JP3147560B2 - 多項目分析方法 - Google Patents

多項目分析方法

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JP3147560B2
JP3147560B2 JP00415393A JP415393A JP3147560B2 JP 3147560 B2 JP3147560 B2 JP 3147560B2 JP 00415393 A JP00415393 A JP 00415393A JP 415393 A JP415393 A JP 415393A JP 3147560 B2 JP3147560 B2 JP 3147560B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、臨床分析分野等におい
て少量の試料で多項目を測定でき、また、液体試料を採
取後分析までに時間がかかる場合等に有効な分析方法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】血液、尿等を検体として人の病気を診断
する方法は長く行われている。この方法の一つとして、
ウェットケミストリー分析法がある。これは、いわゆる
溶液試薬を用いる方法であって歴史も古く、多数の項目
について検出試薬も開発されており、測定機も簡易小型
機から大型全自動機まで各種ある。ウェットケミストリ
ーに使用される検体は、血漿、血清、尿等であつて、通
常全血をそのまま検体として使用することはない。
【0003】ウェットケミストリーでは、保存期間中は
試薬の安定性を考慮していくつかの群に分けておき、溶
解、調製時に混合することもできるし、試薬添加の手順
をいくつかのステップに分けることも可能である。更
に、測定検体の数に応じて、適量の試薬を溶解、調製し
ておくことができるので、1測定当り試薬コストも少な
くて済む。多数の溶液の取扱を組み合わせて自動化する
ことは複雑で厄介ではあるが、臨床検査機器の開発は歴
史もあり、社会的な要請も高かったので、既に大・中・
小いずれの処理能力を必要とする分野についても、効率
良い自動機器が開発、実用化されている。
【0004】一方、定性・定量分析に必要な全ての試薬
を試薬紙や多層分析フィルムのような分析要素の中に組
み込んだ、いわゆるドライケミストリー分析要素が多数
開発・商品化され、富士ドライケム(富士写真フィルム
(株)製)、エクタケム(米国、イーストマンコダック社
製)、ドライラボ(コニカ(株)製)、スポットケム(京
都第一化学(株)製)、レフロトロン(独国、ベーリンガ
ーマンハイム社製)、セラライザー(米国、マイルズラ
ボラトリー社製)等の名称で市販されている。これらド
ライケミストリー分析要素は、下記のような特徴を有す
る。 (1) 分析に必要な試薬が全て分析要素の中に組み込まれ
ている。 (2) 検体(通常は血清、血漿、尿、1部項目については
全血)を点着するだけで分析に必要な反応を起こす。
【0005】ドライケミストリー分析要素は、その利用
分野によって3種に大別される。 分類1:開業医、家庭等でのスクリーニグを目的として
おり、目視検査により定性(+/−)か半定量(5段階
程度)の結果が判別できるもの。 分類2:小型簡易操作を特徴とした測定機との組合せに
より、測定場所を比較的自由に選べるもの。緊急検査
室、小児病棟、開業医、小規模病院等で使用される。 分類3:全自動機を使用し、病院や検査センターのルー
チン測定に使用されるもの。 分析要素の構成や内容も上記分類に応じて異なる。
【0006】分類1に供される分析要素は、尿検査や血
糖試験紙に代表されるものであって、分析操作は簡便で
かつ機器も不要であるが、大雑把な判定(正常か異常か
等)が得られるのみであり、必要な場合には定量的な結
果が得られる他の分析手段により再測定されることを前
提としている。この方法による分析要素は、臨床検査技
師や医師、看護婦等の専門家による操作を前提としては
おらず、検体処理もしなくて良いように、尿や全血を直
接検体とすることができるのが普通である。
【0007】分類2に属するものは、定量分析を目的と
しており、機器による定量的な測定を前提としている。
操作そのものは、分類1程ではないが比較的簡単であっ
て、臨床検査技師等の専門家を前提とはしていない。検
体については、全血、血漿、血清、尿のいずれも使用で
きる分析要素が開発されつつあるが、全血で測定可能な
項目数はなお10数項目であって、比較的制限されてい
る。
【0008】分類3の全自動機に使用される検体は通常
血漿、血清、尿に限られており、全血を検体とすること
はできない。但し、測定可能な項目は順次増加してきて
おり、少なくとも40項目以上について分析要素が開発さ
れている。
【0009】また、本発明者はドライケミストリー分析
要素の保存方法として、液体試料の点着がされた分析要
素を、点着した液体試料の反応を停止・定着させた後、
分析装置にて分析するまでの間、実質的に水分と空気を
遮断した状態で保存することを特徴とする分析要素の保
存方法を既に開発した(特開平3−289543号公報)。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】上記のウェットケミス
トリー分析法とドライケミストリー分析要素共通の欠点
として検体の調製・供給の問題がある。ウェットケミス
トリー法では、透明溶液の透過測定を前提としているの
で、全血検体をそのまま測定試料とすることはできな
い。即ち、全血検体を採血後、遠心分離した上清の血漿
または血清をサンプルカップに移すか、または遠心分離
管そのものをサンプルカップの代わりに測定機にセツト
する等の方法が取られている。これらの操作を行う煩雑
さに加えて、赤血球の混入無しに確実にサンプリングす
るに十分な血漿または血清の確保という問題がある。
【0011】遠心分離後の血漿200μlを確保するため
には、通常1.5〜2mlの全血を必要とする。遠心分離や
その後の操作を注意深く行ったとしても、最少必要採血
量は500μl前後と推定される。一方、分析測定に必要
な試料の量は10μl/項目程度であるので、10項目テス
トしたとしても100μl、20項目テストしたとしても200
μlに過ぎない。病院等で実際に採血される量は2〜20
mlである。即ち、最終的に必要な血漿量の50〜100倍が
採血されている。
【0012】注射器を用いて血管に針を刺し、採血され
ることは健常者であっても精神的、肉体的に苦痛を伴う
ものであるが、体質的に血管が細く採血が困難な人や病
弱な患者については特に、採血に伴う苦痛は想像以上の
ものであり、更に繰り返し採血される患者にとっては、
採血量を最小限に抑えたいという願いは大きい。
【0013】また、病院の採血室あるいは開業医、診療
所では、全血を試験管や真空採血管に採取した後、その
ままであるいは冷蔵保存した状態で静置により血清を沈
降分離させて、中央検査室や検査センターに移送する。
あるいは、採取された血液は移送後に初めて遠心分離さ
れ、赤血球を始めとする有形成分と、分析試料となる血
漿もしくは血清とに分離される。この間、赤血球との共
存により分析に影響を与える生化学的反応の進行も考え
られるが、解糖阻止や抗凝固等、分析結果に極めて大き
い影響を与えることが知られている変動要因に対して対
策が取られているに過ぎない。
【0014】このようなことを考慮すれば、遠心分離は
採血直後に行うことが望ましいが、これは実行されてい
ないことも多い。というのは、血清を検体とする分析法
が歴史的に確立されてきたが、血清を得るには最低30分
〜1時間の放置による凝固反応の完結が必要であるこ
と、また、抗凝固剤を添加して遠心分離したとしても、
その後の分析機器による測定時間までの間に、検体によ
ってフイブリンの析出等が起こることがあり、これが分
析機器の分注シリンジやチューブ等の搬送系のトラブル
になり易いからである。
【0015】このため、採血後数時間以内には遠心分離
して血清検体を得ることが望ましいが、これは病院での
検査では可能であっても、検体の移送に時間を要する検
査センターでの測定対象とする場合には全くまちまちで
あり、1日以上経過してから分離されることも頻繁にあ
るのが実状である。
【0016】一方、ドライケミストリー分析要素は、便
利ではあるが反応に必要な全ての試薬を素子の中に組み
込まねばならず、用いられる試薬の特性が分析対象項目
によって1つづつ異なるので、処方開発及び製造条件の
最適化に多大の労力と時間、設備がかかるという大きな
問題点がある。
【0017】また、全ての試薬を含んでいるので、検体
を点着後、直ちに反応が進行する。これは検体の採取場
所と分析場所が異なったりして検体採取から分析までに
時間を要する場合には検体を変質させずに液体のまま保
存しなければならないことを意味し、上述した溶液法の
場合と同様手間がかかるばかりでなく技術的にも困難な
ことが多い。さらに、複数の分析項目を分析する場合に
は、分析項目の数だけ各分析要素に検体を点着しなけれ
ばならず、これは手間がかかるばかりでなく、必要検体
液量も多くなりがちである。
【0018】本発明の目的は、微量の液体試料、特に体
液試料を分析要素に一回供給するだけで十分な精度で多
項目の分析ができ、更に、試料供給後の分析要素を確実
に保存・移送できる多項目分析方法を提供することにあ
る。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、水
不浸透性支持体の上に、少なくとも親水性ポリマー層、
多孔性展開層がこの順に積層されている、測定試薬を含
まない多層分析要素に検体を点着し、乾燥後、少なくと
も該多孔性展開層を切断し、その後切断により分画され
た各部分にそれぞれ異なった検出反応を起こす測定試薬
を点着し、測定を行うことを特徴とする多項目分析方法
により達成された。
【0020】本発明で用いる多層分析要素の基本構成
は、水不浸透性支持体、親水性ポリマー層、血漿受容層
として働く多孔性展開層より成る。多孔性展開層は複数
の層から成っていても良く、又、この層の上に複数の層
から成っていても良い血球分離要素を有しても良い。
【0021】検体として全血を使用する場合には多孔性
展開層の上に血球分離要素を設けることが好ましい。血
球分離要素としては、特開昭62−138756〜8号公報、特
開平2−105043号公報、特開平3−16651号公報等に記
載された繊維質多孔性層と非繊維質多孔性層を部分的に
配置された接着剤で接着(部分接着)一体化したもの、
表面が親水化された弗素含有ポリマー、ポリスルホン等
の血球分離能を有する微多孔性層等を使用できる。これ
らの中で特に好ましいものは、血液点着側に繊維質多孔
性層を配置し、血漿受容層側に非繊維質多孔性層を配置
して両者を部分接着により一体化した血球分離要素であ
る。
【0022】繊維質多孔性層と非繊維質多孔性層を部分
的に配置された接着剤で接着(部分接着)一体化した血
球分離要素における非繊維多孔性層としては、特公昭53
−21677号、米国特許1,421,341号等に記載されたセルロ
ースエステル類、例えば、セルロースアセテート、セル
ロースアセテート/ブチレート、硝酸セルロースからな
るブラッシュポリマーの層が好ましい。6−ナイロン、
6,6−ナイロン等のポリアミド、ポリエチレン、ポリ
プロピレン、テフロン等の表面を親水化した微多孔性膜
でもよい。その他、特公昭53−21677号、特開昭55−908
59号等に記載された、ポリマー小粒子、ガラス粒子、け
い藻土等が親水性または非吸水性ポリマーで結合された
連続空隙をもつ多孔性層も利用できる。
【0023】非繊維多孔性層の有効孔径は0.8〜30μ
m、特に0.5〜5μmであることが好ましい。本発明で
非繊維多孔性層の有効孔径は、ASTM F316−70に準
拠した限界泡圧法(バブルポイント法)により測定した
孔径で示す。非繊維多孔性層が相分離法により作られた
いわゆるブラッシュ・ポリマーから成るメンブランフィ
ルターである場合、厚さ方向の液体通過経路は、膜の製
造の際の自由表面側(即ち光沢面)で最も狭くなってい
るのが普通で、液体通過経路の断面を円に近似したとき
の径孔は、自由表面の近くで最も小さくなっている。単
位の通過経路における厚さ方向に関する最小孔径は、さ
らにフィルターの面方向について分布を持っており、そ
の最大値が粒子に対するろ(濾)過性能を決定する。通
常、それは限界泡圧法で測定される。
【0024】上に述べたように、相分離法により作られ
たいわゆるブラッシュ・ポリマーから成るメンブランフ
ィルターでは、厚さ方向の液体通過経路は膜の製造の際
の自由表面側(即ち光沢面)で最も狭くなっている。本
発明の分析要素の非繊維多孔性層としてこの種の膜を用
いる場合には、支持体に近い側、即ち血漿受容層に面す
る側に、メンブランフィルターの光沢面を向けることが
好ましい。
【0025】繊維質多孔性層を構成する材料としては、
濾紙、不織布、織物生地(例えば平織生地)、編物生地
(例えば、トリコット編)、ガラス繊維濾紙等を用いる
ことができる。これらのうち織物、編物等が好ましい。
織物、編物等は特開昭57−66359号に記載されたような
グロー放電処理をしてもよい。
【0026】繊維質多孔性層は、液体試料の展開層とし
て利用されるので、液体計量作用を有する層であること
が好ましい。液体計量作用とは、その表面に点着供給さ
れた液体試料を、その中に含有している成分を実質的に
偏在させることなく、面の方向に単位面積当たりほぼ一
定量の割合で広げる作用である。展開層には、展開面
積、展開速度等を調節するため、特開昭60−222770号、
特開昭63−219397号、63−112999号、62−182652号に記
載したような親水性高分子あるいは界面活性剤を含有し
てもよい。
【0027】繊維質多孔性層の空隙体積(単位面積当た
り。以下同じ)は非繊維多孔性層と同じでもよいし、異
なってもよい。両者の空隙体積の関係を調整するには、
両者の空隙率または厚さを変えてもよいし、厚さと空隙
率の両方を変えてもよい。
【0028】表面が親水化された弗素含有ポリマー、ポ
リスルホン等の微多孔性層は、実質的に分析値に影響を
与える程には溶血することなく、全血から血球と血漿を
特異的に分離するので、繊維質多孔性膜と組み合わせる
ことなく単独でも、血球分離要素の材料として使用する
ことができる。その血球・血漿分離機構は明らかでない
が、この微多孔性層はその表面のみで血球をトラップす
る訳ではなく、弗素含有ポリマーからなる微多孔性層と
多孔性展開層をあわせた厚さ方向に浸透するに従って、
初めは大きな血球成分、後には小さな血球成分と徐々に
空隙構造にからめ、厚さ方向の全長にわたって血球を留
め除去していく、いわゆる体積濾過作用によるものと思
われる。
【0029】弗素含有ポリマーとしては、ポリビニリデ
ンフルオリドやポリテトラフルオロエチレンなどがあ
り、ポリテトラフルオロエチレンが好ましい。弗素含有
ポリマーからなる微多孔性層の微孔のサイズは、約0.2
μmから約60μm、好ましくは約0.5μmから約20μm
の範囲、更に好ましくは0.5〜5μmの範囲、空隙率は
約40%から約95%、好ましくは約50%から約80%の範
囲、層の厚さは約10μmから約200μm、好ましくは約3
0μmから約150μm、製造工程中でのしわ発生等の取り
扱い性を考慮すると、最も好ましくは約50μmから約12
0μmの範囲である。
【0030】弗素含有ポリマーの微多孔性層は特開昭57
−66359(US4783315)に記載の物理的活性化処理(好ま
しくはグロー放電処理又はコロナ放電処理)を微多孔性
層の少なくとも片面に施すことにより微多孔性層の表面
を親水化して、隣接する微多孔性展開層との部分接着に
用いられる接着剤の接着力を強化することができる。
【0031】これらの弗素含有ポリマーの微多孔性層と
しては、特表昭63−501594(WO 87/02267)に記載の
ポリテトラフルオロエチレンのフィブリル(微細繊維)
からなる微多孔性のマトリックス層(微多孔性層)、G
ore−Tex(W.L.Gore andAssociates社製)、Zite
x(Norton社製)、ポアフロン(住友電工社製)などが
ある。
【0032】孔径(微孔のサイズ)約0.1μmから約50
μm、層の厚さは約20μmから約400μmである。
【0033】構造としては、延伸しないもの、1軸延伸
したもの、2軸延伸したもの、1層構成の非ラミネート
タイプ、2層構成のラミネートタイプ、例えば繊維等の
他の膜構造物にラミネートした膜等がある。その他に、
US3368872、US3260413、特開昭53−92195(US4201
548)等に記載のポリテトラフルオロエチレンの微多孔性
膜、US3649505に記載のポリビニリデンフルオリドの
微多孔性膜などがある。
【0034】これらの弗素含有ポリマーの微多孔性膜の
うち、血球分離要素を構成する微多孔性層に特に適して
いるのは、孔径が実質的に赤血球を通さない程度に小さ
く、膜厚が薄く、空隙率が高いものである。具体的に
は、孔径が0.5〜5μm、膜厚10〜200μm、空隙率が少
なくとも70%以上有る膜が好ましい。
【0035】フィブリル構造又は一軸延伸もしくは二軸
延伸した非ラミネートタイプの微多孔性膜は延伸によ
り、空隙率が大きくかつ濾過長の短い微多孔膜が作られ
る。濾過長が短い微多孔膜では、血液中の有形成分(主
として赤血球)による目詰りが生じがたく、かつ血球と
血漿の分離に要する時間が短いので、定量分析精度が高
くなるという特徴がある。
【0036】これらの弗素含有ポリマーの微多孔性膜の
作成に当たっては、1種もしくは2種以上の弗素含有ポ
リマーを混合しても良いし、弗素を含まない1種もしく
は2種以上のポリマーや繊維と混合し、製膜したもので
あっても良い。
【0037】弗素含有ポリマーの微多孔性膜は、そのま
までは表面張力が低く分析要素の血球濾過層として用い
ようとしても、水性液体試料ははじかれてしまって膜の
表面や内部に拡散、浸透しないことは周知の事実であ
る。弗素含有ポリマーの微多孔性膜に親水性を付与し親
水性を高める手段としては、微多孔性膜の外部表面及び
内部の空隙の表面を実質的に親水化するに充分な量の界
面活性剤を弗素含有ポリマーの微多孔性膜に含浸させる
方法、弗素樹脂膜の構造中にカルボニル基や水酸基を化
学的に導入する等、公知の方法が挙げられる。
【0038】水性液体試料がはじかれることなく膜の表
面や内部に拡散、浸透、移送されるに充分な親水性を弗
素含有ポリマーの微多孔性膜に付与するには、一般に弗
素含有ポリマーの微多孔性膜の空隙体積の約0.01%から
約10%、好ましくは約0.1%から約5.0%、更に好ましく
は0.1%から1%の界面活性剤で微多孔性膜の空隙の表
面が被覆されることが必要である。例えば、厚さが50μ
mの弗素含有ポリマーの微多孔性膜の場合に、含浸され
る界面活性剤の量は、一般に0.05g/m2から2.5g/m2
範囲であることが好ましい。弗素含有ポリマーの微多孔
性膜に界面活性剤を含浸させる方法としては、界面活性
剤の低沸点(沸点約50℃から約120℃の範囲が好まし
い)の有機溶媒(例、アルコール、エステル、ケトン)
溶液に弗素含有ポリマーの微多孔性膜を浸漬し、溶液を
微多孔性膜の内部空隙に実質的に充分に行きわたらせた
後、微多孔性膜を溶液から静かに引き上げ、風(温風が
好ましい)を送り乾燥させる方法が一般的である。血球
濾過層を構成する微多孔性層に含有させる前処理試薬等
の成分とともに界面活性剤を弗素含有ポリマーの微多孔
性膜に含有させることもできる。
【0039】弗素含有ポリマーの微多孔性膜を親水性化
処理に用いられる界面活性剤としては、非イオン性(ノ
ニオン性)、陰イオン性(アニオン性)、陽イオン性
(カチオン性)、両性いずれの界面活性剤をも用いるこ
とができる。これらの界面活性剤のうちでは、ノニオン
性界面活性剤が、赤血球を溶血させる作用が比較的低い
ので、全血を検体とするための多層分析要素においては
有利である。ノニオン性界面活性剤としては、アルキル
フェノキシポリエトキシエタノール、アルキルポリエー
テルアルコール、ポリエチレングリコールモノエステ
ル、ポリエチレングリコールジエステル、高級アルコー
ルエチレンオキシド付加物(縮合物)、多価アルコール
エステルエチレンオキシド付加物(縮合物)、高級脂肪
酸アルカノールアミドなどがある。
【0040】ノニオン性界面活性剤の具体例として、次
のものがある。アルキルフェノキシポリエトキシエタノ
ールとしては、 イソオクチルフェノキシポリエトキシエタノール:(T
riton X−100:オキシエチレン単位平均9〜10含有) (Triton X−45:オキシエチレン単位平均5含有) ノニルフェノキシポリエトキシエタノール:(IGEP
AL CO−630:オキシエチレン単位平均9含有) (IGEPAL CO−710:オキシエチレン単位平均10
〜11含有) (LENEX 698:オキシエチレン単位平均9含有) アルキルポリエーテルアルコールとしては、 高級アルコール ポリオキシエチレン エーテル:(Tri
ton X−67:CA Registry No.59030−15−8)
【0041】弗素含有ポリマーの微多孔性膜は、その多
孔性空間に水不溶化した1種又は2種以上の水溶性高分
子を設けることによって親水化したものであってもよ
い。水溶性高分子の例として、酸素を含む炭化水素には
ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、ポリ
エチレングリコール、メチルセルロース、エチルセルロ
ース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピ
ルセルロース、窒素を含むものにはポリアクリルアミ
ド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアミン、ポリエ
チレンイミン、負電荷を有するものとしてポリアクリル
酸、ポリメタアクリル酸、ポリスチレンスルホン酸など
をあげることが出来る。不溶化は熱処理、アセタール化
処理、エステル化処理、重クロム酸カリによる化学反
応、電離性放射線による架橋反応等によって行えばよ
い。詳細は、特公昭56−2094号公報及び特公昭56−1618
7号公報に開示されている。
【0042】ポリスルホンの微多孔性膜は、ポリスルホ
ンをジオキサン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルム
アミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロ
リドンあるいはこれらの混合溶媒等に溶解して製膜原液
を作製し、これを支持体上に、又は直接凝固液中に流延
し洗浄、乾燥して行うことにより製造することができ
る。詳細は特開昭62−27006号公報に開示されている。
ポリスルホンの微多孔性膜は、そのほか特開昭56−1264
0号公報、特開昭56−86941号公報、特開昭56−154051号
公報等にも開示されており、それらも使用することがで
きる。ポリスルホンの微多孔性膜も弗素含有ポリマーと
同様界面活性剤を含有させ、あるいは水不溶化した水溶
性高分子を設けることによって親水化することができ
る。
【0043】表面が親水化された弗素含有ポリマー、ポ
リスルホン等の微多孔性層は単一で血球分離要素として
使用することもできるが、前述の繊維質多孔性層を組み
合わせることにより、血球分離能をさらに高めることが
できる。
【0044】血球分離要素で分離された血漿の受容層と
して働く多孔性展開層は、水性の検体に含有されている
成分を実質的に偏在させることなしに平面的に拡げ、単
位面積当りほぼ一定量の割合で親水性ポリマー層に供給
する機能を有する層である。多孔性展開層を構成する材
料としては、軟化点が50〜300℃程度、好ましくは60〜2
50℃程度の熱可塑性樹脂が好ましい。好ましい熱可塑性
材料としては、セルロースエステル類、例えばセルロー
スアセテート、セルロースアセテート/ブチレート、硝
酸セルロース等、ポリオレフィンン類、例えばポリエチ
レン、ポリプロピレン、ポリスチレン等、各種ナイロン
等のポリアミド類、ポリエチレンテレフタレート等のポ
リエステル類、等を挙げることができる。具体的には、
これまでドライケミストリー分析要素に使われている展
開層として公知の、非繊維質及び繊維質の多孔性材料の
中から適宜選択して用いることができる。例えば、特開
昭49−53888に開示されているメンブランフィルター
(ブラッシュドポリマー)に代表される非繊維性等方的
微多孔質媒体層、特開昭55−90859等に開示されたポリ
マーミクロビーズが水不膨潤性の接着剤で点接触状に接
着されて成る連続空隙含有三次元格子粒状構造物層に代
表される非繊維性多孔性層、特開昭55−164356、同57−
66359等に開示された織物布地からなる多孔性層、同60
−222769等に開示された編物布地からなる層、各種の濾
紙等を挙げることができるが、これらに限定されるもの
ではない。多孔性展開層は、後述する溶断が可能な範囲
で熱可塑性を有しない材料、例えば、酸化チタン、硫酸
バリウム等を含むことができる。
【0045】又、既述の表面が親水化された弗素含有ポ
リマーの微多孔性膜等も使用することができる。
【0046】多孔性展開層は、1層だけに限定する必要
はなく、特開昭61−4959、同62−138756、同62−13575
7、同62−138758等に開示されいてる様に、2層以上の
層を重ねて用いることができる。展開層を2層以上重ね
た多層分析要素については、検体の点着時には全層が積
層一体化されている構成をとることが必須であるが、そ
の後のプロセスでは一体化されている必要はない。必要
に応じて、第一の展開層と第二の展開層の間を剥離した
状態で使用することができる。
【0047】展開層中には、検体の展開を促進するため
に、ノニオン、アニオン、カチオンもしくは両性の界面
活性剤を含ませることができる。また、展開性をコント
ロールする目的で、親水性のポリマー等の展開制御剤を
含ませることができる。更に、目的とする検出反応を促
進する為の、あるいは干渉、妨害反応を低減、阻止する
為の各種試薬、もしくは試薬の1部を含ませることがで
きる。展開層の厚さは、20〜200μm、好ましくは50〜1
70μm、更に好ましくは80〜150μmである。
【0048】本発明で用いる分析要素は、分析項目等に
よっては上記の多孔性展開層が単に水不浸透性支持体に
積層されているだけでもよいが、多孔性展開層と支持体
の間に親水性ポリマー層を設けることによって分析項目
等の普遍性を飛躍的に高めることができる。
【0049】親水性ポリマー層には、これまでドライケ
ミストリー分析要素に使われている公知の水に可溶性、
膨潤性、親水性の各種ポリマーを用いることができる。
水吸収時の膨潤率が30℃で約150%から約2000%、好ま
しくは約250%から約1500%の範囲の天然又は合成親水
性ポリマーを使用することができ、具体的には、特開昭
59−171864、同60−108753等に開示されたゼラチン(例
えば、酸処理ゼラチン、脱イオンゼラチン等)、ゼラチ
ン誘導体(例えば、フタル化ゼラチン、ヒドロキシアク
リレートグラフトゼラチン等)、アガロース、プルラ
ン、プルラン誘導体、ポリアクリルアミド、ポリビニル
アルコール、ポリビニルピロリドン、ポリヒドロキシエ
チルアクリレート、ポリヒドロキシプロピルアクリレー
ト、叉はこれらを含む共重合体等を挙げることができる
が、これらに限定されるものではない。
【0050】親水性ポリマー層に代えて、親水性表面を
有する紙やポリマー多孔質膜を用いることもできる。親
水性ポリマー層の厚さは、乾燥時に約1μm〜約100μ
m、好ましくは約3μm〜約50μm、特に好ましくは約
5μm〜約30μmであり、実質的に均一な構造であるこ
とが好ましい。親水性ポリマー層中には、目的とする反
応を促進する、もしくは干渉、妨害反応を防止、低減す
るための各種試薬もしくは試薬の1部を含ませることが
できる。
【0051】水不浸透性支持体としては、これまでドラ
イケミストリー分析要素に使われている公知の水不浸透
性の支持体を用いることができる。具体的には、ポリエ
チレンテレフタレート、ビスフェノールAのポリカーボ
ネート、ポリスチレン、セルロースエステル(例えば、
セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、
セルロースアセテートプロピオネート等)等から成る厚
さ約50μm〜1mm、好ましくは約80μm〜約300μmの
透明フイルムを用いることができる。
【0052】支持体は、通常光透過性のものを用いる
が、展開層側から測定をする場合には、着色されていて
も、もしくは光不透過性であっても良い。支持体の表面
には、必要により公知の下塗層もしくは接着層を設け
て、親水性ポリマー層との接着を強固にすることができ
る。
【0053】ここで、本発明で使用する分析要素の一つ
の特徴である部分接着(多孔性接着)について説明す
る。部分接着とは、特開昭61−4959(EP0166365
A)、特開昭62−138756〜138758(EP0226465A)等
に記載の、2つの隣接する多孔性層同士又は隣接する多
孔性層と非孔性層との接着の態様であって、『隣接する
2層の界面の間に部分的(又は断続的)に配置された接
着剤によって実質的に密着され一体化されており、かつ
前記隣接する2面及びその間において液体の一様通過が
実質的に妨げられないように構成されている接着』であ
る。
【0054】本発明で使用する分析要素においては、血
球分離要素における繊維質多孔性層と非繊維質多孔性層
の間、血球分離能を有する微多孔性層と繊維質多孔性層
の間及び血球分離要素と多孔性展開層の間はいずれも部
分接着(多孔性接着)されていることが好ましい。例え
ば、多孔性展開層と血球分離要素の間を接着する場合に
は、接着剤を多孔性展開層に部分的に配置し、ついで血
球分離要素を一様に軽く圧力を加えながら貼りあわせる
のが一般的な方法である。逆に血球分離要素に接着剤を
部分的に配置し、ついで多孔性展開層を一様に軽く圧力
を加えながら貼りあわせることもできる。さらに、多孔
性展開層にする微多孔性シート状物に接着剤を部分的に
配置し、これに血球分離要素を一様に軽く圧力を加えな
がら貼りあわせ、あるいは逆に血球分離要素に接着剤を
部分的に配置し、ついで、多孔性展開層にする微多孔性
シート状物を一様に軽く圧力を加えながら貼りあわせた
後に、親水性ポリマー層に展開層にする微多孔性シート
状物を一様に貼りあわせることもできる。
【0055】接着剤を血球分離要素又は多孔性展開層に
部分的に配置する方法は特開昭61−4959、特開昭62−13
8756、特開昭64−23160(DE3721236A)等に記載の諸
種の方法によることができる。それらの諸方法のうちで
は印刷法による方法が好ましい。印刷法のうちで、接着
剤を印刷版(グラビア印刷版又は凹版が好ましい)ロー
ラーを用いて多孔性展開層又は血球分離要素に転写し付
着させる方法及び隣接する2層を貼りあわせる方法は、
例えば、日本印刷学会編『印刷工学便覧』(技報堂出版
(株)、1983年)839〜853頁等に記載の公知の装置及び方
法により実施することができる。
【0056】用いられる接着剤としては特開昭62−1387
56に記載の諸種の接着剤、そのほか前記の『印刷工学便
覧』839〜853頁等に記載の公知の接着剤を用いることが
できる。接着剤としては水溶媒型の接着剤、有機溶剤型
の接着剤、熱接着性(又は感熱性)接着剤を用いること
ができる。水溶媒型の接着剤の例として、澱粉糊等の水
性の糊;デキストリン、カルボキシメチルセルロース、
ポリビニルアルコール等の水溶液;酢酸ビニル−ブチル
アクリレート共重合体エマルジョンがある。有機溶剤型
の接着剤としては、溶剤の蒸発の遅いものが適する。熱
接着性(又は感熱性)接着剤は特に有用である。
【0057】熱接着性(又は感熱性)のホットメルト型
接着剤としては、「工業材料」26巻(11号)4〜5頁等
に記載のホットメルト型接着剤を用いることができる。
その例として、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレ
ン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸
共重合体等のエチレン共重合体;低分子量ポリエチレン
やアタクチックポリプロピレンのようなポリオレフィン
類;ナイロン等のポリアミド;ポリエステル系共重合
体;SBSなどのスチレンブロック共重合体のような熱
可塑性ゴム;スチレンブタジエンゴム、ブチルゴム、ウ
レタンゴム;ロジン、石油樹脂、テルペン樹脂;合成ワ
ックスがある。これらの中で、シリコーン系、アクリル
系、フェノール樹脂系の感圧型接着剤が、本発明におい
て特に有用である。
【0058】更に、検体を点着後に血球分離要素を剥離
除去する態様においては、展開層と血球分離要素とは接
着されている必要は無く、検体の拡散・浸透が定量的に
進行するように積層されていれば良いが、均一拡散を確
実にするために部分接着を行なうほうが好ましい。
【0059】本発明の分析方法においては、まず測定試
薬を含まない多層分析要素に検体を点着して検体を十分
に拡散展開させ、血球分離要素があるときには好ましく
はこれを剥離し、多層分析要素を乾燥し、試薬を点着す
る前に、少なくとも多孔性展開層を切断し、切断により
分画された各部分にそれぞれ異なった検出反応を起こす
測定試薬を点着し、測定を行うことを特徴としている。
【0060】検体は全血、血漿、血清等であり、点着量
は15〜50μl程度でよい。点着後は検体の拡散展開のた
め30秒〜1分程度放置する。
【0061】乾燥は、乾燥剤が存在する密閉容器内で40
℃以下で、被検物質が変性し易い場合には25℃以下、酵
素の様に不安定な化合物の場合には10℃以下、好ましく
は0℃以下で乾燥することが好ましい。この密閉容器に
は水、水蒸気等の不浸透性のプラスチック製の袋を用い
ることができる。具体的には、分析要素をファスナー付
きのビニール袋、蓋付きのプラスチック容器等に乾燥剤
と共に封入して上記温度以下に保つ。少なくとも点着後
1時間は25℃以下に保つことが好ましい。乾燥剤は公知
の吸湿剤の中から被検物質を実質的に変質させないもの
を適宜選択して用いれば良いが、安全性、脱水能力等か
らゼオライト、シリカゲルが好ましく、ゼオライトがよ
り好ましい。ゼオライト又はシリカゲル1g当り多層分
析要素を少なくとも4枚程度(上限は10枚程度)乾燥で
きる。形態としては、直径1〜3mm程度の粒子を透湿性
の良い袋、例えばポリエステル不織布製の袋、ナイロン
メッシュ製の袋等に入れる、等を挙げることができる。
乾燥時間は点着された液体試料の量・種類、乾燥剤の種
類・形状・容器の大きさ・分析要素との位置関係等によ
って異なる。通例1〜10時間程度、特に1〜3時間程度
で分析要素の水分の90%以上が乾燥剤により除去・脱水
されるような条件を設定することが実用上好ましい。こ
の乾燥時間は温度によっても大きく影響される。保存温
度が高いほど、即ち蒸気圧が高い程、乾燥時間は短くて
良い。また、冷蔵庫もしくは冷凍庫に放置して一度低温
に保った後1℃以上にして乾燥することもでる。この低
温乾燥法は、被検物質が酵素の場合にその変性劣化を防
止できるので特に有用である。
【0062】他の好ましい乾燥方法としては、特開平3
−28954号公報の第25頁第9行〜第28頁第6行、特に第2
7頁第13行〜第28頁第6行に詳細に記載されている、イ
ンキュベーションを挙げることができる。
【0063】この方法においては、検体が点着された分
析要素を、好ましくは、周囲が覆われた囲いの中に置い
た状態で加熱する。これにより、周囲の温度、湿度に影
響されることなく一定の乾燥状態となる。温度範囲は10
〜60℃、好ましくは20〜50℃、更に好ましくは30〜45℃
である。インキュベーション中の温度変動は±5℃、好
ましくは±3℃、更に好ましくは±1℃である。
【0064】この様な一定条件のインキュベーションを
行うのに適したインキュベータが実開平3−126499号公
報に記載されている。即ち、分析要素を要素の収納部に
設置した状態で加温手段にて加熱後、恒温に保持するイ
ンキュベータであって、該分析要素の収納部の上部に該
要素収納部を密閉することが可能で、かつ、着脱可能な
カバーを設けられ、該カバーで要素収納部を密閉した
際、要素収納部内方に生まれる空間の体積が、分析要素
の体積とほぼ一致する様に設計されたインキュベータで
ある。一定温度の乾燥風を一定条件で吹き付けても同様
に再現性の良い結果が得られるが、上記インキュベータ
に比べ高価となる欠点を有する。
【0065】インキュベーション法においは、安定化さ
せた後、測定試薬を供給するまでに長時間かかる場合、
例えば分析要素を病院等に郵送する場合等には、実質的
に水分と空気を遮断した状態に保存する必要がある。
【0066】この保存条件の詳細についても同様に、特
開平2−289543号公報の第28頁第12行〜第30頁第11行に
記載されている。例えば水分除去手段を設けた金属製の
箱、もしくは水分を透過させない有機ポリマーもしくは
金属等のフィルム、シート等からなる袋に密閉する方法
がある。
【0067】水分除去手段としては、公知の吸湿剤の中
から検体を実質的に変質させないものを適宜選択して封
入することができる。分析要素を袋に入れた後、空気を
十分にしごきだしても良い。
【0068】上記の、乾燥剤が存在する密閉容器内で乾
燥した場合には、そのままの状態で保存・移送をするこ
とができる。
【0069】ここで、「乾燥」とは、該親水性ポリマー
中で実質的に反応が進行しない、もしくは被検物質の劣
化が進行しない、状態であれば良い。従って、分析対象
によって異なり、例えば酵素を対象とする場合には、親
水性ポリマー中の水分は20%以下、好ましくは10%以
下、更に好ましくは5%以下であれば良い。ここで、水
分の%は、被検物質を含む水溶液を分析要素に点着した
時の水分量を100とした時の比率である。
【0070】次に、検体が点着され、乾燥・安定化され
た分析要素を密閉容器から取り出し、血球分離要素があ
るときはこれを剥離除去して、分画を行う。分画は、引
続き点着する複数の測定試薬の混合に起因する、測定精
度の低下を防止することを目的とする。
【0071】分画は、下記の方法を適宜選択することに
より行う。 1.少なくとも多孔性展開層を軟化点以上の温度に加熱
し、熱溶断する。 2.撥水性の化合物を用いる。 3.通常の刃物を用いて切り放す。 以下に、それぞれの方法について述べる。
【0072】本発明の方法における熱溶断溝は、溶断に
おいて多孔構造を熱融着を起こさせて破壊し、少なくと
も多孔性展開層における該溶断溝を越えた測定試薬の展
開を阻止するものである。従って、この熱溶断溝は一つ
の多層分析要素を複数区画に仕切るものであり、形状と
しては通常は略同形に、2〜16等分程度、好ましくは2
〜9等分程度、特に好ましくは2〜4等分程度にする。
熱溶断溝を形成する方法としては、分画する数に応じた
形状の、例えば4分画する場合には十文字型の、黄銅製
の刃を電気等を用いて加熱する、アルミニウム製の刃を
超音波発振装置に取り付けて振動エネルギーにより熱可
塑性樹脂の温度を上げる、等が挙げられる。加熱された
直刃、回転刃等を用いて十文字に溶断することもでき
る。いずれの場合も、刃の厚さは0.4〜2mm、好ましく
は0.6mm〜1.7mm、より好ましくは0.8〜1.3mm程度であ
る。刃が薄いと切断面の間隔が十分ではなく、厚すぎる
と熱可塑性樹脂の塊が残ることがあり好ましくない。
【0073】場合によっては、多孔性展開層の熱溶断の
みでは親水性ポリマー層を介して測定試薬が展開し、測
定精度を下げることがある。この際には、多孔性展開層
及び親水性ポリマーの軟化点以上の温度に上げて、多孔
性展開層から支持体に達する溶断溝を設ける。
【0074】撥水性の化合物を用いる分画としては以下
の方法が挙げられる。撥水性化合物としては、シリコー
ン、弗素化合物、等の他、一般に知られる不揮発性の有
機化合物を用いることができる。これらの化合物は、水
叉は有機溶媒に分散・溶解等されていても良く、グラビ
ア印刷、シルクスクリーン印刷、筆を用いて塗る、細い
チューブの先端から押し出す等の方法により、展開層を
処理する。この時重要なのは、これらの疎水性化合物が
単に該展開層の表面のみを疎水化するのではなく、厚み
方向及び幅方向に十分な量が浸透していることであり、
化合物や溶液の粘度を選択する。幅は0.1〜2mm、好ま
しくは0.5〜1mmである。
【0075】刃物を用いる分画は通常の切断を行う方法
で良い。この場合は、水不浸透性支持体まで切断するこ
とも可能である。
【0076】撥水性の化合物を用いる分画、刃物を用い
る分画は、多孔性展開層として弗素含有化合物等の、熱
溶断が容易ではない素材を用いる時に特に有用である。
【0077】これらの分画された分析要素を用いて、以
下の方法により分析を行う。分析要素の分画された各区
画に、分析すべき項目に対応した測定試薬溶液(2〜10
μl程度)を供給して反応を起こさせる。この反応を、
ドライケミストリーの分野で公知の方法(反射濃度測
光、色変化、蛍光測定、発光測定等)で測定し、検体中
に含まれる成分を定量する。
【0078】分析すべき項目に対応した測定試薬溶液と
しては、ウェットケミストリーで公知の試薬溶液を用い
ることができる。これらは分析対象成分と反応して、主
として光学的測定方法により検出できる変化、例えば色
変化、発色(呈色)、蛍光、発光、紫外線領域における
吸収波長の変化、混濁発生等の変化を生じさせる。
【0079】ドライケミストリーの測定法としては、通
常反射光学系が用いられる。本発明の方法においても、
分析要素の水不浸透性支持体を通して測光する方法が最
も適用範囲が広いが、検体が全血ではない場合や検体供
給後に血球分離要素を除去して測定する場合等には、透
過測光方式により測定することができる。また、水不浸
透性支持体が不透明な場合には、支持体の反対側から測
定することもできる。
【0080】次に、被検物質について説明する。本願発
明においては、対象とする被検物質は特に限定されな
い。通常臨床検査の分野で測定される酵素、脂質、無機
イオン、代謝産物、蛋白質等の他、各種グロブリン、免
疫抗原、免疫抗体等の生体由来成分、薬物、ホルモン、
腫瘍マーカー、DNA、RNA等、分析方法さえ確立し
ていれば、分析対象とすることができる。
【0081】本発明において使用する分析要素は、測定
の対象となる項目もしくは検体によって、以下に記載す
る種々の構成を取ることができる。
【0082】1:水不浸透性支持体/親水性ポリマー層
/展開層なる構成の分析要素。 血漿・血清・尿等、赤血球等の強く着色した粒子成分を
多量に含有しない検体溶液を対象とする。又は、赤血球
やヘモグロビンそのものを分析対象とする場合に有効で
ある。
【0083】2:水不浸透性支持体/親水性ポリマー層
/展開層/血球分離要素なる構成の分析要素。 血球分離要素を有する分析要素は、全血等の様に着色粒
子を含んだ体液を検体とする分析の場合に有効である。
GOT(グルタミン酸オキザロ酢酸トランスアミナー
ゼ)、GPT(グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナ
ーゼ)、γ−GTP(γ−グルタミルトランスペプチタ
ーゼ、略号GGT)、グルコース、LDH(乳酸脱水素
酵素)、CPK(クレアチンホスホキナーゼ)、TP
(総蛋白質)、Alb(アルブミン)、TCHO(総コレ
ステロール)、UA(尿酸)、BUN(尿素窒素)、中
性脂肪、Na、K、Ca、Cl、P、Mg等の無機イオ
ン等を対象項目とする分析に有効である。
【0084】3:水不浸透性支持体/親水性ポリマー層
/展開層/血球分離要素なる構成で、親水性ポリマー層
及び/又は展開層中に色原体を含む分析要素。 色原体としては、Ann. Clin. Biochem., 6, 24〜27
(1969)に記載の4−アミノアンチピリン(別名4−ア
ミノフェナゾン、すなわち1−フェニル−2,3−ジメ
チル−4−アミノ−3−ピラゾリン−5−オン)、特開
昭59−54962等に記載の1−(2,4,6−トリクロロフ
ェニル)−2,3−ジメチル−4−アミノ−3−ピラゾ
リン−5−オン、1−(3,5−ジクロロフェニル)−
2,3−ジメチル−4−アミノ−3−ピラゾリン−5−
オン等のトリ置換−4−アミノ−3−ピラゾリン−5−
オン、特公昭55−25840等に記載の1−フェニル−2,3
−ジメチル−4−ジメチルアミノ−3−ピラゾリン−5
−オン等の4−アミノアンチピリン類似体を用いること
ができる。これらの化合物のうちでは、4−アミノアン
チピリン、1−(2,4,6−トリクロロフェニル)−
2,3−ジメチル−4−アミノ−3−ピラゾリン−5−
オン、1−(3,5−ジクロロフェニル)−2,3−ジメ
チル−4−アミノ−3−ピラゾリン−5−オン等が好ま
しい。
【0085】4:水不浸透性支持体/親水性ポリマー層
/展開層/血球分離要素なる構成で、親水性ポリマー層
及び/又は展開層中に、色原体及びその他の試薬(後述
する、測定試薬を除く)を含む分析要素。 その他の試薬としては、POD(ペルオキシダーゼ)、
NAD(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)、N
ADP(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドフオス
フェート)、DIP(ジアフオラーゼ)等が挙げられ
る。
【0086】上記3及び4の構成において、色原体もし
くはその他の試薬は、液体試料を供給・安定化後に供給
することが可能だが、色原体の多くは水不溶性のため測
定試薬とは別に供給する必要があること、これら色原体
やその他試薬を層の中に初めから含ませて製造する方が
再現性が良いこと等の利点がある。
【0087】5:媒染層を含む分析要素。 呈色試薬がイオン性染料を形成する場合には、水不浸透
性支持体と試薬層との間に媒染層を設けることができ
る。検体中の被検物質の量に比例して生成する色素を媒
染層に移行・トラップすることにより、光学的な検出の
効率を高めることができる。
【0088】例えば、呈色色素がカチオン性の染料を形
成する場合には、媒染層として高分子鎖に結合したアニ
オン原子もしくは原子団を含むポリマーを含有する親水
性ポリマー層を、また呈色試薬がアニオン性の染料を形
成する場合には、媒染層として高分子鎖に結合したカチ
オン原子もしくは原子団を含むポリマーを含有する親水
性ポリマー層を用いることができる。
【0089】これらの媒染性ポリマーの詳細については
特公平2−30466、特開昭51−40191、同54−29700、同5
3−131089等に記載されている。例えば、アニオン媒染
性高分子としては、特公平2−30466号公報第13〜第14
欄に記載されているメチルビニルエーテル−無水マレイ
ン酸共重合体のアルカリ加水分解物、ポリスチレン−p
−スルホン酸のアルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金
属塩、スチレン−p−スルホン酸と親水性ビニルモノマ
ーとの共重合体のアルカリ金属塩もしくはアルカリ土類
金属塩等が挙げられる。更に、これらの高分子を含有さ
せることのできる層等についても、同公報の第15〜16欄
に詳細な記載がある。
【0090】6:上記1〜5の構成において、親水性ポ
リマー層と展開層の間に、光遮蔽層を設けた分析要素。
血球分離要素を除去しなくても全血を検体とすることが
できる。光遮蔽層は、光遮蔽性又は光遮蔽性と光反射性
を兼ね備えた微粒子又は微粉末(以下、単に微粒子とい
う)が少量の被膜形成能を有する親水性ポリマーバイン
ダーに分散保持されている水透過性又は水浸透性の層で
ある。光遮蔽層は検出可能な変化(色変化、発色等)を
光透過性支持体側から反射測光する際に、供給された水
性液体試料の色、特に全血試料に含まれるヘモグロビン
の赤色等を遮蔽するとともに光反射層又は背景層として
も機能する。
【0091】光遮蔽性と光反射性とを兼ね備えた微粒子
の例として二酸化チタン微粒子(ルチル型、アナターゼ
型又はブルカイト型の粒子径約0.1μmから約1.2μmの
微結晶粒子等)、硫酸バリウム微粒子、アルミニウム微
粒子又は微小フレーク等があり、光遮蔽性微粒子の例と
してカーボンブラック、ガスブラック、カーボンミクロ
ビーズ等があり、これらのうちで二酸化チタン微粒子、
硫酸バリウム微粒子が好ましい。
【0092】被膜形成能を有する親水性ポリマーバイン
ダーとしては、前記親水性ポリマーのほかに弱親水性の
再生セルロース、セルロースアセテート等があり、これ
らのうちではゼラチン、ゼラチン誘導体、ポリビニルア
ルコール、ポリアクリルアミド、マレイン酸共重合体等
が好ましい。ゼラチン、ゼラチン誘導体は公知の硬化剤
(架橋剤)を混合して用いることができる。
【0093】7:上記1〜5の構成において、親水性ポ
リマー層と展開層の間に、水不浸透性で且つ気体透過性
の層(以下、バリア層と称する)を設けた分析要素。 反応によりアンモニアガスを発生するBUN(尿素窒
素)、CRE(クレアチニン)、及びCO2等の分析に
有効である。全血・血漿のいずれも、検体として使用で
きる。バリア層としては、特開昭52−3488に開示された
一様なポリマーの塗布層、同58−77661に開示されたメ
ンブランフィター等を使用することができる。
【0094】本発明の方法においては、1つの分析要素
の上に検体を点着した後、複数の区画に分画するのであ
るから、上記1〜7の構成の異なる分析要素を測定項目
に合わせて混合して使用することはできない。このた
め、分析対象項目が同じでも、異なる反応系を利用する
ことがある。例えば、同じBUNを測定する場合でも、
2の構成の分析要素を用いるときと、7の構成の分析要
素を用いる場合とでは、異なる処方の測定試薬を使用す
る。
【0095】本発明において、測定試薬とは、分析対象
である被検物質と直接反応して化学変化を生ぜしめる試
薬を指す。即ち、酵素が被検物質である場合にはその基
質、被検物質が抗原(抗体)である場合には抗体(抗
原)であり、被検物質が脂質、糖、代謝産物であって酵
素によって検出可能な変化を生ずる化合物である場合に
はその酵素である。また、これらの反応が酵素以外の化
学試薬による一般の化学反応によつて起こされる場合に
は該当する化学物質を言う。以下に具体例を挙げて説明
する。
【0096】被検物質が酵素であるGOTの場合には、
その基質であるアスパラギン酸とα−ケトグルタール
酸、アミラーゼであれば高分子量の澱粉もしくは低分子
量のオリゴサッカライド、GGTであればL−γ−グル
タミルパラニトロアニリド、ALPであればパラニトロ
フェニルフオスフェートである。
【0097】また、グルコースであればグルコースオキ
シダーゼ、尿酸であればウリカーゼ、コレステロールで
あればコレステロールエステラーゼもしくはコレステロ
ールオキシダーゼ、中性脂肪であればリパーゼもしくは
エステラーゼ、尿素であればウレアーゼ等である。
【0098】分析対象が蛋白質、アルブミン、Ca、無
機リン等、被検物質と指示薬等とが直接反応して検出可
能な変化を生ずる場合には指示薬を指す。
【0099】本発明の目的の一つは、従来のドライケミ
ストリーの欠点である、分析要素の保存中に起こる検出
試薬の劣化を起こさせないことにあるので、上記の反応
系中に組み込まれる反応試薬が酵素のように不安定なも
のである場合には、これらも測定試薬の中に含ませるこ
とが好ましい。
【0100】即ち、測定試薬溶液中に含めるべき試薬
と、分析要素中に含めるべき試薬との分配に関しては、
分析性能や保存安定性を指標として様々に変えることが
できる。分析対象が一つであっても、検出反応系組立に
よつて上記の分配が異なるのは勿論である。
【0101】測定試薬の中には、反応を安定に再現性良
く進行させるために、pHやイオン強度を調節する、分
析要素を構成する材料への拡散・浸透を良くする、含有
する酵素等の不安定性を改善する、等の目的で各種試薬
を含ませることができる。
【0102】また、測定試薬の中には検出反応と競合す
る反応を阻害するための試薬を含ませることもできる。
この様な試薬としては、例えば、ビリルビンオキシダー
ゼやアスコルビン酸オキシダーゼ等がある。更に、アイ
ソザイム検出の為に特定の生物に由来する酵素を阻害す
る化合物、例えばP型アミラーゼの阻害剤等を含ませる
ことができる。更に、全血測定では、ヘモグロビンのカ
タラーゼ活性の阻害剤として有効なNaN3等を添加する
こともできる。
【0103】本発明の分析要素を用いた測定方法の一例
を図1に示す。同図に示すように、この分析要素には多
孔性展開層の上に血球分離要素を有するものが用いられ
ており、該分析要素は4隅に分析要素の固定片を有する
プラスチックマウントに収容されている。被検者等が採
血して分析要素の血球分離要素の上に点着し、血漿が多
孔性展開層に充分に展開するのを待つ。次いで、血球分
離要素を剥離除去し、乾燥剤が存在する密閉容器内で所
定の温度で乾燥し、測定機器が設置されている場所に移
送する。そこでは分析要素を取り出して、まず既述の方
法により熱溶断溝を形成して4つに区分する。この分析
要素をアナライザーの点着ステーションに設置し、各区
画に測定試薬を点着する。図面では4つの区画にグルコ
ース、尿素窒素、コレステロール及び尿酸測定試薬をそ
れぞれ点着している。点着が終了したら分析要素を設置
しているテーブルを1/4回転させ、インキュベータ部
で反応させる。その間点着ステーションには次の分析要
素が設置され試薬の点着が行なわれる。インキュベータ
部でインキュベーションが行なわれた分析要素はテーブ
ルをさらに1/4回転させ次の待機部に移り、次いで1
/4回転させて測光ステーションで4つの区画の発色が
同時に測光され、測光の終了した分析要素はテーブルか
ら排出される。
【0104】測定は各区画ごとに逐次行なってもよい
が、複数の、好ましくは全ての区画に同時に測定試薬を
点着し、インキュベートし、次いでそれぞれの測定項目
に対応した波長で同時に測光できるようにしておくこと
もできる。
【0105】本願発明の分析方法は、既述の分類1〜分
類3に対応するいずれの分野においても有効に利用する
ことができる。検体として血液を用いる場合には、分析
要素はごく微量の血液しか必要としないので、毛細管ピ
ペット等の適当な器具を用いて採血することができ、分
析要素は全血に対応していて、そのまま測定用液体試料
とすることができる。更に、必要に応じて乾燥後の分析
要素を、郵便、宅配便等で移送することが可能であり、
在宅ケアの臨床医学検査においても有効である。
【0106】
【実施例】
実施例1 1.多層分析スライドの作製 1−1:血漿受容要素の作製 ゼラチン下塗りされている厚さ180μmのポリエチレン
テレフタレート(PET)無色透明平滑シートの上に下
記の成分から成る吸水層を乾燥後の厚さが15μmになる
ように塗布し、乾燥した。 脱イオンゼラチン 20g p−ノニルフェノキシポリグリシドール 1.5g (平均10グリシドール単位含有) ビス[(ビニルスルホニルメチルカルボニル)アミノ]メタン 220mg 次にこの層の上に下記の成分から成る接着層を乾燥後の
厚さが1μmになるように水溶液から塗布し、乾燥させ
て接着層を形成した。 脱イオンゼラチン 4.0g p−ノニルフェノキシポリグリシドール 430mg (平均10グリシドール単位含有) 次に接着層の上に約30g/m2の割合で水を供給して全
面をほぼ一様に湿潤させ、PET製ブロード織物布地
(厚さ約150μm、空隙体積9.8μL/m2)を軽く圧力
をかけてラミネートして接着させ、乾燥させた。次にこ
の布に下記の組成の水溶液を100mL/m2の割合でほぼ
一様に塗布し、乾燥させて血漿受容要素を完成させた。 ヒドロキシプロピルメチルセルロース 8.7g (メトキシ基28〜30%、ヒドロキシプロピル基7〜12%含有。 2%水溶液での20℃での溶液粘度が50cps) オクチルフェノキシポリエトキシエタノール 27g (平均10オキシエチレン単位含有) 水 964.3g
【0107】1−2:血球分離要素の作製 50デニール相当のPET紡績糸を36ゲージ編みしたトリ
コット編物布地(厚さ約250μm)に、下記組成の水溶
液を含浸し、乾燥させた。 ポリエチレングリコール(平均分子量5万) 2.0g 四硼酸ナトリウム 2.0g 水 96g 次に上記含浸済みトリコット編物布地を80℃に加熱し、
その表面に130℃に加熱し溶融したホットメルト型接着
剤(新田ゼラチン製、H950)を、グラビア印刷法によ
りグラビアローラーからの転写によりドット状に付着さ
せた。グラビアローラーのドットパターンは、ドット直
径0.3mmの円、ドットの中心間距離0.6mm、ドット面積率
約20%である。付着した接着剤の量は約2g/m2であ
った。次いで、接着剤が転写された直後の高温の布地の
表面に、有効孔径3.0μm、厚さ140μm、空隙率約80%
のセルロースアセテートメンブランフィルターの非光沢
面を向かい合わせてラミネートローラーの間を通し、両
者をラミネートして接着一体化(部分接着)し血球分離
要素を作成した。
【0108】1−3:多層分析要素の作製 この血球分離要素を1−2の工程と同様のグラビア印刷
法による部分接着法により1−1の工程で作成した分析
要素の下地に接着し、一体化させた。即ち、1−2の工
程と同様にして、血球分離要素のメンブランフイルター
の表面に加熱し溶融したホットメルト型接着剤(新田ゼ
ラチン製、H950)をグラビア印刷法によりドット状に
付着させた後、直ちに1−1の工程で作成した血漿受容
要素の下地のブロード織物布地面側と向かい合わせ、両
者をラミネートローラーの間を通し、ラミネートして接
着一体化した。
【0109】1−4:多層分析スライドの完成 完成した多層分析要素を一辺15mmの正方形チップに裁断
し、特開昭57−63452に記載の有機ポリマー製スライド
枠に収めて、富士ドライケム5500アナライザー(富士写
真フイルム(株)製)で測定可能な形状の多層分析スライ
ドを完成した。
【0110】2.測定 2−1:検体の調整 ヘパリン入り健常者全血20mlを採取し、その一部を取っ
て遠心分離し血球成分と血漿成分に分離した。血漿成分
の一部を成分濃度既知のコントロール血清(富士ドライ
ケムコントロールLH)と置換して成分濃度を調整し
た。血球成分とコントロール血清で置換した血漿とを再
び混合することにより成分濃度の調整された全血を再構
成した。
【0111】2−2:検体の点着 上記の多層分析スライドの上に採血したままの全血を、
また他の上記スライドの上に検量線作製用に2−1で調
製した全血をそれぞれ30μlづつ点着し、室温で30秒放
置後ピンセットにて血球分離要素を血漿受容要素から剥
離除去した。
【0112】2−3:脱水乾燥 2−2で得た分析スライドを、ポリエステル不織布で作
られた透湿性の袋に入れた、粒径約1mmの顆粒状ゼオラ
イト(新越化成工業(株))2gと共に5cmX7cmの防湿
性アルミニウム箔をラミネートしたポリエチレンの小袋
に入れ、密封して室温にて3時間保存した。
【0113】2−4:加熱刃による溶断 黄銅製のブロックを加工し先端に縦15mm、横15mmの十字
型で、厚さ1mmの刃を有する熱溶断ヘッドを作成し、半
田ごての先端に取り付けた。スライダックにより電源電
圧を制御することで熱溶断ヘッドの加熱温度を調節でき
るようにした。2−3で作成した乾燥後のスライドに溶
断ヘッドを当て、260℃で2秒加熱することにより、展
開層及び吸水層の全部とPET支持体の一部を溶断し
て、4つの区画(No.1〜4)に分けた。
【0114】2−5:測定試薬溶液の調整 下記処方からなるグルコース(GLU)、尿素窒素(B
UN)、コレステロール(TCHO)及び尿酸(UA)
の各測定試薬溶液を調整した。 GLU用測定試薬 2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸 213mg p−ノニルフェノキシポリグリシドール 800mg (平均10グリシドール単位含有) ジヒドロキシナフタレン 110mg 4−アミノアンチピリン 140mg グルコースオキシダーゼ 1300U ペルオキシダーゼ 5000U 蒸留水 10.0ml
【0115】 BUN用測定試薬 Triton−X 100(ローム アンド ハース社製) 2g o−フタルアルデヒド 2g N−1−ナフチル−N'−ジエチルエチレンジアミン蓚酸 820mg 蒸留水 10ml
【0116】 TCHO用測定試薬 コレステロールエステラーゼ 987U コレステロールオキシダーゼ 600U ペルオキシダーゼ 6614U Triton X−100(ローム アンド ハース社製) 0.5g 2−(3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシフェニル)− 4−[4−(ジメチルアミノ)フェニル]−5−フェネチルイミダゾール 30mg 下記処方のバッファー液 10ml 燐酸・2カリウム870.9mgを蒸留水100mlに溶解した液50mlに、燐酸・1カ リウム・2水素680.5mgを蒸留水100mlに溶解した液を加えてpH7.5に調 整した液。
【0117】 UA用測定試薬 ウリカーゼ 145U ペルオキシダーゼ 6794U Triton X−100(ローム アンド ハース社製) 0.5g 2−(3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシフェニル)− 4−[4−(ジメチルアミノ)フェニル]−5−フェネチルイミダゾール 30mg 硼酸 0.15M 10ml
【0118】2−6:測定試薬の点着と測定 2−4で作製した4分画スライドの区画No.1、2、
3、4に、それぞれ2−5で調整したGLU、BUN、
TCHO及びUAの測定試薬溶液の5μlを点着した。
この際、スライドの展開層を構成する糸の断面は完全に
溶着しており、試薬溶液が滲み出すことは無かった。ま
た、吸水層からの液の滲み出しも無かった。発色反応を
起こしたスライドを37℃で6分間インキュベートし、測
光ビームヘッドを調整してビーム径を4mmに絞った富
士ドライケム5500アナライザーを用いて、それぞれの発
色に相当する波長で反射光学濃度を測定した。各成分濃
度と反射光学濃度との関係を検量線としてそれぞれの成
分濃度を算出したところ、GLU=103mg/dL、BUN
=21mg/dL、TCHO=157mg/dL、UA=4.6mg/dLで
あった。同じ無処理全血の1部を遠心分離して、日立71
50を用いて各成分濃度を測定したところ、結果は、GL
U=101mg/dL、BUN=20mg/dL、TCHO=154mg/
dL、UA=4.3mg/dLであり、本発明の方法によって得
られた値が実用に供しえる正確度を有していることが確
認された。
【0119】2−7:繰り返し再現性 上記と同様の操作を10回繰り返して、繰り返し再現性を
調べた。変動係数CV(%)はそれぞれ、GLU=4.
2、BUN=5.1、TCHO=3.7、UA=2.8であり、十
分精密度の高い測定法であることが判った。
【0120】実施例2 以下の、超音波を用いた方法でスライドを溶断した以外
は、実施例1と同様の方法を繰り返したところ、同様の
良好な結果を得た。 溶断刃 実施例1と同じ形状のアルミ製
ヘッド 超音波発振装置装置 BRANSON 超音波発振装
置8700 WELD TIME 0.125秒にセット HOLD TIME 0.2秒にセット
【0121】実施例3 1.多層分析スライドの作成 1−1:多層フィルムの作製 実施例1と同様の支持体の上に下記処方の吸水層を設け
た。(乾燥重量) ポリビニルアルコール PVA KL506 23.8g/m2 ((株)クラレ製) エポキシ系架橋剤 アラルダイト DY022 0.8g/m2 (チバガイギー社製) 界面活性剤 サーファクタント 10G 2.0g/m2 (オーリン社製) 次に、2%の界面活性剤(オーリン社製 サーファクタ
ント 10G)を20ml/m2の塗布量になるように均一に
塗布し、吸水層を膨潤させた状態で、表 面を親水化処
理した厚さ150μmのポリエステル製平織物((株)ク
ラレ製)を均一にラミネート接着し、乾燥した。更に、
24gのヒドロキシプロピルセルローズ(信越化学製)と
4gのノニオン界面活性剤(日本油脂(株)製HS24
0)を含む水溶液1600gを調製し、250g/m2の塗布量
で平織物の上に均一に塗布・乾燥し、多層フィルムを
完成した。
【0122】1−2:多層分析スライドの作成 実施例1の1−4と同様にして、1−1で作製した多層
フィルムをプラスチック枠に組み込んで、分析スライド
を完成した。
【0123】2.測定 2−1:検体の調整 実施例1の2−1と同様にして、血漿成分、及び成分濃
度を調整した血漿成分を得た。
【0124】2−2:検体の点着 1−2に記載した多層分析スライドの上に、遠心分離し
て得た血漿成分を、また他の上記スライドの上に2−1
で調製した血漿成分を、それぞれ20μlづつ点着した。
【0125】2−3:脱水乾燥 2−2で得た分析スライドを、実開平3−126499号公報
に記載の定温乾燥器を用い、同公報に記載の条件で脱水
乾燥した。
【0126】2−4:加熱刃による溶断 実施例1の2−4と同様にして、4つの区画(No.1〜
4)に分けた。
【0127】2−5:測定試薬溶液の調整 下記処方の測定試薬溶液を調製した。 TP 硫酸銅・5水和物 3.5g 酒石酸 2.3g 水酸化リチウム 3.8g セチルメチルアンモニウムブロマイド 100mg 水 10ml
【0128】 Alb ブロモクレゾールグリーン 85mg Triton−X 100(ローム アンド ハース社製) 100mg クエン酸0.2M水溶液(pH3.5) 10ml
【0129】 GGT L−α−グルタミル−3−カルボキシ−パラニトロアニリン 58.5mg グリシルグリシン 156mg 2Nトリス塩酸バッファー(pH8.1) 10ml
【0130】 GOT トリスヒドロキシエチルアミノメタン 84mg 燐酸・1カリウム・2水素 104mg L−アスパラギン酸 431mg α−ケトグルタール酸 93mg 20%MgCl2 273μl POD 343IU TPP(コカルボキシラーゼ) 21mg FAD(フラビンアデニンジヌクレオチド) 5mg オキザロ酢酸デハイドラーゼ 24U POPG(ピルビン酸オキシダーゼ) 3088U 2−(3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシフェニル)− 4−[4−(ジメチルアミノ)フェニル]−5−フェネチルイミダゾール 54mg 1N NaOH 3.4ml 蒸留水 6.6ml
【0131】2−6:測定試薬の点着と測定 2−4で得た、4分画された分析要素のNo.1〜No.4
に、TP、Alb、GOT、GGT用測定試薬溶液をそれ
ぞれ5μlづつ点着した後、実施例1の2−5に記載し
た方法と同様にして、インキュベートし、測光した。採
血した全血から分離して得た血漿についての本発明の方
法による測定値、及び同じ血漿検体を日立7150アナライ
ザーで測定して得た値を表1に示す。
【0132】
【表1】
【0133】この結果から、本発明の方法によって得ら
れた値が実用に供しえる正確度を有していることが判っ
た。
【0134】2−7:繰り返し再現性 上記と同様の操作を10回繰り返して、繰り返し再現性を
調べた。結果は表2の通りであり、十分精密度の高い測
定法であることが判った。
【0135】
【表2】
【0136】実施例4 実施例3で作製したのと同様の分析スライドを用いて、
以下の実験及び評価を行った。血漿受容要素に10μlの
血漿を点着し、直ちに乾燥剤(2gのゼオライト)と共
に実施例1と同様にして密封し、室温(約20℃)に放置
した。一定時間放置した後、血漿受容要素中の水分量を
ガスクロマトグラフィーを用いて測定し、同時に、実施
例1及び3と同様にして、Glu濃度及びGOT活性を測
定した。結果を表3に示す。
【0137】
【表3】
【0138】いずれの場合にも、放置1時間以降、7日
間にわたって、安定性の優れた分析結果が得られること
が判った。
【0139】
【発明の効果】本発明の分析方法によれば、微量の液体
試料、特に体液試料を用いて容易に多項目の測定ができ
る。また、これら検体を点着した分析要素を確実に保存
・移送でき、十分な分析精度で多項目を測定することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施態様を説明する図である。
フロントページの続き (72)発明者 小川 雅司 埼玉県朝霞市泉水三丁目11番46号 富士 写真フイルム株式会社内 (56)参考文献 特開 平5−80049(JP,A) 特開 平5−273207(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 33/48 - 33/98 G01N 31/22

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水不浸透性支持体の上に、少なくとも親
    水性ポリマー層、多孔性展開層がこの順に積層されてい
    る、測定試薬を含まない多層分析要素に検体を点着し、
    乾燥後、少なくとも該多孔性展開層を分画し、その後分
    画された各部分にそれぞれ異なった検出反応を起こす測
    定試薬を点着し、測定を行うことを特徴とする多項目分
    析方法。
  2. 【請求項2】 請求項1において、該多孔性展開層が熱
    可塑性樹脂からなり、前記分画が該熱可塑性樹脂の軟化
    点以上の温度に加熱して溶断することである多項目分析
    方法。
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