JP4666747B2 - 露光装置およびデバイス製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、露光装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体素子等の製造に用いられる投影露光装置は、マスクとしてのレチクル上に形成された回路パターンを感光基板としてのウエハまたはガラスプレート等の上のフォトレジスト層に高い重ね合わせ精度で転写するために、レチクルとウエハとを高精度に位置合わせ(アライメント)する事が求められている。
レチクルに対するウエハの焦点位置を合わせる手法としては、フォーカスキャリブレーションが良く知られている。
【0003】
図1は、TTL(Through The Lens)方式によるフォーカスキャリブレーション手段を有する投影露光装置の概略図である。同図において、1は露光用の光源である。レチクル2上の回路パターンをウエハ8上に転写露光する際には、露光装置制御系70の指示が光源制御系30に伝えられ、光源制御系30の指示により露光光源1の動作が制御されている。
【0004】
2は原版としてのレチクルであり、原版のステージであるレチクルステージ4に保持されている。また、3はレチクル基準プレートであり、レチクル基準プレート3は同図においてはレチクルステージ4に保持されているが、光学的にレチクル2と等価な位置に固定されている場合もある。
【0005】
レチクルステージ4は、走査型露光装置では投影光学系5の光軸方向(z)及びこの方向に直交する方向(x,y)に移動可能であり、光軸に対して回転させる事も可能である。
【0006】
レチクルステージ4の駆動制御は、露光装置制御系70の指示がレチクルステージ制御系40に伝えられ、レチクルステージ制御系40の指示によりレチクルステージ4は駆動制御されている。
【0007】
レチクル基準プレート3上には、不図示ではあるが数種類の基準マークが設けられている。
【0008】
投影光学系5は、複数のレンズで構成されており、露光時はレチクル2上の回路パターンをウエハ8上に投影光学系5の縮小倍率に対応した倍率で結像させている。なお、50は後に説明する投影光学系制御系である。
【0009】
6,7はオフアクシスのオートフォーカス光学系であり、光軸方向における基板の上面の位置を検出する検出系を形成している。該検出系は、後述のキャリブレーションのため、光軸方向におけるステージ基準プレートの上面の位置も検出する。6は投光光学系であり、投光光学系6より発せられた非露光光である光束は、ステージ基準プレート9上の点(またはウエハ8の上面)に集光し、反射される。反射された光束は、検出光学系7に入射する。不図示ではあるが、検出光学系7内には位置検出用受光素子が配置され、位置検出用受光素子とステージ基準プレート9上の光束の反射点が共役となるように構成されており、ステージ基準プレート9の投影光学系5の光軸方向の位置ズレは、検出光学系7内の位置検出用受光素子上での入射光束の位置ズレとして計測される。
【0010】
検出光学系7により計測されたステージ基準プレート9の所定の基準面からの位置ズレは、ウエハステージ制御系60に伝達される。
ウエハステージ制御系60は、後述するフォーカスキャリブレーション計測時に、ステージ基準プレート9を所定の基準位置の近傍で投影光学系5の光軸方向(z方向)に上下駆動の制御を行う。また、ウエハステージ制御系60は露光時におけるウエハ8の位置制御も行っている。
【0011】
次に、ウエハ8面のフォーカス状態を検知して、その信号に基づいてウエハステージ10を駆動させてレチクル2に対するウエハ8の最適焦点位置を検出するための構成要素について説明する。
【0012】
20はフォーカスキャリブレーションの画像検出光学系であり、後述する要素21,22,23,24,25を有している。ファイバ21から出射した照明光束はハーフミラー22を通過し、対物レンズ23とミラー24を介してレチクル基準プレート3(またはレチクル2)近傍に集光する。
【0013】
レチクル基準プレート3近傍に集光した照明光束は、投影光学系5を介してステージ基準プレート9上に集光する。
ステージ基準プレート9面上には不図示ではあるが数種類の基準マークが設けられている。
ステージ基準プレート9からの反射光は元の光路を戻り、順に投影光学系5、レチクル基準プレート3、ミラー24、対物レンズ23を介し、ハーフミラー22で反射して位置センサ25に入射する。
【0014】
このステージ基準プレート9はウエハ8と同様に基板のステージであるウエハステージ10上に配置されており、ウエハ8とは等価なフォーカス面上に固定されている。
【0015】
ウエハ8の上面とステージ基準プレート9の上面の各々の投影光学系5に対する焦点位置または両面間のフォーカスオフセット量は露光装置制御系70により管理されている。
【0016】
次に、TTL方式のフォーカスキャリブレーションの具体的な動作について説明する。
図7はフォーカスキャリブレーションのシーケンスを示すフローチャートである。図1及び図7に示すように、まずレチクル基準プレート3上の基準マーク(またはレチクル2上のマーク)に検出光学系20のフォーカスを粗調整する(ステップS701)。ステップS701の目的はレチクル基準プレート3(またはレチクル2)上のマークに対して検出光学系20の焦点を合わせる事である。
ここでは、ステージ基準マークの焦点位置を−1439nm〜+361nmの範囲で100nm間隔で焦点位置をずらした時のステージ基準マーク計測をする場合を例に挙げ説明する。
【0017】
次に、検出光学系20でステージ基準プレート9上の基準マークが観察可能な位置にステージ基準プレート9を駆動する(ステップS702)。
ステップS702での、ステージ基準マークの焦点位置は−1439nmとなる。
【0018】
以下の手順(ステップS703〜S705のループ)をステージ基準マークの焦点位置が+361nmとなるまで繰り返し、投影光学系5に対するステージ基準プレート9の焦点位置を変化させた時の光量値またはコントラスト値と、光量値またはコントラスト値の計測時のステージ基準プレート9の焦点位置を記憶する。
(1)検出光学系20で基準マークを計測する(ステップS703)
(2)オートフォーカス検出系(投光光学系6及び検出光学系7)によりステージ基準プレート9の上面の投影光学系5に対する焦点位置を計測する(ステップS704)
ステップS703とステップS704の順番は逆でも良い。
(3)投影光学系5に対するステージ基準プレート9の焦点位置を変える(ステップS705)。具体的には、現在のステージ基準プレート焦点位置から+100nm駆動する。
【0019】
計測により得られた光量値またはコントラスト値と焦点位置の情報を基に近似計算または重心計算により、レチクル基準プレート3(またはレチクル2)に対するステージ基準プレート9(またはウエハ8)の最適焦点位置を算出している(ステップS706)。
【0020】
以下、気圧変化に伴う結像特性の変化を補正する方法に関して図1を用いて説明する。図1では、不図示ではあるが大気圧及び露光装置内環境気圧の少なくともいずれか一方を読み取る気圧計が配置されている。気圧計で読み取られた気圧値は露光装置制御系70に送信されている。
【0021】
露光装置制御系70は、送信された気圧値より気圧変動量を算出し、気圧変動量が所定量を超えた場合に結像特性の補正を制御している。
【0022】
可動ステージを投影光学系5の光軸方向へ駆動する補正方法は、露光装置制御系70からの指示を受けたウエハステージ制御系60が、ウエハステージ10に対して気圧変動に伴う結像特性の変化に対する補正量を反映させた位置への駆動司令を与える事により補正を行っている。
【0023】
投影光学系5の補正レンズを光軸方向へ駆動する補正方法は、露光装置制御系70からの指示を受けた投影光学系制御系50が、不図示の補正レンズに対して気圧変動に伴う結像特性の変化に対する補正量を反映させた位置への駆動司令を与える事により補正を行っている。
【0024】
光源の波長を切り替える補正方法は、露光装置制御系70からの指示を受けた光源制御系30が、露光光源1に対して気圧変動に伴う結像特性の変化に対する補正量を反映させた不図示の光源の波長への切り替え司令を与える事により補正を行っている。
【0025】
レチクルステージ4の走査速度を変化させる補正方法は、露光装置制御系70からの指示を受けたレチクルステージ制御系40が、レチクルステージ4に対して気圧変動に伴う結像特性の変化に対する補正量をウエハステージ10との走査速度比に応じた走査速度に変換した走査駆動司令を与える事により補正を行っている。
【0026】
ウエハステージ10の走査速度を変化させる補正方法は、露光装置制御系70からの指示を受けたウエハステージ制御系60が、ウエハステージ10に対して気圧変動に伴う結像特性の変化に対する補正量をレチクルステージ4との走査速度比に応じた走査速度に変換した走査駆動司令を与える事によって補正を行っている。
【0027】
【発明が解決しようとする課題】
半導体素子の製造に用いられる投影露光装置においては、原版としてのマスクやレチクル上に形成された回路パターンを感光基板としてのウエハまたはガラスプレートなどの上のフォトレジスト層に高い重ね合わせ精度で転写するために、レチクルとウエハとを高精度に位置合わせ(アライメント)する事が求められている。
また、形成する回路パターンの線幅も、より微細化が進んでいるために、焦点深度も、より浅くなってきている。
【0028】
従来はフォーカスキャリブレーション計測中等といった短期的な気圧変動に関しては補正を行っていなかった。
【0029】
しかし、装置の焦点深度が浅くなっている事や、高いアライメント精度が要求されている現状を踏まえると、短期的な気圧変動に伴う結像特性の変動分は無視する事が出来なくなってきている。
更に、ASIC等の少量多品種製品が主流となってきているため、投影露光装置においてはスループットの向上が求められている。
【0030】
従来は、スループットや補正精度の観点から適切な補正時期を決定または補正方法を選択していなかったため、必ずしも装置にとって最適な気圧補正方法により補正していなかった。
【0031】
本発明は、例えば、基板の上面の位置の焦点位置からのずれを検出する検出系のキャリブレーションに有利な露光装置を提供することを目的とする。
【0032】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係る露光装置は、投影光学系を有し、前記投影光学系により原版のパターンを基板上に投影して前記基板を露光する露光装置において、
基準プレートを含み、前記基板を保持するステージと、
前記ステージを駆動させて前記投影光学系の光軸の方向における複数の位置それぞれに位置させた前記基準プレートを介して前記投影光学系の焦点位置を計測する計測手段と、
前記光軸の方向における前記基板の上面の位置の前記焦点位置からのずれを検出する検出系と、
大気圧及び前記装置内の気圧の少なくとも一方を計測する気圧計と、
前記計測手段の計測結果と前記複数の位置それぞれで前記基準プレートの位置を前記検出系に検出させた結果とに基づいて、前記検出系のキャリブレーションを実行するキャリブレーション手段と、を有し、
前記キャリブレーション手段は、前記キャリブレーションの実行中における前記気圧計の計測結果に基づいて、気圧変動に伴う前記投影光学系の焦点位置の変動分だけ前記検出系の検出結果の補正を行い、該補正のなされた検出結果に基づいて前記検出系のキャリブレーションを行う、ことを特徴とする露光装置である。
【0041】
【発明の実施の形態】
本発明の以下に述べる実施形態に係る気圧変動に伴う結像特性の変動に対する補正方法は、(1)フォーカスキャリブレーション計測中は、可動ステージを投影光学系の光軸方向に対して相対位置を変化させながら(複数の位置に移動させながら)、可動ステージ上のマークまたは基板表面を観察する時に、光量値またはコントラスト値を計測すると同時に、可動ステージの投影光学系の光軸方向に対する焦点位置の計測と、現在の気圧値を読み込む。
【0042】
一つの実施形態として、読み込んだ気圧値より気圧の変動分を投影光学系の光軸方向の焦点位置に換算し、換算した値を光量値またはコントラスト値を計測した時の可動ステージの投影光学系の光軸方向の焦点位置に加算する。可動ステージの実際の駆動量や計測に使用する光源の波長に反映させてもよい。
最適焦点位置は、光量値またはコントラスト値と光量値またはコントラスト値を計測した時の可動ステージの投影光学系の光軸方向に対する相対位置より、近似計算または重心計算により算出する。
このため、算出される最適焦点位置には、短期的な気圧変動に伴う結像特性の変動分が含まれる事になる。
【0043】
(2)ショット露光時は、一定間隔で気圧値を読み込み、読み込んだ気圧値より気圧変動量を算出し、気圧変動量に基づき補正量を算出し且つ自動的に補正方法を切り替える補正制御手段により結像特性を補正する。
【0044】
補正制御手段では、
・可動ステージを投影光学系の光軸方向へ駆動する、
・投影光学系の補正レンズを光軸方向へ駆動する、
・光源の波長を切り替える、
・可動ステージの走査速度を変化させる、
などの補正方法より、「スループット重視の場合」、「補正精度重視の場合」、「両方重視の場合」等の条件に合った補正方法を自動的に選択し、補正を制御している。
ここでの可動ステージは、レチクルステージ及びウエハステージを指す。
【0045】
(3)装置稼働中は、前回気圧変動に伴う結像特性の補正駆動を実施した時の気圧値と、現在気圧値の差分より、気圧の変動量に基づき補正値を算出し且つ自動的に補正方法を切り替える補正制御手段により結像特性を補正制御する。
【0046】
補正制御手段では、
・可動ステージを投影光学系の光軸方向へ駆動する、
・投影光学系の補正レンズを光軸方向へ駆動する、
・光源の波長を切り替える、
・可動ステージの走査速度を変化させる、
などの補正方法より、「スループット重視の場合」、「補正精度重視の場合」、「両方重視の場合」等の条件に合った補正方法を自動的に選択し、補正を制御している。
ここでの可動ステージは、レチクルステージ及びウエハステージを指す。
【0047】
具体的に、一つの好ましい実施の形態は、光量値またはコントラスト値計測と同時に、可動ステージの投影光学系の光軸方向に対する相対位置の計測と、現在の気圧値を読み込む。
【0048】
読み込んだ現在気圧値より気圧変動分を算出し、算出した変動分を可動ステージの投影光学系の光軸方向に対する相対位置に換算する。
【0049】
換算した相対位置は光量値またはコントラスト値を計測した時の可動ステージの投影光学系の光軸方向に対する相対位置に加算する。あるいは可動ステージの駆動量や計測用光源波長に反映する。
【0050】
最適焦点位置の算出は、光量値またはコントラスト値と気圧変動分を含んだ可動ステージの投影光学系の光軸方向に対する相対位置より近似計算または重心計算により実施する事ができる。
【0051】
他の一つの発明の好ましい実施の形態は、気圧モニタリング手段により、ショット露光中の気圧値を一定間隔で読み込む。
【0052】
自動的に補正方法を切り替える補正制御手段では、1ショット露光終了時の気圧値と次ショット露光直前までの気圧値を基に露光時の気圧を算出し、
・可動ステージを投影光学系の光軸方向へ駆動する補正方法、
・投影光学系の補正レンズを光軸方向へ駆動する補正方法、
・光源の波長を切り替える補正方法、
・可動ステージの走査速度を変化させる補正方法、
などの補正方法より、「スループット重視の場合」、「補正精度重視の場合」、「両方重視の場合」等の条件に合った補正方法を自動的に選択し、且つ気圧変動量より補正値を算出し補正を制御する。
【0053】
更に他の一つの発明の好ましい実施の形態は、装置稼働中の前回気圧変動に伴う結像特性の補正駆動を行った時の気圧値と、現在気圧値の差分を算出する。
【0054】
自動的に補正方法を切り替える補正制御手段では、気圧の変動量に基づき、
・可動ステージを投影光学系の光軸方向へ駆動する補正方法、
・投影光学系の補正レンズを光軸方向へ駆動する補正方法、
・光源の波長を切り替える補正方法、
・可動ステージの走査速度を変化させる補正方法、
などの補正方法より、「スループット重視の場合」、「補正精度重視の場合」、「両方重視の場合」の条件に合った補正方法を自動的に選択し、且つ補正値を算出し補正を制御する。
【0055】
(第1の実施形態)
図1は本発明の第1の実施形態における要部概略図であり、同図は後述の第2〜4の実施形態にも共通の図である。段落【0003】から【0026】の記載と重複する説明については省略する。
【0056】
本発明の第1の実施形態について説明する。図2は本発明の第1の実施形態におけるフォーカスキャリブレーションの処理シーケンスを示すフローチャートである。同図及び図1に示すように、まずレチクル基準プレート3上の基準マーク(またはレチクル2上のマーク)に画像検出光学系20のフォーカスを粗調整する(ステップS201)。この粗調整の目的はレチクル基準プレート3(またはレチクル2)上のマークに対して画像検出光学系20の焦点を合わせる事である。
【0057】
本実施形態では、ステージ基準マークの焦点位置を−1439nm〜+361nmの範囲で100nm間隔で焦点位置をずらした時のステージ基準マーク計測をする場合を例に挙げ説明する。
【0058】
次に、画像検出光学系20でステージ基準プレート9上の基準マークが観察可能な位置にステージ基準プレート9を駆動する(ステップS202)。
ステップS202では、ステージ基準マークの焦点位置は−1439nmとなる。
【0059】
以下の手順(ステップS203〜S207)をステージ基準マークの焦点位置が+361nmとなるまで繰り返し、投影光学系5に対するステージ基準プレート9の焦点位置を変化させた時の光量値またはコントラスト値と、光量値またはコントラスト値を計測した時のステージ基準プレート9の焦点位置とを記憶する。
(1)画像検出光学系20で基準マークを計測する(ステップS203)。
(2)オートフォーカス検出系(投光光学系6及び検出光学系7)によりステージ基準プレート9の上面の投影光学系5に対する焦点位置を計測する(ステップS204)。
ステップS203とステップS204の順番は逆でも良い。
(3)大気圧または装置内環境気圧の変動量を求め、変動量から焦点位置への換算値を算出する(ステップS205)。
(4)オートフォーカス検出系(投光光学系6及び検出光学系7)で計測した焦点位置に気圧変化による焦点位置の変動分を加算(換算)する(ステップS206)。
(5)投影光学系5に対するステージ基準プレート9の焦点位置を変える(ステップS207)。具体的には現在のステージ基準プレート焦点位置から+100nm駆動する。
【0060】
本実施形態では、計測により得られた光量値またはコントラスト値と焦点位置の情報を基に近似計算または重心計算により、レチクル基準プレート3(またはレチクル2)に対するステージ基準プレート9(またはウエハ8)の最適焦点位置を算出している(ステップS208)。即ち本実施形態においては、気圧変動による影響をステージ基準プレート9の駆動目標位置には反映せず、気圧変動分の補正値を記録しておき、ベストフォーカス位置計算でこの補正値を計算上で使用する。
【0061】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態について説明する。図3は本発明の第2の実施形態におけるフォーカスキャリブレーションの処理シーケンスを示すフローチャートである。同図及び図1に示すように、まずレチクル基準プレート3上の基準マーク(またはレチクル2上のマーク)に画像検出光学系20のフォーカスを粗調整する(ステップS301)。この粗調整の目的はレチクル基準プレート3(またはレチクル2)上のマークに対して画像検出光学系20の焦点を合わせる事である。
【0062】
本実施形態では、ステージ基準マークの焦点位置を−1439nm〜+361nmの範囲で100nm間隔で焦点位置をずらした時のステージ基準マーク計測をする場合を例に挙げ説明する。
【0063】
次に、現在の大気圧または装置内の環境気圧の変動量を求め、変動量を焦点位置に換算した補正駆動量を算出する(ステップS302)。補正駆動量は+11.01nm。
【0064】
画像検出光学系20でステージ基準プレート9上の基準マークが観察可能な位置にステージ基準プレート9を駆動すると共に、ステップS302で算出した焦点位置補正量を反映した位置にウエハステージ10を駆動する(ステップS303)。
ステップS303での焦点位置は−1439nm+11.01nm=−1427.99nmとなる。
【0065】
以下の手順(ステップS304〜S307)をステージ基準マークの気圧補正前の焦点位置が+361nmとなるまで繰り返し、投影光学系5に対するステージ基準プレート9の焦点位置を変化させた時の光量値またはコントラスト値と、光量値またはコントラスト値の計測時のステージ基準プレート9の焦点位置を記憶する。
(1)画像検出光学系20で基準マークを計測する(ステップS304)。
(2)現在の大気圧または装置内の環境気圧の変動量を求め、変動量を焦点位置に換算した補正駆動量を算出する(ステップS305)。
(3)ステップS305で算出した焦点位置補正駆動量を反映させ、投影光学系5に対するステージ基準プレート9の焦点位置を変える(ステップS306)。
具体的には現在のステージ基準プレート焦点位置をステップS305で求めた焦点位置補正駆動量+100nm駆動する。
【0066】
ステップS308では、計測により得られた光量値またはコントラスト値と焦点位置の情報を基に近似計算または重心計算により、レチクル基準プレート3(またはレチクル2)に対するステージ基準プレート9(またはウエハ8)の最適焦点位置を算出している。このように第2実施形態では第1実施形態とは異なり、気圧変動分の補正値をステージ基準プレートの駆動目標位置に直接反映する形をとっている。
【0067】
本発明の第1の実施形態及び第2の実施形態に基づきフォーカスキャリブレーション計測を気圧変動分の補正を行った場合と行わない場合に発生するオフセットに関して説明する。
【0068】
表1は、フォーカスキャリブレーション計測で計測したコントラスト値と、コントラスト計測実施時の気圧補正前のウエハステージ焦点位置との関係を示している数値表である。
【0069】
【表1】
【0070】
表2は、フォーカスキャリブレーション計測で計測したコントラスト値と、コントラスト計測実施時の気圧補正後のウエハステージ焦点位置との関係を示している数値表である。
【0071】
【表2】
【0072】
表1のフォーカスキャリブレーション計測値を基に最適焦点位置の算出を重心計算で実施した場合の気圧補正前の最適焦点位置は−662nmとなる。
【0073】
一方、表2のフォーカスキャリブレーション計測値を基に最適焦点位置の算出を重心計算で実施した場合の気圧補正後の最適焦点位置は−653nmとなる。
【0074】
フォーカスキャリブレーション実行中の気圧変化分の補正を行わない場合は、焦点位置が9nmのオフセットをもつ事となる。
【0075】
フォーカスキャリブレーション実行中の気圧の変動が大きい場合には、このオフセット量が更に大きくなる。
【0076】
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態について説明する。図4は本発明の第3の実施形態におけるフォーカスキャリブレーションの処理シーケンスを示すフローチャートである。同図及び図1に示すように、まずレチクル基準プレート3上の基準マーク(またはレチクル2上のマーク)に画像検出光学系20のフォーカスを粗調整する(ステップS401)。この粗調整の目的はレチクル基準プレート3(またはレチクル2)上のマークに対して画像検出光学系20の焦点を合わせる事である。
【0077】
本実施形態では、ステージ基準マークの焦点位置を−1439nm〜+361nmの範囲で100nm間隔で焦点位置をずらした時のステージ基準マーク計測をする場合を例に挙げ説明する。
【0078】
次に、現在の大気圧または装置内環境気圧の変動量を求め、変動量を画像検出系光源の波長に換算し、換算した波長に切り替える(ステップS402)。
【0079】
画像検出光学系20でステージ基準プレート9上の基準マークが観察可能な位置にウエハステージ10を駆動する(ステップS403)。
ステップS403では、ステージ基準マークの焦点位置は−1439nmとなる。
【0080】
以下の手順(ステップS404〜S407)をステージ基準マークの焦点位置が+361nmとなるまで繰り返し、投影光学系5に対するステージ基準プレート9の焦点位置を変化させた時の光量値またはコントラスト値と、光量値またはコントラスト値の計測時のステージ基準プレート9の焦点位置とを記憶する。
(1)画像検出光学系20で基準マークを計測する(ステップS404)。
(2)オートフォーカス検出系(投光光学系6及び検出光学系7)によりステージ基準プレート9の上面の投影光学系5に対する焦点位置を計測する(ステップS405)。
ステップS404とステップS405の順番は逆でも良い。
(3)現在の大気圧または装置内環境気圧の変動量を求め、変動量を画像検出系光源の波長に換算し、換算した波長に切り替える(ステップS406)。
(4)次の計測位置へステージ基準マークを駆動する(ステップS407)。具体的には、現在のステージ基準プレート焦点位置から+100nm駆動する。
【0081】
ステップS408では、計測により得られた光量値またはコントラスト値と焦点位置の情報を基に近似計算または重心計算により、レチクル基準プレート3(またはレチクル2)に対するステージ基準プレート9(またはウエハ8)の最適焦点位置を算出している。
【0082】
本発明の第1から第3の実施形態によれば、フォーカスキャリブレーション実行中という短期的な気圧変化に伴う焦点位置の変動を補正する事が可能となる。
【0083】
本発明の第1から第3の実施形態中の大気圧または装置内環境気圧の変動量は、前回気圧補正を行った時の気圧値からの変動量であっても良いし、前回光源の波長を切り替えた時の気圧値からの変動量であっても良いし、前回補正レンズを駆動させた時の気圧値からの変動量であっても良い。
【0084】
(第4の実施形態)
本発明の第4の実施形態について説明する。図5は本発明の第4の実施形態に係る露光処理のシーケンスを示したフローチャートである。同図及び図1に示すように、先ず、露光位置へのウエハステージ10の駆動を開始する(ステップS501)。
【0085】
次に、ウエハステージ10を第1ショット露光位置へ駆動中に大気圧または装置内環境気圧の変動量を算出する。(ステップS502)。
大気圧または装置内環境気圧の変動量の算出は、気圧モニタリングにより一定期間(例えば前ショットの露光終了時から次ショットの露光位置への駆動終了まで)の気圧値を読み込んでおき、読み込んだ全気圧値の平均値と、前回気圧補正を行った時の気圧値との差分を変動量としても良いし、前回光源の波長を切り替えた時の気圧値との差分を変動量としても良いし、前回補正レンズを駆動させた時の気圧値との差分を変動量としても良い。
【0086】
また、気圧モニタリングにより一定期間(例えば前ショットの露光終了時から次ショットの露光位置への駆動終了まで)の気圧値を読み込んでおき、読み込んだ全気圧値の変動状況より次ショット露光時の気圧値を予測し、予測した気圧値と、前回気圧補正を行った時の気圧値との差分を変動量としても良いし、前回光源の波長を切り替えた時の気圧値との差分を変動量としても良いし、前回補正レンズを駆動させた時の気圧値との差分を変動量としても良い。
【0087】
算出された気圧の変動量に基づき、気圧変動に伴う結像特性の変化分を補正する補正量を算出し、補正方法を選択する(ステップS503)。
【0088】
ここで、結像特性の補正方法の選択に関し説明する。
結像特性の補正方法としては、
1.可動ステージを投影光学系の光軸方向へ駆動する、
2.投影光学系の補正レンズを光軸方向へ駆動する、
3.光源の波長を切り替える、
4.可動ステージの走査速度を変化させる、
の4つの方法が考えられる。ここで、「可動ステージ」とは、レチクルステージ4またはウエハステージ10の事を指す。
【0089】
表3は、前記4つの結像特性の補正方法を補正時間及び補正精度の観点に基づきまとめたものである。
【0090】
【表3】
【0091】
表3に示す通り、「可動ステージを投影光学系の光軸方向へ駆動する」方法、及び「可動ステージの走査速度を切り替える」方法の場合、補正時間が短い。ただし、「可動ステージの走査速度を切り替える」方法は、走査型露光装置のみ実現可能な方法である。
【0092】
これに対して、「投影光学系の補正レンズを光軸方向へ駆動する」方法、及び「光源の波長を切り替える」方法の場合は、補正時間が長い。
【0093】
補正精度は、「投影光学系の補正レンズを光軸方向へ駆動する」方法、及び「光源の波長を切り替える」方法の場合が良好である。
【0094】
特に、「光源の波長を切り替える」方法は、波長を切り替える事で、結像特性(フォーカス、倍率、歪み等)を最も効果的に補正する事が可能である。
【0095】
これに対して「可動ステージを投影光学系の光軸方向へ駆動する」方法、及び「可動ステージの走査速度を切り替える」方法は、若干ではあるが補正精度が劣っている。
【0096】
露光処理中の気圧変動に伴う結像特性の補正では、スループットまたは補正精度を考慮し、気圧変動量に応じた補正方法を選択する事により、露光処理の最適化を図る事が可能となる。
【0097】
ステップS503で選択された補正方法に基づき気圧変動に伴う結像特性の変化分を補正する(ステップS504)。
【0098】
補正方法の選択基準に関し、説明する。
例えば、コンタクトホールの露光工程等、露光時に焦点深度を確保する必要がある場合は、スループットを多少犠牲にしても補正精度を重視した補正方法を選択する。
ラフレイヤ露光工程等、露光時にある程度の焦点深度が確保されていれば良い場合は、補正精度を多少犠牲にしてもスループットを重視した補正方法を選択する。
【0099】
ステップS504による結像特性の変化分の補正が終了後、ショットの露光処理を行う(ステップS505)。
【0100】
ショットの露光終了後、全ウエハの露光が終了したか判断する(ステップS506)。全てのショットの露光が終了した場合はそのまま露光処理が終了となる。未露光ショットが残っている場合は、ステップS501に戻り次の露光ショット処理が開始される。
【0101】
本発明の第4の実施形態によれば、露光処理中の気圧変動に伴う結像特性の変動分の補正方法を選択する事により、露光処理の最適化が図れる。
【0102】
(第5の実施形態)
本発明の第5の実施形態について説明する。図6は第5の実施形態における装置稼働中のフローチャートを示している。同図に示すように、装置稼働中は、ジョブが開始されるとジョブで使用するレチクルをセットする(ステップS601)。
ステップS602でウエハを供給する。
ウエハ供給後に大気圧または装置内環境気圧の変動量を求め、変動量より補正量及び補正方法を決定する(ステップS603)。
大気圧または装置内環境気圧の変動量の算出は、ウエハ供給後の気圧値を読み込み、読み込んだ気圧値と、前回気圧補正を行った時の気圧値との差分を変動量としても良いし、前回光源の波長を切り替えた時の気圧値との差分を変動量としても良いし、前回補正レンズを駆動させた時の気圧値との差分を変動量としても良い。
【0103】
算出された気圧の変動量に基づき、気圧変動に伴う結像特性の変化分を補正する補正量を算出し、補正方法を選択する。
結像特性の補正方法としては、
1.投影光学系の補正レンズを光軸方向へ駆動する、
2.光源の波長を切り替える、
の2つの方法が考えられる。
【0104】
ステップS604では結像特性を補正する。ウエハ供給後の結像特性の補正方法としては、上記2つの選択肢のみであるため、表3より、補正時間及び補正精度の観点に基づき補正方法を決定すれば良い。
【0105】
補正精度はどちらの方法で補正を行っても変わらないため、補正時間に着目して補正方法を決定すれば良い。
【0106】
補正時間は、「投影光学系の補正レンズを光軸方向へ駆動する」、「光源の波長を切り替える」のいずれの方法も補正時間が長いが、このような場合はその後の処理(この場合はステップS605のアライメント処理)と並列処理で補正駆動が実施可能な方法を選択すれば良い。
補正量の算出は、決定された補正方法に合わせて求める。
【0107】
補正方法が「投影光学系の補正レンズを光軸方向へ駆動する」の場合に算出する補正量は、補正レンズの駆動量であるため、気圧変動量を補正レンズの駆動量に換算した値を補正量とする。
【0108】
補正方法が「光源の波長を切り替える」の場合に算出する補正量は、変更する波長値であるため、気圧変動量を光源の波長値に換算した値を補正値とする。
【0109】
ステップS603で決定された補正量及び補正方法で気圧変動に伴う結像特性の補正を行う(ステップS604)。
【0110】
ステップS605でアライメント計測を行う。
ステップS605のアライメント計測中では、前述の第1から第3の実施形態で述べたいずれかの方法により補正を行っても良い。
ステップS605でのアライメント計測中に、大気圧または装置内環境気圧が大きく変動した場合は、ステップS603及びステップS604の方法を用いて気圧変動に伴う結像特性の変化分の補正を行っても良い。
【0111】
その後、露光が行われる(ステップS606)。
ステップS606の露光処理中では、前述の第4の実施形態で述べた方法により補正を行っても良い。
ステップS606での露光処理中に、大気圧または装置内環境気圧が大きく変動した場合は、ステップS603及びステップS604の方法を用いて気圧変動に伴う結像特性の変化分の補正を行っても良い。
【0112】
ショットの露光終了後、全ウエハの露光が終了したか判断する(ステップS607)。全てのショットの露光が終了した場合はそのまま露光処理が終了となる。未露光ショットが残っている場合は、ステップS602に戻り次の露光ショット処理が開始される。
以上が装置稼動中の処理となっている。
【0113】
第5の実施形態中では、大気圧または装置内環境気圧の変動に伴う結像特性の変化分の補正は、ステップS602のウエハ供給後、ステップS605のアライメント計測中及びステップS606の露光処理中に行っている。
【0114】
本実施形態中では、大気圧または装置内環境気圧の変動に伴う結像特性の変化分の補正のタイミングを限定しているが、勿論任意のタイミング(例えば気圧値の変動が大きい時)に補正を行っても良い。
【0115】
露光処理中の気圧変動に伴う結像特性の補正では、スループットまたは補正精度を考慮し、気圧変動量に応じた補正方法を選択する事により、露光処理の最適化を図る事が可能となる。
【0116】
本発明の第5の実施形態によれば、装置稼動中の気圧変動に伴う結像特性の変動分の補正方法を選択する事により、露光処理の最適化が図れる。
【0117】
(半導体生産システムの実施形態)
次に、本発明に係る装置または方法を用いた半導体デバイス(ICやLSI等の半導体チップ、液晶パネル、CCD、薄膜磁気ヘッド、マイクロマシン等)の生産システムの例を説明する。これは半導体製造工場に設置された製造装置のトラブル対応や定期メンテナンス、あるいはソフトウェア提供などの保守サービスを、製造工場外のコンピュータネットワークを利用して行うものである。
【0118】
図8は全体システムをある角度から切り出して表現したものである。図中、1101は半導体デバイスの製造装置を提供するベンダ(装置供給メーカ)の事業所である。製造装置の実例としては、半導体製造工場で使用する各種プロセス用の半導体製造装置、例えば、前工程用機器(露光装置、レジスト処理装置、エッチング装置等のリソグラフィ装置、熱処理装置、成膜装置、平坦化装置等)や後工程用機器(組立て装置、検査装置等)を想定している。事業所1101内には、製造装置の保守データベースを提供するホスト管理システム1108、複数の操作端末コンピュータ1110、これらを結んでイントラネット等を構築するローカルエリアネットワーク(LAN)1109を備える。ホスト管理システム1108は、LAN1109を事業所の外部ネットワークであるインターネット1105に接続するためのゲートウェイと、外部からのアクセスを制限するセキュリティ機能を備える。
【0119】
一方、1102〜1104は、製造装置のユーザとしての半導体製造メーカの製造工場である。製造工場1102〜1104は、互いに異なるメーカに属する工場であっても良いし、同一のメーカに属する工場(例えば、前工程用の工場、後工程用の工場等)であっても良い。各工場1102〜1104内には、夫々、複数の製造装置1106と、それらを結んでイントラネット等を構築するローカルエリアネットワーク(LAN)1111と、各製造装置1106の稼動状況を監視する監視装置としてホスト管理システム1107とが設けられている。各工場1102〜1104に設けられたホスト管理システム1107は、各工場内のLAN1111を工場の外部ネットワークであるインターネット1105に接続するためのゲートウェイを備える。これにより各工場のLAN1111からインターネット1105を介してベンダ1101側のホスト管理システム1108にアクセスが可能となり、ホスト管理システム1108のセキュリティ機能によって限られたユーザだけにアクセスが許可となっている。具体的には、インターネット1105を介して、各製造装置1106の稼動状況を示すステータス情報(例えば、トラブルが発生した製造装置の症状)を工場側からベンダ側に通知する他、その通知に対応する応答情報(例えば、トラブルに対する対処方法を指示する情報、対処用のソフトウェアやデータ)や、最新のソフトウェア、ヘルプ情報などの保守情報をベンダ側から受け取ることができる。各工場1102〜1104とベンダ1101との間のデータ通信および各工場内のLAN1111でのデータ通信には、インターネットで一般的に使用されている通信プロトコル(TCP/IP)が使用される。なお、工場外の外部ネットワークとしてインターネットを利用する代わりに、第三者からのアクセスができずにセキュリティの高い専用線ネットワーク(ISDNなど)を利用することもできる。また、ホスト管理システムはベンダが提供するものに限らずユーザがデータベースを構築して外部ネットワーク上に置き、ユーザの複数の工場から該データベースへのアクセスを許可するようにしてもよい。
【0120】
さて、図9は本実施形態の全体システムを図8とは別の角度から切り出して表現した概念図である。先の例ではそれぞれが製造装置を備えた複数のユーザ工場と、該製造装置のベンダの管理システムとを外部ネットワークで接続して、該外部ネットワークを介して各工場の生産管理や少なくとも1台の製造装置の情報をデータ通信するものであった。これに対し本例は、複数のベンダの製造装置を備えた工場と、該複数の製造装置のそれぞれのベンダの管理システムとを工場外の外部ネットワークで接続して、各製造装置の保守情報をデータ通信するものである。図中、1201は製造装置ユーザ(半導体デバイス製造メーカ)の製造工場であり、工場の製造ラインには各種プロセスを行う製造装置、ここでは例として露光装置1202、レジスト処理装置1203、成膜処理装置1204が導入されている。なお図9では製造工場1201は1つだけ描いているが、実際は複数の工場が同様にネットワーク化されている。工場内の各装置はLAN1206で接続されてイントラネットを構成し、ホスト管理システム1205で製造ラインの稼動管理がされている。
【0121】
一方、露光装置メーカ1210、レジスト処理装置メーカ1220、成膜装置メーカ1230などベンダ(装置供給メーカ)の各事業所には、それぞれ供給した機器の遠隔保守を行うためのホスト管理システム1211,1221,1231を備え、これらは上述したように保守データベースと外部ネットワークのゲートウェイを備える。ユーザの製造工場内の各装置を管理するホスト管理システム1205と、各装置のベンダの管理システム1211,1221,1231とは、外部ネットワーク1200であるインターネットもしくは専用線ネットワークによって接続されている。このシステムにおいて、製造ラインの一連の製造機器の中のどれかにトラブルが起きると、製造ラインの稼動が休止してしまうが、トラブルが起きた機器のベンダからインターネット1200を介した遠隔保守を受けることで迅速な対応が可能であり、製造ラインの休止を最小限に抑えることができる。
【0122】
半導体製造工場に設置された各製造装置はそれぞれ、ディスプレイと、ネットワークインタフェースと、記憶装置にストアされたネットワークアクセス用ソフトウェアならびに装置動作用のソフトウェアを実行するコンピュータを備える。記憶装置としては内蔵メモリやハードディスク、あるいはネットワークファイルサーバーなどである。上記ネットワークアクセス用ソフトウェアは、専用又は汎用のウェブブラウザを含み、例えば図10に一例を示す様な画面のユーザインタフェースをディスプレイ上に提供する。各工場で製造装置を管理するオペレータは、画面を参照しながら、製造装置の機種1401、シリアルナンバー1402、トラブルの件名1403、発生日1404、緊急度1405、症状1406、対処法1407、経過1408等の情報を画面上の入力項目に入力する。入力された情報はインターネットを介して保守データベースに送信され、その結果の適切な保守情報が保守データベースから返信されディスプレイ上に提示される。またウェブブラウザが提供するユーザインタフェースはさらに図示のごとくハイパーリンク機能1410〜1412を実現し、オペレータは各項目の更に詳細な情報にアクセスしたり、ベンダが提供するソフトウェアライブラリから製造装置に使用する最新バージョンのソフトウェアを引出したり、工場のオペレータの参考に供する操作ガイド(ヘルプ情報)を引出したりすることができる。ここで、保守データベースが提供する保守情報には、上記説明した本発明に関する情報も含まれ、また前記ソフトウェアライブラリは本発明を実現するための最新のソフトウェアも提供する。
【0123】
次に上記説明した生産システムを利用した半導体デバイスの製造プロセスを説明する。図11は半導体デバイスの全体的な製造プロセスのフローを示す。ステップ1(回路設計)では半導体デバイスの回路設計を行う。ステップ2(マスク製作)では設計した回路パターンを形成したマスクを製作する。一方、ステップ3(ウエハ製造)ではシリコン等の材料を用いてウエハを製造する。ステップ4(ウエハプロセス)は前工程と呼ばれ、上記用意したマスクとウエハを用いて、リソグラフィ技術によってウエハ上に実際の回路を形成する。次のステップ5(組み立て)は後工程と呼ばれ、ステップ4によって作製されたウエハを用いて半導体チップ化する工程であり、アッセンブリ工程(ダイシング、ボンディング)、パッケージング工程(チップ封入)等の組立て工程を含む。ステップ6(検査)ではステップ5で作製された半導体デバイスの動作確認テスト、耐久性テスト等の検査を行う。こうした工程を経て半導体デバイスが完成し、これを出荷(ステップ7)する。前工程と後工程はそれぞれ専用の別の工場で行い、これらの工場毎に上記説明した遠隔保守システムによって保守がなされる。また前工程工場と後工程工場との間でも、インターネットまたは専用線ネットワークを介して生産管理や装置保守のための情報がデータ通信される。
【0124】
図12は上記ウエハプロセスの詳細なフローを示す。ステップ11(酸化)ではウエハの表面を酸化させる。ステップ12(CVD)ではウエハ表面に絶縁膜を成膜する。ステップ13(電極形成)ではウエハ上に電極を蒸着によって形成する。ステップ14(イオン打込み)ではウエハにイオンを打ち込む。ステップ15(レジスト処理)ではウエハに感光剤を塗布する。ステップ16(露光)では上記説明した露光装置によってマスクの回路パターンをウエハに焼付露光する。ステップ17(現像)では露光したウエハを現像する。ステップ18(エッチング)では現像したレジスト像以外の部分を削り取る。ステップ19(レジスト剥離)ではエッチングが済んで不要となったレジストを取り除く。これらのステップを繰り返し行うことによって、ウエハ上に多重に回路パターンを形成する。各工程で使用する製造機器は上記説明した遠隔保守システムによって保守がなされているので、トラブルを未然に防ぐと共に、もしトラブルが発生しても迅速な復旧が可能であり、従来に比べて半導体デバイスの生産性を向上させることができる。
【0125】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、例えば、基板の上面の位置の焦点位置からのずれを検出する検出系のキャリブレーションに有利な露光装置を提供することができる。
【0126】
これとは別の本発明によれば、気圧変動による結像特性の変化分の補正を行なうに際し、例えばスループット及び補正精度の観点等より補正方法を切り替える事により、装置の最適化を図る事が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態及び従来例に係るTTL方式によるフォーカスキャリブレーション機能を有する投影露光装置の概略図である。
【図2】 本発明の第1の実施形態におけるフォーカスキャリブレーション計測中に気圧補正を行うシーケンスを示すフローチャートである。
【図3】 本発明の第2の実施形態におけるフォーカスキャリブレーション計測中に気圧補正を行うシーケンスを示すフローチャートである。
【図4】 本発明の第3の実施形態におけるフォーカスキャリブレーション計測中に気圧補正を行うシーケンスを示すフローチャートである。
【図5】 本発明の第4の実施形態における露光処理中に気圧補正を行うシーケンスを示すフローチャートである。
【図6】 本発明の第5の実施形態における装置稼動中に気圧補正を行うシーケンスを示すフローチャートである。
【図7】 従来例に係るフォーカスキャリブレーションのシーケンスを示すフローチャートである。
【図8】 本発明に係る装置を用いた半導体デバイスの生産システムをある角度から見た概念図である。
【図9】 本発明に係る装置を用いた半導体デバイスの生産システムを別の角度から見た概念図である。
【図10】 ユーザインタフェースの具体例である。
【図11】 デバイスの製造プロセスのフローを説明する図である。
【図12】 ウエハプロセスを説明する図である。
【符号の説明】
1:露光光源、2:レチクル、3:レチクル基準プレート、4:レチクルステージ、5:投影光学系、6:投光光学系、7:検出光学系、8:ウエハ、9:ステージ基準プレート、10:ウエハステージ、20:画像検出光学系、21:ファイバ、22:ハーフミラー、23:対物レンズ、24:ミラー、25:位置センサ、30:光源制御系、40:レチクルステージ制御系、50:投影光学系制御系、60:ウエハステージ制御系、70:露光装置制御系、1101:ベンダの事業所、1102,1103,1104:製造工場、1105:インターネット、1106:製造装置、1107:工場のホスト管理システム、1108:ベンダ側のホスト管理システム、1109:ベンダ側のローカルエリアネットワーク(LAN)、1110:操作端末コンピュータ、1111:工場のローカルエリアネットワーク(LAN)、1200:外部ネットワーク、1201:製造装置ユーザの製造工場、1202:露光装置、1203:レジスト処理装置、1204:成膜処理装置、1205:工場のホスト管理システム、1206:工場のローカルエリアネットワーク(LAN)、1210:露光装置メーカ、1211:露光装置メーカの事業所のホスト管理システム、1220:レジスト処理装置メーカ、1221:レジスト処理装置メーカの事業所のホスト管理システム、1230:成膜装置メーカ、1231:成膜装置メーカの事業所のホスト管理システム、1401:製造装置の機種、1402:シリアルナンバー、1403:トラブルの件名、1404:発生日、1405:緊急度、1406:症状、1407:対処法、1408:経過、1410,1411,1412:ハイパーリンク機能。
Claims (4)
- 投影光学系を有し、前記投影光学系により原版のパターンを基板上に投影して前記基板を露光する露光装置において、
基準プレートを含み、前記基板を保持するステージと、
前記ステージを駆動させて前記投影光学系の光軸の方向における複数の位置それぞれに位置させた前記基準プレートを介して前記投影光学系の焦点位置を計測する計測手段と、
前記光軸の方向における前記基板の上面の位置の前記焦点位置からのずれを検出する検出系と、
大気圧及び前記装置内の気圧の少なくとも一方を計測する気圧計と、
前記計測手段の計測結果と前記複数の位置それぞれで前記基準プレートの位置を前記検出系に検出させた結果とに基づいて、前記検出系のキャリブレーションを実行するキャリブレーション手段と、を有し、
前記キャリブレーション手段は、前記キャリブレーションの実行中における前記気圧計の計測結果に基づいて、気圧変動に伴う前記投影光学系の焦点位置の変動分だけ前記検出系の検出結果の補正を行い、該補正のなされた検出結果に基づいて前記検出系のキャリブレーションを行う、ことを特徴とする露光装置。 - 前記基準プレートは、マークを含み、前記計測手段は、前記投影光学系および前記基準プレートを介した計測により得られたコントラスト値に基づいて前記焦点位置を計測する、ことを特徴とする請求項1に記載の露光装置。
- 前記基準プレートは、マークを含み、前記計測手段は、前記投影光学系および前記基準プレートを介した計測により得られた光量値に基づいて前記焦点位置を計測する、ことを特徴とする請求項1に記載の露光装置。
- 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の露光装置を用いて基板を露光するステップと、
前記ステップで露光された基板を現像するステップと、
を有することを特徴とするデバイス製造方法。
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