JP4282025B2 - 希土類焼結磁石の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、Nd−Fe−B系に代表される希土類焼結磁石を製造する際に用いられる原料粉体に関し、特に原料粉体を顆粒化することにより、磁場中成形時の金型への充填性を向上させて高い生産性を得るとともに、希土類焼結磁石の小型化への対応を容易にすることのできる技術に関するものである。
希土類焼結磁石を製造する際、焼結に供する原料粉を微細化することにより飽和磁束密度及び保磁力等の磁気特性を確保している。ところが、原料粉の微細化は、成形体の寸法精度、生産性を阻害する要因となる。
原料粉は磁場中での加圧成形により成形体を構成する。この磁場中成形において、静磁場又はパルス磁場を印加して原料粉の粒子を配向させる。この磁場中成形時、原料粉が微細であるほどその流動性が悪く、金型への充填性が問題となる。粉末の金型への充填性が劣ると、金型へ粉末を十分に充填することができないために成形体の寸法精度が得られない、あるいは金型への充填自体に時間がかかって生産性を阻害するという問題がある。特に薄肉形状や複雑形状の成形体を精度よくかつ効率的に作製することは困難である。
原料粉の流動性向上の手段の一つとして原料粉の顆粒化が試みられている。
原料粉を顆粒化するには、希土類金属粉末にバインダを添加したスラリをスプレードライすることにより顆粒化する提案が行われている(例えば、特許文献1参照。)。
また、チャンバ内で流体の流れ(気流)を生じさせ、この流れによってチャンバ内の原料粉に運動エネルギーを与えることで、顆粒化を図る技術も提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
特開平8−107034号公報 特開2004−131815号公報
しかしながら、特許文献1の技術のように、スプレードライヤーを用いる手法では、原料粉を含むスラリをノズルから熱風中に吹き込むことで顆粒を形成するわけであるが、形成された顆粒が高速でスプレードライヤーの内壁にぶつかったり、気流中で顆粒同士がぶつかり合いを繰り返しながら落下する。また、特許文献2の技術のように、チャンバ内の流体の流れによって顆粒を形成する手法においても、原料粉(顆粒)は気流によってチャンバ内で上昇や下降を繰り返し、チャンバ内壁への衝突や顆粒同士の衝突を繰り返す。これらの衝撃により顆粒が崩壊してしまい、すなわち顆粒の収量が低下してしまうという問題が伴う。
本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたもので、優れた流動性を有する顆粒を効率よく作製し、成形体の寸法精度の向上及び生産性の向上を図るとともに、特性を大きく低下させることなく希土類焼結磁石を製造する方法を提供することを目的とする。
上記したような課題を鑑みてなされた本発明の希土類焼結磁石の製造方法では、希土類焼結磁石の原料粉(一次合金粒子)および顆粒化助剤をチャンバ内に投入し、チャンバとチャンバ内に設けられた主翼とを相対的に回転させることによって、原料粉を、顆粒化助剤を介して凝集させる。これによって得られた凝集物を、チャンバ内に設けられた補助翼でほぐすことで顆粒を作製する。そして、作製された顆粒を金型キャビティに投入した後、顆粒に磁場を印加し、かつ加圧成形することにより成形体を得て、この成形体を焼結することで、希土類焼結磁石を製造する。
このように、チャンバと主翼とを相対的に回転させることによって原料粉と顆粒化助剤を凝集させ、さらに、得られた凝集物を補助翼でほぐすことで顆粒を作製すると、顆粒は高速でチャンバや他の凝集物に衝突することもなく、良好に顆粒が作製される。
ところで、原料粉の顆粒化を行うと、流動性は向上するが、顆粒を構成する原料粉同士の結合力のために、原料粉が磁場配向しにくくなり、磁気特性、特に残留磁束密度(Br)が低下するという問題がある。このため、顆粒としては、磁場配向時に磁場を印加することで容易に結合が破壊される程度の弱い結合力で顆粒が構成されるのが望ましい。
特に、特許文献1に示したように、顆粒化助剤としてPVA(ポリビニルアルコール)等のバインダを用い、原料粉を付着する場合、原料粉同士の付着力が比較的強い。このように付着力の強い顆粒を磁場中成形に供しても、各原料粉を配向させることは容易ではない。また、バインダに含まれる炭素が磁気特性低下の要因となることから、このバインダを除去する工程が必要となる。
このような問題に対し、発明者らは、鋭意検討を行った。従来のバインダを用いる顆粒化技術では、バインダを溶解する溶媒として、また、原料粉を分散する分散媒として、所謂有機溶媒を所定量含むスラリを作製していた。本発明者らは、この有機溶媒に着目した。その結果、バインダを用いず、有機溶媒のみで顆粒を作製することができ、この顆粒は金型充填時の流動性に優れること、さらに有機溶媒のみで作製されたこの顆粒は原料粉同士の付着力が比較的弱いため、磁場中成形時に印加される磁場により原料粉に分離して、良好な配向状態を実現できることを確認した。また、有機溶媒に代えて、水を用いることでも、顆粒を同様に作製できることを確認した。
このような知見に基づき、本発明の希土類焼結磁石の製造方法で用いる顆粒化助剤は、有機液体や水等、20℃における飽和蒸気圧が75mmHg(10.0kPa)以下、20℃における表面張力が20dyn/cm以上、20℃における粘度が0.35cp以上の特性を有する。顆粒化助剤は、特に、ブチルカルビトール、ジエチレングリコール、酢酸ブチルカルビトール、ピネン、シクロヘキサノール、ターピネオール、エチレングリコール、カルビトール、メンタン、ブチルセロソルブ、セロソルブ、キシレン、メチルイソブチルケトン、トルエン、エタノール、酢酸n−ブチル、ジブチルエーテル、メチルエチルケトン、酢酸エチル、アセトン、水の1種又は2種以上から選択されるのが好ましい。
そして、顆粒を作製する工程では、顆粒化助剤により原料粉同士を付着させることにより原料粉が顆粒化される。
また、有機液体や水等を顆粒化助剤に用いる場合、顆粒を作製するための湿分として必要とされる顆粒化助剤の量と、顆粒がその形態を維持するために必要な顆粒化助剤の量には差異があり、後者の方が少なくて済むことがわかった。顆粒化助剤は、従来のPVA等のバインダに比べて磁気特性に及ぼす影響は極めて小さいといえるが、顆粒を形成している状態の顆粒化助剤の量が希土類焼結磁石の磁気特性に影響を及ぼすことも確認された。このため、顆粒を作製した後、顆粒化助剤の一部を除去するのが好ましい。さらに、原料粉間のファンデルワールス力により、顆粒が維持できるのであれば、顆粒化助剤を完全に除去しても良い。
上記のように、顆粒形成後のいずれかの段階で顆粒化助剤の一部または全部を除去する工程を設けることにより、磁気特性の問題を解消することはできるが、製造コストの観点からすると、この顆粒化助剤の除去工程が簡易であることが望まれる。この要求を満足させるべく、顆粒を一旦作製した後に、顆粒の形態維持に必要な量を残してその他の顆粒化助剤を除去することが本発明の目的達成に有効であろうことを知見した。すなわち、顆粒形成後に除去の容易な液成分と、この液成分よりも除去の難しい第1の有機液体を用いて顆粒を作製すれば、その後除去の容易な液成分のみを優先的に顆粒から除去できる一方、除去の難しい第1の有機液体を顆粒に残留させることができるのである。これにはすなわち、顆粒化助剤として、第1の有機液体と第1の有機液体よりも飽和蒸気圧の高い液成分を用いる。液成分は、水等でも良いが、第1の有機液体よりも飽和蒸気圧の高い有機液体(第2の有機液体)を用いることができる。
本発明における有機液体としては、エタノール、トルエン、カルビトール、テルペン系化合物、ブチルカルビトール、酢酸ブチルカルビトール、酢酸n−ブチル、ブチルセロソルブ、シクロヘキサノールが望ましい。さらに好ましくは、ブチルセロソルブ、ブチルカルビトール、ターピネオール、ピネンが望ましい。
また本発明は、R214B相(Rは希土類元素から選択される1種又は2種以上の元素、TはFe又はFe及びCoを含む遷移金属元素から選択される1種又は2種以上の元素)を含む組成を有し、平均粒径が2.5〜6μmである原料粉に適用することが望ましい。
本発明は、希土類焼結磁石の原料粉、および20℃における飽和蒸気圧が75mmHg(10.0kPa)以下、20℃における表面張力が20dyn/cm以上、20℃における粘度が0.35cp以上の特性を有する顆粒化助剤が投入されるチャンバと、チャンバ内に設けられ、チャンバに対して相対的に回転することによって、顆粒化助剤が添加された原料粉を転動させて原料粉を顆粒化させる転動翼と、を備えることを特徴とする顆粒作製装置とすることもできる。この場合、転動翼は、チャンバ内で略水平方向の軸線周りに回転する構成とすることもできるし、チャンバ内で略垂直方向の軸線周りに回転する構成とすることもできる。さらに、チャンバ内に、転動翼の回転によってチャンバ内で転動して顆粒化した原料粉をほぐす補助翼をさらに回転可能に設けるのも好ましい。
本発明によれば、優れた流動性を有する顆粒を効率よく作製し、成形体の寸法精度の向上及び生産性の向上を図るとともに、特性を大きく低下させることなく希土類焼結磁石を製造する方法等を提供することが可能となる。
以下、実施の形態に基づいてこの発明を詳細に説明する。
本実施の形態では、有機液体により一次合金粒子(原料粉)同士を付着させることにより粉末を顆粒化する。有機液体が粒子間に存在することにより液体架橋が生じて一次合金粒子同士を付着させて顆粒を形成するのである。
このような顆粒の付着力は、従来のPVA等のバインダによる付着力に比べて極めて弱い。したがって、本発明により得られた顆粒は、磁場中成形時に印加される磁場によって容易に崩壊し、一次合金粒子に分離する。そのため、高い配向度を得ることができる。これまで、バインダを用いることが顆粒作製の前提として考えられてきたが、本発明のように有機液体を用いて顆粒を形成することで高い流動性が得られることを見出した価値は大きい。しかも、この顆粒は、磁場印加により崩壊するため、磁場中成形を行う希土類焼結磁石にとって好適である。加えて、磁場中成形を行う時点では、従来の顆粒技術を用いた場合には必須とされていた脱バインダ工程を省くことが可能であり、工程的な利点をも含んでいる。
以上の有機液体を用いた顆粒化技術を適用した希土類焼結磁石の製造方法について以下説明する。
原料合金は、真空又は不活性ガス、望ましくはAr雰囲気中でストリップキャスト法、その他公知の溶解法により作製することができる。ストリップキャスト法は、原料金属をArガス雰囲気などの非酸化性雰囲気中で溶解して得た溶湯を回転するロールの表面に噴出させる。ロールで急冷された溶湯は、薄板または薄片(鱗片)状に急冷凝固される。この急冷凝固された合金は、結晶粒径が1〜50μmの均質な組織を有している。原料合金は、ストリップキャスト法に限らず、高周波誘導溶解等の溶解法によって得ることができる。なお、溶解後の偏析を防止するため、例えば水冷銅板に傾注して凝固させることができる。また、還元拡散法によって得られた合金を原料合金として用いることもできる。
R−T−B系焼結磁石を得る場合、R214B結晶粒を主体とする合金(低R合金)と、低R合金よりRを多く含む合金(高R合金)とを用いる所謂混合法を本発明に適用することもできる。
原料合金は粉砕工程に供される。混合法による場合には、低R合金及び高R合金は別々に又は一緒に粉砕される。粉砕工程には、粗粉砕工程と微粉砕工程とがある。まず、原料合金を、粒径数百μm程度になるまで粗粉砕する。粗粉砕は、スタンプミル、ジョークラッシャー、ブラウンミル等を用い、不活性ガス雰囲気中にて行なうことが望ましい。粗粉砕に先立って、原料合金に水素を吸蔵させた後に放出させることにより粉砕を行なうことが効果的である。水素放出処理は、希土類焼結磁石として不純物となる水素を減少させることを目的として行われる。水素放出のための加熱保持の温度は、200℃以上、望ましくは350℃以上とする。保持時間は、保持温度との関係、原料合金の厚さ等によって変わるが、少なくとも30分以上、望ましくは1時間以上とする。水素放出処理は、真空中又はArガスフローにて行う。なお、水素吸蔵処理、水素放出処理は必須の処理ではない。この水素粉砕を粗粉砕と位置付けて、機械的な粗粉砕を省略することもできる。
粗粉砕工程後、微粉砕工程に移る。微粉砕には主にジェットミルが用いられ、粒径数百μm程度の粗粉砕粉末を、平均粒径2.5〜6μm、望ましくは3〜5μmとする。ジェットミルは、高圧の不活性ガスを狭いノズルより開放して高速のガス流を発生させ、この高速のガス流により粗粉砕粉末を加速し、粗粉砕粉末同士の衝突やターゲットあるいは容器壁との衝突を発生させて粉砕する方法である。
混合法による場合、2種の合金の混合のタイミングは限定されるものではないが、微粉砕工程において低R合金及び高R合金を別々に粉砕した場合には、微粉砕された低R合金粉末及び高R合金粉末を窒素雰囲気中で混合する。低R合金粉末及び高R合金粉末の混合比率は、重量比で80:20〜97:3程度とすればよい。低R合金及び高R合金を一緒に粉砕する場合の混合比率も同様である。なお、成形時の潤滑及び配向性の向上を目的とした脂肪酸又は脂肪酸の誘導体や炭化水素、例えばステアリン酸系やオレイン酸系であるステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エチレンビスイソステアリン酸アミド、炭化水素であるパラフィン、ナフタレン等を微粉砕時に0.01〜0.3wt%程度添加することができる。
以上で得られた微粉砕粉末を造粒して顆粒を作製する。
顆粒の作製には、図1、図2に示すような造粒装置(顆粒作製装置)10を用いることができる。
図1および図2に示すように、造粒装置10は、チャンバ11内に、主回転翼(主翼、転動翼)12と、補助回転翼(補助翼)13とを備えた構成を有している。
チャンバ11は、図示しない開閉可能な蓋を備えており、蓋を閉じた状態で気密に密閉されるようになっている。また、チャンバ11には、図示しない流体スプレーノズルや滴下ノズルにより、有機液体が添加できるようになっている。
主回転翼12は、回転軸12aに、複数の翼部材12bが設けられたもので、図示しない駆動モータによって回転軸12aの軸線回りに回転駆動されるようになっている。補助回転翼13も、同様に、回転軸13aに、複数の翼部材13bが設けられたもので、図示しない駆動モータ、あるいは主回転翼12を回転させるための駆動モータからギヤやタイミングベルト等の駆動力伝達機構を介して伝達される駆動力によって、回転軸13aの軸線回りに回転駆動されるようになっている。
このような造粒装置10には、主回転翼12の設置形態により、図1に示すような縦型と、図2に示すような横型とがある。
図1に示す縦型の造粒装置(顆粒作製装置)10Vにおいては、主回転翼12は、回転軸12aが、チャンバ11内でほぼ鉛直方向に軸線を有するよう設けられている。そして、補助回転翼13は、主回転翼12の上方に設けられ、回転軸13aが、チャンバ11内でほぼ水平方向に軸線を有するよう設けられている。
また、図2に示す横型の造粒装置(顆粒作製装置)10Hにおいては、主回転翼12は、回転軸12aが、チャンバ11内でほぼ水平方向に軸線を有するよう設けられている。主回転翼12の翼部材12bは、チャンバ11の円周方向に連続する周壁11aに沿うように延出しており、補助回転翼13は、これら翼部材12bの内方に位置するよう設けられている。
このような造粒装置10V、10Hでは、チャンバ11内に、前記したような工程で得られた微粉砕粉末と有機液体をそれぞれ所定量投入し、主回転翼12、補助回転翼13を回転駆動させることで、顆粒を造粒する。このとき、主回転翼12によってチャンバ11内で微粉砕粉末および有機液体を転動させることで、微粉砕粉末を、有機液体を介して凝集させて凝集物を形成し、補助回転翼13によって凝集物をほぐすことで、顆粒を作製するようになっている。
造粒装置10V、10Hにおいて、予め設定された所定時間の間、上記の造粒を行うことで、チャンバ11内で、微粉砕粉末が有機液体を介して凝集して造粒され、顆粒が作製される。
なお、チャンバ11に微粉砕粉末を投入した後には、微粉砕粉末の酸化を防ぐため、チャンバ11内を窒素等の不活性ガスに置換するのが好ましい。このとき、主回転翼12を一定時間回転させて微粉砕粉末をほぐすとともに、微粉砕粉末の空隙に存在するエアを追い出しながら、チャンバ11内を不活性ガスに置換するのがさらに好ましい。
また、有機液体の投入タイミングは、微粉砕粉末と同時でも良いが、前記のように微粉砕粉末の投入後に、主回転翼12を一定時間回転させてから、有機液体を投入するのが好ましい。
さらに、有機液体を所定量投入した後も、主回転翼12を一定時間回転させて、微粉砕粉末に有機液体をなじませ、顆粒化を促進させるのが良い。
このとき、用いる有機液体としては、炭化水素系化合物、アルコール系化合物、エーテル系(グリコールエーテル系を含む)化合物、エステル系(グリコールエステル系を含む)化合物、ケトン系化合物、脂肪酸系化合物、テルペン系化合物の1種又は2種から選択することができる。このような有機液体の具体例を挙げると、炭化水素系化合物としては、トルエン、キシレン、アルコール系化合物としては、ターピネオール、エタノール、エーテル系化合物としては、ブチルセロソルブ、セロソルブ、カルビトール、ブチルカルビトール、エステル系化合物としては、酢酸エチル、ケトン系化合物としては、アセトン(ジメチルケトン)、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン等がある。
もちろん、ここに挙げた有機液体に限るものではなく、これ以外にも、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール等や、グリセリン等、他の有機液体を用いることも可能である。
なお、有機液体は、一般に有機溶媒と呼ばれている物質を包含するが、本発明では溶媒として機能しないことから有機液体と呼んでいる。
有機液体を用いて作製された顆粒は、有機液体が、少なくとも微粉砕粉末同士の接点に存在し、その液体架橋力によって微粉砕粉末同士が付着して形成されている。このとき、微粉砕粉末同士の接点には、液体中に、微粉砕粉末同士を付着させるためのバインダ等の固体成分を実質的に含まない。ただし、粉砕性の向上並びに成形時の配向性の向上のために潤滑剤を添加した場合、この潤滑剤の固体成分が液体中に存在することを許容するものとする。
有機液体を用いて作製される顆粒は、所定の工程までその形状を維持している必要がある。一旦作製された顆粒がその形状を維持できなくなると、顆粒から脱落した微細な一次合金粒子が顆粒の周囲に付着した形態を成し、この形態の顆粒は流動性を低下させる。したがって、本発明に用いる有機液体としては、容易に揮発しないことが望ましい。そこで本発明では、20℃における飽和蒸気圧が75mmHg(10.0kPa)以下の有機液体を用いることが望ましい。より望ましい20℃における飽和蒸気圧は20mmHg以下、さらに望ましい20℃における飽和蒸気圧は5mmHg以下である。
本発明に用いる有機液体はまた、一次合金粒子間に顆粒を維持するための十分な付着力を付与する必要がある。そのために、有機液体の表面張力、粘度を特定することが本発明では望ましい。望ましい有機液体の表面張力は、20℃において20dyn/cm以上である。より望ましい20℃における表面張力は25dyn/cm以上、さらに望ましい20℃における表面張力は30dyn/cm以上である。また、望ましい有機液体の粘度は、20℃において0.35cp以上である。より望ましい20℃における粘度は1cp以上、さらに望ましい20℃における粘度は2cp以上である。
微粉砕粉末に対する有機液体の添加量は特に制限されないが、有機液体の添加量が少なすぎると、一次合金粒子同士に液体架橋を生じさせるに足る液量を確保することができないために、顆粒化が困難である。一方、有機液体の添加量が多すぎると、得られた顆粒から有機液体を除去する場合に、有機液体を所定時間内に除去するのが困難になるおそれがある。以上より、微粉砕粉末に対する有機液体の添加量は1.0〜20.0wt%とすることを推奨する。より望ましい有機液体の添加量は2.0〜18.0wt%、さらに望ましい有機液体の添加量は4.0〜15.0wt%である。
また、顆粒を形成するに際して、第1の有機液体と、第1の有機液体よりも飽和蒸気圧の高い液成分を用いて顆粒を作製することもできる。この場合、液成分は、有機液体(第2の有機液体)であることが望ましいが、たとえば水等の有機液体以外の液体を用いてもよい。水(20℃における飽和蒸気圧=17.5mmHg)は一次合金粒子を酸化するおそれがあるが、添加する量が少ないこと、さらに、一次合金粒子を酸化するおそれの少ない純水等を用いることができることから、本発明では有機液体以外の液成分を許容している。
表1に各種有機液体の飽和蒸気圧を示しており、この値を基準として第1の有機液体、第2の有機液体を選定すればよい。例えば、第1の有機液体としては、ピネン、メンタン、ターピネオールを含むテルペン系化合物、酢酸ブチルカルビトール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、ブチルカルビトール、ジエチレングリコール、カルビトール、セロソルブ、ブチルセロソルブ、無水プロピオン酸を用いることができる。また、第2の有機液体としては、トルエン、キシレン、エタノール、アセトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、イソブチルアルコール、酢酸n−ブチル、ジブチルエーテルを用いることができる。ただし、これはあくまで例示であって、本発明の範囲を確定するものではない。例えば、第1の有機液体として例示されたもののなかで、第1の有機液体、第2の有機液体を構成することもできるし、第2の有機液体として例示されたもののなかで、第1の有機液体、第2の有機液体を構成することもできる。
Figure 0004282025
第1の有機液体と、第1の有機液体よりも飽和蒸気圧の高い液成分を用いて顆粒を作製する場合、微粉砕粉末に対する第1の有機液体の添加量は6.0wt%以下(ただし、0を含まず)とすることが望ましい。第1の有機液体がないと液体架橋による顆粒形成が容易でなくなり、一方6.0wt%添加すれば形成された顆粒の形態維持に十分であり、それを超える添加は磁気特性を低下させる要因となる。そこで第1の有機液体の添加量は6.0wt%以下(ただし、0を含まず)とするのが望ましい。また、液成分(第2の有機液体)の添加量は20.0wt%以下(ただし、0を含まず)とすることが望ましい。液成分(第2の有機液体)がないと顆粒作製に必要な湿分を微粉砕粉末に対して与えることが難しく、20.0wt%を超えると湿分が多くなりすぎて、液成分(第2の有機液体)の除去に工数がかかることになる。そこで液成分(第2の有機液体)の添加量は、20.0wt%以下(ただし、0を含まず)とすることが望ましい。
以上のようにして得られた顆粒から有機液体を一部、または完全に除去することもできる。
また、第1の有機液体と、第1の有機液体よりも飽和蒸気圧の高い液成分を用いて顆粒を作製した場合には、液成分(第2の有機液体)を除去する。さらに、液成分(第2の有機液体)だけでなく、第1の有機液体をも完全に除去してしまうことも可能である。
有機液体や液成分、第1の有機液体を除去するための具体的な手段は特に限定されないが、減圧雰囲気に顆粒を晒して揮発させることが簡易かつ効果的である。減圧雰囲気は室温であってもよいが、加熱された減圧雰囲気とすることもできるし、減圧していない加熱雰囲気とすることもできる。減圧雰囲気の圧力が低すぎると有機液体の揮発が十分に進まない。そこで本発明は、減圧雰囲気の圧力を10-1〜10-5Torrの範囲とすることが望ましい。ただし、加熱された減圧雰囲気の場合は、100〜10-2Torrの範囲で足りる。このときの加熱温度が低すぎると有機液体の揮発が十分進まず、逆に加熱温度が高すぎると顆粒を構成する一次合金粒子に酸化が生じ磁気特性の劣化を招くおそれがある。したがって本発明では、加熱温度を40〜80℃とすることが望ましい。
以上のようにして有機液体の一部や液成分が除去された顆粒は、残存する有機液体の液体架橋力とファンデルワールス力によって、顆粒の形態を維持している。第1の有機液体と、第1の有機液体よりも飽和蒸気圧の高い液成分を用いて顆粒を作製した場合、液成分の除去後に顆粒に残留する第1の有機液体の量が多すぎると磁気特性向上の効果を享受することができない。そこで本実施の形態では、顆粒に残留する第1の有機液体の量は6.0wt%以下(ただし、0を含まず)の範囲とすることが望ましい。より望ましい顆粒に残留する第1の有機液体の量は0.1〜4.0wt%、さらに望ましい顆粒に残留する第1の有機液体の量は0.2〜3.0wt%である。
また、有機液体が完全に除去された場合、および液成分および第1の有機液体を完全に除去した場合には、乾燥状態となり、ファンデルワールス力のみによって顆粒の形態を維持しているので顆粒が崩壊しやすいが特性の低下は小さい。
上記顆粒は磁場中成形に供される。
磁場中成形における成形圧力は0.3〜3ton/cm2(30〜300MPa)の範囲とすればよい。成形圧力は成形開始から終了まで一定であってもよく、漸増または漸減してもよく、あるいは不規則変化してもよい。成形圧力が低いほど配向性は良好となるが、成形圧力が低すぎると成形体の強度が不足してハンドリングに問題が生じるので、この点を考慮して上記範囲から成形圧力を選択する。磁場中成形で得られる成形体の最終的な相対密度は、通常、50〜60%である。
印加する磁場は、12〜20kOe(960〜1600kA/m)程度とすればよい。この程度の磁場を印加することにより、顆粒は崩壊して一次合金粒子に分解される。印加する磁場は静磁場に限定されず、パルス状の磁場とすることもできる。また、静磁場とパルス状磁場を併用することもできる。
次いで、成形体を真空又は不活性ガス雰囲気中で焼結する。焼結温度は、組成、粉砕方法、平均粒径と粒度分布の違い等、諸条件により調整する必要があるが、1000〜1200℃で1〜10時間程度焼結すればよい。
焼結後、得られた焼結体に時効処理を施すことができる。この工程は、保磁力を制御する重要な工程である。時効処理を2段に分けて行なう場合には、800℃近傍、600℃近傍での所定時間の保持が有効である。800℃近傍での熱処理を焼結後に行なうと、保磁力が増大するため、混合法においては特に有効である。また、600℃近傍の熱処理で保磁力が大きく増加するため、時効処理を1段で行なう場合には、600℃近傍の時効処理を施すとよい。
次に本発明が適用される希土類焼結磁石について説明する。
本発明は、特にR−T−B系焼結磁石に適用することが望ましい。このR−T−B系焼結磁石は、希土類元素(R)を25〜37wt%含有する。ここで、本発明におけるRはYを含む概念を有しており、したがってY、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuの1種又は2種以上から選択される。Rの量が25wt%未満であると、R−T−B系焼結磁石の主相となるR214B相の生成が十分ではなく軟磁性を持つα−Feなどが析出し、保磁力が著しく低下する。一方、Rが37wt%を超えると主相であるR214B相の体積比率が低下し、残留磁束密度が低下する。またRが酸素と反応し、含有する酸素量が増え、これに伴い保磁力発生に有効なRリッチ相が減少し、保磁力の低下を招く。したがって、Rの量は25〜37wt%とする。望ましいRの量は28〜35wt%、さらに望ましいRの量は29〜33wt%である。
また、本発明が適用されるR−T−B系焼結磁石は、ホウ素(B)を0.5〜4.5wt%含有する。Bが0.5wt%未満の場合には高い保磁力を得ることができない。一方で、Bが4.5wt%を超えると残留磁束密度が低下する傾向がある。したがって、Bの上限を4.5wt%とする。望ましいBの量は0.5〜1.5wt%、さらに望ましいBの量は0.8〜1.2wt%である。
本発明が適用されるR−T−B系焼結磁石は、Coを2.0wt%以下(0を含まず)、望ましくは0.1〜1.0wt%、さらに望ましくは0.3〜0.7wt%含有することができる。CoはFeと同様の相を形成するが、キュリー温度の向上、粒界相の耐食性向上に効果がある。
また、本発明が適用されるR−T−B系焼結磁石は、Al及びCuの1種又は2種を0.02〜0.5wt%の範囲で含有することができる。この範囲でAl及びCuの1種又は2種を含有させることにより、得られるR−T−B系焼結磁石の高保磁力化、高耐食性化、温度特性の改善が可能となる。Alを添加する場合において、望ましいAlの量は0.03〜0.3wt%、さらに望ましいAlの量は、0.05〜0.25wt%である。また、Cuを添加する場合において、望ましいCuの量は0.15wt%以下(0を含まず)、さらに望ましいCuの量は0.03〜0.12wt%である。
本発明が適用されるR−T−B系焼結磁石は、他の元素の含有を許容する。例えば、Zr、Ti、Bi、Sn、Ga、Nb、Ta、Si、V、Ag、Ge等の元素を適宜含有させることができる。一方で、酸素、窒素、炭素等の不純物元素を極力低減することが望ましい。特に磁気特性を害する酸素は、その量を5000ppm以下、さらには3000ppm以下とすることが望ましい。酸素量が多いと非磁性成分である希土類酸化物相が増大して、磁気特性を低下させるからである。
R−T−B系焼結磁石に本発明を適用することが望ましいが、他の希土類焼結磁石に本発明を適用することも可能である。例えば、R−Co系焼結磁石に本発明を適用することもできる。
R−Co系焼結磁石は、Rと、Fe、Ni、MnおよびCrから選ばれる1種以上の元素と、Coとを含有する。この場合、望ましくはさらにCuまたは、Nb、Zr、Ta、Hf、TiおよびVから選ばれる1種以上の元素を含有し、特に望ましくはCuと、Nb、Zr、Ta、Hf、TiおよびVから選ばれる1種以上の元素とを含有する。これらのうち特に、SmとCoとの金属間化合物、望ましくはSm2Co17金属間化合物を主相とし、粒界にはSmCo5系を主体とする副相が存在する。具体的組成は、製造方法や要求される磁気特性等に応じて適宜選択すればよいが、例えば、R:20〜30wt%、特に22〜28wt%程度、Fe、Ni、MnおよびCrの1種以上:1〜35wt%程度、Nb、Zr、Ta、Hf、TiおよびVの1種以上:0〜6wt%、特に0.5〜4wt%程度、Cu:0〜10wt%、特に1〜10wt%程度、Co:残部の組成が望ましい。
以上、R−T−B系焼結磁石、R−Co系焼結磁石について言及したが、本発明は他の希土類焼結磁石への適用を妨げるものではない。
ストリップキャスト法により、26.5wt%Nd−5.9wt%Dy−0.25wt%Al−0.5wt%Co−0.07wt%Cu−1.0wt%B−Feの組成を有する原料合金を作製した。
次いで、室温にて原料合金に水素を吸蔵させた後、Ar雰囲気中で600℃×1時間の脱水素を行なう水素粉砕処理を行なった。
水素粉砕処理が施された合金に、粉砕性の向上並びに成形時の配向性の向上に寄与する潤滑剤を0.05〜0.1%混合した。潤滑剤の混合は、例えばナウターミキサー等により5〜30分間ほど行なう程度でよい。その後、ジェットミルを用いて平均粒径が5.0μmの微粉砕粉末を得た。
以上の微粉砕粉末を、造粒装置のチャンバ内に入れ、酸化防止のためチャンバ内部を窒素で満たした。このとき、造粒装置は、図1に示したような縦型のもの(実施例1〜10、チャンバ容積は4リットル)と、図2に示したような横型のもの(実施例11〜16、チャンバ容積は1.5リットル)のものを用いた。
その後、造粒装置の主回転翼を所定の速度で回し、微粉砕粉末を攪拌した。さらに、補助回転翼を回転させた。有機液体としては、第1の有機液体としてターピネオールを用い、第2の有機液体としてエタノールを用い、ノズルを用いてチャンバ内に所定時間(液投入時間t1)をかけて、それぞれ表2に示す量を添加した。
すべての有機液体を添加した後にも、有機液体と微粉砕粉末をなじませるため、主回転翼、補助回転翼を一定時間(ならし時間t2)だけ回転させ続けた。その後、主回転翼、補助回転翼を停止し、造粒物をチャンバから取り出した。
続いて、取り出した顆粒(造粒物)に含まれる第2の有機液体を蒸発させた。微粉砕粉末の酸化を防ぐため、蒸発には真空チャンバを用い、減圧雰囲気にて蒸発させた。
また、取り出した顆粒(造粒物)に含まれる第2の有機液体を蒸発させた後、さらに第1の有機液体を蒸発させることも行った(実施例10)。
比較例として転動流動層造粒も行った。転動流動層造粒では窒素噴流により流動層を作り出し、また、地面と垂直方向に回転する回転翼によって転動を作り出した(比較例1、2)。
図3に、作製された顆粒の外観SEM像を示す。
この図3に示すように、転動流動層式で造粒した比較例1、2では、顆粒以外に粉末が多く混在しているのに対し、横型転動式で造粒した実施例2、3では、粉末はほとんど混在しておらず、顆粒が良好に形成され、収量を多く確保できると言える。
有機液体を揮発させた後の顆粒について以下の方法に基づいて安息角を測定した。その結果を表2に併せて示す。なお、表2には顆粒化する前の微粉砕粉末の安息角も併せて示している(比較例3)。
安息角測定方法:60mmφの円のテーブルの上に、一定高さからふるいを通して少しずつ顆粒を落下させた。顆粒の山が崩壊する直前で顆粒の供給を停止した。円テーブルの上にできた顆粒の山の底角を測定した。円テーブルを120°ずつ回転し、計3箇所について角度を測定し、その平均を安息角とした。
Figure 0004282025
次いで、得られた顆粒を磁場中成形した。具体的には、15kOeの磁場中で1.4t/cm2の圧力で成形を行い、成形体を得た。
得られた成形体を真空中およびAr雰囲気中で1080℃まで昇温し4時間保持して焼結を行った。次いで得られた焼結体に800℃×1時間と560℃×1時間(ともにAr雰囲気中)の2段時効処理を施した。
得られた焼結磁石の磁気特性を測定した結果を表2に示す。なお、表2には、転動流動層造粒によって得られた顆粒を上記と同様にして磁場中成形、焼結及び時効処理を施して得られた焼結磁石(比較例1、2)、微粉砕粉末を顆粒化することなく上記と同様にして磁場中成形、焼結及び時効処理を施して得られた焼結磁石(比較例3)、バインダとしてPVAを0.5wt%含むスラリをスプレードライして得られた顆粒を上記と同様にして磁場中成形、焼結及び時効処理を施して得られた焼結磁石(比較例4)の磁気特性も併せて示している。
表2に示すように、有機液体を用い、転動方式で造粒された顆粒においては、安息角を57°以下とすることができ、また有機液体の添加に長時間をかけない限り(概ね450秒以内)、安息角を53°以下とすることができ(実施例1〜5、7〜16)、さらに、第1の有機液体、第2の有機液体の添加量によっては、安息角を48°以下とすることができる(実施例1〜5、8、9、12、13、15、16)。また、実施例4と同様の条件で、第2の有機液体だけでなく第1の有機液体も除去した実施例10においても、安息角を50°以下とすることができ、しかも実施例4よりも高い磁気特性を得ることができる。このように、有機液体を用い、転動方式で造粒された顆粒においては、比較例3の微粉砕粉末の安息角が60°であるのに対し、流動性を向上することができる。また、有機液体を用い、転動方式で造粒された顆粒から作製された焼結磁石は、微粉砕粉末を磁場中成形して得られた焼結磁石と同等の磁気特性を備えることがわかる。また、特に、PVA等のバインダを用いた顆粒から焼結磁石を作製する場合、比較例4を見ればわかるように、脱バインダ処理を行わなければ磁気特性の低下が著しく、製造工程を簡略化しつつ高い磁気特性を得ることができる本発明の効果は顕著である。
なお、上記実施の形態では、顆粒を形成するために有機液体を用いたが、これに限るものではなく、他に、水等を用いることも可能である。
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更することが可能である。
縦型の転動式造粒装置の構成を示す図であり、(a)は正断面図、(b)は平面図、(c)は(b)の右側面図である。 横型の転動式造粒装置の構成を示す図であり、(a)は正断面図、(b)は(a)の右側面図である。 実施例で作製された顆粒外観を示すSEM像である。
符号の説明
10、10H、10V…造粒装置(顆粒作製装置)、11…チャンバ、12…主回転翼(主翼、転動翼)、13…補助回転翼(補助翼)

Claims (7)

  1. 希土類焼結磁石の原料粉および顆粒化助剤をチャンバ内に投入し、前記チャンバと前記チャンバ内に設けられた主翼とを相対的に回転させることによって前記顆粒化助剤を介して前記原料粉を凝集させ、得られた凝集物を前記チャンバ内に設けられた補助翼でほぐすことで顆粒を作製する工程と、
    前記顆粒を金型キャビティに投入する工程と、
    前記顆粒に磁場を印加し、かつ加圧成形することにより成形体を得る工程と、
    前記成形体を焼結する工程と、
    を備え、
    前記顆粒化助剤は、20℃における飽和蒸気圧が75mmHg(10.0kPa)以下、20℃における表面張力が20dyn/cm以上、20℃における粘度が0.35cp以上の特性を有することを特徴とする希土類焼結磁石の製造方法。
  2. 前記顆粒を作製する工程では、前記顆粒化助剤により前記原料粉同士を付着させることにより前記原料粉を顆粒化することを特徴とする請求項1に記載の希土類焼結磁石の製造方法。
  3. 前記顆粒化助剤は、ブチルカルビトール、ジエチレングリコール、酢酸ブチルカルビトール、ピネン、シクロヘキサノール、ターピネオール、エチレングリコール、カルビトール、メンタン、ブチルセロソルブ、セロソルブ、キシレン、メチルイソブチルケトン、トルエン、エタノール、酢酸n−ブチル、ジブチルエーテル、メチルエチルケトン、酢酸エチル、アセトン、水の1種又は2種以上から選択されることを特徴とする請求項2に記載の希土類焼結磁石の製造方法。
  4. 前記顆粒化助剤は、第1の有機液体と前記第1の有機液体よりも飽和蒸気圧の高い液成分であることを特徴とする請求項2に記載の希土類焼結磁石の製造方法。
  5. 前記液成分は、前記第1の有機液体よりも飽和蒸気圧の高い第2の有機液体であることを特徴とする請求項4に記載の希土類焼結磁石の製造方法。
  6. 前記顆粒を前記金型キャビティに投入するに先立ち、前記顆粒から前記液成分の除去処理を行う工程をさらに備えることを特徴とする請求項4または5のいずれかに記載の希土類焼結磁石の製造方法。
  7. 前記原料粉は、R214B相(Rは希土類元素から選択される1種又は2種以上の元素、TはFe又はFe及びCoを含む遷移金属元素から選択される1種又は2種以上の元素)を含む組成を有し、平均粒径が2.5〜6μmであることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の希土類焼結磁石の製造方法。
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