JP4662651B2 - 塗布具のクリーニング方法、及びクリーニングドクタ装置、並びにクリーニング方法が適用された塗布装置 - Google Patents

塗布具のクリーニング方法、及びクリーニングドクタ装置、並びにクリーニング方法が適用された塗布装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ドクタブレードによりクリーニング可能なコータにおける塗布具をクリーニングする方法及び該方法によるクリーニングドクタ装置に関し、さらに詳細には、塗布具上の残存塗液を除去して塗布具をクリーニングする塗布具のクリーニング方法および該クリーニング方法を利用したクリーニングドクタ装置などに関する。
【0002】
【従来の技術】
シート状又は板状(特に平板状)の被塗布物に塗液を塗布する為のロールコータにおけるロールをクリーニングして清浄に保持させるために、例えば、図5で示されているように、クリーニングドクタとしてドクタブレードが広く用いられている。図5は、従来のリバースロールコータにおけるロール及びブレードの配置関係を示す概略断面図である。図5において、51はコーティングロール、52はメタリングロール、53はバックロール、54はコーティングロール用クリーニングドクタ、55はメタリングロール用クリーニングドクタ、56は塗液供給用ノズル、57は基材、58は塗液である。また、51aはコーティングロール51の回転方向であり、52aメタリングロール52の回転方向である。53aはバックロール53の回転方向である。図5では、塗液供給用ノズル56からコーティングロール11に塗液18を供給している。供給された塗液18は、コーティングロール11の表面上を該ロール11の回転とともに移動し、メタリングロール12との近似点及びその付近で、余剰の塗液がメタリングロール12に移動して、メタリングロール11上の塗液を所定の量に調整している。なお、塗液の量は、メタリングロール12とコーティングロール11との間隔によりコントロールすることができる。所定の量にコントロールされた塗液18は、バックロール53上の基材17と接して、基材17に塗液18が塗布される。ここで、まず、メタリングロール12に移動した余剰の塗液分は、メタリングロール用クリーニングドクタ55により掻き取られて除去され、メタリングロール12がクリーニング(洗浄)されている。また、コーティングロール11上の残余の塗液分は、コーティングロール用クリーニングドクタ14により掻き取られて除去され、コーティングロール11がクリーニングされている。このようなものが典型的であるが、ロールのクリーニング性(洗浄性)を一層高めるために、例えば、実開昭57−161464号公報には、ドクタブレードを2枚にした構造のドクタブレードが示されている。該ドクターブレードは、除去効率を高める効果があるとはいえ、1枚目と2枚目のドクタブレード間に蓄積される除去物の量が増すにつれ、ドクタブレード間の圧力が高まり、結局は2枚目のドクタブレードに浮きが生じ、除去が十分でなくなる可能性がある。
【0003】
また、特許登録番号2628159号では、2枚のドクタブレード間に塗液のソルベント(溶媒)を流し、塗液中の溶質を溶解除去する方法が示されている。しかし、該方法では、溶質を溶解させているので、往々にしてロール上に溶質の再塗布が起こり、薄膜が残存することがある。しかも、残存した薄膜は周回を重ねるに従い、ロール上に蓄積し、長時間の運転に耐えぬ危険性が有る。また、該特許による方法では、流したソルベントの処理法に触れていないが、ドクタブレードの少なくとも片方から漏れた溶剤は回収される洗浄液に混合され、濃度を変化させる可能性が示唆されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このように、ロールを用いてなる塗液(溶液、混合液)の塗布装置において、ロール上に付着した残余塗液を往々にして払拭する必要があり、払拭の手段としては、溶媒或いは分散媒による洗浄、布などによる拭き取り、クリーニングドクタによる除去(掻き取り除去等)などが考えられ、これらの払拭手段に対しては種々の問題が生じている。例えば、溶媒(溶質に対して良溶媒)による洗浄を行った場合、回収された残余溶液の濃度が、洗浄に用いた溶媒により変更されており、再使用に適さない又は耐えない。しかも、溶媒で洗浄する場合、往々にして除去したい溶質が再塗布され塗膜として残存することがある。また、布などによる拭き取りを行った場合、拭き取った跡がムラとなってロール上に残り、塗膜の品位を著しく低下させる危険がある。
【0005】
さらにまた、通常用いられているクリーニングドクタでは、ドクタブレードのロールに対する当たりが不均一となりやすく、微量の塗液がロール上に残り、特に分散系の塗液などでは分散粒子がロール上で凝集固化しロール上に固着、蓄積する結果、ロール表面の粗度が著しく劣化するため、塗膜の品位を低下させることが多い。特にドクタブレードを2枚用いて除去効率を高めても、1枚目と2枚目のドクタブレード間に蓄積される除去物の量が増すにつれ、除去性が低下する。
【0006】
このように、ロール表面の洗浄化は、ロール塗工の製品品位に顕著な影響を及ぼし、高い塗膜品位を求められる製品の製造上、重大な障害となるため、解決することが求められている。
【0007】
従って、本発明の目的は、ドクタブレードによりクリーニング可能なコータにおける塗布具表面上の残余塗液を、ドクタブレードにより優れた除去効率で除去して、塗布具をクリーニングすることができる塗布具のクリーニング方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、さらに、ドクタブレードによりクリーニング可能なコータにおける塗布具上の残余塗液をほとんど又は完全に除去して、コータにより塗布した塗膜の品位を低下を長期間にわたり抑制又は防止することができる塗布具のクリーニング方法を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、前記塗布具のクリーニング方法を利用したクリーニングドクタ装置、塗布装置並びにクリーニングチャンバ装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記の問題点を解決するために鋭意検討した結果、エマルション或いはディスパージョンの塗工においてロール表面に分散質が固着、蓄積する原因は、1枚のドクタブレードでロール上から塗液を完全に除去できないこと、また除去されなかった塗液から分散媒が蒸発すること、さらに分散媒の蒸発により固化した分散質がロール表面に接着するためであるとの知見を得た。
【0009】
これを防ぐためには、まずはドクタブレードを複数にし除去量を上げることが重要であるとの知見を得た。
【0010】
次に、第1のドクタブレードを通過後に、塗液中の分散質の貧溶媒又は塩析剤含有液と接触させることにより、分散質を凝集又は析出させて、第2のドクタブレード以降のドクタブレードにより分離除去すると共に、必要に応じて、塗液からの分散溶媒の蒸発を抑制又は防止するために、除去されなかった(除去を免れた)塗液上を被うに足る量の分散溶媒を供給することが有効であり、あるいは、ロール表面と固化した分散質の間に貧溶媒を含ませ、固化した分散質がロール表面に接着することを防ぐか、ロール表面に除去されずに残った塗液から分散質の貧溶媒或いは塩析剤を混入した分散媒で分散質を分離し、第2のブレード以降のブレードで残存物を取り除くことが有効であるとの知見を得た。
【0011】
そこで、さらに鋭意検討した結果、複数のドクタブレードをクリーニングドクタとして用い、さらに該ドクタブレード間に特定の溶媒を供給しつつ残余塗液を第2のドクタブレード以降のドクタブレードにより除去すると、ロール表面に残余した塗液を効果的に除去することができ、該除去方法によりクリーニングされたロールでは、長期間にわたり高い品質で塗膜を形成することができることを見出し、本発明を完成させた。
【0012】
すなわち、本発明は、ドクタブレードによりクリーニング可能なコータにおける塗布具をクリーニングする方法であって、複数のドクタブレードをクリーニングドクタとして用い、該ドクタブレード間に塗液中の分散質又は溶質を凝集又は析出可能な洗浄液を供給させて、該洗浄液により第1のドクタブレードにより除去されなかった塗液中の分散質又は溶質を凝集又は析出させ、該凝集又は析出した分散質又は溶質を含む残存物を第2のドクタブレード以降のドクタブレードにより除去して、塗布具をクリーニングすることを特徴とする塗布具のクリーニング方法である。
【0013】
該塗布具のクリーニング方法では、塗布具としてはロール又は平板を好適に用いることができる。また、洗浄液が塗液中の分散質又は溶質の貧溶媒又は塩析剤含有液であることが好ましい。塗液はエマルション又はディスパージョンであってもよい。
【0014】
また、本発明は、複数のドクタブレードと、該複数のドクタブレードを装着可能なホルダとを有するとともに、コータにおける塗布具をクリーニングするためのクリーニングドクタ装置であって、前記複数のドクタブレード及びホルダにより、一方の側が開放部となっている半管状構造物が形成されているとともに、刃先が塗布具表面に接するように設置されたドクタブレードにより、半管状構造物と塗布具との間がシールされており、かつ、該半管状構造物の内部且つドクタブレード間に、塗液中の分散質又は溶質を凝集又は析出可能な洗浄液を供給させて、該洗浄液により第1のドクタブレードにより除去されなかった塗液中の分散質又は溶質を凝集又は析出させ、該凝集又は析出された分散質又は溶質を含む残存物を第2のドクタブレード以降のドクタブレードにより除去して、塗布具をクリーニングすることを特徴とするクリーニングドクタ装置を提供する。
【0015】
前記クリーニングドクタ装置では、塗布具としてはロール又は平板を好適に用いることができる。また、洗浄液が塗液中の分散質又は溶質の貧溶媒又は塩析剤含有液であることが好ましい。さらに、ドクタブレードの少なくとも片端が、溶剤回収用のポンプへ回収用ホースにより連結されており、ドクタブレード間に供給される洗浄液の循環が可能であってもよく、ドクタブレード間に供給される洗浄液の循環経路に、遊離溶質回収用のフィルタ又は回収装置が設置されていてもよい。さらにまた、各ドクタブレード間に、塗液の溶媒と混合し、且つ塗液中の分散質又は溶質に対して良溶媒となる溶媒と、塗液の溶媒と混合し、且つ塗液中の分散質又は溶質の少なくとも一部に対して貧溶媒となる溶媒とを、交互又は適当な順序で組み合わせて流して巡回させるとともに、別々に回収することが可能であってもよい。
【0016】
また、本発明は、塗布具が装着されている塗布装置であって、前記塗布具のクリーニング方法が適用された塗布装置を提供する。該塗布装置では、塗布具がロール又は平板であることが好ましい。
【0017】
さらにまた、本発明は、ドクタブレードによりクリーニング可能なコータにおける塗布具表面に刃状構造物が接するように、一方の側が開放部となっている半管状構造物が設置され、該半管状構造物における塗布具表面に接する刃状構造物がブレードを兼ねているか、もしくは、塗布具との接面にブレードが装着されているクリーニングチャンバであって、半管状構造物の内部且つドクタブレード間に、塗液中の分散質又は溶質を凝集又は析出可能な洗浄液を供給させて、該洗浄液により第1のブレードで除去されなかった塗液中の分散質又は溶質を凝集又は析出させ、該凝集又は析出された分散質又は溶質を含む残存物を第2のブレード以降のブレードにより除去して、ロールをクリーニングすることを特徴とするクリーニングチャンバ装置を提供する。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面に基づいて説明する。図1は、本発明のクリーニングドクタ装置をロールに対して配置した状態を示す概略断面図である。図1において、1はクリーニングドクタ装置、11は第1のドクタブレード、12は第2のドクタブレード、13はホルダ、14はホルダ締め付けボルト、15は洗浄液、16はメタリングロール、17はメタリングロール16の回転方向である。クリーニングドクタ装置1は、第1のドクタブレード11と、第2のドクタブレード12とが、ホルダ締め付けボルト14によりホルダ13に固定されて構成されている。本発明では、クリーニングドクタ装置の構造等は、複数のドクタブレードと、該複数のドクタブレードを装着可能なホルダとを有していれば特に制限されない。
【0019】
(メタリングロール,塗液)
図1において、メタリングロール16は、ロールコータなどの塗布装置におけるロールである。すなわち、メタリングロール16は、塗布具であり、該メタリングロール16により、塗液を被塗布物に塗布することができる。このような塗液としては、特に制限されない。塗液としては、例えば、粘着剤を含有した粘着用塗液、着色剤を含有した着色用塗液などが挙げられる。本発明では、塗液としては、粘着剤を含有した粘着用塗液が好適である。塗液は単独で又は2種以上組み合わせて使用されていてもよい。
【0020】
塗液は分散質又は溶質を含有しており、例えば、粘着用塗液は、通常、固形成分が界面活性剤等により水に分散させられた分散質を有している。従って、粘着用塗液は、通常、エマルション又はディスパージョンの形態を有している。前記固形成分としては、例えば、ポリマ等の有機物質や、無機物質などが用いられている。より具体的には、前記有機物質としては、例えば、粘着剤等において一般的に用いられているようなアクリル系ポリマなどが挙げられる。
【0021】
なお、図1では、メタリングロール16は、回転方向17の方向に回転することができる。
【0022】
(ドクタブレード)
クリーニングドクタ装置1は、メタリングロール16のロール上の残余塗液を除去して、メタリングロール16をクリーニングするための装置である。図1に係るクリーニングドクタ装置1は、複数のドクタブレード(11,12)と、該複数のドクタブレード(11,12)を装着可能なホルダ13とを有している。クリーニングドクタ装置1において、ドクタブレード(11,12)の刃先は、メタリングロール16のロール表面に接しており、該ロール表面上の塗液を掻き取って除去することが可能である。該クリーニングドクタ装置1では、ドクタブレードが複数設けられており、第1のドクタブレード11により除去されなかったものを、第2のドクタブレード12により除去することができ、より一層、除去量を高めることができる。
【0023】
図1では、ドクタブレードが2つ設けられているが、ドクタブレードの数は少なくとも2つであれば特に制限されない。また、ドクタブレードの形状や大きさ等も特に制限されない。
【0024】
なお、本発明のクリーニングドクタ装置は、1つのロールに対して単数又は複数設置することができる。
【0025】
(洗浄液)
複数のドクタブレード(11,12)間には洗浄液15が含有されている。該洗浄液15は、塗液中の分散質又は溶質を凝集又は析出可能な洗浄液である。すなわち、本発明では、第1のドクタブレード11により除去されなかった塗液(残存塗液)中の分散質又は溶質を、洗浄液15により凝集又は析出させていることが重要である。この凝集又は析出した分散質又は溶質を含む残存物は、第2のドクタブレード12により除去することができる。前記凝集又は析出した分散質又は溶質を含む残存物には、前記残存塗液中の分散溶媒や界面活性剤等が含まれる。
【0026】
洗浄液15は、塗液中の分散質又は溶質を凝集又は析出させることが可能な溶液であれば、特に制限されない。このような洗浄液15としては、例えば、塗液中の分散質又は溶質の貧溶媒、塩析剤を含有する塩析剤含有液を含んでいる溶液が挙げられる。本発明では、洗浄液15は、分散質又は溶質の貧溶媒、塩析剤含有液のみからなっていてもよい。また、洗浄液15は、塗液中の分散質又は溶質の少なくとも一部に対して貧溶媒となる溶媒であってもよい。洗浄液は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0027】
洗浄液において、塗液中の分散質又は溶質の貧溶媒(以下、単に「貧溶媒」と称する場合がある)としては、特に制限されず、塗液中の分散質又は溶質の種類や含有量に応じて適宜選択することができる。例えば、分散質における固形成分としてアクリル系ポリマが用いられている場合、メタノール、エタノールなどの低級アルコールを好適に用いることができる。このように、固形成分としての有機物質(高分子化合物など)が界面活性剤により水に分散されている分散質を有するエマルション及び/又はディスパージョン塗液において、分散溶媒である水と任意の割合で混合すると共に、分散質(または分散質中の固形成分)の貧溶媒となる液体を、ディスパージョン塗液に混入させると、分散質が凝集又は析出するので、塗液から分散質を分離させることが可能となる。より具体的には、例えば、塗液としての粘着用塗液には、粘着剤の粘着性成分又はベース樹脂として一般的に用いられているアクリル系ポリマが界面活性剤により水中に分散された分散質を含有している。このようなアクリル系ポリマ(分散質における固形成分である)が分散されている水性液に、低級アルコール(メタノール、エタノール等)などを加えると、アクリル系ポリマが凝集又は析出するようになり、容易にアクリル系ポリマの凝集分離を行うことが可能となる。
【0028】
また、塗液が、親水性分散媒/親油性分散質エマルションの系、親油性分散媒/親水系分散質エマルションの系である場合でも、もちろん、同様の方法により、分散質を凝集又は析出させることが可能である。具体的には、このような系では、分散媒に混合する液体と分散質中の溶剤の良溶媒且つ分散質中の溶質の貧溶媒を用いることが重要である。
【0029】
また、洗浄液において、塩析剤を含有する塩析剤含有液としては、分散質又は溶質の塩析が起こるような液であれば特に制限されない。例えば、塩析剤含有溶液としては、いわゆる凝固剤を含有している液などを用いることができる。塩析剤含有液又は凝固剤としては、塗液中の分散質又は溶質の種類や含有量に応じて適宜選択することができる。前記凝固剤としては、特に制限されず、例えば、無機酸又はその塩、有機酸又はその塩、アミン系化合物などが挙げられる。無機酸又はその塩には、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、炭酸、リン酸などの無機酸又はその塩[カリウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩などの金属塩(1価又は多価の金属塩など)]などが含まれる。有機酸又はその塩としては、例えば、カルボン酸(酢酸、プロピオン酸など)、スルホン酸(パラトルエンスルホン酸など)などが挙げられる。また、アミン系化合物としては、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミンなどの脂肪族アミン;シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミンなどの脂環式アミン;ベンジルアミンなどの芳香族アミン;ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、インドリンなどの環状アミン(芳香族性又は非芳香族性環が縮合していてもよい)などが挙げられる。例えば、アクリル系ポリマ(分散質中の固形成分である)が分散されている水性液に、凝固剤又は凝固剤を含有する溶液を加えると、アクリル系ポリマが塩析あるいはpHショック、分散安定性の低下等により凝集又は析出するようになるので、容易にアクリル系ポリマの凝集分離を行うことが可能となる。
【0030】
さらにまた、エマルション又はディスパージョンの形態の分散液では、分散に用いている界面活性剤が一定濃度以下になった場合、もはや分散状態を保つことができず、粒子の凝集、沈降が起こる。従って、第1のドクタブレードで除去できずロール上に残存した塗液に界面活性剤濃度が上述した一定値以下になるように分散媒を添加すれば分散質又は溶質を分離させることができる。しかし、この方法では上記の方法(貧溶媒を用いる方法、塩析剤含有液を用いる方法など)に比べて分散質又は溶質の分離効率が低い。
【0031】
このように、本発明では、複数のドクタブレードを用いているとともに、該ドクタブレード間に、特定の洗浄液を含有させて、塗液中の分散質又は溶質を凝集又は析出させて、2枚目以降のドクタブレードにより、前記凝集又は析出した分散質又は溶質を含む残存物を除去している。このような方法によるロールの表面上の残余塗液の除去では、優れた除去効率でロールをクリーニングすることができるので、バックロールを除くロール表面の余剰液の固化蓄積による汚染を大きく減少させることができる。
【0032】
なお、本発明では、洗浄液を他の液と組み合わせて用いることが可能である。このように、洗浄液と他の液とを組み合わせて用いる場合、同時にドクタブレード間に供給したり単に混合したりして組み合わせるのではなく、交互又は適当な順序でドクタブレード間に供給することにより組み合わせて用いることが好ましい。洗浄液と組み合わせて用いることができる他の液としては、特に制限されないが、例えば、塗液の分散溶媒、塗液の溶媒と混合し塗液中の分散質又は溶質に対して良溶媒となる溶媒などを好適に用いることができる。塗液の分散溶媒や塗液中の分散質又は溶質に対して良溶媒となる溶媒などを用いることにより、塗液からの分散溶媒の蒸発を抑制又は防止することができる。なお、塗液の分散溶媒や塗液中の分散質又は溶質に対して良溶媒となる溶媒としては、除去されなかった(除去を免れた)残余塗液を被うに足る量を供給することが好ましい。
【0033】
従って、本発明では、各ドクタブレード間に、塗液の溶媒と混合し、且つ塗液中の分散質又は溶質に対して良溶媒となる溶媒と、塗液の溶媒と混合し、且つ塗液中の分散質又は溶質の少なくとも一部に対して貧溶媒となる溶媒とを、交互又は適当な順序で組み合わせて供給することができる。なお、この場合、これらの溶媒は、巡回させて用いることが好ましく、さらに、別々に回収して用いることが好適である。
【0034】
洗浄液は、ドクタブレード間に供給されていればよく、例えば、図2及び3に示されるように、洗浄液がドクタブレード間を流動していることが好ましい。図2は、ドクタブレード間を洗浄液が流動している状態クリーニングドクタ装置の一例を示す概略図である。図3は図2に係るクリーニングドクタ装置について主要な部位を示す概略断面図である。図2及び3において、2はクリーニングドクタ装置、21はホルダ、21aはホルダ21の一方の端部、21bはホルダ21の他方の端部、22は半管状形状部、22aは液止め部、23は第1のドクタブレード、23aは第1のドクタブレード23の刃先、24はドクタブレードの取付板、25は締め付けボルト、26は第2のドクタブレード(図2では示されていないが、図3によりその配置が明確である)、27はロール、28は洗浄液、29は洗浄液28の循環用ホース、210はフィルタ、211は循環ポンプ、212はロール27の回転方法である。なお、図2及び3に係るクリーニングドクタ装置2では、半管状部構造物22の内部且つドクタブレード(23,26)間を、洗浄液28が供給されて流動している。
【0035】
図2及び3では、ドクタブレード23は、ホルダ21におけるブレード取付板23に締め付けボルト25により固定されて設置されている。図2では示されていないが、図3より、ドクタブレード26についても同様である。また、複数のドクタブレード(23,26)とホルダ21とにより、半管状構造物22が形成されており、該半管状構造物22の何れか一方の側が開放部となっている。図2では、ロール27側が開放部となっている。このような一方の側が開放部となっている半管状構造物22は、例えば、樋状構造物、または筒状構造物を長軸に沿って半割りにしたような構造物のような形態を有しており、該半管状構造物22によりクリーニングドクタ装置2が構成されている。具体的には、複数のドクタブレード(23,26)の刃先(23aなど)はロール27のロール面に接するように設置されており、これにより、半管状構造物22におけるドクタブレード(23,26)とロール27との間がシールされている。また、ホルダ21の端部(21a,21b)では液止め部(22aなど)が設けられており、これにより、ホルダ21の端部(21a,21b)とロール27との間がシールされている。従って、クリーニングドクタ装置2は、ロール27側が開放部となっている半管状構造物から構成され、しかも、半管状構造物22とロール27との間がシールされているので、ドクタブレード(23,26)間に供給されている洗浄液28が全く又はほとんど漏れない構造となっている。
【0036】
また、半管状構造物22において、その一方の端部21aから他方の端部21bには、洗浄液28を半管状構造物22内及びドクタブレード間(23,26)に供給して循環させるための循環用ホース(回収用のホース)29が連結されており、該循環用ホース29には、溶剤回収用のポンプ211が設置されており、ドクタブレード(23,26)間を流れて供給される洗浄液28の循環が可能となっている。さらに、循環用ホース29には、遊離溶質回収用のフィルタ210が設置されており、固形成分を回収することが可能となっており、しかも、循環する洗浄液28から分散質又は溶質を除去して、純度の高い洗浄液を循環させることが可能となっている。具体的には、洗浄液28は、ホルダ21の端部21aから端部21bの方向に、ドクタブレード(23,26)間を流れ、さらに洗浄液28の循環用ホース(回収用のホース)29を通って、溶剤回収用のポンプ211に到達して循環するようになっており、フィルタ210に到達すると、洗浄液中の凝集又は析出された分散質又は溶質がフィルタにより取り除かれて、分散質又は溶質を含有しない洗浄液が端部21aに流れて、洗浄液28が循環されている。
【0037】
なお、洗浄液28としては、前述のような、塗液中の分散質又は溶質を凝集又は析出可能な洗浄液が用いられている。
【0038】
このように、洗浄液が供給され流れている形態であると、より一層、塗液中の分散質又は溶質を凝集又は析出させて、除去しやすくなる。さらに、除去された余剰液残査はブレード間を流れる洗浄液により、ブレード間から搬出される(特に、循環系内に設置した濾過器により除去することも可能である)ので、塗工系を清浄に保ち、ロールの汚染パタンの転写による塗工被膜面の品質劣化を軽減することが可能である。
【0039】
特に、洗浄液を循環させる形態であると、洗浄液を再利用することができ、コストを低減することができ、より経済的に有利となる。
【0040】
しかも、図2で示されるようなフィルタ(遊離溶質回収用のフィルタ)又は遊離溶質回収用の回収装置が設けられていると、洗浄液中に含まれている異物としての、凝集又は析出された分散質又は溶質を取り除くことができるので、洗浄液を長期間清浄に又はほぼ清浄に保つことができるようになり、さらに経済的に有利となる。もちろん、前述のように、塗工系を清浄に保つことができ、ロールによる塗膜の品質劣化を軽減することが可能である
【0041】
このように、特定の洗浄液(塗液中の分散質又は溶質の貧溶媒又は塩析剤含有液など)を用いて、第1のドクタブレードと第2のドクタブレードとの間で、分散質又は溶質を凝集又は析出させて、該凝集又は析出された分散質又は溶質を第2のドクタブレードにより除去しているが、第2のドクタブレードでも完全に除去できない場合がある。このような場合は、塗膜品位に対する要請上、必要であれば、更に複数のドクタブレードを設置するか、更にはこの増設したドクタブレード間に塗膜品位に影響が少ないような液体で、第1のドクタブレードと第2のドクタブレードとの間に液体を供給させて(特に、液体を循環により供給させて)、微量の塗液成分の除去を行うことができる。
【0042】
(被塗布物)
本発明では、ロールコータなどの塗布装置により塗布される被塗布物としては、特に制限されない。被塗布物としては、例えば、シート状や板状(特に平板状)のものが好適に用いられる。具体的には、被塗布物としては、プラスチックシート又はフィルム、紙類、不織布等の布製品、金属箔などが挙げられる。
【0043】
このように、本発明の本質又はポイントは、第2のドクタブレードにより第1のドクタブレードで除去を免れた塗液残存物を除去する際に、塗液中から分散質又は溶質を凝集又は析出させて、塗液の液体成分から分散質又は溶質を分離させることである。すなわち、このような本質を有している限り、クリーニング方法が、上述のものに限定されぬことは言うまでもない
【0044】
従って、塗布装置としては、ドクタブレードによりクリーニング可能なコータにおける塗布具を有する塗布装置であれば特に制限されない。例えば、上記では、塗布具としてロールを用いたロールコータを塗布装置の一例として例示しているが、塗布装置としては、塗布具として平板を用いたものであってもよい。すなわち、塗布装置におけるロールなどの塗布具としては、特に制限されず、ドクタブレードによりクリーニング可能な表面を有する塗布具を用いることができ、なかでも、球面や平面などの平らな面を有する塗布具が好適に用いられる。
【0045】
また、本発明のクリーニング方法を利用した塗布装置、すなわち、前記クリーニングドクタ装置を有する塗布装置も、本発明のクリーニング方法の本質が適用されている。従って、このような塗布装置を用いると、常に、塗工系を清浄に保ち、優れた品質で塗膜を形成することができる。
【0046】
さらにまた、本発明のクリーニング方法を利用したクリーニングチャンバ装置等も本発明のクリーニング方法の本質を適用させることができる。このようなクリーニングチャンバ装置としては、前記クリーニングドクタ装置をチャンバに対応させたものが挙げられる。より具体的には、図4で示されているようなチャンバ装置が挙げられる。図4は、本発明のクリーニングチャンバ装置をロールに対して配置した状態を示す概略断面図である。図4では、チャンバとブレードとの断面構造が示されている。図4において、4はクリーニングチャンバ装置であり、41はチャンバ外壁を兼ねるホルダ、42は第1のブレード、43は第3のブレード、44はブレード取付板、45は締め付けボルト、46は第1の洗浄液、47は第2の洗浄液、48はチャンバの隔壁、49は隔壁48の先端の第2のブレードを兼ねる加工部、410はロール、411はロールの回転方向である。
【0047】
図4に係るクリーニングチャンバ装置4では、ホルダ41がチャンバの外壁を兼ねており、隔壁48により、複数のチャンバが設けられている。また、ホルダ41等により、ロール410面側が開放部となっている半管状構造物が構成されている。該半管状構造物は、ロール410の表面に刃状構造物が接するように設置されており、前記半管状構造物におけるロール面に接する刃状構造物は、隔壁48の先端の加工部49のように、ブレードを兼ねていてもよく、ブレード(42,43)のように、ロール接面にブレードが装着されていてもよい。さらに、チャンバが複数設けられており、該チャンバ内(すなわち、半管状構造物の内部且つドクタブレード間)に、洗浄液(46,47)が供給されている。この洗浄液(46,47)は、前記例示の洗浄液と同様であり、具体的には、塗液中の分散質又は溶質を凝集又は析出可能な洗浄液である。なお、ロール410は、もちろん、塗液を被塗布物に塗布するロールコータにおけるロールである。
【0048】
このようなチャンバ装置4では、前記クリーニングドクタ装置1と同様に、洗浄液(46,47)により第1のブレードで除去されなかった塗液中の分散質又は溶質を凝集又は析出させ、該凝集又は析出した分散質又は溶質を含む残存物を第2のブレード以降のブレードにより除去して、ロールをクリーニングすることができる。
【0049】
本発明のクリーニング方法を利用すると、ロールコータ等の塗布装置におけるロール等の塗布具の表面上の残余塗液をドクタブレードにより優れた除去効率で除去して、ロールをクリーニングすることができる。従って、ロール表面の余剰液の固化蓄積による汚染が大きく減少する。
【0050】
また、除去された余剰液残査はブレード間を流れる貧溶媒などによりブレード間から搬出され、循環系内に設置した濾過器により除去することができるので、塗工系を清浄に保ち、ロールの汚染パタンの転写による塗工被膜面の品質劣化は軽減される。すなわち、ロールコータ等の塗布装置により塗布した塗膜の品位を低下を長期間にわたり抑制又は防止することができ、優れた品位の塗膜を長期間にわたり形成させることができる。
【0051】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は実施例のみに限定されるものではない。なお、以下において、部とあるのは重量部を、%とあるのは重量%を、それぞれ意味する。
【0052】
(参考例1)
冷却管、窒素導入管、温度計及び撹拌装置を備えた反応容器に、アクリル酸ブチル59部、メタクリル酸ブチル40部及びアクリル酸1部からなる単量体混合物、重合開始剤として過硫酸カリウム0.3部、乳化剤としてポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル0.3部及びポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸アンモニウム0.3部、水100部を入れて、乳化重合を行った。その後、該反応液を、10%アンモニウム水によりpH8に調整して、アクリル系共重合体の水分散液を得た。
【0053】
上記アクリル系共重合体の水分散液に、分散質固形分100部当たり、オキサゾリン基含有水溶性架橋剤(日本触媒(株)社製、商品名「WS−500」)1部を混合して、感圧性粘着剤を調製した。該感圧性粘着剤を、厚さが50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、「PETフィルム」と称する場合がある)からなる支持体の片面に、乾燥後の厚さが15μmとなるように10m/分の塗布速度で、リバースロールコータで塗布した後、85℃で3分間加熱して粘着テープを作製した。
【0054】
なお、使用したリバースコータとしては、図5に示されるような一般的に使用されているリバースロールコータを用いた。該図5では、リバースロールコータのロールの配置と、メタリングロール及びコーティングロールのクリーニングドクタの配置が示されている。
【0055】
(比較例1)
参考例1において、感圧性粘着剤を塗工する際、図1に示すような通常使用されるスェーデン鋼製或いはポリエステルフィルム製1枚刃のドクタブレードを使用したところ、ドクタブレードを通過してコーティングロールと接する間のメタリングロール表面上にブレードによる除去を免れた塗液がスジ或いは帯状に残存固化し、複数のスジないしは帯状のパタンをなして接着した。
【0056】
このようなメタリングロール表面に形成されたパタンは、メタリングロール及びコーティングロール間における塗液の計量の際、計量ギャップの寸法不均一性をもたらし、コーティングロール上に形成された計量塗液膜に同一パタンを転写し、その結果、コーティングロールから基材に転写される感圧性粘着剤の塗布面に同様のパタンを形成した。そのため、このようなパタンが感圧性粘着剤面に形成され、塗工面の製品品位が著しく低下した。従って、特に外観を重視する要求仕様を含む製品を生産することができなかった。
【0057】
(実施例1)
参考例1の粘着テープを作製する際、図2に示すような洗浄液を有する2枚のドクタブレードをメタリングロールに取り付けて塗液の残余液をメタリングロール上から除去して、粘着テープを作製した。なお、ドクタブレード間の流路にはドクタブレードの片端から蒸留水を30ml/分の流量で流し、ドクタブレードの他端で回収した。
【0058】
メタリングロール上には目視で塗液の残存は認められず、塗布された感圧性粘着剤表面にもスジなどの外観欠点は見られなかった。
【0059】
(比較例2)
ドクタブレード間に蒸留水を流さなかったこと以外は、実施例1と同様にして(実施例1に準じる方法で)、粘着テープを作製した。その結果、第2のドクタブレードで補足された残存液は0.8ml/分であり、第2のドクタブレードを通過してもなお残存した塗液でロール表面は汚染され、塗膜にスジ状の塗布欠陥が発生した。
【0060】
なお、比較例2で示されているように、ドクタブレード間に蒸留水を流さない場合の捕捉量は0.8ml/分であるため、もし比較例2の第2のドクタブレードで捕捉されず通過した塗液が同量有ったとしても、流された蒸留水の残存液に対する比率は約20倍であり、塗液が再分散されたとすれば界面活性剤濃度は0.015%程度になり、分散質は安定に分散されず、凝集分離するか分散濃度を減じられてドクタブレード間から流出し、結果的に第1のドクタブレードで残存塗液相当量が捕捉されたものと考えられる。
【0061】
(実施例2)
ドクタブレード間にメタノールを流したこと以外は、比較例1と同様にして(比較例1に準じる方法で)、粘着テープを作製した。但し、この際に用いたクリーニングドクタブレードは図3に示すように両端からの液の漏出を防ぐために、ロールの曲面に沿うように金属を加工した液止めを両端に有するホルダに取り付けた。ホルダ両側にはポリエステル製或いはスェーデン鋼製ブレードがボルトによって締め付けられる板状金属で固定でき、且つ、ドクタブレード両端は液止めに掘った溝にはめ込まれて、液の遺漏又は漏洩を防いでいる。また、ホルダはドクタブレードと共に半管状構造をなしており、該半管状構造物中に、定量ポンプでタンクから吸引されたメタノールを15ml/分の流速で流した。ホルダの片端から流入したメタノールは他端に設けた流出口、及び、それにホースにより接続されたフィルタを経て、ポンプによる再循環に供するためにタンクへと戻した。この操作により時間的に平均すると、0.9g/分の分離ポリマがフィルタにより濾過、捕集された。
【0062】
また、メタリングロールを目視で観察したところ、汚染が無く、塗膜にもスジなどの外観上の欠点が存在せず、品質的に非常に良好であった。
【0063】
(実施例3)
ドクタブレード間に1%硫酸ナトリウム水溶液及び水を流したこと以外は、比較例1と同様にして(比較例1に準じる方法で)、粘着テープを作成した。但し、この際に用いたクリーニングドクタブレードは、図3に示したブレードホルダの間隔を広げ、ホルダ中に設けた半管状構造物の中間に隔壁を設け、2本の半管状構造物が平行に配列された構造を有するものである。図4にクリーニングドクタの断面構造を示す。隔壁は一端がロール面に密着する金属の板状物で形成され、第2のブレードを兼ねている。また、ホルダ両側には図3と同様の方法で、第1及び第3の2枚のブレードを設置した。係る構造のチャンバの第1のブレードを有する半管状構造物に1%硫酸ナトリウム水溶液を15ml/分の流速で流し、さらに、第2のブレードを取り付けた方には蒸留水を15ml/分の流速で流した。各々の半管状構造物を通る液体は、実施例2と同様の方法で回収、循環した。
【0064】
該実施例3に係る方法では、捕集物は、硫酸ナトリウム水溶液を流した第1の半管状構造物からは実施例2と同様の約0.9g/分の凝固物が捕集されたが、第2の半管状構造物からの捕集物は確認できなった。しかし、第2の半管状構造物から回収された液を蒸発固化した際、微量の硫酸ナトリウムが析出しているのが認められ、第2の半管状構造物により、第1の半管状構造物から遺漏した微量の硫酸ナトリウムが塗膜に到達する量を減じる効果があった。
【0065】
また、メタリングロールを目視で観察したところ、汚染が無く、塗膜にもスジなどの外観上の欠点が存在せず、品質的に非常に良好であった。
【0066】
【発明の効果】
本発明によれば、複数のドクタブレードをクリーニングドクタとして用い、該ドクタブレード間に塗液中の分散質又は溶質を凝集又は析出可能な洗浄液を供給させているので、ロール上の残余塗液をほとんど又は完全に除去して、ロールコータにより塗布した塗膜の品位を低下を長期間にわたり抑制又は防止することができ、常に塗工系を清浄に保ち、優れた品質で塗液を塗布することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のクリーニングドクタ装置をロールに対して配置した状態を示す概略断面図である。
【図2】ドクタブレード間を洗浄液が流動している状態のクリーニングドクタ装置の一例を示す概略図である。
【図3】図2に係るクリーニングドクタ装置について主要な部位を示す概略断面図である。
【図4】本発明のクリーニングチャンバ装置をロールに対して配置した状態を示す概略断面図である。
【図5】従来のリバースロールコータにおけるロール及びブレードの配置関係を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1 クリーニングドクタ装置
11 第1のドクタブレード
12 第2のドクタブレード
13 ホルダ
14 ホルダ締め付けボルト
15 洗浄液
16 メタリングロール
17 メタリングロール16の回転方向
2 クリーニングドクタ装置
21 ホルダ
21a ホルダ21の一方の端部
21b ホルダ21の他方の端部
22 半管状構造物
22a 液止め部
23 第1のドクタブレード
23a 第1のドクタブレード23の刃先
24 ドクタブレードの取付板
25 締め付けボルト
26 第2のドクタブレード
27 ロール
28 洗浄液
29 洗浄液28の循環用ホース
210 フィルタ
211 循環ポンプ
212 ロール27の回転方法
4 クリーニングチャンバ装置
41 チャンバ外壁を兼ねるホルダ
42 第1のブレード
43 第3のブレード
44 ブレード取付板
45 締め付けボルト
46 第1の洗浄液
47 第2の洗浄液
48 チャンバの隔壁
49 隔壁48の先端の第2のブレードを兼ねる加工部
410 ロール
411 ロールの回転方向

Claims (12)

  1. ドクタブレードによりクリーニング可能なコータにおける塗布具をクリーニングする方法であって、複数のドクタブレードをクリーニングドクタとして用い、該ドクタブレード間に塗液中の分散質又は溶質を凝集又は析出可能な洗浄液を供給させて、該洗浄液により第1のドクタブレードにより除去されなかった塗液中の分散質又は溶質を凝集又は析出させ、該凝集又は析出した分散質又は溶質を含む残存物を第2のドクタブレード以降のドクタブレードにより除去して、塗布具をクリーニングすることを特徴とする塗布具のクリーニング方法。
  2. 塗布具がロール又は平板である請求項1記載の塗布具のクリーニング方法。
  3. 洗浄液が塗液中の分散質又は溶質の貧溶媒又は塩析剤含有液である請求項1又は2記載の塗布具のクリーニング方法。
  4. 塗液がエマルション又はディスパージョンである請求項1〜3の何れかの項に記載の塗布具のクリーニング方法。
  5. 複数のドクタブレードと、該複数のドクタブレードを装着可能なホルダとを有するとともに、コータにおける塗布具をクリーニングするためのクリーニングドクタ装置であって、前記複数のドクタブレード及びホルダにより、一方の側が開放部となっている半管状構造物が形成されているとともに、刃先が塗布具表面に接するように設置されたドクタブレードにより、半管状構造物と塗布具との間がシールされており、かつ、該半管状構造物の内部且つドクタブレード間に、塗液中の分散質又は溶質を凝集又は析出可能な洗浄液を供給させて、該洗浄液により第1のドクタブレードにより除去されなかった塗液中の分散質又は溶質を凝集又は析出させ、該凝集又は析出された分散質又は溶質を含む残存物を第2のドクタブレード以降のドクタブレードにより除去して、塗布具をクリーニングすることを特徴とするクリーニングドクタ装置。
  6. 塗布具がロール又は平板である請求項5記載のクリーニングドクタ装置。
  7. 洗浄液が塗液中の分散質又は溶質の貧溶媒又は塩析剤含有液である請求項5又は6記載のクリーニングドクタ装置。
  8. ドクタブレードの少なくとも片端が、溶剤回収用のポンプへ回収用ホースにより連結されており、ドクタブレード間に供給される洗浄液の循環が可能である請求項7記載のクリーニングドクタ装置。
  9. ドクタブレード間に供給される洗浄液の循環経路に、遊離溶質回収用のフィルタ又は回収装置が設置されている請求項8記載のクリーニングドクタ装置。
  10. 塗布具が装着されている塗布装置であって、請求項1〜4の何れかの項に記載の塗布具のクリーニング方法が適用された塗布装置。
  11. 塗布具がロール又は平板である請求項10記載の塗布装置。
  12. ドクタブレードによりクリーニング可能なコータにおける塗布具表面に刃状構造物が接するように、一方の側が開放部となっている半管状構造物が設置され、該半管状構造物における塗布具表面に接する刃状構造物がブレードを兼ねているか、もしくは、塗布具との接面にブレードが装着されているクリーニングチャンバであって、半管状構造物の内部且つドクタブレード間に、塗液中の分散質又は溶質を凝集又は析出可能な洗浄液を供給させて、該洗浄液により第1のブレードで除去されなかった塗液中の分散質又は溶質を凝集又は析出させ、該凝集又は析出された分散質又は溶質を含む残存物を第2のブレード以降のブレードにより除去して、ロールをクリーニングすることを特徴とするクリーニングチャンバ装置。
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