JP4665196B2 - 毛髪の増毛方法、毛髪の下地部剤を定着固定する方法およびこれらの方法に使用する増毛セット剤。 - Google Patents
毛髪の増毛方法、毛髪の下地部剤を定着固定する方法およびこれらの方法に使用する増毛セット剤。 Download PDFInfo
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Description
ところで、壮年性脱毛は30代位からこめかみ付近の頭髪が薄くなり、やがて前頭部、後頭部の毛髪が少なくなっていく現象を言うが、実際に毛が抜け落ちるわけではなく、徐々に毛髪の太さと長さが小さくなっていくので、どちらかと言うと脱毛と言うより薄毛化していっているのである。これは毛周期の成長期が短縮して毛髪がまだ短いうちに成長が止まってしまうことと、次の成長期に生えてくる毛髪の太さが細くなることによることが知られている。壮年性脱毛は男性に限られるわけではなく、女性でも中年以降頭頂部を中心に薄毛化が進んでおり、薄毛化に悩む女性は日本でおよそ900万人とも見られている。
最近では女性型脱毛も体内の性ホルモンバランスの崩れなどにより男性ホルモンの働きが強くなった結果生じると考えられており、両者をまとめて壮年性脱毛と呼ぶようになって来た。即ち30代以降にみられる壮年性脱毛は多くの場合男女共毛が無くなっているのではなく、徐々に毛髪の太さと長さが小さくなって薄毛化していっているのである。
そこで本願発明者は、この薄毛化した現象を回復させるために、種々検討した結果、細毛化している毛に厚い被膜を張り、その被膜によって増膜増量し、毛髪を太くする事によって、毛髪を増量させる方法を発明した。さらに、この毛髪を増量させる方法の実施に直接使用する毛髪の増毛セット剤をも合わせて発明した。さらにまた、毛髪を増量させる発明のうち、重要な位置をしめる毛髪の下地部剤を定着固定する方法とこの方法の実施に直接使用する毛髪の下地部剤等についても発明した。
細くなった毛髪を太く見せようとする点で共通している従来の方法の1つとして、擬似増毛効果を得るために粉状物として短繊維物質を用い、粉状物を噴射する装置を用いてこれを毛髪などに静電気的に付着させることにより増毛効果を得られることが日本特開昭62−225263号公報に示されている。しかしながら、日本特開昭62−225263号公報に示されている手段では、粉末の付着状態が不安定かつ不確実であって適用後に粉末が容易に脱落してしまうため、増毛効果は実際上殆ど持続されず、実用上有効な増毛効果を得ることはできない。
他方、日本特開平8−143434号や日本特開平9−87146号公報に示されているような毛髪染色用のカラースプレーに増量粉体を加えた形の増毛エアゾール剤と称されるものも知られている。これらの擬似増毛部剤は、短繊維物質を用い、粉状物を噴射し静電気的に付着させることによる増毛効果に比して、増毛効果は劣るものの、着色効果や接着安定性の改善された商品である。しかしながら増毛効果を併せ持った一時的着色染毛剤であるカラースプレーの範囲を出ないものである。また、使用方法としてはいずれも頭髪をセットした後の毛髪に塗布し、必要に応じて定着剤であるヘアスプレーなどの固着性樹脂を吹き付けて増毛部分をその上から少しでも増毛部分がとれないようにコートして自然にはがれ落ちる迄の時間を少しでも延ばそうとするものである。このように粉体や顔料を定着させる方法としては全て一時的であり、雨が当れば剥がれ流れ落ちたり、染め上げ後の毛髪に触ると染料・顔料が剥げ落ちて、他物や他所に転移してしまったり、入浴した際に剥がれ流れ落ちる為に、入浴時髪に湯水がかからないようにするなどの必要があった。
前述してきた様に、従来の増毛方法は鬘や擬毛を植毛若しくは接ぎ毛するような増毛法による永久増毛法を除いては、粉状物塗布による一時的な着色増毛方法である。前者において鬘的な擬毛の場合には被施術者が、その擬毛を付ける迄の覚悟的な決断と、鬘であるなどの幾分かの抵抗感と、万一、外れたり、付けていることが周囲に知れたらどうしようかとの不安感などがあった。後者は、毎日塗布しなければならない煩わしさと、雨天時に於ける色落ちの不安感、加えてシャワーを使えない、入浴できない、プールに入れない等の問題点があり、それ故に例えば、仲間などと旅行で入浴した際にも頭髪に湯水が掛からないようにするなど余計な気をつかうなど問題点が多かった。
1.毛髪を太くしたいと所望するところの毛髪の一本一本の表面に、下記の毛髪の耐水性増毛部剤を塗着して定着固定させ、増毛被膜を形成するに際して、毛髪に対して筒状または鞘状に仕上げることを特徴とする毛髪の増毛方法。
耐水性増毛部剤はアクリル酸オクチルアミド・アクリル酸エステル共重合体の非中和物、アクリル酸アルキルエステル・ジアセトンアクリルアミド・メタクリル酸共重合体の非中和物、アクリル酸アルキルエステル・メタクリル酸アルキルエステル・ジアセトンアクリルアミド・メタクリル酸共重合体の非中和物、酢酸ビニル・クロトン酸共重合体の非中和物、クロトン酸・酢酸ビニル・ネオデカン酸ビニル共重合体の非中和物、アクリル酸オクチルアミド・アクリル酸ヒドロキシプロピル・メタクリル酸ブチルアミノエステル共重合体の非中和物、カルボキシル化変性酢酸ビニルポリマーの非中和物の何れかの単品または混合物や共重合物から選択される。
本願発明において、「毛髪を太くしたいと所望するところの毛髪」は細くなった毛髪はもちろんのこと、細くなっていない毛髪も含む。たとえば細くなっていなくても、生まれつき通常の人に比較して細い人で太くしたいと思う人、通常の太さであるが、もっと太くしたいと思う人にも適用できるということである。
本願発明において、重要なことは増毛被膜によって太くなった毛髪の最も外側の被膜が毛髪に筒状または鞘状で形成されていることである。第1項の発明は、毛髪の増毛部剤に耐水性のものを選択使用しているので、この増毛被膜を筒状または鞘状に形成しておくと、筒径(毛髪の直径)に対して筒の長さ(毛髪の長さ)が可成り長くなる為に、毛髪上から決して抜け落ちる事がないので、増毛部剤の耐水性が功を奏して、特に被膜コート部剤を使って増毛被膜を保護する必要はない。非耐水性の増毛部剤を使った場合には増毛被膜により増毛はされるが、耐水性のない増毛被膜となり、雨に濡れても困るし、入浴やプールに入ることもできない。そこでこの増毛被膜の上に耐水性の筒状または鞘状の被膜が必要となる。この際、最も外側の被膜が筒状または鞘状に形成されていることから、増毛被膜は必ずしも筒状または鞘状になっていなくてもよい。増毛被膜も筒状または鞘状に仕上げていれば、より強力な被膜となることは言うまでもない。耐水性増毛被膜の上に、さらに耐水性の被膜を筒状または鞘状に形成し、耐水性をより向上させてもよい。この際も耐水性増毛被膜も筒状または鞘状に仕上げていれば、より強力な被膜となる。増毛被膜を筒状または鞘状に仕上げるということは、それだけ丁寧な作業が要求される訳で時間がかかる。最も外側の耐水性被膜が筒状または鞘状に形成されることから、増毛被膜も筒状または鞘状に形成するかは、増毛方法の実施コストに反映されるので、その辺の事情を考慮して決定されることになる。
本願発明で重要なことは毛髪の一本一本の表面に定着固定する増毛に必要な部剤は筒状または鞘状の被覆体とすることである。筒状とは毛髪の先端部分を除く胴部の周囲を被覆している増毛部剤からなる被膜のことであり、鞘状とは毛髪の先端部分を含めて胴部の周囲を被覆している増毛部剤からなる被膜のことである。鞘状は筒状の一端が閉じられている状態を指し、鞘状は筒状部とその筒状部の先端閉鎖部とからなっていると表現できる。鞘状の先端閉鎖部はあっても、なくてもよく、従って、筒状部が重要であるということである。短い細くなった毛髪の場合には、筒状にすることは難しく、自然に鞘状になってしまうということである。
本願発明の構成成分剤の性状は、樹脂や増量剤の性状および/またはそれらの使用濃度や混合状態、更には、添加する沈降防止剤、増粘剤の種類などによって粘度が大きく異なる。よって、本願発明で言う液状とは、ゾル、ゲルにかかわらず、低粘度から中粘度の状態にある液状物をいい、容器から流動して取り出せる状態のものを言う。
本願明細書において、「下地部剤」とは、毛髪を起毛させる為の樹脂被膜を形成する構成成分剤をいう。「増毛部剤」とは、毛髪の嵩を増やすための構成成分剤をいう。また、「被膜コート部剤」とは、増毛部剤で形成された増毛被膜を保護するための樹脂被膜を形成する構成成分剤をいう。
本願明細書において、「毛髪へのなじみが良い」とは、毛髪との親和性・接着性がすぐれている状態をいい、本願明細書では、少なくとも、束ねた毛髪に被膜を形成する液状樹脂製の部剤を数滴塗着させた時、該部剤が毛髪に弾かれるなどの抵抗がなく、毛髪表面に沿って浸って密着していく様をいう。「可撓性を有し」とは、たわめることが可能であることを言い、本願明細書では、少なくとも、毛髪5本を一本一本重ならないように並べて束ねその毛髪に被膜を形成する液状樹脂製の部剤を塗着し、完全乾燥後その毛髪の両端を手で持ち、数回から数十回毛髪を曲げても、樹脂被膜が毛髪の表面で剥離する事無く撓り、毛髪の表面から樹脂被膜が剥離したり、割れが生じない状態を言う。「可鍛性が小さい」とは、衝撃・振動・圧力などの外力の為に磨耗又は破壊することをいい、僅かな外力でそのような現象を生じるものをさすが、本願明細書では、少なくとも、毛髪約20本を束ね、該毛髪に被膜を形成する液状樹脂製の部剤を塗着し、完全乾燥後、該毛髪の束の両端を手で持ち、数回から数十回揉むように扱いたり、毛髪の束を折るようなしぐさで扱いた時、簡単に毛髪と毛髪の間で固まった樹脂が割れや削れ、磨耗などによって、毛髪が一本一本に分離する状態を言う。可鍛性が小さいことによって万が一毛髪が重なって接合してしまった時にも該毛髪を揉み解す事によって毛髪が一本一本被膜された状態で分離する事が可能になる。「耐水性」とは、本願明細書では、毛髪約20本を束ねた該毛髪に、十分な量の被膜を形成する液状樹脂製の部剤を浸漬塗着させ放置した後、ドライヤーで完全乾燥後、摂氏25度の水中に浸漬しておく時、少なくとも3時間は塗着された毛髪の表面に樹脂の剥離などの変化がない状態をいう。
本願明細書における「毛髪の増毛方法」について、さらに説明しておく。増毛部剤に耐水性のものを選択し、この増毛部剤を毛髪に対して筒状または鞘状に仕上げた場合には増毛被膜が耐水性であり、且つ増毛被膜が筒状または鞘状であることから、毛髪から容易に離脱することはない。増毛部剤に水溶性のものを選択した場合でも、この増毛部剤で形成された増毛被膜上には筒状または鞘状の耐水性被膜コートを設けるので、耐水性や強度に問題はない。増毛部剤に耐水性のものを選択し、耐水性増毛被膜の上にさらに耐水性の被膜コートを設ける場合には、一段と耐水性は増加するし、耐水性被膜コートの強度も上がる。耐水性増毛部剤、耐水性被膜コート部剤ともに非中和の樹脂を使用した場合には、耐水性被膜コート、耐水性増毛被膜ともに、被施術者の事情で除去を希望される場合等にアルカリ性の中和剤で中和し、水溶性に変化させて解除できる。アルカリ性の中和剤で解除できるということは、例えばスポーツ選手がハードな練習で悪い汗と呼ばれるアルカリ性の汗を大量に出した場合に、非中和の樹脂被膜が、アルカリ性の汗(アルカリ性の中和剤と一緒)で水溶性として解除してしまうことになる。この点を解決する手段として増毛被膜の最も外側の被膜コートはアルカリ性の中和剤で中和しても水溶性にならない、耐酸・耐アルカリ性耐水性樹脂または光硬化樹脂を使用して解決できる。
本願明細書に記載した発明に使用できるアルカリ性の中和剤で中和しても水溶性とならない耐酸・耐アルカリ性の耐水性の被膜コート部剤としては、硝化綿、NRその他一般ジエン系合成ポリマーなどの凡用ラテックス、MBR,BR,VP,NIR,SIR,IR,FKM,EPM,CSMのポリマーラテックスのうち硬化後耐水性被膜を生じるラテックス類が使用できる。
本願明細書に記載した発明に使用できる光硬化樹脂としては特に限定はないが可視光および/または可視紫外線による光硬化技術を用い樹脂被膜の作製できるものであれば良い。人体に使用して安全な事、無臭又は不快感の少ない樹脂である事などの条件の他、樹脂成分液としては、硬化前は油性、水性に拘わらず低刺激で扱い易い液状のものが好ましい。重合方法としても特に限定はないが、光の強度や媒体の粘度、開始剤の濃度などで出来栄が変わることもあり、現在、歯科医療で人体へ利用されている光ラジカル重合等を用いるのも好適な方法である。樹脂成分としても特に限定はない。例えばメタクリレート系のものを使用する事ができる。メタクリレート系のものとしては一官能性の比較的分子量の大きなモノマーが良いが、二官能性、多官能性でも特に問題はない。例えば、メタクリレート系のものは、ビスフェノール−Aジグリシジルエーテルとメタクリル酸の付加物であるBis−GMA、トリエチレングリコールジメタクリレート(TEGDMA)、ウレタンジメタクリレート(uDMA)が主に使われている、これらはメタクリル酸メチル(MMA)の誘導体で、例えば、TEGDMAはMMAが二つ結合した二重結合が二つの二官能性分子で両方の二重結合の反応で固くて有機溶剤に不溶性の架橋構造が出来る。毛髪のコーティングにはカチカチにならない、一官能性の比較的分子量の大きなモノマーが良いが、二官能性、多官能性でも特に問題はない。
モノマーやオリゴマー、ポリマーとしては、TEGDMA,BuDMA,NPGDMA,HDDMA,UDMA,Bis−DMA,Bis−MPEE4E,TCDDMAなどアクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル系、メタアクリル酸エステル系、ポリアクリル酸系、ノボラック型フェノールエポキシ樹脂系、ノボラッククレゾールエポキシ樹脂系、ポリイミド系、ポリビニルアルコール系、多官能ポリエステルアクリレート系、多官能ポリオールアクリレート系、多官能ポリウレタンアクリレート系、これらの混合系を用いることが出来る。重合開始剤としては、1−ヒドロキシ・シクロヘキシル・フェニルケトン、2−ヒドロキシー2−メチルー1−フェニループロパンー1−オン、2−メチルー1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モンフォソノプロトリンー1、2−ベンジルー2−ジメチルアミノー1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノンー1などを用いることが出来る。分散剤としては、POEアルキルフェニルエーテル系、POGジエステル系、ソルビタン脂肪酸エステル系、脂肪酸変性ポリエステル系、3級アミン変性ポリウレタン系などを用いる。その他増感剤、密着助剤、還元剤等としてα−ジケトン類、シランカップリング剤、カンハーキノン、2−(N,N−ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、アルキルバルビツール酸等を用いることができ、色純度、濃度、耐候性、分光特性を上げるために顔料などを混合し用いることも可能である。照射光源としてはハロゲンランプやレーザー光源、光伝送媒体としては光ファイバーなどを使用する。
本願明細書に記載した発明の実施には、環境対応を配慮した水溶性光重合開始剤を用いたり、局所的な照射で紫外線の害が問題にならないように、汎用のレーザー光源の可視領域を制限するとか、照射時間を短くして実施するなど種々対応して実施することも可能である。
なお、本願発明の効果を簡単にまとめておくと次の通りである。
(1)毛髪の一本一本に筒状または鞘状の増毛被膜を形成しているので自毛と変わるところがなく、極めて自然な状態でしかも20〜30分という短時間のうちに増毛が達成できる。(2)耐水性の増毛ができ、雨に打たれても平気、プールで泳ぐことも、入浴、洗髪も何の支障もない。増毛被膜は自毛の表面を保護し、櫛やブラシの通りもよく、ブラッシングによる毛切れを防止し、毛髪の育成を助け、また見た目にも美しい仕上がりを見せる。(3)増毛被膜は自毛から脱落することがなく耐久性を備えている。(4)鬘や植毛に比較して安価である。(5)簡単に施術でき気軽に利用できる増毛方法である。等等、驚く程の秀れた増毛方法といえる。
2、 下地部剤
3、 増毛部剤
4、 被膜コート部剤
A−B、 切断の位置を示す
F、 毛根部
H、 頭皮
M、 根元付近
T、 筒状の被膜部分
U、 鞘状の被膜部分
X、 部剤結合域
図1は従来の増毛方法・効果を説明するための概念図であり、図2から図8は本願発明の増毛方法・効果を説明するための概念図である。尚、本願発明の説明をし易くするために、毛髪1を起毛させる為の樹脂被膜を形成する構成成分剤を下地部剤、増毛の為の被膜を形成する構成成分剤を増毛部剤、増毛部剤を保護する為の樹脂被膜を形成する構成成分剤を被膜コート部剤と呼び以下説明する。尚、図1−1、図2−1、図3−1、図4−1、図5−1、図6−1、図8−1はそれぞれの状態における頭皮上の毛髪部の縦断面図を示し、図7−1、図7−2は頭皮及び毛髪部の縦断面図を示す。図1−2、図2−2、図3−2、図4−2、図5−2、図6−2、図8−2は図1−1、図2−1、図3−1、図4−1、図5−1、図6−1、図8−1のそれぞれの状態におけるa−bの部分で切断した時の切断面及びa−bの部分より上部の毛髪の外観の状態を示す。以下、図中、1は毛髪、2は下地部剤、3は増毛部剤、4は被膜コート部剤、Fは毛根部、Hは頭皮、Mは毛髪の根元付近、Tは筒状の被膜部分、Uは鞘状の被膜部分、Xは部剤結合域を示す。
図1は従来の「短繊維物質や紛状物を噴射塗布するタイプの増毛部剤3」を用い、「従来の増毛方法」で処理した場合の毛髪の状態を示す概念図である。前述してきたような従来の「一時的増毛方法」は全てが「増毛成分を毛髪表面に万遍なく塗着させて毛髪を多く見せるようにする」ものであり、増毛処理後に櫛などを通すと増毛効果が消滅したり、効果が減少するので通常はセットした後の毛髪に増毛部剤(増毛成分)を塗布する。
施術処理方法は、セットした後の毛髪1に増毛成分である増毛部剤3を塗布し、暫くして後、増毛部剤3(粉体等)が毛髪1から剥げ落ちにくくする為に、塗着された増毛部剤3の上からそっと被膜コート部剤4(ヘアスプレー)を塗布し被膜処理する。よって図1は増毛部剤3を塗布した後、櫛で解かすことなく増毛部剤3が毛髪1から剥がれ落ちないように注意しながら被膜コート部剤4を塗布し、そのまま乾燥させた後の毛髪1の状態を示す。
図2〜図8は本願発明の方法を用いて施術した場合を説明する為の概念図である。図2及び図3では本願発明を「短い毛髪に施術、被膜処理」した場合の毛髪の状態を示し、図4〜図8は長い毛髪に部分的に施術、被膜処理した場合の毛髪の状態を示す。ここで、本願発明を説明する上で、内容をより説明しやすくする為に、まず図2及び図3を用い、「短い毛髪に施術、被膜処理した場合の毛髪の状態」と限定し説明を進める。即ち図2及び図3は、「本願発明を短い毛髪に施術した場合」である為、下地部剤2、増毛部剤3、被膜コート部剤4が十分毛髪1の両端表面全体に行渡るので、毛髪1に対して筒状というより、鞘状(換言すれば片方を塞いだ長い筒状)に被膜している図となっている。 図2は毛髪の表面に本願発明の下地部剤を施術処理した後の状態を示す概念図であり、図3は図2に更に増毛部剤、被膜コート部剤を処理した後の状態を示す概念図である。
次に効果の比較を説明するため、図2を含め図3に至るまでの施術方法の概略を述べる。
本願発明を実施する為の施術処理方法の概略を説明する。毛髪を太くしたいと所望するところの毛髪の生えている頭部の毛髪に、十分な量の下地部剤を毛髪に塗着させ、毛髪の下地部剤の塗着した毛髪の一本一本が分離し、下地部剤が固化するまで手や櫛、ブラシ等で毛髪を解きほぐして、毛髪の一本一本に毛根の根元付近から毛先にかけて下地部剤が行き渡るように展着乾燥した後に、増毛部剤を塗布し、毛髪の一本一本の表面に増毛部剤が固化するまで手や櫛、ブラシ等で毛髪を解きほぐして、毛髪の一本一本の表面に増毛部剤を展着乾燥させる。その後に、さらに被膜コート部剤を塗布し、固化するまで手や櫛、ブラシ等で毛髪を解きほぐして、毛髪の一本一本の表面全体に被膜コート部剤が行き渡るように展着乾燥した後の毛髪の状態を示す。図2及び図3において、図2−1、図3−1はそれぞれの状態における頭皮上の毛髪部の縦断面図を示し、図2−2、図3−2は図2−1、図3−1のそれぞれの状態に於けるa−bの部分で切断した時の切断面及びa−bの部分より上部の毛髪の外観の状態を示す。
従来の増毛方法では、図1−1及び図1−2に示すようにセットした後の毛髪1の表面に増毛部剤3を塗布後、被膜コート部剤4を塗布し、櫛で解かすことなく処理をしているので、毛髪1の上には毛髪1と増毛部剤3と被膜コート部剤4が、毛髪1に増毛部剤3と被膜コート部剤4の皮蓋を被せたような状態、言い換えればにぎり寿司のしゃりとネタのような関係で例えばしゃりの上に卵焼きを乗せ、その上に海苔を被せた様な状態で塗膜されているのであり、毛髪1表面と増毛部剤3との間の接着強度は単に増毛部剤3に含む接着樹脂によるものでしかなく、また、例え被膜コート部剤4であるヘアスプレーの接着強度が増毛部剤3の接着強度より強くてもヘアスプレーが増毛部剤3を余すこと無く完全に覆うような形で被膜しない限り、毛髪1上から増毛部剤3の剥がれ落ちを十分に止めることは出来ない。
本願発明を実施した場合は、下地部剤2、増毛部剤3、被膜コート部剤4等をそれぞれ塗着した後に、毛髪1同士を摺り合わせたり、櫛やブラシで毛髪1を解きほぐしてそれぞれが十分毛髪1を包むような形、即ち筒状または鞘状の被膜で毛髪1の一本一本の表面を被膜するようにした本願発明の実施の場合には、図2、図3に示すように、下地部剤2、増毛部剤3、被膜コート部剤4がそれぞれ刀の鞘(換言すれば片方を塞いだ長い筒状・以下同じ)の様な状態で毛髪1、下地部剤2、増毛部剤3の周上に被膜するので、下地部剤2は毛髪1を、増毛部剤3は毛髪1及び下地部剤2を、被膜コート部剤4は毛髪1、下地部剤2、増毛部剤3を内にして鞘状に被覆(鞘状の被覆部分U)する形となり、下地部剤2、増毛部剤3及び被膜コート部剤4は共にそれぞれ(毛髪1と下地部剤、下地部剤と増毛部剤、増毛部剤と被膜コート部剤など)の間の密着(接着)強度が弱くても、それぞれの接着強度には関係することなく次の理由で抜け落ちることはない。即ち、下地部剤2、増毛部剤3や被膜コート部剤4のそれぞれの鞘状体は、鞘(筒)径(殆ど毛髪1の直径と同じ)に対して鞘(筒部分)の長さ(毛髪1の部剤で塗着被覆されている部分の長さ)が可成り長い為に毛髪1からそれぞれの鞘(長い筒部)を抜き取るには抵抗(抜け抵抗効果という・以下同じ)が大きく毛髪1上から決して抜け落ちる事はないのである。
上記事由から明白なように、従来の方法では、例え増毛部剤、被膜コート部剤に耐水性の樹脂を用いたところで持続効果の短い、一時的な増毛部を作ることしか出来ないが、本願発明においては下地部剤、増毛部剤、被膜コート部剤は耐水性に優れた被膜であり、且つ下地部剤、増毛部剤、被膜コート部剤が各々/又は合体して鞘(筒)状の被膜を形成しているので、半永久的な増毛効果を保つ増毛部を容易に作れることがわかる。
実際に図1に示す従来方法と、図2、図3に示した本願発明の実施方法による増毛処理を実施し、温湯を用い5分ほど洗髪を行った所、従来方法である前者は増毛成分の殆どが温湯に流れ落ちてしまい増毛効果は殆ど消失したが、本願発明の実施方法による後者は僅かの増毛処理部剤の欠片が温湯中に流出(増毛処理直後を除くその後の湯洗では欠片の流出はない)したものの増毛効果に減少はみられなかった。
ここで本願発明にとってさらに重要な点を説明する。本願発明を説明する上で、内容をより説明しやすくする為に、「本願発明を短い毛髪1に施術した」場合を例示して説明してきたので、図2、図3の様に、下地部剤2、増毛部剤3、被膜コート部剤4は完全な鞘状に被膜している図となっている。ところが、実際の頭髪に本願発明を実施するに当っては、毛髪を太くしたいと所望するところの毛髪の生えている頭部の毛髪全てを完全な鞘状に処理することは、製剤が沢山いる上に、施術する為の時間が掛かることが分かり、鋭意研究した結果、前述した「抜け抵抗効果」は下地部剤や増毛部剤や、被膜コート部剤の被膜を鞘状に仕上げなくても、毛髪上で筒状の被膜を作り、その筒状被膜が筒径(毛髪1の直径)に対して筒の長さ(毛髪1上の筒状被膜長さ)の十分長い被膜を作れば毛髪1上から下地部剤2、増毛部剤3や被膜コート部剤4が決して抜け落ちる事がないのが分かった。
このようにして仕上げた本願発明の実施例を図4、図5、図6に示す。図4は長い毛髪に部分的に、本願発明の下地部剤を施工、被膜処理した場合の毛髪の状態を示す概念図であり、図5は図4の上に更に増毛部剤を、図6は図5の上にさらに被膜コート部剤を処理した後の状態を示す概念図である。図−4、図−5、図6に於いて、図4−1、図5−1、図6−1はそれぞれの状態における頭皮上の毛髪部分の縦断面図を示し、図4−2、図5−2、図6−2は、図4−1、図5−1、図6−1のそれぞれの状態におけるa−bの部分で切断した時の切断面及びa−bの部分より上部の毛髪の外観の状態を示す。又1は毛髪、2は下地部剤、3は増毛部剤、4は被膜コート部剤、Hは頭皮を示す。
ここで本願発明における下地部剤の必要性・意義について述べる。
毛髪上に本願発明の増毛処理を行う上で、毛髪の表面状態を均一にすることは効果を均一にするためにも効果を挙げる為にも毛髪上に下地処理をほどこす事が好ましい。この点から、本願発明者は特願2003−436972(平成15年12月31日出願)において「この下地剤の成分としては増毛部剤に用いる接着樹脂と相性の良いものがよく、出来れば本願発明を実施する際に用いる増毛部剤に用いた同一もしくは同系の樹脂を溶剤(低級アルコールが好ましい)で希釈したものを下地剤として用いる。即ち、下地剤として用いることの出来る成分は、増毛部剤の接着樹脂として用いることの出来る樹脂であるポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸塩、アクリル樹脂アルカノールアミン液、N―メタクリロイルオキシエチルN,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキルエステル共重合体液、メタクリロイルエチルジメチルベタイン・塩化メタクリロイルエチルトリメチルアンモニウム・メタクリル酸2−ヒドロキシエチル共重合物、メタクリロイルエチルジメチルベタイン・塩化メタクリロイルエチルトリメチルアンモニウム・メタクリル酸メトキシポリエチレングリコール共重合体液、メトキシエチレン無水マレイン酸コポリマー、等の合成高分子化合物、カラギーナン、キサンタンガム、ゼラチン、デキストリン、天然ガム、エステルガム、変性スターチ、ミルクカゼイン等の天然高分子化合物、等の半合成高分子化合物を採用することができる。これらの樹脂は、単独または2種以上を組合せ用いることができる他、各々または他のものとの共重合物を使用することも可能である。」を提唱し、水溶性、非水溶性に係わらず使用できる事を述べた。
然しながらその後の研究によって、下地処理を行うという事は、勿論前述(特願2003−436972)の「下地剤」を用いた場合と同様に、本願発明の場合も増毛処理を行う上でも「効果を均一にするため」、「増毛効果を挙げる為」の点では有効であるが、該下地剤を用いた下地処理とは全く異なった意味、即ち、増毛効果をさらに向上させ増毛を目立たせる為にも、また効果の持続性を向上させる上でも下地部剤が必要かつ重要であることが分かった。それは(特願2003−436972)のような、増毛部剤を塗着させる前の補助剤の役目ではなく、毛髪を起毛すると共に効果の持続性を向上させるために必要なのである。
毛髪を多く見せるのには、毛髪が太いことも必要であるが、毛髪の本数も重要な要件である。ところが「30代以降にみられる壮年性脱毛は多くの場合男女共毛が無くなっているのではなく、徐々に毛髪の太さと長さが小さくなって薄毛化していっているのである」とは言うものの、本数もかなり減少してきている為にそれをカバーする要因も必要となっている。この点から、頭髪を立てる・起毛するということは効果的な増毛テクニックであることが分かった。そこで毛髪を一本一本起毛させるための方法を検討した結果、毛髪を浸すに十分な量を掛けて毛髪同士を摺り合わせてまたは/および櫛やブラシを使用して毛髪を解きながら下地部剤を毛髪の毛根の根元付近から毛先にかけて毛髪の全体に塗着させ、毛髪の下地部剤の塗着した毛髪の一本一本が分離し、下地部剤が固化し、櫛通りがよくなるまで櫛やブラシで毛髪を解きほぐして、毛髪の一本一本の表面に毛根の根元付近から毛髪の毛先に向かって下地部剤で筒状に皮覆された毛髪へのなじみが良く、可撓性を有し、耐水性に優れた被膜を形成して毛髪を太くする前の毛髪の下地部剤を定着固定すると言う方法で処理することによって、下地部剤を毛根の側近部分、即ち毛髪の毛根の根元付近から毛髪の毛先に向かって下地部剤で筒状に被覆することが起毛効果を発揮させることを見出した。この理由については後記する。
話は戻るが、前述の「抜け抵抗効果」を発揮するような条件に合うように下地部剤2、増毛部剤3や被膜コート部剤4の被膜を数多くある毛髪の一本一本の表面に筒状に形成させる為には、次のことが重要であることを見出した。
即ち、毛髪を太くしたいと所望するところの毛髪の生えている頭部の毛髪全体に、毛髪へのなじみが良く、可撓性を有し、可鍛性が小さく、耐水性に優れた被膜を形成する液状樹脂製の毛髪の下地部剤を毛髪を浸すに十分な量を掛けて、毛髪同士を摺り合わせてまたは/および櫛やブラシを使用して毛髪を解きながら毛髪の下地部剤を毛髪の全体に塗着させ、毛髪の下地部剤の塗着した毛髪の一本一本が分離し、下地部剤が固化し、櫛通りがよくなるまで櫛やブラシで毛髪を解きほぐして毛根の根元付近から毛先にかけて毛髪の一本一本の表面に毛髪の下地部剤で筒状に、毛髪へのなじみが良く、可撓性を有し耐水性に優れた被膜を形成して毛髪の下地部剤を定着固定する。
毛髪の一本一本の表面に毛髪の下地部剤で筒状に被覆された前述の耐水性被膜の形成された毛髪部の毛髪全体に、前記耐水性被膜と親和性・接着性が良く、増膜量の大きな増毛被膜を形成する液状樹脂製の増毛部剤を掛けて増毛部剤を毛髪に塗着させ、増毛部剤の塗着した毛髪の一本一本が分離し、増毛部剤が固化し、櫛通りがよくなるまで毛髪同士を摺り合わせたり、櫛やブラシで毛髪を解きほぐして毛髪の一本一本の表面に下地部剤と増毛部剤で筒状に被覆された増毛被膜を形成して毛髪及び/又は下地部剤に増毛部剤を定着固定し、必要に応じ、さらに増毛効果を上げるために前記増毛被膜の形成された毛髪部の毛髪を、前記液状樹脂製の増毛部剤を毛髪に塗着させ、増毛部剤の塗着した毛髪の一本一本が分離し、増毛部剤が固化し、櫛通りがよくなるまで手で毛髪同士を摺り合わせたり、櫛やブラシで毛髪を解きほぐして毛髪の一本一本の表面に増毛部剤で筒状または鞘状に被覆された増毛被膜を形成して、所望の増毛量を得るまで前記増毛被膜形成作業を繰り返し所望する増毛量にする。
前述の毛髪の一本一本の表面に毛髪の下地部剤と増毛部剤で筒状または鞘状に被覆された毛髪部の毛髪に、前記増毛被膜と親和性・接着性が良く耐水性被膜を形成する被膜コート部剤を塗着させ、被膜コート部剤の塗着した毛髪の一本一本が分離し、被膜コート部剤が固化し、櫛通りが良くなるまで手で毛髪同士を摺り合わせたり、櫛やブラシで毛髪を解きほぐして毛髪の一本一本の表面に被膜コート部剤で筒状に被覆された被膜コートを形成して毛髪に被膜コート部剤を定着固定することによって強靭で、強固な増毛効果を毛髪に付与させる。
本願発明における更なる重要点を記述する。前述の方法によって施術処理した下地部剤は毛髪の一本一本の表面に筒状または鞘状に被覆され、下地部剤は毛髪へのなじみが良く、可撓性を有し、耐水性に優れた被膜を形成するために、洗髪によっても落ちない強固な下地部剤が得られる事となる。繰り返すが下地部剤は毛髪へのなじみが良く、可撓性を有し、耐水性に優れた被膜を形成する被膜剤であるので、毛髪の表面に下地部剤が筒状に被覆した時点で洗髪によっても落ちない耐水性に優れた筒状の被膜で毛髪は毛根の根元付近から毛先にかけて全体(鞘状)もしくは部分的(筒状)に被覆されている事となる。
図5、図6に於いて、増毛部剤は下地部剤上で殆ど均一な正常な形で筒状に被覆されている例として図示してきたが、万一増毛部剤が毛髪上で偏って塗着され、増毛部剤だけでは完全な筒状を形成しえていない場合を図8を用いて説明する。
図8は図4のように下地部剤2を処理された毛髪の下地部剤2の片側表面に偏って増毛部剤3を塗着された場合の毛髪部の状態を示す概念図であり、図8−1は頭髪上の毛髪部分の縦断面図、図8−2は図8−2のA−B部分で切断したときの切断面及びA−Bより上部の毛髪の外観の状態を示す。
前述してきたように、下地部剤の後に増毛部剤で施術処理するが、増毛部剤は前記下地部剤である耐水性被膜と親和性・接着性が良い液状樹脂製の増毛部剤であるために、増毛部剤自体が毛髪上で偏って塗着し、完全な筒状を形成しない場合に於いても、正常に筒状に被膜形成された下地部剤の上に塗着されしっかりと接着していれば増毛部剤は図8に示すように下地部剤と一体化する(一体化した部分は図において格子状に示したXの部分である:Xは部剤結合域を示す)。即ち図8−1、図8−2に示すように、下地部剤2と増毛部剤3は部剤結合域Xで殆ど一つの樹脂として働く。増毛部剤自体が筒状に被覆し洗髪によっても落ちない耐水性に優れた被膜効果を持ったのと同じ結果が得られる事となるのである。
被膜コート部剤の場合も同様の事が言える。図6は図5の後、更に本願発明を実施して増毛部剤3に更に被膜コート部剤4を施術処理した後の毛髪1の状態を示す。被膜コート部剤4も前記増毛被膜と親和性・接着性が良く耐水性被膜を形成する被膜剤であるために、被膜コート部剤4が毛髪1上で偏って塗着し、完全な筒状を形成しない場合に於いても、下地部剤および/もしくは増毛部剤が正常に筒状に被覆されている場合には、被膜コート自体が筒状に被覆し洗髪によっても落ちない耐水性に優れた被膜効果を持ったのと同じ結果が得られる事となる(図が複雑になる為に、特に部剤結合域にあたる部分を格子状に示していないが、それぞれの部剤が接触・接合する部分が部剤結合域Xとなるため、その辺りを図5、図−6上にXで記した)。但し、被膜コート部剤4が増毛部剤3を完全に被覆していない場合には当然、増毛部剤3に対する被膜コート部剤4の保護効果はその増毛部剤3を完全に被覆していない部分については欠如していることは言うまでもない。しかしながら、本願発明の増毛部剤3は耐水性であるために前述のように被膜コート部剤4が少々欠如した部分があったとしても増毛効果が劣るものではない。
即ち、図5、図6に示したX部分のように、下地部剤、増毛部剤、被膜コート部剤はそれぞれ、互いに親和性・接着性が良く耐水性被膜であるために部剤結合域Xの部分で一体化し、殆ど一つの樹脂からなる被膜のような塊となり、結果あたかも一つの樹脂で筒状被膜を形成したこととなるのである。繰り返すが、下地部剤2が毛髪1に適切な長さの筒状で被覆していれば増毛部剤3も被膜コート部剤4もそれら自体が毛髪1上で完全な筒状を形成しなくても、筒状に被膜形成された下地部剤の上に塗着されしっかりと接着していれば増毛部剤3は下地部剤2と、被膜コート部剤4は増毛部剤3および/または下地部剤2と一体化し、増毛部剤も被膜コート部剤もそれぞれが筒状に被覆した場合と同様の結果が得られるのである。更に付け加えると、万が一下地部剤2が不完全な筒状に仕上がったとしても、増毛部剤3、被膜コート部剤4が加わってそれぞれの部剤上にしっかりと接着し、総合的に毛髪1を適切な長さの筒状で被覆することが出来ていれば半永久的な増毛効果を保つ増毛剤を得られるのである。
次に、下地部剤を毛髪に施術実施する例をもって「本願発明を実施すればどうして短時間の内に、多量の毛髪を、毛髪の一本一本の表面に毛髪の下地部剤で筒状にすることが出来るのか」を説明する。「毛髪を太くしたいと所望するところの細くなった毛髪の生えている頭部の毛髪全体に、下地部剤を、毛髪を浸すに十分な量を掛けて毛髪同士を摺り合わせてまたは/および櫛やブラシを使用して毛髪を解きながら毛髪の下地部剤を毛髪の頭皮部分から毛先にかけて毛髪全体に塗着させ、毛髪の下地部剤の塗着した毛髪の一本一本が分離し、下地部剤が固化し、櫛通りがよくなるまで櫛やブラシで毛髪を解いたり、手でほぐすなどして毛根の根元付近から毛先にかけて毛髪の一本一本の表面に毛髪の下地部剤で筒状にする」のであるが、ここで重要な点は本願発明に用いる部剤の性状であり、(1)毛髪へのなじみが良く、(2)可撓性を有し、(3)可鍛性が小さく、(4)耐水性に優れた被膜だからである。まず毛髪に塗着された下地部剤は(1)毛髪へのなじみが良いことから容易に毛髪表面に筒状被膜を生ずる。次に(2)可撓性を有するために毛髪の折れ曲がりによって樹脂割れを起こすことがなくしなやかな筒状被膜を形成することができる。更に重要なことは(3)可鍛性が小さいので樹脂がある程度厚く仕上がった部分、即ち毛髪と毛髪が交差したり、毛髪と毛髪が重なり合って出来た隙間などに溜まって固まった部分などでは、毛髪の束を擦るように揉み解したり、叩いたり、櫛、ブラシでブラッシングするような衝撃を加えることによって簡単に樹脂は割れたり、裂けたりして毛髪は分離するのである。
上記は毛髪同士を一本一本分離できる理由について述べたが、更に図を用いて、毛髪に下地部剤等を処理するときの頭皮および毛髪と処理部剤との関係を説明する。図7は下地部剤の役割と施術時の処理理論を説明する為の概念説明図であり、図7−1及び図7−2は本願発明の下地部剤2が毛髪1に筒状に塗着している状態を表す毛髪及び頭皮の縦断面図である。即ち、毛髪を太くしたいと所望するところの毛髪の生えている頭部の毛髪全体に、毛髪へのなじみが良く、可撓性を有し、可鍛性が小さく、耐水性に優れた被膜を形成する液状樹脂製の毛髪の下地部剤を毛髪を浸すに十分な量を掛けて、毛髪同士を摺り合わせてまたは/および櫛やブラシを使用して毛髪を解きながら毛髪の下地部剤を毛髪の頭皮部分から毛先にかけて毛髪全体に塗着させ、毛髪の一本一本が分離し、下地部剤が固化し、櫛通りがよくなるまで櫛やブラシで毛髪を解いたり、手で毛髪を解きほぐすなどして、毛髪を解きほぐして、毛髪の根元付近から毛先にかけて毛髪の一本一本の表面に毛髪の下地部剤で筒状に、毛髪へのなじみが良く、可撓性を有し耐水性に優れた被膜の下地部剤を固定した。頭皮および毛髪と処理部剤との関係は図−7に示すように、下地部剤2は頭皮H上で毛髪を浸すに十分な量を掛けて、塗着させている為、下地部剤2は毛根の根元付近Mから筒状に被膜されている(筒状の被膜部分をTで示した)。根元付近Mから毛根部Fに入り込むほどの量の下地部剤2で毛髪を浸す為に、当然作業直後には図7−2のように頭皮H表面にも下地部剤2の被膜が付くが、下地部剤2と頭皮H表面との関係は、下地部剤2が頭皮Hの表面に対して筒状や鞘状になって塗着していない為に乾燥定着時に櫛やブラシで毛髪をブラッシングする際にこの部分(頭皮Hについた部分)の下地部剤2は殆ど剥がれ取れるし、この時剥がれなくても洗髪時に容易に剥離洗浄できる。そこで最終的には、概ね図7−1のように毛髪1にのみ下地部剤2が定着固定した頭髪に出来上がる。この様子は頭皮H表面に下地部剤2だけが付いた時は勿論、下地部剤2の上に、増毛部剤3や被膜コート部剤4が重複して付いたときも、それぞれが単体で頭皮H表面に付いたときも、頭皮H表面に対して筒状や鞘状になっていない状態で塗着している為に、櫛、ブラシ等で毛髪をブラッシングする際や、洗髪時に前述の下地部剤2の時と同様に簡単に剥離することが出来る。又、ブラッシングや洗浄などを終え、最終的に筒状で毛髪に付いた下地部剤や増毛部剤、被膜コート部剤などの被膜は、毛髪の根元付近Mを塞いだような状態になっており、一見毛根部Fに悪影響を与えるように見えるが、実際には櫛やブラシ等で毛髪を解く際に頭皮表面から引き外され根元付近Mに隙間が出来たり、毛髪は成長する為に、毛髪上に作られた該筒状被膜はその毛髪の伸びる方向に引き連れられていくので、その結果、この根元付近Mに完全な隙間が出来、毛根部Fに通気をもたらす。即ち、根元付近Mの筒状被膜や根元付近Mに残った樹脂被膜なども問題を引き起こすことは無い。以上が短時間に大量の数の毛髪を毛髪の一本一本が分離した形で処理できる所以である。
ここで、下地部剤が毛髪を起立させる原理について説明する。図7−1のようになった毛髪は一見、樹脂で出来た管(筒状の被膜部分T)に通した毛髪である。換言すれば、管(筒状の被膜部分T)で支えた毛髪となっているのが分かる。このようにして、結果、毛髪は太くなるとともに、頭皮H上で腰が弱く細かった毛髪が、下地部剤2の樹脂製の管(筒状の被膜部分T)によって支えられ、倒れにくくこととなる。即ち起毛するのである。
毛髪へのなじみが良く、可撓性を有し、可鍛性が小さく、耐水性に優れた被膜を形成する本願発明の下地部剤としては、さらに少なくとも筒状で毛髪を支える役目を果たす程度の被膜が必要であり、このためには下地部剤成分溶液(噴射剤を除く)中、樹脂固形分として0.5乃至45重量パーセント、好ましくは3乃至35重量パーセントの範囲で用いるのが良い(他は希釈溶剤その他の成分)。又、下地部剤に用いることの出来る樹脂としては本願発明の増毛部剤、被膜コート部剤に用いる被膜を形成する耐水被膜部剤用樹脂と同様のものを用いることが出来る。
本願発明の下地部剤、増毛部剤、被膜コート部剤に用いる耐水被膜部剤用樹脂としては、毛髪上に耐水性の被膜を張り毛髪を保護すると共に、増毛成分などの各部剤等が、雨やシャワー、湯洗などによって毛髪から剥がれ落ちない様にさせるなどの目的で、毛髪の表面に筒状に被覆塗膜を張り、起毛させたり、増毛成分等を接着させたり、増毛成分及び増毛効果の保護や保持をする役目の薬剤である。特に、該耐水被膜部剤用樹脂には、外部からの水の侵入を防ぎ増毛成分等の剥がれや膨潤を防ぐと共に、セット時の櫛通りやつやなど外観的にも優れているものが望まれる。その点から耐水被膜部剤用樹脂としては従来より頭髪用のセット剤として用いられている樹脂のなかから耐水性に優れたものを選ぶのが良いが、残念ながら従来から頭髪用のセット剤として用いられている成分は元来、セット性が良いこと、型崩れのしない(耐湿性が良い)ことに加えて、洗髪性の良いことが条件であったために、従来の頭髪用セット剤樹脂ならどれでも良いという訳にはいかずそのまま若しくは応用して用いることの出来るのは従来の化粧用樹脂のほんの僅かでしかない。
本願発明の下地部剤、増毛部剤、被膜コート部剤に用いることの出来る耐水性樹脂としては、乾燥後に耐水性となり且つ、頭髪用として人体に使用できる樹脂であり、毛髪へのなじみが良く、可撓性を有し、可鍛性が小さな被膜を形成するものを使用するのが好適であり、そこで、本願発明の下地部剤、増毛部剤、被膜コート部剤に用いることの出来る典型的な耐水性樹脂としては、アクリル酸オクチルアミド・アクリル酸エステル共重合体の非中和物、アクリル酸アルキルエステル・ジアセトンアクリルアミド・メタクリル酸共重合体液の非中和物、酢酸ビニル・クロトン酸共重合体の非中和物、クロトン酸・酢酸ビニル・ネオデカン酸ビニル共重合体の非中和物、アクリル酸オクチルアクリルアミド・アクリル酸ヒドロキシプロピル・メタアクリル酸ブチルアミノエチル共重合体の非中和物、カルボキシル化変性酢酸ビニルポリマーの非中和物などや、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン変性樹脂、シリコーン変性樹脂等を使用できる。これらの樹脂は、単独または2種以上を組合せ用いることができる他、各々または他のものとの共重合物を使用することも可能である(前記中の非中和物とは樹脂の未中和物を指す)。然しながら、乾燥後に耐水性となり且つ、頭髪用として人体に使用できる樹脂であり、毛髪へのなじみが良く、後述するようにシリコーンや、高級アルコール、高級脂肪酸、樹脂粉黛等を添加するなどして可撓性と可鍛性を好適な範囲に微調整する事が可能であるなら上記に例示したもの以外の樹脂でも使用可能である。
重複して言うが、本願発明の下地部剤、増毛部剤、被膜コート部剤に用いる被膜を形成する樹脂成分として共通して言えることは、樹脂成分は乾燥後に耐水性であることが重要であり、被膜コート剤にあっては絶対条件である。尚且つ、下地部剤、増毛部剤、被膜コート部剤はそれぞれ互いの樹脂被膜間に於いて密着性・接着性に優れていなくてはならない。そこで下地部剤、増毛部剤、被膜コート部剤に用いる耐水性樹脂は、その耐水性樹脂の構成樹脂のうち少なくとも一つは重なり合う他の部剤の樹脂成分と同系、同種、同類または同一のものを使用するのがよい。
ここで上記樹脂に対する重要な点である可撓性と可鍛性について述べる。これらの性状は勿論使用する樹脂自体が持っているに越したことはないが、実際にはそれぞれの製剤は種々の成分を混合・溶解して作る為に最終的にその調合物が被塗面上に塗着され乾燥した後に、適切な可撓性と可鍛性を有すればよく、この点からは樹脂自体に可撓性が無い時には、例えば可塑剤などを加え、適切な可鍛性が無いときには例えば固形の粉状物を加えるなどして調製することもできる。これらは下地部剤、増毛部剤、被膜コート部剤に共通して言えることであり、必要に応じてそれぞれの部剤に応用使用できる。
本願発明の下地部剤は溶剤の揮発性が悪いと作業性や増毛効果に悪影響を及ぼす。そこで、下地部剤に用いる希釈溶剤としては揮発性溶剤であることが好ましく、揮発性溶剤としては頭髪上で比較的蒸発、気化し易い物質、例えば、エタノール、IPA等の低級アルコール、イソペンタン、ヘキサン等の低分子炭化水素等が好ましい。これらの内でも、特に頭皮や毛髪に対する影響、臭い、耐水被膜部剤用樹脂、着色剤等との相溶性、溶解度などを考慮すると、エタノールが最も好ましい。
本願発明の下地部剤に、施術処理時の機能性、作業性や起毛性を上げることを目的として後述する増毛部剤に用いる増量成分や潤滑剤、可塑剤、界面活性剤、更に必要に応じて防腐剤、殺菌剤、制菌剤、養毛・育毛剤、フケ防止剤、ビタミン及びその誘導体、キレート剤、粘度調整剤、金属防錆剤、動植物エキス、抗酸化剤、抗炎症剤、血行促進剤、香料等を配合することができる。但し、これらを加えることによって、下地部剤本来の目的性能を落とさない事が重要であり、この為には、粉体などの増量成分については25重量パーセント以下、シリコンなどの潤滑剤については15重量パーセント以下、可塑剤については10重量パーセント以下、界面活性剤やその他の成分については5重量パーセント以下とし、溶剤及び、耐水性樹脂と粉体などの増量成分以外の前述成分の総合計は、多くても下地部剤全量中の17パーセント以下の範囲に抑える必要がある。これを超えると一般的に処理しにくく、作業性の悪い、下地効果の乏しい下地部剤となってしまう。
本願発明に用いる増毛成分剤としては、樹脂のみで増量性に優れる樹脂を用い、増毛部剤を仕上げるのが最も好ましい。理由は本願発明を実施、施工処理した後の毛髪表面に自然毛髪と違和感の無い風合いを与え易いからである。この点から、少しでも樹脂のみで増量性に効果的な樹脂を用い、何度も増毛部剤を重ね処理することも可能である。
とはいえ、本願発明の実施に当たっても、増毛部剤としては、増毛効果は大きいに越したことは無く、本願発明の増毛効果を効率的にするためには次のような増毛部剤を用いることによって増毛部剤を仕上げる。
増毛部剤は、増毛部剤中に少なくとも増毛成分と耐水被膜部剤用樹脂を共有する一液型であっても良いし、増毛成分を塗布後、耐水被膜部剤用樹脂を塗布して定着した後、その毛髪を櫛でとかす事が可能ならば、例えば、短繊維物質や紛状物である増毛成分を毛髪上に静電塗着させた後、それが取れない様に注意しながら定着成分樹脂液を塗布し、増毛成分を毛髪上に定着させるような形の2工程をもって増毛部剤を構成してもよい。本願で用いる増毛成分としては、毛髪につけることの出来る大きさの増毛成分、例えば従来よりヘアカラーに用いられている顔料または/および顔料増量剤、固形分粉体、短繊維物質などの粉状物など擬似増毛効果を有するものなどを種々用いることが出来る。上記の増毛成分としては、黄酸化チタン、べンガラ、黒酸化鉄、紺青、酸化クロム、群青、カーボンブラック、アンバー、カラミン、フミン酸、墨汁等顔料のほか、固形分粉体としては無水ケイ酸、ケイ酸マグネシウム、タルク、カオリン、ベントナイト、セリライト、雲母チタン、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化チタン、沈降性炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、ケイ酸アルミマグネシウム、硫酸カルシウム、チョーク粉、軽石粉、真珠粉、蚕繭粉、粉末結晶セルロース、胡粉、羊毛粉、綿繊維粉、スターチ、発泡スチロール樹脂粉末、ユリア樹脂微粉末の、何れか1種または混合物として採用することができる。
更に、増毛部剤に着色剤を加えて、増毛ヘアカラーとして採用することが好ましい。着色剤としては、タール色素、赤色2号、褐色201号、青色203号、黄色402号、緑色401号、紫色401号、黒色401号等の染料、黄酸化チタン、べンガラ、黒酸化鉄、着色酸化鉄(有色酸化鉄)、群青、紺青、酸化クロム、カーボンブラック、アンバー、カラミン、フミン酸、墨汁等顔料の他、カロチン、クェルセチン、ラッカイン酸、クロロフィリン、ベタニン、カカオ色素、クルクミン、カルミン酸、グロブリン、烏賊墨、塩酸ベルベリン、リボフラビン、銅クロロフィリンNa、へマティン、へマチン、アズレンなどの天然色素の何れか1種または混合物として採用することができる。
前述したように、本願発明に用いる増毛成分剤としては、樹脂のみで増量性に優れる樹脂を用い、増毛部剤を仕上げるのが最も好ましい。とはいえ増毛効果を得るには他の増毛成分を併用して用いるのが最も効果的であることは言うまでも無い、そこで増毛部剤の構成成分としては、前述の増毛成分である固形成分(着色剤を含有する場合を含む)0.1〜60重量部に対して耐水被膜部剤用樹脂を99.9〜40重量部とするのが好ましく、より好ましくは固形分を0.5〜35重量部、耐水被膜部剤用樹脂を99.5〜65重量部の範囲で処方するのが塗布時の作業性が良く、扱いやすい。また、用いる耐水被膜部剤用樹脂によるが、一般的に乾燥性の向上と扱いやすさ並びに作業時間の短縮を図る為、増毛部剤をエアゾール化することが好ましい。該エアゾール増毛部剤の内容組成物として処方する場合には溶剤を加えて希釈する必要がある。この場合、上記増毛部剤成分95〜5重量部に対して5〜95重量部の溶剤を用いるのが良い。
本願発明の増毛部剤および被膜コート部剤は溶剤を加えることによって原液の粘度が下がるために、原液を容器(ポリ容器やエアゾール缶)に充填する際には好ましい結果を得るが溶剤の揮発性が悪いと作業性や増毛効果に悪影響を及ぼす。このために溶剤は揮発性溶剤であることが好ましく、揮発性溶剤としては頭髪上で比較的蒸発、気化し易い物質、例えば、エタノール、IPA等の低級アルコール、イソペンタン、ヘキサン等の低分子炭化水素等が好ましい。これらの内でも、特に頭皮や毛髪に対する影響、臭い、耐水被膜部剤用樹脂、着色剤等との相溶性、溶解度などを考慮すると、エタノールが最も好ましい。
作業性及び増膜(増量)効果を発揮させやすくするためには、一回の塗布量(一回あたり用いる増毛部剤量)が遅くとも5分以内で全量乾燥するような処方とする事が好ましい。これは用いる増毛部剤の構成成分、即ち固形分(着色剤を含有する場合を含む)と被膜樹脂の混合比、また溶剤を加えた場合には固形分、被膜樹脂及び溶剤の混合比の適値を検討する事によって任意に設定できる。この乾燥時間は、更に好ましくは3分以内に乾燥するような処方とする事が効果的である。何故なら、上記増毛部剤を毛髪に増毛効果が十分備わるまでの適量を毛髪に塗布し、毛髪を手で毛髪同士を摺り合わせて毛髪の増毛部剤を毛髪の全体に塗着させたり、櫛で軽く解きほぐし、乾燥した時点で毛髪同士が絡み接着しないようにする作業中、櫛で解きほぐして間もなく表面に接着性がなくなり毛髪同士が絡み接着しなくなることによって、櫛やブラシでの解きほぐし作業が少なくなるので櫛通り回数が少ない分、積層された固形分が崩されることが無く固まっていくので増毛効果が顕著であると共に、施術者(作業者)も被施術者も疲れないうちに作業が運んでいくので好適である。
また、上記の成分原液は、増毛成分と、耐水被膜部剤用と、着色剤、揮発性溶剤の他に、界面活性剤、潤滑剤、可塑剤等を含有させることが出来る。界面活性剤としては、着色成分液の成分として用いる上記増毛部剤に用いる増毛成分、接着樹脂、及び着色剤との相溶性等に問題が無い限りアニオン性、ノニオン性、カチオン性、両性界面活性剤の何れでも採用することができる。但し、活性剤を多く加えると耐水性が落ちる傾向にあるため必要以上に界面活性剤は加えないことが重要であり、この点からこれらの界面活性剤を使用する場合、当該界面活性剤全体が占める割合は全成分中3%以下、好ましくは1パーセント以下であることが望ましい。
潤滑剤は、増毛部剤を毛髪に塗布して後の塗り伸ばし性の向上や、乾燥後の櫛通り性の向上のために用いる。潤滑剤としては、低重合のシリコーン、シリコン樹脂、フッ素樹脂その他種々の公知の潤滑性油剤を用いることができる。疎水性の潤滑剤を使用するのが好ましい。可塑剤としては高級アルコール類、グリコール類等や高級脂肪酸類の他前述の活性剤、潤滑剤をもって代用することも可能である。但し、低重合のシリコーン、シリコン樹脂、フッ素樹脂などの潤滑剤や、高級アルコール、高級脂肪酸等の可塑剤の使用量は、耐水被膜部剤の可撓性と可鍛性並びに耐水性に大きく影響を与えるので組成及びそれぞれの組成成分量に対して十分な考慮が必要である。又、潤滑剤や可塑剤は疎水性の可塑剤を使用するのが好ましい。
更に、増毛部剤には、上記以外に、必要に応じて溶剤、艶出成分、紫外線防止剤、防腐剤、殺菌剤、制菌剤、養毛・育毛剤、フケ防止剤、ビタミン及びその誘導体、キレート剤、粘度調整剤、金属防錆剤、動植物エキス、抗酸化剤、抗炎症剤、血行促進剤、香料等を、必要に応じて配合することができる。
噴射剤としては、LPGやDME、フッ化炭化水素(F134aなど)等の液化ガス及び炭酸ガス、亜酸化窒素ガス、窒素ガス等の圧縮ガス等を採用することができる。噴射剤は、耐圧容器内における35℃での内圧が0.2〜0.8Mpの範囲になるように充填するのがよい。
エアゾール増毛部剤全体を100重量%とした場合、上記の噴射剤を、そのうちの70重量%未満とするのが好ましい、特に、噴射剤を63〜68重量%とするのが増毛部剤の飛び散りがある程度抑えられている状態で、且つ、塗布後の乾燥性に優れるので好ましい。
本願発明の被膜コート部剤としては、毛髪へのなじみが良く、可撓性を有し、耐水性に優れた被膜を形成するものであり、頭髪や下地部剤及び増毛成分に耐水性の被膜を張り毛髪を保護すると共に、下地部剤や増毛成分が、雨やシャワー、湯洗などによってより毛髪から剥がれ落ちにくいようにさせる為に毛髪の表面に筒状に被膜を張り、被覆保護する役目をする薬剤である。
特に、被膜コート部剤は、施工処理後の毛髪に対して外部からの水の侵入を防ぎ、増毛成分等の剥がれや膨潤を防ぐと共に、セット時の櫛通りやつやなど外観的にも優れているものが望まれる。被膜コート部剤に用いる樹脂成分は乾燥後に耐水性であることが重要であり、また絶対条件である。尚且つ、下地部剤、増毛部剤とはそれぞれ互いの樹脂被膜間に於いて密着性・接着性に優れていなくてはならない。そこで被膜コート部剤に用いる耐水性樹脂は、その耐水性樹脂の構成樹脂のうち少なくとも一つは下地部剤、増毛部剤と重なり合う樹脂成分と同系、同種、同類または同一のものを使用するのがよい。なお樹脂成分としては前述してきた下地部剤、増毛部剤と同様、乾燥後に耐水性となり且つ、頭髪用として人体に使用できる樹脂であり、毛髪へのなじみが良く、可撓性を有する必要がある。この点から前述の下地部剤、増毛部剤と同様の樹脂を使用するのが好ましい。即ち典型的な耐水性樹脂としては、アクリル酸オクチルアミド・アクリル酸エステル共重合体の非中和物、アクリル酸アルキルエステル・ジアセトンアクリルアミド・メタクリル酸共重合体液の非中和物、酢酸ビニル・クロトン酸共重合体の非中和物、クロトン酸・酢酸ビニル・ネオデカン酸ビニル共重合体の非中和物、アクリル酸オクチルアクリルアミド・アクリル酸ヒドロキシプロピル・メタアクリル酸ブチルアミノエチル共重合体の非中和物、カルボキシル化変性酢酸ビニルポリマーの非中和物などや、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン変性樹脂、シリコーン変性樹脂等を使用できる。これらの樹脂は、単独または2種以上を組合せ用いることができる他、各々または他のものとの共重合物を使用することも可能である。この点から、被膜コート部剤成分溶液(噴射剤を除く)中樹脂固形分として0.1から30重量パーセント、好ましくは0.5から20重量パーセントの範囲で用いるのが良い。
又、被膜コート部剤はセット剤を兼ねる事が多いので、セット性を向上させる目的のために、耐水性が落ちない範囲ならば他の樹脂を微量加えることも出来る。この目的で用いることのできる樹脂としては例えばポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸塩、アクリル樹脂アルカノールアミン液、N―メタクリロイルオキシエチルN,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキルエステル共重合体液、メタクリロイルエチルジメチルベタイン・塩化メタクリロイルエチルトリメチルアンモニウム・メタクリル酸2−ヒドロキシエチル共重合物、メタクリロイルエチルジメチルベタイン・塩化メタクリロイルエチルトリメチルアンモニウム・メタクリル酸メトキシポリエチレングリコール共重合体液、メトキシエチレン無水マレイン酸コポリマー、等の合成高分子化合物、カラギーナン、キサンタンガム、ゼラチン、デキストリン、天然ガム、エステルガム、変性スターチ、ミルクカゼイン等の天然高分子化合物、等の半合成高分子化合物があるが使用量はあくまでも耐水性が落ちない範囲での使用であり、使用耐水性樹脂に対して5重量パーセント以下、好ましくは1重量パーセント以下に抑える。更に、増毛部剤には、上記以外に、必要に応じて溶剤、艶出成分、紫外線防止剤、防腐剤、殺菌剤、制菌剤、養毛・育毛剤、フケ防止剤、ビタミン及びその誘導体、キレート剤、粘度調整剤、金属防錆剤、動植物エキス、抗酸化剤、抗炎症剤、血行促進剤、香料等を、必要に応じて配合することができる。
一般的に乾燥性の向上と扱いやすさ並びに作業時間の短縮を図る為、被膜コート部剤をエアゾール化することが好ましい。被膜コート部剤をエアゾール化するに当り、溶剤の揮発性が悪いと作業性に悪影響を及ぼす。このために耐水被膜部剤用樹脂の溶剤としては揮発性溶剤であることが好ましく、揮発性溶剤としては頭髪上で比較的蒸発、気化し易い物質、例えば、エタノール、IPA等の低級アルコール、イソペンタン、ヘキサン等の低分子炭化水素等が好ましい。これらの内でも、特に頭皮や毛髪に対する影響、臭い、耐水被膜部剤用樹脂、着色剤等との相溶性、溶解度などを考慮すると、エタノールが最も好ましい。
エアゾール被膜コート部剤として処方する場合には、噴射剤としては、DMEやLPG、フッ化炭化水素(F134aなど)等の液化ガス及び炭酸ガス、亜酸化窒素ガス、窒素ガス等の圧縮ガス等を採用することができる。噴射剤は、耐圧容器内における35℃での内圧が0.2〜0.8Mpの範囲になるように充填するのがよい。エアゾール被膜コート部剤全体を100重量%とした場合、溶剤を含む被膜コート部剤の成分原液30〜90重量%に対して70〜10重量%噴射剤を用いるのが良い。
下記の組成の成分液剤を作った。
下地部剤I
(下地成分液剤)
酢酸ビニル・クロトン酸共重合体(非中和物) 10.0重量%
シリコーン(低分子ジメチルシリコン) 0.2重量%
無水エタノール 89.8重量%
合計 100.0重量%
増毛部剤I
(増毛成分液剤)
酢酸ビニル・クロトン酸共重合体(非中和物) 18.6重量%
着色酸化鉄(黒) 3.0重量%
超微粒子無水シリカ 0.3重量%
酸化チタン 0.1重量%
無水エタノール 78.0重量%
合計 100.0重量%
被膜コート部剤I
(被膜コート成分液剤)
酢酸ビニル・クロトン酸共重合体(非中和物) 9.3重量%
シリコーン(低分子ジメチルシリコン) 0.2重量%
無水エタノール 90.5重量%
合計 100.0重量%
毛髪を太くしたいと所望するところの細くなった毛髪の生えている頭部の毛髪全体に、プラスチック容器に小分けした上記の下地部剤を、毛髪を浸すに十分な量を掛けて毛髪同士を摺り合わせて該下地部剤を毛髪の全体に塗着させ、下地部剤の塗着した毛髪の一本一本が分離し、下地部剤が固化し、櫛通りがよくなるまで櫛やブラシで解いたり、手で毛髪同士を摺り合わせるなどして毛髪を解きほぐし、毛髪の一本一本の表面に、毛髪の根元付近から毛先に向けて下地部剤で筒状に皮覆された被膜を形成して毛髪を太くする前の毛髪に毛髪の下地部剤を定着固定した。
前記の毛髪に毛髪の下地部剤を定着固定する工程により、毛髪の一本一本の表面に毛髪の下地部剤で筒状に被覆された耐水性被膜の形成された毛髪部の毛髪に、スプレーポンプ付ポリ容器に小分けした上記の増毛部剤を少しずつ噴射させながら、毛髪に掛けて毛髪同士を摺り合わせて増毛部剤を毛髪に塗着させ、増毛部剤の塗着した毛髪の一本一本が分離し、増毛部剤が固化し、櫛通りがよくなるまで櫛やブラシで毛髪を解きほぐして毛髪の一本一本の表面に下地部剤と増毛部剤で筒状に被覆された増毛被膜を形成して毛髪に下地部剤と共に増毛部剤を定着固定していき毛髪を太くしたいと所望するところの細くなった毛髪の生えている頭部の毛髪全体に行渡るように拡大処理した。
さらに増毛効果を上げるために前記増毛被膜の形成された毛髪部の毛髪に、続いて前述のスプレーポンプ付ポリ容器に小分けした増毛部剤を前述同様に少しずつ噴射させながら掛けて増毛部剤を毛髪に塗着させ、増毛部剤の塗着した毛髪の一本一本が分離し、増毛部剤が固化し、櫛通りがよくなるまで櫛やブラシで毛髪を解いたり、手で毛髪同士を摺り合わせるなどして、毛髪の一本一本の表面に増毛部剤で筒状に被覆された増毛被膜を形成して、所望の増毛量を得るまで前記増毛被膜形成作業を3回繰り返した。
前記の増毛被膜形成作業を繰り返す工程により、毛髪の一本一本の表面に下地部剤と共に増毛部剤で筒状に被覆された所望の増毛量となった毛髪の全体に、スプレーポンプ付ポリ容器に小分けした被膜コート部剤を少しずつ噴射させながら、増毛被膜形成後の毛髪に塗着させ、被膜コート部剤の塗着した毛髪の一本一本が分離し、被膜コート部剤が固化し、櫛通りが良くなるまで櫛やブラシで毛髪を解いたり、手で毛髪同士を摺り合わせるなどして、毛髪の一本一本の表面に最終的に被膜コート部剤で筒状に被覆された被膜コートを形成して毛髪に被膜コート部剤を定着固定した。
その後、ドライヤー等を用いながら十分に乾燥したところで、温湯、及び後述する表1のシャンプーで洗髪した後、希望の髪型にセットした。
実施例2
下記の組成の成分液剤を作った。
下地部剤II
(下地成分液剤)
カルボキシル化変性酢酸ビニルポリマー(非中和物) 7.0重量%
酢酸ビニル・クロトン酸共重合体(非中和物) 8.0重量%
シリコーン(低分子ジメチルシリコン) 0.2重量%
高級脂肪酸 0.3重量%
無水エタノール 84.5重量%
合計 100.0重量%
上記の下地成分液剤をポリ容器に小分けし、これを下地部剤とした。
増毛部剤II
(増毛成分液剤)
カルボキシル化変性酢酸ビニルポリマー(非中和物) 23.6重量%
着色酸化鉄(黒) 5.0重量%
超微粒子無水シリカ 0.5重量%
酸化チタン 0.1重量%
無水エタノール 70.8重量%
合計 100.0重量%
上記増毛成分液剤を33重量%、ジメチルエーテルを67重量%の割合になるように、耐圧容器に増毛成分液剤を分注後、バルブを装着、嵌合後、バルブを通してジメチルエーテルを圧力充填しエアゾール製品とした。これを増毛部剤エアゾールとした。
被膜コート部剤II
(被膜コート成分液剤)
カルボキシル化変性酢酸ビニルポリマー(非中和物) 11.0重量%
アクリル酸アルキルエステル・ジアセトンアクリル
アミド・メタクリル酸共重合体液(非中和物) 1.5重量%
シリコーン(低分子ジメチルシリコン) 0.5重量%
無水エタノール 87.0重量%
合計 100.0重量%
上記被膜コート部剤成分液剤が30重量%、噴射剤が70重量%の割合になるように、耐圧容器に被膜コート成分液剤を分注後、バルブを装着嵌合後、バルブを通してジメチルエーテルと液化石油ガスが90重量%/10重量%の比率の混合噴射剤を圧力充填しエアゾール製品とした。これを被膜コート部剤エアゾールとした。
実施例1と同様、実施例2の下地部剤を用い、毛髪を太くしたいと所望するところの細くなった毛髪の生えている頭部の毛髪全体に、ポリ容器に小分けした上記の下地部剤を、毛髪を浸すに十分な量を掛けて毛髪同士を摺り合わせて下地部剤を毛髪の全体に塗着させ、下地部剤の塗着した毛髪の一本一本が分離し、下地部剤が固化し、櫛通りがよくなるまで櫛やブラシで解いたり、手で毛髪同士を摺り合わせるなどして毛髪を解きほぐし、毛髪の一本一本の表面に、毛髪の根元付近から毛先に向けて下地部剤で筒状に皮覆された被膜を形成して毛髪を太くする前の毛髪に毛髪の下地部剤を定着固定した。
前記の毛髪に毛髪の下地部剤を定着固定する工程により、毛髪の一本一本の表面に毛髪の下地部剤で筒状に被覆された耐水性被膜の形成された毛髪部の毛髪に、上記の増毛部剤エアゾールを噴射させ毛髪に掛けながら、増毛部剤エアゾールを持たない方の手で、増毛部剤エアゾールの霧が手にかからないように注意しながら毛髪同士を左右前後に摺り合わせ、増毛部剤を太くしたいと所望する毛髪全体に塗着させた後、増毛部剤の塗着した毛髪の一本一本が分離し、増毛部剤が固化し、櫛通りがよくなるまで櫛やブラシで毛髪を解いたり、両手または片手で毛髪同士を摺り合わせるなどして、毛髪の一本一本の表面に下地部剤と増毛部剤で筒状に被覆された増毛被膜を形成した。
さらに増毛効果を上げるために前記増毛被膜の形成された毛髪部の毛髪に、続いて前述の増毛部剤エアゾールを噴射させながら、該毛髪に掛けて増毛部剤を毛髪に塗着させ、増毛部剤の塗着した毛髪の一本一本が分離し、増毛部剤が固化し、櫛通りがよくなるまで櫛やブラシで毛髪を解いたり、手で毛髪同士を摺り合わせるなどして、毛髪の一本一本の表面に増毛部剤で筒状に被覆された増毛被膜を形成して、所望の増毛量を得るまで前記増毛被膜形成作業を3回繰り返した。
前記の増毛被膜形成作業を繰り返す工程により、毛髪の一本一本の表面に下地部剤と共に増毛部剤で筒状に被覆された所望の増毛量となった毛髪の全体に、被膜コート部剤エアゾールを噴射させながら、増毛被膜形成後の毛髪に塗着させ、被膜コート部剤エアゾールを持たない方の手で、被膜コート部剤エアゾールの霧が手にかからないように注意しながら毛髪同士を左右前後に摺り合わせ、被膜コート部剤を太くしたいと所望する毛髪全体に塗着させた後、被膜コート部剤の塗着した毛髪の一本一本が分離し、被膜コート部剤が固化し、櫛通りがよくなるまで櫛やブラシで毛髪を解いたり、両手または片手で毛髪同士を摺り合わせるなどして、毛髪の一本一本の表面に最終的に被膜コート部剤で筒状に被覆された被膜コートを形成して毛髪に被膜コート部剤を定着固定した。
その後、ドライヤー等を用いながら十分に乾燥したところで、温湯、及び表1のシャンプーで洗髪した後、希望の髪型にセットした。
図9〜図16は本願発明の実施例の図面に代える記録写真であり、図9〜図16のそれぞれに掲げた写真1〜写真8は実施例2の様子を記録したものである。写真1は洗髪後、乾燥し、被験者の普段通りのセットをした後の実施前の頭髪の状態、写真2はポリ容器に小分けした下地部剤を、毛髪を浸すに十分な量を掛けている状態、写真3は手で毛髪同士を摺り合わせて下地部剤を毛髪の全体に塗着させたり、毛髪を解きほぐしている状態、写真4は下地部剤で筒状に皮覆された毛髪表面を、増毛部剤エアゾールを用いて増量させている状態、写真5は下地部剤と増毛部剤の施工処理後、被膜コート部剤を塗着し、その後毛髪の一本一本が分離し、被膜コート部剤が固化し、櫛通りがよくなるまで櫛で毛髪を解いている状態、写真6は下地部剤、増毛部剤、被膜コート部剤での施工処理後、シャンプーで洗髪している状態、写真7は洗髪・乾燥後の毛髪を被験者希望の髪型にセットしている状態、写真8は増毛し、完成した被験者の頭髪の状態である。被験者の頭髪が増毛したことは写真7と写真8とからはっきり見ることができる。写真1〜写真8の記録写真はビデオ記録からの抜粋画像であるため、画質は粗く、又比較箇所が完全一致していない欠点があるが、明らかに耐水・耐洗髪性のある増毛剤で、効果的な増毛処理が、簡単容易になされたことが分かる。
次に実施例3〜5については下記表1の組成の成分液剤を作り、比較例1〜5については下記表2の組成の成分液剤を作り、それぞれを実施例ごとの下地部剤、増毛部剤、被膜コート部剤とし実施した。尚、実施例3〜5、比較例1〜5の毛髪へ施工処理した方法は全て実施例2に準ずる方法で行った。
実施例1〜実施例5、比較例1〜比較例5について、それぞれの処理後3時間たってから、表1及び表2に示したように、起毛効果、増毛効果について湯洗1回後、湯洗3回後、シャンプー1回後、シャンプー3回後のそれぞれの効果を確認した。但し、表1、表2の記載、及び効果を確認するに当たり、次の条件を設定し実施した。
〔表1及び表2中の樹脂名称について〕
表1及び表2の処方中の成分の内、樹脂については文字数が大きく、表が大きくなるので、これを見やすくする目的で、次のように仮名称で表示した。
(1)非中和樹脂1:カルボキシル化変性酢酸ビニルポリマー非中和物(未中和物)。
(2)非中和樹脂2:酢酸ビニル・クロトン酸共重合体非中和物(未中和物)。
(3)非中和樹脂3:アクリル酸アルキルエステル・ジアセトンアクリルアミド・メタクリル酸共重合体液非中和物(未中和物)。
(4)中和済樹脂4:カルボキシル化変性酢酸ビニルポリマー中和物。
(5)中和済樹脂5:酢酸ビニル・クロトン酸共重合体中和物。
(6)中和済樹脂6:アクリル酸アルキルエステル・ジアセトンアクリルアミド・メタクリル酸共重合体液中和物。
尚、上記において、「非中和樹脂」とは、中和をして用いることが一般的な樹脂であっても、そうで無く中和をしないで用いる樹脂であっても、「樹脂又は樹脂溶液のみの状態でも非中和物」であり、且つ最終的に「樹脂が中和されていないままの状態で成分液中に使用されている場合」の両方の意味を指す。
又、「中和済樹脂」とは樹脂のみの段階で中和剤を用い中和した「中和済みの樹脂」のみを言うのではなく、樹脂を含んだ成分液を仕上げる工程中に、その樹脂の中和に必要な量の中和剤を加えて最終的に樹脂が中和された場合のような「成分液中で最終的に中和された状態で使用されている樹脂」の意味も有する。そのため表中に示した「中和済樹脂」の樹脂量は樹脂と中和剤の合計量である。
表1及び表2において塗布容器欄で、プラ容器と表示したものは成分液剤をそのままプラスチック製のボトルに小分けしたものであり、ポンプ容器と表示したものは成分液剤をそのままプラスチック製のスプレーポンプ付のボトルに小分けしたものであり、又エアゾールと表示したものはそれぞれの成分液剤をそれぞれ次のようにエアゾール化したものである。下地部剤については、下地部剤用の成分液剤の適量を、耐圧容器に分注後、バルブを装着、嵌合後、バルブを通して窒素ガスを0.7メガパスカルまで圧力充填しエアゾール製品とし、これを下地部剤エアゾールとした。増毛成分液剤については、増毛部剤用の成分液剤を33重量%、ジメチルエーテルを67重量%の割合になるように、耐圧容器に分注後、バルブを装着、嵌合後、バルブを通してジメチルエーテルを圧力充填しエアゾール製品とし、これを増毛部剤エアゾールとした。被膜コート部剤については、被膜コート部剤の成分液剤が30重量%、噴射剤が70重量%の割合になるように、耐圧容器に被膜コート成分液剤を分注後、バルブを装着嵌合後、バルブを通してジメチルエーテルと液化石油ガスが90重量%/10重量%の比率の混合噴射剤を圧力充填しエアゾール製品とした。これを被膜コート部剤エアゾールとした。
〔表1中の用語について〕
(1)温湯:水温35〜45度の温湯を用いて行う洗髪。
(2)シャンプー:下記の表1に記載の処方品を用いてシャンプーする。
(3)温湯洗髪・乾燥:湯洗を用い、毛髪を手櫛でかるく解きながら約3分間湯洗した後、タオルで軽く水分を拭き取りのち自然乾燥して仕上げる。
(4)シャンプー洗髪・乾燥:上記温湯を用い、手櫛でかるく解きながら約2分間毛髪を湯洗し、次に、シャンプーを用いて約3分間、毛髪を粗い櫛歯の洗髪ブラシを用い解きながら洗髪、その後かるく湯洗し、再びシャンプーを用いて約2分間毛髪を粗い櫛歯の洗髪ブラシを用いかるく解きながら洗髪する。その後、約3分間温湯で湯洗し、タオルで軽く水分を取り自然乾燥して仕上げる。
テストに使用するシャンプー処方は次の通りである。
(1)ラウリン酸アミドプロピルベタイン 30.00重量%
(2)POE(2)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム 2.00重量%
(3)N−ラウロイル−N−メチル−β−アラニンナトリウム液 6.00重量%
(4)ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド 2.50重量%
(5)PCA−ナトリウム 2.00重量%
(6)エデト酸二ナトリウム 0.05重量%
(7)精製水 33.05重量%
(8)乳酸(17.7%溶液) 微量
(9)キトサンピロリドンカルボン酸塩(1%溶液) 20.20重量%
(10)1,3ブチレングリコール 4.00重量%
(11)パラオキシ安息香酸メチル 0.20重量%
合 計 100.00重量%
(11)を(10)で加温溶解した後、(1)〜(7)を加え混合撹拌しつつ40度まで撹拌冷却し、のち(8)でPH5.8に調整し、(9)を加えてシャンプーとした。
〔効果及び判定〕
(1)起毛効果:
◎:明らかに毛髪が起立したと見られるもの、○:毛髪が起立したのが見られるもの。△:僅かながら毛髪が起立したと感じる程度のもの、×:全く起毛の感じがないもの。
(2)増毛効果
◎:明らかに毛髪が増量したと見られるもの、○:普通に毛髪が増量したと見られるもの。△:僅かながら毛髪が増量したと感じる程度のもの、×:全く増量の感じがないもの。
結果:実施例3は下地部剤だけを用いた場合の本願発明の起毛効果及び増毛効果を示す為の実施例であり、実施例4および実施例5は実施例1、実施例2とは異なる樹脂を用いた場合の実施例を示す。実施例1、実施例2、実施例4および実施例5の何れもが、一部有色の欠片が温湯中に浮遊しているのが見られたものの、増毛部剤等が温湯へ溶出することはなかった。また起毛効果及び/又は増毛効果も持続していた。又、実施例3では顕著に起毛効果が見られ、僅かながらそのままで増毛効果も表している。比較例1、比較例2、比較例3、比較例4および比較例5において、比較例1は耐水性のあるカルボキシル化変性酢酸ビニルポリマー(非中和物)を用い、先に下地部剤の必要性について述べた下地剤として使用するのに適切な濃度の樹脂量とした場合の下地剤を作り、該下地剤を用い、本願発明の下地部剤を用いずに、本願発明の増毛部剤と被膜コート部剤を用いて施工処理した場合の比較例を示す。比較例2は親水性である酢酸ビニル・クロトン酸共重合体(非中和物)を用い、先に下地部剤の必要性について述べた下地剤として使用するのに適切な濃度の樹脂量とした場合の下地剤を作り、該下地剤を用い、本願発明の下地部剤を用いずに、本願発明の増毛部剤と被膜コート部剤を用いて施工処理した場合の比較例を示す。比較例1の場合は湯洗だけでは僅かながら起毛効果をしめすが、シャンプー後は全く効果が消失し、増毛部剤による効果はあるもののシャンプーによって起毛効果がなくなると、増毛効果は普通の増毛効果を示すようになる。比較例2の場合は湯洗後から全く起毛効果が消失し、増毛部剤による効果はあるものの、増毛効果は普通の増毛効果をしか示さない。比較例3は全く下地剤も下地部剤も使用せずに本願発明の増毛部剤と被膜コート部剤だけで施工処理した比較例である。比較例3に示すように全く初めから増毛効果は普通の増毛効果を示すのみである。比較例4は下地部剤として用いることが十分な濃度の樹脂量を用いるものの、本願発明の耐水性樹脂を使用せずに、親水性の樹脂(カルボキシル化変性酢酸ビニルポリマーの中和物)を使用して下地部剤を作った場合の効果を検証する為に、この親水性の下地部剤を用いて後、本願発明の増毛部剤と被膜コート部剤を用いて施工処理した場合の比較例を示す。1回目の湯洗後は樹脂量が多いために僅かながら起毛効果があるように見えるが、2回目の湯洗から全く効果が消失し、増毛部剤による効果はあるものの、増毛効果は普通の増毛効果を示すのみである。比較例5は増毛部剤に本願発明の耐水性樹脂を用いずに、親水性の樹脂(アクリル酸アルキルエステル・ジアセトンアクリルアミド・メタクリル酸共重合体液の中和物)を用いて増毛部剤を作り、該増毛部剤を用いて、本願発明の下地部剤と被膜コート部剤を用いて施工処理した場合の比較例を示す。起毛効果はあるものの、湯洗後の増毛効果は普通で、シャンプー後は増毛効果も悪くなっている。即ち、本願発明の実施は表1、表2から明らかなように増毛効果の優れた増毛方法であることが分かる。
実施例6
下記の組成の成分液剤を作った。
増毛部剤II
(増毛成分液剤)
カルボキシル化変性酢酸ビニルポリマー(非中和物) 23.6重量%
着色酸化鉄(黒) 5.0重量%
超微粒子無水シリカ 0.5重量%
酸化チタン 0.1重量%
無水エタノ−ル 70.8重量%
合計 100.0重量%
上記増毛成分液剤を33重量%、ジメチルエーテルを67重量%の割合になるように、耐圧容器に増毛成分液剤を分注後、バルブを装着、嵌合後、バルブを通してジメチルエーテルを圧力充填しエアゾール製品とした。これを増毛部剤エアゾールとした。
スポーツ刈りをした頭の毛髪を全体に亘って太くしたいと所望する人の毛髪の一本一本の表面に上記の増毛部剤エアゾールを噴射させ毛髪に掛けながら、毛髪全体に塗着させた後、増毛部剤の塗着した毛髪の一本一本が分離し、増毛部剤が固化し、櫛通りがよくなるまで櫛やブラシで毛髪を解いて、毛髪の一本一本の表面に増毛部剤で鞘状に被覆された増毛被膜を形成した。
さらに増毛効果を上げるために前記増毛被膜の形成された毛髪に、続いて前述の増毛部剤エアゾールを噴射させながら、該毛髪に掛けて増毛部剤を毛髪に塗着させ、増毛部剤の塗着した毛髪の一本一本が分離し、増毛部剤が固化し、櫛通りがよくなるまで櫛やブラシで毛髪を解いて、毛髪の一本一本の表面に増毛部剤で鞘状に被覆された増毛被膜を形成して、所望の増毛量を得るまで前記増毛被膜形成作業を3回繰り返した。結果、明らかに太くなった毛髪が目立つ新スポーツ刈りの頭髪が出来上がった。
実施例7
下記の組成の成分液剤を作った。
増毛部剤II
(増毛成分液剤)
カルボキシル化変性酢酸ビニルポリマー(非中和物) 23.6重量%
着色酸化鉄(黒) 5.0重量%
超微粒子無水シリカ 0.5重量%
酸化チタン 0.1重量%
無水エタノール 70.8重量%
合計 100.0重量%
上記増毛成分液剤を33重量%、ジメチルエーテルを67重量%の割合になるように、耐圧容器に増毛成分液剤を分注後、バルブを装着、嵌合後、バルブを通してジメチルエーテルを圧力充填しエアゾール製品とした。これを増毛部剤エアゾールとした。
被膜コート部剤II
(被膜コート成分液剤)
カルボキシル化変性酢酸ビニルポリマー(非中和物) 11.0重量%
アクリル酸アルキルエステル・ジアセトンアクリル
アミド・メタクリル酸共重合体液(非中和物) 1.5重量%
シリコーン(低分子ジメチルシリコン) 0.5重量%
無水エタノール 87.0重量%
合計 100.0重量%
上記被膜コート部剤成分液剤が30重量%、噴射剤が70重量%の割合になるように、耐圧容器に被膜コート成分液剤を分注後、バルブを装着嵌合後、バルブを通してジメチルエーテルと液化石油ガスが90重量%/10重量%の比率の混合噴射剤を圧力充填しエアゾール製品とした。これを被膜コート部剤エアゾールとした。
生まれながらに頭髪全体の毛髪が通常よりも細い人で毛髪全体に、処理箇所を数分割に分け、つぎつぎと順番に、毛髪の一本一本の表面に上記の増毛部剤エアゾールを噴射させ毛髪に掛け、増毛部剤エアゾールを持たない方の手で、増毛部剤エアゾールの霧が手にかからないように注意し毛髪を左右前後に振り分けながら、増毛部剤を毛髪全体に塗着させた後、増毛部剤の塗着した毛髪の一本一本が分離し、増毛部剤が固化し、櫛通りがよくなるまで櫛やブラシで毛髪を解いて、毛髪の一本一本の表面に増毛部剤で鞘状に被覆された増毛被膜を形成した。念のために未処理箇所がないか確認した上で、さらに増毛効果を上げるために前記増毛被膜の形成された毛髪部の毛髪に、続いて前述の増毛部剤を前述のようにエアゾールを噴射させながら、該毛髪に掛けて増毛部剤を毛髪に塗着させ、増毛部剤の塗着した毛髪の一本一本が分離し、増毛部剤が固化し、櫛通りがよくなるまで櫛やブラシで毛髪を解いて、毛髪の一本一本の表面に増毛部剤で筒状に被覆された増毛被膜を形成して、所望の増毛量を得るまで前記増毛被膜形成作業を3回繰り返した。
前記の増毛被膜形成作業を繰り返す工程により、毛髪の一本一本の表面に増毛部剤で鞘状に被覆された所望の増毛量となった毛髪の全体に、被膜コート部剤エアゾールを噴射させながら、増毛被膜形成後の毛髪に塗着させ、被膜コート部剤エアゾールを持たない方の手で、被膜コート部剤エアゾールの霧が手にかからないように注意しながら毛髪を左右前後に振り分けながら被膜コート部剤を毛髪全体に塗着させた後、被膜コート部剤の塗着した毛髪の一本一本が分離し、被膜コート部剤が固化し、櫛通りがよくなるまで櫛やブラシで毛髪を解いて、毛髪の一本一本の表面に最終的に被膜コート部剤で鞘状に被覆された被膜コートを形成して毛髪に被膜コート部剤を定着固定した。
実施例8
増毛部剤、耐水性の被膜コート部剤を使用した後で、耐アルカリ性、耐油性および耐候性をさらに向上させるために光硬化性樹脂で最終被膜コートする例。
A剤(増毛部剤)
カーボンブラック10重量%を含むN―メタクリロイルオキシエチルN,N−ジメ
チルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキル
エステル共重合液 20.7重量%
シリコーン 1.2重量%
セスキオレイン酸ソルビタン 1.2重量%
タルク 34.8重量%
エチルアルコール 42.1重量%
合計 100.0重量%
B剤(耐水性の被膜コート部剤)
クロトン酸・酢酸ビニル・ネオデカン酸ビニル共重合体(非中和物)
10.0重量%
シリコーン 5.0重量%
エチルアルコール 85.0重量%
合計 100.0重量%
C剤(光重合型の被膜コート部剤)
2官能アクリレート 20.0重量%
フィラー、分散剤 80.0重量%
その他(開始剤、還元剤、安定剤) 微量
合計 100.0重量%
A剤(増毛部剤)を65重量%、液化石油ガス35重量%を耐圧容器に詰めてエアゾール製品としたものをA剤スプレー(増毛部剤エアゾール)とした。また、B剤(耐水性の被膜コート部剤)を55重量%、液化石油ガス50重量%とジメチルエーテルの50重量%からなる噴射剤を45重量%用い耐圧容器に詰めてエアゾール製品としたものをB剤スプレー(耐水性の被膜コート部剤エアゾール)とした。
上記A剤スプレーを細くなった毛髪に増毛効果が備わるまでの適量を毛髪に塗布した。その後毛髪を櫛で軽く解きほぐし、表面に接着性がなくなる程度に表面乾燥するまでしばらく櫛で解きほぐすようにしながら乾燥させて、増毛部剤で鞘状に被覆した。十分に乾燥ができたところで、毛髪を前方に解きあげB剤スプレーを毛髪に絡めるような形に万遍なく塗布し、その後毛髪を櫛で万遍なく解きほぐした。乾燥した時点で毛髪同士が絡み接着しないように、表面に接着性がなくなる程度に表面乾燥するまでしばらく櫛で解きほぐすようにしながら乾燥させた。十分に乾燥ができたところで、次に毛髪を後方に解きあげ再びB剤スプレーを毛髪に絡めるような形に万遍なく塗布した。この操作を、毛髪を左右に解きあげた状態でも同様に行い、その後表面に接着性がなくなる程度に表面乾燥するまでしばらく櫛で解きほぐすようにしながら乾燥させて、耐水性の被膜コート剤で鞘状に被覆した。その後、ドライヤーを用いて乾燥した。十分に乾燥したところで軽く湯で洗髪し、水性成分や処理中に出来た樹脂の欠片などは洗い流した後、頭髪をドライヤーを用いて乾燥した。
つづいて、毛髪を前方に解きあげた後、小さなボトル容器に入れたC剤を毛髪にごく少量ずつ滴下塗着させた後、毛髪上に注意深く塗着、展着させ、櫛やブラシを用いて毛髪に絡めるような形に万遍なく塗布し、その後毛髪を櫛で万遍なく解きほぐした。毛髪同士が絡み接着しないように、表面に接着性がなくなる程度に表面乾燥するまでしばらく櫛で解きほぐすようにしながら乾燥させた。再び櫛で毛髪を後ろ方向に解かしつつ毛髪の一本一本の表面に小さなボトル容器に入れたC剤を毛髪に少しずつ滴下し、塗着、展着後、櫛やブラシを用いて毛髪に絡めるような形に万遍なく塗布し、C剤が毛髪の一本一本の表面に行き渡るように展着させつつ乾燥させた。表面に毛髪同士の接着がなく表面がほとんど乾燥した状態になるまでしばらく櫛で解きほぐすようにしながら乾燥させた。この操作を、毛髪を左右に解きあげた状態でも同様に行って、光重合型の被膜コート部剤で鞘状に被覆した。その後、毛髪を櫛で解きほぐしながら410〜500nmの可視光線を約15秒間照射した後、5分間放置し、十分に乾燥したところで軽く洗髪し、水性成分は洗い流した後、ドライヤーをかけながら希望の髪型にセットした。
実施例9
下地部剤、耐水性の増毛部剤を使用した後で、耐アルカリ性、耐油性および耐候性をもった耐水性の被膜コート部剤として光硬化性樹脂を用いてコートする例。
D剤(下地部剤)
カルボキシル化変性酢酸ビニルポリマー(非中和物) 7.0重量%
酢酸ビニル・クロトン酸共重合体(非中和物) 8.0重量%
シリコーン(低分子ジメチルシリコン) 0.2重量%
高級脂肪酸 0.3重量%
無水エタノール 84.5重量%
合計 100.0重量%
上記の下地部剤をポリ容器に小分けし、これをD剤(下地部剤)とした。
E剤(増毛部剤)
カルボキシル化変性酢酸ビニルポリマー(非中和物) 23.6重量%
着色酸化鉄(黒) 5.0重量%
超微粒子無水シリカ 0.5重量%
酸化チタン 0.1重量%
無水エタノール 70.8重量%
合計 100.0重量%
上記E剤(増毛部剤)を33重量%、ジメチルエーテルを67重量%の割合になるように、耐圧容器に増毛部剤を分注後、バルブを装着、嵌合後、バルブを通してジメチルエーテルを圧力充填しエアゾール製品とした。これをE剤スプレー(増毛部剤エアゾール)とした。
F剤(光重合型の被膜コート部剤)
2官能アクリレート 25.0重量%
フィラー、分散剤 75.0重量%
その他(開始剤、還元剤、安定剤) 微量
合計 100.0重量%
毛髪を太くしたいと所望するところの毛髪の生えている頭部の毛髪全体に、プラスチック容器に小分けした上記のD剤を、毛髪を浸すに十分な量を掛けて小さなブラシを用いて該下地部剤を毛髪に塗着させ、D剤の塗着した毛髪の一本一本が分離し、D剤が固化し、櫛通りがよくなるまで櫛やブラシで解いたり、手で毛髪同士を摺り合わせるなどして毛髪を解きほぐした。毛髪の一本一本の表面に、毛髪の根元付近から毛先に向けてD剤で鞘状に被覆された皮膜を形成して毛髪を太くする前の毛髪に毛髪の下地部剤を定着固定した。以上の作業を、毛髪を太くしたいと所望するところの毛髪の生えている頭部の毛髪全体に十分いきわたるまで小さな範囲ごとに2回繰り返した。
次に、髪を前方に解きあげE剤スプレーを毛髪に絡めるような形に万遍なく塗布し、その後毛髪を櫛で万遍なく解きほぐした。表面に接着性がなくなる程度に表面乾燥するまでしばらく櫛で解きほぐすようにしながら乾燥させた。十分に乾燥ができたところで、次に毛髪を後方に解きあげ再びE剤スプレーを毛髪に絡めるような形に万遍なく塗布した。この操作を、毛髪を左右に解きあげた状態でも同様に行い、毛髪に増毛効果が備わるまで適量を毛髪に塗布した。その後毛髪を櫛で軽く解きほぐした。表面に接着性がなくなる程度に表面乾燥するまでしばらく櫛で解きほぐすようにしながら乾燥させて、増毛部剤で鞘状に被覆した。その後、ドライヤーを用いて乾燥した。十分に乾燥したところで軽く洗髪し、水性成分や処理中に出来た樹脂の欠片などは洗い流した後、毛髪をドライヤーを用いて乾燥した。
つづいて毛髪を前方に解きあげた後、小さなボトル容器に入れたF剤を毛髪の増毛部剤成分の塗膜上に少しずつ滴下塗着させた後、毛髪上に注意深く塗着、展着させ、櫛やブラシを用いて毛髪に絡めるような形に万遍なく塗布し、その後毛髪を櫛で万遍なく解きほぐし、毛髪同士が絡み接着しないように、しばらく櫛で解きほぐすようにしながら乾燥させた。再び櫛で毛髪を後ろ方向に解かしつつ毛髪の一本一本の表面(増毛部剤成分の塗膜上)に小さなボトル容器に入れたF剤を頭髪に少しずつ滴下塗着後、毛髪上に注意深く展着させ、櫛やブラシを用いて毛髪に絡めるような形に万遍なく塗布し、F剤が毛髪の一本一本の表面全体に行き渡るように展着させた後、表面の接着性がなくなる程度に表面乾燥するまでしばらく櫛で解きほぐすようにしながら乾燥させた。この操作を、毛髪を左右に解きあげた状態でも同様に行い毛髪の一本一本の表面全体に行き渡るように万遍なく塗布した。その後毛髪を櫛で軽く解きほぐし、表面に接着性がなくなる程度に、また表面に液溜まりのないようにしばらく櫛で解きほぐすようにして乾燥させて、光重合型の被膜コート部剤で鞘状に被覆した。その後、毛髪を櫛で解きほぐしながら410〜500nmの可視光線を約15秒間照射した後、5分間放置し、十分に乾燥したところで軽く洗髪し、水性成分は洗い流した後、ドライヤーをかけながら希望の髪型にセットした。
実施例10
J剤(増毛部剤)
カーボンブラック10重量%を含むN―メタクリロイルオキシエチルN,N−ジメ
チルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキル
エステル共重合液 20.7重量%
シリコーン 1.2重量%
セスキオレイン酸ソルビタン 1.2重量%
タルク 34.8重量%
エチルアルコール 42.1重量%
合計 100.0重量%
K剤(耐水性の被膜コート部剤)
クロトン酸・酢酸ビニル・ネオデカン酸ビニル共重合体(非中和物)
11.0重量%
シリコーン 5.0重量%
エチルアルコール 84.0重量%
合計 100.0重量%
L剤(耐油性、耐アルカリ性被膜コート部剤)
硝化綿 6.0重量%
シリコーン 0.3重量%
エステル系可塑剤(CTEA) 0.5重量%
アセトン 92.2重量%
合計 100.0重量%
J剤(増毛部剤)を65重量%、液化石油ガス35重量%を耐圧容器に詰めてエアゾール製品としたものをJ剤スプレー(増毛部剤エアゾール)とした。また、K剤(耐水性の被膜コート部剤)を55重量%、液化石油ガス50重量%とジメチルエーテルの50重量%からなる噴射剤を45重量%用い耐圧容器に詰めてエアゾール製品としたものをK剤スプレー(耐水性の被膜コート部剤エアゾール)とした。
上記J剤スプレーを細くなった毛髪に増毛効果が備わるまでの適量を毛髪に塗布した。その後毛髪を櫛で軽く解きほぐし、表面に接着性がなくなる程度に表面乾燥するまでしばらく櫛で解きほぐすようにしながら乾燥させて、増毛部剤で鞘状に被覆した。十分に乾燥ができたところで、毛髪を前方に解きあげK剤スプレーを毛髪に絡めるような形に万遍なく塗布し、その後毛髪を櫛で万遍なく解きほぐした。乾燥した時点で毛髪同士が絡み接着しないように、表面に接着性がなくなる程度に表面乾燥するまでしばらく櫛で解きほぐすようにしながら乾燥させた。十分に乾燥ができたところで、次に毛髪を後方に解きあげ再びK剤スプレーを毛髪に絡めるような形に万遍なく塗布した。この操作を、毛髪を左右に解きあげた状態でも同様に行い、その後表面に接着性がなくなる程度に表面乾燥するまでしばらく櫛で解きほぐすようにしながら乾燥させた後、ドライヤーを用いて乾燥した。十分に乾燥したところで軽く湯で洗髪し、水性成分や処理中に出来た樹脂の欠片などは洗い流した後、毛髪をドライヤーを用いて乾燥した。
つづいて、毛髪を前方に解きあげた後、小さなボトル容器に入れたL剤を毛髪にごく少量ずつ滴下塗着させた後、毛髪上に注意深く塗着、展着させ、櫛やブラシを用いて毛髪に絡めるような形に万遍なく塗布し、その後毛髪を櫛で万遍なく解きほぐし、毛髪同士が絡み接着しないように、表面に接着性がなくなる程度に表面乾燥するまでしばらく櫛で解きほぐすようにしながら乾燥させた。再び櫛で毛髪を後ろ方向に解かしつつ毛髪の一本一本の表面に小さなボトル容器に入れたL剤を毛髪に少しずつ滴下し、塗着、展着後、櫛やブラシを用いて毛髪に絡めるような形に万遍なく塗布し、L剤が毛髪の一本一本の表面に行き渡るように展着させつつ乾燥させた。表面に毛髪同士の接着がなく表面がほとんど乾燥した状態になるまでしばらく櫛で解きほぐすようにしながら乾燥させた。この操作を、毛髪を左右に解きあげた状態でも同様に行って、毛髪の一本一本の最外被膜を耐油性、耐アルカリ性被膜コート部剤で、鞘状に被覆した。表面に接着性がなくなる程度に表面に液溜まりのないようにしばらく櫛で解きほぐした。つづいて十分に換気をよくしたところで、ドライヤーを用いて十分に乾燥した。最後に軽く洗髪し、水性成分は洗い流した後、ドライヤーをかけながら希望の髪型にセットした。
Claims (1)
- 毛髪を太くしたいと所望するところの毛髪の一本一本の表面に、下記の毛髪の耐水性増毛部剤を塗着して定着固定させ、増毛被膜を形成するに際して、毛髪に対して筒状または鞘状に仕上げることを特徴とする毛髪の増毛方法。
耐水性増毛部剤はアクリル酸オクチルアミド・アクリル酸エステル共重合体の非中和物、アクリル酸アルキルエステル・ジアセトンアクリルアミド・メタクリル酸共重合体の非中和物、アクリル酸アルキルエステル・メタクリル酸アルキルエステル・ジアセトンアクリルアミド・メタクリル酸共重合体の非中和物、酢酸ビニル・クロトン酸共重合体の非中和物、クロトン酸・酢酸ビニル・ネオデカン酸ビニル共重合体の非中和物、アクリル酸オクチルアミド・アクリル酸ヒドロキシプロピル・メタクリル酸ブチルアミノエステル共重合体の非中和物、カルボキシル化変性酢酸ビニルポリマーの非中和物の何れかの単品または混合物や共重合物から選択される。
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