JP3568582B2 - 物体の表面に固定化した付着物易除去被覆の洗浄方法 - Google Patents
物体の表面に固定化した付着物易除去被覆の洗浄方法 Download PDFInfo
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、水によって付着物を容易に除去できる被膜を物体表面に固定することにより、物体を繰り返し容易に清浄にすることを可能にした付着物易除去被覆の洗浄方法に関する。
【0002】
なお、この発明の付着物易除去被覆は、その性質上、付着物の付着を阻止するものではなく、付着を許容するものであって、この付着物を水処理だけで容易に除去できるようにしたものであるため、本明細書中におけるこの発明の被覆を付着物易除去被覆と称した。
【0003】
【従来の技術】
従来、水に不溶な付着物を除去することは容易ではなく、液状の油程度であっても水に界面活性剤を加えて多大な手間をかけて洗浄するか、人体・環境に問題のある有機溶剤を用いて溶解しなければならない。
【0004】
特に、ワックス状、固体状になると界面活性剤ではほとんど困難になる場合が多く、有機溶剤を用いるか、あるいは機械的に掻き落とす等重労働が必要となり、完全に除去できなかったり、被付着物を傷めたり、さらには除去不可能である場合も多い。
【0005】
このため、表面に剥離または溶解可能な被覆を形成し、それと共に付着物を除去することが行われているが、その度に新たな被膜を形成しなければならなかったり、余分な廃棄物を生じる等、本質的な解決方法とは言えない。
【0006】
また、繰り返し付着物を除去できるような被覆としてはテフロン被覆があるが、コストが高かったり、被覆できる表面が限られたり、透明性が低い等の問題点から利用範囲は狭かった。
【0007】
そこで、このような問題点を解決する手段として、本発明者らは、既に、水によって膨潤するが流出して消失しない、親水性でかつ空気中常温で固体状の樹脂を主成分とする膜からなる付着物易除去被覆を物体の表面に固定化することを提案した。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、この種の物体の表面に固定化した付着物易除去被覆により、水の洗浄だけで、人体・環境に悪影響を与えることなく付着物を除去することができるものの、付着物の除去は未だ充分に容易ではなく、たとえば、トナ−印字など強固に付着した付着物を除去するには、最も速い場合でも1分、遅い場合は数十分必要であり、付着物易除去被覆の処理量が多い場合は多大な時間がかかる。
【0009】
また、長い除去時間を必要とするために、付着物易除去被覆を浸漬しておく多量の水が必要となり、オフィス等のように水道のない場所や水をこぼすと不都合のある場所では採用しにくいという問題もある。
【0010】
この発明はかかる現状に鑑み種々検討を行った結果なされたもので、水によって膨潤するが流出して消失しない、親水性でかつ空気中常温で固体状の樹脂を主成分とする膜からなる物体の表面に固定化した付着物易除去被覆に付着した付着物を、容易かつ迅速に除去できる洗浄方法を提供しようとするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
この発明の付着物易除去被覆の洗浄方法は、水によって膨潤するが流出して消失しない、親水性でかつ空気中常温で固体状の樹脂を主成分とする膜からなる物体の表面に固定化した付着物易除去被覆に付着した付着物を、30℃以上の温水で洗い流すようにしており、通常の温水の他、30℃以上のアルカリ性の温水を使用している。
【0012】
また、水によって膨潤するが流出して消失しない、親水性でかつ空気中常温で固体状の樹脂を主成分とする膜からなる物体の表面に固定化した付着物易除去被覆に付着した付着物を、高温の水蒸気を吹きかけながら払拭して除去し、さらには、高温に加熱しつつ高温の水蒸気を吹きかけながら払拭して除去するようにしている。
【0013】
【作用】
この発明の付着物易除去被覆の洗浄方法は、上記した方法によって行われるため、水によって膨潤するが流出して消失しない、親水性でかつ空気中常温で固体状の樹脂を主成分とする膜からなる物体の表面に固定化した付着物易除去被覆に付着した付着物が、容易かつ迅速に除去され、洗浄に使用される水の量が低減される。
【0014】
この発明において、物体の表面に固定化した付着物易除去被覆の洗浄は、30℃以上の温水を用いて、付着物易除去被覆に付着した付着物を洗い流すのが好ましく、温水の温度が30℃以上になると、分子が動き易くなり、水分子が付着物易除去被覆の内部まで入り込めるようになって、膨潤速度が向上する。
【0015】
従って、水によって膨潤するが流出して消失しない、親水性でかつ空気中常温で固体状の樹脂を主成分とする膜からなる付着物易除去被覆に付着した付着物を短時間で容易に除去することができ、水に付着物易除去被覆を浸漬しておく必要もなく、水の使用量も低減される。
【0016】
このような効果は、温水の温度が30℃より低くては充分でなく、40℃以上にすると付着物易除去被覆に付着した付着物の除去が一段と容易に行えるため、40℃以上の温水で行うのがより好ましい。
【0017】
また、30℃以上の温水をアルカリ性にすると、付着物易除去被覆の樹脂中に酸または酸の塩が含まれる場合、これらの解離が進んで親水性が向上し、吸水性が上がるため、付着物易除去被覆に付着した付着物の除去が一段と容易になる。
【0018】
このため、30℃以上の温水をアルカリ性にするのが好ましく、この場合、酸の種類にもよるが、pHが 7.5より小さくては所期の効果が得られず、pHが14より大きい目に入ったときに失明したり、肌が荒れたりするため、pHが 7.5〜14のアルカリ性にするのが好ましい。そして、下水に流しても問題のないように、pHが 7.5〜8.5 のアルカリ性にするのがより好ましい。
【0019】
このように、30℃以上の温水をアルカリ性にするのに使用するものとしては、たとえば、安全性を考慮して、炭酸水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム等が好ましく使用される。
【0020】
この他、物体の表面に固定化した付着物易除去被覆の洗浄は、高温の水蒸気を吹きかけながら払拭して除去してもよく、この場合は、分子が動き易くなるとともに、水分子が単分子または少数分子の集合で付着物易除去被覆に達することにより、膨潤速度が向上するため、付着物易除去被覆に付着した付着物が温水を使用する場合より除去し易く、水の使用量も大きく低減される。
【0021】
ここで、高温の水蒸気としては、40℃より低いと所期の効果が発揮されず、200℃より高いとシ−トの劣化が進むため、40〜200℃の水蒸気が好ましく使用される。
【0022】
また、付着物易除去被覆に付着した付着物を、高温に加熱しつつ高温の水蒸気の吹きかけながら払拭する方法で除去してもよく、この場合は、水蒸気による加熱だけでなく、シ−ト側も加熱することにより、上記の効果がさらに加速されるため、付着物易除去被覆に付着した付着物が、高温の水蒸気の吹きかけながら払拭する場合よりもさらに一段と除去し易く、水の使用量も大きく低減される。そして、このときの加熱を100℃前後の高温にすると、トナ−樹脂が軟化するため、効率がさらに向上する。
【0023】
ここで、高温での加熱は、40℃より低いと所期の効果が発揮されず、200℃より高いとシ−トの劣化が進むため、40〜200℃に加熱しつつ、高温の水蒸気の吹きかけながら払拭するのが好ましく、この際の高温の水蒸気としては、前記と同じ理由で、40〜200℃の水蒸気が好ましく使用される。特に、80℃以上にすると消去速度が高くなり、より好ましい。
【0024】
このようにして洗浄する物体の表面に固定化した付着物易除去被覆は、水によって膨潤する親水性の樹脂を主成分とするもので、このような樹脂としては、たとえば、アクリル酸、メタクリル酸、ビニルアルコ−ル、ヒドロキシエチルメタクリレ−ト、ジヒドロキシプロピルメタクリレ−ト、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−アクリリルグリシンアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、ビニルピロリドン、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレ−ト、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレ−ト、アリルアミンまたはこれらの塩、アミノ基の4級化物、ポリエチレングリコ−ル等の、単独重合物、共重合物、上記以外の物質との共重合物等が挙げられる。
【0025】
また、付着物易除去被覆を固定化する物体としては、OHPシ−ト、紙または紙同等品、セル画用シ−ト等が幅広く用いられ、これらのシ−トに固定化した付着物易除去被覆に、複写、印字または印刷したインクなどの付着物の除去に非常に有効である。
【0026】
【実施例】
次に、この発明の実施例について説明する。
実施例1
メタクリル酸 5 重量部
アクリル酸 10 〃
2−ヒドロキシエチルメタクリレ−ト 10 〃
アゾビスイソブチロニトリル 0.38 〃
イソプロピルアルコ−ル 142 〃
この組成物を冷却器を取り付けたフラスコ内に入れ、窒素気流下撹拌しながら70〜80℃で10時間反応させ、親水性の樹脂Aの15重量%イソプロピルアルコ−ル溶液を得た。次に、
【0027】
樹脂A 15重量%イソプロピルアルコ−ル溶液 10 重量部
エポキシ架橋剤(グリセリントリグリシジルエ−テル) 0.075〃
この組成物を室温で混合撹拌して、樹脂溶液を得た。
【0028】
次いで、得られた樹脂溶液を、厚さが100μmの易接着処理(ポリウレタン処理)を施したポリエチレンテレフタレ−トフィルム上に60μmの厚さで塗布し、乾燥した後、110℃で5時間高温処理を施した。さらに炭酸水素ナトリウムの1重量%水溶液に5分間浸漬して親水化処理を施し、水で軽く表面を洗った後、温風で乾燥し、親水性の樹脂を架橋してなる物体の表面に固定化した付着物易除去被覆フィルムをつくった。
【0029】
得られた付着物除去材被覆フィルムに、電子複写方式のコピ−機で文字を複写してトナ−インクを付着させた。なお、複写する文字としてはアルファベットの12ポイントゴシック体とし、5×10cmの範囲に印字した。
【0030】
次ぎに、このフィルム表面を炭酸水素ナトリウムを 0.3重量%加えた50℃の温水のシャワ−で洗い流し、最初の文字が流される時間および全ての文字が流される時間を測定し、付着物の除去時間とした。
【0031】
実施例2
実施例1と同様にして作製した印字を施した付着物除去材被覆フィルムの表面を、ハンディスチ−マ(日立製作所社製;ISM−101)で高温の水蒸気を吹きかけながらブラッシングして、全ての文字が掻き落とされる時間を測定し、付着物の除去時間とした。
【0032】
実施例3
実施例1と同様にして作製した印字を施した付着物除去材被覆フィルムの表面を、アイロン機能付きハンディスチ−マ(日立製作所社製;ISM−200)をスチ−ムアイロンとして使用する状態とし、アイロン側に綿布をあて、高温の水蒸気を吹きかけながら払拭して、全ての文字が掻き落とされる時間を測定し、付着物の除去時間とした。
【0033】
比較例1
実施例1と同様にして作製した印字を施した付着物除去材被覆フィルムの表面を、炭酸水素ナトリウムを 0.3重量%加えた25℃の水のシャワ−で洗い流し、最初の文字が流される時間および全ての文字が流される時間を測定し、付着物の除去時間とした。
下記表1はその結果である。
【0034】
【0035】
【発明の効果】
上記表1から明らかなように、この発明の温水や水蒸気を用いる表面固定化付着物易除去被覆の洗浄方法(実施例1〜3)は、従来の洗浄方法(比較例1)に比し、トナ−印字の除去時間が大幅に短縮されており、このことからこの発明の物体の表面に固定化した付着物易除去被覆の洗浄方法によれば、容易かつ迅速に付着物易除去被覆に付着した付着物を除去することができ、使用する水の量を低減して、物体の表面に固定化した付着物易除去被覆を容易かつ迅速に洗浄できることがわかる。
【産業上の利用分野】
この発明は、水によって付着物を容易に除去できる被膜を物体表面に固定することにより、物体を繰り返し容易に清浄にすることを可能にした付着物易除去被覆の洗浄方法に関する。
【0002】
なお、この発明の付着物易除去被覆は、その性質上、付着物の付着を阻止するものではなく、付着を許容するものであって、この付着物を水処理だけで容易に除去できるようにしたものであるため、本明細書中におけるこの発明の被覆を付着物易除去被覆と称した。
【0003】
【従来の技術】
従来、水に不溶な付着物を除去することは容易ではなく、液状の油程度であっても水に界面活性剤を加えて多大な手間をかけて洗浄するか、人体・環境に問題のある有機溶剤を用いて溶解しなければならない。
【0004】
特に、ワックス状、固体状になると界面活性剤ではほとんど困難になる場合が多く、有機溶剤を用いるか、あるいは機械的に掻き落とす等重労働が必要となり、完全に除去できなかったり、被付着物を傷めたり、さらには除去不可能である場合も多い。
【0005】
このため、表面に剥離または溶解可能な被覆を形成し、それと共に付着物を除去することが行われているが、その度に新たな被膜を形成しなければならなかったり、余分な廃棄物を生じる等、本質的な解決方法とは言えない。
【0006】
また、繰り返し付着物を除去できるような被覆としてはテフロン被覆があるが、コストが高かったり、被覆できる表面が限られたり、透明性が低い等の問題点から利用範囲は狭かった。
【0007】
そこで、このような問題点を解決する手段として、本発明者らは、既に、水によって膨潤するが流出して消失しない、親水性でかつ空気中常温で固体状の樹脂を主成分とする膜からなる付着物易除去被覆を物体の表面に固定化することを提案した。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、この種の物体の表面に固定化した付着物易除去被覆により、水の洗浄だけで、人体・環境に悪影響を与えることなく付着物を除去することができるものの、付着物の除去は未だ充分に容易ではなく、たとえば、トナ−印字など強固に付着した付着物を除去するには、最も速い場合でも1分、遅い場合は数十分必要であり、付着物易除去被覆の処理量が多い場合は多大な時間がかかる。
【0009】
また、長い除去時間を必要とするために、付着物易除去被覆を浸漬しておく多量の水が必要となり、オフィス等のように水道のない場所や水をこぼすと不都合のある場所では採用しにくいという問題もある。
【0010】
この発明はかかる現状に鑑み種々検討を行った結果なされたもので、水によって膨潤するが流出して消失しない、親水性でかつ空気中常温で固体状の樹脂を主成分とする膜からなる物体の表面に固定化した付着物易除去被覆に付着した付着物を、容易かつ迅速に除去できる洗浄方法を提供しようとするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
この発明の付着物易除去被覆の洗浄方法は、水によって膨潤するが流出して消失しない、親水性でかつ空気中常温で固体状の樹脂を主成分とする膜からなる物体の表面に固定化した付着物易除去被覆に付着した付着物を、30℃以上の温水で洗い流すようにしており、通常の温水の他、30℃以上のアルカリ性の温水を使用している。
【0012】
また、水によって膨潤するが流出して消失しない、親水性でかつ空気中常温で固体状の樹脂を主成分とする膜からなる物体の表面に固定化した付着物易除去被覆に付着した付着物を、高温の水蒸気を吹きかけながら払拭して除去し、さらには、高温に加熱しつつ高温の水蒸気を吹きかけながら払拭して除去するようにしている。
【0013】
【作用】
この発明の付着物易除去被覆の洗浄方法は、上記した方法によって行われるため、水によって膨潤するが流出して消失しない、親水性でかつ空気中常温で固体状の樹脂を主成分とする膜からなる物体の表面に固定化した付着物易除去被覆に付着した付着物が、容易かつ迅速に除去され、洗浄に使用される水の量が低減される。
【0014】
この発明において、物体の表面に固定化した付着物易除去被覆の洗浄は、30℃以上の温水を用いて、付着物易除去被覆に付着した付着物を洗い流すのが好ましく、温水の温度が30℃以上になると、分子が動き易くなり、水分子が付着物易除去被覆の内部まで入り込めるようになって、膨潤速度が向上する。
【0015】
従って、水によって膨潤するが流出して消失しない、親水性でかつ空気中常温で固体状の樹脂を主成分とする膜からなる付着物易除去被覆に付着した付着物を短時間で容易に除去することができ、水に付着物易除去被覆を浸漬しておく必要もなく、水の使用量も低減される。
【0016】
このような効果は、温水の温度が30℃より低くては充分でなく、40℃以上にすると付着物易除去被覆に付着した付着物の除去が一段と容易に行えるため、40℃以上の温水で行うのがより好ましい。
【0017】
また、30℃以上の温水をアルカリ性にすると、付着物易除去被覆の樹脂中に酸または酸の塩が含まれる場合、これらの解離が進んで親水性が向上し、吸水性が上がるため、付着物易除去被覆に付着した付着物の除去が一段と容易になる。
【0018】
このため、30℃以上の温水をアルカリ性にするのが好ましく、この場合、酸の種類にもよるが、pHが 7.5より小さくては所期の効果が得られず、pHが14より大きい目に入ったときに失明したり、肌が荒れたりするため、pHが 7.5〜14のアルカリ性にするのが好ましい。そして、下水に流しても問題のないように、pHが 7.5〜8.5 のアルカリ性にするのがより好ましい。
【0019】
このように、30℃以上の温水をアルカリ性にするのに使用するものとしては、たとえば、安全性を考慮して、炭酸水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム等が好ましく使用される。
【0020】
この他、物体の表面に固定化した付着物易除去被覆の洗浄は、高温の水蒸気を吹きかけながら払拭して除去してもよく、この場合は、分子が動き易くなるとともに、水分子が単分子または少数分子の集合で付着物易除去被覆に達することにより、膨潤速度が向上するため、付着物易除去被覆に付着した付着物が温水を使用する場合より除去し易く、水の使用量も大きく低減される。
【0021】
ここで、高温の水蒸気としては、40℃より低いと所期の効果が発揮されず、200℃より高いとシ−トの劣化が進むため、40〜200℃の水蒸気が好ましく使用される。
【0022】
また、付着物易除去被覆に付着した付着物を、高温に加熱しつつ高温の水蒸気の吹きかけながら払拭する方法で除去してもよく、この場合は、水蒸気による加熱だけでなく、シ−ト側も加熱することにより、上記の効果がさらに加速されるため、付着物易除去被覆に付着した付着物が、高温の水蒸気の吹きかけながら払拭する場合よりもさらに一段と除去し易く、水の使用量も大きく低減される。そして、このときの加熱を100℃前後の高温にすると、トナ−樹脂が軟化するため、効率がさらに向上する。
【0023】
ここで、高温での加熱は、40℃より低いと所期の効果が発揮されず、200℃より高いとシ−トの劣化が進むため、40〜200℃に加熱しつつ、高温の水蒸気の吹きかけながら払拭するのが好ましく、この際の高温の水蒸気としては、前記と同じ理由で、40〜200℃の水蒸気が好ましく使用される。特に、80℃以上にすると消去速度が高くなり、より好ましい。
【0024】
このようにして洗浄する物体の表面に固定化した付着物易除去被覆は、水によって膨潤する親水性の樹脂を主成分とするもので、このような樹脂としては、たとえば、アクリル酸、メタクリル酸、ビニルアルコ−ル、ヒドロキシエチルメタクリレ−ト、ジヒドロキシプロピルメタクリレ−ト、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−アクリリルグリシンアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、ビニルピロリドン、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレ−ト、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレ−ト、アリルアミンまたはこれらの塩、アミノ基の4級化物、ポリエチレングリコ−ル等の、単独重合物、共重合物、上記以外の物質との共重合物等が挙げられる。
【0025】
また、付着物易除去被覆を固定化する物体としては、OHPシ−ト、紙または紙同等品、セル画用シ−ト等が幅広く用いられ、これらのシ−トに固定化した付着物易除去被覆に、複写、印字または印刷したインクなどの付着物の除去に非常に有効である。
【0026】
【実施例】
次に、この発明の実施例について説明する。
実施例1
メタクリル酸 5 重量部
アクリル酸 10 〃
2−ヒドロキシエチルメタクリレ−ト 10 〃
アゾビスイソブチロニトリル 0.38 〃
イソプロピルアルコ−ル 142 〃
この組成物を冷却器を取り付けたフラスコ内に入れ、窒素気流下撹拌しながら70〜80℃で10時間反応させ、親水性の樹脂Aの15重量%イソプロピルアルコ−ル溶液を得た。次に、
【0027】
樹脂A 15重量%イソプロピルアルコ−ル溶液 10 重量部
エポキシ架橋剤(グリセリントリグリシジルエ−テル) 0.075〃
この組成物を室温で混合撹拌して、樹脂溶液を得た。
【0028】
次いで、得られた樹脂溶液を、厚さが100μmの易接着処理(ポリウレタン処理)を施したポリエチレンテレフタレ−トフィルム上に60μmの厚さで塗布し、乾燥した後、110℃で5時間高温処理を施した。さらに炭酸水素ナトリウムの1重量%水溶液に5分間浸漬して親水化処理を施し、水で軽く表面を洗った後、温風で乾燥し、親水性の樹脂を架橋してなる物体の表面に固定化した付着物易除去被覆フィルムをつくった。
【0029】
得られた付着物除去材被覆フィルムに、電子複写方式のコピ−機で文字を複写してトナ−インクを付着させた。なお、複写する文字としてはアルファベットの12ポイントゴシック体とし、5×10cmの範囲に印字した。
【0030】
次ぎに、このフィルム表面を炭酸水素ナトリウムを 0.3重量%加えた50℃の温水のシャワ−で洗い流し、最初の文字が流される時間および全ての文字が流される時間を測定し、付着物の除去時間とした。
【0031】
実施例2
実施例1と同様にして作製した印字を施した付着物除去材被覆フィルムの表面を、ハンディスチ−マ(日立製作所社製;ISM−101)で高温の水蒸気を吹きかけながらブラッシングして、全ての文字が掻き落とされる時間を測定し、付着物の除去時間とした。
【0032】
実施例3
実施例1と同様にして作製した印字を施した付着物除去材被覆フィルムの表面を、アイロン機能付きハンディスチ−マ(日立製作所社製;ISM−200)をスチ−ムアイロンとして使用する状態とし、アイロン側に綿布をあて、高温の水蒸気を吹きかけながら払拭して、全ての文字が掻き落とされる時間を測定し、付着物の除去時間とした。
【0033】
比較例1
実施例1と同様にして作製した印字を施した付着物除去材被覆フィルムの表面を、炭酸水素ナトリウムを 0.3重量%加えた25℃の水のシャワ−で洗い流し、最初の文字が流される時間および全ての文字が流される時間を測定し、付着物の除去時間とした。
下記表1はその結果である。
【0034】
【0035】
【発明の効果】
上記表1から明らかなように、この発明の温水や水蒸気を用いる表面固定化付着物易除去被覆の洗浄方法(実施例1〜3)は、従来の洗浄方法(比較例1)に比し、トナ−印字の除去時間が大幅に短縮されており、このことからこの発明の物体の表面に固定化した付着物易除去被覆の洗浄方法によれば、容易かつ迅速に付着物易除去被覆に付着した付着物を除去することができ、使用する水の量を低減して、物体の表面に固定化した付着物易除去被覆を容易かつ迅速に洗浄できることがわかる。
Claims (4)
- 水によって膨潤するが流出して消失しない、親水性でかつ空気中常温で固体状の樹脂を主成分とする膜からなる物体の表面に固定化した付着物易除去被覆に付着した付着物を、30℃以上の温水で洗い流すことを特徴とする物体の表面に固定化した付着物易除去被覆の洗浄方法
- 30℃以上の温水が、30℃以上のアルカリ性の温水である請求項1記載の物体の表面に固定化した付着物易除去被覆の洗浄方法
- 水によって膨潤するが流出して消失しない、親水性でかつ空気中常温で固体状の樹脂を主成分とする膜からなる物体の表面に固定化した付着物易除去被覆に付着した付着物を、高温の水蒸気を吹きかけながら払拭して除去することを特徴とする物体の表面に固定化した付着物易除去被覆の洗浄方法
- 水によって膨潤するが流出して消失しない、親水性でかつ空気中常温で固体状の樹脂を主成分とする膜からなる物体の表面に固定化した付着物易除去被覆に付着した付着物を、高温に加熱しつつ高温の水蒸気を吹きかけながら払拭して除去することを特徴とする物体の表面に固定化した付着物易除去被覆の洗浄方法
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JP12307194A JP3568582B2 (ja) | 1994-05-11 | 1994-05-11 | 物体の表面に固定化した付着物易除去被覆の洗浄方法 |
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Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH07299431A JPH07299431A (ja) | 1995-11-14 |
JP3568582B2 true JP3568582B2 (ja) | 2004-09-22 |
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JP12307194A Expired - Fee Related JP3568582B2 (ja) | 1994-05-11 | 1994-05-11 | 物体の表面に固定化した付着物易除去被覆の洗浄方法 |
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Families Citing this family (1)
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Family Cites Families (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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SE8704588D0 (sv) * | 1987-06-17 | 1987-11-20 | Bioboat Ab | Contamination removal process |
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