JP4663559B2 - 澱粉せんべい及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、馬鈴薯澱粉を主原料とし、膨化安定性に優れ、製品形状・食感が良好で、かつ適度な硬度を有する澱粉せんべい及びその製造方法に関する。
澱粉せんべいは、馬鈴薯澱粉を主原料とし、副原料としてエビ・イカなどの海産物のすり身等を用い、砂糖、食塩などの調味料を添加して、加水、混練したものを、焼成又はフライングし、膨化させて製造されている。主な製造方法としては、原材料に水を加えておから状とするか、或いは、より加水を多くして乳液状とし、これを加熱した鉄板上で焼成して製品とするか、又は、鉄板上で糊化し、成形、乾燥して生地を調製し、これを焼成又はフライングする方法などで製造されている。
澱粉せんべいは、古くから知られている小麦粉せんべいや、うるち米せんべいと異なった特徴を有しており、クリスピーな食感・口どけの良さ・製品の見栄えの良さが親しまれている。これらの製品特性は主原料である馬鈴薯澱粉の持つ膨化性・フィルム性などの特性に由来するものである。しかし、馬鈴薯澱粉を主体とした澱粉せんべいは、膨化が不安定であるという欠点を有している。膨化が不安定であると製品の大きさにムラが多くなり、重量管理による製品の袋詰め包装や、製品を一定方向に整然と並べるトレイ包装がスムーズに行かなくなり、製造効率を低下させてしまう。また、膨化が不安定であるとフライング時の吸油量、調味オイル・調味粉の付着量など、製品の食味品質を決定するファクターにムラが生じ、製品価値を低下させてしまう。
馬鈴薯澱粉の不安定な膨化に由来する製品形状・製品品質のムラを改善する為に、米粉・小麦粉などの穀類・タピオカ澱粉・ワキシーコーンスターチ・甘藷澱粉・コーンスターチ・小麦澱粉などの澱粉及び/又はそれらの加工澱粉を併用する場合があるが、馬鈴薯澱粉の特性に由来するクリスピー感などの澱粉せんべいとして好ましい特性が弱くなる。すなわち、食感改良・原料コスト削減などの目的でタピオカ澱粉・ワキシーコーンスターチ・甘藷澱粉・コーンスターチ・小麦澱粉などの馬鈴薯澱粉以外の澱粉を併用する場合があるが、主原料として使われる馬鈴薯澱粉の特性を損なうため、配合量に制限があった。このように、馬鈴薯澱粉以外の澱粉が多く配合される場合は、馬鈴薯澱粉の特性が弱まり、製品形状・製品硬度・食感などの点で、馬鈴薯澱粉主原料の澱粉せんべいの特性は得られない。
従来、澱粉せんべいの製造において、澱粉せんべいの膨化性等を改善して、その食感や形状等の向上を図る方法が、いくつか開示されている。例えば、特開2000−217516号公報には、おから状の澱粉を主原料とする生地を圧縮して脱気した後、更に加熱板間で薄いシート状になるまで圧縮し、澱粉粒子間の距離をなくした生地を作製することにより、焼成時の水分や空気の急激な膨張による破裂を防止して、変形等を回避し、薄く、食感がライトな、ポテトチップ風の澱粉せんべいの製造方法について、開示されている。この方法は、1.5mm以下の薄い澱粉せんべいの製造に用いられる方法で、該特定な澱粉せんべいの製造に適用される。
また、特開2002−281904号公報には、澱粉の小粒子区分を使用した特定の澱粉粒子径を有する分級馬鈴薯澱粉を使用することで、膨化性に優れ、従って食感・口どけ・形状に優れた澱粉せんべいを製造する方法が開示されている。この手法によれば、澱粉せんべいに従来から使用されている馬鈴薯澱粉より優れた馬鈴薯澱粉を得ることができるが、分級馬鈴薯澱粉の製造には、空気分級機やハイドロサイクロンなどの特殊な機械が必要であり、簡便な手法であるとは言い難い。
更に、特表2002−538799号公報には、非穀物アミロペクチンデンプンを添加したスナックのような食品についての製造法が開示されている。この方法は、非穀物アミロペクチンデンプンを含有した組成物を用意し、該組成物の少なくとも一部を、ガラス転移温度よりも高い温度に加熱し、それをガラス転移温度以下に冷却することにより改良された膨張特性を有する膨張食品を得るものであるが、これによると、非穀物アミロペクチンデンプンを含有することにより膨化性、食感(ソフト感)の改良ができるとしているが、馬鈴薯澱粉の不安定な膨化・製品形状のムラについての改良効果は得られていない。
したがって、従来、馬鈴薯澱粉の持つ膨化性・フィルム性などの特性を生かし、クリスピーな食感・口どけの良さ・製品の見栄えの良さを保持し、しかも、膨化が安定で、製品の大きさにムラがない、簡便で、広い範囲のものに適用できる澱粉せんべいの製造方法は開示されていない。
特開2000−217516号公報 特開2002−281904号公報 特表2002−538799号公報
本発明の課題は、馬鈴薯澱粉を主原料とし、膨化安定性に優れ、製品形状・食感が良好で、かつ適度な硬度を有する澱粉せんべい、及び、その製造方法を提供することにある。すなわち、本発明の課題は、馬鈴薯澱粉を主体とする澱粉せんべいのクリスピー感を損なうことなく、該澱粉せんべいが持つ、製品形状のムラ、不安定な膨化を改良した澱粉せんべい、及び、その製造方法を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねる中で、馬鈴薯澱粉を主原料とし、該主原料に副原料及び水を加えて混練し、成形後、焼成又はフライングして製造する澱粉せんべいの製造方法において、主原料である馬鈴薯澱粉100重量部に対し、ワキシーポテト澱粉及び/又は加工ワキシーポテト澱粉を、2〜150重量部含有させることにより、膨化安定性に優れ、製品形状及び食感が良好で、かつ適度な硬度を有する澱粉せんべいを製造することができることを見出し、本発明を完成するに至った。本発明によって製造される澱粉せんべいは、馬鈴薯澱粉を主体とする澱粉せんべいのクリスピー感を損なうことなく、該澱粉せんべいが持つ、製品形状のムラ、不安定な膨化を改良した澱粉せんべいであり、本発明の製造方法により、該澱粉せんべいを簡便に製造することができる。
本発明において、特に、好ましい態様としては、主原料である馬鈴薯澱粉100重量部に対し、ワキシーポテト澱粉及び/又は加工ワキシーポテト澱粉を、10〜50重量部含有させる。また、本発明においては、ワキシーポテト澱粉を、ワキシーポテト澱粉のエーテル化澱粉、ワキシーポテト澱粉のエステル化澱粉、又は、ワキシーポテト澱粉の架橋澱粉のような加工ワキシーポテト澱粉の形で用いることができる。更に、本発明は、主原料である馬鈴薯澱粉100重量部に対し、ワキシーポテト澱粉及び/又は加工ワキシーポテト澱粉を、2〜150重量部配合し、含有させた、膨化安定性に優れ、製品形状及び食感が良好な澱粉せんべい製造用の原料ミックスとして調製する場合を包含する。
すなわち具体的には本発明は、(1)馬鈴薯澱粉を主原料とし、該主原料に副原料及び水を加えて混練し、成形後、焼成又はフライングして製造する澱粉せんべいの製造方法において、主原料である馬鈴薯澱粉100重量部に対し、ワキシーポテト澱粉及び/又はワキシーポテト澱粉のエーテル化澱粉、ワキシーポテト澱粉のエステル化澱粉、或いはワキシーポテト澱粉の架橋澱粉からなる加工ワキシーポテト澱粉を、2〜150重量部含有させることを特徴とする製品形状及び食感が良好な澱粉せんべいの製造方法や、(2)主原料である馬鈴薯澱粉100重量部に対し、ワキシーポテト澱粉及び/又は加工ワキシーポテト澱粉を、10〜50重量部含有させることを特徴とする前記(1)記載の製品形状及び食感が良好な澱粉せんべいの製造方法からなる。
また本発明は、(3)主原料である馬鈴薯澱粉100重量部に対し、ワキシーポテト澱粉及び/又はワキシーポテト澱粉のエーテル化澱粉、ワキシーポテト澱粉のエステル化澱粉、或いはワキシーポテト澱粉の架橋澱粉からなる加工ワキシーポテト澱粉を、2〜150重量部配合し、含有させることを特徴とする、製品形状及び食感が良好な澱粉せんべい製造用の原料ミックスからなる。
本発明の澱粉せんべいの製造方法により、馬鈴薯澱粉を主体とする澱粉せんべいのクリスピー感を損なうことなく、該澱粉せんべいが持つ、製品形状のムラ、不安定な膨化を改良した澱粉せんべいを製造することができ、膨化安定性に優れ、製品形状・食感が良好で、かつ適度な硬度を有する澱粉せんべいを、その原料の調合という簡便な手法により、製造することができる。
本発明は、馬鈴薯澱粉を主原料とし、該主原料に副原料及び水を加えて混練し、成形後、焼成又はフライングして製造する澱粉せんべいの製造方法において、主原料である馬鈴薯澱粉100重量部に対し、ワキシーポテト澱粉及び/又は加工ワキシーポテト澱粉を、2〜150重量部含有させることにより、膨化安定性に優れ、製品形状及び食感が良好な澱粉せんべいを製造することよりなる。本発明における澱粉せんべいは、馬鈴薯澱粉を主原料とし、副原料としてエビ・イカなどの海産物のすり身等を用い、砂糖、食塩などの調味料等を添加し、加水して、混合し、焼成又はフライングして、膨化させて製造されているものを称する。
澱粉せんべいの製造方法としては、(1)原料に加水、混合して水分40〜45重量パーセント程度の生地を調製し、熱した鉄板上で焼成する方法、(2)上記(1)で得た生地の水分が18重量パーセント前後になるまで一次焼成し、これを更に乾燥した後にフライングする方法、(3)原料に加水、混合して水分53重量パーセント程度の生地を調製し、焼成する方法、(4)上記(3)の方法で調製した生地を、水分が10重量パーセント程度になるまで焼成した後、フライングする方法、(5)原料に加水、混合して水分63重量パーセント程度の生地を調製し、水分が35重量パーセント程度なるまで一旦焼成した後、冷却、成形して水分10重量パーセント程度に乾燥し、再度焼成する方法、等の方法が採られているが、本発明はこれらの方法の何れにも適用できる。尚、味付けは所望の調味料を生地に添加して行うこともできるし、焼成後オイル掛け、シーズニング等によって行うこともできる。
本発明は、主原料である馬鈴薯澱粉を用いて製造される澱粉せんべいの特性を活かし、そのクリスピー感を損なうことなく、かつ澱粉せんべいが持つ、製品形状のムラ、不安定な膨化等の馬鈴薯澱粉の欠点をカバーすることにより、膨化安定性に優れ、製品形状・食感が良好で、かつ適度な硬度を有する澱粉せんべいを製造する手法である。そして、本発明の澱粉せんべいの製造方法は、その原料の調合という簡便な手法により実施することができるから、特別な機械や作業を必要とせず、従来の澱粉せんべいの製造に適用して実施することが可能な手法である。
本発明において、主原料として用いられるワキシーポテト澱粉とは、アミロースの形成が抑制されるように遺伝的に変更された馬鈴薯(以下ワキシーポテトと称する。)より分離された澱粉で、実質的にアミロースを含まず、アミロペクチンからなる澱粉を指称する。ワキシーポテト澱粉はその加工澱粉も含めて、近年、アベベ. ビー. エイ.(オランダ国)で商品化されている。本発明で用いるワキシーポテト澱粉は、ワキシーポテトから分離された澱粉であり、場合によっては漂白処理、乾燥等の熱処理等を行ったものも含む。また、本発明では、ワキシーポテト澱粉は加工ワキシーポテト澱粉として用いることができ、該加工ワキシーポテト澱粉としては、エステル化、エーテル化、架橋化等の化学的処理を施したものを用いることができる。更に、該加工ワキシーポテト澱粉には、アルファ化、湿熱処理、油脂加工処理、焙焼処理等の物理的処理を施したものも用いることができ、該澱粉の一種または二種以上を混合したもの、又はこれらの処理を組み合わせたものも用いることができる。
本発明で用いる加工ワキシーポテト澱粉として、エーテル化澱粉は、ワキシーポテト澱粉に、プロピレンオキサイド等を反応させて製造することができる。エーテル化ワキシーポテト澱粉のDS(Degree of Substitution:置換度)は、0.15以下のエーテル化澱粉が好ましく、また、DSが0.01〜0.06のエーテル化澱粉を用いるのが特に好ましい。DSが0.15を超えるエーテル化ワキシーポテトを使用した場合、製品形状は比較的安定だが、食感がソフトになりすぎて適度な硬度を有さない澱粉せんべいになり、本発明には適さない。なお、該澱粉は適宜、公知の方法を用いて製造することができる(特表2002−534566号公報)。また、置換度に関してはJohnsonの方法(Analytical Chemistry Vol.41, No.6, 859-860, 1969)に準じて測定することができる。
また、本発明で用いる加工ワキシーポテト澱粉として、エステル化澱粉は、アセチル化したワキシーポテト澱粉を使うことができる。この澱粉は、ワキシーポテト澱粉を無水酢酸又は酢酸ビニルモノマーを用いて常法に従ってアセチル化した澱粉で、そのDS(置換度、澱粉のグルコース単位当たりの置換されたアセチル基の数で表す)が、0.1以下のアセチル化澱粉が好ましく、また、DSが0.01〜0.05のアセチル化澱粉を用いるのが特に好ましい。DSが0.1を超えるアセチル化したワキシーポテト澱粉を使用した場合、製品形状は比較的安定だが、食感がソフトになりすぎて適度な硬度を有さない澱粉せんべいになり、本発明には適さない。また、置換度に関しては、澱粉・関連糖質実験法(株式会社学会出版センター、1986年、発行者山田猛)第291頁に記載の方法に準じて測定することができる。
また、本発明で用いる加工ワキシーポテト澱粉として、架橋澱粉は、ワキシーポテト澱粉を常法に従ってメタリン酸塩やオキシ塩化リンなど常用の架橋剤を用いて軽度に架橋して得られるものである。本発明において用いられる架橋したワキシーポテト澱粉としては、「絶乾物換算4.0重量%濃度のブラベンダーアミログラフを用いて700CMGの感度で40℃より毎分1.5℃ずつ昇温して94℃とし、更に94℃で10分間保持する条件で粘度を測定する方法」で測定した時に、[(昇温中の最高粘度)―(94℃で10分保持後の粘度)]≧0の関係になるようにしたものが好ましい。また、[(昇温中の最高粘度)―(94℃で10分保持後の粘度)]がマイナス値になるような高度に架橋したワキシーポテト澱粉を使用した場合、製品形状は比較的安定だが、製品の食感を硬化させ、適度な硬度を有さない澱粉せんべいになり、本発明には適さない。
また、本発明において、ワキシーポテト澱粉及び/又は加工ワキシーポテト澱粉は、主原料である馬鈴薯澱粉100重量部に対し、2〜150重量部含有するのが好ましい。また、ワキシーポテト澱粉及び/又は加工ワキシーポテト澱粉を10〜50重量部含有するのがより好ましい。2重量部以下では製品形状、口どけ感、製品硬度に与える効果が弱く、また、150重量部を超えると製品形状は比較的安定だが、食感がソフトになりすぎて適度な硬度を有さない澱粉せんべいになり、本発明には適さない。
本発明は、馬鈴薯澱粉を主原料として用いるものであるが、澱粉原料として馬鈴薯澱粉のみを原料とする澱粉せんべいに限定されるものではなく、馬鈴薯澱粉と小麦粉や馬鈴薯澱粉以外の澱粉等を併用する場合も包含される。本発明の澱粉せんべいの製造方法は、主原料である馬鈴薯澱粉100重量部に対し、ワキシーポテト澱粉及び/又は加工ワキシーポテト澱粉を、2〜150重量部含有させる点を除いて、従来行われている澱粉せんべいの製造方法と特に相違する点はなく、従来行われている澱粉せんべいの製造方法を採用することができる。また、本発明においては、主原料である馬鈴薯澱粉100重量部に対し、ワキシーポテト澱粉及び/又は加工ワキシーポテト澱粉を、2〜150重量部配合し、含有させることにより、膨化安定性に優れ、製品形状及び食感が良好な澱粉せんべい製造用の原料ミックスとして提供することができる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。なお、以下の実施例において、「部」は、重量部を示す。
馬鈴薯澱粉としてオランダ国アベベ. ビー. エイ社製および南十勝農協製のものを準備した。また、小粒子区分の馬鈴薯澱粉(分級小粒子馬鈴薯澱粉)として松谷化学工業社製のものを準備した。また、馬鈴薯澱粉以外に日本食品化工社製のワキシーコーンスターチ、オランダ国アベベ.ビー.エイ社製のワキシーポテト澱粉を準備した。試料区分については表1の通りである。
Figure 0004663559
水120部に硫酸ナトリウム20部を溶解させた溶液にワキシーポテト澱粉100部を分散し、攪拌下で4%水酸化ナトリウム溶液30部を添加し、プロピレンオキサイド0.6〜10部を添加して41℃で20時間反応させた後、硫酸で中和し、水洗、脱水、乾燥して試料の丸数字の6〜10のエーテル化ワキシーポテト澱粉を得た。その置換度を、実施例3の表2に示した。
25℃の水120部にワキシーポテト澱粉100部を分散したスラリーを用意し、攪拌下で3%水酸化ナトリウム溶液16.7部を添加し、酢酸ビニルモノマー0.7〜8部を加えて30分間反応させた後、硫酸で中和し、水洗、脱水、乾燥して試料の丸数字の11〜15のアセチル化ワキシーポテト澱粉を得た。その置換度を表2に示した。
Figure 0004663559
水120部に硫酸ナトリウム10部を溶解した溶液を2点用意し、それぞれにワキシーポテト澱粉を分散し、攪拌下でそれぞれに3%水酸化ナトリウム溶液16.7部を添加後、トリメタリン酸ソーダ0.008または、0.04部を添加し、40℃で6時間反応させた後、硫酸で中和し、水洗、脱水、乾燥して試料の丸数字の16、17の架橋澱粉を得た。絶乾物換算4.0重量%濃度のブラベンダーアミログラフを用いて700CMGの感度で40℃より毎分1.5℃ずつ昇温して94℃とし、更に94℃で10分間保持する条件で粘度を測定した時の、[(昇温中の最高粘度)―(94℃で10分保持後の粘度)]の値を表3に示した。
Figure 0004663559
水120部に硫酸ナトリウム10部を溶解した溶液にワキシーポテト澱粉100部を分散し、攪拌下で3%水酸化ナトリウム溶液16.7部を添加後、トリメタリン酸ソーダ0.008部、プロピレンオキサイド2部を添加し、40℃で20時間反応させた後、硫酸で中和し、水洗、脱水、乾燥して試料の丸数字の18のエーテル架橋化ワキシーポテト澱粉を得た。なお、絶乾物換算4.0重量%濃度のブラベンダーアミログラフを用いて700CMGの感度で40℃より毎分1.5℃ずつ昇温して94℃とし、更に94℃で10分間保持する条件で粘度を測定した時の、[(昇温中の最高粘度)―(94℃で10分保持後の粘度)]の値は370BUであった。
試験区NO.1〜NO.7の各試料200グラムに水100グラム、エビのミンチ20グラム、食塩4グラム、グルタミン酸ソーダ1グラムを加えてよく混合して生地を調製し、この生地を中部協立工業株式会社製の煎餅手焼き機にて180℃で1分20秒焼成し、澱粉せんべいを得た。試験区NO.1〜NO.7の内容について表4に示した。得られた澱粉せんべいの製品物性について評価し、その結果を表5に示した。馬鈴薯澱粉とワキシーポテト澱粉を混合して製造した澱粉せんべいは、他の試験区と比較して製品形状・食感が良好で、かつ適度な硬度を有していた。また、膨化性においては、試験区N0.4又は5で膨化性には優れるが、食感、製品形状において評価的には悪かった。
Figure 0004663559
Figure 0004663559
(評価基準)
(1)製品形状:製品の形状についての総評;
形状が良好なものを5点とし、形状の悪いものを1点として各試験区を評価し、数値を付した。
(2)食感:製品の食感の相対評価;
クリスピー感の強いものを5点とし、クリスピー感の弱いものを1点として各試験区を評価し、数値を付した。
(3)口どけ感:製品の口どけの官能評価;
口どけが良好なものを5点とし、口どけが悪いものを1点として各試験区を評価し、数値を付した。
(4)製品硬度
得られた澱粉せんべいを一定の大きさに成形し、レオメーターにて5mmΦのプランジャーを6cm/minの速度で貫通させ、破壊された時点での応力(g)を製品硬度とし、数値を付した。本発明文中の『適度な硬度』とは、この評価基準において800〜1200gの範囲に含まれるものを示す。
(5)膨化度
得られた澱粉せんべいの直径を測定し、これより算出した面積(cm)を膨化度とし、その数値を付した。
試験区NO.8〜NO.14を設定し、各試料200グラムに水100グラム、エビのミンチ20グラム、食塩4グラム、グルタミン酸ソーダ1グラムを加えてよく混合して生地を調製し、この生地を中部協立工業株式会社製の煎餅手焼き機にて180℃で1分20秒焼成し、澱粉せんべいを得た。試験区NO.8〜NO.14の内容について表6に示した。得られた澱粉せんべいの製品物性について評価し、その結果を表7に示した。馬鈴薯澱粉100部に対してワキシーポテト澱粉を2〜150部混合して製造した澱粉せんべいは、製品形状・食感が良好で、かつ適度な硬度を有したものであり、且つ、10〜50部混合して製造した澱粉せんべいについては、特に優れた製品特徴を有していた。また、ワキシーポテト澱粉の添加を増やすと膨化が良くなるが、入れすぎると製品形状がやや不安定になりクリスピー感が弱まる傾向にあった。
Figure 0004663559
Figure 0004663559
(評価基準)
実施例6の評価基準に従い評価した。
試験区NO.15〜NO.20を設定し、各試料200グラムに水100グラム、エビのミンチ20グラム、食塩4グラム、グルタミン酸ソーダ1グラムを加えてよく混合して生地を調製し、この生地を中部協立工業株式会社製の煎餅手焼き機にて180℃で1分20秒焼成し、澱粉せんべいを得た。試験区NO.15〜NO.20の内容について表8に示した。得られた澱粉せんべいの製品物性について評価し、その結果を表9に示した。馬鈴薯澱粉100部に対して、DSが0.01〜0.06の範囲にあるエーテル化ワキシーポテト澱粉を30部混合して製造した澱粉せんべいは、製品形状・食感が良好で、かつ適度な硬度を有したものであり、また、DS>0.06のエーテル化ワキシーポテト澱粉を混合した場合であっても製品形状を安定させる効果が大きかった。また、エーテル架橋化ワキシーポテト澱粉(試料まる数字18)を混合した場合も、製品形状・食感が良好で、かつ適度な硬度を有した澱粉せんべいを得ることができた。
Figure 0004663559
Figure 0004663559
(評価基準)
実施例6の評価基準に従い評価した。
試験区NO.21〜NO.25を設定し、各試料200グラムに水100グラム、エビのミンチ20グラム、食塩4グラム、グルタミン酸ソーダ1グラムを加えてよく混合して生地を調製し、この生地を中部協立工業株式会社製の煎餅手焼き機にて180℃で1分20秒焼成し、澱粉せんべいを得た。試験区NO.21〜NO.25の内容について表10に示した。得られた澱粉せんべいの製品物性について評価し、その結果を表11に示した。馬鈴薯澱粉100部に対して、DSが0.01〜0.05の範囲にあるアセチル化ワキシーポテト澱粉を30部混合して製造した澱粉せんべいは、製品形状・食感が良好で、かつ適度な硬度を有したものであり、また、DS>0.05のアセチル化ワキシーポテト澱粉を混合した場合であっても製品形状を安定させる効果が大きかった。
Figure 0004663559
Figure 0004663559
(評価基準)
実施例6の評価基準に従い評価した。
試験区NO.26、27を設定し、各試料200グラムに水100グラム、エビのミンチ20グラム、食塩4グラム、グルタミン酸ソーダ1グラムを加えてよく混合して生地を調製し、この生地を中部協立工業株式会社製の煎餅手焼き機にて180℃で1分20秒焼成し、澱粉せんべいを得た。試験区NO.26、27の内容について表12に示した。得られた澱粉せんべいの製品物性について評価し、その結果を表13に示した。馬鈴薯澱粉100部に対して、[実施例5]に示したような、軽く架橋したワキシーポテト澱粉を30部混合して製造した澱粉せんべいは、製品形状・食感が良好で、かつ適度な硬度を有したものであり、また、[実施例5]に示したような、高度に架橋したワキシーポテト澱粉を混合した場合であっても製品形状を安定させる効果が大きかったが、食感及び口どけ感は劣る傾向にある。
Figure 0004663559
Figure 0004663559
(評価基準)
実施例6の評価基準に従い評価した。
試験区NO.1及びNO.7の試料200グラムに水150グラム、エビのミンチ20グラム、食塩4グラム、グルタミン酸ソーダ1グラムを加えてよく混合して懸濁状の生地を調製し、この生地を金原鉄工株式会社製の手焼き機械にて185℃で4分焼成し、澱粉せんべいを得、得られた澱粉せんべいの製品物性について比較評価を行った。結果、馬鈴薯澱粉だけで製造された澱粉せんべいと比較して、馬鈴薯澱粉とワキシーポテト澱粉を混合して製造した澱粉せんべいは製品形状・食感が良好で、かつ適度な硬度を有していた。
試験区NO.1及び試験区NO.7の試料100部にエビのミンチ20部、食塩3部、グルタミン酸ソーダ1グラムに水を加えてよく混合し、水分43%の生地を調製した。この生地を三島産業株式会社製の回転煎餅焼き機にて115℃で40秒焼成して水分17%の一次焼成品を得た。これを乾燥させて水分11%とし、180℃で60秒フライングして澱粉せんべいを得、得られた澱粉せんべいの製品物性について比較評価を行った。結果、馬鈴薯澱粉だけで製造された澱粉せんべいと比較して、馬鈴薯澱粉とワキシーポテト澱粉を混合して製造した澱粉せんべいは乾燥時のペレットの変形及びフライング時の製品の変形が少なく、かつ食感が良好で、かつ適度な硬度を有していた。
試験区NO.1及び試験区NO.7の試料100部にエビのミンチ40グラム、食塩4グラム、その他調味料・着色料・香辛料、水などを加え、水分54%の生地を調製した。この生地を中部協立工業株式会社製の煎餅手焼き機にて170℃で2分20秒焼成して水分約10%の一次焼成品を得た。これを185℃で45秒フライングして澱粉せんべいを得、得られた澱粉せんべいの製品物性について比較評価を行った。結果、馬鈴薯澱粉だけで製造された澱粉せんべいと比較して、馬鈴薯澱粉とワキシーポテト澱粉を混合して製造した澱粉せんべいは一次焼成品の変形及びフライング時の製品の変形が少なく、かつ食感が良好で、かつ適度な硬度を有していた。

Claims (3)

  1. 馬鈴薯澱粉を主原料とし、該主原料に副原料及び水を加えて混練し、成形後、焼成又はフライングして製造する澱粉せんべいの製造方法において、主原料である馬鈴薯澱粉100重量部に対し、ワキシーポテト澱粉及び/又はワキシーポテト澱粉のエーテル化澱粉、ワキシーポテト澱粉のエステル化澱粉、或いはワキシーポテト澱粉の架橋澱粉からなる加工ワキシーポテト澱粉を、2〜150重量部含有させることを特徴とする製品形状及び食感が良好な澱粉せんべいの製造方法。
  2. 主原料である馬鈴薯澱粉100重量部に対し、ワキシーポテト澱粉及び/又は加工ワキシーポテト澱粉を、10〜50重量部含有させることを特徴とする請求項1記載の製品形状及び食感が良好な澱粉せんべいの製造方法。
  3. 主原料である馬鈴薯澱粉100重量部に対し、ワキシーポテト澱粉及び/又はワキシーポテト澱粉のエーテル化澱粉、ワキシーポテト澱粉のエステル化澱粉、或いはワキシーポテト澱粉の架橋澱粉からなる加工ワキシーポテト澱粉を、2〜150重量部配合し、含有させることを特徴とする、製品形状及び食感が良好な澱粉せんべい製造用の原料ミックス。
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