JP6736631B2 - チタン銅、チタン銅の製造方法及び電子部品 - Google Patents

チタン銅、チタン銅の製造方法及び電子部品 Download PDF

Info

Publication number
JP6736631B2
JP6736631B2 JP2018198646A JP2018198646A JP6736631B2 JP 6736631 B2 JP6736631 B2 JP 6736631B2 JP 2018198646 A JP2018198646 A JP 2018198646A JP 2018198646 A JP2018198646 A JP 2018198646A JP 6736631 B2 JP6736631 B2 JP 6736631B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
copper
titanium
mass
rolling
titanium copper
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2018198646A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2020066757A (ja
Inventor
弘泰 堀江
弘泰 堀江
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JX Nippon Mining and Metals Corp
Original Assignee
JX Nippon Mining and Metals Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JX Nippon Mining and Metals Corp filed Critical JX Nippon Mining and Metals Corp
Priority to JP2018198646A priority Critical patent/JP6736631B2/ja
Priority to EP19202326.5A priority patent/EP3643798B1/en
Priority to RU2019132919A priority patent/RU2795584C2/ru
Publication of JP2020066757A publication Critical patent/JP2020066757A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6736631B2 publication Critical patent/JP6736631B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C22METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
    • C22CALLOYS
    • C22C9/00Alloys based on copper
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C22METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
    • C22FCHANGING THE PHYSICAL STRUCTURE OF NON-FERROUS METALS AND NON-FERROUS ALLOYS
    • C22F1/00Changing the physical structure of non-ferrous metals or alloys by heat treatment or by hot or cold working
    • C22F1/08Changing the physical structure of non-ferrous metals or alloys by heat treatment or by hot or cold working of copper or alloys based thereon

Description

本発明は、チタン銅、チタン銅の製造方法及び電子部品に関し、例えば、コネクタ、バッテリー端子、ジャック、リレー、スイッチ、オートフォーカスカメラモジュール、リードフレーム等の電子部品への利用に好適なチタン銅、チタン銅の製造方法及びチタン銅を用いた電子部品に関する。
近年、電気・電子機器や車載部品に使用されるリードフレーム、コネクタなどの電子部品の小型化が進み、電子部品を構成する銅合金部材の狭ピッチ化及び低背化の傾向が著しい。小型のコネクタほどピン幅が狭く、小さく折り畳んだ加工形状となるため、使用する銅合金部材には、必要なバネ性を得るための高い強度が求められる。この点、チタンを含有する銅合金(以下、「チタン銅」と称する。)は、比較的強度が高く、耐応力緩和特性にあっては銅合金中最も優れているため、特に強度が要求される信号系端子用部材として古くから使用されてきた。
チタン銅は、時効硬化型の銅合金であり、強度と曲げ加工性のバランスに優れ、加えて耐応力緩和特性が種々の銅合金の中でも特に優れた特性を発揮する。そのため、チタン銅の耐応力緩和特性を維持させたまま、強度や曲げ加工性などの特性を向上させるための開発が行われてきた。
特開2014−185370号公報(特許文献1)には、高強度を維持しながら曲げ加工性に優れ、耐応力緩和性を良好に維持しながら耐疲労特性を改善したCu−Ti系銅合金として、質量%で、Ti:2.0〜5.0%、Ni:0〜1.5%、Co:0〜1.0%、Fe:0〜0.5%、Sn:0〜1.2%、Zn:0〜2.0%、Mg:0〜1.0%、Zr:0〜1.0%、Al:0〜1.0%、Si:0〜1.0%、P:0〜0.1%、B:0〜0.05%、Cr:0〜1.0%、Mn:0〜1.0%、V:0〜1.0%であり、前記元素のうちSn、Zn、Mg、Zr、Al、Si、P、B、Cr、MnおよびVの合計含有量が3.0%以下であり、残部Cuおよび不可避的不純物からなる組成を有する銅合金板材であって、板厚方向に垂直な断面において、粒界反応型析出物の最大幅が500nm以下であり、直径100nm以上の粒状析出物の密度が105個/mm2以下である金属組織を有する銅合金板材の例が記載されている。
特開2010−126777号公報(特許文献2)には、高強度を維持しながら曲げ加工性に優れ且つ耐応力緩和性にも優れた銅合金板材として、1.2〜5.0質量%のTiを含み、残部がCuおよび不可避的不純物である組成を有し、板面上で無作為に選んだ同一の形状および大きさの複数の領域のそれぞれの領域における結晶粒径の平均値のうちの最大値を最大結晶粒径、それぞれの領域における結晶粒径の平均値のうちの最小値を最小結晶粒径、それぞれの領域における結晶粒径の平均値の平均値を平均結晶粒径とすると、平均結晶粒径が5〜25μm、(最大結晶粒径−最小結晶粒径)/平均結晶粒径が0.20以下であり、銅合金板材の板面における{420}結晶面のX線回折強度をI{420}とし、純銅標準粉末の{420}結晶面のX線回折強度をI0{420}とすると、I{420}/I0{420}>1.0を満たす結晶配向を有することを特徴とする、銅合金板材の例が記載されている。
特開2008−308734号公報(特許文献3)には、高強度と優れた曲げ加工性、耐応力緩和性とを同時に具備し、スプリングバックについても改善した銅合金板材として、質量%で、Ti:1.0〜5.0%、残部Cuおよび不可避的不純物からなる組成を有し、I{420}/I0{420}>1.0を満たす結晶配向を有し、平均結晶粒径が10〜60μmである銅合金板材の例が記載されている。
特開平7−258803号公報(特許文献4)には、溶体化処理−冷間圧延工程の製造工程を調整することにより強度と曲げ加工性を改善した高強度銅合金の製造方法として、重量割合にてTi:0.01〜4.0%を含有し、残部がCuおよび不可避的不純物からなる銅合金に、(1)800℃以上の温度で240秒以内かつ平均結晶粒径が20μmを越えない熱処理条件で行う1回目の溶体化処理、(2)80%未満の加工度で行う1回目の冷間圧延、(3)800℃以上の温度で240秒以内かつ平均結晶粒径が1〜20μmを越えない範囲となる熱処理条件で行う2回目の溶体化処理、(4)50%以下の加工度で行う2回目の冷間圧延、(5)300〜700℃の温度で1時間以上15時間未満の時効処理、を順次施すことを特徴とする曲げ性および応力緩和特性に優れたチタン銅合金の製造方法が記載されている。
特開2014−185370号公報 特開2010−126777号公報 特開2008−308734号公報 特開平7−258803号公報
近年、電子機器は高機能化に加えて更に高い信頼性も求められており、電子機器に使用される電子部品も同様に高い信頼性が求められている。中でも、耐熱性は、重要な指標のひとつであり、従来よりも高いレベルが求められている。チタン銅は耐応力緩和特性に比較的優れていることが知られているが、特許文献1〜4のチタン銅合金もまだ十分な耐応力緩和特性が得られているとはいえず、耐応力緩和特性の更なる向上が望まれている。
上記課題に鑑み、本開示は、優れた耐応力緩和特性を有するチタン銅、チタン銅の製造方法及びチタン銅を用いた電子部品を提供する。
本発明者は上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、圧延(RD)方向の逆極点図において<111>、<101>、<001>の極密度に所定の関係を有するチタン銅が耐応力緩和特性に優れていることを見出した。
本発明の実施の形態に係るチタン銅は一側面において、Tiを2.0〜4.5質量%含有し、第三元素としてFe、Co、Ni、Cr、Zn、Zr、P、B、Mo、V、Nb、Mn、Mg、及びSiからなる群から選択された1種以上を合計で0〜0.5質量%含有し、残部が銅及び不可避的不純物からなり、圧延方向の逆極点図において<111>の極密度が2.5〜4.5であり、<101>の極密度よりも<001>の極密度が高いことを特徴とするチタン銅である。
本発明の実施の形態に係るチタン銅の製造方法は一側面において、Tiを2.0〜4.5質量%含有し、第三元素としてFe、Co、Ni、Cr、Zn、Zr、P、B、Mo、V、Nb、Mn、Mg、及びSiからなる群から選択された1種以上を合計で0〜0.5質量%含有し、残部が銅及び不可避的不純物からなるチタン銅のインゴットを鋳造し、熱間圧延した後、冷間圧延工程及びその後の最終溶体化処理工程を行うことを含むチタン銅の製造方法であって、熱間圧延工程が、インゴットに対し、1パスあたりの圧縮歪を0.05〜0.15、最終パスの歪速度を15.0〜25.0となるように処理し、最終溶体化処理工程が、Tiの添加量(質量%)をXとする場合に、加熱温度(℃)を52×X+610〜52×X+680とし、保持時間を50〜200秒で処理することを特徴とするチタン銅の製造方法である。
本発明によれば優れた耐応力緩和特性を有するチタン銅、チタン銅の製造方法及びチタン銅を用いた電子部品が得られる。
応力緩和率の測定原理を説明する図である。 応力緩和率の測定原理を説明する図である。
(Ti濃度)
本発明の実施の形態に係るチタン銅においては、Ti濃度を2.0〜4.5質量%とする。チタン銅は、溶体化処理によりCuマトリックス中へTiを固溶させ、時効処理により微細な析出物を合金中に分散させることにより、強度及び導電率を上昇させる。
Ti濃度が2.0質量%未満になると、析出物の析出が不充分となり所望の強度が得られない。Ti濃度が4.5質量%を超えると、加工性が劣化し、圧延の際に材料が割れやすくなる。強度及び加工性のバランスを考慮すると、好ましいTi濃度は2.5〜3.5質量%である。
(第三元素)
本発明の実施の形態に係るチタン銅においては、Fe、Co、Ni、Cr、Zn、Zr、P、B、Mo、V、Nb、Mn、Mg、及びSiからなる群から選択される第三元素の1種以上を含有させることにより、強度を更に向上させることができる。但し、第三元素の合計濃度が0.5質量%を超えると、加工性が劣化し、圧延の際に材料が割れやすくなる。そこで、これら第三元素は合計で0〜0.5質量%含有することができ、強度及び加工性のバランスを考慮すると、上記元素の1種以上を総量で0.1〜0.4質量%含有させることが好ましい。なお、添加元素ごとには、Zr、P、B、V、MgおよびSiは0.01〜0.15質量%、Fe、Co、Ni、Cr、Mo、NbおよびMnは0.01〜0.3質量%、Znは0.1〜0.5質量%含有させることができる。
(RD方向の逆極点図)
本発明の実施の形態に係るチタン銅においては、RD方向の逆極点図において<111>の極密度を一定の範囲に制御すること、且つ<101>と<001>の極密度の関係を一定の関係にすることが特徴である。具体的には、<111>の極密度が2.5〜4.5であり、<101>の極密度よりも<001>の極密度が高いこととする。この両条件を満たせば、耐応力緩和特性をより向上させることができる。
RD方向の逆極点図と耐応力緩和特性の関係性は明確には分かっていないが、<111>の極密度が2.5より低い、または4.5より高いと耐応力緩和特性は向上しない。<101>よりも<001>の極密度が低いと同様に耐応力緩和特性は向上しない。また、<111>の極密度が2.5〜4.5であっても<101>よりも<001>の極密度が低いと、もしくは<101>よりも<001>の極密度が高くても<111>の極密度が2.5より低いまたは4.5よりも高いと、耐応力緩和特性は向上しない。
以下に限定されるものではないが、<111>の極密度は、好ましくは2.7〜4.3であり、より好ましくは2.9〜4.1である。<101>の極密度は、典型的には0〜2.5であり、<001>の極密度は、典型的には0.5〜3.5である。
本実施形態において「RD方向の逆極点図」とは、圧延面に対するEBSD(Electron Back Scatter Diffraction:電子後方散乱解析)測定における結晶方位解析において、EBSDに付属している解析ソフト(例えば、TSLソリューションズ社製のOIM Analysis)を用いてRD方向の逆極点図を測定した結果を示す。逆極点図は、ND方向、RD方向、TD方向について得ることができるが、本実施形態では、耐応力緩和特性を評価する際に加える応力軸を考慮し、RD方向の逆極点図を用いる。なお、結晶方位がランダムである状態の極密度を1とする。
本実施形態ではEBSD測定における測定条件として以下を採用する。
(a)SEM条件
・ビーム条件:加速電圧15kV、照射電流量5×10-8
・ワークディスタンス:25mm
・観察視野:150μm×150μm
・観察面:圧延面
・観察面の事前処理:リン酸67%+硫酸10%+水の溶液中で15V×60秒の条件で電解研磨して組織を現出
(b)EBSD条件
・測定プログラム:OIM Data Collection
・データ解析プログラム:OIM Analysis(Ver.5.3)
・ステップ幅:0.25μm
(耐応力緩和特性)
本発明の実施の形態に係るチタン銅は優れた耐応力緩和特性を有することができる。一実施形態においては、チタン銅を300℃で10時間保持した後の応力緩和率が10%以下であるという特徴を有する。
(平均結晶粒径)
強度、曲げ加工性及び疲労特性をバランス良く高める観点から、本発明に係るチタン銅の一実施形態においては、圧延面における平均結晶粒径を2〜30μmの範囲に制御することが好ましく、2〜15μmの範囲に制御することがより好ましく、2〜10μmの範囲に制御することが更により好ましい。
平均結晶粒径とは、前述した結晶粒径の変動係数の算出に用いられる平均結晶粒径と同様、圧延面に対するEBSD(Electron Back Scatter Diffraction:電子後方散乱回折)測定における結晶方位解析により、EBSDに付属している解析ソフト(例:TSLソリューションズ社製のOIM Analysis)を用いて、方位差5°以上を結晶粒界とみなした場合における平均結晶粒径をいう。
(0.2%耐力)
本発明の実施の形態に係るチタン銅においては一実施形態において、圧延方向に平行な方向での0.2%耐力が800MPa以上を達成することができる。本発明に係るチタン銅の0.2%耐力は好ましい実施形態において850MPa以上であり、更に好ましい実施形態において900MPa以上であり、更に好ましい実施形態においては950MPa以上である。
0.2%耐力の上限値は、本発明が目的とする強度の点からは特に規制されないが、手間及び費用がかかることから、本発明に係るチタン銅の0.2%耐力は一般には1300MPa以下であり、典型的には1200MPa以下であり、より典型的には1100MPa以下である。
本発明においては、チタン銅の圧延方向に平行な方向での0.2%耐力は、JIS−Z2241(2011)(金属材料引張試験方法)に準拠して測定する。
(チタン銅の厚み)
本発明に係るチタン銅の一実施形態においては、厚みを1.0mm以下とすることができ、典型的な実施形態においては厚みを0.02〜0.8mmとすることができ、より典型的な実施形態においては厚みを0.05〜0.5mmとすることができる。
(用途)
本発明に係るチタン銅は種々の伸銅品、例えば板、条、管、棒及び線に加工することができる。本発明に係るチタン銅は、限定的ではないが、スイッチ、コネクタ、オートフォーカスカメラモジュール、ジャック、端子(特に、バッテリー端子)、リレー等の電子部品における導電材やばね材として好適に使用することができる。これらの電子部品は例えば車載部品や電気・電子機器用部品として使用可能である。
(製造方法)
以下、本発明の実施の形態に係るチタン銅の製造方法は、Tiを2.0〜4.5質量%含有し、第三元素としてFe、Co、Ni、Cr、Zn、Zr、P、B、Mo、V、Nb、Mn、Mg、及びSiからなる群から選択された1種以上を合計で0〜0.5質量%含有し、残部が銅及び不可避的不純物からなるチタン銅のインゴットを鋳造し、熱間圧延した後、冷間圧延工程及びその後の最終溶体化処理工程を行うことを含む。以下に、本実施形態に係るチタン銅の好適な製造例について、工程毎に順次説明する。
<インゴット製造>
溶解及び鋳造によるインゴットの製造は、基本的に真空中又は不活性ガス雰囲気中で行う。溶解において添加元素の溶け残りがあると、強度の向上に対して有効に作用しない。よって、溶け残りをなくすため、FeやCr等の高融点の第三元素は、添加してから十分に攪拌したうえで、一定時間保持する必要がある。一方、TiはCu中に比較的溶け易いので第三元素の溶解後に添加すればよい。従って、Cuに、Fe、Co、Ni、Cr、Zn、Zr、P、B、Mo、V、Nb、Mn、Mg、及びSiからなる群から選択される1種以上を合計で0〜0.5質量%含有するように添加し、次いでTiを2.0〜4.5質量%含有するように添加してインゴットを製造することが望ましい。
<均質化焼鈍及び熱間圧延>
インゴット製造時に生じた凝固偏析や晶出物は粗大なので均質化焼鈍でできるだけ母相に固溶させて小さくし、可能な限り無くすことが望ましい。これは曲げ割れの防止に効果があるからである。具体的には、インゴット製造工程後には、900〜970℃に加熱して3〜24時間均質化焼鈍を行った後に、熱間圧延を実施するのが好ましい。液体金属脆性を防止するために、熱延前及び熱延中は960℃以下とし、且つ、元厚から全体の圧下率が80%までのパスは700℃以上とするのが好ましい。
本実施形態では、1パスあたりの圧縮歪は0.05〜0.15とし、最終パスの歪速度は15.0〜25.0/s、好ましい一実施態様では18.0〜22.0/sとする。これによりRD方向の逆極点図における<111>の極密度と、<101>と<001>の極密度の関係を上述の範囲に制御することが可能になる。尚、1パスあたりの圧縮歪は、圧縮歪であるη=ln{(熱間圧延前の断面積)/(熱間圧延後の断面積)}を熱間圧延での総パス数で除することにより算出することができる。また、歪速度ε(/s)は次式(1)より算出する。
Figure 0006736631
ここで、H0:入側での板厚(mm)、n:圧延ロールの回転速度(rpm)、R:圧延ロールの半径(mm)、r’:加工度((入側での板厚)−(出側での板厚)/入側での板厚)である。
<冷間圧延及び焼鈍>
熱間圧延後、冷間圧延を行う。冷間圧延の加工度は典型的には60%以上とする。パスあたりの加工度は、当該パスによる圧延を行う前のインゴットの厚さをT0、当該パスによる圧延が終了した時のインゴットの厚さをTとすると、式(2)により求められる。
加工度(%)={(T0−T)/T0}×100 ・・・(2)
次いで、焼鈍を実施することができる。焼鈍の条件は典型的には900℃で1〜5分とする。この冷間圧延及び焼鈍は必要に応じて適宜繰り返すことができる。
<第一溶体化処理>
冷間圧延及び焼鈍を適宜繰り返した後、第一溶体化処理を行うのが好ましい。ここで予め溶体化を行っておく理由は、最終の溶体化処理での負担を軽減させるためである。すなわち、最終の溶体化処理では、第二相粒子を固溶させるための熱処理ではなく、既に溶体化されてあるのだから、その状態を維持しつつ再結晶のみ起こさせればよいので、軽めの熱処理で済む。具体的には、第一溶体化処理は加熱温度を850〜900℃とし、2〜10分間行えばよい。そのときの昇温速度及び冷却速度においても極力速くし、ここでは第二相粒子が析出しないようにするのが好ましい。なお、第一溶体化処理は行わなくても良い。
<中間圧延>
次いで 中間圧延を行う。中間圧延の加工度は典型的には60%以上とする。
<最終の溶体化処理>
最終の溶体化処理では、析出物を完全に固溶させることが望ましいが、完全に無くすまで高温に加熱すると、結晶粒が粗大化しやすいので、加熱温度は第二相粒子組成の固溶限付近の温度とする。具体的には、Tiの添加量(質量%)をXとする場合、加熱温度(℃)を52×X+610〜52×X+680の範囲とする。
加熱温度が52×X+610℃を下回る場合、未再結晶となり、加熱温度が52×X+680を上回る場合、結晶粒径が粗大化し、最終的に得られるチタン銅の強度はいずれも低下する。
最終の溶体化処理での加熱時間を調整することで、RD方向の逆極点図における<111>の極密度と、<101>と<001>の極密度の関係を制御することができる。加熱時間は、例えば50〜200秒とすることができ、典型的には90〜180秒とすることができる。
<最終の冷間圧延>
最終の溶体化処理に引き続いて最終の冷間圧延を行う。最終の冷間加工によって強度を高めることができるが、良好な耐応力緩和特性を得るためには、加工度を5〜50%、更には20〜40%とすることが望ましい。
<時効処理>
最終の冷間圧延に引き続いて時効処理を行う。材料温度300〜500℃で1〜50時間加熱することが好ましく、材料温度350〜450℃で10〜30時間加熱することがより好ましい。時効処理は、酸化被膜の発生を抑制するためにAr、N2、H2等の不活性雰囲気で行うことが好ましい。
以上を総括すると、本発明の実施の形態に係るチタン銅の製造方法は、
Tiを2.0〜4.5質量%含有し、第三元素としてFe、Co、Ni、Cr、Zn、Zr、P、B、Mo、V、Nb、Mn、Mg、及びSiからなる群から選択された1種以上を合計で0〜0.5質量%含有し、残部が銅及び不可避的不純物からなるチタン銅のインゴットを鋳造する工程と、
当該インゴットに対し、1パスあたりの圧縮歪を0.05〜0.15とし、最終パスの歪速度が15.0〜25.0/sとなるように処理する熱間圧延工程と、
Tiの添加量(質量%)をXとする場合に、加熱温度(℃)を52×X+610〜52×X+680とし、保持時間を20〜200秒で処理する最終溶体化処理工程とを含む。
なお、当業者であれば上記各工程の合間に適宜、表面の酸化スケール除去のための研削、研磨、ショットブラスト酸洗等の工程を行なうことができることは理解できるだろう。
以下に本発明の発明例を比較例と共に示すが、これらは本発明及びその利点をよりよく理解するために提供するものであり、発明が限定されることを意図するものではない。
表1に示す合金成分を含有し残部が銅及び不可避的不純物からなる合金を実験材料とし、合金成分、熱間圧延及び最終溶体化処理の製造条件が、RD方向の逆極点図における<111>の極密度と、<101>と<001>の極密度の関係及び耐応力緩和特性に及ぼす影響を調査した。
まず、真空溶解炉にて電気銅2.5kgを溶解し、第三元素を表1に示す配合割合でそれぞれ添加した後、同表に示す配合割合のTiを添加した。添加元素の溶け残りがないよう添加後の保持時間にも十分に配慮した後に、これらをAr雰囲気で鋳型に注入して、それぞれ約2kgのインゴットを製造した。
上記インゴットに対して950℃で5時間加熱する均質化焼鈍の後、900〜950℃で熱間圧延を行い、板厚10mmの熱延板を得た。面削による脱スケール後、冷間圧延と焼鈍を繰り返して素条の板厚(1.5mm)とし、素条での第一の溶体化処理を行った。第一の溶体化処理の条件は850℃で8分間加熱とし、その後、水冷した。次いで中間の冷間圧延を行った後、最終の溶体化処理を行い、その後、水冷した。次いで、酸洗による脱スケール後、加工度25%の最終冷間圧延を行い板厚0.1mmとし、最後に400℃×20時間の条件で時効処理を行って発明例及び比較例の試験片とした。
作製した試験片について、次の評価を行った。
(0.2%耐力)
JIS13B号試験片を作製し、上述した測定方法に従い引張試験機を用いて圧延方向と平行な方向の0.2%耐力を測定した。
(平均結晶粒径)
各試験片の板面(圧延面)を研磨したのちエッチングし、これに対しEBSD(Electron Back Scatter Diffraction:電子後方散乱回折)測定における結晶方位解析により、EBSDに付属している解析ソフト(例:TSLソリューションズ社製のOIM Analysis)を用いて、方位差5°以上を結晶粒界とみなした場合における平均結晶粒径を測定した。
(逆極点図)
圧延面に対するEBSD(Electron Back Scatter Diffraction:電子後方散乱解析)測定における結晶方位解析において、EBSDに付属している解析ソフト(例えば、TSLソリューションズ社製のOIM Analysis)を用いてRD方向の逆極点図を測定し、<111>、<101>、<001>の極密度を評価し、<101>の極密度より<001>の極密度が高いものを「○」、<101>の極密度が<001>の極密度以下のものを「×」とした。
(耐応力緩和特性)
試験片を300℃で10時間保持した後の応力緩和率を測定した。幅10mm、長さ100mmの短冊形状の試験片を、試験片の長手方向が圧延方向と平行になるように採取した。図1のように、l=50mmの位置を作用点として、試験片にy0のたわみを与え、圧延方向の0.2%耐力の80%に相当する応力(s)を負荷した。y0は次式により求めた。
0=(2/3)・l2・s / (E・t)
ここで、Eは圧延方向のヤング率であり、tは試料の厚みである。300℃にて10時間加熱後に除荷し、図2のように永久変形量(高さ)yを測定し、応力緩和率{[y(mm)/y0(mm)]×100(%)}を算出した。
応力緩和率が10%以下の場合、耐応力緩和特性が良好(○)とみなした。
Figure 0006736631
発明例1〜18の場合はいずれも300℃10時間保持した後の応力緩和率が10%以下となり、優れた耐応力緩和特性を示した。
一方、比較例1は、1パス当たりの圧縮歪が低すぎたことで、<111>の極密度が2.5より小さくなり、発明例1〜18よりも優れた耐応力緩和特性が得られなかった。比較例2は、1パス当たりの圧縮歪が高すぎたことで、<111>の極密度が4.5よりも大きくなりすぎた結果、発明例1〜18よりも優れた耐応力緩和特性が得られなかった。
比較例3は、最終パスの歪速度が小さすぎたため、<101>より<001>の極密度よりも<001>の極密度が低くなり、発明例1〜18よりも優れた耐応力緩和特性が得られなかった。比較例4は、最終パスの歪速度が大きすぎたため、圧延中の形状が悪くなり、製造することができなかった。
比較例5は、最終の溶体化処理の温度が低すぎたため、<111>の極密度が4.5より大きくなった結果、発明例1〜18よりも優れた耐応力緩和特性が得られなかった。比較例6は、最終の溶体化処理の温度が高すぎたため、<111>の極密度が2.5より小さくなった結果、発明例1〜18よりも優れた耐応力緩和特性が得られなかった。
比較例7は、最終溶体化処理の保持時間が短すぎたため、結晶粒径は混粒となり、<101>の極密度よりも<001>の極密度が低くなり、発明例1〜18よりも優れた耐応力緩和特性が得られなかった。比較例8は、最終溶体化処理の保持時間が長すぎたため、結晶粒径は粗大化し、<101>の極密度よりも<001>の極密度が低くなり、発明例1〜18よりも優れた耐応力緩和特性が得られなかった。
比較例9〜11は、チタン又は第三元素の添加量が適切ではなかった場合を示す。比較例9及び11は添加元素及びチタンの量がそれぞれ多すぎたため熱間圧延で割れが発生したため製造することができなかった。比較例10は、Tiの添加量が少なすぎたため、<111>の極密度が2.5より小さくなり、また<101>の極密度よりも<001>の極密度が低くなり、発明例1〜18よりも優れた耐応力緩和特性が得られなかった。

Claims (6)

  1. Tiを2.0〜4.5質量%含有し、第三元素としてFe、Co、Ni、Cr、Zn、Zr、P、B、Mo、V、Nb、Mn、Mg、及びSiからなる群から選択された1種以上を合計で0〜0.5質量%含有し、残部が銅及び不可避的不純物からなり、圧延方向の逆極点図において<111>の極密度が2.5〜4.5であり、<101>の極密度よりも<001>の極密度が高いことを特徴とするチタン銅。
  2. 300℃で10時間保持後の応力緩和率が、10%以下である請求項1に記載のチタン銅。
  3. 圧延面に対するEBSD測定における結晶方位解析において、方位差5°以上を結晶粒界とみなしたときの平均結晶粒径が、2〜30μmである請求項1又は2に記載のチタン銅。
  4. JIS−Z2241(2011)に従って引張試験を行ったときの、圧延方向に平行な方向における0.2%耐力が800MPa以上である請求項1〜3のいずれか一項に記載のチタン銅。
  5. 請求項1〜4の何れか一項に記載のチタン銅を備えた電子部品。
  6. Tiを2.0〜4.5質量%含有し、第三元素としてFe、Co、Ni、Cr、Zn、Zr、P、B、Mo、V、Nb、Mn、Mg、及びSiからなる群から選択された1種以上を合計で0〜0.5質量%含有し、残部が銅及び不可避的不純物からなるチタン銅のインゴットを鋳造し、熱間圧延した後、冷間圧延工程及びその後の最終溶体化処理工程を行うことを含む請求項1〜4の何れか一項に記載のチタン銅の製造方法であって、
    熱間圧延工程が、前記インゴットに対し、1パスあたりの圧縮歪を0.05〜0.15、最終パスの歪速度を15.0〜25.0/sとなるように処理し、
    前記最終溶体化処理工程が、Tiの添加量(質量%)をXとする場合に、加熱温度(℃)を52×X+610〜52×X+680とし、保持時間を50〜200秒で処理すること
    を特徴とするチタン銅の製造方法。
JP2018198646A 2018-10-22 2018-10-22 チタン銅、チタン銅の製造方法及び電子部品 Active JP6736631B2 (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018198646A JP6736631B2 (ja) 2018-10-22 2018-10-22 チタン銅、チタン銅の製造方法及び電子部品
EP19202326.5A EP3643798B1 (en) 2018-10-22 2019-10-09 Titanium copper, method for producing titanium copper and electronic component
RU2019132919A RU2795584C2 (ru) 2018-10-22 2019-10-17 Титаново-медный материал, способ производства титаново-медного материала и электронный компонент

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018198646A JP6736631B2 (ja) 2018-10-22 2018-10-22 チタン銅、チタン銅の製造方法及び電子部品

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2020066757A JP2020066757A (ja) 2020-04-30
JP6736631B2 true JP6736631B2 (ja) 2020-08-05

Family

ID=68242521

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018198646A Active JP6736631B2 (ja) 2018-10-22 2018-10-22 チタン銅、チタン銅の製造方法及び電子部品

Country Status (2)

Country Link
EP (1) EP3643798B1 (ja)
JP (1) JP6736631B2 (ja)

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2790238B2 (ja) 1994-03-23 1998-08-27 日鉱金属株式会社 曲げ性および応力緩和特性に優れたチタン銅合金の製造方法
JP4357548B2 (ja) 2007-06-14 2009-11-04 Dowaメタルテック株式会社 Cu−Ti系銅合金板材およびその製造法
JP4563480B2 (ja) 2008-11-28 2010-10-13 Dowaメタルテック株式会社 銅合金板材およびその製造方法
EP2196548B1 (en) * 2008-12-02 2012-05-16 Dowa Metaltech Co., Ltd. Cu-Ti based copper alloy sheet material and method of manufacturing same
US8097102B2 (en) * 2008-12-08 2012-01-17 Dowa Metaltech Co., Ltd. Cu-Ti-based copper alloy sheet material and method of manufacturing same
JP6263333B2 (ja) 2013-03-25 2018-01-17 Dowaメタルテック株式会社 Cu−Ti系銅合金板材およびその製造方法並びに通電部品

Also Published As

Publication number Publication date
EP3643798B1 (en) 2020-12-16
JP2020066757A (ja) 2020-04-30
RU2019132919A (ru) 2021-04-19
EP3643798A1 (en) 2020-04-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101793854B1 (ko) 전자 부품용 티탄구리
US10100387B2 (en) Copper-titanium alloy for electronic component
JP2011214088A (ja) 電子材料用Cu−Ni−Si−Co系銅合金及びその製造方法
WO2012169405A1 (ja) 電子機器用銅合金、電子機器用銅合金の製造方法、電子機器用銅合金塑性加工材、及び電子機器用部品
JP6125409B2 (ja) 電子部品用チタン銅
JP2009242890A (ja) 電子材料用Cu−Ni−Si−Co系銅合金及びその製造方法
JP6151636B2 (ja) 電子部品用チタン銅
TW201720938A (zh) 銅合金板材及其製造方法
JP6080823B2 (ja) 電子部品用チタン銅
JP6736630B2 (ja) チタン銅、チタン銅の製造方法及び電子部品
JP6125410B2 (ja) 電子部品用チタン銅
JP6080822B2 (ja) 電子部品用チタン銅及びその製造方法
JP2016130370A (ja) 電子部品用チタン銅
JP6736631B2 (ja) チタン銅、チタン銅の製造方法及び電子部品
JP2012229467A (ja) 電子材料用Cu−Ni−Si系銅合金
JP6165071B2 (ja) 電子部品用チタン銅
JP6192552B2 (ja) 電子部品用チタン銅
EP3460081B1 (en) Titanium copper for electronic components
JP6310131B1 (ja) 電子部品用チタン銅
RU2795584C2 (ru) Титаново-медный материал, способ производства титаново-медного материала и электронный компонент
RU2795791C2 (ru) Титаново-медный материал, способ производства титаново-медного материала и электронный компонент
JP2017179392A (ja) Cu−Ni−Co−Si系銅合金及びその製造方法
CN116891960A (zh) Cu-Ti系铜合金板材、其制造方法、通电部件及散热部件
JP2016138335A (ja) 電子部品用チタン銅
JP2016145424A (ja) 電子部品用チタン銅

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190710

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20190813

A975 Report on accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005

Effective date: 20190821

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20191218

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200204

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200403

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200616

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200715

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6736631

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250