JP4661762B2 - フィルタ - Google Patents

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Description

本発明は、例えば携帯電話機等の無線通信機器に適した小型のフィルタ、特に平衡端子を備えたフィルタに関する。
例えば携帯電話機等の無線通信機器に用いられるフィルタには小型化および低損失化の要求がある。そのため、フィルタを構成する共振器にも、小型化および低損失化が求められている。ここで、平衡端子を備えたフィルタとして、例えば不平衡入力−平衡出力型のバンドパスフィルタが知られている。このようなフィルタとして、バランを使用するものがある。バランは、不平衡信号(アンバランス信号)と平衡信号(バランス信号)とを相互変換するものである。なお、不平衡信号を伝送する線路では、ある基準電位(通常、グランド電位)に対する1本の信号線の電位により信号が伝送される。平衡信号を伝送する線路では、一対の信号線間の電位差により信号が伝送される。平衡信号は、一対の信号線間を伝送する各信号の位相が互いに180°異なり、かつ振幅がほぼ等しければ、一般にバランス特性に優れた状態といえる。
図23は、バランの一般的な構造を示している。このバランは、1/2波長(λ/2)共振器201と、第1および第2の1/4波長共振器202,203とを備えている。1/2波長共振器201は、両端が開放(オープン)端とされ、一方の開放端に不平衡入力端子211が接続されている。第1および第2の1/4波長共振器202,203のそれぞれの短絡(ショート)端が、1/2波長共振器201の各開放端に対向するように1/2波長共振器201に対向して配置されている。第1および第2の1/4波長共振器202,203のそれぞれの開放端には、平衡出力端子212,213が接続され、一対の平衡出力端子が形成されている。
この構造を有するバランとして、特許文献1および特許文献2に記載の積層型バラントランスがある。特許文献1および特許文献2では、各共振器をスパイラル状の導体の線路パターンで形成し、その導体の線路パターンを複数の誘電体基板上に形成して積層構造にすることで、小型化を図っている。また、特許文献3および特許文献4には、平衡出力型のバンドパスフィルタとして、1/2波長共振器を用いた積層型バンドパスフィルタが記載されている。
特開2002−190413号公報 特開2003−007537号公報 特開2005−045447号公報 特開2005−080248号公報
しかしながら、特許文献1および特許文献2に記載の積層型バラントランスでは、全体の大きさが1/2波長共振器の大きさ(動作周波数の1/2波長の大きさ)によって制限されてしまい、小型化が困難である。また特許文献1および特許文献2には、各共振器をスパイラル構造にすることも開示されているが、その場合には線路間の不要な結合や物理的な配置のバランスが理想状態から崩れる等の理由で、平衡出力したときの振幅バランスや位相バランスが崩れ、所望の特性が得られないという問題もある。特許文献3および特許文献4に記載の積層型バンドパスフィルタについても同様に、基本的に1/2波長共振器を用いているので、全体の大きさが1/2波長共振器の大きさによって制限されてしまい、小型化が困難である。
また、フィルタでは、所望とする通過帯域以外の信号成分が良好に除去されていることが望ましい。一方で、フィルタの入力側または出力側には、信号の増幅回路を接続する場合がある。しかしながら、一般に増幅回路は、入力する信号が大信号になると非線形性特性が現れ、増幅する信号の周波数の、2倍、3倍、4倍、5倍、…の高調波の信号が出力信号に現れてしまう。こうした不要な信号があると、それに余分な電力が消費されてしまい、電力の効率が悪くなる。また、こうした不要な信号を外に出すのは法律で規制されているため、信号が外部に出ないようにしなければいけない。こうした増幅回路の歪成分を抑える手法として、例えば遅延回路や方向性結合器を用いて、歪成分が逆位相で打ち消しあうような回路構成を採用する手法がある。しかしながら、遅延回路や方向性結合器を用いると、回路全体のサイズが大きくなってしまう。
また、平衡信号が入力または出力されるフィルタでは、入力または出力側においてコモンモードの帯域外成分が重畳された場合であっても、平衡信号(ディファレンシャルモード)の帯域外成分のみならず、コモンモードの帯域外成分も良好に除去されることが望ましい。
また平衡端子を備えたフィルタにおいて、平衡端子には通常、IC(集積回路)等の他の回路が接続される。例えば携帯電話機等では、IC化された差動増幅回路が接続される。このIC等を駆動するための電源電圧として直流電圧が必要とされる。この場合、平衡信号に対して直流的なバイアス電圧を印加しておくことで、平衡端子からIC等へ電源電圧を供給することができる。このため、平衡端子が接続された共振器がバイアス電圧を印加可能な構成とされていることが望ましい。そのためには、出力側の共振器がグランド電極に対して直流的に繋がっていない状況にしなければならない。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、平衡信号の入力または出力が可能で、通過帯域外の不要な信号成分を良好に除去することができる小型化されたフィルタを提供することにある。
本発明の第1の観点に係るフィルタは、互いにインターディジタル結合された一対の1/4波長共振器を少なくとも1組有する第1の共振器と、第1の共振器に接続された一対の平衡端子と、差動増幅器とを備え、差動増幅器の入力側または出力側のいずれか一方の側に一対の平衡端子が接続され、一対の1/4波長共振器が、インターディジタル結合していないときの1/4波長共振器の単体での共振周波数をf0としたとき、単体での共振周波数f0よりも高い第1の共振周波数f1で共振する第1の共振モードと単体での共振周波数f0よりも低い第2の共振周波数f2で共振する第2の共振モードとを有し、かつ、フィルタとしての通過周波数が第2の共振周波数f2に設定されているものである。
本発明の第2の観点に係るフィルタは、互いにインターディジタル結合された一対の1/4波長共振器を少なくとも1組有する第1の共振器と、互いにインターディジタル結合された他の一対の1/4波長共振器を少なくとも1組有し、第1の共振器に電磁結合された第2の共振器と、第1の共振器に接続された一対の平衡端子と、第2の共振器に接続された他の一対の平衡端子と、差動増幅器と、他の差動増幅器とを備え、差動増幅器の入力側に一対の平衡端子が接続されると共に、他の差動増幅器の出力側に他の一対の平衡端子が接続され、一対の1/4波長共振器が、インターディジタル結合していないときの1/4波長共振器の単体での共振周波数をf 0 としたとき、単体での共振周波数f 0 よりも高い第1の共振周波数f 1 で共振する第1の共振モードと単体での共振周波数f 0 よりも低い第2の共振周波数f 2 で共振する第2の共振モードとを有し、かつ、フィルタとしての通過周波数が第2の共振周波数f 2 に設定され、第1の共振器と第2の共振器とが第2の共振周波数f 2 で電磁結合されているものである。
本発明の第1または第2の観点に係るフィルタでは、第1の共振器が、インターディジタル結合された一対の1/4波長共振器で構成とされていることで、小型化が容易となる。ここで、一対の1/4波長共振器をインターディジタル型で、かつ強く結合させると、物理的な1/4波長の長さで決まる共振周波数f0(インターディジタル結合させていないときの各1/4波長共振器単体での共振周波数)に対し周波数が高い第1の共振周波数f1で共振する第1の共振モードと、共振周波数f0よりも低い第2の共振周波数f2で共振する第2の共振モードとの2つのモードが現れ、共振周波数が2つに分離する。この場合において、物理的な長さに対応する共振周波数f0よりも周波数の低い第2の共振周波数f2を、フィルタとしての通過周波数(動作周波数)に設定することで、フィルタとしての通過周波数を共振周波数f0に設定した場合よりも小型化が図られる。また、周波数の低い第2の共振周波数f2で共振する第2の共振モードは、一対の1/4波長共振器で互いに逆相となる励振モードなので、バランス特性に優れたものとなる。また、周波数の低い第2の共振モードでは、各共振器に同方向に電流iが流れ、擬似的に導体厚みが増えることで、導体損失が少なくなる。
このような2つの共振モードを有する場合、一対の平衡端子が接続された位置において、周波数が高い第1の共振モードはコモンモードに対応し、周波数の低い第2の共振モードはディファレンシャルモードに対応する。一方、差動増幅器は、差動信号(平衡信号)を増幅するものであるため、コモンモードの信号が入力されても増幅されない性質を持つ。このため、差動増幅器の入力側に一対の平衡端子を接続した構成の場合には、まず、第1の共振器の作用により、通過周波数帯域では(周波数の低い第2の共振モードの作用により)平衡信号が差動増幅器に入力されると共に、通過周波数よりも高周波側では(周波数の高い第1の共振モードの作用により)コモンモードの信号が差動増幅器に入力される。しかし、差動増幅器はコモンモードの信号を増幅しないので、高周波成分は除去される。結果的に、通過周波数帯域の平衡信号のみが良好に伝送される。
逆に、差動増幅器の出力側に一対の平衡端子を接続した構成の場合には、入力信号のうち、平衡信号のみが差動増幅器で増幅され、コモンモードの信号は入力されても増幅されない。第1の共振器には、差動増幅器によって増幅された平衡信号のみが一対の平衡端子を介して入力される。この場合において、通過周波数に対する高調波ひずみの(平衡信号の)信号成分が差動増幅器から出力されたとしても、第1の共振器では、通過周波数よりも高周波側では(周波数の高い第1の共振モードの作用により)コモンモードの信号のみを伝送するので、その平衡信号の高調波ひずみの信号成分は通過できず、結果的に、通過周波数帯域の平衡信号のみが良好に伝送される。
本発明の第1または第2の観点に係るフィルタにおいて、第1の共振器は、回転対称軸を有し全体として回転対称な構造とされ、一対の平衡端子の一方の端子と他方の端子とが、回転対称軸に対して互いに回転対称となる位置において第1の共振器に接続されていることが好ましい。
このような構成とすることで、平衡信号がバランス特性に優れた状態で伝送される。
本発明の第1の観点に係るフィルタにおいて、一対の1/4波長共振器は、一端が開放端とされ、他端が共振時に短絡端として機能することにより互いにインターディジタル結合されており、一対の1/4波長共振器の短絡端同士を導通する接続導体と、接続導体に接続され、差動増幅器に電源電圧の供給を行う直流電圧印加端子とをさらに備えている。
この場合において、「他端が共振時に短絡端として機能する」とは、他端がグランド電位に接続されているということではなく、共振時における電界分布をみたときに、他端が少なくとも共振時に交流的にゼロ電位となっていること(すなわち他端において共振時に共振周波数成分がゼロ電位となっていること)を意味する。この場合、直流的なバイアス電圧が印加されていたとしても、交流的にゼロ電位となっていれば短絡端として機能する。
また、この場合において、「インターディジタル結合された一対の1/4波長共振器」とは、一方の1/4波長共振器の開放端と他方の1/4波長共振器の共振時における短絡端とが対向すると共に、一方の1/4波長共振器の共振時における短絡端と他方の1/4波長共振器の開放端とが対向するように配置されることで、互いに電磁結合された共振器のことをいう。
この構成の場合には、第1の共振器における一対の1/4波長共振器の短絡端同士が接続導体により導通され、その接続導体に直流電圧印加端子が接続されて直流電圧が供給される。ここで、一対の1/4波長共振器をインターディジタル結合させるためには通常、各1/4波長共振器の一端を開放端、他端を短絡端にするために、他端をグランド電極に接続し、物理的にグランド電位に落としている。しかしながら、物理的にグランド電位に落とすと、グランド電極に電圧がかかってしまい、負荷側に電力を供給できない。一方、各1/4波長共振器はグランド電極に接続されていなくとも、共振時には一端が開放端、他端が交流的にゼロ電位となる。本発明の第1の観点に係るフィルタでは、この共振時の性質を利用することで、第1の共振器における一対の1/4波長共振器の他端をグランド電極に接続することなく、共振時に等価的にインターディジタル結合がなされる。この場合、他端がグランド電極に接続されていないので、一対の1/4波長共振器の他端(短絡端)間に直流電圧印加端子を接続することで、一対の1/4波長共振器に直流電圧が供給される。これにより、一対の平衡端子に流れる平衡信号に対して直流的にバイアス電圧が印加され、一対の平衡端子を介して差動増幅器に電源電圧の供給が可能となる。
また、本発明の第1の観点に係るフィルタにおいて、互いにインターディジタル結合された他の一対の1/4波長共振器を少なくとも1組有し、第1の共振器に電磁結合された第2の共振器をさらに備え、第1の共振器と第2の共振器とが第2の共振周波数f2で電磁結合されていても良い。
この場合において、第2の共振器に接続された他の一対の平衡端子と、他の差動増幅器とをさらに備え、差動増幅器の入力側に一対の平衡端子が接続されると共に、他の差動増幅器の出力側に他の一対の平衡端子が接続され、全体として平衡入力−平衡出力型の構成されていても良い。
本発明の第1または第2の観点に係るフィルタによれば、インターディジタル結合された一対の1/4波長共振器を有し、コモンモードに対応する周波数が高い第1の共振モードとディファレンシャルモードに対応する周波数の低い第2の共振モードとの2つの共振モードを有する構成とすると共に、フィルタとしての通過周波数を第2の共振モードとし、かつ、一対の平衡端子を介して差動増幅器と第1の共振器との間で平衡信号の入力または出力を行うようにしたので、平衡信号の入力または出力が可能で、通過帯域外の不要な信号成分を良好に除去することができる。また、第1の共振器をインターディジタル結合された一対の1/4波長共振器で構成するようにしたので、小型化が容易となる。
特に、本発明の第1の観点に係るフィルタによれば、一対の1/4波長共振器の共振時における短絡端同士を接続導体により導通し、その接続導体に直流電圧印加端子を接続するようにしたので、第1の共振器における一対の1/4波長共振器に直流電圧を供給することが可能となる。これにより、一対の平衡端子に流れる平衡信号に対して直流的にバイアス電圧を印加し、一対の平衡端子を介して差動増幅器に対して電源電圧として直流電圧を供給することができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
[第1の実施の形態]
まず、本発明の第1の実施の形態に係るフィルタについて説明する。
図1は、本実施の形態に係るフィルタの第1の基本構成を示している。図2は、本実施の形態に係るフィルタの第2の基本構成を示している。本実施の形態に係るフィルタは、第1の共振器1と、第2の共振器2と、第2の共振器2に接続された不平衡端子3と、第1の共振器1に接続された一対の平衡端子4A,4Bと、一対の平衡端子4A,4Bに接続された差動増幅器7とを備えている。差動増幅器7は、差動信号(平衡信号)を増幅するものであり、一対の入力端子7A,7Bと、一対の出力端子7C,7Dとを有している。
図1の構成例では、差動増幅器7の入力側(一対の入力端子7A,7B)が、一対の平衡端子4A,4Bに接続されることにより、不平衡端子3を入力端子として、全体として不平衡入力−平衡出力型のフィルタが構成されている。一方、図2の構成例では、差動増幅器7の出力側(一対の出力端子7C,7D)が、一対の平衡端子4A,4Bに接続されることにより、不平衡端子3を出力端子として、全体として平衡入力−不平衡出力型のフィルタが構成されている。
第1および第2の共振器1,2は、TEM(Transverse Electro Magnetic)線路により構成されている。TEM線路は、例えばストリップラインなどの導体パターンや誘電体基板内部に形成された貫通導体などで構成することができる。なお、TEM線路とは、電界および磁界が共に電磁波の進行方向に垂直な断面内にのみ存在する電磁波(TEM波)を伝送する伝送線路である。
第1の共振器1は、互いにインターディジタル結合された一対の1/4波長共振器10,20を有している。第1の共振器1は、回転対称軸5を有し、全体的に回転対称な構造とされている。一対の1/4波長共振器10,20のうち、一方の1/4波長共振器10には一方の平衡端子4Aが接続され、他方の1/4波長共振器20には他方の平衡端子4Bが接続されている。一対の平衡端子4A,4Bは、回転対称軸5に対して互いに回転対称となる位置において、一対の1/4波長共振器10,20に接続されていることが好ましい。これにより、バランス特性に優れた状態にすることができる。
なお、インターディジタル結合とは、一対の1/4波長共振器10,20の一端を開放端、他端を短絡端とし、一方の1/4波長共振器10の開放端と他方の1/4波長共振器20の短絡端とが対向すると共に、一方の1/4波長共振器10の短絡端と他方の1/4波長共振器20の開放端とが対向するように配置して一対の1/4波長共振器10,20を電磁結合させることをいう。
第2の共振器2も第1の共振器1と同様に、互いにインターディジタル結合された他の一対の1/4波長共振器30,40を有している。他の一対の1/4波長共振器30,40のうちの1つに不平衡端子3が接続されている。他の一対の1/4波長共振器30,40も一対の1/4波長共振器10,20と同様、回転対称軸6を有し、全体的に回転対称な構造とされていても良い。
一対の1/4波長共振器10,20は、後述するように、共振時に強いインターディジタル結合がなされていることで、第1の共振周波数f1で共振する第1の共振モードと第1の共振周波数f1よりも低い第2の共振周波数f2で共振する第2の共振モードとを有している。より詳しくは、インターディジタル結合していないときの各1/4波長共振器10,20の単体での共振周波数をf0としたとき、単体での共振周波数f0よりも高い第1の共振周波数f1で共振する第1の共振モードと単体での共振周波数f0よりも低い第2の共振周波数f2で共振する第2の共振モードとを有している。そして、動作周波数(フィルタとしての通過周波数)が第2の共振周波数f2となるように構成されている。
第2の共振器2における他の一対の1/4波長共振器30,40も同様に、2つの共振モードを有し、周波数の低い第2の共振周波数f2で動作するように構成されている。そして、このフィルタは、第1の共振器1と第2の共振器2とが、周波数の低い第2の共振周波数f2で共振し、電磁結合するように構成されている。これにより、第2の共振周波数f2を通過帯域とした、不平衡入力−平衡出力型、または平衡入力−不平衡出力型のバンドパスフィルタが構成されている。
次に、本実施の形態に係るフィルタの作用を説明する。
まず、第1および第2の共振器1,2を構成するインターディジタル結合した一対の1/4波長共振器の共振モードについて説明する。まず、図5および図6を参照して、同じ周波数で共振する共振器を2つ結合させた場合の共振モードを考える。共振器同士の距離が離れているときは、共振器同士は全く結合しないので同じ周波数に共振ピークは重なるが、共振器同士を近づけていくと電波の飛び移りが起こるため、共振器は単独で共振することはなくなり、2つの共振器が混じりあった混成共振モードを形成し、共振ピークが2つに分裂する。ここで、混成共振モードにおける2つの共振モードを、第1の共振モード(モード1)と第2の共振モード(モード2)とすると、共振器同士の結合が弱い場合、分裂の度合いが小さいので、図5に示すように、2つの共振モードでの共振ピークの裾野は重なってしまう。このとき、低い共振モードである第2の共振モードの共振周波数f2では、第1の共振モードの共振ピークが重なっているため、第1の共振モードの成分を少し含んだ状態となっている。しかし、強く結合したときには、共振ピークが離れるので、図6に示すように、第2の共振モードが共振する周波数f2では、第1の共振モードの成分が全く無い状態を作り出すことができる。言い換えると、共振器同士の結合を強くさせることで、共振モードの純度を高めることができることを意味する。
本実施の形態におけるインターディジタル結合した一対の1/4波長共振器10,20では、共振状態を2つの固有な共振モードに分けることができる。なお、第2の共振器2を構成する他の一対の1/4波長共振器30,40についても同様である。図3は、インターディジタル結合した一対の1/4波長共振器10,20における第1の共振モードを示し、図4は、その第2の共振モードを示している。なお、図3および図4において、破線で示した曲線は、各共振器における電界Eの分布を示している。また、図3および図4では、一対の1/4波長共振器10,20の共振時の状態を示しており、他端をグランドの状態としているが、これは交流的なゼロ電位であることを意味している。
第1の共振モードでは、一対の1/4波長共振器10,20のそれぞれにおいて開放端側から短絡端側に電流iが流れ、それぞれに流れる電流iの向きが逆方向となる。この第1の共振モードでは、一対の1/4波長共振器10,20で電磁波が同相に励振されている。この第1の共振モードでは、一対の1/4波長共振器全体の物理的な回転対称軸に対して互いに回転対称な位置では、電界Eの位相と振幅とが同じになる。すなわち、第1の共振モードはコモンモードに対応する。一対の平衡端子4A,4Bを回転対称な位置に接続すれば、第1の共振モードでは一対の平衡端子4A,4Bからコモンモードの信号が出力される。
一方、第2の共振モードでは、一方の1/4波長共振器10では開放端側から短絡端側に電流iが流れると共に、他方の1/4波長共振器20では短絡端側から開放端側に電流iが流れ、それぞれに流れる電流iの向きが同方向となる。すなわち、この第2の共振モードでは、電界Eの分布を見ても分かるように、一対の1/4波長共振器10,20で電磁波が逆相に励振されている。この第2の共振モードでは、一対の1/4波長共振器全体の物理的な回転対称軸に対して互いに回転対称な位置で、電界Eの位相が180°異なり、振幅の絶対値は同じとなる。すなわち、第2の共振モードはディファレンシャルモードに対応する。一対の平衡端子4A,4Bを回転対称な位置に接続すれば、第2の共振モードでは一対の平衡端子4A,4Bから、振幅バランスと位相バランスとが共に良好な平衡信号を取り出すことができる。
ところで、図5および図6を参照して説明したように、十分に強く結合された2つの共振器では、2つの共振モードを周波数的に完全に分離することができる。すなわち、一対の1/4波長共振器10,20において、インターディジタル結合を非常に強くしてやれば、平衡信号が出てくる第2の共振モードと、不平衡信号が出てくる第1の共振モードとを周波数的に完全に分離することができる。したがって、フィルタとしての通過周波数を第2の共振モードの共振周波数にf2に設定すれば、より良好な平衡信号が得られる。
図7は、インターディジタル結合された一対の1/4波長共振器10,20における共振周波数の分布状態を示している。インターディジタル結合の特徴として、第1の共振周波数f1と第2の共振周波数f2との中間の共振周波数f0は、線路の物理的な長さによって決まる1/4波長で共振した場合の周波数(インターディジタル結合していないときの各1/4波長共振器単体での共振周波数)となる。したがって、周波数の低い第2の共振周波数f2を通過周波数に設定することで、通過周波数を共振周波数f0に設定した場合よりも共振器全体を小型化することができる。例えば2.4GHz帯を通過周波数としたフィルタを設計する場合、物理的な長さを例えば8GHzに対応させた1/4波長共振器を用いることができる。これは、物理的な長さを2.4GHz帯に対応させた1/4波長共振器とした場合よりも小型のものとなる。さらに、第2の共振モードでは、結合を強くした場合、一対の1/4波長共振器10,20を仮想的に1つの導体とみなした状態と同等の磁界分布が得られ、仮想的に導体厚が厚くなり、導体損失を少なくすることができる利点がある。
また、インターディジタル結合では、結合が強ければ強いほど2つの共振モードは分裂し、第2の共振モードの共振周波数f2が下がり、第1の共振モードの共振周波数f1が上がる。これにより、第2の共振モードを通過帯域とした場合に、高次の共振モードを周波数的に離れさせることができる。なおかつ、その高い周波数の共振モードは、振幅バランスの取れたコモンモードに相当する。
このような特徴を持つ一対の1/4波長共振器10,20を有する第1の共振器1と差動増幅器7とを組み合わせることにより、図1および図2の構成例でそれぞれ、以下の作用が得られる。
図1の構成例に係るフィルタでは、不平衡端子3から入力された不平衡信号が、第1および第2の共振器1,2の共振作用によりフィルタリングされ、そのフィルタリングされた信号が一対の平衡端子4A,4Bから出力される。差動増幅器7の入力側には、通過周波数帯域では(周波数の低い第2の共振モードの作用により)平衡信号が入力される。通過周波数よりも高周波側では(周波数の高い第1の共振モードの作用により)コモンモードの信号が差動増幅器7に入力される。しかし、差動増幅器7はコモンモードの信号を増幅しないので、高周波成分は除去される。結果的に、通過周波数帯域の平衡信号のみが良好に伝送される。
図2の構成例に係るフィルタでは、差動増幅器7を介して一対の平衡端子4A,4Bに平衡信号が入力される。ここで、差動増幅器7では、入力信号のうち、平衡信号のみが増幅され、コモンモードの信号は入力されても増幅されない。第1の共振器1には、差動増幅器7によって増幅された平衡信号のみが一対の平衡端子4A,4Bを介して入力される。その平衡信号が第1および第2の共振器1,2の共振作用によりフィルタリングされ、不平衡端子3から不平衡信号として出力される。この場合において、通過周波数に対する高調波ひずみの(平衡信号の)信号成分が差動増幅器7から出力されたとしても、第1および第2の共振器1,2では、通過周波数よりも高周波側では(周波数の高い第1の共振モードの作用により)コモンモードの信号のみを伝送するので、その平衡信号の高調波ひずみの信号成分は通過できず、結果的に、通過周波数帯域の平衡信号のみが良好に伝送される。
以上説明したように、本実施の形態によれば、インターディジタル結合された一対の1/4波長共振器10,20を有し、コモンモードに対応する周波数が高い第1の共振モードとディファレンシャルモードに対応する周波数の低い第2の共振モードとの2つの共振モードを有する構成とすると共に、フィルタとしての通過周波数を第2の共振モードとし、かつ、一対の平衡端子4A,4Bを介して差動増幅器7と第1の共振器1との間で平衡信号の入力または出力を行うようにしたので、平衡信号の入力または出力が可能で、通過帯域外の不要な信号成分を良好に除去することができる。また、第1および第2の共振器1,2をインターディジタル結合された一対の1/4波長共振器10,20および30,40で構成するようにしたので、小型化が容易となる。
[第1の実施の形態の具体的な構成例]
以下、第1の実施の形態に係るフィルタの共振器部分の具体的な構成例を説明する。以下の構成例において、図1に示した基本構成に対応する部分には同一の符号を付す。
図8および図9(A),(B)は、その具体的な構成例を示している。図9(A),(B)は、図8における内部層を分解して示している。図9(A)は下層側の構成を示し、図9(B)は上層側の構成を示している。この構成例は、誘電体材料よりなる略直方体形状の誘電体ブロックを備え、その誘電体ブロックを多層構造としたものである。誘電体ブロックの内部には、導体の線路パターン(ストリップライン)が形成され、その内部の線路パターンにより、一対の1/4波長共振器10,20および他の一対の1/4波長共振器30,40と、不平衡端子3と、一対の平衡端子4A,4Bとが内部層として形成されている。このような構造は、例えば、シート状の誘電体基板を複数用意し、各線路部分をそのシート状の誘電体基板上に導体の線路パターンで形成して、そのシート状の誘電体基板を重ね合わせた積層構造にすることで実現できる。なお、誘電体ブロックの対向する2つの側面はグランド電極101,102とされている。
この構成例では、一対の1/4波長共振器10,20および他の一対の1/4波長共振器30,40それぞれ、直線状の導体の線路パターンで形成されている。一対の1/4波長共振器10,20はそれぞれ別々の平面内に積層され、対向配置されている。同様に、他の一対の1/4波長共振器30,40もそれぞれ別々の平面内に積層され、対向配置されている。一方の1/4波長共振器10の一端は開放端とされ、その開放端側に一方の平衡端子4Aとなる導体の線路パターンが直線状に形成されている。他端は、側面のグランド電極102に接続され、短絡端とされている。同様に、他方の1/4波長共振器20の一端が開放端とされ、その開放端側に他方の平衡端子4Bとなる導体の線路パターンが直線状に形成されている。他端は、側面のグランド電極101に接続され、短絡端とされている。また、他の一対の1/4波長共振器30,40における一方の1/4波長共振器30の一端は開放端とされ、他端は、側面のグランド電極101に接続され、短絡端とされている。また、他方の1/4波長共振器40の一端は開放端とされ、その開放端側に不平衡端子3となる導体の線路パターンが直線状に形成されている。他端は、側面のグランド電極102に接続され、短絡端とされている。
この構成例において、各部の寸法は、図8および図9(A),(B)に示したとおりである。なお、誘電体ブロック内部の誘電率は7.5となっている。また、一対の1/4波長共振器10,20は、20μmの間隔で対向配置され、インターディジタル結合されている。他の一対の1/4波長共振器30,40も同様に、20μmの間隔で対向配置され、インターディジタル結合されている。
この構成例において、図10に示したように、不平衡端子3をポート1、一方の平衡端子4Aをポート3、他方の平衡端子4Bをポート2とする。この場合におけるSパラメータ特性を、図11に示す。図11の横軸は周波数、縦軸は減衰量を示す。S11は、ポート1に信号を入力したときに反射してポート1に戻ってくる信号の割合を示す。S21は、ポート1に信号を入力したときにポート2に伝送される信号の割合を示す。S31は、ポート1に信号を入力したときにポート3に伝送される信号の割合を示す。また、図12に、一対の平衡端子4A,4B間に出力される信号の位相差(S21−S31)を示す。図12から分かるように、通過周波数付近では、位相差が180度になっているが、それよりも高周波側では、位相差が0度になっている。すなわち、通過周波数付近で平衡信号(ディファレンシャルモード)が伝送され、それよりも高周波側では、不平衡信号(コモンモード)が伝送されている。
ここで、各モードの伝送割合をより詳しく調べるために、図13に示したようなポートの変換を行う。通常のSパラメータは、以下のマトリクスで表される。
Figure 0004661762
ポート2,3に代えて、ディファレンシャルモードの信号を伝達するポートdとコモンモードの信号を伝達するポートcとを導入する。この場合のSパラメータS’は、通常のSパラメータを用いて、以下のマトリクスのように変換できる。ここで、例えばSd1は、ポート1から入力された信号がディファレンシャルモードの信号に変換されポートdに伝送される割合を表し、Sc1は、ポート1から入力された信号がコモンモードの信号に変換されポートcに伝送される割合を表している。
Figure 0004661762
この変換されたSパラメータ特性を計算した結果を、図14に示す。図14の横軸は周波数、縦軸は減衰量を示す。図14のグラフから分かるように、通過周波数より高い周波数では、コモンモードの信号が伝送していることが分かる。このようなコモンモードの信号は、差動増幅器7を組み合わせることで、除去することができる。すなわち、図8および図9(A),(B)に示した共振器を、図1に示したように差動増幅器7と組み合わせることで、平衡信号のみを良好に伝送することができる。
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態を説明する。なお、上記第1の実施の形態に係るフィルタと実質的に同一の構成部分には同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
図15は、本実施の形態に係るフィルタの第1の基本構成を示している。図15の構成例は、図1の構成例に対し、第1の共振器1を構成する一対の1/4波長共振器10,20の短絡端同士を接続導体8により導通すると共に、その接続導体8に直流電圧印加端子4Cを接続したものである。通常、インターディジタル結合とは、図1に示したように、一対の1/4波長共振器10,20の一端を開放端、他端を短絡端とし、一方の1/4波長共振器10の開放端と他方の1/4波長共振器20の短絡端とが対向すると共に、一方の1/4波長共振器10の短絡端と他方の1/4波長共振器20の開放端とが対向するように配置して一対の1/4波長共振器10,20を電磁結合させることをいう。このため通常、他端を短絡端とするために、他端をグランド電極に接続し、物理的にグランド電位(0V)に落としている。しかしながら、実使用上、インターディジタル結合させるためには、他端がグランド電位になっている必要はなく、交流的にゼロ電位となっていれば良い。一方、共振時の動作共振周波数においては、一対の1/4波長共振器10,20はグランド電極に接続されていなくとも、他端が交流的にゼロ電位となる(共振時に共振周波数成分がゼロ電位となる)。すなわち、共振時の動作共振周波数においては、自動的に他端が短絡端として機能する。本実施の形態においては、この性質により、一対の1/4波長共振器10,20がインターディジタル結合されている。
なお、本実施の形態において、「他端が共振時に短絡端として機能する」とは、他端がグランド電位に接続されているということではなく、共振時における電界分布をみたときに、他端が少なくとも共振時に交流的にゼロ電位となっていること(すなわち他端において共振時に共振周波数成分がゼロ電位となっていること)を意味する。この場合、直流的なバイアス電圧が印加されていたとしても、交流的にゼロ電位となっていれば短絡端として機能する。また、「インターディジタル結合された一対の1/4波長共振器」とは、一方の1/4波長共振器10の開放端と他方の1/4波長共振器20の共振時における短絡端とが対向すると共に、一方の1/4波長共振器10の共振時における短絡端と他方の1/4波長共振器20の開放端とが対向するように配置されることで、互いに電磁結合された共振器のことをいう。
なお、図16に第2の基本構成として示したように、第2の共振器2を構成する他の一対の1/4波長共振器30,40も、第1の共振器1における一対の1/4波長共振器10,20と同様、他端(共振時における短絡端)同士を接続導体9により導通して、他端をグランド電極に接続することなくインターディジタル結合させるような構造であっても良い。この場合には、他の一対の1/4波長共振器30,40は一対の1/4波長共振器10,20と同様、一端が開放端とされ、他端が共振時に短絡端として機能することにより互いにインターディジタル結合される。
本実施の形態に係るフィルタでは、一対の1/4波長共振器10,20の短絡端同士が接続導体8により導通され、その接続導体8に直流電圧印加端子4Cが接続されて直流電圧が供給される。ここで、一対の1/4波長共振器10,20をインターディジタル結合させるためには通常、図1に示したように、各1/4波長共振器の一端を開放端、他端を短絡端にするために、他端をグランド電極に接続し、物理的にグランド電位に落としている。しかしながら、物理的にグランド電位に落とすと、直流電圧を供給したときに電力がグランドで消費されてしまい、負荷に電力が伝わらない。一方、上述したように各1/4波長共振器はグランド電極に接続されていなくとも、共振時には一端が開放端、他端が交流的にゼロ電位となる。本実施の形態では、この共振時の性質を利用することで、一対の1/4波長共振器10,20の他端をグランド電極に接続することなく、共振時に等価的にインターディジタル結合がなされる。この場合、他端がグランド電極に接続されていないので、一対の1/4波長共振器10,20の他端(短絡端)間に直流電圧印加端子4Cを接続することで、電力がグランドで消費されず、一対の1/4波長共振器10,20に直流電圧が供給される。これにより、一対の平衡端子4A,4Bに流れる平衡信号に対して直流的にバイアス電圧が印加され、一対の平衡端子4A,4Bを介して差動増幅器7や図示しない外部の回路に対して電源電圧の供給が可能となる。
なお、その他の作用・効果は、上記第1の実施の形態と同様である。また、図2の構成例に対しても、一対の1/4波長共振器10,20の短絡端同士を接続導体8により導通すると共に、その接続導体8に直流電圧印加端子4Cを接続するようにしても良い。
[第2の実施の形態の具体的な構成例]
以下、本実施の形態に係るフィルタの共振器部分の具体的な構成例を説明する。以下の構成例において、図15または図16に示した基本構成に対応する部分には同一の符号を付す。
<第1の具体的な構成例>
図17および図18は、本実施の形態に係るフィルタの第1の具体的な構成例を示している。図17は内部層を省略し、外観部分のみを斜視透視して示している。図18は、図17で省略した内部層を分解して示している。この構成例は図15の基本構成に対応している。このフィルタは、図17に示したように、誘電体材料よりなる略直方体形状の誘電体ブロック61を備え、その誘電体ブロック61を多層構造としたものである。誘電体ブロック61の内部には、導体の線路パターン(ストリップライン)が形成され、その内部の線路パターンにより、第2の共振器2を構成する他の一対の1/4波長共振器30,40と、不平衡端子3と、第1の共振器1を構成する一対の1/4波長共振器10,20と、一対の平衡端子4A,4Bと、後述のシールド電極71,72および73,74とが内部層として形成されている。誘電体ブロック61の第1の側面には、直流電圧印加端子4Cとなる直流電圧印加用の外部端子電極が形成されている。また、誘電体ブロック61の第1の側面において、直流電圧印加用の外部端子電極の両側には、一対の平衡端子4A,4Bが接続される平衡端子用の外部端子電極62,63が形成されている。さらに、誘電体ブロック61の第2および第3の側面にはそれぞれ、接続導体8の一部となる接続用の外部端子電極64,65が形成されている。誘電体ブロック61の第2および第3の側面にはまた、他の一対の1/4波長共振器30,40の短絡端を基準電圧(グランド電圧)に保つための「基準電圧印加端子」となる基準電圧印加用の外部端子電極82,83が形成されている。さらに、誘電体ブロック61の第4の側面には、不平衡端子3が接続される不平衡端子用の外部端子電極81が形成されている。
この構成例では、図18に示したように、一対の1/4波長共振器10,20が略直線状の導体の線路パターンで形成されている。そして、一方の1/4波長共振器10の一端が開放端とされ、その開放端に一方の平衡端子4Aとなる導体の線路パターンが略直角方向に直線状に形成されている。これにより全体としてL字状の線路パターンが形成されている。その一方の平衡端子4Aとなる直線状の導体の線路パターンが、誘電体ブロック61の第1の側面にある一方の外部端子電極62まで延在して導通されている。同様に、他方の1/4波長共振器20の一端が開放端とされ、その開放端に他方の平衡端子4Bとなる導体の線路パターンが略直角方向に直線状に形成されている。これにより全体としてL字状の線路パターンが形成されている。その平衡端子4Bとなる直線状の導体の線路パターンが、誘電体ブロック61の第1の側面にある他方の外部端子電極63まで延在して導通されている。
また、一方の1/4波長共振器10の他端が共振時における短絡端とされ、その短絡端が、誘電体ブロック61の第3の側面部分の接続用の外部端子電極65まで延在して導通されている。同様に、他方の1/4波長共振器20の他端が共振時における短絡端とされ、その短絡端が、誘電体ブロック61の第2の側面部分の接続用の外部端子電極64まで延在して導通されている。
また、他の一対の1/4波長共振器30,40も略直線状の導体の線路パターンで形成されている。一対の1/4波長共振器10,20における一方の1/4波長共振器10と他の一対の1/4波長共振器30,40における他方の1/4波長共振器40とが、同一平面内で並列的に配置されている。また、一対の1/4波長共振器10,20における他方の1/4波長共振器20と他の一対の1/4波長共振器30,40における一方の1/4波長共振器30とが、同一平面内で並列的に配置されている。
他の一対の1/4波長共振器30,40における他方の1/4波長共振器40の一端は開放端とされ、その開放端に不平衡端子3となる導体の線路パターンが略直角方向に直線状に形成されている。これにより全体としてL字状の線路パターンが形成されている。その不平衡端子3となる直線状の導体の線路パターンが、誘電体ブロック61の第4の側面にある不平衡端子用の外部端子電極81まで延在して導通されている。また、他方の1/4波長共振器40の他端が短絡端とされ、その短絡端が、誘電体ブロック61の第3の側面部分の基準電圧印加用の外部端子電極83まで延在して導通されている。同様に、一方の1/4波長共振器30の一端が開放端、他端が短絡端とされ、その短絡端が、誘電体ブロック61の第2の側面部分の基準電圧印加用の外部端子電極82まで延在して導通されている。
この構成例に係るフィルタはさらに、一対の1/4波長共振器10,20からの電磁波の外部への伝搬を防止するシールド電極71,72を備えている。シールド電極71は、一対の1/4波長共振器10,20に対して上層側に積層され、シールド電極72は下層側に積層されている。上層側のシールド電極71には、第1の引き出し電極71A、第2の引き出し電極71Bおよび第3の引き出し電極71Cが設けられている。同様に、下層側のシールド電極72にも、第1の引き出し電極72A、第2の引き出し電極72Bおよび第3の引き出し電極72Cが設けられている。シールド電極71,72の第1の引き出し電極71A,72Aは、誘電体ブロック61の第2の側面部分の接続用の外部端子電極64まで延在して導通されている。第2の引き出し電極71B,72Bは、誘電体ブロック61の第3の側面部分の接続用の外部端子電極65まで延在して導通されている。第3の引き出し電極71C,72Cは、誘電体ブロック61の第1の側面部分の直流電圧印加用の外部端子電極(直流電圧印加端子4C)にまで延在して導通されている。
このフィルタはまた、他の一対の1/4波長共振器30,40からの電磁波の外部への伝搬を防止するシールド電極73,74を備えている。シールド電極73は、他の一対の1/4波長共振器30,40に対して上層側に積層され、シールド電極74は下層側に積層されている。一対の1/4波長共振器10,20の上層側のシールド電極71と他の一対の1/4波長共振器30,40の上層側のシールド電極73とが、同一平面内で並列的に配置されている。また、一対の1/4波長共振器10,20の下層側のシールド電極72と他の一対の1/4波長共振器30,40の下層側のシールド電極74とが、同一平面内で並列的に配置されている。
他の一対の1/4波長共振器30,40の上層側のシールド電極73には、第1の引き出し電極73A、および第2の引き出し電極73Bが設けられている。同様に、下層側のシールド電極74にも、第1の引き出し電極74A、および第2の引き出し電極72Bが設けられている。シールド電極73,74の第1の引き出し電極73A,74Aは、誘電体ブロック61の第2の側面部分の基準電圧印加用の外部端子電極82まで延在して導通されている。第2の引き出し電極73B,74Bは、誘電体ブロック61の第3の側面部分の基準電圧印加用の外部端子電極83まで延在して導通されている。
この構成例では、第1の共振器1において、一方の1/4波長共振器10の他端(共振時における短絡端)が、第3の側面部分の接続用の外部端子電極65を介してシールド電極71,72に導通される。また、他方の1/4波長共振器20の他端(共振時における短絡端)が、第2の側面部分の接続用の外部端子電極64を介してシールド電極71,72に導通される。これにより、接続用の外部端子電極64,65およびシールド電極71,72を介して一対の1/4波長共振器10,20の短絡端同士が導通される。すなわち、この構成例では、シールド電極71,72が接続導体8の機能を兼ねている。そして、さらにシールド電極71,72が第3の引き出し電極71C,72Cを介して直流電圧印加端子4Cに導通されることで、直流電圧が印加される。
また、この構成例では、第2の共振器2において、一方の1/4波長共振器30の他端(短絡端)が、第2の側面部分の基準電圧印加用の外部端子電極82を介してシールド電極73,74に導通される。また、他方の1/4波長共振器40の他端(短絡端)が、第3の側面部分の基準電圧印加用の外部端子電極83を介してシールド電極73,74に導通される。これにより、基準電圧印加用の外部端子電極82,83およびシールド電極73,74を介して他の一対の1/4波長共振器30,40の短絡端同士が導通される。すなわち、この構成例では、外部端子電極82,83、およびシールド電極71,72が、他の一対の1/4波長共振器30,40の短絡端同士を接続する接続導体9(図16)の機能を兼ねている。そして、基準電圧印加用の外部端子電極82,83が図示しないグランド電極に接続されることで、他の一対の1/4波長共振器30,40の他端がグランド電位となる。
なお、この構成例では、第1の共振器1において上下のシールド電極71,72の双方を介して一対の1/4波長共振器10,20の短絡端同士を導通するようにしたが、どちらか一方のみを介して短絡端同士を導通するようにしても良い。第1の共振器1についても同様である。
<第2の具体的な構成例>
図19および図20は、本実施の形態に係るフィルタの第2の具体的な構成例を示している。図19は内部層を省略し、外観部分のみを斜視透視して示している。図20は、図19で省略した内部層を分解して示している。この構成例は図16の基本構成に対応している。図17および図18に示した第1の具体的な構成例では、一対の1/4波長共振器10,20のシールド電極71,72と他の一対の1/4波長共振器30,40のシールド電極73,74とが別々に形成され、それら別々のシールド電極を介して一対の1/4波長共振器10,20の短絡端同士と他の一対の1/4波長共振器30,40の短絡端同士とを別々に導通していた。これに対し、本構成例では、一対の1/4波長共振器10,20と他の一対の1/4波長共振器30,40とでシールド電極を共通化し、その共通のシールド電極を介して各1/4波長共振器の短絡端同士を共通接続したものである。すなわち、このフィルタは、図20に示したように、上層側に共通のシールド電極91を備え、下層側に共通のシールド電極92を備えている。また、図19に示したように、図17の構成例における誘電体ブロック61の第2の側面の外部端子電極64,82が共通化され、第2の側面に単一の外部端子電極93が形成されている。同様に、図17の構成例における誘電体ブロック61の第3の側面の外部端子電極65,83が共通化され、第3の側面に単一の外部端子電極94が形成されている。
上層側のシールド電極91には、第1の引き出し電極91A、第2の引き出し電極91Bおよび第3の引き出し電極91C、ならびに第4の引き出し電極91Dおよび第5の引き出し電極91Eが設けられている。同様に、下層側のシールド電極92にも、第1の引き出し電極92A、第2の引き出し電極92Bおよび第3の引き出し電極92C、ならびに第4の引き出し電極92Dおよび第5の引き出し電極92Eが設けられている。シールド電極91,92の第1の引き出し電極91A,92Aおよび第4の引き出し電極91D,92Dは、誘電体ブロック61の第2の側面部分の外部端子電極93まで延在して導通されている。第2の引き出し電極91B,92Bおよび第5の引き出し電極91E,92Eは、誘電体ブロック61の第3の側面部分の外部端子電極94まで延在して導通されている。第3の引き出し電極91C,92Cは、誘電体ブロック61の第1の側面部分の直流電圧印加用の外部端子電極(直流電圧印加端子4C)にまで延在して導通されている。
この構成例では、第1の共振器1における一方の1/4波長共振器10の他端(共振時における短絡端)が、第3の側面部分の外部端子電極94を介してシールド電極91,92に導通される。同様に、第1の共振器1における他方の1/4波長共振器40の他端(共振時における短絡端)が、第3の側面部分の外部端子電極94を介してシールド電極91,92に導通される。また、第1の共振器1における他方の1/4波長共振器20の他端(共振時における短絡端)が、第2の側面部分の外部端子電極93を介してシールド電極91,92に導通される。同様に、第2の共振器2における一方の1/4波長共振器30の他端(共振時における短絡端)が、第2の側面部分の外部端子電極93を介してシールド電極91,92に導通される。
これにより、外部端子電極93,94およびシールド電極91,92を介して一対の1/4波長共振器10,20の短絡端同士が導通されると共に、他の一対の1/4波長共振器30,40の短絡端同士が導通される。すなわち、この構成例では、シールド電極91,92が、一対の1/4波長共振器10,20の短絡端同士を導通する接続導体8の機能を兼ねていると共に、他の一対の1/4波長共振器30,40の短絡端同士を導通する他の接続導体9の機能を兼ねている。そして、さらにシールド電極91,92が第3の引き出し電極91C,92Cを介して直流電圧印加端子4Cに導通されることで、直流電圧が印加される。
なお、この構成例では、上下のシールド電極91,92の双方を介して各1/4波長共振器の短絡端同士を導通するようにしたが、どちらか一方のみを介して短絡端同士を導通するようにしても良い。
[その他の実施の形態]
本発明は、上記各実施の形態に限定されず種々の変形実施が可能である。例えば、第1の共振器1と第2の共振器2との間の中間段に、さらに他の共振器が設けられていても良い。この場合、中間段の共振器の構成は、第1および第2の共振器1,2と同様、互いにインターディジタル結合された一対の1/4波長共振器で構成することができる。
また、上記各実施の形態では、第1および第2の共振器1,2がそれぞれ、一対の1/4波長共振器を1組のみ有している場合について説明したが、第1および第2の共振器1,2がそれぞれ、複数組の一対の1/4波長共振器で構成されていても良い。
図21は、第1の共振器1を複数組の一対の1/4波長共振器で構成した構成例を示している。なお、図21の構成例では、図15に示した構成例と同様、一対の1/4波長共振器の短絡端同士を接続導体8により導通すると共に、その接続導体8に直流電圧印加端子4Cを接続している。この構成例では、第1の共振器1が、一対の1/4波長共振器10,20と他の一対の1/4波長共振器110,120との2組の共振器を備えている。一対の1/4波長共振器10,20と他の一対の1/4波長共振器110,120は、例えば、互いに対向するように同一方向に積層配置される。他の一対の1/4波長共振器110,120も、一対の1/4波長共振器10,20と同様、一端が開放端とされ、他端が共振時に短絡端として機能することにより互いにインターディジタル結合されている。なお、一対の1/4波長共振器10,20と他の一対の1/4波長共振器110,120とは互いに電磁結合されているが、この構成例の場合、隣接する1/4波長共振器がそれぞれインターディジタル結合され、その結果、隣接する1/4波長共振器によって一対の1/4波長共振器が3組形成されているとも考えることができる。すなわち、上層側から1/4波長共振器10,20によって第1の一対の1/4波長共振器が形成され、1/4波長共振器20,110によって第2の一対の1/4波長共振器が形成され、1/4波長共振器110,120によって第3の一対の1/4波長共振器が形成されているとも考えることができる。
この構成例では、一対の1/4波長共振器10,20と他の一対の1/4波長共振器110,120とを含めた全体としての構造部分で回転対称軸5を有し、全体として回転対称な構造とされている。この構成例において、一対の平衡端子4A,4Bの一方の端子4Aと他方の端子4Bとが、回転対称軸5に対して互いに回転対称となる位置においていずれか2つの1/4波長共振器に接続されていることが好ましい。例えば最上層の1/4波長共振器10に一方の端子4Aが接続され、最下層の1/4波長共振器120に他方の端子4Bを接続すれば良い。これにより、バランス特性に優れた状態にすることができる。
また、上記各実施の形態では、不平衡入力−平衡出力型、または平衡入力−不平衡出力型のフィルタを例に説明したが、本発明は、入出力端双方を平衡端子にした平衡入力−平衡出力型のフィルタにも適用可能である。
図22は、平衡入力−平衡出力型のフィルタの基本構成を示している。この構成例は第2の共振器2側が平衡入力型の構成となっている点を除いて、図1に示したフィルタと同様の構成となっている。この構成例は、図1の構成例に対して不平衡端子3に代えて他の一対の平衡端子3A,3Bを備えている。また、他の一対の平衡端子3A,3Bに接続された他の差動増幅器170を備えている。他の差動増幅器170は、差動増幅器7と同様、差動信号(平衡信号)を増幅するものであり、一対の入力端子170A,170Bと、一対の出力端子170C,170Dとを有している。この構成例では、他の差動増幅器170の出力側(一対の出力端子170C,1707D)が、他の一対の平衡端子3A,3Bに接続されることにより、全体として、平衡入力−平衡出力型のバンドパスフィルタが構成されている。
本発明の第1の実施の形態に係るフィルタの第1の基本構成を示す構成図である。 本発明の第1の実施の形態に係るフィルタの第2の基本構成を示す構成図である。 インターディジタル結合された一対の1/4波長共振器の第1の共振モードを示す説明図である。 インターディジタル結合された一対の1/4波長共振器の第2の共振モードを示す説明図である。 結合度が弱い場合の2つの共振器の共振モードを示す説明図である。 結合度が強い場合の2つの共振器の共振モードを示す説明図である。 インターディジタル結合された一対の1/4波長共振器における共振周波数の分布状態を示す説明図である。 本発明の第1の実施の形態に係るフィルタの共振器部分の具体的な構成例を示す斜視図である。 本発明の第1の実施の形態に係るフィルタの共振器部分の具体的な構成例を示す平面図である。 図8に示した具体的な構成例に係るフィルタにおける入出力ポートの定義を示す説明図である。 図8に示した具体的な構成例に係るフィルタにおけるSパラメータを示す特性図である。 図8に示した具体的な構成例に係るフィルタにおける位相特性を示す特性図である。 入出力ポートの変換の定義を示す説明図である。 変換されたSパラメータを示す特性図である。 本発明の第2の実施の形態に係るフィルタの第1の基本構成を示す構成図である。 本発明の第2の実施の形態に係るフィルタの第2の基本構成を示す構成図である。 本発明の第2の実施の形態に係るフィルタの第1の具体的な構成例を示す斜視図である。 本発明の第2の実施の形態に係るフィルタの第1の具体的な構成例を示す分解斜視図である。 本発明の第2の実施の形態に係るフィルタの第2の具体的な構成例を示す斜視図である。 本発明の第2の実施の形態に係るフィルタの第2の具体的な構成例を示す分解斜視図である。 本発明のその他の実施の形態に係るフィルタの基本構成を示す構成図である。 本発明のその他の実施の形態に係るフィルタの他の基本構成を示す構成図である。 従来のバランの基本構造を示す構成図である。
符号の説明
1…第1の共振器、2…第2の共振器、3…不平衡端子、4A,4B…平衡端子、4C…直流電圧印加端子、5,6…回転対称軸、7,170…差動増幅器、8,9…接続導体、10,20,30,40…1/4波長共振器、71,72,73,74,91,92…シールド電極、93,94…接続層。

Claims (8)

  1. 一端が開放端とされ、他端が共振時に短絡端として機能することにより互いにインターディジタル結合された一対の1/4波長共振器を少なくとも1組有する第1の共振器と、
    前記第1の共振器に接続された一対の平衡端子と、
    差動増幅器と、
    前記一対の1/4波長共振器の短絡端同士を導通する接続導体と、
    前記接続導体に接続され、前記差動増幅器に電源電圧の供給を行う直流電圧印加端子
    を備え、
    前記差動増幅器の入力側または出力側のいずれか一方の側に前記一対の平衡端子が接続され、
    前記一対の1/4波長共振器が、インターディジタル結合していないときの前記1/4波長共振器の単体での共振周波数をf0としたとき、前記単体での共振周波数f0よりも高い第1の共振周波数f1で共振する第1の共振モードと前記単体での共振周波数f0よりも低い第2の共振周波数f2で共振する第2の共振モードとを有し、かつ、フィルタとしての通過周波数が前記第2の共振周波数f2に設定されている
    ことを特徴とするフィルタ。
  2. 前記第1の共振器は、回転対称軸を有し全体として回転対称な構造とされ、
    前記一対の平衡端子の一方の端子と他方の端子とが、前記回転対称軸に対して互いに回転対称となる位置において前記第1の共振器に接続されている
    ことを特徴とする請求項1に記載のフィルタ。
  3. 前記一対の平衡端子が接続された位置において、
    前記第1の共振モードはコモンモードであり、
    前記第2の共振モードはディファレンシャルモードである
    ことを特徴とする請求項1または2に記載のフィルタ。
  4. 互いにインターディジタル結合された他の一対の1/4波長共振器を少なくとも1組有し、前記第1の共振器に電磁結合された第2の共振器をさらに備え、
    前記第1の共振器と前記第2の共振器とが前記第2の共振周波数f2で電磁結合されている
    ことを特徴とする請求項1ないしのいずれか1項に記載のフィルタ。
  5. 記第2の共振器に接続された他の一対の平衡端子と、
    の差動増幅器とをさらに備え、
    前記差動増幅器の入力側に前記一対の平衡端子が接続されると共に、前記他の差動増幅器の出力側に前記他の一対の平衡端子が接続され、
    全体として平衡入力−平衡出力型の構成されている
    ことを特徴とする請求項に記載のフィルタ。
  6. 互いにインターディジタル結合された一対の1/4波長共振器を少なくとも1組有する第1の共振器と、
    互いにインターディジタル結合された他の一対の1/4波長共振器を少なくとも1組有し、前記第1の共振器に電磁結合された第2の共振器と、
    前記第1の共振器に接続された一対の平衡端子と、
    前記第2の共振器に接続された他の一対の平衡端子と、
    差動増幅器と、
    他の差動増幅器とを備え、
    前記差動増幅器の入力側に前記一対の平衡端子が接続されると共に、前記他の差動増幅器の出力側に前記他の一対の平衡端子が接続され、
    前記一対の1/4波長共振器が、インターディジタル結合していないときの前記1/4波長共振器の単体での共振周波数をf 0 としたとき、前記単体での共振周波数f 0 よりも高い第1の共振周波数f 1 で共振する第1の共振モードと前記単体での共振周波数f 0 よりも低い第2の共振周波数f 2 で共振する第2の共振モードとを有し、かつ、フィルタとしての通過周波数が前記第2の共振周波数f 2 に設定され、
    前記第1の共振器と前記第2の共振器とが前記第2の共振周波数f 2 で電磁結合されている
    ことを特徴とするフィルタ。
  7. 前記第1の共振器は、回転対称軸を有し全体として回転対称な構造とされ、
    前記一対の平衡端子の一方の端子と他方の端子とが、前記回転対称軸に対して互いに回転対称となる位置において前記第1の共振器に接続されている
    ことを特徴とする請求項6に記載のフィルタ。
  8. 前記一対の平衡端子が接続された位置において、
    前記第1の共振モードはコモンモードであり、
    前記第2の共振モードはディファレンシャルモードである
    ことを特徴とする請求項6または7に記載のフィルタ。
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