JP4669299B2 - 溶鋼中介在物の除去方法 - Google Patents

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Description

本発明は、溶鋼中介在物の除去方法に関するものであり、殊に、溶鋼中に存在する微細介在物を、気泡に付着させて効率的に除去するための方法に関するものである。
近年の高清浄度化の要求に伴い、割れ等の主原因となる非金属介在物を微細なものまで極力低減することが必要とされており、製鋼段階において、溶鋼中の該介在物を効率良く確実に低減することが切望されている。
該介在物を除去する方法として、ポーラスやランス等を用いてバブリングを行い、発生した気泡に介在物を付着させて除去する方法が挙げられるが、該バブリングのみでは、介在物の除去効率を十分に高めることができない。
図1は、気泡径と介在物除去効率との関係を示したものであり、気泡のサイズが介在物除去効率に及ぼす影響をガス流量を一定にして調べたものである。
尚、上記介在物除去効率とは、気泡径が1.3mmの場合の介在物除去率を1.0とした場合の比率(無次元)で示したものである。該介在物除去率は、下記式(2)、即ち、介在物の個数濃度:Np(個/m3)、気泡の個数濃度:Nb(個/m3)、および単位面積あたりの除去効率定数:Kg(m3/s・個)を用いて表された介在物の除去速度の式において、Kgで示されるものであり、粒子と気泡および周辺の流体の性質(半径、分子間力、濡れ性、乱れなど)によって決められる。
Figure 0004669299
上記図1から、気泡径が小さく微細になるほど介在物除去効率が向上することがわかる。この様に気泡の微細化により介在物除去効率が向上するのは、気泡個数が増加して介在物との総接触面積(総界面積)が増え、かつ微細化されることで気泡の浮上速度が低下し、溶鋼中での滞留時間が増加するためと思われる。そして上記バブリングのみの場合には、微細な気泡を発生させることが困難であるため、結果として介在物除去効率が上昇しないものと考えられる。
微細な気泡を発生させる方法としては、微細な孔からガスを吹き込む方法や、超音波を印加したり、複雑な羽根を回転させる等の方法が挙げられるが、高温である溶鋼中では、使用できる材質が耐火物に限られ、かつ劣化が激しいため複雑な形状を維持することが困難である。よって、溶鋼中で微細な気泡を発生させる方法としては、溶鋼の流速を高めて流れによるせん断力を利用する方法が一般に用いられている。
流れによるせん断力を発生させる具体的手段としては、例えば歯車状の装置を回転させながらガスを吹き込む方法[例えば特許文献1、特許文献2や図2(図2におけるI−I断面図を図3に示す)に模式的に示す装置を利用した方法]、タンディッシュ堰孔からのバブリング(例えば非特許文献1や非特許文献2)等が挙げられる。
例えば前記図2に例示する装置を用いた場合には、図4に示す通り、ノズル周速を速めて溶鋼の流速を増加させることで、気泡径がある程度小さくなり、この様に気泡径が小さくなることで前記図1に示すとおり介在物除去効率が上昇する。
そして従来では、SaffmanとTurnerの雨滴同士の乱流衝突モデルの下記式(3)に示される通り、流速を速めて乱流エネルギー消散速度(ε)を大きくする、即ち溶鋼の乱れを強くすれば、気泡と介在物との接触頻度が増加して介在物の除去効率が増加すると考えられ、上記乱流エネルギー消散速度をより高める技術について検討されてきた。
Kg=1.3(ai+aj3(ε/ν)1/2 …(3)
(ここで、Kgは単位体積あたりの介在物除去効率、aは粒子半径、νは動粘性係数、εは乱流エネルギー消散速度を示す)
特開平1−180764号公報 特開昭62−45464号公報 高瀬賢二,他2名[CAMP-ISIJ」 Vol.10(1997) p.138 中島敬治,他1名「鉄と鋼」 Vol.80(1994) No.8,p.611
しかし本発明者らが調べたところ、溶鋼の流速を速めてせん断力を増加させたり乱流エネルギー消散速度を高めた場合でも、介在物の除去効率はほとんど上昇しないか減少する場合すら生じることがあった。本発明はこの様な事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、溶鋼中の不純物である微細介在物を、気泡に付着させて効率よく確実に除去するための方法を提供することにある。
本発明に係る溶鋼中介在物の除去方法とは、気泡に介在物を付着させて溶鋼中の介在物を除去する方法において、溶鋼中の深部側に乱流エネルギー消散速度の大きな領域Aを形成すると共に、連通部を有する隔壁を用いて、乱流エネルギー消散速度が上記領域Aよりも小さな領域Bを上記領域A以外の領域として形成し、上記領域Aで微細な気泡を発生させ、該気泡を利用して上記領域Bの介在物を浮上分離させるところに特徴を有する。
確実に介在物除去効率を高めるには、前記領域Aの流速(V)と前記領域Bの乱流エネルギー消散速度(ε)が下記式(1)を満たすように前記領域Aと前記領域Bを形成することが好ましい。
C1×(0.24×V+0.3)(-133.3×ε+1.0)≧0.5 (V≦2.5の場合)
ε≦(0.0033×C1) (V≧2.5の場合) …(1)
[式中、Vは領域Aの流速(m/s)を示し、
εは領域Bの乱流エネルギー消散速度(m2/s3)を示し、
C1は領域Bの全体に占める割合を示し、
領域Aの体積をCA、領域Bの体積をCBとした場合に、
C1=CB/(CA+CB)で表される]
また溶鋼において、この様な領域Aと領域Bを形成するには、溶鋼中に、耐火物で形成された、上面および側壁面を有し該側壁面に連通部の設けられた容器を伏椀状に浸漬させ、該容器内に乱流を生じさせることによって、該容器内に前記領域Aを形成し、該容器外に前記領域Bを形成することが有効であり、前記容器内に乱流を生じさせる方法としては、前記容器内にガスを吹き込む方法が挙げられる。
本発明によれば、溶鋼表面のスラグや浮上した介在物を巻き込むことなく、溶鋼中の微細介在物を効率良くかつ確実に除去できるので、鋼の清浄化を著しく促進させることができる。
本発明者らは、まず、上述の様にせん断力を強めたり溶鋼の乱れを高めて微細な気泡を多量に発生させた場合に、介在物除去効率がほとんど向上しない原因を解明すべく実験を行った。実験には図5に示す装置を用い、下記表1に示す条件で水モデル実験(動粘度係数が溶鋼とほぼ同じである水を媒質とし、介在物模擬粒子として、接触角度が溶鋼と介在物[アルミナ]の接触角度[約100度]とほぼ同じであるものを使用し、かつ吹き込みガスとして実操業と同様にArを使用)を行い、乱流下における微細な気泡の介在物付着状況について調べた。
Figure 0004669299
実験では、ガス流量、攪拌速度、気泡径、介在物粒子径、介在物粒子の接触角と、気泡と介在物の衝突頻度関数との関係を調べ、得られた実験結果を整理した。その結果、乱流エネルギー消散速度ε(m2/s3)のみが介在物除去効率に及ぼす影響として図6に示す結果が得られた。この図6から、流体の乱れの指標である乱流エネルギー消散速度が高まると、介在物除去効率が一定値まで急激に低下しており、溶鋼の乱れを高めても介在物除去効率がほとんど増加しない要因が、乱流エネルギー消散速度にあることを突き止めた。
即ち、溶鋼の流速を速めてせん断力を強めると、気泡が微細化して介在物除去効率が上昇する一方で、乱流エネルギー消散速度も大きくなり、該乱流エネルギー消散速度の増加による介在物除去効率の著しい低下が、前記気泡の微細化による介在物除去効率の向上を上回るため、総介在物除去効率(実際の介在物除去効率)が上昇しないかまたは減少するものと推定される。
具体的には、次の様な現象が生じているものと想定される。即ち、溶鋼の乱れが少ない場合には、図7(A)に図示する様に、気泡と接触した介在物は気泡に捕捉されたまま浮上すると考えられるが、気泡を微細化すべく流速を速めることで大きな乱れが生じた場合には、図7(B)に図示する様に、一旦気泡に付着した介在物が乱れにより気泡から引き剥がされて再分離すると考えられる。
また大きな乱れが生じると、上記介在物の再分離と共に、溶鋼表面のスラグを巻き込んだり、浮上した介在物の再度巻き込み等が生じるため、介在物除去効率がより一層低下すると考えられる。
そこで本発明者らは、溶鋼中の深部側に乱流エネルギー消散速度の大きな領域Aを形成すると共に、連通部を有する隔壁を用いて、乱流エネルギー消散速度が上記領域Aよりも小さく、前記図7(B)の様に介在物が再分離しない程度に乱流エネルギー消散速度の抑えられた領域Bを上記領域A以外の溶鋼領域として形成し、上記領域Aで微細な気泡を発生させ、該気泡を利用して領域Bの介在物を浮上分離させればよいことを見出した。
尚、本発明では、領域Aと領域Bの体積比率まで規定するものではないが、領域Aの体積(CA)は、領域Bの介在物を付着させるための十分な気泡を発生させる観点からその下限を規定するのが好ましく、一方、領域Bの体積(CB)は、本発明の目的が溶鋼中に存在する介在物の十分な除去にあることに鑑みてその下限を規定するのが好ましい。これらの観点からは、領域Aの体積(CA)を溶鋼全体の1/100〜1/200程度とすることが好ましい。
本発明では、溶鋼中に、乱流エネルギー消散速度の相違する領域Aと領域Bを連通部を有する隔壁を用いて形成することを規定しており、各領域の乱流エネルギーまで規定するものでないが、例えば後述する本発明例を実施するための装置で回転数を600RPMとした場合、領域Aの乱流エネルギー消散速度は約0.8m2/s3以上であり、領域Bの乱流エネルギー消散速度は約0.003m2/s3以下に抑えられている。また上記領域Aで発生させる微細な気泡とは、気泡径が約2.0mm以下のものをいう。
効率良く微細な気泡を発生させて確実に微細介在物を除去するには、領域Aおよび領域Bとして次の様な要件を満たす領域を形成するのがよい。即ち、領域Aは、気泡径の小さな気泡を発生させるための領域であり、そのためには上述の通り、流速を速めて乱れの強い領域とするのがよく、この領域Aにおける流速が総介在物除去効率の支配因子の一つであると考えられる。図8は前記図1および図4の結果を整理したものであるが、この図8から、領域Aの流速のみを考慮した場合の介在物除去効率(η1)は下記式(4)の様に表される。
Figure 0004669299
一方、領域Bは、領域Aで発生した気泡に介在物を付着させ、前記図7(B)に示す様な介在物の再分離を抑制して浮上除去するための領域であり、この様な領域を形成するには、乱流エネルギー消散速度を小さくすることが必要である。よって総介在物除去効率の別の支配因子として、この領域Bの乱流エネルギー消散速度(ε)が挙げられ、領域Bの乱流エネルギー消散速度ε(m2/s3)のみを考慮した場合の介在物除去効率(η2)は、前記図6から下記式(5)の様に表される。
Figure 0004669299
そうすると領域Aの流速と領域Bの乱流エネルギー消散速度、および溶鋼における領域Bの占める割合(C1)を考慮した総介在物除去効率は、C1と上記η1、η2との積(C1×η1×η2)で表される。従来の様に歯車型のものを使用した場合には、後述する実施例で示す通り総介在物除去効率が0.5に満たないことから、本発明では、C1×η1×η2が0.5以上である場合を総介在物除去効率が向上したと判断した。
本発明において、C1×η1×η2を0.5以上とするには、前記式(4)および式(5)を用いて整理した結果、領域Aの流速(V)と領域Bの乱流エネルギー消散速度(ε)が下記式(1)を満たすように領域Aと領域Bを形成すればよいことを明らかにした。このことを図示したグラフを図9に示す。図9から明らかな様に、介在物除去効率をより高めるには、領域Aの流速(V)をより高め、かつ領域Bの乱流エネルギー消散速度(ε)をより低減することが推奨される。
尚、領域Aの流速(V)が速過ぎると容器の耐火物が溶損し易くなるので好ましくない。
C1×(0.24×V+0.3)(-133.3×ε+1.0)≧0.5 (V≦2.5の場合)
ε≦(0.0033×C1) (V≧2.5の場合) …(1)
[式中、Vは領域Aの流速(m/s)を示し、
εは領域Bの乱流エネルギー消散速度(m2/s3)を示し、
C1は領域Bの全体に占める割合を示し、
領域Aの体積をCA、領域Bの体積をCBとした場合に、
C1=CB/(CA+CB)で表される]
前記領域Aおよび領域Bを溶鋼内に形成するための手段としては、次の様な設備を採用すればよい。即ち、図10に示す様に、溶鋼の装入された容器1に、耐火物で形成された上面および側壁面を有し、かつ該側壁面に連通部(例えば孔またはスリット)3のある円筒状の容器2を伏椀状に浸漬させることによって、溶鋼を、容器2の内部領域7(前記領域Aに相当する)と容器2の外部領域8(前記領域Bに相当する)に区切り、容器1の下部から容器2の内部に向けて気泡を吹き込むためのガス供給装置4とガス吹き込みノズル5が設けられた設備が本発明例を実施するための手段として挙げられる。
この図10の設備において、ガス吹き込みノズル5から容器2の内部領域7に向けてガス(例えば、溶鋼との反応が生じ難いArやHeといった不活性の希ガス等)を吹き込むことによって、図11に示す通り、気泡9が吹き込まれ、該気泡9は上昇に伴う強い流れにより微細化される。この様にして、容器2の内部領域7に、流速が速く乱れの強い領域10が形成されるが、この乱れの強い領域は、容器2の壁面に遮られて容器2の内部領域7にとどまるため、容器2の外部領域8は乱れの弱い領域11となっている。容器2の内部領域7で形成された微細な気泡は、連通部3から溶鋼を伴って乱れの弱い領域11に吐出されるが、連通部3から乱れの弱い領域への流出する区間で溶鋼の乱れは減衰されるため、容器2の外側に乱れはほとんど伝わらない。
微細な気泡12は溶鋼表面に向かって緩やかに上昇する。そのため、容器2から出た気泡は、上昇過程において溶鋼中の介在物を付着し、該介在物と共に浮上してスラグ6に到達し介在物が除去される。この様な形態とすれば、巨大な気泡が溶鋼表面に直接達することもなくスラグの巻き込みも生じないので好ましい。
尚、本発明の方法を実現するための手段は、前記図10および図11に示す設備に限定されない。上記容器2は、溶鋼の乱れが外側に及ばないものであればよく、その形状やサイズについて問わない。また上記図10および図11では、容器2に軸を設けているが、この様な形状に限らず、容器2の内部領域7と連通部3の確保された円筒状の装置を使用してもよい。また、容器2内の溶鋼の流動と乱れを増加させるべく、容器内側に羽根等の突起物を設けたり、溶鋼の吐出流を容器2内に導く方法を採用してもよい。
具体的には、例えば、前記図10および図11の容器2内部の上面や側壁面に、図12に示すような突起物27や、後述する実施例における本発明法を実現するための装置(図14)に示す様な羽根26を設けることによって、強い乱れを生じさせてもよく、該突起物の形状やサイズ、個数(枚数)は特に限定しない。また、前記図10および図11では、容器2の直下にガス吹き込みノズル5を設置して底部からガスを吹き込んでいるが、これに限らず、容器内部に付設する吹き込み装置からガスを吹き込むことも可能である。例えば図12に示す様に、ガス導入経路25を有する容器22を用い、ガス導入経路25からガスを吹き込んでもよい。また微細気泡発生容器を、前記図10および図11の様に、取鍋等の溶鋼保持容器1内に設置する場合の他、タンディッシュ内に設置することも可能である。例えば図12に示す様に、下部に堰孔24を有する堰23を設けたタンディッシュ21内に、微細気泡発生容器22を設置し、堰23の左側から溶鋼を装入して、堰孔24から容器22内部への溶鋼の流れ28を利用することで、容器22内部に乱れの強い領域を形成することもできる。
また、溶鋼中に微細な気泡を均一に分散させて、溶鋼中の介在物を効率良く除去したり、容器内部に設けた突起物を回転させて容器内の溶鋼の乱れを高めるには、容器2を回転させることも有効であるが、その回転数等については特に限定しない。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
円柱状の容器に媒質である純水と介在物模擬粒子として直径20μmのポリメタクリル酸メチルを10kg投入し、従来法を実施するための図13に示す歯車型の装置と、本発明法を実施するための図14に示す装置を、それぞれ図15に示す通り浸漬した。そして図示するガス吹き込み孔から流量10NL/minのArガスを流入し、各装置を図15に示す通り回転させて介在物を除去する実験を行った。実験では、容器内の流速と容器外の乱流エネルギー消散速度を計算機で数値計算して求め(尚、歯車型の場合、流速と乱流エネルギー消散速度は全領域の平均値として求めた)、該容器内の流速と容器外の乱流エネルギー消散速度が介在物除去効率に及ぼす影響について調べた。その結果を図16に示す。
図16及び図9から明らかな様に、従来の様に歯車型の装置を使用した場合には、0.5以上の介在物除去効率を達成できないが、本発明法を実現するための装置を用いれば0.5以上の介在物除去効率を実現できる。また図16から、確実に0.5以上の介在物除去効率を達成するには、容器内の流速を約0.8〜2.8m/s、容器外の乱流エネルギー消散速度を0.0003〜0.0035m2/s3の範囲内で上記式(1)を満たすように制御するのがよいことがわかる。
前記図13と図14のそれぞれの装置を使用した場合の、乱流エネルギー消散速度のみが介在物除去効率に及ぼす影響、流速(気泡径)のみが介在物除去効率に及ぼす影響、およびこれら消散速度と流速(気泡径)の影響を考慮した総介在物除去効率についてまとめた。
歯車型の装置(比較例)を使用した場合についてその結果を図17に示す。尚、図18に示す通り流速は攪拌数に比例して上昇し、また図19に示す通り乱流エネルギー消散速度(ε)は攪拌数の二乗に比例して上昇することも確認した。
これらの結果から、攪拌数の増加に伴い流速が増加するため、気泡は微細化し、該気泡の微細化による介在物除去効率(図17中の□)は上昇している。しかし攪拌数の増加により乱流エネルギー消散速度も上昇し、この乱流エネルギー消散速度の上昇による介在物除去効率(図17中の◇)の低下が著しいため、結果として総介在物除去効率(図17中の●)は、攪拌数が増加しても、バブリング単独の場合(攪拌数がゼロの場合)と比較してほとんど変わらないか減少している。
本発明法を実現するための装置(本発明例)を使用した場合について、その結果を図20に示す。尚、上記比較例の場合と同様に、図21に示す通り容器内の流速は攪拌数に比例して上昇し、また図22に示す通り乱流エネルギー消散速度(ε)は、容器外では微小であり、容器内では攪拌数の二乗に比例して上昇することも確認した。
これらの結果から、図20(a)に示す通り、領域Aに相当する容器内では溶鋼の乱れが著しいが、領域Bに相当する容器外では、図20(b)に示す通り容器内の様な著しい乱流が抑制されて、総介在物除去効果が上昇していることがわかる。
前記図17における介在物の総介在物除去効率と前記図20における総介在物除去効率を比較したグラフを図23に示す。この図23から、本発明の方法で溶鋼中の介在物を除去すれば、従来法よりも効果的に除去でき、攪拌数を5.0(1/s)とした場合には、バブリングのみ(攪拌なし)の場合と比較して総介在物除去効率が約1.5倍にまで向上することがわかる。
介在物除去効率に及ぼす気泡径の影響を調べた図である。 従来法における設備を模式的に示した側面図である。 前記図2におけるI−I断面の上面図である。 図2および図3に示す設備を用いて調べたノズル周速と気泡径の関係を示す図である。 介在物除去実験で使用した装置を模式的に示した図である。 乱流エネルギー消散速度と介在物除去効率との関係を示した図である。 気泡と介在物との付着への乱れの影響を模式的に示した図であり、(A)は乱れの小さい場合を示し、(B)は乱れの大きい場合を示す。 流速(せん断流速)と介在物除去効率の関係を示す図である。 容器内の流速および容器外の乱流エネルギー消散速度と介在物除去効率との関係を示す図である。 本発明法を実現するための設備を模式的に例示した図である。 本発明法を実現するための設備を稼動させた場合の状況を模式的に例示した図である。 本発明法を実現するための別の設備を模式的に例示した図である。 実施例で用いた従来法を実現するための装置を示す側面図および上面図である。 実施例で用いた本発明法を実現するための装置を示す側面図および上面図である。 実施例における溶鋼保持容器内の前記図13または図14の装置の配設位置を示した図である。 従来法と本発明法の効果の相違を示した図である。 歯車型を用いた場合について、攪拌数と介在物除去効率の関係を、乱流エネルギー消散速度、流速および総除去効果別に示した図である。 歯車型を用いた場合の攪拌数と流速(せん断速度)との関係を示す図である。 歯車型を用いた場合の攪拌数と乱流エネルギー消散速度との関係を示す図である。 本発明の装置を用いた場合について、攪拌数と介在物除去効率の関係を、乱流エネルギー消散速度、流速および総除去効果別に示した図であり、(a)は容器内、(b)は容器外の結果を示す。 本発明の装置を用いた場合の攪拌数と流速(せん断速度)との関係を示す図である。 本発明の装置を用いた場合の攪拌数と乱流エネルギー消散速度との関係を示す図である。 攪拌数と介在物除去効率の関係について、歯車型を用いた場合と本発明の装置を用いた場合を比較した図である。
符号の説明
1 溶鋼保持容器
2,22 微細気泡発生容器
3 連通部
4 ガス供給装置
5 ガス吹き込みノズル
6 スラグ
7 容器2の内部領域
8 容器2の外部領域
9 吹き込まれた気泡
10 乱れの強い領域
11 乱れの弱い領域
12 微細な気泡
21 タンディッシュ
23 堰
24 堰孔
25 ガス導入経路
26 羽根(気泡せん断用の羽根)
27 突起物
28 堰孔からの溶鋼の流れ
31 攪拌槽
32 バッフルプレート
33 攪拌用羽根
34 モーター
35 サンプリング装置
36 ガス気泡(介在物付着なし)
37 介在物粒子の付着したガス気泡

Claims (1)

  1. 気泡に介在物を付着させて溶鋼中の介在物を除去する方法において、溶鋼中に、耐火物で形成された上面および側壁面を有し該側壁面に連通部の設けられた容器を伏椀状に浸漬し、該容器内にガスを吹き込むことによって、容器内に乱流を生じさせて、該容器内で溶鋼中の深部側に乱流エネルギー消散速度の大きな領域Aを形成すると共に、該容器外に乱流エネルギー消散速度が上記領域Aよりも小さな領域Bを上記領域A以外の領域として形成し、且つ前記領域Aの流速(V)と前記領域Bの乱流エネルギー消散速度(ε)が下記式(1)を満たすようにしつつ、上記領域Aで微細な気泡を発生させ、該気泡を利用して上記領域Bの介在物を浮上分離させることを特徴とする溶鋼中介在物の除去方法。
    C1×(0.24×V+0.3)(-133.3×ε+1.0)≧0.5(V≦2.5の場合)
    ε≦(0.0033×C1) (V≧2.5の場合)…(1)
    [式中、Vは領域Aの流速(m/s)を示し、
    εは領域Bの乱流エネルギー消散速度(m 2 /s 3 )を示し、
    C1は領域Bの全体に占める割合を示し、
    領域Aの体積をCA、領域Bの体積をCBとした場合に、
    C1=CB/(CA+CB)で表される]
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JP2000309829A (ja) * 1999-04-23 2000-11-07 Nippon Light Metal Co Ltd 溶湯への気泡分散装置

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