JP4669635B2 - 微粒子配置導電接続フィルムの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、隣接電極のリークがなく接続信頼性の高い電気的接続を短時間で容易に行える微粒子配置導電接続フィルム、微粒子配置導電接続フィルムの製造方法及び導電接続構造体に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶ディスプレー、パーソナルコンピュータ、携帯通信機器等のエレクトロニクス製品において、半導体素子等の小型部品を基板に電気的に接続したり、基板同士を電気的に接続する方法のうち、微細な電極を対向させて接続する方法としては、金属バンプ等を用いハンダや導電ペーストで接続したり、金属バンプ等を直接圧着したりする方法が用いられている。
【0003】
このような対向する微細な電極を接続する場合には、個々の接続部の強度が弱い等の問題から、接続部の周辺を樹脂で封止する必要がある。通常、この封止は電極の接続後、接続部の周辺に封止樹脂を注入することにより行われる。しかしながら、接続部の距離が短いこともあり、封止樹脂を短時間で均一に注入することは困難であるという問題がある。
【0004】
この問題を解決する方法として、導電性微粒子を絶縁性のバインダー樹脂と混ぜ合わせてフィルム状又はペースト状にした異方性導電接着剤が考案され、例えば、特開昭63−231889号公報、特開平4−259766号公報、特開平3−291807号公報、特開平5−75250号公報等に開示されている。
【0005】
しかしながら、異方性導電接着剤は、導電性微粒子がバインダー樹脂にランダムに分散されたものであるため、バインダー樹脂中で導電性微粒子が連なっていたり、加熱圧着時に対向電極上にない導電性微粒子が流動して連なったりして、隣接電極でリークを発生させるという問題がある。
また、加熱圧着により電極又はバンプ上に導電性微粒子を押しつけた場合でも、電極と導電性微粒子との間に絶縁材の薄層が残りやすいため、接続信頼性を低下させるという問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記現状に鑑み、隣接電極のリークがなく接続信頼性の高い電気的接続を短時間で容易に行える微粒子配置導電接続フィルム、微粒子配置導電接続フィルムの製造方法及び導電接続構造体を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、接着性フィルム積層体の任意の位置に導電性微粒子が配置されている微粒子配置導電接続フィルムであって、前記接着性フィルム積層体は、接着性フィルムの両面が離型性を有するフィルムで覆われてなるものであり、前記導電性微粒子は、少なくとも一部が前記接着性フィルムより露出している微粒子配置導電接続フィルムの製造方法であって、接着性フィルム積層体の任意の位置に貫通穴を開け、前記貫通穴の位置に導電性微粒子を配置、止着することを特徴とする微粒子配置導電接続フィルムの製造方法である。以下に本発明を詳述する。
【0008】
本発明の微粒子配置導電接続フィルムは、接着性フィルム積層体の任意の位置に導電性微粒子が配置されているものである。
上記接着性フィルム積層体は、接着性フィルムの両面が離型性を有するフィルムで覆われてなるものである。
【0009】
上記接着性フィルムとしては、接着性を有するものであれば特に限定されないが、適度な弾性や柔軟性、回復性を持つものが得やすいという点から、高分子量体又はその複合物からなるものが好適である。上記複合物の高分子量体以外の材料としては、例えば、セラミック等の無機物や低分子量化合物等が挙げられる。
【0010】
上記高分子量体としては、例えば、フェノール樹脂、アミノ樹脂、アクリル樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹脂、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、ポリエステル樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、ポリイミド樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の熱可塑性樹脂;硬化性樹脂、架橋樹脂、有機無機ハイブリッド重合体等が挙げられる。これらのうち、不純物が少なく広い物性の範囲のものが得やすいという点からエポキシ樹脂が好ましい。ここで、エポキシ樹脂には、未硬化のエポキシ樹脂と上記の他の樹脂との混合物や半硬化状態のエポキシ樹脂が含まれるものとする。また、上記高分子量体は、必要に応じてガラス繊維やアルミナ粒子等の無機充填物を含んでいてもよい。
【0011】
上記接着性フィルムは、押圧及び加熱により、被着体に硬化接着するものであることが好ましい。これにより素子及び基板の電極とフィルムの導電性微粒子との位置を合わせれば、押圧及び加熱のみで接続することが可能となり、接続の信頼性を飛躍的に高めることができる。
これらの接着、硬化の機能は、別途硬化型接着剤を塗布することによっても得られるが、フィルム自体がこの機能を持つことにより本発明の微粒子配置導電接続フィルムを用いた導電接続を非常に簡便化することができる。
【0012】
上記接着性フィルムは、熱伝導率が高いものであることが好ましい。これにより、押圧及び加熱のみで接続を行う場合でも、確実に接続することができる。
上記接着性フィルムの熱伝導率を上げる方法は特に限定されないが、熱伝導率の高い絶縁性のフィラーを接着性フィルム中に分散させる方法が好適である。上記フィラーとしては、例えば、窒化ホウ素、窒化珪素、窒化アルミ、炭化珪素等が挙げられる。これらのフィラーは、単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。上記フィラーの添加量は、接着性フィルム全体の10〜80体積%であることが好ましい。10体積%未満であると、熱伝導率向上の効果が低く、80体積%を超えると、フィルムの接着性や形状を保つことが困難になる。より好ましくは20〜60体積%である。
【0013】
上記接着性フィルムの厚さは、導電性微粒子の平均粒径の1/2〜2倍であることが好ましい。1/2倍未満であると、接着性フィルム部分で基板を支持しにくくなり、2倍を超えると、導電性微粒子が電極に届かず接続不良の原因となることがある。より好ましくは導電性微粒子の平均粒径の2/3〜1.5倍、更に好ましくは3/4〜1.3倍、特に好ましくは0.8〜1.2倍であり、0.9〜1.1倍であると著しく効果が上がる。特に素子及び基板の電極上にバンプがあるような場合にはフィルムの厚さは導電性微粒子の平均粒径の1倍以上であることが好ましく、逆にバンプがない場合には1倍以下であることが好ましい。
【0014】
上記接着性フィルムは、硬化後の常温での線膨張係数が10〜200ppmであることが好ましい。10ppm未満であると、導電性微粒子との線膨張の差が大きいために、本発明の微粒子配置導電接続フィルムを用いて導電接続した導電接続構造体に熱サイクル等をかけた場合、微粒子の伸びに接着性フィルムが追従することができず、電気的接続が不安定になることがあり、200ppmを超えると、導電接続構造体に熱サイクル等をかけた場合、電極間が広がりすぎ、導電性微粒子が電極から離れ接続不良の原因になることがある。より好ましくは20〜150ppmであり、更に好ましくは30〜100ppmである。
【0015】
上記接着性フィルム積層体は、接着性フィルムの両面が離型性を有するフィルムで覆われてなるものである。上記接着性フィルムの両面が離型性を有するフィルムで覆われた接着性フィルム積層体を使用することによって、本発明の微粒子配置導電接続フィルムの取り扱いは格段に容易になる。また、本発明の微粒子配置導電接続フィルムの製造において、導電性微粒子を接着性フィルム積層体の貫通穴に配置する際に、接着性フィルムと導電性微粒子とが貫通穴以外の位置で合着することがないため、作業効率が大幅に向上するとともに、本発明の微粒子配置導電接続フィルムを用いて導電接続した導電接続構造体において隣接電極でリークが発生することがない。
【0016】
上記離型性を有するフィルムとしては、上記接着性フィルムとの間での離型性を有していれば特に限定されず、例えば、それ単独で離型性を有するPE、OPP、CPP等のオレフィン系のフィルム;離型剤を塗布した紙又はプラスチックフィルム等が挙げられる。上記離型剤を塗布した紙としては、例えば、上質紙やクラフト紙にポリエチレンで目止めを行って離型剤を塗布したもの、グラシン紙に直接離型剤を塗布したもの等が挙げられる。また、上記離型剤を塗布したプラスチックフィルムとしては、例えば、PETに離型剤を塗布したもの等が挙げられる。上記離型剤としては、シリコーン、長鎖アルキル基含有ポリマー、オレフィン系化合物やフッ素系化合物からなるもの等が挙げられる。
【0017】
本発明の微粒子配置導電接続フィルムに用いられる導電性微粒子としては、例えば、金属、カーボン等の無機物、導電性高分子からなるもの、又は、高分子量体、シリカ、アルミナ、金属、カーボン等の無機物、低分子量化合物等からなるコアの表面にメッキ等の方法により導電層を設けたもの等が挙げられるが、適度な弾性や柔軟性、回復性を有し球状のものが得やすいという点から、高分子量体からなるコアの表面に導電層が形成されたものが好ましい。
【0018】
上記高分子量体としては、例えば、フェノール樹脂、アミノ樹脂、アクリル樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹脂、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、ポリエステル樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、ポリイミド樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の熱可塑性樹脂;硬化性樹脂、ジビニルベンゼン系共重合体等の架橋樹脂、有機無機ハイブリッド重合体等が挙げられる。これらのうち、耐熱性の点から架橋樹脂が好ましい。また、上記高分子量体は、必要に応じて充填物を含んでいてもよい。
【0019】
上記導電層としては、金属の被覆層が好適に用いられる。
上記金属としては特に限定されないが、ニッケル又は金を含むものが好ましい。
上記金属の被覆層としては単層又は複層のいずれでも良いが、電極との接触抵抗や導電性及び酸化劣化を起こさないという点から表面層が金であることが好ましく、また、複層化のためのバリア層やコアと金属の密着性向上のためにニッケル層を設けることが好ましい。
【0020】
上記導電層の厚さは、充分な導通を得るため、及び、剥がれないような皮膜強度を得るために0.3μm以上であることが好ましい。0.3μm未満であると、導電性微粒子を取り扱う際に導電層が剥離することがあり、また、本発明の微粒子配置導電接続フィルムを用いて導電接続するために加圧した際に、導電層が破壊され、接続不良の原因となることがある。好ましくは1μm以上であり、より好ましくは2μm以上である。また、上記導電層の厚さは、コアの特性が失われないよう導電性微粒子の直径の1/5以下であることが好ましい。
【0021】
上記導電性微粒子の平均粒径は10〜800μmであることが好ましい。10μm未満であると、電極や基板の平滑性の精度の問題から導電性微粒子が電極と接触せず導通不良を発生することがあり、800μmを超えると、微細ピッチの電極に対応できず隣接電極でショートを発生することがある。より好ましくは15〜300μmであり、更に好ましくは20〜150μmであり、特に好ましくは40〜80μmである。
なお、上記平均粒径は、任意の導電性微粒子100個を顕微鏡で観察して粒径を測定し、その値を平均して得られる値である。
【0022】
上記導電性微粒子の、粒子の平均長径を平均短径で割った値であるアスペクト比は1.3未満であることが好ましい。1.3以上であると、導電性粒子が不揃いとなるため、短径部分が電極に届かず接続不良の原因となることがある。より好ましくは1.1未満であり、特に好ましくは1.05未満である。
微粒子は、製造法にもよるが、通常アスペクト比が高いものが多いため、本発明で用いる導電性微粒子は変形可能な状態で表面脹力を利用する等の方法で球形化処理をして球状にすることが好ましい。
【0023】
上記導電性微粒子は、CV値が5%以下であることが好ましい。5%を超えると、粒径が不揃いとなるため、小さい導電性微粒子が電極に届かず接続不良の原因となることがある。より好ましくは2%以下であり、更に好ましくは1%以下である。
なお、上記CV値は、下記式により求められる。
CV値(%)=(σ/Dn)×100
式中、σは粒径の標準偏差を表し、Dnは数平均粒径を表す。
通常の微粒子はCV値が大きいため、本発明で用いる導電性微粒子は分級等により粒径を揃える必要がある。特に平均粒径が200μm以下の微粒子は精度良く分級するのが困難であるため、篩や気流分級、湿式分級等を組み合わせることが好ましい。
【0024】
上記導電性微粒子の導電抵抗は、平均粒径の10%を圧縮した場合、単粒子の導電抵抗、即ち、抵抗値が1Ω以下であることが好ましい。1Ωを超えると、充分な電流値を確保できなかったり、大きな電圧に耐えられず素子が正常に作動しなくなることがある。より好ましくは0.3Ω以下であり、更に好ましくは0.05Ω以下であり、0.01Ω以下では電流駆動型の素子でも高い信頼性を保ったまま対応が可能になる等著しく効果が高まる。
【0025】
上記導電性微粒子のK値は、400〜15000N/mm2であることが好ましい。400N/mm2未満であると、対向する電極に導電性微粒子が充分食い込むことができないため、電極表面が酸化されている場合等に導通がとれなかったり、接触抵抗が大きく導通信頼性が落ちる場合があり、15000N/mm2を超えると、対向電極で挟み込んだ際に電極に局部的に過度の圧力がかかり素子が破壊されたり、粒径の大きな導電性微粒子のみにより電極間のギャップが決まってしまい粒径の小さい導電性微粒子が電極に届かず接続不良の原因となったりする。より好ましくは1000〜1万N/mm2であり、更に好ましくは2000〜8000N/mm2であり、特に好ましくは3000〜6000N/mm2で
ある。
なお、上記K値は、下記式により求められる。
K値(N/mm2)=(3/√2)・F・S-3/2・R-1/2
式中、Fは20℃、10%圧縮変形における荷重値(N)を表し、Sは圧縮変位(mm)を表し、Rは半径(mm)を表す。
【0026】
上記導電性微粒子は、20℃、10%圧縮変形における回復率が5%以上であることが好ましい。5%未満では、衝撃等により対向する電極間が瞬間的に広がった際それに追従することができず、瞬間的に電気的接続が不安定になることがある。より好ましくは20%以上であり、更に好ましくは50%以上であり、特に好ましくは80%以上である。
【0027】
上記導電性微粒子は、常温での線膨張係数が10〜200ppmであることが好ましい。10ppm未満であると、上記接着性フィルムとの線膨張の差が大きいために、導電接続構造体に熱サイクル等をかけたときに上記接着性フィルムの伸びに追従しにくくなって、電気的接続が不安定になることがあり、200ppmを超えると、導電接続構造体に熱サイクル等をかけたときに電極間が広がりすぎ、上記接着性フィルムが基板と接着されている場合には、その接着部分が破壊され電極の接続部に応力が集中し、接続不良の原因になることがある。より好ましくは20〜150ppmであり、更に好ましくは30〜100ppmである。
【0028】
本発明の微粒子配置導電接続フィルムは、接着性フィルム積層体の任意の位置に貫通穴を開け、貫通穴の位置に導電性微粒子を配置、止着することにより得ることができる。
上記貫通穴の位置としては、接続する電極の位置に合わせて適宜規則的に配置されることが好ましい。
かかる微粒子配置導電接続フィルムの製造方法もまた、本発明の1つである。
【0029】
上記貫通穴の平均穴径は、上記導電性微粒子の平均粒径の1/2〜2倍であることが好ましい。この範囲外であると、止着された導電性微粒子が貫通穴からズレやすくなる。より好ましくは2/3〜1.3倍であり、更に好ましくは4/5〜1.2倍であり、特に好ましくは0.9〜1.1倍であり、0.95〜1.05倍であると著しく効果が高まる。
【0030】
上記貫通穴の、穴径の平均長径を平均短径で割った値であるアルペクト比は、2未満であることが好ましい。2以上であると、止着された導電性微粒子が貫通穴からズレやすくなる。より好ましくは1.5以下であり、更に好ましくは1.3以下であり、特に好ましくは1.1以下である。
【0031】
上記貫通穴のCV値は、10%以下であることが好ましい。10%を超えると、穴径が不揃いとなり止着した導電性粒子が貫通穴からズレやすくなる。より好ましくは5%以下であり、更に好ましくは2%以下であり、特に好ましくは1%以下である。
なお、上記貫通穴のCV値は、下記式により求められる。
CV値(%)=(σ2/Dn2)×100
式中、σ2は穴径の標準偏差を表し、Dn2は平均穴径を表す。
【0032】
上記貫通穴は、表面から裏面に向けて厚さ方向にテーパー状又は階段状になっていることが好ましい。これにより止着された導電性微粒子はより安定に配置され、ズレ等を発生しにくくなる。
【0033】
上記接着性フィルム積層体の貫通穴の位置に、導電性微粒子を配置、止着する方法としては特に限定されないが、導電性微粒子を接着性フィルム積層体の貫通穴を通して吸引する方法、又は、導電性微粒子を貫通穴上で押圧する方法が好適である。これにより、より安定した状態に止着することができる。
ここで、接着性フィルム積層体を使用することによって、接着性フィルムと導電性微粒子とが、貫通穴以外の位置で合着することがなく、作業効率は大幅に向上する。
なお、吸引により導電性微粒子を配置する場合には、上記接着性フィルム積層体の貫通穴の平均穴径、アスペクト比、CV値は、吸引した状態での平均穴径、CV値、アスペクト比を示すものとする。
【0034】
配置された導電性微粒子は、少なくとも一部が接着性フィルムより露出している。これにより、本発明の微粒子配置導電接続フィルムを用いて導電接続を行う場合に、より確実な接続を行うことができる。配置された導電性微粒子は、少なくとも一部が接着性フィルムの両面より露出していることが好ましい。
【0035】
配置された導電性微粒子の重心は、接着性フィルム中にあることが好ましい。接着性フィルム中にあると、接着性フィルム面外に重心がある場合に比べ著しく安定で、ズレ等による欠落を起こすことがない。
【0036】
本発明の微粒子配置導電接続フィルムの用途としては特に限定されず、例えば、液晶ディスプレー、パーソナルコンピュータ、携帯通信機器等のエレクトロニクス製品において、半導体素子等の小型部品を基板に電気的に接続したり、基板同士を電気的に接続する方法のうち、微細な電極を対向させて接続する際に用いられる。
上記基板としては、単層基板であってもよいし、また、単位面積当たりの電極数を増やすために、例えば、スルーホール形成等の手段により、複数の層を形成し、相互に電気的接続を行わせる多層基板であってもよい。
【0037】
本発明の微粒子配置導電接続フィルムは、特にベアチップの接合用として好適である。通常ベアチップをフリップチップで接合する場合にはバンプが必要となるが、本発明の微粒子配置導電接続フィルムを用いた場合、導電性微粒子がバンプの役目を果たすためバンプレスでの接続が可能であり、バンプ作製における煩雑な工程を省くことができるという大きなメリットがある。
バンプレスで接続を行う場合には配置すべき電極以外の場所に導電性微粒子が存在すると、チップの保護膜を破壊してしまう等の不具合が発生するが、本発明の微粒子配置導電接続フィルムではそのような不具合が起こらない。また、導電性微粒子が上述したような好ましいK値やCV値等である場合は、アルミ電極のような酸化されやすい電極も、その酸化膜を破って接続することができる。
【0038】
本発明の微粒子配置導電接続フィルムを用いて上記基板、部品等の接合を行う方法としては、例えば、以下のような方法が挙げられる。
表面に電極が形成された基板又は部品を電極が上になるように置き、その上に片面の離型性フィルムを剥がした本発明の微粒子配置導電接続フィルムを、離型性フィルムを剥がした面を下に、かつ、導電性微粒子が基板又は部品の電極の位置にくるように載せる。次いで、残った片面の離型性フィルムを剥がした後、もう一方の電極面を有する基板又は部品を電極が下になるようにかつ電極の位置が合うように置き、加熱、加圧等により接続する。
上記加熱、加圧には、ヒーターが付いた圧着機やボンディングマシーン等が用いられる。
本発明の微粒子配置導電接続フィルムを用いて導電接続してなることを特徴とする基板、部品等の導電接続構造体もまた、本発明の1つである。
【0039】
本発明の微粒子配置導電接続フィルムを用いて接続した導電接続構造体は、微粒子配置導電接続フィルムの接続端面から水分等の浸入による不具合が発生しないよう、微粒子配置導電接続フィルムの周辺が封止されていることが好ましい。
上記封止の方法としては特に限定されず、一般に用いられる封止樹脂を用いた方法等が挙げられる。
かかる微粒子配置導電接続フィルムを用いて導電接続してなる導電接続構造体であって、微粒子配置導電接続フィルムの周辺が封止されている導電接続構造体もまた、本発明の1つである。
【0040】
【実施例】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0041】
(実施例1)
シード重合により得られたジビニルベンゼン系共重合体を篩と湿式分級により分級し微粒子を得た。この微粒子に無電解メッキにより厚さ0.2μmのニッケル層を付け、更に電気メッキにより厚さ2.3μmの金層を付けた。メッキを施した微粒子を分級し、平均粒径150μm、アスペクト比1.03、CV値1%、K値4000N/mm2、回復率60%、常温での線膨張係数50ppm、抵抗値0.01Ωの導電性微粒子を得た。
【0042】
一方、離型処理を施した厚さ50μmのPETフィルムで両面を覆った、厚さ140μm、1cm角の、アクリルゴムを50重量%含む半硬化状態のエポキシ系フィルムの両面に、パワー型ICチップの電極と位置が合うように約400μmのピッチで6個の穴を約4mm離して2列、CO2レーザーで表面150μm裏面125μmのテーパー状で、穴のCV値2%、アスペクト比1.04になるように開けた。
【0043】
このフィルムの裏側に直径8mmの吸い口を、穴全てを覆い、なおかつ漏れがないように当て、−50kPaの真空度で吸引を行いながら、導電性微粒子に近づけ導電性微粒子の吸着を行った。吸い口にはフィルム支持用に目開き50μmのSUS製のメッシュを備え付けた。
この際、エポキシ系フィルムの両面を離型処理したPETフィルムで覆ったことで、導電性微粒子がエポキシ系フィルムの不要な位置に合着することがなく、作業性は非常に高いものであった。
【0044】
数秒程度でフィルムの各穴には導電性粒子が一つづつ過不足なく配置されていた。この間導電性微粒子の付着がないよう除電を行っていた。また、余分な付着粒子はほとんどみられなかったが、念のため異物の除去を兼ねて柔軟なブラシにより表面を掃いた。
導電性微粒子を吸着配置させた後、真空を解放し導電性微粒子を安定化させるためフィルムをガラス板に挟み軽くプレスした。導電性微粒子の重心は接着性フィルムの中にあり、接着性フィルム積層体に振動を与えても粒子が穴から離れることはなかった。
得られた微粒子配置導電接続フィルムの断面の模式図を図1に示した。
【0045】
得られた微粒子配置導電接続フィルムの片面の離型処理PETフィルムを剥がした後、電極パターンが描かれた厚さ50μmのフィルム基板の上に電極の位置と導電性微粒子の位置とが合うように載せ、軽く押圧し仮圧着した。次いで、もう一方の離型処理PETフィルムを剥がして、チップのアルミ電極の位置と導電性微粒子の位置とを合わせ加熱圧着し、エポキシ樹脂を硬化させフリップチップ接合を行った。硬化後のエポキシ樹脂の常温での線膨張係数は40ppmであった。
【0046】
得られた導電接続構造体は、全ての電極で安定した導通がとれ隣接電極でのリークもなく通常通り作動し、−40〜+125℃の熱サイクルテストを1000回行ったが、低温時でも高温時でも接続部の抵抗値アップや作動に異常は見られなかった。
【0047】
(比較例1)
エポキシ系フィルム中にランダムに導電性微粒子を分散させた異方性導電接着剤を作製し、これを用いたことを除いては実施例1と同様にフリップチップ接合を行おうとしたが、フィラーが導電接続の邪魔をしてうまく導通をとることができなかった。
【0048】
(比較例2)
片面だけに離型処理を施したPETフィルムで覆ったエポキシ系フィルムを用いたこと以外は、実施例1と同様にして微粒子配置導電接続フィルムを得た。
得られた微粒子配置導電接続フィルムの断面の模式図を図2に示した。
製造にあたっては、導電性微粒子を真空吸引により片面のみPETフィルムで覆ったエポキシ系フィルムに配置する際に、不要な位置に導電性微粒子が合着したため、その除去に手間取った。
得られた微粒子配置導電接続フィルムを用いて導電接続を行った導電接続構造体は、全ての電極で導通がとれ、隣接電極でのリークもなく通常通り作動し、−40〜+125℃の熱サイクルテストを1000回行ったが、低温時でも高温時でも、接続部の抵抗値アップや作動に異常は見られなかった。
【0049】
(比較例3)
両面とも離型処理を施したPETフィルムで覆われていないエポキシ系フィルムを用いたこと以外は実施例1と同様にして、微粒子配置導電接続フィルムを得た。
得られた微粒子配置導電接続フィルムの断面の模式図を図3に示した。
製造にあたっては、導電性微粒子を真空吸引によりエポキシ系フィルムに配置する際に、不要な位置に導電性微粒子が合着したため、その除去に手間取った。
得られた微粒子配置導電接続フィルムを用いて導電接続を行った導電接続構造体は、全ての電極で導通がとれ、隣接電極でのリークもなく通常通り作動し、−40〜+125℃の熱サイクルテストを1000回行ったが、低温時でも高温時でも、接続部の抵抗値アップや作動に異常は見られなかった。
【0050】
【発明の効果】
本発明によれば、隣接電極のリークがなく接続信頼性の高い電気的接続を短時間で容易に行える微粒子配置導電接続フィルム、微粒子配置導電接続フィルムの製造方法及び導電接続構造体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で作製された微粒子配置導電接続フィルムの断面を表す模式図である。
【図2】比較例2で作製された微粒子配置導電接続フィルムの断面を表す模式図である。
【図3】比較例3で作製された微粒子配置導電接続フィルムの断面を表す模式図である
【符号の説明】
1 導電性微粒子
2 エポキシ系フィルム
3 PETフィルム
Claims (5)
- 接着性フィルム積層体の任意の位置に導電性微粒子が配置されている微粒子配置導電接続フィルムであって、前記接着性フィルム積層体は、接着性フィルムの両面が離型性を有するフィルムで覆われてなるものであり、前記導電性微粒子は、少なくとも一部が前記接着性フィルムより露出している微粒子配置導電接続フィルムの製造方法であって、接着性フィルム積層体の任意の位置に貫通穴を開け、前記貫通穴の位置に導電性微粒子を配置、止着することを特徴とする微粒子配置導電接続フィルムの製造方法。
- 導電性微粒子は、平均粒径が10〜800μm、アスペクト比が1.3未満、CV値が5%以下であることを特徴とする請求項1記載の微粒子配置導電接続フィルムの製造方法。
- 導電性微粒子は、高分子量体からなるコアの表面に導電層が形成されたものであって、前記導電層の厚さは0.3μm以上であることを特徴とする請求項1又は2記載の微粒子配置導電接続フィルムの製造方法。
- 接着性フィルムは、押圧加熱により被着体と硬化接着するものであることを特徴とする請求項1、2又は3記載の微粒子配置導電接続フィルムの製造方法。
- 導電性微粒子の配置、止着は、吸引又は押圧により行うことを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の微粒子配置導電接続フィルムの製造方法。
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