JPH0829416A - 多項目測定用乾式分析要素 - Google Patents

多項目測定用乾式分析要素

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JPH0829416A
JPH0829416A JP16768494A JP16768494A JPH0829416A JP H0829416 A JPH0829416 A JP H0829416A JP 16768494 A JP16768494 A JP 16768494A JP 16768494 A JP16768494 A JP 16768494A JP H0829416 A JPH0829416 A JP H0829416A
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JP
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layer
water
analytical element
porous
hydrophilic polymer
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JP16768494A
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English (en)
Inventor
Masao Kitajima
昌夫 北島
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Publication date
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  • Investigating Or Analyzing Non-Biological Materials By The Use Of Chemical Means (AREA)
  • Investigating Or Analysing Biological Materials (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 多層分析要素を、確実に液体の浸透を遮断し
て分画でき、この分画線がなるべく細かく、かつ量産が
容易な分画手段を提供する。 【構成】 水不透過性支持体の上に少なくとも親水性ポ
リマー層および多孔性展開層がこの順に積層されてい
る、測定試薬を含まない多層分析要素が疎水性インクで
複数の区画に仕切られている多項目測定用乾式分析要
素。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、臨床分析分野等におい
て少量の試料で多項目を測定でき、また、液体試料を採
取後分析までに時間がかかる場合等に有効な分析要素に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】最近、少量の液体試料を正確に定量分析
しうる手段として一体型の多層よりなる乾式分析要素が
開発され、その改善あるいは多様化を進めるべく種々の
研究が行われている。この乾式分析要素は分析に必要な
全ての試薬が予め組み込まれており、液体試料を点着し
て生じた発色を測定するだけで定量分析することができ
る。
【0003】この乾式分析要素の欠点として、次のよう
な問題点が本発明者によって既に指摘されている。すな
わち、このような乾式分析要素は、反応に必要な全ての
試薬を要素の中に組み込まねばならず、用いられる試薬
の特性が分析対象項目によって1つずつ異なるので、処
方開発及び製造条件の最適化に多大の労力と時間、設備
がかかるという大きな問題点がある。また、全ての試薬
を含んでいるので、分析要素を長期に渡って保存するに
は十分な乾燥状態を確保する必要がある。このため、通
常分析要素1枚毎に防湿包装をし、必要に応じて更に乾
燥剤を包装内に共存させる等の対策がとられている。温
度も、冷蔵保存が前提となっている。こうした乾燥包
装、冷蔵保存を前提としても、保存期間は1〜2年が限
度であり、ドライケミストリー分析要素の価格を押し上
げている。
【0004】本発明者はこのような問題点を解決する手
段として、液体試料が供給されている、水不透過性支持
体上に少なくとも親水性ポリマー層、展開層を積層し
た、測定試薬を含まない分析要素に、測定試薬溶液を供
給して反応を起こさせる工程、および該反応を起こした
分析要素を、光学的手段を用いて測定する工程、を含む
ことを特徴とする乾式分析要素を用いた測定方法を既に
開発した(特開平5−26865号公報)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明者は現在の乾式
分析要素を用いたもうひとつの問題点として、この分析
要素は全ての試薬を含んでいるので、検体を点着後、直
ちに反応が進行することにあることに気付いた。これは
検体の採取場所と分析場所が異なったりして検体採取か
ら分析までに時間を要する場合には検体を変質させずに
液体のまま保存しなければならないことを意味し、上述
した溶液法の場合と同様手間がかかるばかりでなく技術
的にも困難なことが多い。さらに、複数の分析項目を分
析する場合には、分析項目の数だけ各分析要素に検体を
点着しなければならず、これは手間がかかるばかりでな
く、必要検体液量も多くなりがちである。
【0006】本発明者は、この解決策として、水不透過
性支持体の上に、少なくとも親水性ポリマー層、多孔性
展開層がこの順に積層されている、測定試薬を含まない
多層分析要素に検体を点着し、乾燥後、少なくとも該多
孔性展開層を分画し、その後分画された各部分にそれぞ
れ異なった検出反応を起こす測定試薬を点着し、測定を
行うことを特徴とする多項目分析方法を開発した(特願
平5−4153号特許出願)。
【0007】本発明の目的は、この多層分析要素を、確
実に液体の浸透を遮断して分画でき、この分画線がなる
べく細かく、かつ量産が容易な分画手段を提供すること
にある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は上記課題を解
決するべく鋭意検討の結果、疎水性インクを用いて分画
する手段を開発し、本発明の目的を達成するに至った。
【0009】すなわち、本発明は、水不透過性支持体の
上に少なくとも親水性ポリマー層および多孔性展開層が
この順に積層されている、測定試薬を含まない多層分析
要素が疎水性インクで複数の区画に仕切られている多項
目測定用乾式分析要素に関するものである。
【0010】本発明の分析要素の基本構成は、水不透過
性支持体の上に、親水性ポリマー層および多孔性展開層
が、この順に積層されて成る。
【0011】多孔性展開層は、水性の検体に含有されて
いる成分を実質的に偏在させることなしに平面的に拡
げ、単位面積当りほぼ一定量の割合で親水性ポリマー層
に供給する機能を有する層であり、これまでドライケミ
ストリー分析要素に使われている展開層として、公知の
非繊維質及び繊維質の全ての多孔性材料を用いることが
できる。具体的には特開昭49−53888に開示されている
メンブランフィルター(ブラッシュドポリマー)に代表さ
れる非繊維性等方的微多孔質媒体層、特開昭55−90859
等に開示されたポリマーミクロビーズが水不膨潤性の接
着剤で点接触状に接着されて成る連続空隙含有三次元格
子粒状構造物層に代表される非繊維性多孔性層、特開昭
55−164356、同57−66359等に開示された織物布地から
なる多孔性層、同60−222769等に開示された編物布地か
らなる層等を挙げることができるが、これらに限定され
るものではない。
【0012】例えば、セルロース誘導体(DAC,TA
C,NC,HMC(ヒドロキシメチルセルロース),H
EC(ヒドロキシエチルセルロース))の多孔質膜、ポ
リエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、塩化ビニ
ール等のエチレン重合体または共重合体で作られた多孔
質膜、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネー
ト、ポリスルホン等で作られた多孔質膜、アクリル酸や
メタクリル酸、これらのエステルのビニル重合体または
共重合体から成る多孔質膜、ナイロン、ポリアミド、ポ
リウレタン等の縮合重合体の多孔膜、ガラス粒子、けい
藻土等の無機材料微粒子を少量のポリマーで結合させて
作られた多孔性膜、ポリテトラフルオロエチレンで作ら
れた多孔性膜、濾紙、ガラス繊維濾紙等がある。
【0013】展開層は、1層だけに限定する必要はな
く、特開昭61−4959、同62−138756、同62−135757、同
62−138758等に開示されている様に、2層以上の層を重
ねて用いることができる。
【0014】展開層中には、検体の展開を促進するため
に、ノニオン、アニオン、カチオンもしくは両性の界面
活性剤を含ませることができる。
【0015】また、展開性をコントロールする目的で、
親水性のポリマー等の展開制御剤を含ませることができ
る。
【0016】更に、目的とする検出反応を促進する為
の、あるいは干渉、妨害反応を低減、阻止する為の各種
試薬、もしくは試薬の1部を含ませることができる。
【0017】展開層の厚さは、20〜200μm、好ましく
は50〜170μm、更に好ましくは80〜150μmである。
【0018】分析要素は、分析項目等によっては上記の
多孔性展開層が単に水不透過性支持体に積層されている
だけでもよいが、多孔性展開層と支持体の間に親水性ポ
リマー層を設けることによって分析項目等の普遍性を飛
躍的に高めることができる。
【0019】親水性ポリマー層には、これにはこれまで
ドライケミストリー分析要素に使われている公知の水に
可溶性、膨潤性、親水性の各種ポリマーを用いることが
できる。水吸収時の膨潤率が30℃で約150%から約2000
%、好ましくは約250%から約1500%の範囲の天然又は
合成親水性ポリマーを使用することができ、具体的に
は、特開昭59−171864、同60−108753等に開示されたゼ
ラチン(例えば、酸処理ゼラチン、脱イオンゼラチン
等)、ゼラチン誘導体(例えば、フタル化ゼラチン、ヒ
ドロキシアクリレートグラフトゼラチン等)、アガロー
ス、プルラン、プルラン誘導体、ポリアクリルアミド、
ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等を挙げ
ることができるが、これらに限定されるものではない。
【0020】親水性ポリマー層に代えて、ポリマー多孔
質膜等を用いることもできる。
【0021】親水性ポリマー層の厚さは、乾燥時に約1
μm〜約100μm、好ましくは約3μm〜約50μm、特
に好ましくは約5μm〜約30μmであり、実質的に透明
であることが好ましい。
【0022】親水性ポリマー層中には、目的とする反応
を促進する、もしくは干渉、妨害反応を防止、低減する
ための各種試薬もしくは試薬の1部を含ませることがで
きる。
【0023】水不透過性支持体としては、これまでドラ
イケミストリー分析要素に使われている公知の水不透過
性の支持体を用いることができる。具体的には、ポリエ
チレンテレフタレート、ビスフェノールAのポリカーボ
ネート、ポリスチレン、セルロースエステル(例えば、
セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、
セルロースアセテートプロピオネート等)等から成る厚
さ約50μm〜1mm、好ましくは約80μm〜約300μmの
透明フイルムを用いることができる。
【0024】支持体は、通常光透過性のものを用いる
が、展開層側から測定をする場合には、着色されていて
も、もしくは光不透過性であっても良い。
【0025】支持体の表面には、必要により公知の下塗
層もしくは接着層を設けて、親水性ポリマー層との接着
を強固にすることができる。
【0026】疎水性インクは撥水性物質と必要により使
用される溶媒または分散媒からなる。撥水性物質はポリ
ジメチルシロキサン、その誘導体等のシリコーンオイ
ル、硬化型ひまし油、アマニ油等の硬化型油脂、塩化ビ
ニル−酢酸ビニル、シリコーン樹脂、フッ素化ポリエチ
レン等である。これらは液状あるいは微粒子状で使用さ
れる。微粒子の場合粒径は細かいものでなければなら
ず、10μm以下、特に1μm以下のものが好ましい。
【0027】溶媒または分散媒(以下、一括して溶媒と
いう。)は撥水性物質を溶解あるいは分散させるもので
あり、水、低級アルコール、等の親水性溶媒あるいはノ
ルマルヘキサン、そのほか蒸気圧が高く、沸点がおよそ
200℃以下の石油系溶剤やエステル、エーテル類等の親
油性溶媒のいずれも使用できる。但し、親水性溶媒の場
合には撥水性物質を安定分散させるため、一方、親油性
溶媒の場合にはインクの展開層への浸透を容易にするた
め界面活性剤を添加しても構わない。
【0028】上記の溶媒は印刷後の除去が容易な点で20
0℃以下、特に150℃以下で蒸発あるいは揮散しうるもの
が好ましい。
【0029】疎水性インクのその他の成分としては撥水
性物質が常温で液体の場合には印刷後の展開層における
浸透拡散を阻止するため撥水性物質を吸収する能力を有
する微粒子を添加することが好ましい。このような微粒
子はやはり粒径が10μm以下、特に1μm以下のものが
よい。微粒子の例としては2酸化チタン、硫酸カルシウ
ム、ポリマーラテックス等を挙げることができる。
【0030】疎水性インクによって仕切られる各区画の
形状は問わないが、正方形、長方形、3角形、5角形、
6角形等の多角形、丸、等である。大きさは正方形の場
合で1辺2〜10mm、特に4〜8mm程度が適当である。疎
水性インクの撥水性物質は展開層の下端まで浸透してい
ることが必須であるが好ましくは親水性ポリマー層には
浸透している方が良い。仕切線の巾は0.1〜2mm、好ま
しくは0.5〜1mmである。
【0031】疎水性インクの多層分析要素への適用方法
としては、静電印刷、インクジェット印刷、グラビア印
刷、シルクスクリーン印刷、筆塗り、ノズルからの圧入
等いかなる手段によってもよい。
【0032】インクの印刷後は必要により乾燥処理す
る。
【0033】本発明の分析要素は展開層の上に血球分離
要素を積層することにより全血試料分析用の血漿受容要
素とすることができる。
【0034】血球分離要素としては、特開昭62−138756
〜8号公報、特開平2−105043号公報、特開平3−16651
号公報等に記載された繊維質多孔性層と非繊維質多孔性
層を部分的に配置された接着剤で接着(部分接着)一体
化したもの、セルロースエステル表面が親水化された弗
素含有ポリマー、ポリスルホン等の血球分離能を有する
微多孔性層等を使用できる。特に好ましいものは、血液
点着側に繊維質多孔性層を配置し、血漿受容層側に非繊
維質多孔性層を配置して両者を部分接着により一体化し
た血球分離要素である。
【0035】次に、被検物質について説明する。本願発
明においては、対象とする被検物質は特に限定されな
い。通常臨床検査の分野で測定される酵素、脂質、無機
イオン、代謝産物、蛋白質等の他、各種グロブリン、免
疫抗原、免疫抗体等の生体由来成分、薬物、ホルモン、
腫瘍マーカー、DNA、RNA等、分析方法さえ確立し
ていれば、分析対象とすることができる。
【0036】本発明において、測定試薬とは、分析対象
である被検物質と直接反応して化学変化を生ぜしめる試
薬を指す。即ち、酵素が被検物質である場合にはその基
質、被検物質が抗原(抗体)である場合には抗体(抗
原)であり、被検物質が脂質、糖、代謝産物であって酵
素によって検出可能な変化を生ずる化合物である場合に
はその酵素である。また、これらの反応が酵素以外の化
学試薬による一般の化学反応によつて起こされる場合に
は該当する化学物質を言う。以下に具体例を挙げて説明
する。
【0037】被検物質が酵素であるGOTの場合には、
その基質であるアスパラギン酸とα−ケトグルタール
酸、アミラーゼであれば高分子量の澱粉もしくは低分子
量のオリゴサッカライド、GGTであればL−γ−グル
タミルパラニトロアニリド、ALPであればパラニトロ
フェニルフオスフェートである。
【0038】また、グルコースであればグルコースオキ
シダーゼ、尿酸であればウリカーゼ、コレステロールで
あればコレステロールエステラーゼもしくはコレステロ
ールオキシダーゼ、中性脂肪であればリパーゼもしくは
エステラーゼ、尿素であればウレアーゼ等である。
【0039】分析対象が蛋白質、アルブミン、Ca、無
機リン等、被検物質と指示薬等とが直接反応して検出可
能な変化を生ずる場合には指示薬を指す。
【0040】本発明の目的の一つは、従来のドライケミ
ストリーの欠点である、分析要素の保存中に起こる検出
試薬の劣化を起こさせないことにあるので、上記の反応
系中に組み込まれる反応試薬が酵素のように不安定なも
のである場合には、これらも測定試薬の中に含ませるこ
とが好ましい。
【0041】即ち、測定試薬溶液中に含めるべき試薬
と、分析要素中に含めるべき試薬との分配に関しては、
分析性能や保存安定性を指標として様々に変えることが
できる。分析対象が一つであっても、検出反応系組立に
よつて上記の分配が異なるのは勿論である。
【0042】測定試薬の中には、反応を安定に再現性良
く進行させるために、pHやイオン強度を調節する、分
析要素を構成する材料への拡散・浸透を良くする、含有
する酵素等の不安定性を改善する、等の目的で各種試薬
を含ませることができる。
【0043】また、測定試薬の中には検出反応と競合す
る反応を阻害するための試薬を含ませることもできる。
この様な試薬としては、例えば、ビリルビンオキシダー
ゼやアスコルビン酸オキシダーゼ等がある。更に、アイ
ソザイム検出の為に特定の生物に由来する酵素を阻害す
る化合物、例えばP型アミラーゼの阻害剤等を含ませる
ことができる。
【0044】更に、全血測定では、ヘモグロビンのカタ
ラーゼ活性の阻害剤として有効なNaN3等を添加する
こともできる。
【0045】本願発明において、液体試料を供給した
後、測定試薬を供給するまでの間隔が長い場合には血漿
受容要素を一定時間、実質的に一定条件下で乾燥するこ
とが好ましい。
【0046】一つの好ましい乾燥方法、条件については
特願平2−90562号明細書(特開平3−28954号公報)の
第25頁第9行〜第28頁第6行、特に第27頁第13行〜第28
頁第6行に詳細に記載されている。
【0047】インキュベーションの好ましい方法、条件
については特願平2−90562号明細書(特開平3−28954
号公報)の第25頁第9行〜第28頁第6行、特に第27頁第
13行〜第28頁第6行に詳細に記載されている。
【0048】好ましくは、部分血漿受容要素の周囲が覆
われた囲いの中に置いた状態で加熱する方法である。こ
れにより、周囲の温度、湿度に影響されることなく一定
の乾燥状態となる。
【0049】温度範囲は10〜60℃、好ましくは20〜50
℃、更に好ましくは30〜45℃である。
【0050】インキュベーション中の温度変動は±5
℃、好ましくは±3℃、更に好ましくは±1℃である。
【0051】この様な一定条件のインキュベーションを
行うのに適したインキュベータが実開平3−126449号公
報に記載されている。即ち、血漿受容要素を要素の収納
部に設置した状態で加温手段にて加熱後、恒温に保持す
るインキュベータであって、該分析要素の収納部の上部
に該要素収納部を密閉することが可能で、かつ、着脱可
能なカバーを設けられ、該カバーで要素収納部を密閉し
た際、要素収納部内方に生まれる空間の体積が、分析要
素の体積とほぼ一致する様に設計されたインキュベータ
である。
【0052】一定温度の乾燥風を一定条件で吹き付けて
も同様に再現性の良い結果が得られるが、上記インキュ
ベータに比べ高価となる欠点を有する。
【0053】安定化させた後、測定試薬を供給するまで
に長時間かかる場合、例えば乾式分析要素とか血漿受容
要素を病院等に郵送する場合等には、実質的に水分と空
気を遮断した状態に保存する必要がある。
【0054】この保存条件の詳細についても同様に、特
願平2−90562号明細書(特開平2−289543号公報)の第
28頁第12行〜第30頁第11行に記載されている。例えば水
分除去手段を設けた金属製の箱、もしくは水分を透過さ
せない有機ポリマーもしくは金属等のフィルム、シート
等からなる袋に密閉する方法がある。
【0055】水分除去手段としては、公知の吸湿剤の中
から検体を実質的に変質させないものを適宜選択して封
入することができる。要素を袋に入れた後、空気を十分
にしごきだしても良い。
【0056】また、乾燥剤が存在する水、水蒸気不透過
性の密閉容器内で40℃以下で、被検物質が変性し易く酵
素の様に不安定な化合物の場合には25℃以下で、好まし
くは10℃以下で乾燥する。具体的には、分析要素をファ
スナー付きのビニール袋、蓋付きのプラスチック容器等
に乾燥剤と共に封入して上記温度以下に保つ。乾燥剤は
公知の吸湿剤の中から被検物質を実質的に変質させない
ものを適宜選択して用いれば良いが、安全性、脱水能力
等からゼオライト、シリカゲルが好ましく、ゼオライト
がより好ましい。形態としては、直径1〜3mm程度の粒
子を透湿性の良い和紙製の袋に入れる、ナイロンメッシ
ュに入れる、等がある。ゼオライトもしくはシリカゲル
1g当たり多層分析要素を4枚〜10枚乾燥できる。
【0057】乾燥時間は点着された液体試料の量・種
類、乾燥剤の種類・形状・容器の大きさ・分析要素との
位置関係等によって異なる。通例1〜10時間程度で分析
要素の水分の90%以上が乾燥剤により除去・脱水される
ような条件を設定することが実用上好ましい。この乾燥
時間は温度によっても大きく影響される。保存温度が高
いほど、即ち蒸気圧が高い程、乾燥時間は短くて良い。
また、冷蔵庫もしくは冷凍庫に放置して一度低温に保っ
た後1℃以上にして乾燥することもでる。この低温乾燥
法は、被検物質が酵素の場合にその変性劣化を防止でき
るので特に有用である。
【0058】この方法で乾燥した場合には、そのままの
形態で検査センターや病院等に郵送できる。
【0059】ここで、「乾燥」とは、該親水性ポリマー
中で実質的に反応が進行しない、もしくは被検物質の劣
化が進行しない、状態であれば良い。従って、分析対象
によって異なり、例えば酵素を対象とする場合には、親
水性ポリマー中の水分は20%以下、好ましくは10%以
下、更に好ましくは5%以下であれば良い。
【0060】ここで、水分の%は、被検物質を含む水溶
液を分析要素に点着した時の水分量を100とした時の比
率である。
【0061】これらの多層分析要素を用いて、以下の方
法により分析を行う。密閉容器から取り出した分析要素
に、分析すべき項目に対応した測定試薬溶液を供給して
反応を起こさせる。この反応を、ドライケミストリーの
分野で公知の方法(反射濃度測光、色変化、蛍光測定、
発光測定等)で測定し、検体中に含まれる成分を定量す
る。
【0062】分析すべき項目に対応した測定試薬溶液と
しては、ウェットケミストリーで公知の試薬溶液を用い
ることができる。これらは、分析対象成分と反応して、
主として光学的測定方法により検出できる変化、例えば
色変化、発色(呈色)、蛍光、発光、紫外線領域におけ
る吸収波長の変化、混濁発生等の変化を生じさせる。
【0063】ドライケミストリーの測定法としては、通
常反射光学系が用いられる。本発明の方法においても、
分析要素の水不透過性支持体を通して測光する方法が最
も適用範囲が広いが、検体が全血ではない場合や検体供
給後に血球分離要素を除去して測定する場合等には、透
過測光方式により測定することができる。
【0064】また、水不透過性支持体が不透明な場合に
は、支持体の反対側から測定することもできる。
【0065】本発明の分析要素を用いた測定方法の一例
を説明する。4つの区画に仕切られた血漿受容要素の上
に血球分離要素が跨設された分析要素を、4隅に分析要
素の固定片を有するプラスチックマウントに収容する。
被検者等が採血して血球分離要素の上に点着し、血漿が
血漿受容要素の各区画の多孔性展開層に充分に展開する
のを待つ。次いで、血球分離要素を除去し、乾燥剤が存
在する密閉容器内で10℃以下で乾燥し、検査機関へ郵送
する。検査機関では分析要素を取り出して、アナライザ
ーの点着ステーションに設置し、血漿受容要素の各区画
に測定試薬を点着する。例えば、4つの区画にグルコー
ス、尿素窒素、コレステロール及び尿酸測定試薬をそれ
ぞれ点着する。点着が終了したら血漿受容要素を設置し
ているテーブルを1/4回転させ、インキュベータ部で
反応させる。その間点着ステーションには次の血漿受容
要素が設置され試薬の点着が行なわれる。インキュベー
タ部でインキュベーションが行なわれた血漿受容要素は
テーブルをさらに1/4回転させ次の待機部に移り、次
いで1/4回転させて測光ステーションで4つの区画の
発色が同時に測光され、測光の終了した血漿受容要素は
テーブルから排出される。
【0066】測定は各区画ごとに逐次行なってもよい
が、複数の、好ましくは全ての区画に同時に測定試薬を
点着し、インキュベートし、次いで測光できるようにし
ておくこともできる。
【0067】本願発明の乾式分析要素は、検体として血
液を用いる場合には、乾式分析要素はごく微量の血液し
か必要としないので、毛細管ピペット等の適当な器具を
用いて採血することができる。更に、乾式分析要素は全
血に対応していて、採血したままの全血を測定用液体試
料とすることができ、必要に応じて郵送、宅配便等で移
送することができるので、在宅血液検査に対して特に有
効である。
【0068】血液以外の体液、例えば尿、唾液等もその
適当量を点着するだけで直接検体とすることができる。
【0069】
【実施例】
実施例1 1−1;血漿受容要素の作製 ゼラチン下塗りをしてある厚さ185μmのPETフィル
ムに乾燥膜厚が20μmになるようにゼラチンを塗布し
た。更にその上にNB−13(ポリエステル編物,クラレ
製)をラミネートした。更に2%のポリオキシエチレン
ノニルフェニルエーテルと3%のヒドロキシエチルセル
ロースを含む水を2g/m2の量で塗布し乾燥させた。
【0070】疎水性インク組成物の調製:下記処方より
成る疎水性インク組成物を調製した。
【0071】
【表1】
【0072】描線:上記で作製した血漿受容要素を巾20
cm、長さ30cmのシート状に切り出した。製図用筆記用具
であるカラス口の先端を調製し0.5mmの太さの線が引け
るように設定し、血漿受容膜の上に上記で調製した各処
方のインクを用い6mm×6mmの枡目になるように基盤状
に描線した。描線後放置するとインクが布目に沿って拡
散していくものとそうでないものがあった。拡散の程度
は処方−1で特に著しく、1日後には描線の巾が2mm以
上になってしまった。
【0073】処方−2〜3は僅かに広がるが1.5mmを越
えることはなかった。また、TiO2の量を更に増やす
ことにより線巾を1mm以下に保つことができた。
【0074】処方−4は水のみが布巾を拡散し、塩化ビ
ニル−酢酸ビニル共重合体樹脂の微粒子は最初の描線し
た時の太さのまま残った。但し、布巾を拡散した水の跡
が枡目の中に残った。
【0075】処方−5は蒸発が早い。ポリマーの溶解性
も悪くすぐ沈澱・析出するが皮膜を形成せず、微粉末と
して描線状に残った。溶媒が蒸散してしまうので放置し
ておいても線の太りはなかった。
【0076】1−2;血球分離要素の作製 50デニール相当のPET紡績糸を36ゲージ編みしたトリ
コット編物布地(厚さ約250μm)に、下記組成の水溶
液を含浸し、乾燥させた。 ポリエチレングリコール(平均分子量5万) 2.0g 四硼酸ナトリウム 2.0g 水 96g
【0077】次に上記含浸済みトリコット編物布地を80
℃に加熱し、その表面に130℃に加熱し溶融したホット
メルト型接着剤(新田ゼラチン製、H950)を、グラビア
印刷法によりグラビアローラーからの転写によりドット
状に付着させた。グラビアローラーのドットパターン
は、ドット直径0.3mmの円、ドットの中心間距離0.6mm、
ドット面積率約20%である。付着した接着剤の量は約2
g/m2であった。次いで、接着剤が転写された直後の
高温の布地の表面に、有効孔径3.0μm、厚さ40μm、
空隙率約80%のセルロースアセテートメンブランフィル
ターの非光沢面を向かい合わせてラミネートローラーの
間を通し、両者をラミネートして接着一体化(部分接
着)し血球分離要素を作成した。
【0078】1−3;多層分析要素の作製 この血球分離要素を1−2の工程と同様のグラビア印刷
法による部分接着法により1−1の工程で作成した分析
要素の下地に接着し、一体化させた。
【0079】即ち、1−2の工程と同様にして、血球分
離要素のメンブランフイルターの表面に加熱し溶融した
ホットメルト型接着剤(新田ゼラチン製、H950)をグラ
ビア印刷法によりドット状に付着させた後、直ちに1−
1の工程で作成した血漿受容要素の下地のブロード織物
布地面側と向かい合わせ、両者をラミネートローラーの
間を通し、ラミネートして接着一体化した。
【0080】1−4;多層分析スライドの完成 完成した多層分析要素を一辺15mmの正方形チップに裁断
し、特開昭57−63452に記載の有機ポリマー製スライド
枠に収めて、富士ドライケム5500アナライザー(富士写
真フイルム(株)製)で測定可能な形状の多層分析スライ
ドを完成した。
【0081】2.測定 2−1;検体の調整 ヘパリン入り健常者全血20mlを採取し、その一部を取っ
て遠心分離し血球成分と血漿成分に分離した。血漿成分
の一部を成分濃度既知のコントロール血清(富士ドライ
ケムコントロールLH)と置換して成分濃度を調整し
た。血球成分とコントロール血清で置換した血漿とを再
び混合することにより成分濃度の調整された全血を再構
成した。
【0082】2−2;検体の点着 上記の多層分析スライドの上に採血したままの全血を、
また他の上記スライドの上に検量線作製用に2−1で調
製した全血をそれぞれ30μlづつ点着し、室温で30秒放
置後ピンセットにて血球分離要素を血漿受容要素から剥
離除去した。
【0083】2−3;脱水乾燥 2−2で得た分析スライドを、ポリエステル不織布で作
られた透湿性の袋に入れた、粒径約1mmの顆粒状ゼオラ
イト(新越化成工業(株))2gと共に5cm×7cmの防湿
性アルミニウム箔をラミネートしたポリエチレンの小袋
に入れ、密封して室温にて3時間保存した。
【0084】2−4;測定試薬溶液の調整 下記処方からなるグルコース(GLU)、尿素窒素(B
UN)、コレステロール(TCHO)及び尿酸(UA)
の各測定試薬溶液を調整した。
【0085】 GLU用測定試薬 2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸 213mg p−ノニルフェノキシポリグリシドール 800mg (平均10グリシドール単位含有) ジヒドロキシナフタレン 110mg 4−アミノアンチピリン 140mg グルコースオキシダーゼ 1300U ペルオキシダーゼ 5000U 蒸留水 10.0ml
【0086】 BUN用測定試薬 Triton−X 100(ローム アンド ハース社製) 2g o−フタルアルデヒド 2g N−1−ナフチル−N'−ジエチルエチレンジアミン蓚酸 820mg 蒸留水 10ml
【0087】 TCHO用測定試薬 コレステロールエステラーゼ 987U コレステロールオキシダーゼ 600U ペルオキシダーゼ 6614U Triton X−100(ローム アンド ハース社製) 0.5g 2−(3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシフェニル)−4−〔4−(ジ メチルアミノ)フェニル〕−5−フェネチルイミダゾール 30mg 下記処方のバッファー液 10ml 燐酸・2カリウム870.9mgを蒸留水100mlに溶解した液50
mlに、燐酸・1リウム・2水素680.5mgを蒸留水100mlに
溶解した液を加えてpH7.5に整した液。
【0088】 UA用測定試薬 ウリカーゼ 145U ペルオキシダーゼ 6794U Triton X−100(ローム アンド ハース社製) 0.5g 2−(3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシフェニル)−4−〔4−(ジ メチルアミノ)フェニル〕−5−フェネチルイミダゾール 30mg 硼酸 0.15M 10ml
【0089】2−5;測定試薬の点着と測定 処方3で作製した4分画スライドの区画No.1、2、
3、4に、それぞれ2−4で調整したGLU、BUN、
TCHO及びUAの測定試薬溶液の5μlを点着した。
この際、試薬溶液がインクによる仕切線を越えて滲み出
すことは無かった。
【0090】発色反応を起こしたスライドを37℃で6分
間インキュベートし、測光ビームヘッドを調整してビー
ム径を4mmに絞った富士ドライケム5500アナライザーを
用いて、それぞれの発色に相当する波長で反射光学濃度
を測定した。各成分濃度と反射光学濃度との関係を検量
線としてそれぞれの成分濃度を算出したところ、GLU
=104mg/dL、BUN=19mg/dL、TCHO=138mg/d
L、UA=4.1mg/であった。
【0091】同じ無処理全血の1部を遠心分離して、日
立7150を用いて各成分濃度を測定したところ、結果は、
GLU=111mg/dL、BUN=18mg/dL、TCHO=141
mgdL、UA=3.9mg/dLであり、本発明の方法によって
得られた値が実用に供しえる正確度を有していることが
確認された。
【0092】2−6;繰り返し再現性 上記と同様の操作を10回繰り返して、繰り返し再現性を
調べた。変動係数CV(%)はそれぞれ、GLU=5.
6、BUN=7.2、TCHO=4.1、UA=4.5り、十分精
密度の高い測定法であることが判った。
【0093】
【発明の効果】本発明の分析要素は疎水性インクで複数
の区画に仕切られているので各区画に点着された測定試
薬溶液が区画外に滲み出すことがない。その結果、各区
画ごとに異なる分析項目をそれぞれ正確に測定すること
ができる。本発明の分析要素は血球分離要素を積層して
使用することにより、少量の血液試料を点着するだけで
その血漿成分を各区画にゆき渡らせ、各区画ごとに異な
る複数の分析項目を同時にかつ正確に測定することがで
きる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水不透過性支持体の上に少なくとも親水
    性ポリマー層および多孔性展開層がこの順に積層されて
    いる、測定試薬を含まない多層分析要素が疎水性インク
    で複数の区画に仕切られている多項目測定用乾式分析要
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006071453A (ja) * 2004-09-02 2006-03-16 Mega Trade:Kk 表面検査装置
SG120900A1 (en) * 2001-12-05 2006-04-26 Lifescan Inc Test strips having a plurality of reaction zones and methods for using and manufacturing the same
EP1806579A1 (en) * 2004-09-30 2007-07-11 FUJIFILM Corporation Multilayer analytical element

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