以下、図面を参照し、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明に係る電子部品の実装装置の概略構成を示す全体斜視図である。
この電子部品の実装装置は、基台1と、この基台上の一端側(図の左側端)から右側端に亘って、プリアライメントユニット2と、接合材貼付けユニット3と、仮圧着ユニット4と、本圧着ユニット5および排出ユニット6が順次、所定の間隔を存して配置される。なお、仮圧着ユニット4の装置奥側にはチップ供給ユニット(電子部品供給ユニット)7が配置されていて、仮圧着ユニット4とチップ供給ユニット7は互いにY方向に位置が揃えられる。
プリアライメントユニット2と接合材貼付けユニット3との間には、第1の搬送機構8Aが介設され、接合材貼付けユニット3と仮圧着ユニット4との間には、第2の搬送機構8Bが介設される。そして、仮圧着ユニット4と本圧着ユニット5との間には、第3の搬送機構8Cが介設され、本圧着ユニット5と排出ユニット6との間には、第4の搬送機構8Dが介設される。
これら第1ないし第4の搬送機構8A〜8Dは、各ユニット2〜6における後述するステージの予め定められた基準位置の2点間で基板を搬送するようになっている。すなわち、各搬送機構8A〜8Dは、図の左側にあるユニットのステージに予め定められた基準位置で基板Pを受け取ってX方向に搬送し、図の右側にあるユニットのステージに予め定められた基準位置に基板を受け渡すよう作用するものである。
前記プリアライメントユニット2は、図示しない上流装置から供給される基板Pを後述するようにして支持するファーストステージ10と、このファーストステージ10上の基板Pを撮像する認識カメラ11と、基準位置からステージ10上の基板Pまでの高さ(距離)を測定するレーザ変位計(高さ測定手段)12および、前記ファーストステージ10をXY方向およびZ方向に移動自在とするとともに、水平面内での回転方向(θ方向)に移動自在な駆動機構13とを備えている。
前記認識カメラ11と、この認識カメラ11の撮像画像信号を取り込んで認識する、図示しない制御装置に備えられる画像取込み装置と、この画像取込み装置からの認識信号を受けて所定の方向に駆動制御される上記駆動機構13とで、位置補正機構(位置補正手段)Gが構成される。
なお、前記レーザ変位計12の代用として、オートフォーカス機能を備えた非接触式の光学センサや、赤外線を用いた光学センサ、あるいは機械式の接触センサなど、種々のものを用いることが可能である。
図2(A)ないし(D)は、基板Pに電子部品Hを実装する工程を順に説明する図であるが、ここでは図2(A)において基板Pの構成を説明する。
上流装置から実装装置のプリアライメントユニット2に供給される基板Pは、平面視で矩形状に形成される2枚のガラス板a1,a2と、これらガラス板の表面と裏面に接着される偏光板b1,b2から構成される。互いのガラス板a1,a2間には図示しない電極が形成されるとともに、液晶素材が介在される。
互いのガラス板a1,a2と偏光板b1,b2の3辺の端縁は同一に揃えられるが、一方のガラス板a2の一側部のみ、他方のガラス板a1および互いの偏光板b1,b2の端縁よりも突出している。ガラス板a2の突出部一面(ここでは上面)に電極が形成され、この電極部分に後述するようにして接合材Sが貼着され、接合材Sを介して電子部品Hが実装される。
前記接合材Sは、接着剤が塗布されるテープ状の基材からなっていて、接着剤として、たとえば異方性導電膜(ACF:Anisotropic Conductive Film)が用いられる。この異方性導電膜は、接着、導電、絶縁という3つの機能特性を併せもつ接続材料である。熱圧着することにより、膜の厚み方向に導電性、面方向に絶縁性を備える電気的異方性を持つ高分子膜である。
前記電子部品Hとして、半導体チップを適用する。なお、電子部品としては、たとえばフレキシブル基板に対しても、以下の形態が同様に適用可能である。
前記半導体チップHは、基板Pに対する接続面であるバンプが上面に設けられた状態で図示しないチップトレイに収容される。なお、生産する品種によってはバンプが下面に設けられた状態でチップトレイに収容される場合もある。
再び図1に示すように、接合材貼付けユニット3は、X方向に沿って互いに並設される2組の貼付けステージ15と、2組のバックアップステージ16と、2組の貼付けヘッド17と、2組の接合材供給機構18および搬送方向の最下流部に配置される1組の接合材認識カメラ(接合材認識手段)19とから構成される。
前記貼付けステージ15は、基板Pを吸着固定し、かつX方向とY方向およびZ方向に移動自在である。前記バックアップステージ16は、前記貼付けステージ15に設けられていて、貼付けステージ15とともにY方向に移動する。
前記貼付けヘッド17は、バックアップステージ16の直上方部に設けられていて、バックアップステージに対して所定の加熱温度と加圧力をもって作用するよう、Z方向に昇降自在に支持される。前記接合材供給機構18は、リールに巻装されたテープ状の接合材Sをバックアップステージ16と貼付ヘッド17との間に供給する。前記接合材認識カメラ19は、後述するようにして接合材Sの剥れや、位置および長さずれを同時に検査するためのものである。
前記仮圧着ユニット4は、単体の仮圧着ステージ20と、この仮圧着ステージ20に極く近接した位置に配置されるバックアップステージ21と、仮圧着ヘッド22および認識カメラ(認識手段)23とから構成される。
前記仮圧着ステージ20は、基板Pを吸着固定するとともにX方向とY方向およびZ方向に移動自在であるとともに、水平面内で回転方向(θ方向)に移動自在な駆動機構を備えている。前記バックアップステージ21は、前記仮圧着ステージ20に極く近接した位置に設けられていて、いずれの方向にも移動せず固定的に設けられる。
前記仮圧着ヘッド22は、バックアップステージ21の直上方部に設けられていて、X方向とY方向およびθ方向に移動自在であるとともに、バックアップステージ21に対して所定の加熱温度と加圧力をもって作用するよう、Z方向に昇降自在に支持される。
前記認識カメラ23は、仮圧着ステージ20に受け渡される基板Pの認識と、チップ供給ユニット7から供給される半導体チップHの認識を行う。そして、互いの認識結果から仮圧着ヘッド22で位置ずれを矯正して、半導体チップHを基板Pの実装部位に正確に実装させる。
前記チップ供給ユニット7を、図7および図12(A)ないし(C)に示す。図7は実装装置の背面側を示す外観図であり、図12(A)ないし(C)はチップ供給ユニット7の作用を順に示す図である。
チップ供給ユニット7は、チップ反転機構24と、チップステージ25およびチップ搬送機構26とを備えている。前記チップ反転機構24は、図示しないチップ供給手段から上面にバンプが設けられた状態の半導体チップHを受けて吸着する吸着部27と、この吸着部27を180度回転して半導体チップHを上下(天地)逆の姿勢に換える半回転機構28と、この半回転機構28を吸着部27ごと昇降駆動する昇降機構29とからなる。
前記チップステージ25は、チップ反転機構24から半導体チップHを受けて吸着支持する。チップ搬送機構26は、チップステージ25をY方向にある前記仮圧着ユニット4へ搬送し、かつチップステージ25に支持された半導体チップHを仮圧着ヘッド22と対向する位置へ搬送するようになっている。
なお、チップステージ25とチップ搬送機構26は、必ずしもチップ反転機構24を介して半導体チップHを受けるばかりでなく、チップ反転機構24を省略して直接、半導体チップHもしくは他の電子部品を受け、仮圧着ユニット4へ搬送することが可能である。
再び図1に示すように、前記本圧着ユニット5は、X方向に沿って並設される、ここでは3組の本圧着ステージ30と、この本圧着ステージ30に極く近接した位置に配置されるバックアップステージ31と、このバックアップステージ31に対向して設けられる3組の本圧着ヘッド32および保護テープTを供給する保護テープ供給機構33とから構成される。
前記本圧着ステージ30は、基板Pを吸着固定するとともにX方向とY方向およびZ方向に移動自在とする。前記バックアップステージ31は、前記本圧着ステージ30に極く近接した位置に設けられていて、いずれの方向にも移動せず固定的に設けられる。前記本圧着ヘッド32は、バックアップステージ31の直上方部に設けられていて、バックアップステージ31に対して所定の加熱温度と加圧力をもって作用するよう、Z方向に昇降自在に支持される。
前記保護テープ供給機構33において、供給リール34から繰り出される保護テープTは、本圧着ヘッド32が半導体チップHに対して作用するときに、本圧着ヘッド32と半導体チップHとの間に介在される。
前記排出ユニット6において、本圧着ユニット5から受け渡される半導体チップHを実装した基板Pを受ける排出ステージ35を備えている。この排出ステージ35は、図示しない下流装置との受け渡し位置へX方向に沿って移動し、基板Pを下流装置へ受け渡すことができる。
このようにして構成される電子部品の実装装置であり、上流装置から先に図2(A)で示した構成の基板Pがプリアライメントユニット2へ供給される。プリアライメントユニット2では、後述するようにして基板Pに対する位置補正工程をなす。ついで接合材貼付けユニット3では、図2(B)に示すように、ガラス板a2の突出部分に接合材Sを貼付ける接合材貼付け工程が行われる。ついで、この接合材貼付けユニット3において接合材認識工程が行われる。
仮圧着ユニット4では、図2(C)に示すように、基板Pに接着される接合材Sに対して電子部品である半導体チップHを位置決めして仮圧着する仮圧着工程が行われる。ついで本圧着ユニット5では、図2(D)に示すように、半導体チップHを基板Pに本圧着して実装する本圧着工程が行われる。そのあと、基板Pは排出ユニット6から下流装置へ搬出される。
なお、本電子部品の実装装置は、プリアライメントユニット2が1組、接合材貼付けユニット3は2組、仮圧着ユニット4が1組、本圧着ユニット5は3組、排出ユニット6が1組の構成となっている。これは、仮圧着ユニット4における仮圧着工程の所要時間を基準にして設定したことによる。
すなわち、仮圧着工程が5秒かかるとき、所要時間が10秒かかる接合材貼付け工程を2ヶ所で行うために接合材貼付けユニット3を2組備え、所要時間が15秒を要する本圧着工程を3ヶ所組で行うために本圧着ユニット5を3組備えたことにより、最適タクトを5秒とすることができ、生産性の拡大化をはかっている。
以下、電子部品の実装装置の作用を、図1をベースにして詳細に説明する。
図3(A)はプリアライメントユニット2の概略構成を示す斜視図、図3(B)は基板Pに設けられる認識マークMを説明する図、図4はプリアライメントユニット2の基板高さ測定工程を説明する図である。
先に、図2(A)で示した構成の基板Pは、上流装置からプリアライメントユニット2のファーストステージ10に供給され、ここで位置補正機構Gの作用によって上流装置から受け渡された際の基板Pの位置ずれを補正する。
すなわち、基板Pは上流装置からプリアライメントユニット2のファーストステージ10上に載置され、タイミングをとってステージに設けられる吸着機構が作動し、基板Pをステージ10上面に真空吸着して固定する。この状態で、基板Pを構成する突出部分の無いガラス板a1と2枚の偏光板b1,b2の端縁がステージ10の先端縁と略揃い、一方のガラス板a2の突出部分がステージ10の端縁から突出する。
基板Pには、予め左右2個の基準マークMが形成されていて、基板Pの搬送方向が図中矢印方向であるとき、認識カメラ11ははじめに右側の基準マークMを撮像する。ついで、ステージ10に設けられる駆動機構13を作動して、基板PをステージごとX方向に所定量移動し左側の基準マークMが認識カメラ11の下方部位に位置した状態で駆動機構13を停止し、認識カメラ11は左側の基準マークMを撮像する。認識カメラ11の撮像範囲は、ハッチングを描いた丸印Kで示している。
前記認識カメラ11が撮像した基準マークMの撮像信号が制御装置へ送られ、ここに備えられる画像取込み装置に取込まれる。これらの認識結果から、ファーストステージ10上に吸着固定される基板Pの位置と、予めファーストステージ10に設定された基準位置とのずれ量を演算する。この演算結果にもとづいてステージ10に備えられる駆動機構13が作動し、基板Pを水平方向(XY方向)および水平面内での回転方向(θ方向)に移動させる。これによって、上流装置から基板Pが受け渡された際の基板Pの位置ずれを吸収して、基板Pをファーストステージ10における予め設定された基準位置に位置補正できる。
このように、認識カメラ11によって基板Pに設けられる基準マークMを認識した結果から、基板Pの位置を補正するために、基板Pにおける位置決め精度が、従来のように基板の外縁形状のばらつきに影響されることもない。
基板Pをファーストステージ10における予め設定された基準位置に位置補正することで、第1の搬送機構8Aはその基準位置から基板Pを受け取り、隣設される接合材貼付けユニット4におけるステージ15の予め設定された基準位置に基板Pを受け渡すことができる。上述したように、第1の搬送機構8A〜第4の搬送機構8Dは、それぞれが各ユニット2〜6におけるステージ15,20,30,35の予め定められた基準位置の2点間で基板Pを搬送するようになっている。
したがって、プリアライメントユニット2のファーストステージ10で基板Pを予め定めた基準位置に位置決め補正したので、第2の搬送機構8B〜第4の搬送機構8Dにおける受け取り位置と受け渡し位置とが正確に定まることとなり、後述する工程が正確に行われて信頼性の向上化を得られる。
そして、プリアライメントユニット2におけるファーストステージ10において以上の基板Pに対する位置決め補正の工程と同時に、基板Pの高さ位置を補正する工程が進行する。すなわち、認識カメラ11が基板Pに設けられる基準マークMを認識した後に、ステージ10上の基板Pに対して、プリアライメントユニット2の下部に設けられたレーザ変位計12が基板Pの高さ位置を測定する。
具体的には、レーザ変位計12は基板Pを構成するガラス板a2の突出部分裏面にレーザ光を照射して、その測定信号を制御装置へ送る。制御装置では、前記測定信号から基準位置(たとえば架台1上面)から基板Pのガラス板a2突出部分裏面までの距離Lを算出する。
この算出結果から、ファーストステージ10上に吸着固定される基板Pの高さ位置と、予め設定された基板Pの基準高さ位置とのずれ量を演算して、ステージ10に備えられる駆動機構13を作動し、基板Pを高さ方向(Z方向)に移動させて、基準の高さ位置に揃える。
この結果も、後述する以降の工程において各々の基板Pと1対1で対応する。そして、基板Pが搬送される各ユニット3〜6では、各ユニットがその時点で保持している個々の基板Pに対する測定結果にしたがってステージ15,20,30,35の高さが補正され、全てのステージ高さが同一に揃えられる。そして、基板Pの高さ測定の動作は、基板Pの位置決め認識動作の間に終了するため、装置タクトに影響を与えることがない。
プリアライメントユニット2において基板Pに対する位置補正および高さ位置の制御が完了した時点で、第1の搬送機構8Aが駆動され、ファーストステージ10の搬送基準位置に位置決め補正された基板Pの受け渡し位置へと移動する。
図5(A)ないし(C)は、第1の搬送機構8Aがプリアライメントユニット2のステージ10から基板Pを受け渡される作用を順に説明する図である。
図5(A)に示すように、プリアライメントユニット2のステージ10は、基板Pを真空吸着したまま、第1の搬送ユニット8Aの直下部に位置する。第1の搬送ユニット8Aは、断面が逆L字状に形成されていて、この基端部にはリニアモータを構成する磁石部36が設けられ、かつ直動ガイド37に支持される。また、搬送ユニット8Aの水平片部には、外部の図示しない真空源と連通する吸着路38が設けられていて、この吸着路38は水平片部下面において開放される。
図5(B)に示すように、ステージ10を上昇駆動して所定位置で停止する。基板Pと第1の搬送機構8Aが接触した状態で外部の真空源が駆動され、基板Pは第1の搬送機構8Aに真空吸着される。
つぎに、図5(C)に示すように、プリアライメントユニット2のステージ10における真空吸着作用が解除され、かつステージ10が下降駆動されることで、基板Pを第1の搬送機構8Aへ受け渡しする工程が完了する。第1の搬送機構8Aでは基板Pを真空吸着したまま、リニアモータ機構が作動して第1の搬送機構8AをX方向へ移動し、接合材貼付けユニット3の貼付けステージ15に予め定められた基準の位置に対向して停止する。
このようにして、第1の搬送機構8Aは基板Pをプリアライメントユニット2のファーストステージ10から接合材貼付けユニット3の貼付けステージ15へ搬送する。また、第2〜第4の搬送機構8B〜8Dの構造は、全て第1の搬送機構8Aと同一であり、かつ以下に述べる各ユニット3,4,5、6のステージ15,20,30,35に対する第2〜第4の搬送機構8B〜8Dの基板Pの受け渡し作用は、先に説明したのと全く同様の手順で実施されるので、これ以降の各搬送機構8B〜8Dの詳細な作用説明は省略する。
再び図1に示すように、第1の搬送機構8Aがプリアライメントユニット2から基板Pを吸着固定してY方向へ移動し、接合材貼付けユニット3との対向位置に到達して停止する。この接合材貼付けユニット3に備えられる2組の貼付けステージ15のうち、一方の貼付けステージ15が一旦、装置奥側から前面側まで、すなわちY方向に移動してから上昇駆動され、第1の搬送機構8Aから基板Pが受け渡される。このときの基板Pの受け渡し作用は、先に図5(A)〜(C)で説明したのと全く逆に行われる。
第1の搬送機構8Aはプリアライメントユニット2のファーストステージ10に戻り、新たに位置決め補正された次位の基板Pを吸着保持して接合材貼付けユニット2の他方の貼付けステージ15に、その基板Pを受け渡す。
基板Pを吸着固定した接合材貼付けユニット3の貼付けステージ15は、所定の接合材貼付け位置に向うため装置奥側であるY方向へ移動する。そして、貼付けステージ15は、この接合材貼付けユニット3に備えられるバックアップステージ16と近接位置まで移動してから降下する。
図6は、接合材貼付けユニット3における接合材Sの貼付け工程を説明する図である。
先に説明したプリアライメントユニット2のステージ10に対する基板Pの載置位置と同様、接合材貼付けユニット3における貼付けステージ15に対する基板Pの載置位置も、基板Pを構成するガラス板a2の突出部分のみステージ15端縁から突出し、他のガラス板a1と2枚の偏光板b1,b2端縁とステージ端縁の位置が揃えられた状態で、基板Pは貼付けステージ15に吸着固定される。
そして、貼付けステージ15は、基板Pの突出部分裏面がバックアップステージ16上面と接触する高さ位置まで下降する。このときの接合材貼付けステージ15の降下量は、先に説明したプリアライメントユニット2のステージ10上に支持された基板Pに対してレーザ変位計12が測定した結果にもとづいて制御される。したがって、基板Pの突出部分は常に水平に保持され、バックアップステージ16上面と基板P裏面とが面同士で均一状態で接触する。
上記接合材Sは、テープ状となってリールに巻回され接合材供給機構18から貼付け位置へ供給される。この接合材Sに対して貼付ヘッド17が降下駆動され、所定の荷重および温度を加えて、接合材Sを打抜いて基板Pに貼付ける。このとき、基板Pの実装部位は水平に保持されているため、裏面に貼付けられた偏光板b2の厚さバラツキに起因する基板Pの傾きや、加圧時に生じる撓み変形によっても、接合材Sの貼付け位置がずれることがない。
図7に示すように、打抜かれたあとの接合材Szは吸引機構40に吸引されて、接合材貼付けユニット3の背面側に配置される廃棄箱41内へ導かれ、廃棄処分される。上記吸引機構40等については、同様構造のものが本圧着ユニット5にも備えられていて、その詳細な構成と作用については後述する本圧着工程において説明する。
接合材貼付けステージ15において接合材Sが貼付けられた基板Pは、第2の搬送機構8Bに取出されて搬送されるが、この第2の搬送機構8Bが接合材認識カメラ19と対向する位置に到達した状態で停止し、接合材認識工程が行われる。ここでは、基板に対して接合材が正規の位置に貼付けられているか否か、接合材の角部に剥れがあるか否かの、接合材の貼付け状態に対する検査が行われる。
すなわち、基板Pに予め設定された理想の接合材S貼付け位置から、実際に接合材Sが貼付け位置がずれたまま、もしくは貼付け長さのずれがある状態で後の仮圧着工程や本圧着工程に至ると、半導体チップHの割れや接合不良が発生する虞れがある。また、接合材Sの角部に剥れが生じたまま後工程に至ると、基板Pの電極と半導体チップHの電極との接合が不十分で不良となる虞れがある。したがって、接合材Sを基板Pに貼付けたあと、接合材Sの貼付け状態を検査する必要がある。
図8は、基板Pにおける接合材Sの貼付け範囲の設定を説明するとともに、接合材Sの貼付け長さを説明する図であり、図9は、接合材Sに対する検査範囲を説明する図である。
基板Pに対する接合材Sの貼付け状態を検査するため制御装置は、接合材Sの貼付け範囲として、基板Pの図における左側端縁からX方向に所定量だけ離れた位置と、基板Pの図における上端縁からY方向に所定量だけ離れた位置を設定し、かつ接合材Sの理想の貼付け長さを設定するなど、接合材Sの貼付け位置情報をデータとして保持している。そして、上述の接合材Sの貼付け位置情報から、接合材認識カメラ19が認識した範囲内での接合材Sを検査対象とする範囲(以下、検査範囲と呼ぶ)K1〜K4を算出する。
具体的には、予め、基板Pにおける正規の位置に貼付けられた接合材Sに対して、接合材認識カメラ19の撮像範囲を予め設定する。この接合材認識カメラ19が撮像することにより、予め設定された撮像範囲がそのままモニタ画面に映し出される。そして、前記撮像範囲において複数の座標を定め、それら座標に囲まれた特定の領域を検査するアルゴリズムを備えて、その領域を検査範囲とする。
ここでは、接合材認識カメラ19の撮像範囲を接合材Sの一側部とし、正規の位置に貼付けられる接合材Sに対して、接合材Sの角部dと対向する部位に2箇所の検査範囲K1,K2と、角部dから離間した接合材S外部に2箇所の検査範囲K3,K4を設定している。
1つの接合材Sに対して、接合材認識カメラ19は2回の撮像をなす。たとえば、第1回目の撮像が接合材Sの図の右側部を対象として行われ、第2回目の撮像が図の左側部を対象として行われる。それぞれの側部において検査範囲K1〜K4は、左右対称状態で設定されているが、必ずしも対称的にする必要は無く、同一形状としても何ら支障は無い。
図10(A)(B)(C)は、検査範囲K1〜K4に対する接合材Sの互いに異なる貼付け状態を説明する図である。
図10(A)に示すように、接合材Sの一側部において、検査範囲K1,K2が黒画素のみで占められ、検査範囲K3,K4が白画素のみで占められる結果が得られた場合は、接合材Sが正規の状態で貼付けられたものと判断する。
図10(B)に示すように、検査範囲K2,K3,K4は先に説明した結果と同一であるが、検査範囲K1のみ黒画素数が予め定めた閾値よりも少いことが認識されることから、基板Pに貼付けられた接合材Sの角部dが何らかの理由により剥れた、と判断する。
図10(C)に示すように、検査範囲K1,K2は先に説明した結果と同一であるが、検査範囲K3,K4における黒画素数が予め定めた閾値よりも多いことが認識されることから、接合材Sは基板Pに対して位置および長さがずれて貼付けらている、と判断する。
図11(A)〜(F)は、実際の接合材Sの貼付け状態を検査する工程を順に説明する図である。
図11(A)に示すように、接合材認識カメラ19を用いて基板Pにおける接合材S貼付け位置を対象として撮像をなす工程が行われる。認識カメラ19が撮像した認識画像Kは信号化されて制御装置へ送られ、ここに備えられる画像取込み装置に取込まれる。
図11(B)に示すように、画像取込み装置は取込まれた画像信号にもとづいて、接合材Sの貼付け部分を黒、その他の部分が白となる、予め定められた閾値をもとに2値化処理をなす工程が行われる。
図11(C)に示すように、2値化処理の結果から、認識された画像K内において、本来、あるべき接合材の位置(図に二点鎖線で示す)、すなわち認識画像内のどこが接合材Sの貼付け位置であるのかを、計算して求める工程が行われる。
図11(D)に示すように、計算して得られた本来の接合材S貼付け位置から、検査範囲K1〜K4の位置を算出する工程が行われる。そして、求められた各検査範囲K1〜K4それぞれにおける白画素数と黒画素数をカウントして、各検査範囲K1〜K4における白画素もしくは黒画素が占める割合を算出し、その結果を予め設定した許容値と比較して接合材Sの有り無しを判断する工程が行われる。
実際には、図11(E)に示すように、接合材Sが貼付けられる予め設定された範囲における接合材の有り無しを判断する工程および、接合材Sが貼付けられない予め設定された範囲における接合材の有り無しを判断する工程から、接合材Sの剥れ検査が実行される。
たとえば、検査範囲K2では、白画素数が0、黒画素数が4000をカウントしたので、白画素比として0/4000から、0(0%)の算出結果が得られる。したがって、少なくともこの検査範囲K2には接合材Sが有り、接合材Sが貼付けられていると判断する。一方、検査範囲K1では、白画素数が1000、黒画素数が4000をカウントしたので、白画素比として1000/4000から、0.25(25%)の算出結果が得られる。
予め、剥れ許容値として白画素比を20%に設定してあれば、この設定基準を算出結果が上回るところから、接合材Sが設定量無し、すなわち接合材Sの剥れが有るものと判断する。また、剥れ許容値として白画素比を30%に設定してあれば、この設定基準より算出結果が下回るところから、接合材Sが設定量以上有り、すなわち接合材Sの剥れが無いものと判断する。このようにして、剥れ許容値の設定基準によっては剥れ具合の判断が相違するが、接合材Sに対する剥れ状態の検出が可能である。
また、図11(F)に示すように、上述の接合材Sの剥れ検査と同様、接合材Sが貼付けられる予め設定された範囲における接合材の有り無しを判断する工程および、接合材Sが貼付けられない予め設定された範囲における接合材の有り無しを判断する工程から、接合材Sのはみ出し検査が実行される。
具体的には、接合材Sの外部に定めた検査範囲K3,K4において、黒画素数に対する白画素数の割合を演算し、その結果から接合材Sが貼付けられるべき位置から接合材がはみ出しているか否か、接合材Sの有無から接合材のはみ出し具合を判断する。
たとえば、各検査範囲K3,K4において、それぞれ黒画素数が0をカウントし、白画素数が4000をカウントしたので、黒画素比は0/4000から、0(%)の算出結果が得られる。すなわち、接合材Sは設定された貼付け位置からはみ出していないものと判断される。
このようにして、接合材認識カメラ19を備えて接合材Sを撮像し、接合材S部分が黒、それ以外が白となる閾値で2値化画像処理をなすことを前提としている。ここでは、接合材角部dと対向する部位に2つの検査範囲K1,K2を定めるとともに、この外側に2つの検査範囲K3,K4を定めて、それぞれを検査することにより、接合材Sの剥れ具合と、接合材Sの位置と長さのずれ具合を同時に、かつ短時間で検査可能であり、歩留りと生産性の向上を図れる。
再び図1に示すように、基板Pに接合材Sを貼付け、この貼付けられた接合材Sを認識したあと、基板Pは前工程と同様の手順により、第2の搬送ユニット8Bによって仮圧着ユニット4へ搬送され、ここに備えられる仮圧着ステージ20へ受け渡される。仮圧着ステージ20は装置の奥側からY方向へ移動し、一旦、装置の前面側に出て第2の搬送機構8Bから基板Pが受け渡される。
ここでも、ステージ20端縁に対して、基板Pを構成するガラス板a2を除くガラス板a1および2枚の偏光板b1,b2端縁との位置が揃えられ、かつガラス板a1の突出部分が仮圧着ステージ20端縁から突出した状態で、基板Pは仮圧着ステージ20に吸着固定される。仮圧着ステージ20は基板Pを吸着保持して装置奥側(Y方向)へ移動し、バックアップステージ21に近接するとともに、この上方部位へ移動する。
仮圧着ステージ20は基板Pの突出部分裏面がバックアップステージ21と接触する高さ位置まで下降する。このときも、先に説明したプリアライメントユニット2におけるファーストステージ10での高さ測定結果にもとづいて制御されるので、バックアップステージ21上面と基板Pの突出部裏面とが面同士で均一状態に接触し、基板Pは常に水平に保持される。
一方、半導体チップHがチップ供給手段からチップ供給ユニット7へ受け渡される。半導体チップHに形成される電極(バンプ)が上面側に向いた状態で供給される場合は、図12(A)に示すように、半導体チップHはチップ供給ユニット7を構成するチップ反転機構24の吸着部27が受けて真空吸着する。
そして、図12(B)に示すように、半回転機構28が駆動され、吸着部27を180度回転して停止する。吸着部27の半導体チップHに対する吸着作用は継続しているので、半導体チップHは上下(天地)逆の姿勢に換って保持される。
つぎに、図12(C)に示すように、昇降機構29が駆動して半回転機構28を吸着部27ごと降下駆動し、半導体チップHがチップ搬送機構26のチップステージ25上に載った位置で停止する。
チップ搬送機構26のステージ25は半導体チップHを真空吸着により固定し、ついでチップ反転機構24の吸着部27における真空吸着を解除する。したがって、半導体チップHはチップ反転機構24からチップステージ25へ受け渡されることになる。このタイミングをとってチップ搬送機構26が駆動され、半導体チップHごとチップステージ25を仮圧着ユニット4へ搬送する。
チップ反転機構24の昇降機構29を駆動して上昇させるとともに、半回転機構28を逆方向に半回転させる。チップ反転機構24は、はじめの姿勢に戻ってつぎに供給される半導体チップHの供給を待機する。一方、チップステージ25に支持された半導体チップHが仮圧着ヘッド22と対向する位置へ搬送された状態で、チップ搬送機構26が停止する。
なお、生産する品種によっては、チップ供給手段から渡される電子部品の実装面が下向きの場合もあり得る。その際には、電子部品のチップ反転機構24への供給を省略して、その電子部品を直接、チップ搬送機構26のチップステージ25へ受け渡すことができ、生産性の拡大化を図れる。
再び図1に示すように、半導体チップHを吸着固定したチップ搬送機構26のチップステージ25が仮圧着ヘッド22と対向する位置で停止すると、今度は仮圧着ヘッド22が下降して、チップステージ25上の半導体チップHに接触する。チップステージ25の吸着作用が停止され、かつ仮圧着ヘッド22の半導体チップHに対する真空吸着作用が開始されて、半導体チップHは仮圧着ヘッド22に受け渡しされる。
そして、仮圧着ヘッド22は上昇駆動されるとともにXY方向に移動して認識カメラ23の上方部で、この撮像範囲内に停止して、認識カメラ23が半導体チップHに設けられる認識マークを撮像する。続いて、仮圧着ステージ20から突出する基板Pの実装部分も認識カメラ23の撮像範囲に移動し、認識カメラ23は基板Pの認識マークMを撮像する。
制御装置に設けられる画像取込み装置は認識カメラ23からの撮像信号を受けて、予め設定された半導体チップ2と基板Pの正規の位置に対する位置ずれ量を演算する。その演算結果にもとづいて、半導体チップHを下向きにして吸着支持する仮圧着ヘッド22が、水平方向(XY方向)および水平面内での回転方向(θ方向)に移動して、基板Pに対する半導体チップHの位置合せをなす。タイミングをとって、仮圧着ヘッド22はバックアップステージ21上の基板Pへ向かって下降し、所定の荷重および温度によって接合材Sを介し半導体チップHを基板Pの実装面へ仮圧着する、仮圧着工程が終了する。
このように、仮圧着ユニット4における認識カメラ23によって、半導体チップHと基板Pとの位置認識をなして互いの位置ずれ量を演算し、その結果にもとづき位置補正をなすことにより、基板Pに対する半導体チップHの位置決めを極めて高精度になす。同時に、基板Pの高さ位置を補正して水平に保持するので、基板Pの傾きや加圧により撓みから半導体チップHが位置ずれすることがなく仮圧着できる。
仮圧着工程が完了すると、第3の搬送機構8Cが作動して半導体チップHを仮圧着した基板Pを仮圧着ユニット4から取出し、本圧着ユニット5へ搬送する。基板Pは、本圧着ユニット5において、装置奥側から前面側へY方向に移動してきた本圧着ステージ30へ受け渡される。第3の搬送機構8Cは、3組あるうちのいずれかの本圧着ステージ30に基板Pを受け渡したあと、直ちに仮圧着ユニット4へ戻って次位の基板Pを他の本圧着ステージ30へ受け渡す。そして、再び仮圧着ユニット4へ戻って基板Pを残りの空いている本圧着ステージ30へ受け渡す。
基板Pを受け渡された本圧着ステージ30は再び装置奥側(Y方向)へ移動してから降下し、バックアップステージ31上に半導体チップHを仮圧着した基板Pの実装面が載った位置で停止する。このときの本圧着ステージ30の降下量も、先にプリアライメントユニット2のレーザ変位計12が測定した結果にもとづくものであり、基板Pの実装部位は常に水平に保持される。
このあと、本圧着ヘッド32がバックアップステージ31の基板P実装面に向かって下降し、仮圧着工程時よりも高温の加熱温度および大きな荷重条件にもとづき、保護テープTを介して半導体チップHを基板Pに本圧着する、本圧着工程をなす。これにより、半導体チップHの電極と基板Pの電極が、接合材Sである異方性導電膜に含まれる導電粒子を介して電気的に接続され、実質的な実装が行われる。
本圧着工程を終えた基板Pを第4の搬送機構8Dが吸着して、基板排出ユニット6へ搬送し、基板Pを排出ステージ35へ受け渡す。排出ステージ35は、下流装置との受け渡し位置へ移動(X方向)して、基板Pを下流装置へ受け渡す。これにより、一連の基板Pに対する半導体チップHの実装工程の全てが終了する。
なお、接合材Sを介して半導体チップHを基板Pに本圧着するにあたって、本圧着ヘッド32と半導体チップHとの間に前記保護テープTを介在させることは、必要不可欠である。すなわち、接合材Sとして異方性導電膜を用いていることは上述したとおりであり、特に本圧着工程で本圧着ヘッド32が高温・高圧で作用することにより、接合材Sを構成する接着剤が溶融状態になる。
ついには、溶融化した接着剤が半導体チップHからはみ出して、半導体チップの側面部に回ることがある。保護テープTが存在しないと、溶融した接着剤が本圧着ヘッド32に付着し、やがては付着量が増して厚くなり、半導体チップHに対して所定の圧力をかけられなくなる。そして、運転停止中に固形化して、本圧着ヘッド32からの剥離が困難になる。
そこで、平滑性のある合成樹脂材からなる前記保護テープTを、本圧着ヘッド32と半導体チップHとの間に介在させて、溶融した接着剤が本圧着ヘッド32に付着するのを防止している。また、本圧着作用により保護テープTに、ある程度の溶融した接着剤が付着するのは避けられない。そこで、1回の本圧着工程が終了したら、保護テープTを所定量ずつ繰り出して、新たな面が、つぎに導かれる基板Pと本圧着ヘッド32との間に介在するようにしている。
図13(A)〜(C)は、本圧着ユニット5に備えられる保護テープ供給機構33に係る構成と作用を説明する図である。なお、この保護テープ供給機構33は、上述したように接合材供給機構18と同一構成をなしていて、供給する素材が保護テープTと接合材Sが相違するのみである。
具体的には、図13(A)に示すように、本圧着ユニット5を構成する架台43の上部に保護テープTを巻回したリール44が回転自在に取付けられる。また、前記本圧着ヘッド32の両側部に左右一対のガイドローラ45が支持されていて、これらローラ45に前記リール44から延出する保護テープTが掛止される。そして、保護テープTは本圧着ヘッド32先端面と本圧着ステージ30との間に介在される。なお説明すれば、保護テープTは本圧着ステージ30上の基板Pに仮圧着された半導体チップHと、本圧着ヘッド32との間に介在する。
前記リール44近傍には一対の駆動ローラ46が転接して設けられていて、これら駆動ローラ46は架台43の裏面に設けられる図示しない駆動機構に連結される。前記駆動ローラ46間には保護テープTが挟持されていて、前記駆動機構により駆動ローラ46が回転するのにともなって保護テープTはリール44から繰り出される。その途中で、保護テープTはガイドローラ45によってテンションを掛けられながら送られる。
そして、一対の前記駆動ローラ46の側方部位には吸引機構40が設けられていて、駆動ローラ46から送られる保護テープTを架台43の裏面側へ吸引する。架台43の裏面側には、先に図7に示す廃棄箱41が配置されていて、各吸引機構40から送られる保護テープTを収容し、かつ廃棄処分に供する。
実際に本圧着ヘッド32が降下して基板Pに仮圧着された半導体チップHを本圧着する工程では、特に図13(B)に二点鎖線で示すように保護テープTは本圧着ヘッド32の作用にともなって撓み変形して伸張し、かつ本圧着ヘッド32と半導体チップHとの間に挟圧される。そして、本圧着ヘッド32が上昇すると、保護テープTは再びもとの状態、すなわちガイドローラ45相互間に亘って直状に戻る。
前記吸引機構40は、特に図13(C)に示すように、架台43の表裏面に貫通して設けられ、中途部に送風源47が設けられる吹出し通路48と、この吹出し通路48と並行して設けられ使用済の保護テープTを挿通案内するテープ案内路49と、このテープ案内路49の架台43裏面側近傍部位と吹出し通路48の架台裏面側近傍部位とを連通する吸引路50とからなる。前記吹出し通路48の直径が最も大きく、吸引路50の直径がそれよりも小さく、テープ案内路49は保護テープTを挿通させるのに必要最小限の直径に設けられる。
したがって、吹出し通路48に設けられる送風源47を駆動して架台43の表面側から裏面側に向かって送風することにより、所定の負圧が吸引路50を介してテープ案内路49にかかる。これにともなって、前記駆動ローラ46から送られる保護テープTが架台43表面側から裏面側へ円滑に吸引され、ついには廃棄箱41に集められる。
ところで、何らかの原因で実装装置内にトラブルが発生し、その復旧ため、あるいは下流装置において搬送詰りがある等の条件下では、装置内から基板Pを排除する必要がある。しかしながら、本装置構成のように、複数組の搬送機構8A〜8Dおよび本圧着ユニット5を備えていると、各々の搬送機構8A〜8Dと、本圧着ステージ30に搭載された状態の仕掛り品も複数発生する。基板Pは勿論のこと、半導体チップH等も高価であり、それら全てを破棄することは材料のロスが大になるばかりでなく、コストへの影響が大となる。
そこで、前記条件下において既に仮圧着工程を終了しながら、一旦装置から排除した基板Pについては、条件の解消を前提に実装装置へ再度投入して本圧着工程から再開する機能を有し、半導体チップHを仮圧着した基板Pを救済することの考えが浮上した。
ただし、本圧着工程をなす本圧着ステージ30に半導体チップHを仮圧着した基板Pを手動で直接投入すると、基板Pの実装部位に対する本圧着ヘッド32の位置合せが何らなされていないところから、本圧着ヘッド32が対象部位以外の部位に接触して実装不良品の発生に至る虞れが大である。
たとえば、本圧着ステージ30に角部を設け、この角部に平面視で矩形状の基板Pの二辺部が当接するような治具を作成し、この治具で基板Pの他の二辺部を押付けて位置合せする手段も考えられる。しかしながら、基板Pを構成するガラス板a1,a2等は、本来、大きな面積のガラス板を割ったものであり、単純に二辺部を基準にするだけでは精度を確保することができない。
そこで、本発明の実装装置においては、仮圧着ユニット4に認識カメラ19が備えられることを利用し、この仮圧着ユニット4に前記基板Pを再投入して認識カメラ19で位置を認識し、位置ずれを補正したうえで本圧着ユニット5へ導くようにする。以下、詳細に説明する。
図14(A)は、通常動作におけるフローチャート図であり、図14(B)は、本圧着工程から再開する際のフローチャート図である。なお、図14(A)の通常の動作フローについては、これまで説明したことでもあり、重複するので、ここでは図に示すのみで説明を省略し、図14(B)のみ説明する。
すなわち、仮圧着ユニット4において接合材Sを介して基板Pに半導体チップHを仮圧着する仮圧着工程まで終了したあと、前記事情により一旦装置から排除した基板Pを仮圧着ステージ20へ手動で搭載し、基板はステージに真空吸着される。このときの仮圧着ステージ20に対する基板Pの搭載精度は、基板Pに設けられる認識マークMが仮圧着ユニット4に備えられる認識カメラ19の認識範囲内に入る程度で良い。
つぎのステップU1で、認識カメラ19は基板Pに設けられる認識マークMを撮像し、その撮像信号が制御装置の画像取込み装置へ送られる。認識カメラ19の撮像信号にもとづく認識結果から、仮圧着ステージ20上の基板Pの位置と、第3の搬送機構8Cによる基準の搬送位置との位置ずれ量が演算される。
ステップU2に移って、演算結果にもとづいて制御装置は仮圧着ステージ20を支持する駆動機構を作動制御して、仮圧着ステージ20をX方向は搬送アームの受取り位置で補正し、Y方向およびθ方向に移動して位置ずれを補正する。
したがって、仮圧着ステージ20上の基板Pは正確な搬送位置に変位して、第3の搬送機構8Cに受け渡される。第3の搬送機構8Cは基板Pを吸着し、本圧着ユニット5の本圧着ステージ30へ受け渡す。
ステップU3では、通常動作フローと全く同様に、本圧着ユニット5で本圧着工程が実施され、それ以降は第4の搬送機構8Dにより排出ユニット6へ搬送される。
なお、以上の説明では、1枚の基板Pに対して施される加工順序にしたがって説明したが、各ユニット2〜6は独立して動作が可能であるので、複数の基板Pに対して個別に処理を行うことができ、装置の生産性の向上化を図れる。
このように本発明の電子部品の実装装置においては、上流装置から基板Pを受取るプリアライメントユニット2に基板Pの認識マークMを撮像する認識カメラ11を設け、この認識結果から、ファーストステージ10上の基板Pの位置と、基板Pを接合材貼付け工程等の下流工程へ受け渡す所定の位置との位置ずれ量が計算される。この計算結果をもとに、ファーストステージ10で基板Pの水平方向および水平面内での回転方向の位置補正を行うので、基板Pは第1の搬送機構8A〜第4の搬送機構8Dへの受け渡し位置に正確に位置決めされる。
したがって、上流装置から受け渡された際における基板Pの位置ずれの影響を解消し、以降の工程を担う各ユニット3〜6に対し、基板Pは高精度に位置決めされて搬送される。認識カメラ11によって基板Pの認識マークMを撮像し、その認識結果を用いて基板Pを位置補正するため、基板Pの位置決め精度が、基板の外縁形状のばらつきに影響されることもない。
さらに、前記プリアライメントユニット2に、基板Pに対する実装部位の高さ位置を測定するレーザ変位計(高さ測定手段)12を設けた。この高さ位置の測定作業は、プリアライメントユニット2で実施される基板Pの位置決め認識動作の間に終了するので、高さ位置の特定のための待ち時間が不要で、装置タクトに影響を与えることがない。前記高さ測定手段はプリアライメントユニット2に1台のみ設ければよいため、単純な装置構成が実現できる。
そして、仮圧着ユニット4へ電子部品(半導体チップ)Hを受け渡すチップ供給ユニット7において、電子部品Hを反転するチップ反転機構24を設けた。これにより、電子部品Hに設けられる電極を上向きにして供給された場合には、チップ反転機構24を用いて電子部品Hの表裏を反転してから、仮圧着ユニット4へと受け渡す。
生産する品種によっては、基板との接続面が下向きの状態で供給装置から受け渡される電子部品の場合もあるが、その際には前記反転機構を用いず、そのままの姿勢で仮圧着ユニット4へ受け渡すこともできる。このように、電子部品の供給形態に対し、柔軟な対応を可能としている。
仮圧着工程が終了した後に、何らかの理由により一旦装置から排除した基板Pを本圧着工程へ投入する場合、その基板を仮圧着ステージ20上に載置し、仮圧着ユニット4に備えられる認識カメラ19を用いて基板Pの認識マークMを撮像する。この認識結果から、基板Pの位置と搬送基準位置とのずれを計算して、仮圧着ステージ20で基板Pの位置ずれを補正し、しかるのち本圧着ユニット5へと受け渡す機能を設けた。
これにより、電子部品Hを仮圧着した基板Pを廃棄することなく、仮圧着ユニット4から正確な位置で本圧着ユニット5へ搬送することができ、歩留りの向上化を得られる。また、認識マークMを認識した結果を用いて基板Pの位置を補正するため、基板の外縁形状のばらつきが、基板Pの位置決め精度に影響することもない。
なお、本発明は上述した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階では要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。そして、上述した実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。