2)抽出 濾紙を入れたカップの中に室温に戻した下記の抽出液
550μl を入れた。なお、最適の抽出液についても、そ
れを検討選択した。 濾紙を抽出後に全て浸すために1分間震盪し、室温に
て1時間静置。その後抽出された液を攪拌するために15
分間間歇震盪する。なお、抽出条件についても、検討し
たが、抽出後の安定性、保存温度についても検討し、最
適の条件とした。 震盪後に濾紙をガラス棒で除去する。 サンプルカップに1個ずつパラフィルムを巻き遠心機
のラックに並べ 3000rpm5分間遠心する。 直ちに測定できない場合上清を分取し、パラフィルム
を巻いて冷蔵保存する。
【0057】2.測定 (1)測定準備 自動分析機〔オリンパス生化学自動分析装置 AU2700
(オリンパス光学工業(株)) 〕を濾紙測定条件にセッ
トする。図13には、本発明に従っての血清分離濾紙を
使用しての各測定の測定パラメーターを一覧にして示し
てある。Blank は抽出液を使用。キャリブレーション条
件にルーチン検査で求めたファクターを入力する。T-ch
o BUN TGは10倍希釈の STDでキャリブレーションをと
る。またμ-TPは原倍のSTD でキャリブレーションをと
る。その他の項目は試験ブランクをとる。 (2)測定濃度の確認 濃度既知の試料を測定して測定系の安定性を確認す
る。 抽出液で30倍希釈したコンセーラ−1: 5件、コンセー
ラ−2EX: 5件、抽出液5件を測定して管理範囲内であ
ることを確認する。図14には、ブランク値の実測値及
び30倍希釈での値が示してある。図15及び16には、
コンセーラについての結果が示してある。 (3)測定 指定された項目の測定を行う。同時にμ-TP も測定す
る。 測定可能項目 GOT・GPT ・γ-GTP・T-cho ・TG・HDL ・BUN ・Cre ・U
A・μ-TP 以上10項目
【0058】3.濾紙検査結果の算出方法 (1)希釈倍数の算出 4mm × 6mmカット片1枚に含まれる血清量は 3.312μl これを6枚とり、 550μl のBufferで抽出すると ((3.312 × 6) + 550) /(3.312× 6) =28.6771 倍 (2)回収率を求める 項目ごと濾紙からの回収率に差があるため、血清検体と
濾紙検体の相関から、回収率を求める。 (3)結果の算出 濾紙の測定結果、希釈倍数、回収率から、報告値を算出
する。
【0059】4.抽出液(pH 7.5のリン酸バッファー)
の作成方法 (1)試薬を秤量し溶解 リン酸2カリウム8.7gを 500mlの純水で溶解(0.1M) リン酸1カリウム6.8gを 500mlの純水で溶解(0.1M) (2)抽出液を指定濃度にする (0.01M) 上記(1)のリン酸2カリウム 100mlに純水 900mlを
加え攪拌。 上記(1)のリン酸1カリウム 100mlに純水 900mlを
加え攪拌。 (3)溶液を指定 pH7.5にする 上記(2)のリン酸2カリウム1リットルに上記
(2)のリン酸1カリウム 300mlを加えて攪拌。 (4)保存 冷蔵保存する。使用時は別容器に必要量を取り分けて室
温に30分放置後使用する。 (5)抽出液等の検討結果 A.試薬ブランクの検討 抽出液: 純水、生理食塩水、0.050 M リン酸バッファ
ー、0.025 M リン酸バッファー、0.010 M リン酸バッフ
ァー及び 0.005 Mリン酸バッファーにつき検討した。 リン酸Buffer 0.025M 以上の場合は pH7.0以下で GO
T、GPT に正誤差を与えた。 リン酸Buffer 0.010M 以下の濃度ではどのpHでも良好
である。 純水と生理食塩水のブランク値は良好である。 B.抽出液の検討 TGは純水による抽出が良いと思われる。 ブランク値との比較で抽出液はリン酸Buffer 0.01M、
pH7.5 が適していると思われる。 以上の結果から、リン酸Buffer 0.01M、pH7.5 を用いて
濾紙血清を抽出することにした。生体内血液のpHも7.4
付近であることから、測定系への影響も少ないと思われ
る。この他、TGの抽出率についても検討した。純水、0.
01 M pH7.5リン酸Buffer及び0.05 M pH6.0リン酸Buffer
につき試験した。TGの純水抽出は若干の効果はあるが高
値検体では差が認められなかった。
【0060】さらに、抽出時間についても検討した。リ
ン酸Buffer 0.01M、pH7.5 の抽出液にて血清分離濾紙か
ら血清成分を抽出する時間を決定した。 〔方法〕カットした濾紙片をサンプルカップに入れ、そ
こに抽出液を 450μl 入れる。次に、濾紙を抽出液内に
全て漬かるように1分間震盪する。室温での静置時間
を、15分・30分・1時間・2時間・3時間の5種類設定
する。時間になったら、混和のために10分間震盪し、濾
紙を取り出す。測定は、2重測定により行った。 〔結果〕抽出時間が15分、30分では十分に抽出できてい
なかったり、ばらつきが見られた。1時間以上ではばら
つきもなく、2時間・3時間後も1時間後のデータとほ
とんど変化がなかった。このことから、1時間でほぼ抽
出が完了できているといえる。よって、抽出時間は1時
間とした。なお、1時間間歇震盪しても抽出データは変
わらなかった。また長時間濾紙と抽出液が攪拌されてい
るために泡立ちが発生し、測定に影響を与えるものもあ
ったために、攪拌時間は最小限にとどめた。図17〜2
0には、同時再現性の結果を示す。図21及び22に
は、血清検体(遠心分離法)と濾紙検体の相関について
の結果が示されている。また、定量性試験の結果は、図
23に示す。回収率についての結果は、図25〜29に
示される。血清分離濾紙からの血清成分を使用しての測
定で良好な結果が得られ、十分に定量測定が可能と判断
される。本実施例では、血清分離濾紙にしみ込ませた検
体の安定性(血清分離濾紙に担持されたままの状態での
血液検体の保存安定性)及び抽出処理後の抽出液中の各
検体の安定性(保存安定性)についても調査したとこ
ろ、各検査項目ともいずれも良好な結果であることが確
認された。
【0061】実施例3 血清分離濾紙を用いたグリコヘモグロビンA1c検査 血清分離濾紙として、F487-09, Whatman社製を用いた。
血清分離濾紙の血液検体は冷蔵保存にて搬入。受取後、
検査まで冷蔵保存とする。 1.前処理 (1)濾紙の切断 血清分離濾紙の血球が付着している部分の中心を3mm
パンチで3枚切り取る。切断した濾紙は自動分析機用
のサンプルカップに入れる。 (2)抽出 濾紙を入れたカップの中にあらかじめ40℃に加温して
おいたHi-AUTO A1c 専用溶血・洗浄液 50H-Cを 1000 μ
l 入れる。 10分間静置後よく混和し濾紙をガラス棒で取り出す。 濾紙浮遊物を除去するため、3000rpm 5分遠心し、上
清を 500μl ずつ2つのグリコヘモグロビン用サンプル
カップに分注する。 (3)測定状態の確認 コントロールを測定し管理範囲内であることを確認す
る。 (4)測定 高速液体クロマトグラフィー原理の自動分析機〔アー
クレイ株式会社 Hi-AUTO A1c HA-8150 〕を使用する。 溶血検体用マーカーをラックにセットし、検体を2重
測定する。 2本のデーターにばらつきがないことを確認し、2本
目のデーターを報告する。 グリコヘモグロビンA1c検査の血液検体(遠心分離
法)と濾紙検体の相関についての結果は、図24に示
す。血清分離濾紙からの血球成分を使用しての測定で良
好な結果が得られ、十分に定量測定が可能と判断され
る。
【0062】
【発明の効果】本発明に従って、血液検体の生化学的検
査において、血清分離シートから溶出した検体試料を使
用して測定を行うことにより、1滴〜3滴といった非常
に少ない血液を用いて、信頼性のある且つ確実な臨床診
断に耐え得る測定を行うことが可能となる。また、微量
の血液を簡単な取扱いで、生化学的検査に付すことがで
き、さらに多数の生化学的検査項目を対象に測定をする
ことが可能である。本発明は、運搬や保存などにおいて
便利な濾紙に準じた取扱いが可能である一方、微量な血
液検体を定量的に生化学的検査することを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【図1】 生化学的検査において、血清分離濾紙に担持
された血清成分を溶出用溶液により溶出する場合、該溶
出用溶液中の塩濃度などの違いにより、溶出及び測定に
如何なる影響が及ぼされるか否かを調査した結果を示
す。
【図2】 生化学的検査において、血清分離濾紙に担持
された血清成分を溶出用溶液により溶出する場合、該溶
出用溶液中の pH の違いにより、溶出及び測定に如何な
る影響が及ぼされるか否かを調査した結果を示す。
【図3】 生化学的検査において、血清分離濾紙に担持
された血清成分を溶出用溶液により溶出する場合、溶出
時間の違いにより、溶出及び測定に如何なる影響が及ぼ
されるか否かを調査した結果を示す。
【図4】 血清分離濾紙を使用して検体試料を調製して
の生化学的検査方法の直線性についての調査結果を示
す。
【図5】 血清分離濾紙を使用して検体試料を調製して
の生化学的検査方法の直線性についての調査結果を示
す。(図4の続きである)
【図6】 血清分離シートを使用して得た血清試料の希
釈試験の結果を示す。
【図7】 血清分離シートを使用して得た血清試料の希
釈試験の結果を示す。(図6の続きである)
【図8】 血清担持血清分離シートの保存温度が、検体
の安定性に如何なる影響を及ぼすか否かを調査した結果
を示す。
【図9】 血清担持血清分離シートの保存温度が、検体
の安定性に如何なる影響を及ぼすか否かを調査した結果
を示す。(図8の続きである)
【図10】 血清担持血清分離シートの保存温度が、検
体の安定性に如何なる影響を及ぼすか否かを調査した結
果を示す。(図9の続きである)
【図11】 生化学的検査において、濾紙法と現法の相
関を調査した結果を示す。
【図12】 生化学的検査において、濾紙法と現法の相
関を調査した結果を示す。(図11の続きである)
【図13】 実施例2での血清分離濾紙を使用しての測
定における測定パラメーターを一覧にして示す。
【図14】 実施例2での血清分離濾紙を使用しての測
定における測定濃度の確認試験の結果(ブランク値)を
示す。
【図15】 実施例2での血清分離濾紙を使用しての測
定における測定濃度の確認試験の結果(コンセーラ−
1)を示す。
【図16】 実施例2での血清分離濾紙を使用しての測
定における測定濃度の確認試験の結果(コンセーラ−
2)を示す。
【図17】 実施例2での血清分離濾紙を使用しての各
測定における同時再現性の結果を示す。
【図18】 実施例2での血清分離濾紙を使用しての各
測定における同時再現性の結果を示す。(図17の続き
である)
【図19】 実施例2での血清分離濾紙を使用しての各
測定における同時再現性の結果を示す。(図18の続き
である)
【図20】 実施例2での血清分離濾紙を使用しての各
測定における同時再現性の結果を示す。(図19の続き
である)
【図21】 実施例2での血清分離濾紙を使用しての各
測定における血清検体と濾紙検体の相関についての結果
が示されている。
【図22】実施例2での血清分離濾紙を使用しての各測
定における血清検体と濾紙検体間の相関についての結果
が示されている。(図21の続きである)
【図23】 実施例2での血清分離濾紙を使用しての各
測定における定量性試験の結果が示されている。
【図24】 実施例3での血清分離濾紙を使用してのグ
リコヘモグロビンA1c検査における血液検体(遠心分
離法)と濾紙検体の相関についての結果が示されてい
る。
【図25】 実施例2での血清分離濾紙を使用しての各
測定における回収率についての結果が示されている。
【図26】 実施例2での血清分離濾紙を使用しての各
測定における回収率についての結果が示されている。
(図25の続きである)
【図27】 実施例2での血清分離濾紙を使用しての各
測定における回収率についての結果が示されている。
(図26の続きである)
【図28】 実施例2での血清分離濾紙を使用しての各
測定における回収率についての結果が示されている。
(図27の続きである)
【図29】 実施例2での血清分離濾紙を使用しての各
測定における回収率についての結果が示されている。
(図28の続きである)
フロントページの続き Fターム(参考) 2G045 AA01 BA08 BB04 BB10 BB41 BB48 BB50 BB51 CA25 DA01 DA16 DA20 DA36 DA42 DA48 DA63 DA69 HB01 JA01

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 血液検体の生化学的検査において、血清
    分離シートから溶出した検体試料を使用して測定を行う
    ことを特徴とする血液検体測定方法。
  2. 【請求項2】 測定が定量測定であることを特徴とする
    請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 (i) (a) 血清分離シートに血液を浸透
    及び/又は吸着せしめ、(b) 次に該血清分離シートの血
    清成分あるいは血漿成分を保持する領域(1)と血球成分
    などの固形成分保持領域(2) を分離せしめ、 (ii) (c) 該領域(2) から分離せしめられた当該領域
    (1) を溶出処理に付し、(d) 上記工程(c) で得られた溶
    出物を検体試料として使用すること、及び/又は (iii) (e)該領域(1) から分離せしめられた当該領域
    (2) を溶出処理に付し、 (f) 上記工程(e) で得られた溶出物を検体試料として使
    用することを特徴とする請求項1又は2記載の方法。
  4. 【請求項4】 測定が生化学的検査用自動分析機を用い
    て行われるもので、測定にあたり当該分析機への試料の
    供与量を、遠心分離機を用いて血液から調製された血清
    成分あるいは血漿成分からなる試料を供給する場合の量
    の1.5〜20倍量とすることを特徴とする請求項1〜
    3のいずれか一記載の方法。
  5. 【請求項5】 測定が生化学的検査用自動分析機を用い
    て行われるもので、測定にあたり当該分析機への試料の
    供与量を、遠心分離機を用いて血液から調製された血清
    成分あるいは血漿成分からなる試料を供給する場合の量
    の2〜20倍量とすることを特徴とする請求項1〜3の
    いずれか一記載の方法。
  6. 【請求項6】 測定が生化学的検査用自動分析機を用い
    て行われるもので、測定にあたり当該分析機への試料の
    供与量を、遠心分離機を用いて血液から調製された血清
    成分あるいは血漿成分からなる試料を供給する場合の量
    の4〜20倍量とすることを特徴とする請求項1〜3の
    いずれか一記載の方法。
  7. 【請求項7】 測定にあたり当該分析機への試料の供与
    量を、遠心分離機を用いて血液から調製された血清成分
    あるいは血漿成分からなる試料を供給する場合の量の4
    〜15倍量とすることを特徴とする請求項1〜3のいず
    れか一記載の方法。
  8. 【請求項8】 測定を行うにあたり、使用した検体試料
    中の総蛋白を求め、当該総蛋白のデータを用いて生化学
    的検査データを補正することを特徴とする請求項1〜7
    のいずれか一記載の方法。
  9. 【請求項9】 測定において、使用した検体試料の希釈
    倍率及び回収率から成る群から選ばれたものを求め、当
    該データを用いて生化学的検査データを補正することを
    特徴とする請求項1〜8のいずれか一記載の方法。
  10. 【請求項10】 血清検体と血清分離シート検体の相関
    から該回収率を求めることを特徴とする請求項9記載の
    方法。
  11. 【請求項11】 血清分離シートに適用される血液の量
    が、1〜15滴であることを特徴とする請求項1〜10
    のいずれか一記載の方法。
  12. 【請求項12】 血清分離シートに適用される血液の量
    が、1〜5滴であることを特徴とする請求項1〜10の
    いずれか一記載の方法。
  13. 【請求項13】 血清分離シートを1〜6枚使用するこ
    とを特徴とする請求項1〜12のいずれか一記載の方
    法。
  14. 【請求項14】 血清分離シートを1〜3枚使用するこ
    とを特徴とする請求項1〜12のいずれか一記載の方
    法。
  15. 【請求項15】 グリコヘモグロビン A1c検査を行うこ
    とを特徴とする請求項1〜14のいずれか一記載の方
    法。
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