JP4658576B2 - コンデンサとその製造方法 - Google Patents

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本発明は、誘電体層を挟んで対向するよう内部電極を交互に複数積層させたコンデンサ、特に端子電極から内部電極への導通にビア電極が用いられている積層コンデンサとその製造方法に関する。
上記のような積層コンデンサでは、内部電極を誘電体層を挟んで対向する第1電極層と第2電極層とし、これら電極層にそれぞれ導通するビア電極が積層方向に多数設けられている(例えば、特許文献を参照)。こうした積層コンデンサは、例えば、ICの電源ノイズを低減させるためのデカップリングコンデンサとしての利用が考えられている。
特開2002−359141号公報 特開2003−158030号公報
こうしたコンデンサでは、その高容量化が不可欠であり、その手法としては内部電極の多層化が一般的であった。一つの誘電体層では、電極が形成された部分と電極が形成されない部分があることから、電極の多層化によりこうした誘電体層が積層されると、電極形成部分と電極非形成部分でコンデンサ厚みに若干の段差(電極段差)ができる。こうした電極段差を吸収するために、一般にベース層と呼ばれる厚肉部分の誘電体層部分がコンデンサ表層に設けられている。このベース層は、電極段差吸収を目的とするため、比較的厚く形成されている。
しかしながら、上記した従来のコンデンサでは、次のような問題点が指摘されるに至った。
上述したビア電極を有する積層コンデンサでは、ビア電極がベース層を貫通してベース層下方の内部電極に導通する。このため、ビア電極では、内部電極に導通しないまま延びる部分がベース層の厚みだけ存在することになる。
近年では、コンデンサと併用されるICの高速化が進んだため、デカップリングコンデンサにはますますの低インダクタンス化が要求されている。ところが、上述したように、内部電極に導通しないまま延びる部分が長いままのビア電極では、当該部分が長いために、インダクタンスを高めてしまう。インダクタンスの増加量は、ベース層が厚くなるほど大きく、積層セラミックコンデンサの電気的特性の向上を阻害し、特に高周波域では、その影響は大きい。こうした問題はベース層の薄肉化で解消或いは抑制できるものの、ベース層の薄肉化には上記した電極段差吸収の観点から限界がある。このため、ベース層の薄肉化では現実的な解決とならない。
本発明は、上記した問題点を解決するためになされ、内部電極を多層に積層した場合の電極段差の吸収と積層コンデンサの低インダクタンス化の両立を図ることをその目的とする。
上記した課題を解決するため、本発明のコンデンサは、誘電体層を挟んで対向するよう内部電極を複数積層させるに当たり、電極積層部と第1誘電体部と第2誘電体部とを備える。この、電極積層部は、誘電体層を挟んで対向した内部電極としての第1電極層と第2電極層を、その電極層間の誘電体層としての電極間誘電体層を介在させて複数積層させており、第1誘電体部は、誘電体層を有し、コンデンサ表層側で電極積層部に重なる。第2誘電体部は、誘電体層を有し、第1誘電体部から離れて電極積層部に重なるが、こうした重なりに際しては、第1電極層と第2電極層と電極間誘電体層が積層した電極積層部の少なくとも一部の積層部範囲を介在させる。つまり、第2誘電体部は、第1誘電体部とで、電極積層部の全部、或いはその一部の積層部範囲をサンドイッチ状に挟み込む。そして、内部電極の積層方向に形成されたビア電極で、第1誘電体部の側から、電極積層部における内部電極を導通させている。
こうした上で、本発明のコンデンサは、第2誘電体部を、電極積層部における第1電極層と第2電極層の積層に起因して起きる肉厚の段差の緩和に寄与するような肉厚とし、第1誘電体部については、これを、コンデンサのインダクタンス低減に寄与するような肉厚とした。
従って、この本発明のコンデンサでは、電極積層部をコンデンサ表層側の第1誘電体部とで挟み込んでいる第2誘電体部で、従来のコンデンサにおけるベース層としての機能、即ち、厚肉なために電極段差の吸収機能を発揮する。しかも、電極積層部とコンデンサ表層側で重なる第1誘電体部をその肉厚を上記のように制限することで、ビア電極が電極積層部の内部電極に導通しないまま延びる部分を短くできる。この結果、本発明のコンデンサによれば、内部電極を多層に積層した場合の電極段差を吸収した上で、低インダクタンス化を図ることができる。
この場合、第2誘電体部を、電極積層部の全体の肉厚に比して少なくとも5%の肉厚を有するものとすれば、上記の段差の緩和寄与が確実となる。また、第1誘電体部を、電極積層部において内部電極間に介在する一層の誘電体層の肉厚よりも厚肉で、該一層の誘電体層の肉厚の20倍より薄くすれば、インダクタンス低減の寄与が確実となる。
第2誘電体部は、コンデンサ表層側で、電極積層部間に介在され、電極積層部はコンデンサ表層側の一部積層体と、コンデンサ裏側よりの残部積層体とから構成することができる。
第2誘電体部の厚みは、前記一部積層体の厚みより大きいことが好ましい。また、第2誘電体部の厚みは、コンデンサ全体の厚みの1/3以下とされていることが好ましい。一部積層体の厚みはコンデンサ全体の厚みの20%以下とすることが望ましい。ここで、コンデンサ全体の厚みとは、コンデンサの積層方向の厚みを表し、積層体の厚みとは積層体の積層方向の厚みを表す。
一部積層体のコンデンサ容量は残部積層体の静電容量より小さいことが望ましい。半導体素子(IC)が各素子の同時スイッチングなどにより電圧降下を生じようとする際、まず、ICに対して近くにある一部積層体から電源供給される。一部積層体は、その低インダクタンス特性故に高速に電源供給するので、低容量ながら、電圧降下初期において十分な効果を発揮する。次いで、高容量である残部積層体から電源供給され、電圧降下によるノイズを効果的に抑制する。即ち、一つの積層コンデンサにより、効果的なデカップリング作用を果たすことが可能となる。一部積層体の厚みは、コンデンサ全体の厚みの20%以下、より好ましくは10%以下、また、残部積層体の厚みの半分以下、より好ましくは25%以下とすることがよい。一部積層体の静電容量は残部積層体の静電容量の半分以下とすることがよく25%以下とすることが好ましい。
一方、上記構成の本発明のコンデンサは、コンデンサ容量を第一に考えた場合、以下の態様を採ることができる。例えば、電極積層部をコンデンサ表層側の第1誘電体部とで挟み込んでいる第2誘電体部についても、積層した誘電体層を挟んで内部電極を対向して備えるものとし、この誘電体層を、電極積層部における内部電極間に介在する一層の誘電体層よりも厚肉のものとする。そして、ビア電極で、この第2誘電体部の内部電極を導通する。つまり、第2誘電体部は、電極積層部における一層の電極間誘電体層よりも厚肉の誘電体層を積層して備え、該積層した少なくとも一部の誘電体層を挟んで、内部電極としての第3電極層と第4電極層とを対向して備え、ビア電極は、第2誘電体部の前記内部電極の前記第3電極層と前記第4電極層をそれぞれを導通するよう形成されているコンデンサである。こうすれば、電極段差の吸収機能を発揮する第2誘電体部で対向する内部電極により、コンデンサ容量を高めることができる。
上記課題を解決するための別の手段としては、誘電体層を挟んで対向した内部電極を複数積層させた電極積層部を備え、該内部電極の積層方向に形成されたビア電極で前記内部電極を導通するようにしたコンデンサであって、誘電体層を有する第1誘電体部と、第2誘電体部とを備え、前記電極積層部は、前記内部電極としての第1電極層と第2電極層と、該第1、第2電極層間の前記誘電体層としての電極間誘電体層とを積層して有し、前記第1誘電体部は、コンデンサ表層側で、前記電極積層部に重なり、前記第2誘電体部は、コンデンサ表層側で、前記電極積層部間に介在され、前記電極積層部はコンデンサ表層側の一部積層体と、コンデンサ裏側よりの残部積層体とからな前記ビア電極は、第1ビア電極と第2ビア電極とからなり前記第1誘電体部の側から、前記電極積層部における前記内部電極の前記第1電極層と前記第2電極層をそれぞれ貫通するよう形成されているコンデンサ、がある。
従って、本発明によると、第2誘電体部により、第1誘電体部におけるビア電極のインダクタンス寄与分を低減し、かつ電極段差を吸収することができる。電極積層部はコンデンサ表層側の一部積層体と、コンデンサ裏側よりの残部積層体とから構成されているため、より効果的なデカップリング効果を図ることが可能である。
ビア電極は、一部積層体と残部積層体からなる電極積層部を貫通する貫通ビア電極とすることができる。かかる構造とすると、ビア電極間の磁界の相殺効果により、インダクタンス低減に効果的である。また、実質上全てのビア電極(少なくとも全体のビア電極のうち半数以上のビア電極)が、電極積層部を貫通しているコンデンサにおいて、より有効な構造である。
第2誘電体部が積層して備える厚肉の誘電体層を、同じ厚みの誘電材料から形成すれば、製造が容易となる。
また、ビア電極に接続された端子を、ビア電極ごとに第1誘電体部表面に形成するようにすることもできる。こうすれば、端子を介してのビア電極へのリード接続、実装品との間の接続が容易となる。
この場合、ビア電極をコンデンサを貫通するものとし、第1誘電体部と反対側(コンデンサ裏側より)のコンデンサ表面において、ビア電極に接続された端子を形成することもできる。
上記した本発明のコンデンサは、単独での形態の他、電子デバイス等を実装済みの形態を採ることもできる、例えば、上記のコンデンサのビア電極に導通するように、第1誘電体部側で半導体素子を接続して備える半導体素子付きコンデンサとしての形態や、上記のコンデンサのビア電極に導通するように、第1誘電体部の側で電源線およびグランド線を含む配線を備えた配線基板を接続して備える配線基板一体型コンデンサとしての形態の他、コンデンサにおける第1誘電体積部と反対側のコンデンサ表面の側(コンデンサ裏側)で、ビア電極に導通するように、電源線およびグランド線を含む配線を備えた基板が接続された基板一体型コンデンサとしての形態を採ることができる。半導体と基板をコンデンサ表裏に備えた形態も可能である。
また、上記したコンデンサを製造するために採用した本発明の第1の手順は、
誘電体層を挟んで対向した内部電極を複数積層させた電極積層部を備え、該内部電極の積層方向のビア電極で前記内部電極を導通するようにしたコンデンサでの製造方法であって、
前記電極積層部における前記内部電極間に介在する一層の誘電体層の肉厚よりも厚肉の誘電材料により、第1誘電体部を形成する工程(1)と、
前記内部電極を形成するよう、第1電極層と該電極層に対向する第2電極層となる内部電極形成材料を、前記誘電体層となる誘電材料を挟んで交互に積層しつつ、前記電極層積層部の一部となる一部積層体を形成すると共に、該一部積層体を前記第1誘電体部に重ねる工程(2)と、
誘電体層となる誘電材料を、第2誘電体部として前記一部積層体に積層する工程(3)と、
前記内部電極を形成するよう、第1電極層と該電極層に対向する第2電極層となる内部電極形成材料を、前記誘電体層となる誘電材料を挟んで交互に積層しつつ、前記電極層積層部の残部となる積層体を形成すると共に、該残部積層体を前記第2誘電体部に重ねる工程(4)と、
前記積層した前記第1誘電体部と前記一部積層体と前記第2誘電体部と前記残部積層体において、前記一部積層体と前記残部積層体における積層状の前記第1電極層同士と前記第2電極層同士をそれぞれ貫通するまでの貫通孔を形成し、各貫通孔に導電性ペーストを充填する工程(5)とを有することをその要旨とする。
この場合、工程(1)にあっては、前記電極積層部における前記内部電極間に介在する一層の誘電体層の肉厚の20倍より薄い誘電体層となる誘電材料により、前記第1誘電体部を形成するようにし、工程(3)にあっては、前記誘電材料を、前記電極積層部の全体の肉厚に比して少なくとも5%の肉厚で準備するようにすることができる。
また、工程(3)において、前記一部積層体と前記残部積層体の形成における前記誘電材料より厚肉の誘電材料を準備し、内部電極を形成するための第3電極層と該電極層に対向する第4電極層となる内部電極形成材料を、前記厚肉の前記誘電材料を挟んで交互に積層して、前記第2誘電体部とするようにする。そして、工程(5)においては、前記貫通孔を形成するに際し、前記一部積層体と前記残部積層体における積層状の前記第1電極層同士と前記第2誘電体部における前記第3電極層をそれぞれ貫通する貫通孔と、前記一部積層体と前記残部積層体における前記第2電極層同士と前記第2誘電体部における前記第4電極層をそれぞれ貫通する貫通孔を形成するようにすることができる。
また、上記したコンデンサを製造するために採用した本発明の第2の手順は、
誘電体層を挟んで対向した内部電極を複数積層させた電極積層部を備え、該内部電極の積層方向のビア電極で前記内部電極を導通するようにしたコンデンサでの製造方法であって、
前記電極積層部における前記内部電極間に介在する一層の誘電体層の肉厚よりも厚肉の誘電材料により、第1誘電体部を形成する工程(1)と、
前記内部電極を形成するよう、第1電極層と該電極層に対向する第2電極層となる内部電極形成材料を、前記誘電体層となる誘電材料を挟んで交互に積層しつつ、前記電極層積層部の全部となる積層体を形成すると共に、該積層体を前記第1誘電体部に重ねる工程(2)と、
誘電体層となる誘電材料を、第2誘電体部として前記積層体に積層する工程(3)と、
前記積層した前記第1誘電体部と前記積層体と前記第2誘電体部において、前記第1誘電体部から、前記積層体における積層状の前記第1電極層同士と前記第2電極層同士をそれぞれ貫通するまでの貫通孔を形成し、各貫通孔に導電性ペーストを充填する工程(4)とを有することをその要旨とする。
この場合、工程(1)では、前記電極積層部における前記内部電極間に介在する一層の誘電体層の肉厚の20倍より薄い誘電体層となる誘電材料により、前記第1誘電体部を形成するようにし、工程(3)では、前記誘電材料を、前記電極積層部の全体の肉厚に比して少なくとも5%の肉厚で準備するようにすることができる。
これらの工程を経てコンデンサを製造すれば、電極段差の吸収を図りつつ、ビア電極が内部電極に導通しないまま延びる部分を短くして低インダクタンス化を図ることができるコンデンサを容易に製造することができる。
以上説明した本発明の構成および作用を一層明らかにするために、以下、本発明の実施の形態を、以下の順序で説明する。
A.実施例:
A−1.積層セラミックコンデンサ10の構成:
A−2.積層セラミックコンデンサ10の製造工程:
A−3.作用効果:
B.変形例:
C.実施例(変形例)と比較例のインダクタンス値の比較:
A.実施例:
A−1.積層セラミックコンデンサ10の構成:
図1は本発明の実施例である積層セラミックコンデンサ10の設置例を縦断面で示す説明図である。図1に示す設置例では、 ICチップ30とパッケージ50とが積層セラミックコンデンサ10を介して接続されている。
ICチップ30は、1枚のシリコン基板(ウェハ)上に、トランジスタや抵抗等の多数の回路素子が形成された細片である。形成された回路素子間は多数のアルミ配線で接続されている。回路素子に接続されたアルミ配線は、ICチップ30の下側表面に引き出され、パンプ状のパッド32に接続されている。パッド32は、アルミ配線の引き出し位置に対応するICチップ30の下側表面に、格子状に多数個配列されている。
パッケージ50は、ICチップ30を積層セラミックコンデンサ10を介在させたまま装着する容器であり、積層セラミックコンデンサ10が配置される絶縁層として下部層54を備える。本実施例では、下部層54をエポキシ樹脂を用いて成形している。勿論、他の絶縁材(例えば、エポキシ樹脂以外の樹脂材料やセラミック)で下部層54を成形することも可能である。なお、こうした下部層54に加えて、ICチップ30を積層セラミックコンデンサ10と共に下部層54上に被覆する絶縁層として上部層52を設ける構成を採ってもよい(図1における外郭の二点鎖線を参照)。こうすれば、ICチップ30が絶縁層内に封入されるので、ICチップ30を外部から有効に保護することができる。
下部層54は、矩形形状を有するエポキシ樹脂製の板状体を、多数積層することによって形成されている。下部層54の各層間は、銅めっき層や銅箔によって形成されたリード56によって導通されている。リード56は、下部層54の上面(図1における上方向の面)に露出したバンプ57と、下部層54の下面(図1における下方向の面)に露出した端子58とを備える。バンプ57は、後述の積層セラミックコンデンサ10に接続される端子であり、下部層54の上面に、格子状に多数個配列されている。また、端子58は、電源線或いはグランド線として含む配線が半田を用いて接続される。なお、図1では、電源線として用いられるリード56,バンプ57,端子58を黒色の塗りつぶしを用いて示し、グランド線として用いられるリード56を斜線ハッチングを用いて示しており、信号線として用いられるリードの記載を省略している。
積層セラミックコンデンサ10は、図中に示す二点鎖線にて便宜上4分割して捕らえることができ、ICチップ30の側から、第1積層体11と第2積層体12と第3積層体13と第4積層体14とを有する。完成品の積層セラミックコンデンサ10ではこれら各積層体は焼成・一体化されているので、図示した二点鎖線は、積層セラミックコンデンサ10を上記の第1ないし第4の各積層体に便宜的に区画するためのものである。
第1積層体11は、単一、或いは複数層のセラミック層15を備え、このセラミック層15を誘電体層とする。よって、この第1積層体11は、誘電体層を有し、本願における第1誘電体部となる。そして、この第1積層体11は、セラミック層15を、後述する第2積層体12或いは第4積層体14における内部電極16a間に介在する一層のセラミック層17(電極間誘電体層)の肉厚よりも厚肉で、該一層のセラミック層17の肉厚の20倍より薄くして備える。
第2積層体12と第4積層体14は、積層セラミックコンデンサ10における位置が相違するものの、セラミック層17を挟んで内部電極16aが対向するよう交互に多数積層された構造(以下、多層構造という)を共に有し、セラミック層17を挟んで内部電極16aが対向するよう交互に多数積層した多層構造を有する。よって、この第2積層体12と第4積層体14は、誘電体層を挟んで対向した内部電極を複数積層させた本願の電極積層部となり、対向する内部電極16aは本願における第1電極層、第2電極層となる。そして、前者の第2積層体12は、電極積層部のうち内部電極(内部電極16a)と誘電体層(セラミック層17)を含む本願の少なくとも一部の積層部範囲となると共に、電極層積層部の一部であって本願の一部積層体となる。後者の第4積層体14は、電極層積層部の残部であって本願の残部積層体となる。
第2積層体12と第4積層体14における各内部電極16aは、一層おきに、図中黒塗りの第1の電極層と斜線ハッチングの第2の電極層として所定の繰り返しパターンで交互に形成されて対向する。この内部電極16aは、上記の第1、第2の電極層のそれぞれについて、共通にビア電極18に導通し、このビア電極18は、その上下の表面側端子19aと裏面側端子19bを介して、既述したICチップ30やパッケージ50(詳しくは、下部層54)或いは外部の電源や回路等に接続される。
第2積層体12と第4積層体14に挟まれた第3積層体13にあっても、第2積層体12と第4積層体14と同様に、内部電極16bを、一層おきに、図中黒塗りの第1の電極層と斜線ハッチングの第2の電極層として所定の繰り返しパターン(第2の繰り返しパターン)で交互に備えて対向させる。この内部電極16bは、上記の第1、第2のそれぞれについて、共通にビア電極18に導通する。
この第3積層体13は、セラミック層17としての誘電体層を有すると共に、その肉厚は、第2積層体12と第4積層体14を合わせた肉厚の5%の肉厚とされている。よって、第3積層体13は、本願の第2誘電体部となる。そして、この第3積層体13が対向させて有する内部電極16bは、本願における第3電極層、第4電極層となる。
第1積層体11〜第4積層体14を貫通するビア電極18は、上記した内部電極16a、16bの積層方向に形成されており、第1積層体11の側から、第2積層体12、第3積層体13および第4積層体14における内部電極(上記の第1の電極層と第2の電極層のそれぞれ)に導通するよう形成されている。
図示するように、第2積層体12および第4積層体14と第3積層体13では、それぞれの電極層の間に介在するセラミック層17の厚みが相違する。第3積層体13は、そのセラミック層17の厚みを、第2積層体12および第4積層体14のセラミック層17の厚み(約5μm)の約2〜20倍の10〜100μmとしている。また、第3積層体13は、電極層の積層数が第4積層体14に比して少なくされ、積層セラミックコンデンサ10の全体の厚みに占める第3積層体13全体の厚みは、約5〜30%前後である。例えば、本実施例では、積層セラミックコンデンサ10の厚みを1mmとし、第3積層体13を100μm程度の厚みとした。そして、この第3積層体13を4層の積層体、即ち、25μmの厚みのセラミック層17が内部電極16bを介在させてこの内部電極16bが3層になるように積層したものとした。この場合、第2積層体12は、内部電極16aを数層、本実施例では4層程度積層して備えればよく、第2積層体12と第4積層体14を合わせた厚みは、積層セラミックコンデンサ10を薄くしても、400μm以上の厚みであることが、コンデンサ容量確保の上から好ましい。
ここで、上記した内部電極16a、16bやビア電極18の様子について説明する。なお、内部電極16aと内部電極16bは同一パターンとすることもできるほか、異なるパターンとすることもできる。ビア電極18は等ピッチで形成されているので、両内部電極が同一パターンであるとして、以下、第2積層体12を例に取り、説明する。図2は第2積層体12における内部電極16aとビア電極18の形成の様子を説明する説明図である。
図2(A)に示すように、図示の内部電極16aは、図中黒塗りのビア電極18が貫通することによりこのビア電極18に接続されるとともに、図中斜線ハッチのビア電極18の貫通する部分の周囲の窓部20aにより、当該ビア電極に対して電気的に絶縁されている。黒塗りのビア電極18と斜線ハッチのビア電極18は、所定の繰り返しピッチP1で繰り返し形成されている。
また、図2(B)に示すように、図示の内部電極16aは、図中斜線ハッチのビア電極18が貫通することによりこのビア電極18に接続されるとともに、図中黒塗りのビア電極18の貫通する周囲の窓部20bにより、当該ビア電極に対して電気的に絶縁されている。
この図示する内部電極16aが積層されることから、窓部20a、20bの領域においては、内部電極同士は対向しない。よって、積層された内部電極16a同士は、窓部20a、20bを除いた面積で対向し、内部電極同士で重なることになる。
第4積層体14は上記の第2積層体12と同一である。そして、第3積層体13にあっては、第2積層体12および第4積層体14と同一パターンであれば上記と同様であり、内部電極16b間のセラミック層17の厚みが第2積層体12や第4積層体14と相違するに過ぎず、内部電極パターン・ビア電極ピッチ等は第2積層体12や第4積層体14と同じである。第3積層体13を第2積層体12および第4積層体14と異なるパターンとする例としては、図2に示す窓部20a、20bを大きくするような場合を挙げることができる。このように、窓部を大きくすれば、内部電極とビア電極の接触回避に有効である。
このように本実施例の積層セラミックコンデンサ10は、第2積層体12と第3積層体13および第4積層体14において、その有するセラミック層17からなる誘電体中に、内部電極16aと内部電極16bを対向させて備え、こうした対向電極によりコンデンサとして機能する。つまり、内部電極16aがビア電極18に接続されることにより、および、内部電極16bがビア電極18に接続されることにより、第1の電極層と第2の電極層とが対向する多層のコンデンサとして機能する。このような多層構造の積層セラミックコンデンサ10では、小型で大きな静電容量を実現することができる。
A−2.積層セラミックコンデンサ10の製造工程:
上記した構成の積層セラミックコンデンサ10は次の製造方法により製造可能である。図3は積層セラミックコンデンサ10の製造工程を示す工程図、図4は第2積層体12と第4積層体14についての図3の工程の様子を説明する説明図、図5は第3積層体13についての図3の工程の様子を説明する説明図である。積層セラミックコンデンサ10は、図3のステップS100〜S180の各工程を経て製造される。各工程の内容につき、以下、工程順に説明する。
(2)−1 キャリアフィルム上へのシート形成(ステップS100)
まず、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム等の長尺状のキャリアフィルムにチタン酸バリウム(BaTiO)などから成るセラミックスラリを均一に薄く塗布して乾燥させる。これにより、キャリアフィルム上にセラミックグリーンシート22Aが形成される。このセラミックグリーンシート22Aは、焼成後に第2積層体12と第4積層体14における誘電体層としてのセラミック層17となり、本願における誘電材料となる。
第3積層体13については、同一の手法を採用しつつ、第2積層体12および第4積層体14とは別のラインにて、キャリアフィルム上にセラミックグリーンシート22Bを形成する。このセラミックグリーンシート22Bは、焼成後に第3積層体13におけるセラミック層17となる。図4と図5に示すように、第2積層体12および第4積層体14のセラミックグリーンシート22Aと第3積層体13のセラミックグリーンシート22Bとは肉厚が相違し、セラミックグリーンシート22Bはセラミックグリーンシート22Aの約5倍の厚みとされている。このセラミックグリーンシート22Bは、焼成後に第3積層体13における誘電体層としてのセラミック層17となり、本願における誘電材料となる。なお、肉厚のセラミックグリーンシート22Bをセラミックグリーンシート22Aとは別に単体として準備しているが、内部電極の施されていないセラミックグリーンシート22Aを複数積層した積層シートを、肉厚のセラミックグリーンシート22Bの代用とすることもできる。
(2)−2 シート上への電極層の形成(ステップS110)
次に、乾燥後のセラミックグリーンシート22A、22Bに、スクリーン印刷手法などによってAg−Pd製の電極パターンを印刷する。これにより、セラミックグリーンシート22A、22Bの表面には、電極パターンが印刷された部分に内部電極層24(24a,24b)が形成される(図4、図5参照)。また、セラミックグリーンシート22A、22Bの表面には、電極パターンが印刷されていない窓部25(25a,25b)がある。本実施例では、内部電極層24の厚みが2〜3μm、セラミックグリーンシート22Aが6μm、セラミックグリーンシート22Bが30μmとなるようにされている。
こうして形成された内部電極層24(24a,24b)は、焼成後に第2積層体12ないし第4積層体14における内部電極16a、16bとなることから、印刷済みの電極パターン(Ag−Pd製の電極パターン)が本願における内部電極形成材料となる。また、セラミックグリーンシート22A、22Bの表面には、同一の電極パターン24a,24bが形成されているが、セラミックグリーンシート22A、22Bに形成される電極パターンは、既述したように窓部の大きさを変えるようなことで、異なるパターンであっても構わない。
(2)−3 積層用セラミックシートの切り出しおよびキャリアフィルムの剥離(ステップS120、S130)
次に、上記のセラミックグリーンシート22A、22Bが形成された長尺状のキャリアフィルムを搬送させながら、セラミックグリーンシート22A、22Bをその表面の内部電極層24と共に一定形状で切り出す。切り出したセラミックグリーンシート22A、22Bは、キャリアフィルムの巻き取り等によりこのキャリアフィルムから剥離される。こうしたセラミックグリーンシート22A、22Bの切り出しに際しては、図4・図5の(A),(B)に示すように、内部電極層24および窓部25のレイアウトが異なる2種類のセラミックグリーンシート22A、22Bの切り出しが行なわれる。図4・図5の(A)が図2(A)の断面に、図4・図5の(B)が図2(B)の断面に対応する。
(2)−4 セラミックシートの積層(ステップS140)
図6はシートの積層が完了したときの状況と後述するステップにおけるレーザー照射の様子を模式的に表す説明図である。次に、上記のように形成された複数枚のセラミックグリーンシート22A、22Bを以下に説明するように積層する。
まず、カバーシート29を予め敷設しておく。このカバーシート29は、図6に示すように、PET(ポリエチレンテレフタレート)製の剥離シート27上にセラミックスラリを厚めに塗布して乾燥させて形成したカバー層28を有する。このカバー層28は、セラミックグリーンシート22Bとほぼ同じ厚みとされており、焼成後に第1積層体11におけるセラミック層15となる。
続いて、敷設されたカバーシート29のカバー層28上に、図4(A),(B)に示した2種類のセラミックグリーンシート22Aを図6に示すように交互に所定枚数積層する。この積層枚数は、第2積層体12を形成するに必要な枚数とされ、本実施例では、4枚とした。シート積層に際しては、図6に示すように、図示の最上段のセラミックグリーンシート22Aをその内部電極層24がカバー層28に接するようにし、その後は、次のセラミックグリーンシート22Aをその内部電極層24が積層済みのセラミックグリーンシート22Aに重なるようにする。こうしてセラミックグリーンシート22Aが積層された部分が第2積層体12となる。
所定枚数のセラミックグリーンシート22Aの積層に続いては、セラミックグリーンシート22Bを、積層済みのセラミックグリーンシート22Aに重ねて所定枚(図1では4枚)積層する。この積層時には、積層済みのセラミックグリーンシート22Aに、内部電極層24が接するようにセラミックグリーンシート22Bを重ね、それ以降は、同じようにセラミックグリーンシート22Bを積層する。こうしてセラミックグリーンシート22Bが積層された部分が第3積層体13となる。
次いで、積層済みのセラミックグリーンシート22Bに、再度、セラミックグリーンシート22Aを重ねて積層する。この積層時にあっても、積層済みのセラミックグリーンシート22Bに、内部電極層24が接するようにセラミックグリーンシート22Aを重ね、それ以降は、同じようにセラミックグリーンシート22Aを積層する。この場合のセラミックグリーンシート22Aの積層枚数は、完成後の積層セラミックコンデンサ10に求められるコンデンサ容量から決定され、本実施例では150枚とし、焼成後の厚みで850μm程度となるようにした。こうしてセラミックグリーンシート22Aが最後に積層された部分が第4積層体14となり、このシート積層により、セラミックのシート積層体100ができあがる。
このように第1積層体11ないし第4積層体14が積層したシート積層体100を形成するには、上記したように、まず、第1積層体11にセラミックグリーンシート22Aを積層して第2積層体12を形成した後に、セラミックグリーンシート22Bを順次積層して第3積層体13を形成し、次いで、セラミックグリーンシート22Aを積層して第4積層体14を形成するほか、次のようにすることもできる。つまり、予め、第1積層体11ないし第4積層体14をそれぞれ各セラミックグリーンシートの積層で形成しておき、各積層体を重ねるようにすることもできる。或いは、上記した積層体の形成順と逆に、先にセラミックグリーンシート22Aを積層して第4積層体14を形成し、これに重なるようにしてセラミックグリーンシート22Bを積層して第3積層体13を形成し、次いでセラミックグリーンシート22Aの積層によりを第2積層体12を形成し、最後に第1積層体11を重ねるようにすることもできる。
カバーシート29を含むシート積層体100全体の厚みdaは、完成品の積層セラミックコンデンサ10の厚みを規定する。この厚みdaを定めるセラミックグリーンシート22A、22Bの厚みd0、d1(図4、図5参照)やその総積層数、カバー層28の厚みは、所望される積層セラミックコンデンサ10のスペック、サイズで定まる。本実施例では、焼成後のコンデンサの厚みが1mmとなることを想定し、セラミックシート積層体全体の厚みdaを1.2mmとした。
こうして積層が終わった状況では、グリーンシートである都合上、窓部25(25a,25b)においてその上部のグリーンシートが撓んで当該窓部にある程度入り込んでいる。また、シート体端部では、セラミックグリーンシート22A、22Bの各層が撓んだ状態となる。この場合、厚みが薄い分、セラミックグリーンシート22Aでの窓部への入り込み、撓みが顕著である。
図6に示すように、窓部25が上下に並んだ領域(窓部上下領域25A)では、内部電極層24が一層おきに存在しないことになる。一方、窓部25を取り囲む領域(窓部周辺領域25B)では、内部電極層24がグリーンシートごとに対向して上下に並ぶので、グリーンシートの撓みが起きない。このため、窓部周辺領域25Bは、窓部上下領域25Aより若干凸状となる。
(2)−5 レーザー照射による貫通孔の形成(ステップS150)
次に、レーザー加工機を用いて、上記のシート積層体100に導電材料充填用の貫通孔26を次のようにして形成する。本実施例では、この貫通孔26に充填された導電材料(導電性ペースト)は、製品完成後に図1に示すビア電極18となる。
図6に示すように、上記のシート積層体100では、セラミックグリーンシート22A、22Bに設けられたそれぞれの窓部25が、一層おきにシート積層方向に上下に並ぶ。レーザー加工機は、この上下に並んだ窓部25の中心を結ぶ軸線(図6における一点鎖線)に沿ってレーザービーム150を照射する。これにより、上記軸線上に位置するセラミックグリーンシート22A、22Bと、内部電極層24およびカバーシート29がレーザー照射による熱で溶融され、上記軸線の周囲に、積層体を上下に貫通する貫通孔26が形成される。
図7は貫通形成された貫通孔26をその形状をストレート状であるとして模式的に示す説明図である。この図7に示すように、貫通孔26は、窓部25を取り囲む内部電極層24と貫通孔26に充填形成されたビア電極18とを非導通の状態に維持するために、窓部25よりも小さな孔径で形成される。本実施例では、焼成後の貫通孔径が100μmとなるよう貫通孔26の孔径を120μmとし、窓部25の径を350μmとした。なお、これら径はこうした数値のものに限られるわけではなく、貫通孔26にあっては60〜150μmとすることもできる。この場合、貫通孔孔径の決定に際しては、貫通孔26に充填する後述の導電材料(充填材)の粘度等を考慮すればよい。また、窓部25の径にあっては、窓部25の形成ピッチ等を考慮すればよい。
図6に示すシート積層体100は、上面視すれば方形形状であるため、窓部25をマトリックス状に有する。従って、上記のレーザービーム150の照射は、図7に示した8箇所のみならず、方形形状のシート積層体の上面から、マトリックス状の個々の窓部25について、同様に行なわれる。このため、シート積層体100には多数の貫通孔26がマトリックス状に形成されることになる。
このようにシート積層体100の異なる複数の位置に貫通孔26を形成する手法として、本実施例では、いわゆるサイクル加工法を採用している。サイクル加工法は、図6に示すように、各貫通孔形成位置に順次にレーザービーム150を照射する工程CYを何回か繰り返し、各貫通孔形成位置における穴の深さを徐々に深めながら、最終的に全ての貫通孔形成位置に貫通孔を形成する手法である。
図示するように、本実施例では、レーザービーム150の照射の照射側にカバーシート29が位置するようにした。よって、レーザービーム150の照射による溶融物(例えば、電極やグリーンシート中の有機成分の溶融物)がセラミックグリーンシート22Aの表面に付着することがないので、好ましい。
上記したステップS150までの工程において、工程の前後を変更することもできる。例えば、ステップS130のキャリアフィルム剥離とステップS140のシート積層を逆に行なったり、ステップS120のシート切り出しをステップS110の電極層の形成に先だって行なうこともできる。なお、ステップS120とステップS110の順に工程を行なって、更にステップS140、ステップS130の順に工程を行なうようにすることもできる。
(2)−6 貫通孔への導電材料の充填(ステップS160)
次に、シート積層体100の各貫通孔26に導電材料を充填する。充填に際しては、図示しない充填容器にシート積層体100をセットし、充填容器の内部にて、導電材料を貫通孔26に加圧注入する。こうして加圧注入された導電材料は、貫通孔26に充填されると共に、この貫通孔26内から内部電極層24の端面にまで達して固化する。このように固化した導電材料が、既述したビア電極18として機能する(図1参照)。
(2)−7 本圧着工程(ステップS170)
次に、導電材料充填済みのシート積層体100を圧着する工程を行なう。この圧着工程では、図示しない加圧容器にシート積層体100をセットし、高温・高圧プレスを施す。そうすると、シート積層体100の表面のうち内部電極層24のある凸部となっている窓部周辺領域25Bに大きな力が加わって、それぞれのセラミックグリーンシート22A、22Bは強固に圧着される。
(2)−8 表面電極の形成・溝入れ・脱脂・焼成・ブレーク(ステップS180)
次に、シート積層体100を加圧容器から取り出し、スクリーン印刷などにより別途表面電極(表面側端子19a、裏面側端子19b)を設ける。表面側端子19a、19bの端子間ピッチは、概ねビア電極の形成ピッチとされ、それぞれの端子は、接合済み積層体上下面(コンデンサ表裏面)から導電性ペーストが露出した部位(既述したビア電極18の上下端に相当する部位)に形成される。こうした端子形成に際しても、そのサイズや端子間ピッチは、後述する焼成による導電性ペーストの収縮率を加味して決定される。この場合、裏面側端子19bについては、その接続対象となるパッケージ50(詳しくはバンプ57)のピッチに適合したピッチで形成される。本実施例では、表面側端子19aと同一ピッチで裏面側端子19bを形成したが、その接続対象となるパッケージの形成位置によっては、同一になるとは限らない。
続いて、シート積層体100に、使用される積層セラミックコンデンサ10の大きさに合わせて溝を入れ、溝入れ後の積層体を脱脂した後に焼成する。こうした焼成の後に、図1に示したような積層セラミックコンデンサ10が形成される。なお、焼成後のシート積層体100を、溝入れ工程において入れられた溝(図示せず)に沿ってブレークすれば、より小型の積層セラミックコンデンサ10を形成することができる。
A−3.作用効果:
以上説明したように、本実施例の積層セラミックコンデンサ10では、図1に示すように、積層セラミックコンデンサ10の大部分を占める第4積層体14はもとより、第2積層体12と第4積層体14におけるセラミック層17より厚肉のセラミック層17を有する第3積層体13にあっても、それぞれセラミック層17を挟んで内部電極16a、16bを対向させ、これら内部電極をビア電極18で導通させている。しかも、この積層セラミックコンデンサ10は、第3積層体13については、厚肉のセラミック層17ごとに内部電極16bを備え付けてビア電極18と導通させている。
従って、従来のコンデンサにおけるベース層が担っていた電極段差の吸収機能を、第3積層体13のセラミック層17を厚肉とすることで発揮しつつ、セラミック表層側の第1積層体11をその肉厚を制限することで、ビア電極18が内部電極16aに導通しないまま延びる部分を短くできる。よって、本実施例の積層セラミックコンデンサ10によれば、内部電極を多層に積層した場合の電極段差を吸収した上で、低インダクタンス化を図ることができる。
また、積層セラミックコンデンサ10では、こうしたコンデンサ機能を実現しつつ、コンデンサの表面10aの側から裏面10bに至るまで、ビア電極18を貫通させている。よって、積層セラミックコンデンサ10の表裏を貫くビア電極18を導電線として機能させることができるので、従来は内部電極層への通電の用途しか想定しなかったビア電極を、コンデンサ表裏を貫く導電線として新たに利用できるようになる。このため、積層セラミックコンデンサ10によれば、図1に示すように、コンデンサ表裏への電子デバイス(ICチップ30やパッケージ50)の実装が可能となり実装の多様化を図ることができる。この場合、表面10aにおける表面側端子19aのピッチ(ビア電極18ピッチ)をICチップ30の端子ピッチに適合させたり、裏面10bにおける裏面側端子19bをパッケージ50のバンフピッチに適合させることができるので、コンデンサ表裏へのデバイス実装の自由度をより高めることができる。
また、コンデンサの表裏面に、ビア電極18の端子となる表面側端子19aと裏面側端子19bを各ビア電極ごとに形成した。このため、端子を介してのビア電極へのリード接続、実装品との間の接続が容易となる。具体的には、ICチップ30のパッド32を積層セラミックコンデンサ10の表面側端子19aに容易、かつ確実に接続できる。パッケージ50のバンプ57に対しても同様である。
B.変形例1:
上記実施例では、パッケージ50とICチップ30との間に積層セラミックコンデンサ10を介装したが、他の電子デバイス間に積層セラミックコンデンサ10を介装してもよい。図8は積層セラミックコンデンサ10の変形例1を示す説明図である。
この図8に示す変形例では、ICチップ30が装着されたパッケージ50とマザーボード等の配線基板60とが積層セラミックコンデンサ10を介して接続されている。ICチップ30やパッケージ50については、既述した実施例と変わるものではない。
配線基板60は、制御用の配線や部品が実装されたエポキシ樹脂製の多層基板である。こうした配線基板60としては、マザーボード等のプリント基板を考えることができる。配線基板60の各層間は、銅めっき層や銅箔によって形成されたリード66によって導通されている。リード66は、配線基板60の上面(図8における上方向の面)に露出した端子67を備える。この端子67は、積層セラミックコンデンサ10の裏面側端子19bに、半田を用いて接続される。なお、図8では、電源ラインに接続されたリード66,端子67を黒色の塗りつぶしを用いて示し、グランドラインに接続されたリード66,端子67を斜線ハッチングを用いて示しており、信号線としてのリードの記載を省略している。
また、上記実施例や各変形例の積層セラミックコンデンサに予めICチップやパッケージ,配線基板を装着しておく形態を採ることもできる。こうした形態としては、積層セラミックコンデンサのビア電極にICチップが接続されたICチップ付きコンデンサ、積層セラミックコンデンサのビア電極が有する端子もしくは端子にパッケージが接続されたコンデンサ付きパッケージ、積層セラミックコンデンサのビア電極が有する端子に配線基板が接続されたコンデンサ付き配線基板、上記の積層セラミックコンデンサを介してICチップとパッケージとを接続してなる構造体等を考えることができる。
更に、次のように変形することもできる。図9は積層セラミックコンデンサ10の別の変形例2を示す説明図である。
図示するように、この変形例では、積層セラミックコンデンサ10の表面10aの側から、第1積層体11、第2積層体12A、第3積層体13Aの順に各積層体を備える。この場合、第1積層体11は、先に説明した実施例の第1積層体11と同一であり、第2積層体12Aは、実施例の第2積層体12と第4積層体14を合わせたものである。よって、この第2積層体12Aは、電極層積層部の全部となる本願の積層体となる。
第3積層体13Aは、内部電極16bを有しない単純なセラミック層17を積層させたものであり、内部電極層24のないセラミックグリーンシート22Bを、第2積層体12Aの最下段のセラミックグリーンシート22Aに積層して形成される。つまり、この第3積層体13Aは、電極層積層部の全部となる積層体(第2積層体12A)に積層される本願の第2誘電体部113となる。また先に説明した実施例と同様に、第1積層体11は、誘電体層(セラミック層17)を有する本願における第1誘電体部111となる。第2積層体12Aは、電極積層部のうち内部電極(内部電極16a)と誘電体層(セラミック層17)を含む本願の電極積層部112Aとなる。
そして、この変形例の積層セラミックコンデンサ10は、図示するように、第3積層体13Aの途中まで形成された貫通孔に導電材料の充填することで、ビア電極18を形成する。こうするには、第1積層体11と第2積層体12Aを既述した実施例と同様にして積層し、次いで、第3積層体13Aの一部となる枚数(図では5枚)のセラミックグリーンシート22Bを積層する。そして、この状態で、レーザービーム150により貫通孔をあけ、導電材料を充填する。その後、残りのセラミックグリーンシート22Bを積層して、本圧着以降の工程を行うようにする。こうすることで、図9に示す変形例の積層セラミックコンデンサ10を製造できる。
この変形例にあっても、図1で説明した積層セラミックコンデンサ10と同様の効果を奏することができる。なお、図9の変形例において、ビア電極18を積層セラミックコンデンサ10を貫通するように形成することもできる。この場合には、総てのセラミックグリーンシート22Bを積層してから、貫通孔形成・導電材料充填を行えばよい。
なお、この発明は上記実施例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能である。例えば、第3積層体13は、既述したように電極段差吸収の機能を発揮できればよいので、図1等に示す第3積層体13を、内部電極16bを有しない単純なセラミック層17の積層体とすることもできる(変形例3参照)。この場合は、内部電極層24のないセラミックグリーンシート22Bをセラミックグリーンシート22Aに積層していけばよい。また、裏面側端子19bについては、これを省略した形態の積層セラミックコンデンサ10とすることもできる。
次に、上記した実施例と異なる製造手法(変形例)について説明する。上記した実施例が第1積層体11に、第2積層体12ないし第4積層体14を順次積層させながら形成するのに対し、この変形例では、第1積層体11ないし第4積層体14を予め作成して、その後、積層セラミックコンデンサ10とする点に特徴がある。この特徴点につき、以下、説明する。
この変形例での製造手法では、図1に二点鎖線で区画できる第1積層体11から第4積層体14までの各積層体を、別々に製造し、それぞれの積層体について次の工程を経る。
第1積層体11は、上記実施例と同様に、カバーシート29から形成する。第2積層体12以降については、次の工程を取る。
第2積層体12の形成に際しては、図3で説明したステップS100〜160までの工程を経て、予め、内部電極16aをセラミック層17を挟んで積層した第2積層体12を形成する。この場合、第2積層体12は第1積層体11と積層済みである。そして、レーザーによる貫通孔形成、および貫通孔への導電材料充填を済ませる。その一方、こうした第2積層体12の形成と並行して、第3積層体13と第4積層体14についても、図3で説明したステップS100〜160までの工程を経て、内部電極16a、16bをセラミック層17を挟んで積層させた第3積層体13並びに第4積層体14を形成し、貫通孔形成、および貫通孔26への導電材料充填を済ませる。この場合、第2積層体12と第3積層体13および第4積層体14では、貫通孔の形成ピッチは同じとされている。
こうして第1積層体11ないし第4積層体14が形成されると、各積層体を接合する。この積層体接合に際しては、第2積層体12において積層体を貫通する充填孔の導電性ペーストと第3積層体13の充填孔充填済みの導電性ペーストと第4積層体14の充填孔充填済みの導電性ペーストとが接合するようにして、各積層体を積層する。
次に、こうして接合させた積層体を、図3で説明した本圧着の工程に処し、高温・高圧プレスによって圧着する。その後、コンデンサ表裏面での表面側端子19aと裏面側端子19bの形成・溝入れ・脱脂・焼成・ブレークを行い、図1に示したような積層セラミックコンデンサ10が完成する。
この製造方法によれば、第3積層体13を、そのセラミック層17の厚みが種々のもの、或いは第3積層体13自体の厚みが種々のものを予め用意して、これらを積層セラミックコンデンサ10の用途に応じて交換できる、といった利点がある。
上記した変形例の製造方法は、次のように更に変形することもできる。つまり、上記の変形例では、第1積層体11ないし第4積層体14を、貫通孔に導電材料が充填済みのものとしたが、貫通孔のみがあけられた積層体とする。そして、貫通孔形成済みの状態で第1積層体11ないし第4積層体14を積層させ、導電材料を充填するように変形することもできる。
また、第2積層体12に第3積層体13を、貫通孔に導電材料が充填済みの状態で積層するに際しても、次のように変形することもできる。つまり、図5に示すセラミックグリーンシート22Bの状態で、それぞれのシートに貫通孔を形成し、その貫通孔に導電材料を充填する。そして、こうして導電材料充填済みのセラミックグリーンシート22Bを、貫通孔に導電材料が充填済みの第2積層体12に順次積層して、第3積層体13を形成するようにすることもできる。この場合、第4積層体14についても、図4に示すセラミックグリーンシート22Aの状態で、それぞれのシートに貫通孔を形成して導電材料を充填し、そのシートを積層して第4積層体14とすることもできる。第4積層体14を先に形成し、セラミックグリーンシート22Aおよびセラミックグリーンシート22Bを導電材料充填とした上で、第4積層体14に順次重ねて第3積層体13、第2積層体12の順に積層体を形成するようにすることもできる。
更に、次のように変形することもできる。図10は積層セラミックコンデンサの別の変形例3を示す説明図である。この図10に示す変形例では、ICチップ30やパッケージ50については、既述した実施例と変わるものではない。
図示するように、この変形例では、積層セラミックコンデンサ110の表面10aの側(コンデンサ表層側)から、第1積層体11、第2積層体12、第3積層体13N、第4積層体14の順に各積層体を備える。この場合、第1積層体11、第2積層体12、第4積層体14は、先に説明した実施例の第1積層体11、第2積層体12、第4積層体14と同一であり、第3積層体13Nは、内部電極が形成されていない。よって、第3積層体13Nは、内部電極が形成されていない本願における第2誘電体部113となる。また先に説明した実施例と同様に、この第1積層体11は、誘電体層を有し、本願における第1誘電体部111となる。第2積層体12は、電極積層部のうち内部電極(内部電極16a)と誘電体層(セラミック層17)を含む本願の少なくとも一部の積層部範囲となると共に、電極積層部112Aの一部であって本願の一部積層体112となる。第4積層体14は、電極積層部の残部であって本願の残部積層体114となる。
図示するように、第3積層体13Nは、内部電極を有しない単純なセラミック層17を積層させたものである。第1積層体11の厚みは、第2積層体12および第4積層体14のセラミック層17の厚み(約5μm)の等倍〜20倍の5〜100μmとしている。また、積層セラミックコンデンサ110全体の厚みに占める第3積層体13N全体の厚みは、約5〜30%前後である。第4積層体14の厚みは、積層セラミックコンデンサ110を薄くしても、300μm以上の厚みであることが、コンデンサ容量確保の上から好ましい。例えば、本変形例では、積層セラミックコンデンサ110の厚みを約0.5mmとした。第1積層体11の厚みは7μmとした。第2積層体12は35μm程度の厚みとした。第3積層体13Nは100μm程度の厚みとした。第4積層体14は350μm程度の厚みとした。第2積層体12は、厚み約5μmのセラミック層17と厚み約2μmの内部電極16aとをそれぞれ6層積層して備えている。そして、第3積層体13Nは4層の25μmの厚みのセラミック層17を積層して備えている。第4積層体14は、厚み約5μmのセラミック層17と厚み約2μmの内部電極16aとをそれぞれ50層積層して備えている。
そして、この変形例の積層セラミックコンデンサ110は、実施例の積層セラミックコンデンサ10の製造工程におけるステップS140の第3積層体13を形成する際、内部電極24が形成されていないセラミックグリーンシート22Bを所定枚数積層することにより、作成される。他の工程は積層セラミックコンデンサ10の製造工程と同一とすることで作製することができる。
この変形例にあっても、図1で説明した積層セラミックコンデンサ10と同様の効果を奏することができる。
C.実施例(変形例)と比較例のインダクタンス値の比較:
変形例3(図10)の積層セラミックコンデンサにおいて、積層方向と垂直な方向の外形寸法を5.2mm×5.2mmとして形成した。各内部電極16aの外形寸法を4.6mm×4.6mmとし、ビア電極は、合計196個(行方向14個×列方向14個)形成した。また、ビア電極18は第1ビア電極、第2ビア電極を交互に等ピッチ(330μm間隔)で形成した。第1ビア電極18(図中斜線ハッチング)は、電極積層部を貫通し、第1電極層16a(図中斜線ハッチング)と導通する一方、第2電極層16a(図中黒塗り)とは絶縁されている。第2ビア電極(図中黒塗り)は電極積層部を貫通し、第2電極層と導通する一方、第1電極層とは絶縁されている。残部積層体114(第4積層体14)は、内部電極としての第1電極層16aを26層と、内部電極としての第2電極層16aを25層とを厚み約5μmのセラミック層17を介して一層ずつ交互に形成した。よって、残部積層体114は、内部電極を挟んだセラミック層17を50層形成し、厚みを350μmとした。実施例1〜13の積層セラミックコンデンサとして、第1誘電体部111(第1積層体11)、一部積層体112(第2積層体12)、第2誘電体部113(第3積層体13N)を次の条件で形成した。残部積層体にコンデンサ裏面10bを含むセラミック層17(実施例1〜9では厚さ7μm)を形成したが、本実施例では第2誘電体部112が段差吸収機能を有するため、必ずしも厚く形成する必要はなく、第2誘電体部112には含めず残部積層体の一部とする。
・実施例1
実施例1のサンプル(図10の積層セラミックコンデンサ)は次の条件で作製した。第1誘電体部111は、セラミック層17のみで形成し、厚みは10μmとした。一部積層体112は、厚み5μmのセラミック層17を1層挟んで第1電極層、第2電極層を各1層形成し、厚みを7μmとした。ここで厚みは、第1電極層の積層方向の中心と、第2電極層の積層方向の中心との距離を測定した。第2誘電体部113は、内部電極を設けず、セラミック層17のみで形成し、厚みを20μmとした。
・実施例2〜3
実施例1のサンプル(積層セラミックコンデンサ)において、第2誘電体部113の厚みを40μm、70μmとしたサンプルを作製した。
・実施例4〜5
実施例2〜3のサンプル(積層セラミックコンデンサ)において、一部積層体112が、セラミック層5層と、内部電極層6層とからなる、厚みを35μmとしたサンプルを作製した。つまり、内部電極としての第1電極層16aを3層と、内部電極としての第2電極層16aを3層とを、厚み約5μmのセラミック層17を介して一層ずつ交互に形成したものである。
・実施例6〜7
実施例2〜3のサンプル(積層セラミックコンデンサ)において、一部積層体112が、セラミック層9層と、内部電極層10層とからなる、厚みを63μmとしたサンプルを作製した。つまり、内部電極としての第1電極層16aを5層と、内部電極としての第2電極層16aを5層とを、厚み約5μmのセラミック層17を介して一層ずつ交互に形成したものである。
・実施例8
実施例1のサンプル(積層セラミックコンデンサ)において、第2誘電体部113にセラミック層17を介して10μm間隔で第1電極層、第2電極層を各2層交互に形成し、厚みを約50μmとしたサンプルを作製した。
・実施例9
変形例2(図9)の積層セラミックコンデンサにおいて、積層方向と垂直な方向の外形寸法を5.2mm×5.2mmとして形成した。各内部電極16aの外形寸法を4.6mm×4.6mmとし、ビア電極は、合計196個(行方向14個×列方向14個)形成した。また、ビア電極18は第1ビア電極、第2ビア電極を交互に等ピッチ330μm間隔で形成した。第1ビア電極18(図中斜線ハッチング)は、電極積層部112Aを貫通し、第1電極層16a(図中斜線ハッチング)と導通する一方、第2電極層16a(図中黒塗り)とは絶縁されている。第2ビア電極(図中黒塗り)は、電極積層部112Aを貫通し、第2電極層と導通する一方、第1電極層とは絶縁されている。電極積層部112Aは、内部電極としての第1電極層16aを26層と、内部電極としての第2電極層16aを25層と、を厚み約5μmのセラミック層17を介して一層ずつ交互に形成した。よって、電極積層部112Aは、内部電極を挟んだセラミック層17を50層形成し、厚みを350μmとした。また、本実施例では、電極積層部間には第2誘電体部を形成せず、コンデンサ裏面10bより(電極積層部の第1誘電体部とは逆側)に、第2誘電体部113を厚み50μmで形成した。
・比較例1〜7
比較例1〜7のサンプル(積層セラミックコンデンサ)は次の条件で作製した。第1誘電体部111を表1に示す厚みとし、電極積層部間に第2誘電体部を形成せず、一部積層体112を形成しない他は、実施例1のサンプルと同様に形成した。ここで、一部積層体を形成しない場合、実施例1のサンプルの残部積層体が電極積層部の全体となる。よって、比較例における表1の残部積層体の厚みは電極積層部の厚みを表すものである。また、コンデンサ裏面10bを含むセラミック層17(厚さ7μm)は本比較例においては第2誘電体部となる。図11はこれら比較例の積層セラミックコンデンサの積層の様子を示す説明図である。なお、第1誘電体部111は表1の厚みとなるようセラミック層17を積層した積層構成を有するが、図11においてはセラミック層17の積層の様子の描画を省略した。
これらのサンプルについて以下の方法によりインダクタンス値Lを測定した。測定器は自動平衡ブリッジ方式のインピーダンスアナライザを使用し、積層セラミックコンデンサの表層電極にエアコプレナー型のマイクロプローブを接することで測定器端子とを導通させた。測定周波数1kHzにおける静電容量値Cと自己共振周波数foを測定し、計算式L=1/(4・π・fo・C)よりインダクタンス値Lを算出した。表1に各実施例と各比較例のインダクタンス値を示す。
Figure 0004658576
一部積層体112がなく、第1誘電体部、第2誘電体部とも薄い比較例1と2では、内部電極の段差を吸収しきれず、サンプル作製時の積層工程においてシート同士の接着不良を生じ、サンプルを作製することができなかった。比較例3〜8は、第1誘電体部により電極段差を十分吸収できるものの、一部積層体112を設けた実施例1〜9に比べて、第1誘電体部のビアの長さが長いために、インダクタンス値が高い結果となった。従って、第2誘電体部を電極段差を十分吸収できる厚さとし、第1誘電体部を薄くすることで、インダクタンスを低くすることができた。一方、第1誘電体部111の厚みが20μm以上(内部電極間隔の4倍以上)の比較例3〜7では、ビア電極が長くなるためインダクタンス値が大きく増加する傾向がある。
本発明の実施例である積層セラミックコンデンサ10の設置例を縦断面で示す説明図である。 第2積層体12における内部電極16aとビア電極18の形成の様子を説明する説明図である。 積層セラミックコンデンサ10の製造工程を示す工程図である。 第2積層体12および第4積層体14についての図3の工程の様子を説明する説明図である。 第3積層体13についての図3の工程の様子を説明する説明図である。 シートの積層が完了したときの状況とレーザー照射の様子を模式的に表す説明図である。 貫通形成された貫通孔26をその形状をストレート状であるとして模式的に示す説明図である。 積層セラミックコンデンサ10の変形例を示す説明図である。 積層セラミックコンデンサ10の別の変形例を示す説明図である。 積層セラミックコンデンサの別の変形例を示す説明図である。 比較例の積層セラミックコンデンサの積層の様子を示す説明図である。
符号の説明
10...積層セラミックコンデンサ
10a...表面
10b...裏面
11...第1積層体(第1誘電体部)
12...第2積層体(一部積層体)
12A...第2積層体(電極積層部)
13、13N...第3積層体(第2誘電体部)
13A...第3積層体
14...第4積層体(残部積層体)
15...セラミック層
16a...内部電極
16b...内部電極
17...セラミック層
18...ビア電極
19a...表面側端子
19b...裏面側端子
20a...窓部
20b...窓部
22A...セラミックグリーンシート
22B...セラミックグリーンシート
24(24a,24b)...内部電極層
25(25a,25b)...窓部
25A...窓部上下領域
25B...窓部周辺領域
26...貫通孔
27...剥離シート
28...カバー層
29...カバーシート
32...パッド
50...パッケージ
52...上部層
54...下部層
56...リード
57...バンプ
58...端子
60...配線基板
66,端子67...リード
66...リード
67...端子
100...シート積層体
150...レーザービーム

Claims (8)

  1. 誘電体層を挟んで対向した内部電極を複数積層させた電極積層部を備え、該内部電極の積層方向に形成されたビア電極で前記内部電極を導通するようにしたコンデンサであって、
    誘電体層を有する第1誘電体部と、第2誘電体部とを備え、
    前記電極積層部は、
    前記内部電極としての第1電極層と第2電極層と、該第1、第2電極層間の前記誘電体層としての電極間誘電体層とを積層して有し、
    前記第1誘電体部は、コンデンサ表層側で、前記電極積層部に重なり、かつ、前記電極積層部における一層の前記電極間誘電体層の肉厚よりも厚肉で、該一層の前記電極間誘電体層の肉厚の20倍より薄くされてなり、
    前記第2誘電体部は、
    コンデンサ表層側で、前記電極積層部間に介在され、
    前記電極積層部は、前記第2誘電体部よりもコンデンサ表層側に位置する一部積層体と、前記第2誘電体部よりもコンデンサ裏側よりの残部積層体とからなり、前記一部積層体の静電容量を前記残部積層体の静電容量より小さくし、前記第2誘電体部の厚みを前記一部積層体の厚みより大きくし、
    前記ビア電極は、第1ビア電極と第2ビア電極とからなり
    前記第1誘電体部の側から、前記電極積層部における前記内部電極の前記第1電極層と前記第2電極層をそれぞれ貫通するよう形成されている
    コンデンサ。
  2. 請求項1に記載のコンデンサであって、
    前記第2誘電体部は、
    前記電極積層部の全体の肉厚に比して少なくとも5%の肉厚を有する
    コンデンサ。
  3. 請求項1または請求項2に記載のコンデンサであって、
    前記第2誘電体部の厚みは、コンデンサ全体の厚みの1/3以下とされている
    コンデンサ。
  4. 請求項1ないし請求項3いずれか記載のコンデンサであって、
    前記第2誘電体部は、内部電極により挟まれた誘電体層が複数積層されている
    コンデンサ。
  5. 請求項1ないし請求項4いずれか記載のコンデンサの前記ビア電極に導通するように、前記第1誘電体部の側で半導体素子を接続して備える半導体素子付きコンデンサ。
  6. 請求項1ないし請求項5いずれか記載のコンデンサの前記ビア電極に導通するように、前記第1誘電体部の側で電源線およびグランド線を含む配線を備えた配線基板を接続して備える配線基板一体型コンデンサ。
  7. 請求項1ないし請求項6いずれか記載のコンデンサの前記ビア電極に導通するように、前記第1誘電体部と反対側のコンデンサ表面で、電源線およびグランド線を含む配線を備えた基板が接続された基板一体型コンデンサ。
  8. 誘電体層を挟んで対向した内部電極を複数積層させた電極積層部を備え、該内部電極の積層方向のビア電極で前記内部電極を導通するようにしたコンデンサの製造方法であって、
    前記電極積層部における前記内部電極間に介在する一層の誘電体層の肉厚よりも厚肉の誘電材料により、第1誘電体部を形成する工程(1)と、
    前記内部電極を形成するよう、第1電極層と該電極層に対向する第2電極層となる内部電極形成材料を、前記誘電体層となる誘電材料を挟んで交互に積層しつつ、前記電極層積層部の一部となる一部積層体を形成すると共に、該一部積層体を前記第1誘電体部に重ねる工程(2)と、
    誘電体層となる誘電材料を、第2誘電体部として前記一部積層体に積層する工程(3)と、
    前記内部電極を形成するよう、第1電極層と該電極層に対向する第2電極層となる内部電極形成材料を、前記誘電体層となる誘電材料を挟んで交互に積層しつつ、前記電極層積層部の残部となる積層体を形成すると共に、該残部積層体を前記第2誘電体部に重ねる工程(4)と、
    前記積層した前記第1誘電体部と前記一部積層体と前記第2誘電体部と前記残部積層体において、前記一部積層体と前記残部積層体における積層状の前記第1電極層同士と前記第2電極層同士をそれぞれ貫通するまでの貫通孔を形成し、各貫通孔に導電性ペーストを充填する工程(5)とを有し、
    前記工程(2)〜(4)では、前記一部積層体の静電容量を前記残部積層体の静電容量より小さくし、前記第2誘電体部の厚みを前記一部積層体の厚みより大きくするようにされている
    コンデンサの製造方法。
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