JP4666122B2 - 光学機能部材一体型表示装置 - Google Patents

光学機能部材一体型表示装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学機能部材と表示部とが一体となった光学機能部材一体型表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
近年、例えば、反射防止機能又はタッチパネル機能を有する光学機能部材と表示部とが一体化された光学機能部材一体型表示装置は、銀行のATMやCD、駅の券売機、携帯情報端末、携帯電話、コンピューター用ディスプレイ等として広く用いられている。
【0003】
この光学機能部材一体型表示装置は、表示部に圧力がかかるとひずみを起こし、画面がにじむという欠点があり、特に表示部がLCDの場合に顕著に起こる。
このため、光学機能部材と表示部とをスペーサを介して連結し、部材間に0.4mm程度の空隙を設けて表示部に圧力がかからないようにしている。
【0004】
しかしながら、このような空隙は、光の反射散乱と吸収を起こす原因となり、ディスプレイとして重要なコントラスト比を急激に低下させる上、視認性の低下、入力時の視差感、表示の影が発生する等の問題を生じる原因となっている。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、反射防止処理ガラス等の光学機能部材と表示部との間に空隙を設けずに連結され、光透過性に優れ、コントラスト比の低下が可及的に抑制され、優れた表示性能を有する光学機能部材一体型表示装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】
本発明者は、上記目的を達成するために、鋭意検討を行った結果、光学機能部材と表示部とを具備してなり、当該表示部が透明基板を具備してなり、上記光学機能部材と表示部とが透明弾性層を介して一体化してなると共に、透明弾性層の屈折率と光学機能部材の屈折率との差及び透明弾性層の屈折率と上記透明基板の屈折率との差をそれぞれ適正化することによる相乗効果で、光透過性に優れ、コントラスト比の低下が抑制され、良好な表示性を有する光学機能部材一体型表示装置が確実に得られることを知見した。
【0007】
また、本発明者は、更に検討を行ったところ、上記透明弾性層が、応力緩和特性における歪み(ε0)を5%(25℃)とし、t=0.05(秒)の緩和弾性率を初期値G0とした場合、G0が6.5×106Pa以下であると共に、応力緩和弾性率の減衰曲線から求められる関係式lnG(t)=−t/τ+lnG0によって算出される緩和時間τ(秒)が17(秒)以下のものにすることにより、上記性能をより確実に発揮でき、表示部の歪みや割れを防ぐことができ、特にLCD表示部との間に生じる歪みを緩和し、割れを回避して表示装置の色むら等の発生を確実に防止できることを知見し、本発明をなすに至ったものである。
【0008】
従って、本発明は、下記の光学機能部材一体型表示装置を提供する。
【0009】
〔請求項1〕光学機能部材と表示部とを具備してなる光学機能部材一体型表示装置において、前記表示部が透明基板を具備してなり、上記光学機能部材と上記表示部とが透明弾性層を介して一体化されていると共に、該透明弾性層の屈折率をn0とし、上記光学機能部材の屈折率をn1とし、更に上記透明基板の屈折率をn2とした場合、n0とn1との差及びn0とn2との差がそれぞれ0.2以下であり、かつ上記透明弾性層が、応力緩和特性における歪み(ε0)を5%(25℃)とし、t=0.05(秒)の緩和弾性率を初期値G 0 とした場合、G 0 が6.5×10 6 Pa以下であると共に、応力緩和弾性率の減衰曲線から求められる関係式lnG(t)=−t/τ+lnG 0 によって算出される緩和時間τ(秒)が17(秒)以下であることを特徴とする光学機能部材一体型表示装置。
【0010】
以下、本発明につき更に詳しく説明すると、本発明の光学機能部材一体型表示装置は、光学機能部材と表示部とを具備してなる光学機能部材一体型表示装置であり、具体的には、図1で示されるように、表示部1と、光学機能部材2とを具備し、これらが透明弾性層3を介して一体化された装置を挙げることができる。
【0011】
ここで、本発明の表示部1は、一般的には、透光性表示部、自発光式表示部等の公知のものを挙げることができるが、少なくとも透明基板を具備したものであることを要する。
【0012】
即ち、本発明の表示部1は、透明基板1Aを備えたもので、この透明基板1Aの一方の面が表示機能部(表示部の透明基板を除くその他の構成部品であり、部品が単数か複数かは問わない)1B上に貼りつけられたものである。この透明基板1Aの他方の面が直接透明弾性層3の一方の面に貼り付けられることにより透明弾性層3と表示部1とが連結している。
【0013】
ここで、表示部として、具体的には、透明基板を具備してなる液晶層や配向膜等を挙げることができ、より具体的には、CRT(カソードレイチューブ)、LCD(液晶ディスプレイ)、PDP(プラズマディスプレイパネル)、FED(フィールドエミッションディスプレイ)、EL(電界発光)等を挙げることができる。これら表示部は、光学機能部材一体型表示装置の用途に応じて適宜使用することができる。
【0014】
LCDにあっては、前記透明基板と、これに対向する基板を具備し、これら基板間に、液晶、ITO(Indium Tin Oxide)電極等が配置されてなり、これら全体が一体化して一の表示部を構成している。ここで、図2は、LCDの一例の概略断面図を示す。図2のLCD表示部1は、透明基板1Aと表示機能部1Bとを具備するもので、この表示機能部1Bは、電極(例えば、ITO等)E、液晶L、反射電極R、基板Bが一体化されたものである。図2のLCD表示部1は、上記表示機能部1Bの最表面に位置する電極Eが、透明基板1Aと接着されることにより、透明基板1Aと表示機能部1Bとが一体化して一の表示部1を形成する構成になっている。
【0015】
また、PDPにあっては、前記透明基板とこれに対向する基板間に、一対の電極を更に対向状態に配設すると共にこれら電極間に放電空間(セル)が形成されるように配設し、形成された放電空間内に放電ガスを封入してなる構成を有するもので、これら構成全体が一の表示部を構成している。
【0016】
本発明において透明基板とは、表示部の最表面を構成する透明な基板であって、少なくとも透明弾性層と直接接着される一方の面のことをいう。
【0017】
透明基板の材質として、具体的には、ガラス、アクリル系樹脂、ポリカーボネート等を挙げることができる。また、透明基板に対向状態に設ける基板は、上記透明基板と同様のものを用いることができるが、特に制限されるものではない。更に、表示機能部1Bは、表示部の種類等に応じて適宜選択することができる。
【0018】
本発明の透明基板は、いずれの場合も、その屈折率をn2とした場合、透明弾性層の屈折率n0との差(|n0−n2|)が0.2以下、特に0.1以下であることが必要である。
【0019】
次に、本発明の光学機能部材は、公知のものを使用でき、例えば、光透過性の反射防止処理ガラス、反射防止処理フィルム、帯電防止ガラス、帯電防止フィルム、電磁波シールド材、近赤外線吸収フィルム、カラーフィルター、タッチパネル、携帯電話の保護板等を挙げることができ、材質としては、ポリカーボネート、ガラス、アクリル系樹脂等を挙げることができる。これら光学機能部材は、本発明の表示装置の用途に応じて適宜選定して使用することができる。
【0020】
本発明の光学機能部材は、その屈折率をn1とした場合、透明弾性層の屈折率n0との差(|n0−n1|)が0.2以下、特に0.1以下であることが必要である。
【0021】
本発明の透明弾性層は、後述するように屈折率が適正化されたものであれば、公知の透明材料にて形成されたものであればよく、主材として、例えば、ポリイソプレン、ポリブタジエン等の合成ゴム、EVA等のオレフィン系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ポリビニルブチラール、塩化ビニル系エラストマー、SBS,SIS等のスチレン系エラストマー、アクリル系樹脂、シリコーン系ポリマー等を挙げることができ、特に、アクリル系樹脂の使用が推奨される。
【0022】
本発明の透明弾性層は、上記材料を主材とすることが推奨されるものであるが、更に必要に応じて、他の材料を併用配合することができ、他の材料としては、有機過酸化物、光増感剤、可塑剤、接着促進剤、炭化水素樹脂、老化防止剤(重合禁止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤など)、その他無機又は有機の充填剤等を添加してもよい。また、無機系、ハロゲン系、リン系の従来公知の難燃剤を有効量添加することもできる。この場合、上記主材100質量部に対し、通常0.1〜50質量部の割合で種々最適化して配合することができる。
【0023】
本発明の透明弾性層は、上記材料を直接部材に塗布するか又は公知のカレンダー、ロール、Tダイ押出、インフレーション等の製膜法によりフィルム状に製膜して形成することができる。この場合、透明弾性層の厚さは、通常0.01〜5mm、特に0.05〜3mmとすることが好ましい。
【0024】
本発明において、上記透明弾性層は、その屈折率n0が、上記光学機能部材の屈折率n1と、表示部の透明基板の屈折率n2とに対して、それぞれ適正化されたものであることを要し、具体的には、透明弾性層の屈折率n0と光学機能部材の屈折率n1との差(|n0−n1|)が、0.2以下、特に0.1以下であると共に、透明弾性層の屈折率n0と上記透明基板の屈折率n2との差(|n0−n2|)が、0.2以下、特に0.1以下であることを要し、これら屈折率の適正化による相乗効果で、光透過性に優れ、コントラスト比の低下が抑制され、優れた表示性を確実に得ることができるものである。これら屈折率の差が多すぎると界面での反射性が大きくなり視認性が低下する。
【0025】
本発明において、上記透明弾性層は、応力緩和特性における歪み(ε0)を5%(25℃)とし、t=0.05(秒)の緩和弾性率を初期値G0とした場合、G0が6.5×106Pa以下、特に5.5×106Pa以下であることが推奨され、下限としては4.0×106Pa以上であることが推奨され、これにより、保護板等の表面を押圧しても、表示部に影響を与えず、表示部のひずみ、色むら等の発生を確実に回避することができる。上記範囲を超えると、表示部の歪みを回避できず、特にLCD表示部を使用した際に割れやすくなる場合がある。少なすぎると貼り合わせ後の機械的強度が不足し、耐熱性が低下する場合がある。
【0026】
また、本発明の透明弾性層は、上記応力緩和弾性率の減衰曲線から求められる関係式lnG(t)=−t/τ+lnG0によって算出される緩和時間τ(秒)が17(秒)以下、特に12(秒)以下、下限としては7(秒)以上であることが推奨され、このように緩和時間を適正化することで、表示部、特にLCD表示部等に生じる歪みを確実に緩和できる上、表示装置の表示画面の色むら等の発生を確実に防止できる。この場合、緩和時間が上記範囲を超えると静的歪みを緩和できず、色むらが発生しやすくなる場合がある。
【0027】
本発明の光学機能部材一体型表示装置を得るには、上記表示部と光学機能部材とを透明弾性層を介して一体化すればよく、その製造方法は特に制限されるものではない。例えば、予め上記方法で透明弾性層を形成し、所定の接着剤を塗布して接合する方法、上記透明弾性層の材料を溶融状態で上記光学機能部材又は表示部のいずれか一方の面に塗布した後、もう一方の部材を貼り合わせ一体化させる方法等を採用することができる。一体化させる方法は、真空プレス法、ニップロール法等の公知の方法を用いることができ、界面に空気が残るような場合は、液状接着剤を併用するか、オートクレーブ装置等により加圧加熱する方法等を採用することができる。
【0028】
【実施例】
以下、実施例、比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0029】
〔実施例〕
図3に例示される装置を製造した(尚、図3は装置の概略図で実際の装置の縮尺はこれとは異なる。以下、図4,5同じ。)。LCD表示部1(携帯電話用)として屈折率n2=1.49のガラス透明基板を表裏両面に具備したものを使用した。
【0030】
上記LCD表面の所定の一方の透明基板上に透明弾性層材としてアクリル系粘着剤(綜研化学社製;商品名SKダイン1831)を塗布し、更にこの塗布面に光学機能部材としてポリカーボネート保護窓材2(厚さ1.5mm、屈折率n1=1.59)を貼り合わせ、光学機能部材一体型表示装置(実施例)を製造した。
【0031】
形成された透明弾性層3は、厚さ0.5mm、屈折率n0=1.49、G0=5.5×106Pa、緩和時間は12(秒)であった。
【0032】
〔比較例〕
図4に例示される装置を製造した。上記実施例と同様のLCD表示部(屈折率n2=1.49のガラス透明基板を具備)1と、ポリカーボネート保護窓材2を、スペーサ4(高さ0.5mm)を介して常法に従い接合し、LCD表示部1とポリカーボネート保護窓材2との間に、厚さ0.5mmの空気層5(屈折率n=1.00に相当)を設けた光学機能部材一体型表示装置(比較例)を製造した。
【0033】
得られた光学機能部材一体型表示装置についてそれぞれ、下記に示すように透過光量、コントラスト比を調べた。結果を表1に示す。
【0034】
透過光量
図5に示すように、LCD表示部1単独に所定位置からバックライト6で光を当て、反対側の面へ透過する光を輝度計によって測定し、この時の光の透過量を基準(100%)とした。
【0035】
実施例、比較例の光学機能部材一体型表示装置について、上記基準と同様の条件にて各装置のLCD表示部1にバックライト6で所定位置から光を当て、ポリカーボネート保護窓材2を透過する光の量を輝度計で測定し、上記LCD表示部1単独の透過光量に対する透過光量を求めた。
【0036】
コントラスト比
図5に示すように、LCD表示部1にバックライト6で光を当て、LCD画面にテストパターンを表示させ、光を当てた面と反対側の面より目視にてLCD表示部1を観察し、この時のコントラスト比を基準(10:1)とした。
【0037】
実施例、比較例の光学機能部材一体型表示装置について、各装置のLCD表示部1にバックライト6で所定位置から光を当て、LCD画面にテストパターンを表示させ、ポリカーボネート保護窓材2側から上記と同様に目視にてLCD表示部1を観察し、上記基準に対するコントラスト比を求めた。
【0038】
【表1】
Figure 0004666122
【0039】
【発明の効果】
本発明の光学機能部材一体型表示装置は、光透過性に優れ、コントラスト比の低下が抑えられて、優れた表示性を確実に得ることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る光学機能部材一体型表示装置を示す概略断面図である。
【図2】本発明の装置の構成部品である表示部の一例(LCD表示部)を示す概略断面図である。
【図3】本発明の他の実施例に係る光学機能部材一体型表示装置を示す概略断面図である。
【図4】比較例で使用した従来の光学機能部材一体型表示装置を示す概略断面図である。
【図5】本発明の実施例で評価に使用したLCD表示部を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1 表示部
1A 透明基板
1B 表示機能部
2 光学機能部材
3 透明弾性層

Claims (1)

  1. 光学機能部材と表示部とを具備してなる光学機能部材一体型表示装置において、前記表示部が透明基板を具備してなり、上記光学機能部材と上記表示部とが透明弾性層を介して一体化されていると共に、該透明弾性層の屈折率をn0とし、上記光学機能部材の屈折率をn1とし、更に上記透明基板の屈折率をn2とした場合、n0とn1との差及びn0とn2との差がそれぞれ0.2以下であり、かつ上記透明弾性層が、応力緩和特性における歪み(ε0)を5%(25℃)とし、t=0.05(秒)の緩和弾性率を初期値G 0 とした場合、G 0 が6.5×10 6 Pa以下であると共に、応力緩和弾性率の減衰曲線から求められる関係式lnG(t)=−t/τ+lnG 0 によって算出される緩和時間τ(秒)が17(秒)以下であることを特徴とする光学機能部材一体型表示装置。
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