この発明は、複数個の入力端子を用いて複数種類の放送信号を入力可能に構成されているテレビジョン受像機、セットトップボックス、ビデオカセットレコーダ、ハードディスクレコーダ、DVD(Digital Versatile Disc)レコーダ、ハードディスク+DVDレコーダ、ホームサーバなどの受信装置に適用することができる。また、そのような受信装置において使用可能な受信方法、プログラムに適用することができる。
この発明における受信装置は、アンテナ接続部と、RF(radio frequency)フロントエンドパック、PLL(phase-locked loop)およびデモジュレータなどとの間に配置されるハードウェア(以下、「スプリッタ」と称する)に関する部分に特徴を有しており、それ以外のハードウェアの基本部分は、従来の受信装置と同様の構成とされている。そこで、以下に記載するこの発明の実施形態では、本願の特徴を有するスプリッタに関する部分についてのみ、図面を参照して詳細に説明する。
この発明の一実施形態による受信装置は、衛星デジタル放送、地上デジタル放送、地上アナログ放送をそれぞれ処理可能な2つのユニバーサルフロントエンドパックを備え、各ユニバーサルフロントエンドパックにおいて、衛星デジタル放送、地上デジタル放送、地上アナログ放送を受信可能とされている。ここで、ユニバーサルフロントエンドパックとは、複数の放送信号を受信するチューナと復調部などによって構成されるもののことをいう。
図1は、この発明の一実施形態による受信装置のスプリッタに関する部分の構成の一例を示す。この受信装置は、スプリッタ部1、メインチューナ部3、サブチューナ部4、制御部5およびユーザインターフェース部6を備えている。
スプリッタ部1は、入力端子11,12、分波器13、切換器14,15,16、増幅器17,18、混合器19、分配器20、放送信号出力部21,22および制御信号入力部23などによって構成されている。
入力端子11は、衛星デジタル放送信号(以下、適宜、衛星信号と略する)の入力と、衛星信号と地上デジタル放送信号および/または地上アナログ放送信号(以下、適宜、地上信号と略する)とが混合された信号(以下、適宜、混合信号と称する)の入力に対応している。入力端子12は、地上信号の入力のみに対応している。例えば、衛星デジタル放送信号は、SHF(12GHz)帯を使用して送信され、地上デジタル放送信号は、UHF(440MHz〜770MHz)帯を使用して送信され、地上アナログ放送信号は、UHF帯とVHF(90MHz〜220MHz)帯とを使用して送信される。
入力端子11,12は、共に同じコネクタ形状を有している。例えば、入力端子11,12は、共に受信アンテナと接続された同軸ケーブルなどを接続可能なF型コネクタのレセプタクルで構成される。すなわち、衛星信号の入力に対応していない入力端子12に混合信号や衛星信号のみが供給されるアンテナ線を接続してしまうといったように、不適切な接続が物理的には可能となっている。なお、アンテナ線の接続とは、受信アンテナとの接続をいい、ケーブルなどを介する間接的な接続であってもよいし、直接的な接続であってもよい。
入力端子11から入力される信号は、分波器13に供給される。分波器13は、入力端子11から入力される信号を、衛星デジタル放送の帯域の信号(以下、適宜、衛星帯域信号と称する)と、地上デジタルおよび/または地上アナログ放送の帯域の信号(以下、適宜、地上帯域信号と称する)とに分波する。
切換器14は、制御信号入力部23を介して、後述する制御部5から供給される制御信号Aに基づき、切換器16を介して混合器19に供給される信号を、分波器13によって分波された地上帯域信号と、入力端子12から入力される信号とから選択的に切り換える。
増幅器17は、分波器13によって分波された衛星帯域信号を増幅して出力する。増幅器18は、切換器14によって選択された信号を増幅して出力する。
切換器15は、制御信号入力部23を介して制御部5から供給される制御信号Bに基づき、混合器19に供給される信号を、分波器13によって分波された衛星帯域信号と、増幅器17によって増幅された信号とから選択的に切り換える。
切換器16は、制御信号入力部23を介して制御部5から供給される制御信号Cに基づき、混合器19に供給される信号を、切換器14によって選択された信号と、増幅器18によって増幅された信号とから選択的に切り換える。
混合器19は、衛星帯域信号と地上帯域信号とを混合するものであり、切換器15によって選択された信号と切換器16によって選択された信号とを混合する。混合器19によって混合された信号は、分配器20に供給される。
分配器20は、混合器19によって混合された信号を分配する。なお、分配器20は、分岐器とすることもできる。分配器20によって分配された混合信号は、それぞれ放送信号出力部21,22から出力され、メインチューナ部3の放送信号入力部31およびサブチューナ部4の放送信号入力部41のそれぞれに供給される。
なお、この例では、混合器19によって混合された信号を、分配器20によって2分配し、メインチューナ部3とサブチューナ部4とに放送信号を供給しているが、チューナ部の数は、メインチューナ部3とサブチューナ部4との2つに限ったものではなく、1つであっても、3つ以上であってもよい。また、スプリッタ部1とメインチューナ部3、サブチューナ部4とを別々に構成せずに、一体的に構成してもよい。さらに、制御部5とスプリッタ部1、メインチューナ部3およびサブチューナ部4とを、別々に構成しているが、これらを一体的な構成としてもよい。
メインチューナ部3は、放送信号入力部31、分波器32、衛星デジタルチューナ33、衛星デジタル復調・復号部34、地上アナログ/デジタルチューナ35および地上デジタル復調・復号部36などによって構成されている。
スプリッタ部1の放送信号出力部21から放送信号入力部31に供給された信号は、分波器32に入力される。分波器32は、放送信号入力部31から供給された信号を衛星帯域信号と地上帯域信号とに分波して出力する。
分波器32によって分波された衛星帯域信号は、衛星デジタルチューナ33に供給される。衛星デジタルチューナ33は、分波器32から供給された衛星帯域信号から、選択されている衛星デジタル放送のチャンネルの選局、すなわち周波数選択を行う。衛星デジタルチューナ33で選局された信号は、衛星デジタル復調・復号部34に供給される。
衛星デジタル復調・復号部34は、衛星デジタルチューナ33から供給された信号に対して、8PSK(Phase Shift Keying)、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying)などの復調・復号、TMCC(Transmission and Multiplexing Configuration Control)復号、デインタリーブ、フレーム分離、リードソロモン復号などの処理を施して、衛星デジタル放送のトランスポートストリーム(TS)を復号する。衛星デジタル復調・復号部34で復号されたトランスポートストリームは、メインチューナ部3から出力される。
分波器32によって分波された地上帯域信号は、地上アナログ/デジタルチューナ35に供給される。地上アナログ/デジタルチューナ35は、分波器32から供給された地上帯域信号が地上アナログ信号である場合には、選択されている地上アナログ放送のチャンネルの選局、すなわち周波数選択を行う。この地上アナログ/デジタルチューナ35で選局された信号は、地上アナログ放送のビデオ・サウンド(V・S)信号として、メインチューナ部3から出力される。
分波器32から供給された地上帯域信号が地上デジタル信号である場合には、地上アナログ/デジタルチューナ35は、選択されている地上デジタル放送のチャンネルの選局、すなわち周波数選択を行う。この地上アナログ/デジタルチューナ35で選局された信号は、地上デジタル復調・復号部36に供給される。
地上デジタル復調・復号部36は、地上アナログ/デジタルチューナ35から供給された信号に対して、64QAM(Quadrature Amplitude Modulation)、16QAMなどの復調・復号、TMCC復号、デインタリーブ、階層処理、エネルギー逆拡散などの処理を施して、地上デジタル放送のトランスポートストリーム(TS)を復号する。地上デジタル復調・復号部36で復号されたトランスポートストリームは、メインチューナ部3から出力される。
サブチューナ部4は、放送信号入力部41、分波器42、衛星デジタルチューナ43、衛星デジタル復調・復号部44、地上アナログ/デジタルチューナ45および地上デジタル復調・復号部46などによって構成されている。サブチューナ部4は、上述したメインチューナ部3とほぼ同様の構成および動作をする。
すなわち、サブチューナ部4を構成する放送信号入力部41、分波器42、衛星デジタルチューナ43、衛星デジタル復調・復号部44、地上アナログ/デジタルチューナ45および地上デジタル復調・復号部46のそれぞれは、上述したメインチューナ部3を構成する放送信号入力部31、分波器32、衛星デジタルチューナ33、衛星デジタル復調・復号部34、地上アナログ/デジタルチューナ35および地上デジタル復調・復号部36とそれぞれ同様の構成および動作をする。そのため、ここではサブチューナ部4の説明は省略する。
メインチューナ部3は、判定信号出力部37を介して各放送信号の受信状態を判定するための判定信号を制御部5に供給する。例えば、図示するように、衛星デジタル放送に関する判定信号は、衛星デジタルチューナ33から制御部5に供給され、地上アナログ放送および地上デジタル放送に関する判定信号は、地上アナログ/デジタルチューナ35から制御部5に供給される。
なお、メインチューナ部3とサブチューナ部4には分配器20によって分配された信号が供給されるため、これら判定信号は、サブチューナ部4から制御部5に供給する構成であってもよい。また、正確性を高めるために、メインチューナ部3とサブチューナ部4の両方から供給する構成としてもよい。なお、これら判定信号に関しては、後述する。
制御部5は、受信装置の全体または一部の動作を制御する。この例では、この制御部5による制御は、ソフトウェアを利用して実現される。すなわち、制御部5は、マイクロコンピュータなどのコンピュータ装置によって構成されており、図示しないROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などの記憶部を利用してプログラムを読み込み実行することによって、プログラムの処理に基づき受信装置の各部の動作を制御する。記憶部には、プログラムによる各種処理において使用される各種情報も記憶される。なお、このプログラムおよび各種情報は、ハードディスクなどの記録部に記録されてもよい。
図示しない外部記憶装置を用いて、制御部5が実行可能なプログラム、プログラムファイルなどのデータを、着脱自在なDVD(digital versatile disc)、メモリカードなどの外部ストレージから取得可能としてもよい。また、これらデータを、インターネットなどのネットワークを介して取得可能に構成してもよいし、放送信号中から取得可能に構成してもよい。なお、制御部5による制御は、ソフトウェアに限らず、ハードウェアによって実現してもよい。
制御部5は、ユーザインターフェース部6と接続されており、ユーザがユーザインターフェース部6を用いて明示的にアンテナ線の接続設定、増幅器17のオン/オフの設定および増幅器18のオン/オフの設定などをそれぞれ行えるようになっている。これらユーザによる設定情報は、例えば上述した記憶部に記憶され、制御部5は、この記憶されている設定情報に基づき制御信号A,B,Cを生成する。
ここでまず、アンテナ線の接続設定について説明する。ユーザは、アンテナ線の接続設定として、1軸によって衛星信号と地上信号とを入力、2軸によって衛星信号と地上信号とを入力、1軸によって衛星信号のみを入力、1軸によって地上信号のみを入力の4つから選択的に設定可能とされている。
1軸によって衛星信号と地上信号とを入力する場合、すなわち、混合信号のアンテナ線による入力の場合には、ユーザは、混合信号のアンテナ線を入力端子11に接続する。この場合、スプリッタ部1の入力設定が混合入力設定とされる。混合入力設定では、混合入力軸である入力端子11から地上信号を取得するように切換器14が制御される。
2軸によって衛星信号と地上信号とを受信装置に入力する場合、すなわち、衛星信号のアンテナ線と地上信号のアンテナ線とによって入力する場合には、ユーザは、衛星信号のアンテナ線を入力端子11に接続し、地上信号のアンテナ線を入力端子12に接続する。この場合、スプリッタ部1の入力設定が分離入力設定とされる。分離入力設定では、地上専用入力軸である入力端子12から地上信号を取得するように切換器14が制御される。
1軸によって衛星信号のみを受信装置に入力する場合、すなわち、衛星信号のアンテナ線のみによって入力する場合には、ユーザは、衛星信号のアンテナ線を入力端子11に接続する。この場合、スプリッタ部1の入力設定は、混合入力設定と分離入力設定のどちらでもよいが、設定と異なる接続が行われた場合であっても安全性が保たれるように例えば混合入力設定とされる。
1軸によって地上信号のみを受信装置に入力する場合、すなわち、地上信号のアンテナ線のみによって入力する場合には、ユーザは、地上信号のアンテナ線を入力端子12に接続する。この場合、スプリッタ部1の入力設定が分離入力設定とされる。地上信号のアンテナ線を入力端子11に接続し、スプリッタ部1の入力設定を混合入力とすることも考えられるが、この受信装置では、設定と異なる接続が行われた場合であっても安全性が保たれるように、この接続を接続エラーとしている。
図2は、混合入力設定、分離入力設定のそれぞれにおける切換器14の状態と信号経路とを示す。なお、この信号経路は、すべてのアンテナ線が適切に接続されていることを前提としている。地上信号は、混合入力設定では、図2Aに示すように、入力端子11、分波器13、切換器14,16などを経由して混合器19に供給され、分離入力設定では、図2Bに示すように、入力端子12、切換器14,16などを経由して混合器19に供給される。なお、衛星信号は、どちらの入力設定においても、入力端子11、分波器13、切換器15などを経由して混合器19に供給される。
すなわち、制御部5は、制御信号Aによって、分離入力設定とされている場合には、切換器16を介して混合器19に供給される信号が入力端子12から供給される信号となるように切換器14を制御し、混合入力設定とされている場合には、切換器16を介して混合器19に供給される信号が分波器13によって分波された地上帯域信号となるように切換器14を制御する。
このように、スプリッタ部1は、切換器14を操作することによって、地上信号を、入力端子11と入力端子12のいずれから取得するのかを設定することが可能となっている。なお、スプリッタ部1の入力設定は、ユーザによる手動的なアンテナ線の接続設定に限らず、自動的な設定も行われる。この自動的な設定については、後述する。
次に、増幅器17,18のオン/オフの設定について説明する。制御部5は、制御信号Bによって、衛星帯域信号用の増幅器17の設定がオンとなっている場合には、混合器19に供給される信号が増幅器17を通して増幅した信号となるように切換器15を制御し、増幅器17の設定がオフとなっている場合には、混合器19に供給される信号が分波器13によって分波された増幅されていない衛星帯域信号となるように切換器15を制御する。
また、制御部5は、制御信号Cによって、地上帯域信号用の増幅器18の設定がオンとなっている場合には、混合器19に供給される信号が増幅器18を通して増幅した信号となるように切換器16を制御し、増幅器18の設定がオフとなっている場合には、混合器19に供給される信号が切換器14から入力される増幅されていない信号となるように切換器16を制御する。
入力端子11から混合信号が入力された場合には、分波器13によって、スプリッタ部1の内部において衛星帯域信号と地上帯域信号とに分離される。この分離を行うことによって、衛星信号、地上信号のそれぞれに対して増幅器17,18により増幅するか否かを選択することができるようになる。すなわち、放送信号の入力環境に合わせて増幅するか否かを柔軟に選択することができ、地上信号と衛星信号とで入力レベルが異なるときなどに効果的に機能させることができる。
増幅器17,18のオン/オフの設定は、ユーザによる手動的なものに限らず、自動的な設定も行われる。この自動的な設定については、後述する。なお、アンテナレベルに応じて、アンテナレベルが高い放送信号は増幅せず、アンテナレベルが低い放送信号のみ増幅するように、増幅器17,18のオン/オフの設定を自動的に切り換えるようにしてもよい。この場合、アンテナレベルは、例えば、各放送用のチューナから制御部5に供給する。なお、増幅器17,18の部分は、増幅のみでなく、アンテナレベルが高すぎる場合に、入力される放送信号を減衰させる構成であってもよい。
ユーザインターフェース部6は、ユーザに対して各種情報を提示可能にすると共に、ユーザから操作信号を入力可能とするためのものである。受信装置での各処理中におけるユーザとのやり取りは、ユーザインターフェース部6を介して行われる。この例では、受信装置または受信装置に接続された装置が備える表示装置を利用し、GUI(graphical user interface)によって各種情報をユーザに提示可能とされ、リモートコントローラ用コマンダ(以下、リモコンと称する)を用いてユーザが受信装置を操作可能とされている。なお、ユーザインターフェース部6は、これに限ったものではなく、例えば、スピーカなどの音声出力装置を利用し、音声によってユーザに各種情報を提示したり、タッチパネルを用いてユーザが受信装置を操作可能とされていたりしてもよい。
一実施形態による受信装置は、制御部5が自動的にスプリッタ部1および他のハードウェア部分を制御して動作させ、各種測定を行うことにより、分離入力/混合入力の最適な設定の自動判定を行う機能(以下、自動判定と称する)を実現する。すなわち、制御部5は、判定信号出力部37を介してメインチューナ部3から供給される判定信号に基づいて、信号の入力状態を自動的に判定し、分離入力/混合入力を最適に切り換える。また、その結果得られた情報やその結果が得られる過程において得られた情報などを、ユーザインターフェース部6を用いてユーザに提示する機能を実現する。
これにより、一実施形態による受信装置は、ユーザによる間違った接続、望ましくない接続などの不適切な接続を検出した場合に、ユーザインターフェース部6を用いてユーザに確認を促すことができる。さらに、自動的に判定された結果がユーザの意図した接続となっているか否かをユーザに確認させることができる。
これら機能は、例えば、受信装置におけるアンテナ線の接続設定処理に適用される。図3は、この接続設定処理の一例を示すフローチャートである。接続設定処理は、例えば、ユーザがメニューなどから接続設定用の項目を選択することによって開始される。なお、初期状態では、電源を投入した際に自動的に接続設定処理が開始されるとしてもよい。
接続設定処理では、まず、自動判定による検出を行うか、手動による設定を行うかをユーザに選択させる(ステップS1)。図4は、このときユーザに提示される表示画面の一例を示す。表示画面51は、メッセージ部52と選択部53とから構成されており、ユーザは、自動判定による検出を行うか、手動による設定を行うかを、選択部53の選択項目から選択する。図示した例では、「自動で検出する」、すなわち自動判定による検出を行う方の項目が選択されている。なお、メッセージ部52に表示されているように、ユーザは、選択する前にあらかじめアンテナ線を接続しておく必要がある。
ステップS1において自動判定による検出が選択されたと判定されると、自動判定&結果提示処理によって、アンテナ線の接続の確認とユーザへの確認結果の提示がなされ、再設定するか否かをユーザに選択させる(ステップS3)。なお、自動判定&結果提示処理の詳細については後述する。
図5は、アンテナ線の接続の確認をしている際に、ユーザに提示される表示画面の一例を示す。表示画面51には、アンテナ線の接続を確認中である旨と進行状況とが表示されている。
ここで、確認結果の種類について説明する。一実施形態による受信装置では、後述する自動判定&結果提示処理によって、最適な入力が図6に示すケース1〜6のいずれであるかが判定される。ユーザへの確認結果の提示は、この判定結果に応じて行われる。図7〜図12は、ケース1〜6のそれぞれに対応する確認結果の表示画面の例である。図6〜図12に示すBS/110度CS端子は、入力端子11に対応し、VHF/UHF端子は、入力端子12に対応する。なお、図6に示す自動判定の結果の選択肢は、あくまで一例であり、ケース1〜6のみに限定されるものではない。
ケース1は、入力端子11と入力端子12のそれぞれから、衛星信号と地上信号が検出された場合である。この場合、図7に示すように、表示画面51のメッセージ部541には、入力端子11,12の接続が共に確認され、衛星信号と地上信号の両方が検出された旨が表示される。また、メッセージ部541には、再設定するか否かを選択させる旨の表示がされており、再設定するか否かを選択部55の選択項目から選択可能とされている。図示した例では、「はい」、すなわち再設定する方の項目が選択されている。
ケース2は、入力端子12から地上信号のみが検出された場合である。この場合、図8に示すように、表示画面51のメッセージ部542には、入力端子12の接続のみが確認され、地上信号のみが検出された旨が表示される。また、ケース1と同様に、再設定するか否かが選択可能とされている。
ケース3は、入力端子11のみから衛星信号と地上信号の両方が検出された場合である。この場合、図9に示すように、表示画面51のメッセージ部543には、入力端子11の接続のみが確認され、衛星信号と地上信号の両方が検出された旨が表示される。また、ケース1と同様に、再設定するか否かが選択可能とされている。
ケース4は、入力端子11から地上信号のみが検出された場合である。この場合、図10に示すように、表示画面51のメッセージ部544には、入力端子11の接続のみが確認され、地上信号のみが検出された旨が表示される。また、地上信号の入力の間違い(逆接続)による接続エラーと判定し、接続エラーである旨が表示される。なお、この場合、接続エラーであるため、強制的に再設定を行わなければならないようになっている。
ケース5は、入力端子11から衛星信号のみが検出された場合である。この場合、図11に示すように、表示画面51のメッセージ部545には、入力端子11の接続のみが確認され、衛星信号のみが検出された旨が表示される。また、ケース1と同様に、再設定するか否かが選択可能とされている。
ケース6は、入力端子11,12のいずれからも衛星信号、地上信号のいずれも検出されなかった場合である。この場合、図12に示すように、表示画面51のメッセージ部546には、入力端子11,12のいずれの接続も確認されず、衛星信号と地上信号とが共に検出されなかった旨が表示される。また、放送信号の未検出による接続エラーと判定し、接続エラーである旨が表示される。なお、この場合、ケース4と同様に、強制的に再設定を行うようにしている。
なお、一実施形態では、ケース4とケース6であった場合に、誤接続もしくは望ましくない接続であるとして接続エラーとしているが、接続エラーとする条件は、これに限ったものではない。
接続設定処理では、ステップS3において、このようなユーザへの確認結果の提示を行い、再設定が選択されたと判定されると、ステップS1に処理が戻される。また、ステップS3において再設定が選択されなかったと判定されると、接続設定処理が終了する。
ステップS1において手動による設定が選択されたと判定された場合には、ユーザにアンテナ線の接続設定をアンテナ種類から選択させ、選択されたアンテナ種類に基づきスプリッタ部1の入力設定を切り換え(ステップS5)、接続設定処理を終了する。
図13は、アンテナ線の接続設定をユーザに選択させる際に提示される表示画面の一例を示す。表示画面51のメッセージ部56には、ユーザにアンテナ線の接続設定の選択を促す旨の表示がされており、選択部57に示されるアンテナ種類の項目から所望のものを選択可能とされている。ユーザには、ユーザにとって直感的な選択肢を提示することが好ましく、図示した例では、「地上と衛星を別々に接続」、「地上と衛星を混合して接続」、「地上のみを接続」、「衛星のみを接続」という選択肢が提示されている。また、この例では、「地上と衛星を別々に接続」の項目が選択されている。
ここで、上述した自動判定&結果提示処理について詳細に説明する。図14は、自動判定&結果提示処理の一例を示すフローチャートである。自動判定&結果提示処理が開始されると、まず、アンテナ接続を判定する際に参照される結果格納変数が初期化される(ステップS11)。この例では、結果格納変数として、「地上信号」、「地上信号検出IF」、「衛星信号」および「衛星信号検出IF」の4種類を使用している。
「地上信号」は、地上信号の検出状態を示すものであり、「地上信号検出IF」は、検出された地上信号のIF(Intermediate Frequency)の種類を示すものである。「衛星信号」は、衛星信号の検出状態を示すものであり、「衛星信号検出IF」は、検出された衛星信号のIFを示すものである。初期化によって、「地上信号」および「衛星信号」が共に「未検出」とされ、「地上信号検出IF」および「衛星信号検出IF」が共に「不明」とされる。
ステップS11において結果格納変数が初期化されると、地上アナログ信号検出処理が行われる(ステップS12)。地上アナログ信号検出処理では、地上アナログ信号の検出と、検出された地上アナログ信号のIFの判定とが行われる。なお、地上アナログ信号検出処理の詳細については、後述する。
ステップS12において地上アナログ信号検出処理が行われると、地上アナログ信号検出処理の結果に基づき、地上アナログ信号に関する検出結果の判定が行われる(ステップS13)。
ステップS13において地上アナログ信号が検出され、且つ検出された地上アナログ信号のIFが確定されたと判定されると、「地上信号」が「検出」とされ、「地上信号検出IF」が地上アナログ信号検出処理での判定結果、すなわち「地上専用IF」か「混合IF」とされる(ステップS14)。ステップS14において結果格納変数が更新されると、ステップS20に処理が進められる。
このように、この例では、自動判定および結果の提示において、地上波のアナログとデジタルとを区別していないため、地上アナログ信号に関する判定が確定した場合には、地上デジタル信号検出処理のルーチンがスキップされる。これによって、自動判定に要する時間を短縮することができる。また、現在、地上アナログ放送が主流であるため、地上アナログ信号検出処理を地上デジタル信号検出処理よりも先に行う順序となっているが、地上デジタル放送の方が主流となった場合には、処理の順序を入れ替えることによって、同様の効果を得ることができる。
ステップS13において地上アナログ信号が検出され、検出された地上アナログ放送信号のIFが不明であると判定されると、「地上信号」のみが「検出」とされる(ステップS15)。ステップS15において結果格納変数が更新されると、ステップS16に処理が進められる。
また、ステップS13において地上アナログ信号が検出されなかったと判定されると、ステップS16に処理が進められる。
ステップS16では、地上デジタル信号検出処理が行われる。地上デジタル信号検出処理では、地上デジタル信号の検出と、検出された地上デジタル信号のIFの判定とが行われる。なお、地上デジタル信号検出処理の詳細については、後述する。
ステップS16において地上デジタル信号検出処理が行われると、地上デジタル信号検出処理の結果に基づき、地上デジタル信号に関する検出結果の判定が行われる(ステップS17)。
ステップS17において地上デジタル信号が検出され、且つ検出された地上デジタル信号のIFが確定されたと判定されると、「地上信号」が「検出」とされ、「地上信号検出IF」が地上デジタル信号検出処理での判定結果、すなわち「地上専用IF」か「混合IF」とされる(ステップS18)。ステップS18において結果格納変数が更新されると、ステップS20に処理が進められる。
ステップS17において地上デジタル信号が検出され、検出された地上デジタル放送信号のIFが不明であると判定されると、「地上信号」のみが「検出」とされる(ステップS19)。ステップS19において結果格納変数が更新されると、ステップS20に処理が進められる。
また、ステップS17において地上デジタル信号が検出されなかったと判定されると、ステップS20に処理が進められる。
ステップS20では、衛星信号検出処理が行われる。衛星信号検出処理では、衛星信号の検出と、検出された衛星信号のIFの判定とが行われる。図1に示したスプリッタ部1の構成では、分離入力設定とするか混合入力設定とするかの自動判定のためだけであれば、本質的には衛星信号検出処理を省略することができる。しかしながら、この例では、推定されたアンテナ線の接続形態、信号検出の結果および望ましくない接続がされていた場合に、接続の再確認のアドバイスがユーザに提示されるようにするために、衛星信号検出処理も行う。なお、衛星信号検出処理の詳細については、後述する。
ステップS20において衛星信号検出処理が行われると、衛星信号検出処理の結果に基づき、衛星信号に関する検出結果の判定が行われる(ステップS21)。
ステップS21において衛星信号が検出されたと判定されると、「衛星信号」が「検出」とされ、「衛星信号検出IF」が衛星信号検出処理での判定結果、すなわち「混合IF」とされる(ステップS22)。この例では、処理の簡略化のため、衛星信号が検出されると、「衛星信号検出IF」を「混合IF」としている。ステップS22において結果格納変数が更新されると、ステップS23に処理が進められる。
また、ステップS21において衛星信号が検出されなかったと判定されると、ステップS23に処理が進められる。
ステップS23では、結果格納変数に基づき、接続状態が上述したケース1〜6のいずれに対応するかが判定され、判定結果に応じてアンテナ接続(1軸、2軸)の設定が適切に行われる。また、上述したように、判定結果に応じて、接続確認の結果がユーザに提示され、自動判定&結果提示処理が終了する。
図15は、結果格納変数とケース1〜6との対応関係を示す。地上信号なし、IFが不明、且つ衛星信号なしの場合、すなわち、「地上信号」および「衛星信号」が共に「未検出」であり、「地上信号検出IF」および「衛星信号検出IF」が共に「不明」である場合には、ケース6と判定され、検出信号がない旨のエラー表示がなされる。
地上信号なし、IFが不明、且つ衛星信号あり、混合IFで検出の場合、すなわち、結果格納変数の「地上信号」が「未検出」であり、「地上信号検出IF」が「不明」であり、「衛星信号」が「検出」であり、「地上信号検出IF」が「混合IF」である場合には、ケース5と判定される。この場合、衛星信号のみが入力されるように、分離入力設定とされる。
地上信号あり、地上専用IFで検出、且つ衛星信号なしの場合、すなわち、結果格納変数の「地上信号」が「検出」であり、「地上信号検出IF」が「地上専用IF」であり、「衛星信号」が「未検出」であり、「衛星信号検出IF」が「不明」である場合には、ケース2と判定される。この場合、地上信号のみが入力されるように、分離入力設定とされる。
地上信号あり、地上専用IFで検出、且つ衛星信号あり、混合IFで検出の場合、すなわち、結果格納変数の「地上信号」が「検出」であり、「地上信号検出IF」が「地上専用IF」であり、「衛星信号」が「検出」であり、「衛星信号検出IF」が「混合IF」である場合には、ケース1と判定される。この場合、地上信号と衛星信号とが別々に入力されるように、分離入力の設定とされる。
地上信号あり、混合IFで検出、且つ衛星信号なしの場合、すなわち、結果格納変数の「地上信号」が「検出」であり、「地上信号検出IF」が「混合IF」であり、「衛星信号」が「未検出」であり、「衛星信号検出IF」が「不明」である場合には、ケース4と判定され、地上信号を混合側に接続している旨のエラー表示がなされる。
地上信号あり、混合IFで検出、且つ衛星信号あり、混合IFで検出の場合、すなわち、結果格納変数の「地上信号」および「衛星信号」が共に「検出」であり、「地上信号検出IF」および「衛星信号検出IF」が共に「混合IF」である場合には、ケース3と判定される。この場合、混合信号が入力されるように、混合入力の設定とされる。
地上信号あり、検出IFが判定不能、且つ衛星信号なしの場合、すなわち、結果格納変数の「地上信号」が「検出」であり、「衛星信号」が「未検出」であり、「地上信号検出IF」および「衛星信号検出IF」が共に「不明」である場合には、ケース2と判定される。この場合、地上信号のIFが自動的に検出できなかったので、地上専用IFで検出された方から地上信号が入力されるように分離入力の設定とされる。
地上信号あり、検出IFが判定不能、且つ衛星信号あり、混合IFで検出の場合、すなわち、結果格納変数の「地上信号」および「衛星信号」が「検出」であり、「地上信号検出IF」が「不明」であり、「衛星信号検出IF」が「混合IF」である場合には、ケース1と判定される。この場合、地上信号のIFが自動的に検出できなかったので、地上専用IFで検出された方から地上信号が入力されるように分離入力の設定とされる。
ここで、上述した地上アナログ信号検出処理について詳細に説明する。地上アナログ信号検出処理では、地上信号用の増幅器18をオフとして、分離入力設定、混合入力設定のそれぞれにおいて選局を試みる。その結果、片方だけがロックした場合は、分離入力設定および混合入力設定のうち、ロックした方に入力設定を確定する。分離入力設定および混合入力設定の両方がロックしたら、双方の信号レベルを比較し、信号レベルの強い方に入力設定を確定する。信号レベルが同じ程度のチャンネルが所定数以上となったら、地上アナログ信号の検出IFを不明とみなす。
図16は、地上アナログ信号検出処理の一例を示すフローチャートである。地上アナログ信号検出処理では、まず、準備作業として、カウンタ変数である「有意差なしCh数」が0(ゼロ)とされ、さらに、地上信号用の増幅器18がオフに設定される。また、スキャン対象のチャンネルの設定と、スキャンする順序の設定とが行われる(ステップS31)。例えば、スキャンは、効率よく検出するために、VHFの1チャンネルから12チャンネル、UHFの13チャンネルから62チャンネルの順に行われる。なお、地上アナログ放送信号の検出が安定的に行えるのであれば、スキャン対象のチャンネルおよびスキャンの順序は、特に限定されるものではない。
ステップS31において増幅器18をオフに設定するのは、地上アナログ信号検出処理では、常に地上信号用の増幅器18を無効にして判定を行うこととしているためである。これによって、強電界下での増幅器18によるひずみを抑えることができる。
ステップS31において準備作業が終了したら、次のスキャン対象チャンネル、すなわちスキャンしていないチャンネルが存在するか否かが判定される(ステップS32)。ステップS32において、次のスキャン対象チャンネルがあると判定されると、そのチャンネルに対して、ステップS33以降の処理が行われる。
ステップS33では、スプリッタ部1が分離入力設定とされる。例えば、この分離入力設定後、動作が安定するまでの所定時間待機される。
ステップS33において分離入力設定とされたら、地上アナログ放送のスキャン対象チャンネルの選局が行われ、選局による結果が分離入力設定での結果として記憶される(ステップS34)。選局の際に、スキャン対象チャンネルの信号があると判定された場合には、「分離:信号あり」を示す情報が判定信号(地上)としてメインチューナ部3から制御部5に供給され、記憶部に記憶される。スキャン対象チャンネルの信号がないと判定された場合には、「分離:信号なし」を示す情報が判定信号(地上)としてメインチューナ部3から制御部5に供給され、記憶部に記憶される。
ステップS34において分離入力設定での選局による結果が記憶されたら、スプリッタ部1が混合入力設定とされる(ステップS35)。例えば、この混合入力設定後、所定時間待機される。
ステップS35において混合入力設定とされたら、地上アナログ放送のスキャン対象チャンネルの選局が行われ、選局による結果が混合入力設定での結果として記憶される(ステップS36)。選局の際に、スキャン対象チャンネルの信号があると判定された場合には、「混合:信号あり」を示す情報が判定信号(地上)としてメインチューナ部3から制御部5に供給され、記憶部に記憶される。スキャン対象チャンネルの信号がないと判定された場合には、「混合:信号なし」を示す情報が判定信号(地上)としてメインチューナ部3から制御部5に供給され、記憶部に記憶される。
また、ステップS34,S36のそれぞれにおいて、選局完了から動作が安定するまでの所定時間待機した後に、IFAGC値とRFAGC値とが読み取られ、判定信号(地上)としてメインチューナ部3から制御部5に供給され、記憶部に記憶される。この分離入力設定および混合入力設定でのIFAGC値とRFAGC値は、後述する処理において使用される。
ステップS34,S36における信号あり/信号なしの判定は、例えば、受信装置が備えるAFT(Automatic Fine Tuning)機能を利用することによって誤検出を防止し、より正確に行うことができる。具体的には、以下の3つがあげられる。
1.AFT動作によって信号ありと判定された場合
2.地上用の増幅器18がオフの条件においてIFAGCの値が所定値よりも小さい場合
3.AFT動作でのFine Data、すなわち確定した周波数のずれが一定範囲内であること、つまり、AFT動作がセンター周波数から変動範囲(例えば±2MHz)よりも所定の値だけ狭い範囲内(例えば、±1MHzの範囲内)で完了した場合
このように、AFT機能を利用することにより、通常の選局の際に取得可能な情報によって信号あり/信号なしの判定を正確に行うことができる。なお、ステップS34,S36における信号の判定方法は、特に限定されるものではなく、単なるキャリアの検出や上述した3つの条件のいずれか1つまたは2つを満たすものであってもよいが、正確性を高めるために、これら3つの条件をすべて満たした場合に信号が検出されたと判定することが好ましい。特に3番目の条件では、地上アナログ信号の信号の有無の判定の際に、下(または上)隣接チャンネルに地上デジタル信号があった場合に、その信号を引き込んでしまい、正しく判定できなくなることを防止することができる。
ステップS36において混合入力設定での結果が記憶されたら、記憶された結果に基づき、分離入力設定と混合入力設定での、信号あり/信号なしによる判定が行われる(ステップS37)。ステップS37において、分離入力設定および混合入力設定が、共に「信号なし」であると判定されると、ステップS32に処理が戻される。
ステップS37において分離入力設定が「信号あり」であり、混合入力設定が「信号なし」であると判定されると、地上信号用の増幅器18がこの処理を行う前の状態(例えばユーザ設定)に戻される。また、地上アナログ放送信号が検出され、地上アナログ放送信号の検出IFが地上専用IFであるとして(ステップS38)、地上アナログ信号検出処理を終了する。
ステップS37において分離入力設定が「信号なし」であり、混合入力設定が「信号あり」であると判定されると、ステップS38と同様に、地上信号用の増幅器18の状態が戻される。また、地上アナログ放送信号が検出され、地上アナログ放送信号の検出IFが混合IFであるとして(ステップS39)、地上アナログ信号検出処理を終了する。
ステップS37において分離入力設定および混合入力設定が、共に「信号あり」であると判定されると、分離入力設定および混合入力設定でのそれぞれの信号に有意差があるか否かが判定される(ステップS40)。
この判定は、上述したステップS34,S36のそれぞれにおいて記憶した、分離入力設定および混合入力設定のそれぞれのRFAGC値とIFAGC値とを使用して、有意差があるか否かと、どちらが優勢なのかを判定する。これによって、通常の選局の際に取得可能な情報によって有意差があるか否かを正確に判定できる。
例えば、分離入力設定でのRFAGC値と混合入力設定でのRFAGC値との差を抽出し、差の絶対値が所定値よりも大きい場合には有意差があるとし、小さい場合には有意差がないとする。有意差がある場合には、RFAGC値によってどちらが優勢かを判定する。さらに、分離入力設定でのIFAGC値と混合入力設定でのIFAGC値との差を抽出し、差の絶対値が所定値よりも大きい場合には有意差があるとし、小さい場合には有意差がないとする。有意差がある場合には、IFAGC値によってどちらが優勢かを判定する。
具体的には、まず、第1のRFAGCの閾値、RFAGC_THR_1=0x69(0.4V相当)によって、RFAGCに有意差があるか否かを確認し、有意差が生じなければ、IFAGCの閾値、IFAGC_THR=0x2F(0.2V相当)によって、IFAGCに有意差があるか否かを確認し、それでも有意差が生じなければ、第2のRFAGCの閾値、RFAGC_THR_2=0x35(0.2V相当)によって、RFAGCに有意差があるか否かを確認する。いずれかの確認によって有意差が生じた場合には、有意差ありとする。
なお、ステップS40における判定処理は、互いの信号レベルが比較できるのであれば、このようなRFAGC値とIFAGC値とを利用するものに限定されるものではない。
ステップS40において有意差があり、分離入力設定の方が優勢であると判定されると、ステップS38以降の処理が行われる。また、ステップS40において、有意差があり、混合入力の方が優勢であると判定されると、ステップS39以降の処理が行われる。
スプリッタ部1の地上信号分離特性・性能により、分離入力設定および混合入力設定の双方において「信号あり」のチャンネルにおいて、例えば、強電界環境下や同一信号源から分配された2本のアンテナ線が接続されている場合、レベルの飽和などによって有意差が生じず、どちらの設定がよりレベルが高いかを決定しにくいことがある。そこで、この地上アナログ信号検出処理および後述する地上デジタル信号検出処理では、そのようなチャンネルが所定数に達した場合には、それ以上処理を繰り返しても有意差は生じないと判定し、それ以上の判定を省略するようにしている。これによって、このような場合での自動判定に要する時間を短縮化することができる。
すなわち、ステップS40において有意差がないと判定されると、「有意差なしCh数」がインクリメントされる(ステップS41)。ステップS41において「有意差なしCh数」がインクリメントされたら、「有意差なしCh数」が所定数以上である否かが判定される(ステップS44)。なお、図示した例では、所定数を5としているが、所定数は、これに限ったものではない。
このように信号レベルに有意差がない場合には、分離設定入力と混合入力設定とのどちらを選択してもよいところだが、混合入力用の入力端子12には、衛星コンバータのための電圧が供給されることがあるため、安全性を考慮して、この例では、地上アナログ信号が地上専用の入力端子12側から入力されたものとみなす。すなわち、分離入力設定が選択される。これによって、このように信号レベルに有意差がない場合に、ユーザに地上専用の入力端子12に接続するように、または接続されていることを確認するように提示することができる。なお、この入力設定の選択およびユーザへの提示は、後述するデジタル信号検出処理についても同様とされる。
ステップS41において「有意差なしCh数」が所定数未満であると判定されると、ステップS32に処理が戻される。また、ステップS41において、「有意差なしCh数」が所定数以上であると判定されると、ステップS38と同様に、地上信号用の増幅器18の状態が戻される。また、地上アナログ放送信号が検出され、地上アナログ放送信号の検出IFが不明であるとして(ステップS43)、地上アナログ信号検出処理を終了する。
ステップS32において次のスキャン対象チャンネルがないと判定されると、「有意差なしCh数」が1以上である否かが判定される(ステップS44)。ステップS44において、「有意差なしCh数」が1以上であると判定されると、ステップS43以降の処理が行われる。また、ステップS44において、「有意差なしCh数」が1未満、つまり0(ゼロ)であると判定されると、ステップS38と同様に、地上信号用の増幅器18の状態が戻される。また、地上アナログ放送信号が未検出であり、地上アナログ放送信号の検出IFが不明であるとして(ステップS45)、地上アナログ信号検出処理を終了する。
ここで、上述した地上デジタル信号検出処理について詳細に説明する。地上デジタル信号検出処理では、地上信号用の増幅器18をオンとして、分離入力設定、混合入力設定のそれぞれにおいて選局を試みる。その結果、片方だけがロックした場合は、分離入力設定および混合入力設定のうち、ロックした方に入力設定を確定する。分離入力設定および混合入力設定の両方がロックしたら、双方の信号レベルを比較し、信号レベルの強い方に入力設定を確定する。信号レベルが同じ程度である場合には、地上信号用の増幅器18をオフとして、同様の処理を繰り返す。それでも、信号レベルが同じ程度であったチャンネルが所定数以上となったら、地上デジタル信号の検出IFを不明とみなす。
図17は、地上デジタル信号検出処理の一例を示すフローチャートである。地上デジタル信号検出処理では、まず、準備作業として、カウンタ変数である「有意差なしCh数」が0(ゼロ)とされ、さらに、スキャン対象のチャンネルの設定と、スキャンする順序の設定とが行われる(ステップS51)。例えば、スキャンは、効率よく検出するために、UHFの13チャンネルから62チャンネル、VHFの1チャンネルから12チャンネルの順に行われる。なお、地上デジタル放送信号の検出が安定的に行えるのであれば、スキャン対象のチャンネルおよびスキャンの順序は、特に限定されるものではない。
ステップS31において準備作業が終了したら、次のスキャン対象チャンネル、すなわちスキャンしていないチャンネルが存在するか否かが判定される(ステップS52)。ステップS52において、次のスキャン対象チャンネルがあると判定されると、そのチャンネルに対して、ステップS53以降の処理が行われる。
ステップS53では、地上信号用の増幅器18がオンに設定される。ステップS53において増幅器18がオンに設定されたら、スプリッタ部1が分離入力設定とされる(ステップS54)。例えば、この分離入力設定後、動作が安定するまでの所定時間待機される。
ステップS54において分離入力設定とされたら、地上デジタル放送のスキャン対象チャンネルの選局が行われ、選局による結果が分離入力設定での結果として記憶される(ステップS55)。選局の際に、スキャン対象チャンネルの信号があると判定された場合には、「分離:信号あり」を示す情報が判定信号(地上)としてメインチューナ部3から制御部5に供給され、記憶部に記憶される。スキャン対象チャンネルの信号がないと判定された場合には、「分離:信号なし」を示す情報が判定信号(地上)としてメインチューナ部3から制御部5に供給され、記憶部に記憶される。
ステップS55において分離入力設定での選局による結果が記憶されたら、スプリッタ部1が混合入力設定とされる(ステップS56)。例えば、この混合入力設定後、所定時間待機される。
ステップS56において混合入力設定とされたら、地上デジタル放送のスキャン対象チャンネルの選局が行われ、選局による結果が混合入力設定での結果として記憶される(ステップS57)。選局の際に、スキャン対象チャンネルの信号があると判定された場合には、「混合:信号あり」を示す情報が判定信号(地上)としてメインチューナ部3から制御部5に供給され、記憶部に記憶される。スキャン対象チャンネルの信号がないと判定された場合には、「混合:信号なし」を示す情報が判定信号(地上)としてメインチューナ部3から制御部5に供給され、記憶部に記憶される。
また、ステップS55,S57のそれぞれにおいて、選局完了から動作が安定するまでの所定時間待機した後に、IFAGC値が読み取られ、判定信号(地上)としてメインチューナ部3から制御部5に供給され、記憶部に記憶される。この際、増幅器18がオフの設定である場合にはCN値も読み取られ、同様に記憶部に記憶される。この分離入力設定および混合入力設定でのIFAGC値およびCN値は、後述する処理において使用される。
ステップS55,S57における信号あり/信号なしの判定は、例えば、地上デジタル放送信号のキャリア、すなわちOFDMのキャリアが検出された場合に信号があると判定し、検出されなかった場合に、信号がないとされる。このキャリアは、フロントエンドドライバからのLock/Unlock信号によって検出することができる。なお、ステップS55,S57における信号の判定方法は、このようなキャリアの検出のみに限定されるものではい。
ステップS57において混合入力設定での結果が記憶されたら、記憶された結果に基づき、分離入力設定と混合入力設定での、信号あり/信号なしによる判定が行われる(ステップS58)。ステップS58において、分離入力設定および混合入力設定が、共に「信号なし」であると判定されると、ステップS52に処理が戻される。
ステップS58において分離入力設定が「信号あり」であり、混合入力設定が「信号なし」であると判定されると、地上信号用の増幅器18がこの処理を行う前の状態(例えばユーザ設定)に戻される。また、地上デジタル放送信号が検出され、地上デジタル放送信号の検出IFが地上専用IFであるとして(ステップS59)、地上デジタル信号検出処理を終了する。
ステップS58において分離入力設定が「信号なし」であり、混合入力設定が「信号あり」であると判定されると、ステップS59と同様に、地上信号用の増幅器18の状態が戻される。また、地上デジタル放送信号が検出され、地上デジタル放送信号の検出IFが混合IFであるとして(ステップS60)、地上デジタル信号検出処理を終了する。
ステップS58において分離入力設定および混合入力設定が、共に「信号あり」であると判定されると、分離入力設定および混合入力設定でのそれぞれの信号に有意差があるか否かが判定される(ステップS61)。
この判定は、上述したステップS55,S57のそれぞれにおいて記憶した、分離入力設定および混合入力設定のそれぞれのIFAGC値とCN値とを使用して、有意差があるか否かと、どちらが優勢なのかを判定する。これによって、通常の選局の際に取得可能な情報によって有意差があるか否かを正確に判定できる。
例えば、分離入力設定でのIFAGC値と混合入力設定でのIFAGC値との差を抽出し、差の絶対値が所定値よりも大きい場合には有意差があるとし、小さい場合には有意差がないとする。有意差がある場合には、IFAGC値によってどちらが優勢かを判定する。さらに、分離入力設定でのCN値と混合入力設定でのCN値との差を抽出し、差の絶対値が所定値よりも大きい場合には有意差があるとし、小さい場合には有意差がないとする。有意差がある場合には、CN値によってどちらが優勢かを判定する。
なお、CN値による判定は、増幅器18がオフの設定である場合にのみ行うようにする。これは、増幅した場合にひずみによりCNレベルが逆転することがあり、それによる誤判定を避けるためである。
具体的には、増幅器18がオンの設定の場合には、IFAGCの閾値、IFAGC_THR=0x0a(0.2V相当)によって、IFAGCに有意差があるか否かを確認し、有意差が生じた場合には、有意差ありとする。また、増幅器18がオフの設定の場合には、IFAGCの閾値、IFAGC_THR=0x0a(0.2V相当)によって、IFAGCに有意差があるか否かを確認し、有意差が生じなければ、CN(Carrier to Noise)の閾値、CN_LEBEL_THR=0x3(3dB)によって、CNに有意差があるか否かを確認し、いずれかの確認によって有意差が生じた場合には、有意差ありとする。
なお、ステップS61における判定処理は、互いの信号レベルが比較できるのであれば、このようなIFAGC値とCN値とを利用するものに限定されるものではない。
ステップS61において有意差があり、分離入力設定の方が優勢であると判定されると、ステップS59以降の処理が行われる。また、ステップS61において、有意差があり、混合入力の方が優勢であると判定されると、ステップS60以降の処理が行われる。
ステップS61において有意差がないと判定されると、現在の増幅器18の設定の状態がオンであるかオフであるかが判定される(ステップS62)。ステップS62において増幅器18の設定がオンであると判定されると、増幅器18の設定をオフとし(ステップS66)、ステップS54以降の処理が繰り返される。
ステップS62において増幅器18の設定がオフであると判定されると、「有意差なしCh数」がインクリメントされる(ステップS63)。ステップS63において「有意差なしCh数」がインクリメントされたら、「有意差なしCh数」が所定数以上である否かが判定される(ステップS64)。図示した例では、所定数を5としているが、所定数は、これに限ったものではない。
ステップS64において「有意差なしCh数」が所定数未満であると判定されると、ステップS52に処理が戻される。また、ステップS64において、「有意差なしCh数」が所定数以上であると判定されると、ステップS59と同様に、地上信号用の増幅器18の状態が戻される。また、地上デジタル放送信号が検出され、地上デジタル放送信号の検出IFが不明であるとして(ステップS65)、地上デジタル信号検出処理を終了する。
ステップS52において次のスキャン対象チャンネルがないと判定されると、「有意差なしCh数」が1以上である否かが判定される(ステップS67)。ステップS67において、「有意差なしCh数」が1以上であると判定されると、ステップS65以降の処理が行われる。また、ステップS67において、「有意差なしCh数」が1未満、つまり0(ゼロ)であると判定されると、ステップS59と同様に、地上信号用の増幅器18の状態が戻される。また、地上デジタル放送信号が未検出であり、地上デジタル放送信号の検出IFが不明であるとして(ステップS68)、地上デジタル信号検出処理を終了する。
図18は、上述した衛星信号検出処理の一例を示すフローチャートである。衛星信号検出処理では、まず、準備作業として、スキャン対象のトランスポートストリーム(TS)と、スキャンする順序の設定とが行われる(ステップS71)。例えば、スキャンは、誤判定の確率を下げ、効率よく検出できるように、スプリッタ部1の分離特性、性能を考慮し、適切且つ安定性の高いTSを選定する。具体的には、日本国内では、BSのTSIDが0x40f2のTSと、BSのTSIDが0x40f1のTSと、BSの周波数の高い2つのトラポン(トランスポンダ)の各代表TSとの最大合計4TSを対象とすることによって、効率よく正確に衛星信号の有無を判定することができる。なお、衛星信号の検出が安定的に行えるのであれば、スキャン対象のTSおよびスキャンの順序は、特に限定されるものではない。
ステップS71において準備作業が終了したら、次のスキャンTS、すなわちスキャンしていないTSが存在するか否かが判定される(ステップS72)。ステップS72において、次のスキャン対象TSがあると判定されると、そのTSを対象として、ステップS73以降の処理が行われる。
ステップS73では、衛星放送のスキャン対象TSの選局が行われる。ステップS73において選局が行われたら、選局の結果、スキャン対象TSがあるか否かによって、信号あり/信号なしが判定される(ステップS74)。スキャン対象TSがあるか否かを示す情報は、判定信号(衛星)としてメインチューナ部3から制御部5に供給され、記憶部に記憶される。
例えば、TSがあるか否かは、Network TS からのLock/Unlockの通知によってLockが通知されている場合にはTSがあるとし、Unlockが通知されている場合には、TSがないと判定する。Network TSは、物理トラポンにロックでき、且つ対象TSのTSIDがTMCC(Transmission and Multiplexing Configuration Control)内のTSリストに記載されたときに、lockを通知するモジュールである。すなわち、ドライバがロックを検出しても、対象TSのTSIDがTMCCのリストに含まれていない場合には、Network TSは、Unlockを通知する。
このように判定することによって、Network TSの既存のAPI(Application Programming interface)をそのまま使用することができる。なお、信号の検出の有無だけであれば、物理トラポンにロックできたことをもって信号ありとしてもよい。また、信号のあり/信号なしの判定方法は、Network TSを利用することのみに限定されるものではない。例えば単に衛星信号のキャリアが検出されたか否かによって信号の有無を判定してもよい。
ステップS74においてスキャン対象TSの信号がないと判定されると、ステップS72に処理が戻される。ステップS74においてスキャン対象TSの信号があると判定されると、衛星信号が検出され、衛星信号の検出IFが混合であるとして(ステップS75)、衛星信号検出処理を終了する。
また、ステップS72において次のスキャン対象TSがないと判定されると、衛星信号が未検出であり、衛星信号の検出IFが不明であるとして(ステップS76)、衛星信号検出処理を終了する。
以上説明したように、一実施形態による受信装置では、混合受信環境において、アンテナアウトレットと受信装置とを1本のアンテナ線で接続できるようになり、アンテナ接続が簡略化され、利便性を高めることができる。
また、自動的に接続環境を判定し、判定結果に応じて最適な入力設定が行われるため、専門的な知識のないユーザであっても、最適な設定を行うことができる。また、自動的に行うことによって、ユーザの負担を軽減することができる。また、ユーザが分配器や分波器などの調達や接続を行う必要をなくすことができる。
ユーザが容易に入力設定を行うことができるため、サポートコストを低減することができる。例えば、電話などによる接続に関する質問を減らすことができる。質問があっても、接続設定処理に誘導させることによって自動的に入力設定を行うことができるため、ユーザに専門的なことを尋ねる必要がなくなる。
また、誤った接続、望ましくない接続などがされていることを検出した場合、その旨をユーザに通知し、再確認を促すことによって、誤接続が原因となる不都合、事故などの不利益状態を未然に防ぐことができる。特に、地上信号のみのアンテナ線をコンバータ用の電流が供給される混合信号用の入力端子に接続することを防止できる。
分離入力設定とする接続環境であっても、混合入力設定とする接続環境であっても、スプリッタ部1以降の構成は同様にすることができ、ハードウェア設計をシンプルにすることができ、受信装置の小型化などに寄与することができる。
この発明は、上述したこの発明の実施形態に限定されるものでは無く、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。例えば、上述した接続設定処理、自動判定&結果提示処理、地上アナログ信号検出処理、地上デジタル信号検出処理および衛星信号検出処理などの、受信装置が行う各処理内の順序は、図示したものに限定されるものではない。例えば、自動判定&結果提示処理内の地上アナログ信号検出処理、地上デジタル信号検出処理および衛星信号検出処理の順序を変更することも可能である。また、増幅器18のオン/オフの順番など、判定ルーチンを変更してもよい。
また、上述した一実施形態による受信装置は、衛星デジタル放送と地上デジタル/アナログ放送とが受信が可能な構成であったが、これに限らず、ケーブル・テレビ放送などを交えた他の組み合わせであってもよい。また、放送信号の入力は、入力端子11,12の2つに限らず、3つ以上の受信装置についても適用することができる。
また、上述した一実施形態では、衛星デジタルチューナ33、地上アナログ/デジタルチューナ35から制御部5に判定信号が供給されるものとして説明したが、判定信号は、衛星デジタル復調・復号部34,44、地上デジタル復調・復号部36,46から制御部5に供給する構成であってもよい。その場合、例えば、各放送の同期信号を判定信号とすることができる。
また、上述した説明において使用した閾値などの値は、記載した値に、特に限定されるものではない。