JP4661257B2 - 集電端子及び該端子を備えた蓄電装置 - Google Patents
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Description
これら蓄電装置では、正負極それぞれが捲回又は積層された結果として、正負極を構成する集電箔(集電体)の端部が当該蓄電装置の電極体コア部分(例えば正負極活物質、電解質等を含む蓄電素子(セル)の正負極から成る電極体を構成する中心部分に相当する。以下同じ。)から外方に複数並列して張り出している。そして、かかる正負極それぞれの多数の集電箔端部(以下、機能的観点から当該端部を単に集電箔という場合がある。)をいくつかに束ねると共にそれらを所定の正負極集電端子(即ち外部出力用端子)にそれぞれ接合する。これにより、多数の集電部位(即ち集電箔端部)から集電端子に集電することが可能となり、蓄電装置の高出力化を図ることができる。例えば、特許文献1〜5には、多数の正負極集電箔端部をそれぞれ正負極集電端子に接合して成る捲回型電池が記載されている。
しかしながら、従来の捲回型及び積層型蓄電装置における上記集電端子と集電箔端部との接合法は、個々の集電箔挿入用スリット(溝部)に挟み込まれた一束の集電箔端部をいかに確実に接合するかという点に着目されて開発・実施されてきた技術であり、当該スリットの内壁と当該一束の集電箔端部とから成る接合構造を、一つの集電端子が有する複数のスリット間で均一化することに配慮したものではなかった。このため、一つの集電端子が有するいくつかのスリット間で、集電端子(各スリットの内壁)と該スリットに挿入された一束の集電箔端部とから成る接合構造(例えば、スリットに挿入された集電箔の先端から実際にスリット内壁と溶接された部分までの距離、当該溶接部分の大きさ、該溶接部分から上記電極体コア部分に至るまでの集電箔に生じ得る弛みの規模)にばらつきが生じ得るものであった。
かかる接合構造におけるスリット間のばらつき即ち不揃いは、当該ばらついた複数の接合構造を有する集電端子付き蓄電装置(典型的には電極)内における電流密度分布及び内部抵抗分布の不均一化を招く虞がある。かかる不均一化は、充放電に伴う局所的な体積変化(エネルギー変化)、延いては局部的な材料劣化を促進し得るため好ましくない。
そして、本明細書の蓄電装置に装備される上記正負極の少なくとも一方の集電端子には、対応する極側の上記複数の集電箔端部を適当数ずつ区分して挿入する複数の集電箔挿入用スリットが該集電箔端部の配列方向に並んで相互に平行に形成されている。
その集電端子の複数の集電箔挿入用スリットが形成されている面とは反対の面には、複数の集電箔挿入用スリットのうち少なくとも二つのスリットを挟んでスリット開口部の長手方向に対してほぼ直交する横方向に抵抗溶接を行うための電極を配置し得る凹部が一又は二以上形成されている。その集電端子は、一の凹部に抵抗溶接用電極を配置するとともに集電端子側面又は他の同様の凹部に別の抵抗溶接用電極を配置してこれら両電極間に通電することによってそれら電極間に存在する二以上のスリットにそれぞれ挿入された集電箔端部とスリット内壁とを横方向にほぼ直線状に抵抗溶接可能に構成されている。
また、上記複数のスリットのそれぞれに適当数の集電箔端部が挿入され、該挿入された適当数の集電箔端部と該端部に隣接するスリット内壁面とは溶接によって接合されている。また、該溶接部分は上記集電箔端部における上記スリット内に挿入されている部分のほぼ中央付近から該スリットの開口部(入り口)付近に至る領域に形成されており、且つ、互いに隣接する少なくとも二つのスリットでの各溶接部分は、スリット開口部の長手方向に対してほぼ直交する集電端子の横断面において集電箔端部挿入方向に対してほぼ直交する横方向にほぼ直線状に並ぶように形成されている。
また、本明細書において「集電箔(集電体ともいう。)」とは、正負極を構成する集電部材であって上記電極体コア部分より電気を取り出すための端部を有する導電性部材をいう。また、本明細書において「集電端子」とは、上記集電箔端部と接続されて外部に電気を取り出すための端子をいう。
かかる構成の蓄電装置では、集電箔端部のうちフラットな先端部分の実質上全て(例えば、積層型蓄電装置における集電箔端部先端部分の幅方向のサイズの80%以上好ましくは90%以上、或いは、捲回型蓄電装置における捲回後の扁平化した状態での集電箔端部先端部分における湾曲した部分を除く幅方向のサイズの80%以上好ましくは90%以上)が集電端子のいずれかのスリットに挿入され、溶接によってスリット間でほぼ等しく接合されている。これにより、本構成の蓄電装置によると、より信頼性の高い集電端子と集電箔との接合構造(電気的接続構造)を実現することができる。
なお、本明細書において「抵抗溶接」は、溶接分野で通常用いられる場合と同様の意味の技術用語であり、典型的には、複数の被溶接材を相互に接触させつつ所定の電流を流して当該接触部分を電気抵抗によって生じる熱で溶接することをいう。
かかる構成の蓄電装置では、隣接する二以上のスリットにおける各接合構造(溶接部分)が抵抗溶接によって高度に均一化される。これにより、本構成の蓄電装置によると、より信頼性の高い集電端子と集電箔との接合構造を実現することができる。
この集電端子用部材では、いずれかの極側の上記複数の集電箔端部を幾つかずつ区分して挿入するための複数の集電箔挿入用スリットが該集電箔端部の配列方向に並ぶようにして相互に平行に形成されている。また、該複数のスリットが形成されている面とは反対の面には、上記複数のスリットのうち少なくとも二つのスリットを挟んでスリット開口部の長手方向に対してほぼ直交する横方向に抵抗溶接を行うための電極を配置し得る凹部が一又は二以上形成されている。そして、上記一の凹部に抵抗溶接用電極を配置するとともに集電端子側面又は他の同様の凹部に別の抵抗溶接用電極を配置してこれら両電極間に通電することによって該電極間に存在する二以上のスリットにそれぞれ挿入された集電箔端部とスリット内壁とを上記横方向にほぼ直線状に抵抗溶接可能に構成されていることを特徴とする。
かかる構成の集電端子用部材を正極集電端子及び/又は負極集電端子として使用することによって、上述したような蓄電装置を構築することができる。従って、本発明は他の側面として、ここで開示される集電端子用部材を使用することを特徴とする捲回型又は積層型の電池その他の蓄電装置と該蓄電装置の製造方法を提供する。
かかる構成の集電端子用部材によると、当該端子用部材のスリット内壁と集電箔端部との接合部分の容積を高めることができる。このため、電流密度分布及び内部抵抗分布を均一化した電池その他の蓄電装置を構築することが容易となる。
本発明は、集電箔(集電体)を支持材とする正極及び負極を有する捲回型又は積層型蓄電装置に幅広く適用し得る。ここで開示される典型的な蓄電装置としては、一次電池(例えばリチウム一次電池、マンガン電池、アルカリ電池)、二次電池(例えばリチウム二次電池、ニッケル水素電池)、或いはキャパシタ(例えば電気二重層キャパシタ)挙げることができる。これら蓄電装置の形態は特に限定されない。
また、典型的には、シート状正極及び負極とともに更に適当なセパレータを捲回又は複数積層して電極体コア部分が形成される。リチウム二次電池(リチウムイオン二次電池ともいう)その他の電池に適用する場合の好適な態様では、典型的には、電極体コア部分には正負極及びセパレータと共に種々の電解質(電解液、固体電解質等)が備えられる。かかる電解質の内容は電池等の蓄電装置の種類に応じて異なり得る。
そして、積層又は捲回の態様に応じて、複数の集電箔の端部を正負極それぞれ異なる方向に当該コア部分から張り出させることができる。なお、張り出された複数の集電箔端部は、その先端部において予め幾つかに束ねられていることが取扱い性の向上の観点から好ましい。例えば、複数の集電箔端部を幾つかに区分するとともに、それらの先端を適当な溶接手段(例えば超音波溶接、レーザ溶接)によって溶接しておくことが好ましい。
従って、本発明によって提供される蓄電装置の好ましい一つの態様は、幾つかに束ねられた集電箔端部の先端部分が相互に溶接されていることを特徴とし、更に該溶接により束ねられた集電箔端部における上記スリット内に挿入されている部分のほぼ中央付近から該スリットの開口部(入り口)付近に至る領域に該集電箔端部と集電端子との接合(溶接)部分が形成されていることを特徴とする。このような蓄電装置では、各集電箔端部は十分に張った状態でスリット内に挿入され且つ集電箔端部相互及びスリット内壁と溶接されている。このため、集電箔端部の一部(特に、スリット開口部と電極体コア部分との間に配置される部分)に電流密度分布の不均一化の原因となり得るような弛みが発生するのを防止することができる。
また、電極体コア部分と該コア部分から外方に張り出している正負極それぞれの集電箔端部とを備える限り、それらの形状やサイズには特に制限はない。
そのような集電箔を含む正負極の内容(活物質等の構成要素)は所望する蓄電装置の種類に応じて異なり、所定の電力を貯蔵及び放出し得る正負極の構成要素たり得るものであれば特に限定されない。
また、正負極の重なる電極体コア部分から張り出した複数の集電箔端部と集電端子との溶接部分容積(即ち電気的接続部分の容積)を増大させるようにスリット開口部が細長いものが好適である。例えば、電極体コア部分からフラットな状態(即ち湾曲のない状態)で張り出される領域の集電箔端部先端部分を全て挿入し得る開口サイズのスリットが好適である。このことにより、集電箔と集電端子との溶接部分を集電箔幅方向に充分確保することが可能となり、より信頼性の高い接合構造を実現することができる。
また、かかる凹部と凹部、又は凹部と集電端子側面(抵抗溶接のための電極が配置可能な側面をいう。以下同じ。)との間に配置するスリットの数は、抵抗溶接時に付与する電力レベル、集電箔の数や厚さ等によって異なるため特に制限はなく、二又はそれ以上の数のスリットを二つの凹部間又は凹部と集電端子側面との間に設けることができる。また、凹部の深さは、その凹部の底面が隣接するスリットの開口部近くに配置される程度に深いことが好ましい。これにより、集電箔端部のスリット内に挿入されている部分のうちほぼ中央付近から該スリットの開口部(入り口)付近に至る領域に容易に溶接部分を形成することができる。
図1及び図2に示す本実施例に係る蓄電装置10は、捲回型の電極体11を有するリチウム二次電池である。図1は、図示しない所定のケースに収容する前の蓄電装置10を模式的に示す部分斜視図であり、該電極体11の正極側の端部に後述する形状の正極集電端子20が装着された状態を示している。なお、負極側を図示していないが、同様の形状の負極集電端子が装着されている。
一方、この集電端子20の本体部21の裏面(即ち電極体11と対向する面)側には、上記電極配置用凹部23a,23bのボトム部27を挟んで本体部21長手方向の左右に二つずつ合計四つの長溝状のスリット28a,28b,28c,28dが相互に平行に形成されている。これらスリット28a,28b,28c,28dの開口部の長さは、上記扁平にされた後の集電箔端部15におけるフラット領域の先端部分が実質上全て挿入される(図1参照)ように設計されている。また、集電端子本体部21のリード端子部22寄りの部分には、集電箔端部15の湾曲した部分を挟み込むための係合溝25が形成されている。
抵抗溶接時には、スリット28a,28b,28c,28dの深さ方向及び開口部形成方向(長手方向)に対してそれぞれ直交するように直線状に一対の電極31,32を配置することが好ましい。これにより、図4に示すように、互いに隣接する二つのスリット(図では28a,28b)での各溶接部分15bは、スリット28a,28b開口部の形成方向(長手方向)に対してほぼ直交する集電端子20の横断面において集電箔端部15の挿入方向に対してほぼ直交する横方向にほぼ直線状に並ぶように形成される。換言すれば、図4に示すように、かかる溶接部分15bの形成位置をスリット28a,28b間で均一にすることができる。
なお、抵抗溶接は、一対の電極31,32が被溶接材に接触(即ち通電可能な状態)していれば実行することができるが、これら電極31,32で被溶接材を挟んで強く加圧しながら行ってもよい。また、電極31,32をスリットの長手方向に沿って集電端子側面及び凹部23a,23b内において適宜移動させつつ抵抗溶接を実行することによって、スポット溶接部分を多数形成することが可能であり、或いは、集電箔端部の幅方向に延びるライン状の連続する溶接部分を形成することができる。
このような抵抗溶接を正極集電端子側及び図示しない負極集電端子側についてそれぞれ行った後、これら集電端子を備えた電極体を適当なケース(例えば樹脂製ケース)に収容し、適当な電解液(例えばLiPF6等のリチウム塩を適当量含むジエチルカーボネートとエチレンカーボネートとの混合溶媒のような非水電解液)を注入して封止することによって本実施例に係る蓄電装置10(リチウム二次電池)が構築される。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
11 電極体
12 コア部分
15 集電箔端部
15b 溶接部分
20 集電端子
23a,23b 凹部
28a,28b,28c,28d スリット
31,32 抵抗溶接用電極
Claims (5)
- 集電箔を含むシート状の正極及び負極が捲回され或いは複数積層されることによって正極及び負極が複数重ねられて成る電極体コア部分と、該コア部分から正負極それぞれ別方向に複数並列に張り出した集電箔の端部と、該並列に張り出した複数の集電箔端部と電気的に接続される正負極それぞれの集電端子と、を備える蓄電装置であって、
前記正負極の少なくとも一方の集電端子には、対応する極側の前記複数の集電箔端部を適当数ずつ区分して挿入する複数の集電箔挿入用スリットが該集電箔端部の配列方向に並んで相互に平行に形成されており、
その集電端子の該複数のスリットが形成されている面とは反対の面には、前記複数のスリットのうち少なくとも二つのスリットを挟んでスリット開口部の長手方向に対してほぼ直交する横方向に抵抗溶接を行うための電極を配置し得る凹部が一又は二以上形成されており、
その集電端子は、前記一の凹部に抵抗溶接用電極を配置するとともに集電端子側面又は他の同様の凹部に別の抵抗溶接用電極を配置してこれら両電極間に通電することによって該電極間に存在する二以上のスリットにそれぞれ挿入された集電箔端部とスリット内壁とを前記横方向にほぼ直線状に抵抗溶接可能に構成されており、
前記複数のスリットのそれぞれに適当数の集電箔端部が挿入され、該挿入された適当数の集電箔端部と該端部に隣接するスリット内壁面とは溶接によって接合されており、
ここで該溶接部分は前記集電箔端部における前記スリット内に挿入されている部分のほぼ中央付近から該スリットの開口部付近に至る領域に形成されており、且つ、
互いに隣接する少なくとも二つのスリットでの各溶接部分は、スリット開口部の長手方向に対してほぼ直交する集電端子の横断面において集電箔端部挿入方向に対してほぼ直交する横方向にほぼ直線状に並ぶように形成されている、蓄電装置。 - 前記集電箔端部における前記コア部分からほぼフラットな状態で張り出される領域の先端部分の実質上全ての部分が前記複数のスリットのいずれかに挿入されるようにして前記集電端子が備えられている、請求項1に記載の蓄電装置。
- 前記溶接部分は、少なくとも二つの前記スリットを包含しつつ前記横方向に通電する抵抗溶接によって形成されている、請求項1又は2に記載の蓄電装置。
- 集電箔を含むシート状の正極及び負極が捲回され或いは複数積層されることによって正極及び負極が複数重ねられて成る電極体コア部分と、該コア部分から正負極それぞれ別方向に複数張り出した集電箔の端部とを備える蓄電装置に装備され、該集電箔端部と電気的に接続されて正負極いずれかの集電端子を構成する集電端子用部材であって、
いずれかの極側の前記複数の集電箔端部を幾つかずつ区分して挿入するための複数の集電箔挿入用スリットが該集電箔端部の配列方向に並ぶようにして相互に平行に形成されており、
該複数のスリットが形成されている面とは反対の面には、前記複数のスリットのうち少なくとも二つのスリットを挟んでスリット開口部の長手方向に対してほぼ直交する横方向に抵抗溶接を行うための電極を配置し得る凹部が一又は二以上形成されており、
前記一の凹部に抵抗溶接用電極を配置するとともに集電端子側面又は他の同様の凹部に別の抵抗溶接用電極を配置してこれら両電極間に通電することによって該電極間に存在する二以上のスリットにそれぞれ挿入された集電箔端部とスリット内壁とを前記横方向にほぼ直線状に抵抗溶接可能に構成されている、集電端子用部材。 - 前記複数のスリットの開口部は、前記集電箔端部における前記コア部分からほぼフラットな状態で張り出される領域の先端部分の実質上全ての部分が挿入され得る長さに形成されている、請求項4に記載の端子用部材。
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