JP4664364B2 - 遅延調整装置 - Google Patents
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Description
図1は、APD方式歪補償を利用した送信盤のブロック図である。
(1)リファレンス信号とフィードバック信号の相関演算による1クロック単位の調整
(2)リファレンス信号とフィードバック信号の誤差演算による1/128クロック単位の調整
図2は、相関演算を行う回路を示す図である。
Ref = Ref_ich + j Ref_qch
FB = FB_ich + j FB_qch
とすると
相関値 = ΣRef×FB*
= Σ(Ref_ich + j Ref_qch)×(FB_ich - j FB_qch)
ここで、*は、複素共役をとることを示し、jは、虚数単位を示す。相関結果実部積分器と相関結果虚部積分器は、得られた相関値の実部と虚部の複数の計算結果をそれぞれ積算するものであり、上記式の和の記号の演算を行うものである。
図3は、クロック単位で、リファレンス信号にさまざまな遅延量を与えて相関値を演算した結果の例を示す。相関値は、さまざまな遅延量のところで、ピークを示すが、リファレンス信号とフィードバック信号の相対的遅延が最小となるところで、最大のピーク値を示す。したがって、相関値がもっとも大きなピークを示す遅延量を見つけることで、リファレンス信号とフィードバック信号のタイミングを一致させることができる。
FB信号 = Ref×Aexp(-jθ)とすると
相関値 = ΣRef×FB* = ΣRef× Ref*×Aexp(jθ)
= A・Σ|Ref|2exp(jθ)
exp(jθ) = cosθ+jsinθより
相関値(実部) = A・Σ|Ref|2cosθ
相関値(虚部) = A・Σ|Ref|2sinθ
この結果から、位相値
θ = tan-1(相関値(Qch)/相関値(Ich))
が求まる。
復調器21の位相調整を行った後、デジタルフィルタ(遅延フィルタ)を使用して、フィードバック信号の遅延を変化させる.遅延フィルタには,1/128クロック単位で遅延するタップ係数を用意しておく。タップ係数を変えることで、フィードバック信号の遅延が変わり,リファレンス信号とフィードバック信号の遅延最適値は誤差値が最も小さくなるフィルタ番号のタップ係数を選んだときとなる。
デジタルフィルタは、特には、FIRフィルタである。図4(a)に示されるように、デジタルフィルタは、複数の直列に接続されたディレイと、各ディレイの出力にタップ係数A0〜Anを乗算する各乗算器と、各乗算器の出力を加算し、結果を出力する加算器からなる。1/128クロック単位の遅延を生じさせるためには、ディレイは128個設けられ、各ディレイの遅延値は、128クロックである。
図5の誤差演算回路の演算内容は、以下の式で表される。
Ref = Ref_ich + j Ref_qch
FB = FB_ich + j FB_qch
とすると
誤差値は,
Σ {(Ref_ich + j Ref_qch) - (FB_ich - j FB_qch)}
となり誤差の実部と虚部が
誤差値(実部) = Σ(Ref_ich - FB_ich)
誤差値(虚部) = Σ( Ref_qch - FB_qch)
この誤差値の絶対値を求める。
しかし、従来の遅延量の調整方式は、以下のような欠点を有している。
図7は、横軸に、位相調整処理の実行回数を示し、縦軸に、位相値の変化を示している。グラフは、1/128クロック単位の遅延量の設定値が、0、128、64の3通りの場合について、それぞれ示している。ここに示すように、遅延フィルタのタップ係数が適切でないと、何回位相調整処理を繰り返しても、位相値が0に近づかないことがわかる。
(1)相関演算による1クロック単位の遅延調整
(2)相関演算による1/128クロック単位のフィルタタップ遅延調整
(3)誤差演算による1/128クロック単位のフィルタタップ遅延調整
なお、(1)の遅延調整は、1クロックを単位とするものに限定されない。また、(2)、(3)の遅延調整の単位も1/128クロック単位に限定されず、(1)の遅延調整単位より小さな単位であればよい。
(2)の相関演算は位相調整が必要ないため、フィルタのタップ遅延調整を大幅にずれることなく行うことができる。
横軸として、1/128クロック単位での遅延量を示し、縦軸に、相関値を示す。この図から明らかなように、相関値を用いることにより、1/128クロック単位で、大体の最適遅延量を求めることができる。
図10では、横軸に1/128クロック単位の遅延量、縦軸に誤差結果を示している。図8とは異なり、何回試行を繰り返しても、最適な遅延量はほぼ同じ値となっており、信頼性の高い遅延量の設定が、この方法により可能となることが示されている。遅延量を性格に設定することにより、歪補償係数の更新も正確にできることになる。
図11においては、図1と同じ構成要素には、同じ参照符号を付し、説明を省略する。
図11では、新たに制御部(CPU)26が追加されている。制御部26は、相関演算処理部18と誤差演算処理部19から処理結果である相関値と誤差結果を取得し、クロック単位遅延器16の遅延量、遅延フィルタ20の遅延量を決めるタップ係数、及び、復調器21の位相を調整する。復調器21の位相調整は、復調器21へ周期波を供給する数値制御発振器25の発振波の位相を調整することによって行う。
遅延調整を開始すると、ステップS10において、相関演算を開始する。この場合の相関演算は、クロック単位である。ステップS11において、クロック遅延量を可変する。ステップS12において、クロック遅延量を可変後の相関値を取得する。ステップS13において、指定回数のクロック遅延量可変と相関値取得を行ったか否かを判断する。指定回数に達していない場合には、ステップS11に戻って、指定回数分繰り返す。ステップS13において、指定回数に達したと判断された場合には、ステップS14において、相関値の最大値を計算し、ステップS15において、クロック遅延量を設定する。ステップS16において、相関演算を開始する。ここでの相関演算は、タップ単位、すなわち、上記例では、1/128クロック単位である。ステップS17において、フィルタ係数(タップ係数)を可変し、ステップS18において、相関値を取得する。ステップS19において、指定回数に達したか否かを判断し、達していない場合には、ステップS17に戻って、処理を繰り返す。ステップS19において、指定回数に達したと判断された場合には、ステップS20に進み、相関値の最大値を計算し、ステップS21において、タップ係数を設定する。
Claims (9)
- 第1の信号と第2の信号の誤差信号を演算し、該誤差信号の値から歪補償係数を更新する歪補償装置における、該第1の信号と該第2の信号の遅延量を調整する遅延調整装置であって、
該第1の信号と該第2の信号の相関値を演算する相関値演算手段と、
該第1の信号と該第2の信号の誤差信号を演算する誤差信号演算手段と、
該第1の信号と該第2の信号の相対遅延量を調整する第1の遅延手段と、
該第1の信号と該第2の信号の相対遅延量を、該第1の遅延手段より小さな単位で調整する第2の遅延手段と、
第1に、該第1の遅延手段を使って、相関値が最大となるように該相対遅延量を設定し、第2に、該第2の遅延手段を使って、相関値が最大となるように該相対遅延量を該第1の遅延手段より小さな単位で調整し、第3に、該第2の遅延手段を使って、該誤差信号が最小となるように該相対遅延量を該単位で再調整する制御手段と、
を備えることを特徴とする遅延調整装置。 - 前記第1の遅延手段は、前記第1の信号の遅延量のみを調整し、前記第2の遅延手段は、前記第2の信号の遅延量のみを調整することを特徴とする請求項1に記載の遅延調整装置。
- 前記第1の信号は、ベースバンド信号からなるリファレンス信号であることを特徴とする請求項2に記載の遅延調整装置。
- 前記第2の信号は、送信信号を復調した、フィードバック信号であることを特徴とする請求項2に記載の遅延調整装置。
- 前記第1の遅延手段は、クロック単位で遅延量を調整することを特徴とする請求項1に記載の遅延調整装置。
- 前記第2の遅延手段は、デジタルフィルタであることを特徴とする請求項1に記載の遅延調整装置。
- 前記第2の遅延手段は、1/128クロック単位で遅延量を調整することを特徴とする請求項1に記載の遅延調整装置。
- 前記制御手段は、第2の調整の後、第3の再調整の前に、前記第1の信号と前記第2の信号の相対位相を最適に設定することを特徴する請求項1に記載の遅延調整装置。
- 第1の信号と第2の信号の誤差信号を演算し、該誤差信号の値から歪補償係数を更新する歪補償装置における、該第1の信号と該第2の信号の遅延量を調整する遅延調整方法であって、
該第1の信号と該第2の信号の相対遅延量を調整する第1の遅延手段を設け、
該第1の信号と該第2の信号の相対遅延量を、該第1の遅延手段より小さな単位で調整する第2の遅延手段を設け、
該第1の信号と該第2の信号の相関値を演算し、
該第1の信号と該第2の信号の誤差信号を演算し、
第1に、該第1の遅延手段を使って、相関値が最大となるように該相対遅延量を設定し、第2に、該第2の遅延手段を使って、相関値が最大となるように該相対遅延量を該第1の遅延手段より小さな単位で調整し、第3に、該第2の遅延手段を使って、該誤差信号が最小となるように該相対遅延量を該単位で再調整する、
ことを特徴とする遅延調整方法。
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