JP4659517B2 - 光触媒の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、光触媒の製造方法に関する。
近年、光触媒が注目されている。光触媒は、光により電子が励起され、それに基づき、励起電子と正孔とが生成されるものであり、これら励起電子、正孔は、周囲の酸素を還元、酸化する(酸化還元反応)。これにより、活性酸素が生成され、光触媒の表面に付着した有機物は、その活性酸素により分解される。
ところで、光触媒の代表的なものとして、TiO2からなるものがある。この中のアナターゼ型光触媒は、3.2eVの比較的大きなバンドギャップを有し、電子を励起するためには波長が約380nm以下の紫外線しか利用できない。しかも、この紫外線は、太陽光にも、室内照明においても、あまり多くは含まれていない。このため、光触媒として、可視光をも利用できるものが研究されており、そのようなものとして、特許文献1に示すように、TiO2にCr(クロム)、V(バナジウム)等の金属元素をイオンとして注入(ドープ)するものが提案されている。この技術内容においては、注入された金属の電子エネルギ準位がバンドギャップ(禁制帯)内に作られることになり、TiO2の光吸収帯を可視光領域までシフトさせて、可視光に基づき光触媒反応を起こさせることができる。
特開平9−262482号公報
しかし、上記特許文献1に係る光触媒の製造時においては、そのイオンの注入に際して、充分な圧力の金属蒸気を発生させることや、金属プラズマを安定的に長時間発生させること等が必要となって、大掛かりな装置とならざるを得ないばかりか、添加物(金属元素等)を新たに用意しなければならない。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その技術的課題は、新たに添加物を加えなくても、長期に亘って可視光に応答できる光触媒を容易に製造できる光触媒の製造方法を提供することにある。
上記技術的課題を達成するために本発明(請求項に係る発明)にあっては、
基材上に、該基材の外側に向けて順に、第1,第2触媒層が積層され、
前記第1触媒層が、酸素欠損状態とされたTiO2-x(xは、0<x<0.02)をもって形成されていると共に、前記第2触媒層から前記基材方向に離れる側のTiO2-xの酸素欠損割合が該第2触媒層側のTiO2-xの酸素欠損割合に比して多くなる傾斜組成構造とされ、
前記第2触媒層が、TiO2をもって形成されている光触媒の製造方法であって、
先ず、高周波マグネトロンスパッタ装置内に、薄膜を被着させるための基材と、TiO2の焼結体からなるターゲットとをセットすると共に、該高周波マグネトロンスパッタ装置内を真空状態とし、
次に、前記高周波マグネトロンスパッタ装置内を、酸素を導入せず高純度希ガスだけを導入した状態とし、
次に、前記第1触媒層の形成工程として、無加熱状態の下で、前記希ガスをプラズマ化させてその正イオンを前記ターゲットに衝突させることにより、該ターゲットからのスパッタ粒子を前記基材表面に堆積させて、該基材表面に、アモルファス状態で酸素欠損状態の薄膜を形成し、
この後、前記第2触媒層の形成工程として、前記高周波マグネトロンスパッタ装置内に酸素を導入して、前記薄膜の表面だけを無加熱の状態で酸化させることにより、該薄膜の表面側にTiO2層を形成する、
ことを特徴とする光触媒の製造方法とした構成としてある。この請求項1の好ましい態様としては、請求項2の記載の通りとなる。
本発明(請求項1に係る発明)によれば、高周波マグネトロンスパッタ装置内に高純度希ガスだけを導入し酸素を導入しないことから、高密度のプラズマの存在のためにスパッタされた中性のTiO2のイオン化率が高くなること、TiO2の酸素が選択的にスパッタされることのいずれかが単独的或いは複合的に起こり、原子番号の小さな酸素が欠損したTiO2-xが、ターゲットからの最終的スパッタ粒子として基材表面に堆積し、酸素欠損を有するTiO2-x(xは、0<x<0.02)膜が基材表面に形成される。この薄膜は、この後、その表面だけが無加熱の状態で酸化されて、TiO2層が形成され、薄膜は、内側から外側に向けて順に、酸素欠損を有するTiO2-x(xは、0<x<0.02)により形成されていると共に、該TiO2-xの酸素欠損割合に関して、傾斜組成構造となる第1触媒層と、TiO2をもって形成される第2触媒層と、を有する。
この結果、基材に被着される第1触媒層に関しては、イオン注入等の混入を行わなくても、酸素欠損状態が傾斜組成構造とされたTiO2-xに基づき、紫外線だけでなく可視光に対しても応答して、光触媒反応を起こすことができることになる。その一方、最外表面に位置する経年変化に安定な第2触媒層(TiO2)は、紫外線に基づき光触媒反応を起こすだけでなく、外部からの酸素の侵入を防いで、第1触媒層(TiO2-x)が酸化されることを抑制し、第1触媒層における可視光応答性を長期に亘って維持することになる。
しかも、この薄膜の生成に際しては、汎用品としての高周波マグネトロンスパッタ装置が用いられ、特別な製造装置は用いられない。
したがって、当該製造方法を用いることにより、新たに添加物を加えなくても、長期に亘って可視光に応答できる光触媒を容易に製造することができる。
また、無加熱状態の下で、希ガスの正イオンをターゲットに衝突させて、ターゲットからのスパッタ粒子を基材表面に堆積させているので、比較的低温の下で製膜することができ、基材として、融点が比較的低いプラスチック類等をも用いることができる。このため、プラスチック類等の表面にも、有効な当該光触媒を形成できる。
さらに、薄膜TiO2-xの表面を酸化するに際して、無加熱の状態で行うことから、薄膜TiO2-xをアモルファス状態とすることができ、酸素欠損による不対電子(ダングリングボンド)により、第2触媒層であるTiO2層を無加熱で形成できる。
加えて、真空下で且つ比較的低温下で当該光触媒を作製できるので、当該光触媒の薄膜内において、不要な不純物を少なくでき、緻密で長期間安定な光触媒を得ることができる。
請求項に係る発明によれば、高純度希ガス中に酸素を導入しないだけでなく、希ガスをプラズマ化するための投入高周波電力を、スパッタ粒子がTi−O結合を維持する状態に設定して、金属Ti粒子を含まないようにしていることから、TiO2の酸素が選択的にスパッタされ、酸素欠損状態のTiO2-xを基材表面に堆積できる。このため、基材表面に、酸素欠損を有するTiO2-x(xは、0<x<0.02)膜を的確に形成できる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、実施形態に係る触媒1の概念図を示す。この光触媒1は、基材2の表面に、薄膜(例えば50〜60nm)として形成されることになっており、その構造は、基材2の表面から外側に向けて順に、第1触媒層3、第2触媒層4が積層された構造となっている。
前記基材2(基板)としては、ガラスやSi等だけでなく、融点が低めであるプラスチック類を含めた種々の材料を、用途に応じて適宜用いることができる。
前記第1触媒層3は、TiO2(二酸化チタン)よりも酸素が足りない酸素欠損状態、すなわちTiO2-x(xは、0<x<0.02)をもって形成されている。これは、このTiO2-xからなる第1触媒層3により、光吸収帯を、紫外線だけでなく可視光領域までシフトさせて、可視光に基づいても光触媒反応を起こさせるためである。すなわち、TiO2から酸素が脱離することで、TiO2に残った電子が4価のチタンイオン2個を3価のチタンイオンに還元することになり、このような3価のチタンイオンが強く分極し、新たな酸素欠損準位を形成することが期待できるからである。
ここで、上記「x」が0を含まないのは、幾分でも酸素欠損状態にない場合には、TiO2と変わらず、可視光応答性が期待できないからであり、「x」が0.02未満であるのは、可視光応答性に基づく効果(有機物の分解等)を現実的な意味で認識できるからである。
本実施形態においては、第1触媒層3におけるTiO2-xは、「x」が平均1.99程度とされて、TiO1.99とされており、この組成に基づき、淡黄色の色彩を呈した。
前記第1触媒層3は、TiO2-xの酸素欠損割合に関して、第2触媒層4から層厚方向に離れる側(図1中、下側)が該第2触媒層4側(図1中、上側)に比して多くなる傾斜組成構造とされている。具体的には、酸素欠損状態は、第1触媒層3の層厚方向内方に入るに従って増している(xが0.02未満の範囲で増加)。これにより、第1触媒層3の層厚方向内方に向けての化学組成比の傾斜的なずれが、Ti−O結合に摂動を生じ、その結果、実際の伝導帯と価電子帯がにじみ現象を起こして、バンドキャップを小さくし、可視光領域に応答することが期待できると考えられるからである。
前記第2触媒層4は、図1に示すように、TiO2をもって形成されている。TiO2からなる第2触媒層4をもって、紫外線に応答させて光触媒1反応を起こさせると共に、TiO2の緻密性を利用して外部から内部に酸素が侵入することを抑制して、第1触媒層3のTiO2-xが酸化されることを抑制し、第1触媒層3における可視光応答性能を長期に亘って維持するためである。しかも、TiO2が、透明度が高く光を第2触媒層4を介して第1触媒層3に照射できることも考慮されている。
この第2触媒層4は、光触媒1の表面近傍にのみ形成されており、この第2触媒層4の層厚は、第1触媒層3の層厚に比べて格段に薄いものとなっている。本実施形態においては、第2触媒層4の層厚は、数nmとされている。
次に、上記光触媒1の製造方法について説明する。
この光触媒1の製造には、汎用品としての高周波(RF)マグネトロンスパッタ装置が用いられている。特別な製造装置を用いなくても、光触媒1を製造できるようにし、その製造を容易にするためである。
具体的には、このRFマグネトロンスパッタ装置5は、図2に示すように、真空チャンバ6を備えている。この真空チャンバ6には、真空ポンプ7がバルブ8を介して接続されて真空引きが可能となっていると共に、その真空チャンバ6内に高純度希ガスとしてのアルゴンガスを供給可能とすべく、減圧弁9、バルブ10を介してアルゴンボンベ11が接続されている。一方、この真空チャンバ6内には、基材2を保持するための基材保持部12と、ターゲット13を保持すると共に高周波電極を兼ねるターゲット保持部14とが配設されており、そのターゲット保持部14と真空チャンバ6とには、そのターゲット保持部14にTiO2等の絶縁物ターゲット13を用いた場合でも放電現象を発生させるべく、高周波電源(13.56MHz 最高500W)15によって高周波電力(電圧)が印加可能となっている。この他、符号16は真空計、符号17は圧力計を示す。尚、磁場発生用磁石については省略されている。
このようなRFマグネトロンスパッタ装置5において、先ず、基材保持部12に基材2としてガラス基板(符号2を用いる)を保持すると共に、ターゲット保持部14に、TiO2の焼結体からなるターゲット13を保持した上で、真空チャンバ6内を真空引きする。この場合、真空チャンバ6内は、1×10-8Torr以下の高真空にされる。
次に、真空チャンバ6内に高純度希ガスとしてのAr(アルゴン)ガスだけを導入し、酸素ガスは真空チャンバ6内に導入しない。このとき、Arガスは、5×10-3Torrの圧力をもって真空チャンバ6内に導入される。
次に、上記Arガス導入の下で、ターゲット保持部14と真空チャンバ6とに高周波電力を供給する。これにより、電界が生成され、その電界によってArガスがプラズマ化し(プラズマを符号18をもって示す)、Ar+19が生成される。このAr+19は、高速でTiO2焼結体からなるターゲット13に衝突することになり、下記(1)(2)のような作用のいずれかが単独的或いは複合的に起こり、ターゲット13からの最終的スパッタ粒子としてTiO2-xが生成される。
(1)Ar+19の衝突に基づきターゲット13からTiO2が飛び出し、その中性のTiO2のイオン化率が、高密度のプラズマの存在のために高くなり、原子番号の小さな酸素が欠損したTiO2-xが生成されること。
(2)Ar+19がターゲット(TiO2)13に衝突する際に、そのTiO2の酸素が選択的にスパッタされ、基材2に対するスパッタ粒子としてTiO2-xが生成されること。
この最終的なスパッタ粒子TiO2-xが、基材2表面に堆積することになり、基材2表面に薄膜が被着される。
このとき、高周波電力は、前記スパッタ粒子20がTi−O結合を維持する観点から設定される。具体的には、高周波電力は20分間供給されてスパッタリングが行われるが、より具体的には、高周波電力の供給開始から5分間は50W、その後11分間は100W、さらにその後4分間は150Wとなるように調整し、反射によるスパッタロスを考慮すると、実質50W程度の低出力パワーでTiO2-x薄膜を作成した。
また、この高周波電力供給(スパッタリング)に際しては、ガラス基板2も、ターゲット13も加熱されない。
このため、スパッタリングにおいて、前記スパッタ粒子20は、アモルファス状態で酸素欠損状態のTiO2-x膜(xは、0<x<0.02)を形成する。
次に、真空チャンバ6を開放し(大気圧下に戻す)、その真空チャンバ6内に外気を導入する。これは、外気(空気中の酸素)を利用して、上記TiO2-xからなる薄膜(第1触媒層3)の表面近傍部分だけを酸化すると共に、その表面近傍部分から層厚方向内方側において、薄膜の外面側ほど酸化状態が高い状態にすることを目的としており、この酸化により、その表面近傍部分においては、TiO2層(第2触媒層4)が形成されると共に、その表面近傍部分から層厚方向内方側に向かうほど酸素が足りなくなる傾斜組成構造を示すことになる。これにより、ガラス基板上に光触媒1が形成される。この実施形態においては、外気中の酸素を有効に利用することにより、特別に酸化手段を用意しなくてもよくしているが、勿論、外気による酸化に換えて、別の酸化手段(例えばRFマグネトロンスパッタ装置に一部酸素導入等)を用いてTiO2層厚を制御してもよい。
上記具体的製造方法の下では、ガラス基板に光触媒1が52.3nmの薄膜をもって形成され、その光触媒1は、淡い黄色を呈した。このことから、O/Ti原子比と色の関係を示す表1に基づき、上記薄膜の表面近傍部分よりも内方側に、TiO2-xとして、TiO1.99が生成されていることが確認できた。この光触媒1は、表面がポーラスではないため、比表面積は大きくないが、スパッタ粒子作成時の投入パワーを低出力で行っているため、表面が緻密で平滑にできる。このため、表面に被反応物質が付着しにくく、安定な第2触媒層4により経年変化が少なく、医療器具等への応用等、防汚、抗菌に向いている。この光触媒1は、非常に薄い膜でも、効率のよい酸化特性を持っているため低コストで生産できる。
Figure 0004659517



上記具体的製造方法の下で生成された光触媒1の可視光応答性を確認すべく、光吸収帯を調べた。その結果は、図3に示す通りであり、その図3によれば、当該光触媒1の光吸収帯は、TiO2だけからなる光触媒1よりも可視光領域に余計にシフトし、可視光応答性に優れていることを示した。
また、上記光触媒1の長期安定性を確認すべく、石英ガラス基板2に上記光触媒1を形成したものに対して、15WのUVランプを照射時間を異ならせて照射し、それらを、約1日間培養したものと、2年間室温にて保管したものとに分け、コロニーカウント法にて大腸菌の生存率を測定した。その結果は、図4に示す通りであり、約1日間培養したものと、2年間室温にて保管したものとに差異はほとんど見られず、経時変化がないことを示した。
次に、前述の光触媒1(第1,第2触媒層3,4を有するもの)を用いた低温酸化方法について説明する。
本実施形態においては、図5に示すように、取り扱い性を容易にすべく、光触媒1が、ガラスやプラスチック等の光透過性を有する基材2に被着されて、光触媒ユニット21として用いられている。この光触媒ユニット21は、Siウエハ等の酸化すべき被酸化部材22を酸化するに際して、その第2触媒層4が、被酸化部材22に対して近接するように配置され、その状態で基板2外側から光が照射される。これにより、光の中の紫外線だけでなく可視光をも利用して、第2触媒層4の表面に活性酸素23を生成できることになり、その活性酸素23に基づき被酸化部材22表面を低温下で迅速に酸化できることになる。符号24は、被酸化部材22の酸化部分を示す。
この場合、第2触媒層4表面と基材2との近接配置は、第2触媒層4表面を被酸化部材22表面に当接させることを含む一方、第2触媒層4表面を被酸化部材22から離間させる場合には、最大でも1〜2mm程度までの離間距離とすることが好ましい。活性酸素23を被酸化部材22表面に確実に供給するためである。
勿論この場合、光を絞ることにより、或いは基材2表面をマスキングすることにより、被酸化部材22の所定の個所を部分的に酸化できることになる。このような低温酸化方法は、各種パターニング等に利用できるばかりか、本件の第2触媒層4(TiO2に酸化)を形成するために利用できる。
上記低温酸化方法に基づくSiウエハの酸化の程度を確認すべく、オージェスペクトルを測定することにより、Siウエハの酸化状態を測定した。測定においては、下記4種類のSiウエハを用意した。この場合、光触媒ユニット21を用いて低温酸化するに際して、光触媒1の第2触媒層4表面と各Siウエハ表面との離間距離を約1mmとした。
(a)表面洗浄のみを行ったSiウエハ(以下、表面洗浄のみ)
(b)表面洗浄後、紫外線を石英ガラス基板を通して5分間照射したSiウエハ(以下、ガラス5分)
(c)表面洗浄後、紫外線を光触媒ユニット21を通して90秒間照射したSiウエハ(以下、光触媒90秒)
(d)表面洗浄後、紫外線を光触媒ユニット21を通して5分間照射したSiウエハ(以下、光触媒5分)
図6には、上記4種の試料のオージェスペクトルを測定した結果が示されている。(a)のオージェスペクトルでは、Si(92eV)のオージェシグナルが大きくでているが、(c)(d)のオージェスペクトルではSi(92eV)のオージェシグナルが小さくなっており、SiO2のSi(76eV)のオージェシグナルが現れているのがわかる。これは、光触媒効果により試料表面が酸化され、Siオージェピークのケミカルシフトが起こったものと考えられる。このことから、「光触媒90秒」、「光触媒5分」のSiウエハ表面では、Siの酸化が促進されていると考えられる。
図7は、前記4種の試料表面のオージェスペクトルの測定結果に基づいてO/Siで規格化して、Siウエハ表面の酸化状態の程度を示したものである。「表面洗浄のみ」、「ガラス5分」のSiウエハ表面に比べて、「光触媒90秒」、「光触媒5分」のSiウエハ表面は、O/Siの値が大きいため酸化効率が高いと考えられる。
図8は、前記4種の試料表面のオージェスペクトルの測定結果に基づいてC/Oで規格化した結果を示している。「光触媒5分」のC/Oの値は、「表面洗浄のみ」のC/Oの値と同程度であるといえる。よって、光触媒ユニット21を通して紫外線を照射することで、先ずSiウエハ表面の酸化が促進され、次に5分照射後では表面炭素汚染の除去が行われていると考えられる。
この低温酸化方法は、光照射によりSi基板を低温酸化する方法の1つであるため、Si基板と酸化ツール間での元素の拡散を防止できる。また、この方法による酸化膜は、通常の酸化膜をエッチングにより削除する方式と異なり、Si表面と酸化膜表面が凹凸の少ない平面となるので、集積回路を作成する上で、その上にSi膜等の形成や電極・配線形成が容易で、且つ信頼性の高い部品が作成できる。
尚、本発明の目的は、明記されたものに限らず、実質的に好ましい或いは利点として記載されたものに対応したものを提供することをも含むものである。
実施形態に係る光触媒を示す概念図。 実施形態に係る光触媒を製造するためのRFマグネトロンスパッタ装置を説明する説明図。 実施形態に係る光触媒の可視光応答性能を説明する図。 実施形態に係る光触媒の長期安定性(経時変化)を説明する図。 実施形態に係る低温酸化方法を説明する説明図。 4種の試料のオージェスペクトルを測定結果を示す図。 4種の試料表面のオージェスペクトルの測定結果に基づいてO/Siで規格化して、Siウエハ表面の酸化状態の程度を示した図。 4種の試料表面のオージェスペクトルの測定結果に基づいてC/Oで規格化した結果を示す図。
光触媒
2 基材
3 第1触媒層
4 第2触媒層
5 RFマグネトロンスパッタ装置
13 ターゲット
18 プラズマ
19 Ar+
20 スパッタ粒子
22 被酸化部材

Claims (2)

  1. 基材上に、該基材の外側に向けて順に、第1,第2触媒層が積層され、
    前記第1触媒層が、酸素欠損状態とされたTiO2-x(xは、0<x<0.02)をもって形成されていると共に、前記第2触媒層から前記基材方向に離れる側のTiO2-xの酸素欠損割合が該第2触媒層側のTiO2-xの酸素欠損割合に比して多くなる傾斜組成構造とされ、
    前記第2触媒層が、TiO2をもって形成されている光触媒の製造方法であって、
    先ず、高周波マグネトロンスパッタ装置内に、薄膜を被着させるための基材と、TiO2の焼結体からなるターゲットとをセットすると共に、該高周波マグネトロンスパッタ装置内を真空状態とし、
    次に、前記高周波マグネトロンスパッタ装置内を、酸素を導入せず高純度希ガスだけを導入した状態とし、
    次に、前記第1触媒層の形成工程として、無加熱状態の下で、前記希ガスをプラズマ化させてその正イオンを前記ターゲットに衝突させることにより、該ターゲットからのスパッタ粒子を前記基材表面に堆積させて、該基材表面に、アモルファス状態で酸素欠損状態の薄膜を形成し、
    この後、前記第2触媒層の形成工程として、前記高周波マグネトロンスパッタ装置内に酸素を導入して、前記薄膜の表面だけを無加熱の状態で酸化させることにより、該薄膜の表面側にTiO2層を形成する、
    ことを特徴とする光触媒の製造方法。
  2. 請求項において、
    前記希ガスをプラズマ化するための投入高周波電力を、前記スパッタ粒子がTi−O結合を維持する状態に設定する、
    ことを特徴とする光触媒の製造方法。
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