JP4668478B2 - ロック装置及びそれを用いた光学装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、物品を機器本体等の取付面に対し着脱可能に固定するロック装置のうち、特に着脱操作を前方からの押し操作により行えるようにしたロック装置及びそれを用いた光学装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図7は液晶プロジェクタを前側から見た模式図である。このプロジェクタ1は、ハウジング2に内蔵されて液晶パネル及び回路系等を配置しているシャーシ3に対し可動枠4を昇降可能に支持し、該可動枠4に投写レンズ5を着脱可能に固定している。そして、投写レンズ5は、ハウジング2に設けられた比較的大きな開口2aから露出され、可動枠4を介し上下調整される。ところで、従来構造では、投写レンズ5がフランジ部(マウント)を有し、該フランジ部を可動枠4の取付面(取付座又は基準面)に位置決め配置して、複数本の止めねじにより固定していた。このような、投写レンズ5は、可動枠4への固定強度と共に修理や交換時に開口2a等を通じて簡単に着脱されることが要求される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来の止めねじ構造では、投写レンズ5の修理や交換等において外した止めねじが機器内に落ちたり紛失することもあった。また、投写レンズ5の着脱を繰り返すうちにねじ穴の雌ねじが潰れる等して投写レンズ5の固定強度を充足できなくなる虞もあった。
【0004】
本発明は以上のような背景から開発されたものである。その目的は、付勢部材の付勢力を付与したアンカー部材により物品を取付面に着脱可能に固定するロック装置において、部材数が少なく、かつ物品をワンタッチ操作により着脱でき、また、固定及び離脱の何れの操作も前方からの押し操作で行うことができるロック装置及びそれを用いた光学装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するため本発明は、図面に例示される如く、フランジ部53付きの物品5を、機器側の取付面43に前記フランジ部53を配置して着脱可能に固定するロック装置6において、前記取付面側に立設される対向した脚部60A,60Bを有した支持部材60と、前記両脚部の間に枢軸8を介し回動可能に設けられて、前記両脚部60A,60Bの間にほぼ収まった非係止位置、及び前記両脚部60A,60Bの間から突出されて前記フランジ部53を前記取付面に押圧係止する係止位置に切り換えられるアンカー部材63と、前記アンカー部材63を前記係止位置の方向へ付勢している付勢部材10と、前記支持部材60に軸を介し枢支されている共に前記軸9を挟んだ両側に操作部66C,67dをそれぞれ有し、前記各操作部を選んで前記支持部材上から前記取付面側への押し操作により前記アンカー部材63を前記係止位置及び非係止位置にそれぞれ切換可能な操作部材66とを備え、
前記操作部材66及びアンカー部材63は常に圧接するカム面64c及び圧接部67cの一方をそれぞれ形成し、また、前記操作部材66及び前記支持部材60は互いに係脱する突起62dと係合部67aの一方をそれぞれ形成しており、前記アンカー部材63が前記カム面64c及び圧接部67cを介し前記操作部の押し操作に連動して前記係止位置と非係止位置とに切り換えられ、かつ、前記突起62dと係合部67aとの係合により前記付勢部材10の付勢力に抗して前記非係止位置に保持されることを特徴としている。
【0006】
以上の構造によれば、物品5を固定する場合は、例えば、アンカー部材63を非係止位置にした状態で、物品5のフランジ部53を取付面43に位置決め配置した後、操作部材66を押し操作して、アンカー部材63を付勢部材10の付勢力により非係止位置から係止位置方向へ回動する。すると、アンカー部材63は、先端側がフランジ部53の上縁等に(取付面との間でフランジ部を挟持するよう)係止されて、フランジ部53を付勢部材10の付勢力に応じた強さで取付面側に係止固定する。物品5を外す場合は、操作部材66を押し操作して、アンカー部材63を付勢部材10の付勢力に抗して非係止位置へ切り換えると、アンカー部材63が両脚部60A,60Bの間にほぼ入ってフランジ部53への規制を解放する。構造特徴は、アンカー部材63の係止力を付勢部材10の付勢に比例した強さで得る場合、部材数を抑え簡易化すると共に、物品5の固定及び離脱操作を支持部材上(前方)から取付面側への押し操作により行えるようにした点にある。このため、この構造は、請求項6に挙げた如くレンズ組立体5を対応する取付面側に着脱可能に固定する光学装置1に好適なものとなる。
【0007】
また、以上の構造において、操作部材66は、支持部材60に軸9を介し枢支されている共に軸9を挟んだ両側に操作部60C,67bをそれぞれ有し、アンカー部材63を前記操作部を選んで係止位置と非係止位置とに切り換える。これは、前記した如く物品5の固定及び離脱操作を同じく取付面側への押し操作により行えるようにする上で、各操作部66C,67bを操作部材66と一体形成して簡易化し易くする。
同時に、操作部材66及びアンカー部材63は常に圧接するカム面64c,64d及び圧接部67cの一方をそれぞれ形成しており、アンカー部材63がカム面64c,64d及び圧接部67cを介し前記操作部の押し操作に連動して前記係止位置と非係止位置とを回動切り換えられる。これは、操作部材66とアンカー部材63がカム面64c,64d及び圧接部67cを介し常に作動連結されている点を特定したもので、例えば、アンカー部材63の非係止位置への切り換え操作を、操作部材66(操作部67b)の押す距離を抑えて瞬時に行えるようにする。
同時に、操作部材66及び支持部材60は互いに係脱する突起62dと係合部67aの一方をそれぞれ形成しており、突起62dと係合部67aとの係合により、アンカー部材63を付勢部材10の付勢力に抗して前記非係止位置に保持する。これは、アンカー部材63が形態例の如く突起62dと係合部67aの係合により非係止位置に保持されるようにすると、フランジ部53をアンカー部材63に不用意に当てることなく取付面43側に配置可能となる。但し、本発明装置6は、例えば、アンカー部材63を物品5のフランジ部53で押して非係止位置の方向へ回動することも可能なため、このような突起及び係合部がなくても使用可能である。
以上の本発明は請求項2のように具体化されることがより好ましい。すなわち、前記アンカー部材63は、先端に段差状に設けられて前記枢軸8からの距離を異にした第1及び第2係止面65a,65bを有し、前記両係止面が前記フランジ部53の板幅寸法等に応じて使い分けられる。これは、フランジ部53の板幅寸法や厚さが多少違っても同じロック装置6を適用可能にして汎用性を具備できようにする。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態について図面を参照し説明する。図1は形態例のロック装置を示し、同(a)はアンカー部材が非係止位置において保持された状態で示す模式外観図、同(b)はアンカー部材が係止位置へ回動されかつ保持された状態で示す模式外観図である。図2は前記ロック装置を分解した構成図、図3(a)〜(c)は前記ロック装置の作動を示している。図4は前記ロック装置を用いて投写レンズを移動枠に固定した液晶プロジェクタの要部模式外観図、図5は図4の要部模式分解図である。図6は液晶プロジェクタの要部を前から見たもので、同(a)は投写レンズを取り付けない状態での一部破断した正面図、同(b)は投写レンズを固定しかつ上移動した状態での正面図である。図7は前記ロック装置を使用している液晶プロジェクタの概略図である。以下の説明では、ロック装置の構造、組立、基本作動を詳述した後、用途例と使用要領等に言及する。
【0009】
(ロック装置)ロック装置6は、図1と図2に示される如く主部材が機器類等の取付面に立設される支持部材60、支持部材60に回動可能に組み付けられるアンカー部材63及び操作部材66からなり、これらが枢軸や軸としてのシャフト8,9及び付勢部材であるコイルばね10により一体的に組立られている。そして、装置特徴は、操作部材66が支持部材60上つまり前方から取付面側への押し操作により、アンカー部材63を支持部材60の内側にほぼ退避させた非係止位置に保持し、又、該保持を解放しアンカー部材63を付勢部材14の付勢力により回動して支持部材63の内側から突出する係止位置に切換可能となっている。
【0010】
ここで、支持部材60、アンカー部材63、操作部材66は金属製のプレス品であるが他の材質であってもよい。支持部材60は、上側が略コ形をなし、両側の対向した脚部60A,60B、両脚部60A,60Bを連結している接続部60Cを有し、下側が接続部60Cを欠如している。脚部60A,60Bは、下側を直角に折り曲げた設置部61a,61bを一体に形成している。設置部61a,61bは、取付用孔61cを有し、又、脚部60A,60Bから突出する部分を異形状に形成している。また、各脚部60A,60Bの上側には、軸用の装着孔62a及び装着孔62bがそれぞれ同軸線上に設けられている。装着孔62aは、装着孔62bよりも上前側に位置していると共に、大きな孔径となっている。各脚部60A,60Bの上前縁は略円弧に形成され、円弧の下に凹部61dが設けられている。脚部60Aの上側外面には係止凸部62dが装着孔62aの下側に設けられている。接続部60Cには、脚部60B側の上側角部に係止溝部62cが設けられている。係止溝部62cは、接続部60Cと脚部60Bとの間の上側角部を一部切り欠き、該切り欠き部に溝開口を位置した状態で形成されている。
【0011】
アンカー部材63は、両脚部60A,60Bの間にほぼ収まる大きさをなし、各脚部60A,60Bの内面に沿って配置可能な両片部63A,63Bと、両片部63A,63Bの背面側にあって片部同士の中間部を連結している接続部63Cと、各片部63A,63Bの先端(下端)側に設けられた係止部65とを一体に有している。各片部63A,63Bには、前記した装着孔62aに重ねられる軸孔64aが係止部65と反対側の端部に設けられている。接続部63Cには、片部63A側の上側角部に係止溝部64bが設けられている。このため、係止溝部64bは、アンカー部材63が両脚部60A,60Bの間に配置された状態で、前記した係止溝部62cと反対側にくる。各片部63A,63Bの前縁は略円弧に形成されているが、片部63Aの方は2個の小円弧のカム面64c,64dで構成されている。カム面64c,64dは、後述する操作部材66が圧接部67cを介し当接されて作動連結される。
【0012】
操作部材66は、支持部材60の上側外周に嵌合される略コ形をなし、両脚部60A,60Bに沿って配置される両アーム部66A,66Bと、両アーム部66A,66Bを連結して接続部60Cに沿って配置される接続部66Cとを有している。両アーム部66A,66Bは、前記した装着孔62bに重ねられる軸孔66dを有していると共に、各脚部60A,60Bの上側の板幅よりも少し長く形成されている。このため、接続部66Cは、両アーム部66A,66Bが軸孔66dを対応する装着孔62bに重ねた状態で、接続部60Cとの間に若干の隙間を保って配置される。これにより、接続部66Cは、操作部材66を一方向へ押し操作するための操作部(一方の操作部)を兼ねることが可能となる。また、アーム部66Aは、アーム部66Bよりも若干長く形成された延長部67を有している。延長部67には手前側から先端に向けて係合部67a、操作部(他方の操作部)67b、圧接部67cが設けられている。このうち、係合部67aは、前記した係止凸部と係合することにより、アンカー部材63を図1(a)の非係止位置に保持する。操作部67bは、係合部67aと圧接部67cの間にあって、係合部67aと反対の側縁から起立され、又、一方の操作部を兼ねる接続部60Cとは軸孔66dを挟んだ反対側に位置している。圧接部67cは、延長部67の先端を内向きに折り曲げることにより形成されている。
【0013】
(組立)以上の主部材は、例えば、次のような手順で組み付けられる。まず、アンカー部材63が支持部材60にシャフト8を介しコイルばね10と共に組み付けられる。この場合は、アンカー部材63を両脚部60A,60Bの間に配置した状態で、シャフト8が一方の装着孔62a及び軸孔64aに通され、両片部63A,63Bの間に配置したコイルばね10の内径に挿通された後、他方の軸孔64a及び装着孔62aに通される。シャフト8は、割溝付きで装着孔62aの内径より大きな外径の筒形をなし、両端部8aが装着孔62aに圧入されて少し外へ突出した状態で支持部材60に抜け止め固定される。すると、アンカー部材63はシャフト8を軸として回動可能に枢支され、コイルばね10はシャフト8回りに支持される。次に、操作部材66が支持部材60にシャフト9を介し取り付けられる。この場合は、支持部材60の対応部分を両アーム部66A,66Bの内側に入れるようにして、両側の軸孔66dを対応する装着孔62bに重ねた状態で、シャフト9が一方の軸孔66d及び装着孔62bに挿通された後、他方の装着孔62b及び軸孔66dに通される。シャフト9は、割溝付きで装着孔62bの内径より大きな外径の筒形をなし、両端部9aが装着孔62bに圧入された状態で支持部材60に抜け止め固定されて、操作部材66を回動可能に枢支する。その後、前記したコイルばね10は、一端10aを片部63Aの係止溝部64bに係止した状態から、他端10bが図2の想像線で示す如く回動されて付勢圧を発現しながら接続部60Cの係止溝部62cに係止される。
【0014】
(基本作動)このようにして、組み立てられたロック装置6は、アンカー部材63が図1(a)の如く脚部60A,60Bの間にほぼ収まる非係止位置と、図1(b)の如く脚部60A,60Bの間から突出される係止位置とに回動切り換えられる。係止位置から非係止位置にするときは操作部67bを前方へ押す。すると、延長部67(操作部材66)は、コイルばね10の付勢力に抗しシャフト9を支点に回動されて係止凸部62bを完全に通過し、最終的に係合部67aが係止凸部62bに係合する。同時に、アンカー部材63は、圧接部67cとカム面64c,64dとの作動にて非係止位置まで回動されて保持される。非係止位置から係止位置にするときは接続部66Cを前方へ押す。すると、延長部67(操作部材66)は、係合部67aが係止凸部62dを乗り上げた後、コイルばね10の付勢力で回動されて係止凸部62dを完全に通過し、最終的に係合部67aがシャフト8の一端8aに係合する。同時に、アンカー部材63は、コイルばね10の付勢力により圧接部67cとカム面64c,64dとの作動を受けながら所定の係止位置まで回動されて保持される。
【0015】
(用途例)以上のロック装置6の用途例を図4から図7により概説する。図7のプロジェクタ1は、上記した如くハウジング2に内蔵されて液晶パネル及び回路系等を配置しているシャーシ3が昇降可能な可動枠4を有し、可動枠4に投写レンズ5を固定してハウジング2の開口2aから露出している。プロジェクタ1の基本機構は、例えば、特開平6−337394号や特許第2578695号等に開示のものと同じ。従来と異なる構造は、投写レンズ5が可動枠4にロック装置6を用いて固定されている点、可動枠4がシャーシ3にユニット化された昇降装置7を介し駆動されるようにした点にある。なお、請求項6の光学装置は、投写レンズ5が機器側のシャーシ3に着脱可能に組み付けられているものを含む。
【0016】
即ち、シャーシ3は、全体が略L形をなし、略平板状の水平部31に光源ランプや液晶パネル及び回路系等を配置し、略矩形状の垂直壁32に可動枠4を配置する構成である。垂直壁32には、開口33が設けられると共に、上下の鍔部35a,35b及び両側の鍔部35c,35dが設けられている。鍔部35a,35bの片側には、シャフト48が取付孔36a,36bを介し垂直に配置される。シャフト48は、下端に径小部48aを、上端に周回溝48bをそれぞれ形成している。鍔部35cの内上下部には、縦溝付きのガイド部材49がねじ39aによりそれぞれ取り付けられている。鍔部35dには、下側の段差37と、上外側に突設された取付孔34a付きの取付片34とが設けられている。これに対し、可動枠4は、シャーシ3に対し余裕を持って配置され、上下動されたとき開口33内に常に収まる開口41と、上下の鍔部42a,42b及び両側の鍔部42c,42dとを有している。内面には、上記ロック装置6を取り付ける取付孔41aと、投写レンズ5に対する基準面となる4個の取付座43と、投写レンズ5を位置決めする2個のピン44が突設されている。取付孔41aは鍔部35c,35dに接近して2個づつ設けられている。取付座43は開口41の周囲部にあって上下左右に位置し、ピン44は上両側の取付座43に接近している。鍔部42cの外側には上下にガイド片45が設けられている。鍔部42dの外側には、嵌合孔46aを形成している支持部46と、支持部46同士の間に設けられた略コ形の連結部47とが設けられている。以上の可動枠4は、ガイド片45が対応するガイド部材49の縦溝内に嵌合され、又、各支持部46が嵌合孔46aに串差し状に挿通されるシャフト48を介して、鍔部35a〜35d内に上下摺動自在に支持される。なお、シャフト48は、下端が径小部48aと取付孔36bとの係合、上端が周回溝48bに係合されるEリング38(図6参照)により鍔部35a,35b間に保持されている。
【0017】
投写レンズ5は、図面では模式化しているが、レンズ系51を保持している鏡筒52と、鏡筒52に固定されている取付用フランジ部(マウント)53と、フランジ部53に設けられて前記した位置決め用ピン44に係合する基準孔54とを有している。そして、投写レンズ5は、上記のロック装置6により可動枠4に着脱可能に固定される。これに対し、昇降装置7は、ギアボックス71に対し外部電源で駆動されるモータ85、モータ85の出力軸に装着されたウオームギア86、ウオームギア86と噛み合っているヘリカルギア81、ヘリカルギア81に一体化された雄ねじ付きのシャフト80、シャフト80の雄ねじに螺合している連結アーム78、モータ85や不図示の位置センサ等の作動を制御する制御回路を形成している基板75を組み付けてユニット化したものである。そして、ギアボックス71が前記したシャーシ3の取付片34にねじ39b(図6参照)により取り付けられ、又、前記した可動枠4の連結部47が連結アーム78に係合連結される。以上の昇降装置7は、モータ85の回転力をウオームギア86、ヘリカルギア81を介しシャフト80に伝達し、該シャフト80を正転又は逆転すると、シャフト80に螺合されている連結アーム78及び連結アーム78に連結部47を介し結合されている可動枠4を該シャフト80に沿って上又は下へ移動する。機能は、投写レンズ5を可動枠4を介し上下に位置調整することにより、水平部31に設置される各液晶パネルに対する投写レンズ5の中心位置を変化させて、スクリーン上に写しだされる投影画像の位置を可変するものである。
【0018】
(使用要領)次に、以上の投写レンズ5を可動枠4に取り付けるときの要領をロック装置6の細部動作と共に説明する。図3はロック装置6を用いて投写レンズ5を可動枠4に固定する前後の状態を模式的に示している。なお、作図上は、投写レンズ5を省略し、フランジ部53又はフランジ部53Aの両側部分だけを示している。フランジ部53Aは、投写レンズ5又はフランジ部53が小型化つまりフランジ部53の幅寸法L1より小さな幅寸法L2のものを想定している。上記したロック装置6は2個用いられて、可動枠4の内面にあって、それぞれ対向した状態で取り付けられる。従って、各ロック装置6は、一方(図3の左側)が脚部60Aを上にし、他方(図3の右側)が脚部60Bを上にした状態で、ねじ39cが取付用孔61cから対応取付孔41aにねじ込まれて立設されている。
【0019】
投写レンズ5の取付作業では、各ロック装置6のアンカー部材63が仮に上記した係止位置にあるときは操作部67bを前方へ押して非係止位置に保持する。投写レンズ5は、フランジ部53(又はフランジ部53A)が基準孔54を上記したピン44に係合するようにして取付座43に位置決め配置される。その後、操作部である接続部66Cを可動枠4つまり支持部材60上から取付面側へ押す。すると、アンカー部材63は、係合部67aが係止凸部62bを乗り上げると同時に、後はコイルばね10の付勢力で係止位置方向へ回動され、途中で先端係止部65がフランジ部53又はフランジ部53Aの上縁に当たる。即ち、この構造では、図3(b)の如く幅寸法や厚さが大きいフランジ部53の場合、係止部65のうち、アンカー部材63の回動支点(シャフト8)に近い(つまり先端から離れた)係止面65aがフランジ部53の上縁に当たって係止する。図3(c)の如く幅寸法や厚さが小さいフランジ部53Aの場合、係止部65のうち、アンカー部材63の回動支点(シャフト8)から離れた(つまり先端側の)係止面65bが該フランジ部53Aの上縁に当たって係止する。各係止力は、フランジ部53,53Aを係止面65a又は65bと取付座43との間に挟持する態様で発現されており、アンカー部材63が受けているコイルばね10の付勢力に比例する。細部的には、各係止面65a,65bが円弧面となっているためフランジ部53,53Aの対応上縁に線当接して、常に安定した係止力を付与できる。
【0020】
離脱操作では、図3(b)や(c)の状態から、延長部67上に起立している操作部67bを可動枠4つまり支持部材60上から取付面側へ押す。すると、係合部67aが係止凸部62dの端面上を滑りながら、係止凸部62dを完全に通過したとき係止凸部62dの縁に係止され、同時にアンカー部材63が図3(a)の如く非係止位置に保持される。この状態では、アンカー部材63が脚部60A,60Bの間にほぼ入り込んで、係止部65もフランジ部53又はフランジ部53Aの上縁から逃げている。このため、投写レンズ5は、アンカー部材63に不用意に当てることなく取付座43から外される。このような構造では、投写レンズ5の固定と離脱の何れの操作も前方からの押し操作により行え、着脱操作性に優れ、投写レンズ5の固定や交換を迅速に行えるという利点がある。
【0021】
なお、本発明は以上の形態に制約されるものではなく、請求項で特定した要件を具備する範囲で種々変形可能なものである。その一例としては、投写レンズ5は他の物品であってもよく、更にフランジ部53,53Aの形状は円形や多角形等であっても差し支えない。
【0022】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明のロック装置は、アンカー部材の係止力を付勢部材の付勢に比例した強さで得る構造において、特に、部材数を抑えて簡易化を達成しながら、物品の固定及び離脱操作を共に前方からの押し操作により行うことができる。このため、これを用いた光学装置では、レンズ組立体をワンタッチで固定したり外すことができ、その結果、作業性を改善でき、交換時にレンズ組立体を損傷する虞も解消できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明を適用したロック装置を異なる態様で示す構成図である。
【図2】 上記ロック装置を分解した構成図である。
【図3】 上記ロック装置の使用例を示す作動図である。
【図4】 本発明の光学装置例を示す要部外観図である。
【図5】 上記光学装置要部の分解図である。
【図6】 上記光学装置要部を正面から見た図である。
【図7】 上記光学装置全体の外観を模式化した図である。
【符号の説明】
1…プロジクタ(光学装置に相当し、2はハウジング、3はシャーシ)
4…可動枠(43は取付面に相当する取付座、44は位置決め用ピン)
5…投写レンズ(物品に相当し、53,53Aはフランジ部、54は基準孔)
6…ロック装置
8,9…シャフト(枢軸又は軸)
10…コイルばね(付勢部材)
60…支持部材(60A,60Bは脚部、62dは突起である係止凸部)
63…アンカー部材(63A,63Bは片部、64c,64dはカム面)
65…係止部(65a,65bは第1及び第2係止面)
66…操作部材(66A,66Bはアーム部、60Cは操作部兼用の接続部)
67…延長部(67aは係合部、67bは操作部、67cは圧接部)

Claims (3)

  1. フランジ部付きの物品を、機器類側の取付面に前記フランジ部を配置して着脱可能に固定するロック装置において、
    前記取付面側に立設される対向した脚部を有した支持部材と、
    前記両脚部の間に枢軸を介し回動可能に設けられて、前記両脚部の間にほぼ収まった非係止位置、及び前記両脚部の間から突出されて前記フランジ部を前記取付面に押圧係止する係止位置に切り換えられるアンカー部材と、
    前記アンカー部材を前記係止位置の方向へ付勢している付勢部材と、
    前記支持部材に軸を介し枢支されている共に前記軸を挟んだ両側に操作部をそれぞれ有し、前記各操作部を選んで前記支持部材上から前記取付面側への押し操作により前記アンカー部材を前記係止位置及び非係止位置にそれぞれ切換可能な操作部材とを備え、
    前記操作部材及びアンカー部材は常に圧接するカム面及び圧接部の一方をそれぞれ形成し、また、前記操作部材及び前記支持部材は互いに係脱する突起と係合部の一方をそれぞれ形成しており、
    前記アンカー部材が前記カム面及び圧接部を介し前記操作部の押し操作に連動して前記係止位置と非係止位置とに切り換えられ、かつ、前記突起と係合部との係合により前記付勢部材の付勢力に抗して前記非係止位置に保持されることを特徴とするロック装置。
  2. 前記アンカー部材は、先端に段差状に設けられて前記枢軸からの距離を異にした第1及び第2係止面を有し、前記両係止面が前記フランジ部の板幅寸法等に応じて使い分けられる請求項1に記載のロック装置。
  3. 機器類側の取付面に対しレンズ組立体を請求項1又は2に記載のロック装置を2以上用いて固定していることを特徴とする光学装置。
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