JP4662046B2 - 希土類焼結磁石の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、例えばNd−Fe−B系に代表される希土類焼結磁石の製造方法に関する。
R−T−B(Rは希土類元素の1種又は2種以上、TはFe又はFe及びCo)で示されるネオジム系焼結磁石をはじめとする希土類金属磁石(以下、単に磁石と称することがある。)は、所定組成を有する合金粉末を金型キャビティに充填し、これを印加磁場中で加圧成形して成形体を得た後、成形体を所定雰囲気中で焼結することによって製造される。
このような工程で製造される磁石の大型化を図る場合には、当然、合金粉末を加圧成形する磁場中成形装置の金型キャビティを大型化する。しかし、金型キャビティを大型化するには、磁場中成形装置自体を大型化する必要が生じることがあり、それでは設備コストが大幅に嵩むことになってしまう。このため、既存の磁場中成形装置を用いながら、なるべく大きな磁石を得ることのできる技術が要望されている。
そこで、合金粉末を、2.7g/cm以上の充填密度で容器に充填し、この容器のまま、粉末を印加磁場中で配向させ、その後焼結するという技術が提案されている(特許文献1参照。)。
特開平7−153612号公報 特開平11−54352号公報
しかしながら、特許文献1に記載の技術は、合金粉末を金型キャビティ中で加圧成形するのではなく、単に容器内に合金粉末を収容し、そのまま焼結するものであるため、焼結体の寸法精度にばらつきが生じる。また、加圧成形を行う金型を用いる場合に比較し、容器内で、振動により求める充填密度とした場合に得られる磁石は、密度分布の均一度が低くなってしまうのは明らかである。単に振動によって全体を求める充填密度としたのでは、例えば容器底部に比較し上部の密度が低くなるからである。
さらに、容器を用いた成形では、容器からの焼結体をいかに取り出すのかといった問題もある。
また振動を加えて求める充填密度を得るには、当然のことながら時間がかかり、生産効率の面でも課題がある。
このように、特許文献1に記載された技術は、精度等の面で用途が非常に限られ、また生産性等の面で、単品製作、少量生産ならともかく量産に用いるのは非現実的であり、実用的な技術とは到底考えられない。
本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたもので、既存の磁場中成形装置を用いて設備コストの上昇を抑え、優れた精度、生産性で、より大型の磁石を得ることのできる希土類焼結磁石の製造方法を提供することを目的とする。
さて、上記のような課題を解決するための手法を本発明者らが鋭意検討した結果、磁場中成形装置の金型キャビティに合金粉末を充填した状態で、合金粉末の嵩密度を高めるのが有効なのではないか、と考えるに至った。
金型キャビティ中で加圧成形を行う従来一般的な手法では、合金粉末を金型キャビティに充填するときには、合金粉末を金型キャビティに満たした後、金型キャビティの上面に沿って合金粉末をすり切ることで、合金粉末の定量供給を行う。このため、合金粉末の嵩密度を高めれば、同じ容積の金型キャビティ内に、嵩密度が低い場合よりも、より多くの合金粉末を供給できるのである。その後、一定の成形圧で加圧成形を行うと、最終的に得られる磁石の大きさ(金型キャビティ内において成形後の成形体の高さ)は、合金粉末の嵩密度の高い場合の方が、嵩密度の低い場合よりも大きくなるのである。
合金粉末の嵩密度を上げるには、金型キャビティ内に合金粉末を供給した後、合金粉末に振動を加えたり、真空吸引したり、成形用のパンチで合金粉末を加圧する、という手法がある(例えば、特許文献2参照。)。
しかし、この手法では、嵩密度を高めるための処理に時間を要し、生産性を低下させることにもなる。
さらに、金型キャビティ内に合金粉末を充填した後に嵩密度を高めたのでは、すり切り充填で合金粉末を充填した状態よりも、金型キャビティ内における合金粉末の上面レベルが下がってしまう。これでは、最終的に得られる磁石の大きさは、単にすり切り充填を行ったままの状態で加圧成形を行う通常の手法と何ら変らない。
そこで、金型キャビティに充填した合金粉末の嵩密度を高める処理を行った後、合金粉末を継ぎ足し、再度嵩密度を高める処理を繰り返していくことも考えられるが、これでは、合金粉末の継ぎ足し、嵩密度を高める処理にさらに時間を要し、生産性を一層低下させることになってしまう。加えて、特に成形用のパンチで合金粉末を加圧することで嵩密度を高める処理を行った場合、パンチで加圧した部分(面)が界面となって、成形体や磁石にクラックや割れが生じることにもつながってしまう。
このように、金型キャビティ内で合金粉末の嵩密度を高める処理を行う手法は、前記課題を解決するのに最適な手法であるとは言い切れない。
このような検討過程を経た結果、嵩密度を高めた状態で合金粉末を金型キャビティに充填するのが有効である、との知見を得るに至ったのである。
そこでなされた本発明の希土類焼結磁石の製造方法は、嵩密度が1.9〜3.0g/cmの原料を金型キャビティに投入する工程と、原料に磁場を印加し、かつ加圧成形することにより成形体を得る工程と、成形体を焼結する工程と、を備えることを特徴とする。
通常、微粉砕した合金粉末の嵩密度は、1.6〜1.8g/cm程度である。予めこれを上回る1.9〜3.0g/cmの嵩密度としておいた原料を用いることで、同じ容積の金型キャビティから、より大きな成形体を得ることができる。
金型キャビティに充填する原料の嵩密度を予め高める手法としては、高めた原料の嵩密度を金型キャビティに充填するまで維持できるのであれば、いかなる手法を用いても良いが、原料を顆粒の状態とするのが有効である。しかし、いわゆるスプレードライ法の場合、バインダで一次合金粒子を付着させて顆粒を形成するため、嵩密度は低い。
そこで、所定組成の一次合金粒子に対して有機液体を添加し、一次合金粒子を有機液体で付着させることによって得られたファンデルワース力のみで結着した顆粒を原料として用いるのが有効である。この場合、有機液体で付着させることによって得られた顆粒は、金型キャビティに投入するに先立ち顆粒が乾燥状態となるまで有機液体を除去したものであっても良い。また、有機液体に代えて水を用いることも可能である。
また、一次合金粒子を加圧成形して予備成形体を形成した後、予備成形体を解砕することで一次合金粒子同士の付着力のみによって一次合金粒子同士を付着させることで得られた顆粒を原料として用いることも可能である。
このような手法で得た顆粒は、嵩密度を1.9〜3.0g/cmとすることができる。
ここで用いる有機液体は、炭化水素系化合物、アルコール系化合物、エーテル系(グリコールエーテル系を含む)化合物、エステル系(グリコールエステル系を含む)化合物、ケトン系化合物、脂肪酸系化合物、テルペン系化合物の1種又は2種から選択する。
また、本発明は、嵩密度が1.9〜3.0g/cmの顆粒を作製する工程と、顆粒を金型キャビティに投入する工程と、顆粒に磁場を印加し、かつ加圧成形することにより成形体を得る工程と、成形体を焼結する工程と、を備えることを特徴とする希土類焼結磁石の製造方法とすることもできる。
この場合も、顆粒を作製する工程では、所定組成の一次合金粒子に対して有機液体を添加し、一次合金粒子を有機液体でファンデルワース力のみで付着させることで顆粒を作製する。また、有機液体で付着させることで顆粒を作製するときには、一次合金粒子に対しては、有機液体を1.5〜12.0wt%添加するのが好ましい。
また、作製された顆粒に含まれる有機液体の少なくとも一部を除去するようにしても良い。ここでは、有機液体を完全に除去する場合をも含んでいる。この場合、顆粒を作製する工程では、第1の有機液体と、前記第1の有機液体よりも飽和蒸気圧の高い液成分を用いて顆粒を作製するのも有効である。
本発明は、一次合金粒子が、R14B相(Rは希土類元素から選択される1種又は2種以上の元素、TはFe又はFe及びCoを含む遷移金属元素から選択される1種又は2種以上の元素)を含む組成を有し、平均粒径が2.5〜6μmである場合に特に有効である。
本発明によれば、嵩密度が1.9〜3.0g/cmの顆粒を用いることで、既存の磁場中成形装置を用いて設備コストの上昇を抑え、優れた精度、生産性で、より大型の希土類焼結磁石を得ることが可能となる。もちろん、既存の磁場中成形装置を用いず、新たに磁場中成形装置を用意する場合であっても、よりコンパクトな装置構成とすることができるのは言うまでもない。
以下、実施の形態に基づいてこの発明における希土類焼結磁石の製造方法について説明する。
原料合金は、真空又は不活性ガス、望ましくはAr雰囲気中でストリップキャスト法、その他公知の溶解法により作製することができる。ストリップキャスト法は、原料金属をArガス雰囲気などの非酸化性雰囲気中で溶解して得た溶湯を回転するロールの表面に噴出させる。ロールで急冷された溶湯は、薄板または薄片(鱗片)状に急冷凝固される。この急冷凝固された合金は、結晶粒径が1〜50μmの均質な組織を有している。原料合金は、ストリップキャスト法に限らず、高周波誘導溶解等の溶解法によって得ることができる。なお、溶解後の偏析を防止するため、例えば水冷銅板に傾注して凝固させることができる。また、還元拡散法によって得られた合金を原料合金として用いることもできる。
R−T−B系焼結磁石を得る場合、R14B結晶粒を主体とする合金(低R合金)と、低R合金よりRを多く含む合金(高R合金)とを用いる所謂混合法を本発明に適用することもできる。
原料合金は粉砕工程に供される。混合法による場合には、低R合金及び高R合金は別々に又は一緒に粉砕される。粉砕工程には、粗粉砕工程と微粉砕工程とがある。まず、原料合金を、粒径数百μm程度になるまで粗粉砕する。粗粉砕は、スタンプミル、ジョークラッシャー、ブラウンミル等を用い、不活性ガス雰囲気中にて行うことが望ましい。粗粉砕に先立って、原料合金に水素を吸蔵させた後に放出させることにより粉砕を行うことが効果的である。この水素放出処理は、希土類焼結磁石として不純物となる水素を減少させることを目的として行われる。水素放出のための加熱保持の温度は、200℃以上、望ましくは350℃以上とする。保持時間は、保持温度との関係、原料合金の厚さ等によって変わるが、少なくとも30分以上、望ましくは1時間以上とする。水素放出処理は、真空中又はArガスフローにて行う。なお、水素吸蔵処理、水素放出処理は必須の処理ではない。この水素粉砕を粗粉砕と位置付けて、機械的な粗粉砕を省略することもできる。
粗粉砕工程後、微粉砕工程に移る。微粉砕には主にジェットミルが用いられ、粒径数百μm程度の粗粉砕粉末を、平均粒径2.5〜6μm、望ましくは3〜5μmとする。ジェットミルは、高圧の不活性ガスを狭いノズルより開放して高速のガス流を発生させ、この高速のガス流により粗粉砕粉末を加速し、粗粉砕粉末同士の衝突やターゲットあるいは容器壁との衝突を発生させて粉砕する方法である。
混合法による場合、2種の合金の混合のタイミングは限定されるものではないが、微粉砕工程において低R合金及び高R合金を別々に粉砕した場合には、微粉砕された低R合金粉末及び高R合金粉末を窒素雰囲気中で混合する。低R合金粉末及び高R合金粉末の混合比率は、重量比で80:20〜97:3程度とすればよい。低R合金及び高R合金を一緒に粉砕する場合の混合比率も同様である。なお、成形時の潤滑及び配向性の向上を目的とした脂肪酸又は脂肪酸の誘導体や炭化水素、例えばステアリン酸系やオレイン酸系であるステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エチレンビスイソステアリン酸アミド、炭化水素であるパラフィン、ナフタレン等を微粉砕時に0.01〜0.3wt%程度添加することができる。
本発明においては、以上で得られた微粉砕粉末を造粒して顆粒を作製する。
顆粒を作製するには、以下に示す数種の手法が採用できる。
まず、有機液体を用いて顆粒を作製する手法が採用できる。すなわち、微粉砕粉末(一次合金粒子)を、有機液体による付着力で付着させ、顆粒を形成する。このような液体(本発明では有機液体)による付着力は、液体架橋力と称されている。なおここで、有機液体は、一般に有機溶媒と呼ばれている物質を包含するが、本発明では溶媒として機能しないことから有機液体と呼んでいる。
本発明で用いる有機液体としては、炭化水素系化合物、アルコール系化合物、エーテル系(グリコールエーテル系を含む)化合物、エステル系(グリコールエステル系を含む)化合物、ケトン系化合物、脂肪酸系化合物、テルペン系化合物の1種又は2種から選択することができる。このような有機液体の具体例を挙げると、炭化水素系化合物としては、トルエン、キシレン、アルコール系化合物としては、ターピネオール、エタノール、エーテル系化合物としては、ブチルセロソルブ、セロソルブ、カルビトール、ブチルカルビトール、エステル系化合物としては、酢酸エチル、ケトン系化合物としては、アセトン(ジメチルケトン)、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン等がある。
もちろん、ここに挙げた有機液体に限るものではなく、これ以外にも、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール等や、グリセリン等、他の有機液体を用いることも可能である。
有機液体を用いて作製された顆粒は、有機液体が、少なくとも微粉砕粉末同士の接点に存在し、その液体架橋力によって微粉砕粉末同士が付着されている。このとき、微粉砕粉末同士の接点には、液体中に、微粉砕粉末同士を付着させるためのバインダ等の固体成分を実質的に含まない。ただし、粉砕性の向上並びに成形時の配向性の向上のために潤滑剤を添加した場合、この潤滑剤の固体成分が液体中に存在することは許容するものとする。
有機液体を用いて作製された顆粒は、所定の工程までその形状を維持している必要がある。一旦作製された顆粒がその形状を維持できなくなると、顆粒から脱落した微細な一次合金粒子が顆粒の周囲に付着した形態を成し、この形態の顆粒は流動性を低下させる。したがって、本発明に用いる有機液体としては、容易に揮発しないことが望ましい。そこで本発明では、20℃における飽和蒸気圧が75mmHg(10.0kPa)以下の有機液体を用いることが望ましい。より望ましい20℃における飽和蒸気圧は20mmHg以下、さらに望ましい20℃における飽和蒸気圧は5mmHg以下である。
また、本発明に用いる有機液体は、室温では気化しないよう、沸点が50℃以上、より好ましくは100℃以上であるのが好ましい。
本発明に用いる有機液体はまた、顆粒を維持するために十分な付着力を一次合金粒子間に付与する必要がある。そのために、有機液体の表面張力、粘度を特定することが本発明では望ましい。望ましい有機液体の表面張力は、20℃において20dyn/cm以上である。より望ましい20℃における表面張力は25dyn/cm以上、さらに望ましい20℃における表面張力は30dyn/cm以上である。また、望ましい有機液体の粘度は、20℃において0.35cp以上である。より望ましい20℃における粘度は1cp以上、さらに望ましい20℃における粘度は2cp以上である。
さらに、微粉砕粉末の酸化を防止するため、本発明に用いる有機液体は、酸素濃度が低く、また水への溶解度(水溶性)が低いものであるのが好ましい。
表1に、上記に例示した有機液体の物性等を示した。
Figure 0004662046
微粉砕粉末に対する有機液体の添加量は特に制限されないが、有機液体の添加量が少なすぎると、一次合金粒子同士に液体架橋を生じさせるに足る液量を確保することができないために、顆粒化が困難である。一方、有機液体の添加量が多すぎると、得られた顆粒をそのまま磁場中成形する場合に液体が過剰に存在して成形を阻害するおそれがある。以上より、微粉砕粉末(一次合金粒子)に対する有機液体の添加量は1.5〜12.0wt%とすることを推奨する。より望ましい有機液体の添加量は1.5〜8.0wt%、さらに望ましい有機液体の添加量は2.0〜6.0wt%である。なお、有機液体の添加量が多い場合は、磁場中成形までにその一部を除去すればよいので、添加量が少ない場合に比べると本質的な問題とは言えない。なお、添加量の望ましい範囲は、有機液体の種類によって変わり、例えばターピネオールなら2.0〜6.0wt%、エタノールなら2.0〜12.0wt%である。
また、上記のようにして、有機液体を用いて作製した顆粒から有機液体を、その一部あるいは完全に除去することもできる。
有機液体を除去するための具体的な手段は特に限定されないが、減圧雰囲気に顆粒を晒して揮発させることが簡易かつ効果的である。減圧雰囲気は室温であってもよいが、加熱された減圧雰囲気とすることもできるし、減圧していない加熱雰囲気とすることもできる。減圧雰囲気の圧力が低すぎると有機液体の揮発が十分に進まない。そこで本発明は、減圧雰囲気の圧力を10−1〜10−5Torrの範囲とすることが望ましい。ただし、加熱された減圧雰囲気の場合は、10〜10−2Torrの範囲で足りる。このときの加熱温度が低すぎると有機液体の揮発が十分進まず、逆に加熱温度が高すぎると顆粒を構成する一次合金粒子に酸化が生じ磁気特性の劣化を招くおそれがある。したがって本発明では、加熱温度を40〜80℃とすることが望ましい。
顆粒から有機液体を完全に除去する場合、微粉砕粉末に対する有機液体の添加量は特に制限されないが、有機液体の添加量が少なすぎると、一次合金粒子同士に液体架橋を生じさせるに足る液量を確保することができないために、顆粒化が困難である。一方、有機液体の添加量が多すぎると、得られた顆粒を除去する工程で、有機液体を所定時間内に完全に除去するのが困難になるおそれがある。以上より、微粉砕粉末に対する有機液体の添加量は1.5〜15.0wt%とすることを推奨する。より望ましい有機液体の添加量は2.5〜10.0wt%、さらに望ましい有機液体の添加量は2.5〜8.0wt%である。
以上のようにして有機液体が完全に除去された顆粒は、乾燥状態となり、ファンデルワース力のみによって、顆粒の形態を維持している。
さて、微粉砕粉末と有機液体とを用いて顆粒を作製する方法は、従来公知の造粒法を適用すればよい。適用できる造粒方法としては、転動造粒法、振動造粒法、混合造粒法、流動造粒法、解砕造粒法、圧縮成形造粒法、押出し造粒法、噴霧造粒法が掲げられる。微粉砕粉末と有機液体は、造粒法に応じて当該造粒法適用の前に混合、混錬される場合と、造粒法適用時に混合、混錬される場合がある。
また、顆粒を形成するに際して、第1の有機液体と、第1の有機液体よりも飽和蒸気圧の高い液成分を用いて顆粒を作製することもできる。この場合、液成分は、有機液体(第2の有機液体)であることが望ましいが、たとえば水等の有機液体以外の液体を用いてもよい。水(20℃における飽和蒸気圧=17.5mmHg)は一次合金粒子を酸化するおそれがあるが、添加する量が少ないこと、さらに、一次合金粒子を酸化するおそれの少ない純水等を用いることができることから、本発明では有機液体以外の液成分を許容している。
第1の有機液体としては、ピネン、メンタン、ターピネオールを含むテルペン系化合物、酢酸ブチルカルビトール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、ブチルカルビトール、ジエチレングリコール、カルビトール、セロソルブ、ブチルセロソルブ、無水プロピオン酸を用いることができる。また、第2の有機液体としては、トルエン、キシレン、エタノール、アセトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、イソブチルアルコール、酢酸n−ブチル、ジブチルエーテルを用いることができる。ただし、これはあくまで例示であって、本発明の範囲を確定するものではない。例えば、第1の有機液体として例示されたもののなかで、第1の有機液体、第2の有機液体を構成することもできるし、第2の有機液体として例示されたもののなかで、第1の有機液体、第2の有機液体を構成することもできる。
第1の有機液体と、第1の有機液体よりも飽和蒸気圧の高い液成分を用いて顆粒を作製する場合、微粉砕粉末に対する第1の有機液体の添加量は6.0wt%以下(ただし、0を含まず)とすることが望ましい。第1の有機液体がないと液体架橋による顆粒形成が容易でなくなり、一方6.0wt%添加すれば形成された顆粒の形態維持に十分であり、それを超える添加は磁気特性を低下させる要因となる。そこで第1の有機液体の添加量は6.0wt%以下(ただし、0を含まず)とするのが望ましい。また、液成分(第2の有機液体)の添加量は15.0wt%以下(ただし、0を含まず)とすることが望ましい。液成分(第2の有機液体)がないと顆粒作製に必要な湿分を微粉砕粉末に対して与えることが難しく、15.0wt%を超えると湿分が多くなりすぎて、液成分(第2の有機液体)の除去に工数がかかることになる。そこで液成分(第2の有機液体)の添加量は、15.0wt%以下(ただし、0を含まず)とすることが望ましい。
第1の有機液体と、第1の有機液体よりも飽和蒸気圧の高い液成分を用いて顆粒を作製した場合には、液成分(第2の有機液体)を除去することもできる。さらに、液成分(第2の有機液体)だけでなく、第1の有機液体をも完全に除去してしまうことも可能である。
顆粒化前の微粉砕粉末の嵩密度は、1.6〜1.8g/cm程度である。したがって、顆粒の嵩密度が1.9g/cmを下回ると、嵩密度を高めることによる効果が得にくい。また、顆粒の嵩密度が3g/cmを上回る顆粒は、最終的に得られる磁石の磁気特性の大幅な低下を招く。これは、密度が高すぎるために磁場配向時に一次合金粒子の自由度が低下し、配向がしにくくなるためである。したがって、本発明において、以上のような手法で得られる顆粒は、嵩密度が1.9〜3.0g/cmとなるように製作するのが好ましい。顆粒の嵩密度のより好ましい範囲は、1.9〜2.8g/cm、さらに好ましい範囲は1.9〜2.6g/cmである。
ここで、嵩密度は、原理的には、所定の容積Vを有した容器に、顆粒を上方から注ぎ入れ、容器の上端面よりも上方にまで盛り上がるようにする。そして、上端面より盛り上がった顆粒を、板等によって容器の上端面に沿って摺り切る。この後、容器内に残った顆粒の重量Wを計測し、これを容器の容積Vで除算したものが、嵩密度Xとなる。
X=W/V g/cm
以上のようにして得られた顆粒状の造粒粉は磁場中成形に供される。
磁場中成形における成形圧力は0.3〜3ton/cm(30〜300MPa)の範囲とすればよい。成形圧力は成形開始から終了まで一定であってもよく、漸増または漸減してもよく、あるいは不規則変化してもよい。成形圧力が低いほど配向性は良好となるが、成形圧力が低すぎると成形体の強度が不足してハンドリングに問題が生じるので、この点を考慮して上記範囲から成形圧力を選択する。磁場中成形で得られる成形体の最終的な相対密度は、通常、50〜60%である。
印加する磁場は、12〜20kOe(960〜1600kA/m)程度とすればよい。この程度の磁場を印加することにより、顆粒は崩壊して一次合金粒子に分解される。印加する磁場は静磁場に限定されず、パルス状の磁場とすることもできる。また、静磁場とパルス状磁場を併用することもできる。
ここで、有機液体を用いて顆粒を形成した場合には、上記のようにして磁場中成形するに際し、成形体が形成された状態での有機液体の残留量は、45vol%以下(10wt%以下)であるのが好ましい。希土類焼結磁石の製造工程における成形体密度は、55〜60%であり、残留する有機液体は成形体の空隙部分にのみ実質的に存在し得るからである。有機液体の残留量が45vol%程度より多くなると、成形時に、有機液体は金型キャビティ内で成形圧力によって圧縮され、これによって成形体がうまく成形できなくなる。より具体的には、成形圧力から解放された液体が元の容積に戻ろうとするため、成形体の割れが生じることがある。ここで、残留量は、顆粒を形成する粉の重量に対し、顆粒中に存在する有機液体の重量濃度(wt%)で規定される。残留量を正確に計測するには、顆粒から有機液体のみを揮発させ、その重量変化を測定する。このとき、顆粒の酸化による重量変動の影響を避けるため、容器内に顆粒を入れ、これを高真空にする、あるいは真空や不活性雰囲気下で加熱し、有機液体を揮発させて、そのときの重量変化を計測するのが好ましい。
次いで、成形体を真空又は不活性ガス雰囲気中で焼結する。焼結温度は、組成、粉砕方法、平均粒径と粒度分布の違い等、諸条件により調整する必要があるが、1000〜1200℃で1〜10時間程度焼結すればよい。
焼結後、得られた焼結体に時効処理を施すことができる。この工程は、保磁力を制御する重要な工程である。時効処理を2段に分けて行う場合には、800℃近傍、600℃近傍での所定時間の保持が有効である。800℃近傍での熱処理を焼結後に行うと、保磁力が増大するため、混合法においては特に有効である。また、600℃近傍の熱処理で保磁力が大きく増加するため、時効処理を1段で行う場合には、600℃近傍の時効処理を施すとよい。
次に本発明が適用される希土類焼結磁石について説明する。
本発明は、特にR−T−B系焼結磁石に適用することが望ましい。
このR−T−B系焼結磁石は、希土類元素(R)を25〜37wt%含有する。ここで、本発明におけるRはYを含む概念を有しており、したがってY、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuの1種又は2種以上から選択される。Rの量が25wt%未満であると、R−T−B系焼結磁石の主相となるR14B相の生成が十分ではなく軟磁性を持つα−Feなどが析出し、保磁力が著しく低下する。一方、Rが37wt%を超えると主相であるR14B相の体積比率が低下し、残留磁束密度が低下する。またRが酸素と反応し、含有する酸素量が増え、これに伴い保磁力発生に有効なRリッチ相が減少し、保磁力の低下を招く。したがって、Rの量は25〜37wt%とする。望ましいRの量は28〜35wt%、さらに望ましいRの量は29〜33wt%である。
また、本発明が適用されるR−T−B系焼結磁石は、ホウ素(B)を0.5〜4.5wt%含有する。Bが0.5wt%未満の場合には高い保磁力を得ることができない。一方で、Bが4.5wt%を超えると残留磁束密度が低下する傾向がある。したがって、Bの上限を4.5wt%とする。望ましいBの量は0.5〜1.5wt%、さらに望ましいBの量は0.8〜1.2wt%である。
本発明が適用されるR−T−B系焼結磁石は、Coを2.0wt%以下(0を含まず)、望ましくは0.1〜1.0wt%、さらに望ましくは0.3〜0.7wt%含有することができる。CoはFeと同様の相を形成するが、キュリー温度の向上、粒界相の耐食性向上に効果がある。
また、本発明が適用されるR−T−B系焼結磁石は、Al及びCuの1種又は2種を0.02〜0.5wt%の範囲で含有することができる。この範囲でAl及びCuの1種又は2種を含有させることにより、得られる焼結磁石の高保磁力化、高耐食性化、温度特性の改善が可能となる。Alを添加する場合において、望ましいAlの量は0.03〜0.3wt%、さらに望ましいAlの量は、0.05〜0.25wt%である。また、Cuを添加する場合において、望ましいCuの量は0.15wt%以下(0を含まず)、さらに望ましいCuの量は0.03〜0.12wt%である。
本発明が適用されるR−T−B系焼結磁石は、他の元素の含有を許容する。例えば、Zr、Ti、Bi、Sn、Ga、Nb、Ta、Si、V、Ag、Ge等の元素を適宜含有させることができる。一方で、酸素、窒素、炭素等の不純物元素を極力低減することが望ましい。特に磁気特性を害する酸素は、その量を5000ppm以下、さらには3000ppm以下とすることが望ましい。酸素量が多いと非磁性成分である希土類酸化物相が増大して、磁気特性を低下させるからである。
R−T−B系焼結磁石に本発明を適用することが望ましいが、他の希土類焼結磁石に本発明を適用することも可能である。例えば、R−Co系焼結磁石に本発明を適用することもできる。
R−Co系焼結磁石は、Rと、Fe、Ni、MnおよびCrから選ばれる1種以上の元素と、Coとを含有する。この場合、望ましくはさらにCuまたは、Nb、Zr、Ta、Hf、TiおよびVから選ばれる1種以上の元素を含有し、特に望ましくはCuと、Nb、Zr、Ta、Hf、TiおよびVから選ばれる1種以上の元素とを含有する。これらのうち特に、SmとCoとの金属間化合物、望ましくはSmCo17金属間化合物を主相とし、粒界にはSmCo系を主体とする副相が存在する。具体的組成は、製造方法や要求される磁気特性等に応じて適宜選択すればよいが、例えば、R:20〜30wt%、特に22〜28wt%程度、Fe、Ni、MnおよびCrの1種以上:1〜35wt%程度、Nb、Zr、Ta、Hf、TiおよびVの1種以上:0〜6wt%、特に0.5〜4wt%程度、Cu:0〜10wt%、特に1〜10wt%程度、Co:残部の組成が望ましい。
以上、R−T−B系焼結磁石、R−Co系焼結磁石について言及したが、本発明は他の希土類焼結磁石への適用を妨げるものではない。
このようにして、1.9〜3.0g/cmという高い嵩密度を有した顆粒を金型キャビティに充填して加圧成形を行うと、金型キャビティの上面に沿って合金粉末をすり切ったときに、金型キャビティ内に充填された原料の量を高めることができる。これによって、金型キャビティを大型化することなく、一定の成形圧で加圧成形を行うことで最終的に得られる磁石の大きさ(金型キャビティ内において成形後の成形体の高さ)が従来よりも大きくなる。その結果、より大きな希土類焼結磁石を得ることが可能となるのである。
このとき、当然のことながら、磁場中成形装置の大型化を図る必要もない。
したがって、コストの上昇を抑え、優れた精度、生産性で、より大型の磁石を得ることが可能となる。
ここで、まず、嵩密度と磁気特性の関係を確認した。
まず、ストリップキャスト法により、26.5wt%Nd−5.9wt%Dy−0.25wt%Al−0.5wt%Co−0.07wt%Cu−1.0wt%B−Fe.balの組成を有する原料合金を作製した。
次いで、室温にて原料合金に水素を吸蔵させた後、Ar雰囲気中で600℃×1時間の脱水素を行う水素粉砕処理を行った。
水素粉砕処理が施された合金に、粉砕性の向上並びに成形時の配向性の向上に寄与する潤滑剤を0.05〜0.1%混合した。潤滑剤の混合は、例えばナウターミキサー等により5〜30分間ほど行う程度でよい。その後、ジェットミルを用いて平均粒径が5.0μmの微粉砕粉末を得た。
以上の微粉砕粉末に対して、有機液体として、実施例1〜7として、ターピネオール、エタノール、メチルイソブチルケトン、ブチルセロソルブ、セロソルブ、カルビトール、酢酸エチルを、それぞれ添加した後に、乳鉢で十分に混錬した。各有機液体は、微粉砕粉末80gに対し5gを添加した。
所定の間隔を隔てて、50メッシュの篩(第1篩)と83メッシュの篩(第2篩)を上下方向に配置した。なお、第1篩が上側に位置している。第1篩の上に、得られた混錬物を載せた後に、第1篩及び第2篩をともに所定時間振動させた。振動終了後に、第2篩上には顆粒が残存していた。この顆粒を採取した。この顆粒は、第1篩及び第2篩の目開き寸法より、180〜300μmの粒径を有していることになる。この実施例1〜7の顆粒の嵩密度は、2.2〜2.8g/cmであった。
なお、図1に作製された顆粒の外観SEM像を示す。
さらに、実施例8〜14として、作製された顆粒を、真空度10−2Torrの減圧雰囲気、温度55℃の条件で30〜120分だけ晒し、有機液体の含有量が検出限界以下の概ね0%となるまで、有機液体を完全に揮発させ、乾燥状態とした。これによっても、顆粒の状態が維持されることが確認された。それぞれの顆粒の嵩密度は、2.2〜2.8g/cmであった。
続いて、実施例16として、実施例1と同様、有機液体としてターピネオールを用い、顆粒を作製した。このとき、ターピネオールは、微粉砕粉末に対し0.25wt%添加した。
そして、この微粉砕粉末を用い、転動造粒装置を用いて顆粒を作製した。このとき、有機液体の量、有機液体の添加速度、転動時間を調整することで、顆粒の嵩密度を調整した。得られた顆粒の粒径は250〜500μm、嵩密度は、2.2〜3.3g/cmであった。
さらに、比較のため、顆粒化することなく微粉砕粉末のままの状態としたもの(比較例1)、バインダとしてポリビニルブチラール(PVB)を含むスラリをスプレードライして得られた顆粒(比較例2、3)を用意した。このとき、ポリビニルブチラールの濃度は、0.8wt%(比較例2)、0.3wt%(比較例3)の2通りとした。比較例1の微粉砕粉末の嵩密度は1.6g/cmであり、比較例2の顆粒の嵩密度は1.7g/cm、比較例3の顆粒の嵩密度は1.4g/cmであった。図1に比較例1の微粉砕粉末のSEM写真を示した。
このようにして、有機液体を用いた手法によって顆粒を作製できることが確認された。また、嵩密度が、微粉砕粉末のものを大きく上回るような顆粒は、バインダを用いたスプレードライ法では得ることができず、有機液体を用いた手法、プレス圧を用いた手法によって得ることができることが確認された。
次いで、上記のようにして得られた顆粒、微粉砕粉末を磁場中成形した。具体的には、15kOeの磁場中で1.4ton/cmの圧力で成形を行い、成形体を得た。
得られた成形体を真空中およびAr雰囲気中で1080℃まで昇温し4時間保持して焼結を行った。次いで得られた焼結体に800℃×1時間と560℃×1時間(ともにAr雰囲気中)の2段時効処理を施した。
得られた焼結磁石の磁気特性を測定し、嵩密度との関係として図3に示した。各焼結体のBrは顆粒化することなく微粉砕粉末のままの状態としたもの(比較例1)のBrを100%としたときの値で示した。
その結果、図3に示すように、嵩密度が高まるほど磁気特性Brが低下する傾向が確認された。特に嵩密度が3g/cmを超えると磁気特性Brが大幅に低下することが確認された。磁気特性Brが、従来の微粉砕粉末を用いた場合に比較して、98%以上となるのは嵩密度2.8g/cm以下、99%以上となるのは嵩密度2.6g/cm以下であった。
これは、嵩密度が過度に高まると、微粉同士の摩擦が大きくなり、磁場を印加したときの配向性が低下するためであると推測できる。
また、嵩密度と、得られる成形体、焼結体との関係を検討した。
実施例16と同様にして得た嵩密度2.5g/cmの顆粒を、内径12mm、高さが100mmの臼型に80mmの高さまで充填した。また、嵩密度1.6g/cmの微粉砕粉末を、同様に臼型の80mmの高さまですり切り充填した。さらに、嵩密度1.6g/cmの微粉砕粉末を臼型に高さ80mmまで注ぎ入れた後、臼型に振動を加え、臼型内の微粉砕粉末の嵩密度が2.5g/cmとなるようにした。
次いで、上パンチを下降させて臼型内の顆粒、微粉砕粉末を加圧し、成形体密度が4.4g/cmとなるように成形した。
その結果、得られた成形体の高さは、嵩密度2.5g/cmの顆粒を用いたものは45.5mm、嵩密度1.6g/cmの微粉砕粉末を用いたものは29.1mm、振動により嵩密度を2.5g/cmまで上げた微粉砕粉末を用いたものも29.1mmであった。
さらに、それぞれの成形体を上記と同様の条件で焼成したところ、得られた焼結体の高さは、嵩密度2.5g/cmの顆粒を用いたものは40.5mm、嵩密度1.6g/cmの微粉砕粉末を用いたものは25.9mm、振動により嵩密度を2.5g/cmまで上げた微粉砕粉末を用いたものも25.9mmであった。
同様の条件で嵩密度1.9g/cm、3.0g/cmの顆粒を成形、焼結した時の焼結体の高さは30.8mm、48.6mmであった。
このように、嵩密度の大きい顆粒を用いることにより、より大きな成形体、焼結体が得られることが確認できた。
実施例1〜7の顆粒、および比較例1の微粉砕粉末の外観のSEM写真である。 嵩密度と磁気特性との関係を示す図である。

Claims (7)

  1. 嵩密度が1.9〜3.0g/cmの原料を金型キャビティに投入する工程と、
    前記原料に磁場を印加し、かつ加圧成形することにより成形体を得る工程と、
    前記成形体を焼結する工程と、
    を備え、
    前記原料は、所定組成の一次合金粒子に対して有機液体を添加し、前記一次合金粒子を前記有機液体で付着させることによって得られたファンデルワース力のみで結着した顆粒であり、
    前記有機液体は、炭化水素系化合物、アルコール系化合物、エーテル系(グリコールエーテル系を含む)化合物、エステル系(グリコールエステル系を含む)化合物、ケトン系化合物、脂肪酸系化合物、テルペン系化合物の1種又は2種から選択されることを特徴とする希土類焼結磁石の製造方法。
  2. 前記有機液体で付着させることによって得られた前記顆粒は、前記金型キャビティに投入するに先立ち前記顆粒が乾燥状態となるまで前記有機液体が除去されたものであることを特徴とする請求項1に記載の希土類焼結磁石の製造方法。
  3. 嵩密度が1.9〜3.0g/cmの顆粒を作製する工程と、
    前記顆粒を金型キャビティに投入する工程と、
    前記顆粒に磁場を印加し、かつ加圧成形することにより成形体を得る工程と、
    前記成形体を焼結する工程と、
    を備え、
    前記顆粒を作製する工程では、所定組成の一次合金粒子に対して有機液体を添加することで、前記一次合金粒子のファンデルワース力のみでの付着により前記顆粒を作製し、
    前記有機液体は、炭化水素系化合物、アルコール系化合物、エーテル系(グリコールエーテル系を含む)化合物、エステル系(グリコールエステル系を含む)化合物、ケトン系化合物、脂肪酸系化合物、テルペン系化合物の1種又は2種から選択されることを特徴とする希土類焼結磁石の製造方法。
  4. 前記顆粒を作製する工程では、第1の有機液体と、前記第1の有機液体よりも飽和蒸気圧の高い液成分を用いて顆粒を作製することを特徴とする請求項3に記載の希土類焼結磁石の製造方法。
  5. 前記有機液体で付着させることで前記顆粒を作製するときには、前記一次合金粒子に対して、前記有機液体を1.5〜12.0wt%添加することを特徴とする請求項3または4に記載の希土類焼結磁石の製造方法。
  6. 作製された前記顆粒に含まれる前記有機液体の少なくとも一部を除去する工程をさらに備えることを特徴とする請求項3から5のいずれか一項に記載の希土類焼結磁石の製造方法。
  7. 前記一次合金粒子は、R14B相(Rは希土類元素から選択される1種又は2種以上の元素、TはFe又はFe及びCoを含む遷移金属元素から選択される1種又は2種以上の元素)を含む組成を有し、平均粒径が2.5〜6μmであることを特徴とする請求項3から6のいずれか一項に記載の希土類焼結磁石の製造方法。
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