JP4663031B1 - チタン銅、伸銅品、電子部品及びコネクタ - Google Patents

チタン銅、伸銅品、電子部品及びコネクタ Download PDF

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Abstract

【課題】優れた強度及び曲げ加工性を有するチタン銅及びこれを用いた伸銅品、電子部品及びコネクタを提供する。
【解決手段】Tiを1.0〜5.0質量%含有し、残部銅及び不可避的不純物からなるチタン銅であって、電子顕微鏡による圧延面の電解研磨後の表面の組織観察において、平均結晶粒径が20μm以下、結晶粒内に存在する粒径1μmより大きい第二相粒子の平均個数密度(X)が15×103個/mm2以下、結晶粒内に存在する粒径100nm〜1μmの第二相粒子の平均個数密度(Y)が30×103個/mm2以下であり、EBSP測定により、チタン銅の圧延方向と平行な方向[100]の結晶方位の極密度を測定した場合に{111}から30°以内の範囲に強度2〜30のピークが存在することを特徴とするチタン銅である。
【選択図】図4

Description

本発明は、例えばコネクタ等の電子部品用部材に利用可能なチタン銅及びこれを用いた伸銅品、電子部品及びコネクタに関する。
近年では携帯端末などに代表される電子機器の小型化が益々進み、従ってそれに使用されるコネクタは狭ピッチ化及び低背化の傾向が著しい。小型のコネクタほどピン幅が狭く、小さく折り畳んだ加工形状となるため、使用する部材には、必要なバネ性を得るための高い強度と、過酷な曲げ加工に耐えることのできる、優れた曲げ加工性が求められる。この点、チタンを含有する銅合金(以下、「チタン銅」と称する。)は比較的強度が高く、応力緩和特性にあっては銅合金中最も優れているため、特に強度が要求される信号系端子用部材として古くから使用されてきた。
チタン銅は時効硬化型の銅合金である。溶体化処理によって溶質原子であるTiの過飽和固溶体を形成させ、その状態から低温で比較的長時間の熱処理を施すと、スピノーダル分解によって、母相中にTi濃度の周期的変動である変調構造が発達し、強度が向上する。この際、問題となるのは、強度と曲げ加工性が相反する特性を有する点である。すなわち、強度を向上させると曲げ加工性が損なわれ、逆に、曲げ加工性を重視すると所望の強度が得られないということである。一般に、冷間圧延の圧下率を高くするほど、導入される転位量が多くなって転位密度が高くなるため、析出に寄与する核生成サイトが増え、時効処理後の強度を高くすることができるが、圧下率を高くしすぎると曲げ加工性が悪化する。このため、強度及び曲げ加工性の両立を図ることが課題とされてきた。
そこで、Fe、Co、Ni、Siなどの第三元素を添加する(特許文献1)、母相中に固溶する不純物元素群の濃度を規制し、これらを第二相粒子(Cu−Ti−X系粒子)として所定の分布形態で析出させて変調構造の規則性を高くする(特許文献2)、結晶粒を微細化させるのに有効な微量添加元素と第二相粒子の密度を規定する(特許文献3)、結晶粒を微細化する(特許文献4)などの観点から、チタン銅の強度と曲げ加工性の両立を図ろうとする技術が提案されている。
チタン銅の場合、母相であるα相に対して整合性の悪いβ相(TiCu3)と、整合性の良いβ’相(TiCu4)が存在し、β相は曲げ加工性に悪影響を与える一方で、β’相を均一かつ微細に分散させることが強度と曲げ加工性の両立に寄与するとして、β相を抑制しつつβ’相を微細分散させたチタン銅も提案されている(特許文献5)。
結晶方位に着目し、I{420}/I0{420}>1.0及びI{220}/I0{220}≦3.0を満たすように結晶配向を制御することで、強度、曲げ加工性及び耐応力緩和性を改善した技術も提案されている(特許文献6)。
結晶方位と最大結晶粒径、最小結晶粒径の差に着目し、I{420}/I0{420}>1.0及びI{220}/I0{220}≦4.0を満たすように結晶配向を制御し、(最大結晶粒径−最小結晶粒径)/平均結晶粒径が0.20以下を満たすように結晶粒径の大きさを制御することで、強度、曲げ加工性及び耐応力緩和性を改善した技術も提案されている(特許文献7)。
特開2004−231985号公報 特開2004−176163号公報 特開2005−97638号公報 特開2006−265611号公報 特開2006−283142号公報 特開2008−308734号公報 特開2010−126777号公報
このように、これまでチタン銅の強度及び曲げ加工性の改善のために各種の手法が研究されてきているが、未だその改善の余地は残されている。
そこで、本発明はこれまでとは別異の観点からチタン銅の特性改善を試み、優れた強度及び曲げ加工性を有するチタン銅及びこれを用いた伸銅品、電子部品及びコネクタを提供することを課題とする。
本発明者は、強度及び曲げ加工性の両立を図るための検討過程において、チタン銅の製造工程を、従来一般的に行われる手法とは異なる方法で実施することを考えた。即ち、従来は、最終溶体化処理→冷間圧延→時効処理の順序によりチタン銅を製造していたものを、本発明においては、最終溶体化処理→時効処理→冷間圧延の順序でチタン銅を製造し、この場合の最終溶体化処理を適正な条件とすることにより、強度及び曲げ加工性の双方に優れたチタン銅が得られることを見出した。
本発明者はその原因を調査するために、本発明の実施の形態に係るチタン銅の組織を調査したところ、結晶粒径、結晶粒界内に存在する第二相粒子の個数密度及び結晶粒の方位の関係に特徴点を見出した。つまり、本発明の実施の形態に係るチタン銅は、結晶粒径が小さく、結晶粒界内には第二相粒子が殆ど存在せず、結晶粒が一定の方向を向いている割合が高いことが分かった。
上記知見を基礎として完成した本発明は一側面において、Tiを1.0〜5.0質量%含有し、残部銅及び不可避的不純物からなるチタン銅であって、電子顕微鏡による圧延面の電解研磨後の表面の組織観察において、平均結晶粒径が20μm以下、結晶粒内に存在する粒径1.0μmより大きい第二相粒子の平均個数密度(X)が15×103個/mm2以下、結晶粒内に存在する粒径100nm〜1.0μmの第二相粒子の平均個数密度(Y)が35×103個/mm2以下であり、EBSP測定によりチタン銅の圧延方向と平行な方向[100]から結晶方位の極密度を測定した場合に{111}から30°以内の範囲に強度2〜30のピークが存在するチタン銅である。
本発明に係るチタン銅の一実施形態では、圧延面の電解研磨後の表面の組織観察において、せん断帯が5本以上存在する結晶粒の割合が15〜90%であるチタン銅である。
本発明に係るチタン銅の一実施態様では、伸びが3.0%以上、引張強さが950MPa以上である。
本発明に係るチタン銅の別の一実施形態では、曲げ表面の平均粗さRaが1.0μm以下である。
本発明に係る銅合金の更に別の一実施形態では、第3元素群としてMn、Fe、Mg、Co、Ni、Cr、V、Nb、Mo、Zr、Si、B、Ag、Be、ミッシュメタル及びPよりなる群から選択される1種又は2種以上を合計で0〜1.0質量%含有する。
本発明は別の一側面において、上記チタン銅からなる伸銅品である。
本発明は更に別の一側面において、上記チタン銅を備えた電子部品である。
本発明は更に別の一側面において、上記チタン銅を備えたコネクタである。
本発明によれば、優れた強度及び曲げ加工性を有するチタン銅及びこれを用いた伸銅品、電子部品及びコネクタが得られる。
本発明の実施の形態に係るチタン銅を電子顕微鏡で観察した写真である。 本発明の実施の形態に係るチタン銅のEBSP測定における方位と圧延方向との関係を表す斜視図である。 本発明の実施の形態に係るチタン銅をEBSP測定する場合の電子線の入射角度と試験片との方向関係を示す概略図である。 本発明の実施の形態に係るチタン銅をEBSP測定した場合の方位マップ像(IPFマップ)の例である。
−チタン銅の組成−
<Ti含有量>
Tiが1.0質量%未満ではチタン銅本来の変調構造の形成による強化機構を充分に得ることができないことから十分な強度が得られず、逆に5.0質量%を超えると粗大なTiCu3が析出し易くなり、強度及び曲げ加工性が劣化する傾向にある。従って、本発明の実施の形態に係る銅合金中のTiの含有量は、1.0〜5.0質量%であり、好ましくは1.5〜4.5質量%、更に好ましくは2.0〜4.0質量%である。このようにTiの含有量を適正化することで、電子部品用に適した強度及び曲げ加工性を共に実現することができる。
<第3元素>
第3元素をチタン銅に添加すると、Tiが十分に固溶する高い温度で溶体化処理をしても結晶粒が容易に微細化し、強度を向上させる効果がある。また、所定の第3元素は変調構造の形成を促進する。更に、TiCu3等の析出を抑制する効果もあるため、チタン銅本来の時効硬化能が得られるようになる。
第3元素としては、Mn、Fe、Mg、Co、Ni、Cr、V、Nb、Mo、Zr、Si、B、Ag、Be、ミッシュメタル及びPを単独で添加するか、又は2種以上を複合添加してもよい。ここでミッシュメタルとは、Ce、La、Dy、Nd、Yなどを含む希土類元素の混合物である。
これらの元素は、合計で0.05質量%以上含有するとその効果が現れだすが、合計で1.0質量%を超えるとTiの固溶限を狭くして粗大な第二相粒子を析出し易くなり、強度は若干向上するが曲げ加工性が劣化する。同時に、粗大な第二相粒子は、曲げ部の肌荒れを助長し、プレス加工での金型磨耗を促進させる。従って、第3元素群としてMn、Fe、Mg、Co、Ni、Cr、V、Nb、Mo、Zr、Si、B、Ag、Be、ミッシュメタル及びPよりなる群から選択される1種又は2種以上を合計で0〜1.0質量%含有することができ、合計で0.05〜1.0質量%、好ましくは0.05〜0.5質量%含有するのが好ましい。
<結晶粒径>
本発明の実施の形態に係るチタン銅の一例を図1に示す。チタン銅の強度を向上させるためには結晶粒が小さいほど好ましい。そこで、好ましい平均結晶粒径は20μm以下、より好ましくは15μm以下であり、例えば5〜15μmである。下限について特に制限はないが、未再結晶領域が無く均一に再結晶させるためには、1.0μm以上が好ましい。本実施形態において「平均結晶粒径」は、光学顕微鏡又は電子顕微鏡による観察で圧延面の電解研磨後の表面の組織観察に対してJIS G0551の直線交差線分法により測定する。
<第二相粒子>
本発明において「第二相粒子」とは母相の成分組成とは異なる組成の粒子を指す(例えば図1の粒子11参照)。第二相粒子は種々の熱処理途中に析出するCuとTiを主成分とした粒子であり、具体的にはTiCu3粒子又は第3元素群の構成要素X(具体的にはMn、Fe、Mg、Co、Ni、Cr、V、Nb、Mo、Zr、Si、B、Ag、Be、ミッシュメタル及びPの何れか)を含むCu−Ti−X系粒子として現れる。またCu−X系粒子、Ti−X系粒子もこの「第二相粒子」に含む。
本発明では、第二相粒子を粒径100nm以上1.0μm以下のものと、粒径1.0μmを超えるものの二種類に分け、それらの平均個数密度(Y)、(X)を規定している。粒径100nm以上1.0μm以下の第二相粒子は主に時効処理時に析出したものであり、粒径1.0μmを超える第二相粒子は主に時効処理を行う前に析出して残留していたものが時効処理時に更に成長したものであると考えられる。なお、前者の粒径を100nm以上としたのは、あまりにも微細な第二相粒子はカウントするのが困難だからである。
従って、粒径100nm以上1.0μm以下の第二相粒子の平均個数密度(Y)は、時効処理における条件を反映し、粒径1.0μmを超える第二相粒子の平均個数密度(X)は時効処理における条件に加えて溶体化処理終了時までの熱処理条件も反映する。
粒径粒径100nm以上1.0μm以下の第二相粒子の平均個数密度(Y)は、時効処理の度合を小さく(例:低温短時間)行うと小さくなり、時効処理の度合を大きく(例:高温長時間)で行うと大きくなる。平均個数密度(Y)が小さ過ぎると時効処理の度合が不十分であること(亜時効)を示し、必要な強度が得られない。一方、平均個数密度(Y)が大きすぎても今度は時効処理の度合が過剰であったこと(過時効)を示し、ピーク強度が得られる時効処理条件を超えて強度が低下するとともに曲げ加工性が悪化する。
本実施形態に係るチタン銅では、圧延面の電解研磨後の表面の検鏡によって観察される粒径100nm以上1.0μm以下の第二相粒子の平均個数密度(Y)が35×103個/mm2以下であることが、強度及び曲げ加工性の良好なバランスを得る上で適切であり、より好ましくは3.5×103〜22.5×103個/mm2、更に好ましくは4.5×103〜15×103個/mm2である。この個数密度は、従来のチタン銅で言えば過時効条件のときに得られる個数密度に相当する。
一方、粒径1.0μmを超える第二相粒子の平均個数密度(X)は、平均個数密度(Y)と同様に時効処理の影響も受けるが、時効処理前の熱処理条件、とりわけ最終の溶体化処理条件に影響を受ける。最終の溶体化処理を適切に行うことにより、それ以前の工程で析出した第二相粒子を固溶させることができるが、溶体化処理の条件が不適切であれば第二相粒子が残留したり、新たに析出したりする。粒径1.0μmを超える第二相粒子は粒径1.0μm以下のものに比べて強度及び曲げ加工性に与える悪影響が大きいので、極力少ないことが望ましい。
従って、本発明に係るチタン銅の好ましい一実施形態においては、表面の検鏡によって観察される粒径1.0μmを超える第二相粒子の平均個数密度(X)が15×103個/mm2以下であり、より好ましくは12×103個/mm2以下であり、例えば1.5×103〜12×103個/mm2とすることができる。
本発明においては、第二相粒子の粒径を顕微鏡によって観察したときに、第二相粒子を取り囲む最小円の直径として定義する。
<結晶方位>
本発明で規定した成分の範囲のチタン銅の結晶構造は面心立方構造であるため、原子が最も密になる面は{111}面であり、この面は「すべり面」と呼ばれる。冷間圧延をはじめとする塑性加工により転位がすべり面上を移動し、結晶粒界に転位が徐々に蓄積されていき、加工硬化が生じる。しかしながら結晶粒の配向性が高い場合には、隣り合う結晶粒同士のすべり面がほぼ同じ方向を向いているため、転位が結晶粒界を介して隣の結晶粒のすべり面へ移動し、結晶粒界への転位の蓄積が減少する。その結果、曲げ加工性に優れた銅合金材料が得られる。本発明者は本実施形態に係る銅合金の結晶方位を調査したところ、{111}面近傍の極密度が従来のチタン銅に比べて向上していることが分かった。即ち本発明では、図4の三角形の3つの頂点のうち、極密度のピークが{111}面に最も近いもの(つまり、{111}から30°の範囲に結晶方位の極密度のピークが存在すること)がチタン銅の曲げ性向上に寄与していることが分かった。
結晶材料の結晶方位分布の測定方法としては、EBSP法(Electro Back Scattering Pattern)がある。SEM内にセットした試料に電子線を照射した時に発生するEBSPをコンピューターに取り込み、既知の結晶系のデータを用いて、連続的に自動解析することで数万〜数十万点以上の測定ポイントに関する位置データと結晶方位データ(3次元オイラー角表示)が得られる。さらに、前述の結晶方位データからコンピューターによりODF(Orient Distribution Function:結晶方位分布関数)を計算することで、正極点図および逆極点図の等高線表示が可能となる(図4参照)。正極点図および逆極点図では結晶方位に統計的な偏りがない状態、いわゆるランダムな状態の極密度を1として、集合組織を等高線で表示する事が多い。本発明に係る逆極点図においても結晶方位がランダムな状態を1として結晶方位の偏りを等高線で表示している。
結晶方位の極密度のピーク強度の高さと集合度の高さは、冷間圧延等の冷間加工により結晶粒に加わったひずみの量と最終溶体化処理の温度により決まる。ひずみの量が多くなるほど結晶粒は結晶回転を起こし、圧延面表面から観察したときに一定の方向を向いた結晶粒が増えてくる。回転する方向は結晶が回転しやすい方向である。Cu−Ti合金は本発明で規定した成分の範囲では面心立方構造を有するため、{111}の面方位に向かって回転する。
ひずみの量が増えると結晶方位の極密度のピークは高くなるが、結晶粒に多くのひずみがたまっているため、曲げ性が低下する。逆に、ひずみの量が少ないと結晶粒の回転が進まず、結晶方位がバラバラなため曲げ性に劣る。その上、加工硬化の度合いが小さく、強度が不足する場合がある。
なお、従来の手順(溶体化処理→圧延→時効処理)によりチタン銅を製造する場合は、時効の熱処理により結晶粒内のひずみが解放され、結晶粒がランダムな方向を向いているために、特定の方向にピークは示さない。
本実施形態に係るチタン銅においては、EBSP測定により、チタン銅の圧延方向と平行な方向[100]から逆極点図を撮影した場合に得られる結晶方位の極密度のピークが、{111}から0°〜30°の範囲、好ましくは0°〜25°の範囲に存在することが好ましい。結晶方位の極密度のピークと{111}との角度の測定は、結晶方位の極密度のピークを標準ステレオ三角形上に表示し、ウルフ(Wulff)ネットを用いて測定することができる。
また、ピーク強度の高さは、2〜30の範囲、好ましくは2〜20の範囲に存在することが好ましい。なお、2以下では、ピークであるかの判別が難しく、30以上の場合には、冷間加工により結晶粒に多くの歪みがたまりすぎるため、曲げ性が低下する。本実施形態において、試料座標系を、図2に示すように、チタン銅1の圧延方向に平行な方向を[100](RD方向)、[100]と垂直且つチタン銅1の厚さ方向と平行な方向を[001](ND方向)、チタン銅1の幅方向と平行な[010](TD方向)と定義する(結晶座標系は、ブラベー格子のa1,a2,a3軸方向を、それぞれ[100]、[010]、[001]として定義する)。
結晶方位の極密度のピークを制御する方法としては、圧延加工度を変更すること、冷間圧延時の圧延油の粘度を変更すること、圧延荷重を変更すること等によって行うことができる。具体的には、圧延加工度、圧延油の粘度、圧延荷重を制御高くするなどして、金属材料に歪みが入りやすい状態とすることにより、極密度を高めることができる。
本実施形態においては、チタン銅の圧延面を電解研磨により組織現出させ、走査型電子顕微鏡(SEM)に付属の後方散乱電子回折像(EBSP)を用いて逆極点図を作成する。その中の方位で極密度の一番高い方位の1点をそのサンプルの結晶方位の極密度のピークとする。
<せん断帯>
本実施形態に係るチタン銅は、結晶粒内に、筋状の凹凸を持ったせん断帯が形成されている。本実施形態において「せん断帯」とは、金属材料を圧延加工した場合、結晶表面を電解研磨したときに生じる筋状又は線状の深さ0.05〜1.0μmの段差を意味する(図1のせん断帯12参照)。なお、この段差は電解研磨をした際に観察される。このせん断帯は結晶粒界を跨ぐことはなく、結晶粒の内部に存在している。せん断帯の本数は結晶粒に加わったひずみの量により決まる。ひずみの量が多くなるほどせん断帯の本数は増え、せん断帯が存在する結晶粒の割合も増える。そのためせん断帯が多いと結晶粒に多くのひずみがたまっているため、曲げ性が低下する。逆に、せん断帯が少なすぎると、加工硬化の度合いが小さく、強度が不足する場合がある。なお、従来の手順(溶体化処理→圧延→時効処理)によりチタン銅を製造する場合は、時効の熱処理により結晶粒内のひずみが解放され、せん断帯が消滅するため、電解研磨を実施しても結晶粒内にはせん断帯が表れない。
本実施形態に係るチタン銅においては、結晶粒内にせん断帯が5本以上存在する割合が15〜90%となるように制御すること好ましく、より好ましくは30〜90%、更に好ましくは45〜90%である。
せん断帯の発達を制御する方法としては、結晶方位の極密度のピークを制御する方法と同様に、圧延加工度を変更すること、冷間圧延時の圧延油の粘度を変更すること、圧延荷重を変更すること等によって行うことができる。具体的には、圧延加工度、圧延油の粘度、圧延荷重を高くするなどして、金属材料に歪みが入りやすい状態とすることにより、せん断帯の発生頻度を上げることができる。
本実施形態においては、せん断帯の有無を、チタン銅の表面に対して電解研磨により組織を現出させ、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、結晶粒の表面(圧延面)から深さが0.01μm以上のものをカウントする。深さの下限を0.01μm以上としたのは、あまりにも微細なせん断帯はカウントするのが困難だからである。
−チタン銅の特性−
本実施形態に係る銅合金は一実施形態において以下の特性を兼備することができる。
(A)圧延平行方向の0.2%耐力が950MPa以上
(B)BadwayのW曲げ試験を行う際の曲げ表面の平均粗さRaが1.0μm以下、好ましくは0.8μm以下、
(C)圧延平行方向の伸びが3%以上
(D)導電率が10%IACS以上16%IACS以下
本実施形態に係る銅合金は別の一実施形態において以下の特性を兼備することができる。
(A)圧延平行方向の0.2%耐力が940MPa以上1000MPa以下
(B)BadwayのW曲げ試験を行う際の曲げ表面の表面粗さRaが0.5μm以上0.7μm以下、
(C)圧延平行方向の伸びが6%以上12%以下
(D)導電率が10%IACS以上16%IACS以下
本実施形態に係る銅合金は別の一実施形態において以下の特性を兼備することができる。
(A)圧延平行方向の0.2%耐力が1000MPa以上1100MPa以下
(B)BadwayのW曲げ試験を行う際の曲げ表面の平均粗さRaが0.5μm以上0.9μm以下、
(C)圧延平行方向の伸びが6%以上10.0%以下
(D)導電率が10%IACS以上16%IACS以下
−用途−
本実施形態に係るチタン銅は種々の伸銅品、例えば板、条、箔、管、棒及び線として提供されることができる。本発明に係るチタン銅は、限定的ではないが、スイッチ、コネクタ、ジャック、端子、リレー、電池等の電子部品の材料として好適に使用することができる。
−チタン銅の製造方法−
本実施形態に係るチタン銅は、特に最終の溶体化処理及びそれ以降の工程で適切な熱処理及び冷間圧延を実施することにより製造可能である。以下に、好適な製造例を工程毎に順次説明する。
1)インゴット製造
溶解及び鋳造によるインゴットの製造は、基本的に真空中又は不活性ガス雰囲気中で行う。溶解において添加元素の溶け残りがあると、強度の向上に対して有効に作用しない場合がある。よって、溶け残りをなくすため、FeやCr等の高融点の第3元素は、添加してから十分に攪拌したうえで、一定時間保持する必要がある。一方、TiはCu中に比較的溶け易いので第3元素の溶解後に添加すればよい。従って、Cuに、Mn、Fe、Mg、Co、Ni、Cr、V、Nb、Mo、Zr、Si、B、Ag、Be、ミッシュメタル及びPよりなる群から選択される1種又は2種以上を合計で0〜1.0質量%含有するように添加し、次いでTiを1.0〜5.0質量%含有するように添加してインゴットを製造することが望ましい。
2)均質化焼鈍及び熱間圧延
インゴット製造時に生じた凝固偏析や晶出物は粗大なので均質化焼鈍でできるだけ母相に固溶させて小さくし、可能な限り無くすことが望ましい。これは曲げ割れの防止に効果があるからである。具体的には、インゴット製造工程後には、900〜970℃に加熱して3〜24時間均質化焼鈍を行った後に、熱間圧延を実施するのが好ましい。液体金属脆性を防止するために、熱延前及び熱延中は960℃以下とするのが好ましい。
3)第一溶体化処理
その後、冷延と焼鈍を適宜繰り返してから溶体化処理を行うのが好ましい。ここで予め溶体化を行っておく理由は、最終の溶体化処理での負担を軽減させるためである。すなわち、最終の溶体化処理では、第二相粒子を固溶させるための熱処理ではなく、既に溶体化されてあるのだから、その状態を維持しつつ再結晶のみ起こさせればよいので、軽めの熱処理で済む。具体的には、第一溶体化処理は加熱温度を850〜900℃とし、2〜10分間行えばよい。そのときの昇温速度及び冷却速度においても極力速くし、ここでは第二相粒子が析出しないようにするのが好ましい。なお、第一溶体化処理は行わなくても良い。
4)中間圧延
最終の溶体化処理前の中間圧延における加工度を高くするほど、最終の溶体化処理における再結晶粒が均一かつ微細に生成するので、中間圧延の加工度は高めに設定する。好ましくは70〜99%である。加工度は{((圧延前の厚み−圧延後の厚み)/圧延前の厚み)×100%}で定義される。また、中間圧延の途中で、溶体化処理を数回行うことも可能である。溶体化条件は850℃〜900℃程度で2〜10分程度行えばよい。
5)最終溶体化処理
最終溶体化処理前の銅合金素材中には、鋳造又中間圧延過程で生成された析出物が存在する。この析出物は、曲げ性及び時効後の機械的特性増加を妨げる場合があるため、最終の溶体化処理では、銅合金素材中の析出物を完全に固溶させる温度に銅合金素材を加熱することが望ましい。しかしながら、析出物を完全に無くすまで高温に加熱すると、析出物による粒界のピン止め効果が無くなり、結晶粒が急激に粗大化する。結晶粒が急激に粗大化すると強度が低下する傾向にある。
このため、加熱温度としては、溶体化前の銅合金素材が、第二相粒子組成の固溶限付近になるまで加熱する。Tiの添加量が1.0〜5.0質量%の範囲でTiの固溶限が添加量と等しくなる温度(本発明では「固溶限温度」という。)は550〜1000℃程度であり、例えばTiの固溶限温度は、Ti濃度1.0質量%で600℃、Ti濃度1.5質量%で680℃、Ti濃度2.0質量%で730℃、Ti濃度3.0質量%で800℃、Ti濃度4.0質量%で840℃、Ti濃度5.0質量%で885℃である。
なお、固溶限温度が高すぎると、その後に最終冷間圧延(仕上げ圧延)をしても、{111}から30°以内の範囲の結晶方位の極密度のピーク強度が十分に高くならない場合がある。原因は不明であるが、高温に加熱しすぎて結晶粒径が大きくなると{111}から30°以内の範囲に結晶粒は回転しにくいと推測される。本実施形態においては、溶体化前の銅合金素材が、550〜1000℃のTiの固溶限温度、より典型的には550〜1000℃のTiの固溶限温度に比べて0〜20℃高い温度、好ましくは0〜15℃高い温度、更に好ましくは0〜10℃高い温度になるまで加熱するのが好ましい。
最終溶体化処理における粗大な第二相粒子の発生を抑制するために、銅合金素材の加熱及び冷却は、出来るだけ急速に行うのが好ましい。具体的には、第二相粒子組成の固溶限付近の温度よりも50〜500℃程度、好ましくは150〜500℃程度高くした雰囲気中に銅合金素材を配置することにより急速加熱を行える。この場合、銅合金素材が200℃に達した後の昇温速度を40℃/s以上、好ましくは45℃/s以上として、銅合金素材を加熱する。冷却は水冷等により行われる。この場合、Tiの合金素材が加熱最高温度から200℃に冷却されるまでの冷却速度を90℃/s以上、好ましくは冷却速度100℃/s以上として、銅合金素材を冷却するのが好ましい。
更に、本実施形態に係る最終溶体化処理においては、加熱から冷却までの時間、即ち、銅合金素材がTiの固溶限温度付近の温度に至った時から冷却を開始するまでの時間(=保持時間)をできるだけ短くするのが好ましい。本実施形態では、保持時間を5秒未満、更には3秒以下とすることが好ましい。保持時間をできるだけ短くすることにより、結晶粒の粗大化を抑制できる。
6)時効処理
最終溶体化処理に引き続いて、時効処理を行う。従来は最終溶体化処理の後は冷間圧延を行うことが通例であったが、本実施形態に係るチタン銅を得る上では最終溶体化処理の後、冷間圧延を行わずに直ちに時効処理を行うことが好ましい。従来の工程では、曲げ性と強度を両立することができなかった。高加工度では高強度だが曲げ性が悪く、低加工度では曲げ性には優れるが強度は不足した。時効処理はTi-Cu系の微細な析出物が適切な大きさと間隔で均質に分布するように、ピーク強度が得られる時効処理条件で実施する。ここで、ピーク強度とは例えば時効処理時間を一定として(例えば10時間)、時効処理温度を変化させた場合(例えば350、375、400、425、450、475、500℃の各時効処理温度で時効処理をした場合)に、最も強度(引張強さ)が高くなる条件で時効処理した場合の強度をいう。このときの時効条件は従来の工程の時効条件よりもやや高温で行うとよい。具体的には、材料温度350〜500℃で0.1〜20時間加熱することが好ましく、材料温度380〜480℃で1〜16時間加熱することがより好ましく、材料温度380〜480℃で4〜16時間加熱することが更に好ましい。
7)最終冷間圧延(仕上げ圧延)
上記時効処理後、最終冷間圧延を行うことにより、チタン銅の強度を高めることができる。高い強度を得ることを目的とする場合は加工度を5%以上、好ましくは10%以上、より好ましくは15%以上とする。但し、加工度が高すぎると結晶粒の集合度についてはピークが高くなるが、結晶粒に入るひずみの量が多くなりすぎるため、曲げ性が悪化することから加工度を35%以下、好ましくは30%以下、より好ましくは25%以下とする。
なお、時効後の圧延方法を歪みが入りやすい条件にすると、表面の結晶粒のみ回転し、板厚方向中央部の結晶粒が回転しにくく、結晶方位が揃わず、曲げ性が悪化するため、本実施形態では、同一加工度でも材料表面に歪みの入りにくい条件で圧延することが好ましい。
なお、最終溶体化処理後の銅合金の結晶粒径が大きい場合には、結晶が回転する方向が異なるため、好ましい圧延条件で実施しても{111}から30°以内の範囲に結晶方位の極密度のピーク強度が高くならない。
このため、本実施形態においては、最終冷間圧延の圧延荷重を、材料の幅方向の単位長さ当たりで115kg/mm以下とするのが好ましく、より好ましくは100kg/mm以下であり、例えば、100〜85kg/mmである。圧延油の粘度は10cST以下とするのが好ましく、より好ましくは8cST以下、更に好ましくは8〜3cSTである。
8)歪取焼鈍
最終の冷間圧延の後、電子部品に適用するのに必要な応力緩和特性を得るため、歪取焼鈍を行う。歪取焼鈍の条件は慣用の条件でよいが、具体的には、材料温度200℃以上550℃未満で0.001〜20時間加熱の条件で行うのが好ましく、低温であれば長時間(例えば材料温度200〜300℃で12〜20時間加熱)、高温であれば短時間(例えば材料温度300〜400℃で0.001〜12時間加熱)の条件で行うのがより好ましい。また要求特性によっては本工程を省略することも可能である。
なお、当業者であれば、上記各工程の合間に適宜、表面の酸化スケール除去のための研削、研磨、ショットブラスト、酸洗等の工程を行なうことができることは理解できるだろう。
以下に本発明の実施例を比較例と共に示すが、これらの実施例は本発明及びその利点をよりよく理解するために提供するものであり、発明が限定されることを意図するものではない。
実施例の銅合金を製造するに際しては、活性金属であるTiが第2成分として添加されるため、溶製には真空溶解炉を用いた。また、本発明で規定した元素以外の不純物元素の混入による予想外の副作用が生じることを未然に防ぐため、原料は比較的純度の高いものを厳選して使用した。
表1に記載の濃度のTiを添加し、場合により第3元素を更に添加して、残部銅及び不可避的不純物の組成を有するインゴットに対して950℃で3時間加熱する均質化焼鈍の後、900〜950℃で熱間圧延を行い、板厚10mmの熱延板を得た。面削による脱スケール後、冷間圧延して素条の板厚(2.0mm)とした。次いで、中間の冷間圧延では最終板厚が0.10mmとなるように中間の板厚を調整して冷間圧延した。その後、急速加熱が可能な焼鈍炉に挿入して最終溶体化処理を行い、銅合金素材が所定の材料温度に達した時点で直ぐに焼鈍炉から取り出し水冷した。
最終溶体化処理は、試験片の材料最高温度がTiの固溶限温度(Ti濃度1.0質量%で約600℃、Ti濃度1.5質量%で約680℃、Ti濃度2.0質量%で約730℃、Ti濃度3.0質量%で約800℃、Ti濃度4.0質量%で約840℃、Ti濃度5.0質量%で約885℃)となるように、表1に記載の昇温速度及び冷却速度で加熱及び冷却した。表1中「保持時間」とは、試験片が材料最高温度に達した時から水冷を開始するまでの時間を示す。「昇温速度」は、試験片が200℃に達してから材料最高温度に達するまでの平均昇温速度を表す。具体的には(昇温速度(℃/s))=(材料最高温度(℃)−200(℃))/(試験片が200℃に達してから材料最高温度に達するまでに要した時間(s))で算出した。「冷却速度」は、試験片が材料最高温度から200℃まで冷却されるまでの平均冷却速度を表す。具体的には(冷却速度(℃/s))=(材料最高温度(℃)−200(℃))/(水冷を開始してから試験片の温度が200℃になるまでに要した時間(s))で算出した。なお、昇温速度、及び冷却速度の基準を、試験片が200℃に達した後又は200℃に冷却されるまでの時間と規定したのは、200℃以下の温度域では析出物の消滅、生成、成長の駆動力となる原子の拡散距離が無視できるくらい小さいからである。その後、最終溶体化処理後の試験片に対してそれぞれピーク強度が得られる時効処理条件(例えば、400℃、10時間)で時効処理を行った後、表1に示す条件で仕上げ圧延を行い、実施例及び比較例の試験片を作製した。なお、表1中「圧延荷重」は、試験片の幅方向の(圧延方向に垂直な方向)単位長さあたりの圧延荷重を示す。(幅方向の単位長さあたりの圧延荷重(kg/mm))=(圧延荷重(kg))/(サンプル幅(mm))
得られた各試験片について以下の条件で特性評価を行った。結果を表2に示す。
<結晶粒径>
結晶粒径(平均結晶粒径)の測定は、圧延面表面をリン酸67%+硫酸10%+水の溶液中で15V60秒の条件で電解研磨により組織を現出させ、水洗乾燥させ観察に供した。これをFE−SEM(電解放射型走査電子顕微鏡、Philips社製、XL30SFEG)を用いて組織を観察し、JIS G0551の交差線分法により平均結晶粒径を求めた。
<せん断帯>
チタン銅の圧延面表面に対して結晶粒径測定と同一条件の電解研磨により組織を現出させた。そして、電解研磨により現出させた圧延面表面の組織の凹凸を、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて測定した(倍率5000倍)。そして、結晶粒の表面から深さが0.01μm以上のものをせん断帯としてカウントした。具体的には、SEM写真の任意の領域に対して100μm×100μmの枠を作製し、この中に存在する結晶粒と、結晶粒内にせん断帯が5本以上存在する結晶粒の数をカウントした。枠を横切っている結晶粒については、すべて1/2個としてカウントした。
せん断帯の測定については、筋状又は線状の模様が存在する範囲の組織の凹凸を測定し、ある谷(凹部)から隣の山(凸部)までの高さが0.01μm以上である谷(凹部)を「せん断帯」としてカウントした。ここで「筋状又は線状の模様が存在する範囲」は、SEM写真(倍率5000倍)を目視することにより特定した(図1の範囲14参照)。なお、結晶粒界はせん断帯としてカウントしなかった。
そして、せん断帯が5本以上存在する結晶粒の割合を以下の様に算出した。
(せん断帯が5本以上存在する結晶粒の割合(%))=(100μm×100μmの枠内に存在するせん断帯が5本以上存在する結晶粒の個数(個/10000μm2))/(100μm×100μmの枠内に存在する全ての結晶粒の個数(個/10000μm2))×100(%)
<第二相粒子の個数密度>
結晶粒径の測定と同様の条件で組織を現出させ、FE−SEMを用い、粒径と析出物の個数を計測した。析出物を取り囲む最小円の直径を粒径とした。また、計測対象の析出物の成分としてCu、Tiのどちらかまたは両方が含まれることは、FE−SEMのEDS(エネルギー分散型X線分析)を用いて全ての析出物に対して成分分析することにより確認した。粒径100nm以上1.0μm以下の第二相粒子と、粒径1.0μmを超える第二相粒子に分けて数え、それぞれの個数密度(Y)及び(X)を測定した。本実施例では、粒界反応型の粒子として結晶粒界に沿って析出するTi−Cu系の析出物(粒界反応相)(図1の粒界反応相13参照)については計算しないこととした。
<結晶方位の極密度のピーク>
試験片の圧延面表面をリン酸67%+硫酸10%+水の溶液中で15V60秒の条件で電解研磨して組織を現出させ、水洗乾燥後させた後、XPSを用いてArイオンを3kV、30秒スパッタし観察に供した。EBSP測定は日本電子株式会製JXA8500Fを用いた。EBSP測定では、図3に示すように、試験片の圧延面側表面を入射電子線に対して70度傾けて設置した。測定プログラムはTSL OIM data collection Ver.3.5、解析プログラムはTSL OIM Analysis Ver.3.0(いずれもテクセムラボラトリーズ社製)を用いて逆極点図を作成した。測定した方位における極密度の一番高い方位の1点を試験片の結晶方位の極密度のピークの方位として測定した。結晶方位の極密度のピークと{111}との角度の測定は、結晶方位の極密度のピークを標準ステレオ三角形上に表示し、ウルフ(Wulff)ネットを用いて測定した。
<引張強さ>
引張方向が圧延方向と平行になるように、プレス機を用いてJIS13B号試験片を作製した。JIS−Z2241に従ってこの試験片の引張試験を行ない、圧延平行方向の破断強度(引張強さ)を測定した。
<導電率>
JIS−H0505に準拠し、4端子法で導電率(EC:%IACS)を測定した。
<伸び>
引張試験を実施したサンプルに対して、JIS−Z2241に従って、破断伸びを測定した。
<曲げ表面>
JIS−Z2248に従いW曲げ試験をBadway(曲げ軸が圧延方向と同一方向)、R/t=0で実施し、この試験片の曲げ表面を観察した。観察方法はレーザーテック社製コンフォーカル顕微鏡HD100を用いて曲げ表面を撮影し、付属のソフトウェアを用いて平均粗さRaを測定し、比較した。なお、曲げ加工前の試料表面はコンフォーカル顕微鏡を用いて観察したところ凹凸は確認できなかった。曲げ加工後の表面平均粗さRaが1.0μmを超える場合を曲げ加工後の外観に劣ると評価した。
<考察>
実施例1〜5は、Ti濃度とそのTi濃度に好適な材料最高温度で最終の溶体化処理を実施した場合の例を示す。いずれの実施例も引張強さ及び伸びともに良好であった。
実施例6は、昇温速度及び冷却速度を実施例1〜5よりも速くし、仕上げ圧延の圧延荷重をやや小さくした場合の例を示す。実施例6では、{111}から30°以内範囲のピーク高さの値が大きくなくなったが、せん断帯が存在する結晶粒の割合が小さくなり、強度がやや低下した。
実施例7〜9は、仕上げ圧延の加工度を5%、10%、30%と徐々に変化させた場合の例を示す。実施例7のように加工度を小さくすることにより、伸びが向上し、実施例9のように加工度を大きくすることにより、{111}から30°以内の範囲のピーク高さの値が大きくなり、強度が増加した。
実施例10〜15は、Tiの濃度と溶体化処理の条件と圧延の条件を変化させた実施例である。実施例1〜9に比べてほぼ同等の良好な特性を得られている。
実施例16は、第3元素としてFe、実施例17はCo、実施例18、31はCr、実施例19はNi、実施例20はZr、実施例21はMn、実施例22、28、29、30はFe、実施例32はV、実施例33はNb、実施例34はMo、実施例35はSi、実施例36はB、実施例37はP、実施例38はBe、実施例39はAgを単一の元素で添加した例である。いずれの実施例も第二相粒子の個数密度(X)、(Y)が小さく、引張強さ及び伸びともに良好であった。
実施例23〜27及び40は、第3元素として複数の種類の元素を添加した場合の例を示す。実施例23〜27及び40によれば複数の元素を添加しても単一の元素を添加した場合と同様の結果が得られる。
一方、比較例1は、Tiの固溶限温度まで十分に材料最高温度を上げなかった場合の例である。比較例1では溶体化温度が固溶限温度より低いため、Tiが十分に固溶せず、最終溶体化処理前に存在した析出物が粗大化したため個数密度(X)の値が大きくなり、強度及び伸びが低下し、曲げ表面が粗くなった。
比較例2は、材料最高温度をTiの固溶限温度よりも200℃以上高い温度とした場合の例である。比較例2では最終溶体化処理時に析出物が十分に固溶しすぎたために、Tiを添加することによるピン止め効果が抑制され、母材の結晶粒径が大きくなり、強度が低下した。その上、結晶粒径も大きく、実施例1に比べ曲げ性も劣った。
比較例3〜6は、最終溶体化処理の材料最高温度を、Tiの固溶温度よりもそれぞれ73℃、100℃、96℃、85℃を高くし、且つ、保持時間を長く(15秒以上)した例を示す。比較例3〜6では、結晶粒径が大きくなり、{111}から30°以内の範囲にあるピーク高さの値も小さくなり、Ti濃度が同程度である実施例と比べて引張強さが30〜100MPa程度低下し、曲げ表面が粗くなった。
比較例7〜9は、試験片の温度が材料最高温度に達した時から水冷を開始するまでの時間である保持時間を長くした例である(比較例7は10秒、比較例8は40秒、比較例9は70秒)。昇温から冷却までの保持時間を実施例に比べて長くすることにより、結晶粒径が大きくなり、{111}から30°以内の範囲にあるピーク高さの値が小さくなり、Ti濃度が同程度である実施例と比べて引張強さが20〜150MPa程度低下し、曲げ表面が粗くなった。
比較例10及び11は最終溶体化処理の昇温速度又は冷却速度を実施例よりも遅くした例である。比較例6に示すように、昇温速度を30℃/sと遅くすることにより、結晶粒径が大きくなったため、強度が低下し、曲げ表面が粗くなった。また、冷却速度を70℃/sと遅くした比較例11では、第二相粒子の個数密度(Y)の割合が増加したため強度が低下し、曲げ表面が粗くなった。
比較例12及び13は、Ti濃度を実施例の範囲外としたものである。比較例12及び13では強度が低下した。
比較例14は、仕上げ圧延時の加工度を0.5%と低くしすぎたために、結晶粒にたまるひずみが少なく、{111}から30°以内の範囲にあるピーク高さの値が小さくなり、また、せん断帯の発生する本数が少なく、せん断帯が5本以上存在する結晶粒の割合が小さくなり、強度が低下した。
比較例15では加工度を40%と高くしすぎたために、結晶粒にたまるひずみが多く、{111}から30°以内の範囲にあるピーク高さの値が大きくなり、また、せん断帯が多く発生し、せん断帯が5本以上存在する結晶粒の割合が大きくなったため、伸びが悪くなり、曲げ表面が粗くなった。
比較例16は、仕上げ圧延時の圧延荷重を150kg/mmと大きくした例であり、せん断帯が多く発生し、また、{111}から30°以内の範囲にあるピーク高さの値が大きくなったため、曲げ表面も粗くなった。
比較例17は、圧延油の粘度を15cSTと高くした例であり、実施例に比べてせん断帯が多く発生し、また、{111}から30°以内の範囲にあるピーク高さの値が大きくなったため、曲げ表面が粗くなった。
比較例18は、最終溶体化処理の材料最高温度をTiの固溶限温度よりも20℃以上高くし、且つ保持時間を長くした結果であり、結晶粒径が大きくなった。また、{111}から30°以内の範囲にあるピーク高さの値が小さくなり、Ti濃度が同程度である実施例と比べて引張強さが125MPa低下し、曲げ表面が粗くなった。
比較例19〜22は、製造工程を従来の工程、即ち、最終溶体化処理→圧延→時効の順で行った例である。比較例19では、伸びは良好であったが強度が弱くなった。比較例20では加工度を45%まで高くした結果、強度は実施例1と同等になったが、伸びが悪くなり、曲げ表面に亀裂が発生した。比較例21では、最終溶体化処理の加熱から冷却までの保持時間を実施例より40sに長くするとともに加工度を45%と高くした例であり、結晶粒径が大きくなるとともに、伸びが悪くなり、曲げ表面に亀裂が発生した。比較例22では、保持時間を70sと長くした場合であるが、伸びは良好であったが、強度が弱くなり、曲げ表面に亀裂が発生した。
1 チタン銅
11 第二相粒子
12 せん断帯
13 粒界反応相

Claims (8)

  1. Tiを1.0〜5.0質量%含有し、残部銅及び不可避的不純物からなるチタン銅であって、電子顕微鏡による圧延面の電解研磨後の表面の組織観察において、平均結晶粒径が20μm以下、結晶粒内に存在する粒径1.0μmより大きい第二相粒子の平均個数密度(X)が15×103個/mm2以下、前記結晶粒内に存在する粒径100nm〜1.0μmの第二相粒子の平均個数密度(Y)が35×103個/mm2以下であり、EBSP測定により、前記チタン銅の圧延方向と平行な方向[100]から結晶方位の極密度を測定した場合に、{111}から30°以内の範囲に強度2〜30のピークが存在することを特徴とするチタン銅。
  2. 圧延面の電解研磨後の表面の組織観察において、せん断帯が5本以上存在する結晶粒の割合が15〜90%である請求項1に記載のチタン銅。
  3. 伸びが3.0%以上、引張強さが950MPa以上である請求項1又は2に記載のチタン銅。
  4. 曲げ表面の平均粗さRaが1.0μm以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載のチタン銅。
  5. 第3元素群としてMn、Fe、Mg、Co、Ni、Cr、V、Nb、Mo、Zr、Si、B及びP、Ag、Be、ミッシュメタルよりなる群から選択される1種又は2種以上を、合計で0〜1.0質量%含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載のチタン銅。
  6. 請求項1〜5いずれか1項記載のチタン銅からなる伸銅品。
  7. 請求項1〜5いずれか1項記載のチタン銅からなる電子部品。
  8. 請求項1〜5いずれか1項記載のチタン銅を備えたコネクタ。
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