JP4654534B2 - 無電解複合ニッケルめっき液の自動分析・管理装置 - Google Patents
無電解複合ニッケルめっき液の自動分析・管理装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4654534B2 JP4654534B2 JP2001148561A JP2001148561A JP4654534B2 JP 4654534 B2 JP4654534 B2 JP 4654534B2 JP 2001148561 A JP2001148561 A JP 2001148561A JP 2001148561 A JP2001148561 A JP 2001148561A JP 4654534 B2 JP4654534 B2 JP 4654534B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- plating solution
- wavelength
- concentration
- analysis
- absorbance
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Images
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、無電解複合ニッケルめっき液の自動分析・管理装置に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
めっき品質に対する要求は年々高度化しており、めっき液の適切な管理は生産現場の大きな負担となっているが、他方では、価格競争に伴うコスト削減努力の一環としてめっき処理の自動化が進んでおり、この結果として、めっき液の自動管理装置は必要不可欠となりつつある。
【0003】
特に近年のめっき産業において、無電解めっき、特に無電解ニッケルめっきの需要は非常に多く、広範な用途に用いられているが、この無電解めっきは電気めっきに比べて非常に高い分析頻度が必要で、同時に補給頻度も極めて高いため、早くから自動分析と自動補給を組み合わせた液管理装置が開発され、実用化されている。そして、無電解めっき設備の重要な要素として幅広いユーザーに既に浸透している。
【0004】
上述の装置に関する内容は、「めっき浴の自動管理」(表面技術、Vol.34,No.6,1983)や「無電解めっき浴の自動管理」(実務表面技術、Vol.31,No.10,1984)などの文献で解説されている。
【0005】
めっき液には様々な成分が配合されているが、自動液管理装置で分析する成分としては、例えば、補給の目安とする成分やめっき品質を確保する上で最重要な成分など、極く限定された成分のみを分析していることが多く、全成分を分析するのは皆無と言える。
【0006】
もしも自動液管理装置では分析していないが、定期的に分析する必要があるような成分が存在する場合には、手分析を行い、必要があれば調整を行うことになるが、現実には、殆どの成分が全く分析及び管理はされていない。
【0007】
具体的に、無電解ニッケルめっき液の自動液管理装置においても、分析される成分としてはNi濃度とpHの二成分であることが多い。特に、無電解ニッケルめっきではNi濃度の管理は最重要である。無電解ニッケルめっきを行うと、Ni成分は消耗して徐々に濃度が低下するので、Ni濃度を既定値に維持するためにNi成分を逐次補給するが、このNi成分の補給量を目安にその他の成分も比例的に補給して使用するのが一般的な液管理手段となっている。言い換えると、全ての成分を理想的に管理するための基準としてNi濃度が利用されているわけで、液管理におけるNi濃度の分析精度は非常に重要だと言える。
【0008】
Ni濃度の分析方法としてはキレート滴定法や吸光分析法が一般的であるが、現在、無電解ニッケルめっきの自動液管理装置では吸光分析法が一般化している。吸光分析法は、機器分析による組成分析の手段としては歴史的に非常に古く、溶液の色を比較することで濃度を測定する比色法から、単色光に近い極めて狭い範囲の波長の光を用いて吸光度を測定する分光光度法まで様々な手法がある。その原理や解析手法などは、「機器分析ガイドブック」(社団法人日本分析化学会編、丸善(株)発行、平成8年7月10日)や「定量分析の実験と計算」(高木誠司著、共立出版(株)発行、初版、昭和36年11月5日)などで詳しく述べられている。具体的に無電解ニッケルめっき液中のNi濃度を吸光分析法で定量分析する場合には、可視光領域の緑色系の波長における光の吸収度合いを測定している。
【0009】
無電解ニッケルめっき液には各種錯化剤が配合されており、Ni成分はNi錯イオンとして存在し、そのNi錯体は緑色系の波長範囲の光を強く吸収し、この波長範囲での吸光度とNi濃度には良好な比例関係が存在する。この特徴を利用して高精度に定量分析が行われる。特定の波長範囲で測定を行うためには光を分光する必要があるが、装置の多くは、干渉フィルターで光を選択する手法を採用している。この他に、回折格子やプリズムなどを用いたモノクロメーターを使って単色光に極めて近い波長を得る方法もあるが、機構的に複雑になり、比較的高価になること、また、従来の液管理装置に要求されるNi濃度の分析精度において、それほど高い分光度合いは必要なかったことから、殆ど使われていない。
【0010】
無電解めっきに限定せずに、自動液管理装置や液分析方法として吸光分析法を用いる事例は非常に多く、特許調査においても多数の出願が認められる。
しかし、無電解複合めっき液の自動液管理装置における測定方法に関する提案事例は殆ど認められない。
【0011】
上述したように、既に無電解めっき液の自動液管理装置は実用化され、普及しているが、無電解複合めっき液を管理する目的で、既存の液管理装置を流用した場合、様々な問題が発生する。まず、無電解ニッケルめっき液の場合、既存の装置ではNi濃度の測定方法に吸光分析法を用いている場合が多い。その際、測定する光の波長はNi錯体に起因する光の吸収がある波長で測定が行われる。その多くは、可視光領域(VIS,波長範囲400〜750nm)における一つの波長における測定で行われている。
【0012】
しかし、複合めっき液を測定する場合には、入射する光は、直進して透過・吸収される光だけでなく、懸濁粒子によって反射される光や回折・散乱される光が発生する。この懸濁粒子による反射光や回折・散乱光は、見かけ上は透過光の減少となり、目的成分による吸光により透過光が減少したものとは区別できず、結果的に目的成分が多く存在するように誤認してしまう。また、この懸濁粒子の影響度合いは懸濁粒子の種類、粒度分布、濃度などで変化し、また、めっき液の様々な要因でも変化し得る。例えば、めっき液を特定した場合には、懸濁粒子の影響は比較的安定するので一定値を濁度による透過率の減少として見込んでおくことで、比較的精度よく成分濃度を測定することも可能である。しかし、無電解めっき液は使い込むことで組成が大きく変動するため、その影響を補正する必要があり、一定値で濁度の影響を見込んでおくことには限界がある。
【0013】
また、特異な不良が発生した場合、例えば、微粒子が特異的な飛び込み成分で分散不良を起こした場合は、濁度が著しく変化して目的成分の分析結果に大きな誤差を生じる。また、同様の不具合として、めっき液のサンプリング機構が不調で、均一に微粒子が分散しためっき液が採取できない状況が発生した場合にも、重大で致命的な分析誤差が発生する懸念がある。
【0014】
従来装置における分析手法のままでは、必要とする精度と信頼性を確保することは、実質的に不可能であると言える。このように無電解複合めっき液の分析における問題を解決する手段には幾つかあるが、それぞれ欠点がある。
【0015】
例えば、めっき液に分散する微粒子をフィルターレーションや沈降、遠心分離などで分離してから測定する方法は、分離を連続的又は断続的に行うための機構に困難さやコストデメリットが伴うほか、分析に伴いめっき液が浪費されることから液調整がかなり難しくなる。また、分析方法をキレート滴定法で分析する方法もあるが、装置がかなり複雑化し、加えて、精度確保にはかなり精密で信頼性の高いサンプリング装置が必要になる。しかも、分析による廃液が多量に発生したり、指示薬や滴定液などの分析用の消耗薬品が必要であるなど、吸光分析法と比較してマイナス因子がかなり多くある。
【0016】
従来の一般的な無電解めっき液の自動分析・管理装置のように、めっき液を分析用に加工したり、浪費することなく、極力そのままで測定し、めっき槽に戻す循環サイクルとすることが理想的な方法と言える。
【0017】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、無電解複合めっき液、特に無電解複合ニッケルめっき液中のNi濃度を分析する手法において、フッ素樹脂(PTFE、FEP、PFA、TFEオリゴマーなど)、フッ化黒鉛(CFx)、グラファイト、アルミナ(Al2O3)、炭化ケイ素(SiC)、窒化ホウ素(BN)などに代表される懸濁粒子が存在するため分析精度が低下する問題を解決し、実用上十分な分析精度を確保することができ、しかも安価な無電解複合めっき液の自動分析・管理装置を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するため、無電解めっき液に、フッ素樹脂微粒子をはじめ、フッ化黒鉛、グラファイト、アルミナ、炭化ケイ素、窒化ホウ素などの微粒子を分散させた無電解複合めっき液を自動分析し、更に、その分析結果に基づいて自動で補給や液調整を行う自動分析・管理装置において、必要な分析精度を確保するための分析方法及び装置上の各種工夫を提供するもので、上述したように、無電解複合めっき液中の析出金属イオンの濃度を吸光光度法により定量分析する上で障害となっている主な要因は、共析させるためにめっき液中に分散させている微粒子による濁りである。この問題を解決する方法として、特徴的な二つ以上の測定波長で吸光度測定を行い、得られた値を連立方程式により演算処理することで目的とする析出金属イオン濃度を必要な精度で導き出すことができること、更にこの方法に基づいて自動分析・管理装置を作り上げる中で、測定誤差を生ずる様々な問題が生じたが、この対策として特徴的なめっき液のサンプリング機構や測定条件、装置の動作条件などの工夫を行うことにより問題を解決できるとの知見が得られたことから、本発明をなすに至った。
【0019】
従って、本発明は、下記の無電解複合ニッケルめっき液の自動分析・管理装置を提供する。
請求項1:
無電解複合ニッケルめっき液を自動分析し、適切な液組成及び/又は使用条件に自動管理する無電解複合ニッケルめっき液の自動分析・管理装置であって、
分析セルにめっき液を導入するサンプリング経路の途中に、サンプリング配管の断面積よりも2倍以上の断面積を有する垂直方向に長いめっき液滞留部分を有し、そのめっき液滞留部分の入口を上部に設け、出口を下部に設けることにより、めっき液に抱き込まれてきた微細な泡を分析セル内に持ち込まないためのトラップ機構と、
自動でめっき液を分析セル内に導入した後、半値幅が1〜100nmの光を分光する干渉フィルターを有し、少なくとも二つ以上の異なる波長で、かつ測定波長の少なくとも一つの波長が半値幅1〜100nmに分光された波長で透過率又は吸光度を測定する機構と、
その測定値から目的とする濃度を演算処理により算出して結果を表示する機構とを備えており、
めっき液中のニッケル成分の液中濃度を吸光光度法により測定する手法として、
上記測定波長の組み合わせが、少なくとも一つの測定波長として250〜350nm又は450〜550nmの波長範囲を選択し、この波長と重複しないその他の測定波長として、その少なくとも一つの測定波長として350〜450nm又は550〜800nmの波長範囲を選択した組み合わせであり、
分析セル内にめっき液を自動で導入した後、透過率又は吸光度の測定を開始するまでに15秒以上の静置時間を確保するように測定タイムテーブルが設定され、
定期的に分析セル内に純水を導入して分析セル内を洗浄すると共に、セル内にこの純水を満たした状態で設定している測定波長において透過率又は吸光度の測定を行う機能を有し、その後同様の純水での測定を行うまでの時間内に実施されるめっき液での透過率又は吸光度の測定値に対してこれらの測定値を100%透過率又は吸光度ゼロの基準値として用いる
ことを特徴とする無電解複合ニッケルめっき液の自動分析・管理装置。
【0020】
【発明の実施の形態及び実施例】
本発明の無電解複合めっき液の自動分析・管理装置は、めっき液中の金属成分の液中濃度を吸光光度法により測定する手法として、自動でめっき液を分析セル内に導入した後、少なくとも二つ以上の異なる波長で透過率又は吸光度を測定する機構と、その測定値から目的とする濃度を演算処理により算出して結果を表示する機構とを備えているものである。
【0021】
ここで、本発明が対象とする無電解複合めっき液としては、無電解めっき液に水不溶性の複合材粒子を分散させたもので、無電解めっき液としては、次亜りん酸ナトリウム、ジメチルアミンボラン等のホウ素系還元剤などを還元剤に用いた無電解ニッケルめっき液、無電解ニッケル−コバルトめっき液、無電解コバルトめっき液、無電解銅めっき液などを例示することができる。また、複合材としては、フッ素樹脂(PTFE、FEP、PFA、TFEオリゴマーなど)、フッ化黒鉛(CFx)、グラファイト、アルミナ(Al2O3)、炭化ケイ素(SiC)、窒化ホウ素(BN)などが例示される。このような無電解複合めっき液として、公知の液組成のもの、市販浴を用いることができる。
【0022】
この場合、特に本発明は、無電解複合ニッケルめっき液中のニッケル成分の測定に好適に採用される。ここで、測定に供される無電解複合ニッケルめっき液組成は、限定されるものではないが、一例を挙げると、Niイオン濃度が1〜10g/L、特に3〜7g/L、フッ素樹脂等の複合材粒子が30g/L以下、特に10g/L以下で含まれるものが好適に用いられる。なお、複合材粒子の含有量の下限値は特に制限されないが、通常0.5g/L以上、特に1g/L以上である。その還元剤は次亜リン酸ナトリウム等の次亜リン酸塩であることが好ましく、その濃度が5〜50g/L、特に10〜30g/Lであり、まためっきの進行により次亜リン酸塩が酸化することによって生じる亜リン酸ナトリウム等の亜リン酸塩が0〜300g/L、特に0〜200g/Lの広い範囲で蓄積した無電解複合ニッケルめっき液に対して本発明法は有効に採用される。なお、この無電解複合ニッケルめっき液のpHは、通常3〜9、特に4〜8である。
【0023】
本発明においては、上記無電解複合めっき液中の金属成分、例えば無電解複合ニッケルめっき液の場合であればNi成分を分析するに際し、二つ以上の互いに異なる波長で透過率又は吸光度を測定する。即ち、無電解複合ニッケルめっき液の場合であれば、吸光度を測定する光の波長として、Ni濃度を測定する波長(例えば660nm)とそれよりも短い波長領域の特定範囲の波長(例えば520nm)での測定を組み合わせた方法を採用する。
【0024】
以下、還元剤として次亜りん酸ナトリウム、複合材粒子としてポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粒子を用いた無電解複合ニッケルめっき液(無電解Ni−P/PTFE複合めっき液)を代表例として、二つ以上の波長で測定する方法とその効果について説明する。
【0025】
図1〜3は、無電解Ni−P/PTFE複合めっき液として、上村工業(株)から市販されている商標名「ニムフロン」という無電解Ni−P/PTFE複合めっき薬品を用いて、Ni濃度やPTFE濃度を意図的に変更したサンプル液を作成し、それを吸光光度法で測定した際に得られた吸収パターンの代表例である。
【0026】
図1では、PTFE粒子をめっき液に与えるための薬品である「ニムフロンF」というスラリー状にしたPTFE溶液(固形分濃度約66wt%)を加えないめっき液において、Ni濃度を段階的に変更しためっき液で得られた吸収パターンをまとめたものである。ここにおいて、Ni濃度の増加と共に350〜450nm及び550〜800nmの波長範囲で吸光度が比例的に増加している。
【0027】
一方、図2は、Ni濃度0g/Lとして、ニムフロンF(スラリー状PTFE溶液)を段階的に濃度変更しためっき液で得られた吸収パターンをまとめたものである。PTFE濃度の増加と共に測定した全ての波長範囲において吸光度が比例的に増加しており、特に特徴的なのは短い波長になるにつれて吸光度の増加傾向が加速度的に増加していることである。
【0028】
図3は、Ni濃度5g/Lで一定として図2の場合と同じく、ニムフロンF(スラリー状PTFE溶液)を段階的に変更しためっき液で得られた吸収パターンをまとめたものである。図1で見られたようにNiに起因する吸収が350〜450nm及び550〜800nmの波長範囲で認められるが、PTFE濃度の増加と共に測定した全ての波長範囲において吸光度が比例的に増加しており、短い波長になるにつれて吸光度が加速度的に増加する特徴的な傾向も認められた。
【0029】
この図3の吸収パターンは、Ni濃度5g/Lの無電解めっき液の吸収パターンにPTFE濃度変化に伴う図2にあるような吸収パターンを合算した吸収パターンとして理解することができる。このことをより正確に把握するため、例として、400nmと520nmにおいて測定された吸光度について、Ni濃度又はニムフロンF濃度(又はPTFE濃度)に対しての関係でまとめたものが図4〜7である。これにより、吸光度の変化はNi濃度及びPTFE濃度の双方に対して極めて良好な比例関係があり、所謂、任意のNi濃度と粒子濃度における吸光度はめっき液中の金属イオン濃度及び分散粒子による濁度の合算として理解できることが確認された。そして、このことから事前に双方の特徴を把握するための測定(検量線作成)を行っておけば濁度の悪影響を回避して、目的とするNi濃度が測定可能となることが示唆された。
【0030】
しかし、無電解複合めっきにおいて、分散粒子の濃度やその濁度は事前の設定条件以外の要因、例えば、めっき液を使い込むことやサンプリングの状況などの様々な要因で変動するため、測定時においてある程度の正確さで随時把握して演算処理に反映させなければ誤差が大きくなる。この方法として、二つ以上の波長条件において測定された結果をもとに、二つの未知の値であるNi濃度と分散粒子の存在に由来する濁度を連立方程式を解くことで導き出すという本発明の基礎となる方法が必要となるわけである。
【0031】
そこで、図1〜7の測定結果を用いて、様々な測定波長の組み合わせによる検量線を作成し、任意のめっき液を想定した際の誤差の発生度合いを検討した。その結果、Ni濃度の変動や濁度の変動に対して必要な精度でNi濃度を算出することができる組み合わせとして、まず、二つの測定波長で測定を行う方法としては、第1波長として、Niの吸収がある350〜450nm又は550〜800nmの波長範囲、より好ましくは370〜430nm又は600〜770nm、最も好ましくは390〜410nm又は640〜740nmの波長範囲の中の任意の波長での測定と、第1波長とは重複しない第2波長として250〜350nm又は450〜550nmの波長範囲、より好ましくは275〜335nm又は480〜535nm、最も好ましくは300〜320nm又は500〜535nmの波長範囲の中の任意の波長での測定を組み合わせることが、誤差の発生を小さくできる波長の組み合わせであることがわかった。
【0032】
ここで、本発明においては、無電解複合めっき液の金属イオン、例えばニッケルイオン濃度を一定とし、複合材、例えばPTFE濃度の異なる複数種(好ましくは3種以上、より好ましくは4種以上)のめっき液について、第1波長WL1の吸光度A1と第2波長WL2の吸光度A2をそれぞれ測定し、吸光度A1とA2との関係から下記の関係式を求める(なお、A1>A2とする)。
y=αx+β
x:第2波長の吸光度A 2
y:第1波長の吸光度A 1
α,β:係数
【0033】
一方、上記無電解複合めっき液の金属イオン、例えばニッケルイオン濃度を変化させ、複合材、例えばPTFE濃度も種々変化させた複数種(好ましくは3種以上、より好ましくは6種以上)のめっき液について、同様に吸光度A1及びA2を測定し、K値と金属イオン濃度との関係から下記の関係式を求める。
M=γK−δ
M:金属イオン濃度
K:第1波長の吸光度−α×第2波長の吸光度
γ,δ:係数
【0034】
このようにして得られるK値と金属イオン濃度との関係式から、第1及び第2波長の吸光度を測定することにより、金属イオン濃度が求められるものである。
【0035】
合金系の複合めっき液の場合、さらに第1の金属イオンに対しこれと合金化する第2の金属イオンを加えた関係式を予め求めておくことで、これら金属イオン濃度が求められる。例えば第3の波長を設定し、第2の金属イオンによる吸光度への影響を加えた関係式として求めることができる。
【0036】
また、銅やコバルトの複合めっき液の場合は、ニッケルのときと同様に、銅やコバルトについて吸収のある波長と銅やコバルトについて吸収のない波長とを適宜選択することで、金属イオン濃度を精度良く分析できる。銅の場合、2価の銅イオンに変換することが好ましい。
【0037】
また、実際に装置を実用化する際に特定の波長で測定するために分光が必要となるが、その方法として干渉フィルターを用いるのが最も安価でシンプルな装置構造とすることができる。しかし、干渉フィルターを用いて分光を行う方法では分光精度が問題となり、分光された光はある程度波長に幅が生じる。これは干渉フィルターの波長の半値幅として表現され、品質の一つである。この半値幅が狭いものほど高価なフィルターとなることから、安価な装置を提供しようとすると半値幅の比較的広い干渉フィルターを選択できるかどうかが重要となる。そこで、本発明を実用化する上で、十分な分析精度を確保するために必要な干渉フィルターの品質として、半値幅がどの程度影響するかについても検討した。その結果、先に述べた二つの測定波長の範囲の中で、最も好ましい波長範囲の任意の波長を中心値とする干渉フィルターを想定すれば、半値幅100nm以下であれば分析誤差は許容できることがわかったが、好ましくは半値幅50nm以下、最も好ましくは20nm以下であることもわかった。
【0038】
また、後述する装置の吸光度測定ユニットを使って実証テストを進めた中で、1nm未満の極めて狭い半値幅の干渉フィルターを用いた場合は、十分な光量が確保できなかった。この対策には、必然的に受光部の性能アップや光源の光量アップなどコストがかかることから、干渉フィルターの半値幅を無用に狭くするのはフィルター自身のコストアップ以外でも装置コストを引き上げる要因となることが明らかとなった。半値幅の下限値としては1nm以上が適当で、より好ましくは5nm以上、最も好ましくは10nm以上と判断されたものである。
【0039】
次に、本発明装置の一例につき図8及び図9を参照して説明する。
【0040】
図8,9において、Aは演算処理や各種動作指示を司る制御部、Bは濃度測定部であり、この測定部Bで測定された無電解複合めっき液の分析値が上記制御部Aに伝達され、この分析値を演算し、それに応じた所定の動作指示がめっき装置に与えられるものである。
【0041】
なお、上記制御部Aには、コンピュータが内蔵され、これにより上述したように演算処理や各種動作指示などを行うほか、分析結果や装置の動作状況などが随時表示される表示機構を有し、また装置の動作条件の設定や手動操作なども含めて制御条件設定をこの部分で行うことができるようになっている。更に、この制御部に通信ポートを介してパソコンを接続すると、専用ソフトで分析結果のデータ処理や動作環境から動作指示など主な制御を全てパソコンから行うことも可能にし得るものであり、各種補給ユニットやめっき温度を制御する温度調節器との通信などを、複数同時に制御する通信ラインなどを接続することもできる。
【0042】
上記測定部Bは、図9に示したように、吸光度測定ユニット10及びpHセル12を具備する。pHセル12までの配管は内径3mmであり、pHセル12の内径は14mmとなっている。このpHセル12には、KCl飽和溶液を供給・貯蔵するカラム14が連結されており、また温度センサー16を備える。この温度センサー16のある箇所から吸光度セル10aを通らずに配管されるチューブの内径は、吸光度セル10aへのチューブ内径よりも大きくし、泡を含んだめっき液は吸光度セル10aへ流通しにくくなっている。なお、上記吸光度測定ユニット10には、図示していないが、吸光度セル10aを挟んで一方には受光部、反対側には、セル10a側から順に二次絞り、干渉フィルター、一次絞り、光源ランプの順で配置された構造となっており、更に、干渉フィルターは2種類を自動で精度よく自動切り換えが可能なように、低速モーターの軸から扇状に2枚のフィルターを極力短い軸で固定した状態で配置されており、モーターが正転及び逆転することで光路内の所定の位置にいずれか一方のフィルターを移動させて停止するような仕組みを備えている。
【0043】
また、図9において、18はサンプリングポンプ、V1〜V8はそれぞれ電磁弁であり、電磁弁はV1には純水供給部が、V2には第1サンプル供給部が、V3には第2サンプル供給部が、V4にはpH4標準溶液供給部が、V5にはpH7標準溶液供給部がそれぞれ接続されていると共に、電磁弁V6はドレーンと、V7は第1サンプル排出部と、V8は第2サンプル排出部とそれぞれ接続されている。そして、上記電磁弁V1〜V5及びV6〜V8を適宜開閉し、例えばV2,V7を開き、他は閉じ、サンプリングポンプ18を作動させると、第1サンプルが、第1めっき槽からV2を通りpHセル12内に流入、流通し、第1サンプルのpHが測定されると共に、吸光度測定ユニット10に流入、流通し、V7より第1めっき槽内へ流通する。サンプリングポンプ18を停止した後、660nmで吸光度を測定し、その後吸光度ユニット10の干渉フィルターを切り換えて、520nmで吸光度測定する。吸光度を測定し終わった後、V2を閉じてサンプリングポンプ18を所定時間作動させると、図示にないKCL飽和溶液がpHセル12、吸光度測定ユニット10内に流入、流通し、V7を閉じV6を開いてドレーンへ排出する。これらの動作を適宜間隔で行う。
【0044】
また、上記分析作動後、定期的に校正、洗浄を行う。pH電極の校正は、上記KCL飽和溶液の導入後、V4を開き、サンプリングポンプ18を作動して、pH4標準液をpHセル12、吸光度測定ユニット10に流通させ、ドレーンヘ排出後、V4を閉じ、V5を開き、同様にpH7標準液を流通、排出させる。その後、上記分析動作を行う。また、洗浄工程は、上記KCL飽和溶液の導入後、V5を閉じ、V1を開き、純水をpHセル12に流入、流通し、吸光度測定ユニット10内へ流入、流通させドレーンヘ排出すると共に、純水での吸光度を上記と同様にして2つの波長について測定する。
【0045】
次に、この装置を用いて様々な実証試験を行った結果を述べる。
【0046】
まず、測定波長であるが、過去の一般的な無電解ニッケルめっき液の自動分析、管理装置では測定波長は600〜800nmの任意の波長を用いていることが多い。この理由は、光源及び受光部の性能において、可視光範囲が比較的長めの波長の方が十分な受光量が確保し易い傾向にあるためで、まず、本発明者は一つの測定波長として660nmの波長を選択した。更に、二つ目の測定波長には先の基礎検討と同様に520nmの殆どNi濃度に起因する吸収がない波長を選択し、この二つの測定波長での検討を行った。
【0047】
初めに、この装置における検量線の作成を、上述の図1〜7に示したものと同じような内容で、無電解Ni−P/PTFE複合めっきの数種類のタイプのめっき液に対して実施した。その一例として、上記と同様にニムフロンめっき液での結果を表1と図10,11、更にベース液組成が異なるニムフロンFULめっき液(上村工業(株)製)での結果を表2と図12,13に示す。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】
ここで、図10及び図12は、それぞれニムフロン及びニムフロンFULめっき液において、Ni濃度を一定とし、PTFE濃度を変化させたサンプル(サンプルNo.5〜9)での、波長660nmの吸光度(ABS)と波長520nmの吸光度(ABS)との関係を示すもので、それぞれ
図10:y=0.7116x+0.2338、R2=0.9964
図12:y=0.6765x+0.2364、R2=0.9905
の関係が与えられる。
【0051】
一方、図11及び図13は、それぞれ各サンプルNo.1〜9でのK値とNi濃度との関係を示したものである。この場合、K値は、
K値=ABS(660)−α×ABS(520)
(但し、ABS(660):波長660nmでの吸光度、
ABS(520):波長520nmでの吸光度、
α:上記図10,12から得られる関係式xの係数、即ち図10のニムフロンの場合は0.7116、図12のニムフロンFULの場合は0.6765)
で示される。従って、図11,13からそれぞれ
図11:Ni=27.652×[ABS(660)−0.7116×ABS(520)]−1.4267、R2=0.9989
図13:Ni=22.857×[ABS(660)−0.6765×ABS(520)]−0.811、R2=0.9983
の関係式が与えられる。
【0052】
この図11,13から得られる関係式は、ニムフロン及びニムフロンFULにおいて、それぞれ実際にNi濃度及びPTFE濃度が未知のサンプル液において、二つの測定波長で吸光度を測定した際に得られる二つの吸光度、660nmでの吸光度(ABS660)と520nmでの吸光度(ABS520)の値を用いて、Ni濃度を求める検量線となる方程式であり、装置にて演算処理させる際に用いる計算式である。ここで例示した2種類の無電解Ni−P/PTFE複合めっき液では、先の基礎的な検討結果と同様にNi濃度及びPTFE濃度に対して良好な比例関係が存在し、最終計算式で導かれたNi濃度は、別途、滴定分析で求めた値との差は最大でも0.04g/Lであり、極めて高い精度となっていることが確認された。
【0053】
参考までに、もしも従来の一般的な無電解めっき用の装置と同じように、一つの波長、ここでは660nmでの吸光度測定からNi濃度を計算した場合、濁度による影響でどの程度誤差が生じるかをシミュレーションしてみたところ、最大では0.8g/L程度の誤差が生じる可能性を示唆していた。二つの測定波長を用いることで単純に計算すると約20倍も分析精度が向上することを示しており、効果が非常に高いことが確認された。
【0054】
次に、上記装置を用い、上記関係式を使って、実際に無電解複合めっき液を自動で分析・管理させる試験を行った結果について述べる。代表例として、無電解Ni−P/PTFE複合めっきであるニムフロンFULめっき液(なお、PTFE濃度は4.0g/Lであり、なお、得られる無電解めっき皮膜中のPTFE含有量は25vol%であった。)を用い、建浴時より連続的にNiイオン(硫酸ニッケル)、次亜りん酸ナトリウム、PTFEを補給してこれら成分の濃度をほぼ一定に保持すると共に、水酸化ナトリウムを補給してpHをほぼ一定に保持しつつ、MTO(ターン数、1ターンとはめっき浴1L当りNi2+が4.46g消費乃至は析出した時期を示し、無電解ニッケルめっき液の老化度を示す指標である)までランニングを行い、適宜間隔毎にNi濃度分析を行った。なお、めっき液容量は50Lであった。結果を表3、図14〜17に示す。例えば、図16の場合であれば、直線式のxの係数、即ち0.1165をNi濃度標準値4.5(g/l)で割った値を1ターンの補正係数とすることができ、
1+(0.1165÷4.5)=1.026
を1ターンの装置のNi濃度に乗じた値を補正後のNi濃度とすることができる。
【0055】
【表3】
【0056】
表3には分析結果の代表的な数値をまとめており、その結果について、図14にはNi濃度に関する結果、図15にはpHに関する結果をまとめている。ランニング中のめっき液のNi濃度を手分析で求めた値と上記装置の分析で補正なしとして示した値にはそれほど大きな誤差はなかった。ところが、ランニングが進むと共に誤差は無視できないレベルまで大きくなっていく傾向であった。この原因は、無電解複合ニッケルめっき液が使い込まれると共にめっき液中には老化蓄積成分として亜りん酸塩や硫酸塩が蓄積していくことでNi錯イオンに起因する吸光度合いが徐々に小さくなるために生じる誤差である。ここで例示したパターンとは逆に、吸光度合いが徐々に大きくなるタイプの無電解複合めっき液もあるが、その場合は、老化蓄積物による吸光度合いの低下を上回る程度で錯化剤が補給によって増加していくようなタイプの無電解めっき液であるためで、この部分は市販の無電解めっき液であれば、そのめっき液の癖を事前に把握しておいて、分析値に対して適切な補正を行えば解決できる。実際にここで例示したニムフロンFULめっき液でも、比例的な補正係数に若干の加算も加えた一定の補正を実施すると、図14の補正後の値は手分析値に概ね重なる良好な精度が得られる。
【0057】
補正係数の算出は図16に示したように、ターン数に対してNi濃度標準値(例えば4.5g/l)から誤差(即ち、補正なし装置の分析値−手分析値)を引いた値をプロットしたグラフについて比例関係が存在し、その直線式から補正係数を導き出すことできる。
【0058】
一方、めっき液の管理項目として重要なpHの値でも装置による一定した誤差が生じるが、図15に示したように約1.4ターン頃までは補正を行わなかったので、手分析値と分析装置での値には約0.06の誤差があったが、これを補正した後は誤差は許容できるレベルまで小さくなっている。
【0059】
なお、図17に示した結果は、装置において測定された主として濁度に起因して変化する520nmの測定波長において測定された透過率についてターンとの関係でまとめたものである。実際は、めっき液中にはターンの進行と共に補給によりPTFE粒子の量は徐々に増加している。このことは、透過率が徐々に低下することを予想させるが、実際には透過率は徐々に上昇して濁りが小さくなる傾向を示す。この原因も先にも述べた老化物の蓄積による変化である。この値の変化は約2.6ターンまでで4%近い大きな透過率の変動となって現れている。もしもこの変動を無視して一つの波長での測定を行っていたと仮定すると、この変動に伴う誤差は約1.0g/Lほどの誤差に繋がる可能性がある。二つの波長での測定だけでなく、従来から市販されている一般的な無電解めっき用の装置にある既存の各種ターン補正機能については、ベース液が無電解めっき液で共通している以上は必ず必要であることがこの結果から理解することができる。
【0060】
一方、各種めっき液でランニングを行う中で特異な不具合が発生する場合がある。その不具合とは、Ni濃度の分析値が突然異常に高い値を示すもので、当初は原因がなかなか特定できなかったが、原因の調査・検討を進めた結果、以下の要因が不具合を引き起こしていることが明らかになった。
(1)サンプリングしためっき液中に包含されて吸光セル内に輸送されてきた泡が、サンプリング停止後、吸光度測定までの短い時間内で十分に分離できなかったために吸光度の測定中に値が変動し易かったため、結果的に分析精度の悪化を招いた。このような不具合が発生し易くなる要因としては、複合めっき液の種類やめっき液の老化がある。
(2)薬剤の補給位置とめっき液のサンプリング位置が近かったために補給した薬品が十分拡散均一化しないままサンプリングが行われ、結果として、分析値が異常に高くなった。
(3)干渉フィルターの切り換え機構の安定性が不足しており、装置に対するちょっとした振動又は衝撃で誤差が発生した。
【0061】
そして、これら不具合の原因に対して、以下のような対策が有効である。
(1)吸光セルヘの泡の持ち込みを極力抑制するために、装置配管内でめっき液が吸光セルに至るまでの適当な場所において、サンプリング配管の断面積よりも2倍以上の断面積を有する垂直方向に長いめっき液滞留部分からなる泡が分離し易くなるようなトラップ部分を設ける。具体的には、めっき液がpHセルへ流入する入口をpHセルの上部に設置する一方、出口は下部に設ける。pHセルではサンプリングチューブよりも断面積がかなり大きくなっているので流速が極端に低下するため、この部分で、大きめの泡はpHセルの上部へと逃げることができ、一方、pHセル下部では泡が比較的減少した状態となるので、その下手側に位置する吸光セルには泡の少ないめっき液が供給され易くなる。
(2)吸光セル内に入り込んだ泡の影響を極力除いて吸光測定を行うために、めっき液のサンプリングを停止してから、吸光測定の開始までの時間を15秒以上とする。なお、「サンプリングを停止してから」とは、例えば図9の装置では第1又は第2サンプルをサンプリングポンプ18により、吸光度測定ユニット10内へ流入させた後、サンプリングポンプ18を停止してからということを意味する。
(3)薬品を自動補給する位置から極力遠くにサンプリング位置を設定する。
(4)干渉フィルター切り換え機構の動作制御と機械強度が増すような改造を行い、停止位置の変動や振動・衝撃の影響の抑制を行う。
【0062】
これらの改良により、異常な分析値は殆ど発生しなくなる。特に改善策(2)のサンプリング停止から吸光度測定開始まで静止時間延長は効果的で、15秒以上の静置時間を確保すれば、ほぼ問題のない程度まで変動は抑制されたが、より好ましくは30秒以上、最も好ましくは60秒以上である。この静置時間は極力長めに設定するのが理想的であると言えるが、めっき液の分析頻度に対するニーズとしては、短ければ120秒程度から存在するため、無用に長時間静置することはできない。
【0063】
この他、複合めっき液の自動分析・管理装置を構築する上で課題となる特有の問題としては、吸収セルヘの分散粒子の付着汚染である。セルの汚染はめっき液中の分散粒子と同様に透過率又は吸光度が変動する要因である。本発明の複数の測定波長で分析することは、この問題に改善効果を与えるが、一般的な無電解めっき液とは比較できないレベルで吸光セルへ分散粒子の付着汚染が起こる。この問題を解決するためには、比較的高頻度で洗浄を実施することが望ましいが、装置に組み込まれた吸光セルを洗浄するには、装置からセルを取り外すなどの手間が非常にかかり、なおかつ、付着した汚れはかなり取れ難い傾向があるため、超音波洗浄、酸性(塩酸や硝酸など)又は塩基性(苛性ソーダやアンモニアなど)の溶液や洗剤の併用及びエタノールなどの有機溶媒などを用いた洗浄などが必要となる。装置では、セルの取り外しを容易にするなどの設計上の工夫も行っているが、自動分析・管理装置に吸収セル内面の自動洗浄のために超音波装置や上述の各種洗浄液を送り込む機構を組み込むことはコスト的にマイナスが大きく、装置の構造も複雑となり、酸、アルカリ、有機溶媒等の廃液発生などはユーザーへの大きな負担となり、結論としては実質的に不可能と言える。
【0064】
上述したように、複数の測定波長を用いて分析することは、分析対象のめっき液における濁度が分析毎に変動する可能性があるために必要不可欠である。しかし、吸光セルの汚れについては比較的緩やかに変化する場合が多く、その際の問題の多くは基準となる純水における透過率100%又は吸光度ゼロの基準が変化することによる誤差だけであり、ある程度は二つ以上の測定波長で測定していることで補正されてしまう。このためには、一つの吸収セルを用いて測定することが必要で、例えば測定波長毎に吸光セルを設けるような吸光度測定ユニットを設計した場合を想定すると、純水での基準値測定後に汚れの差が生じるとその後の分析値に大きな誤差が生じてしまう。従って、定期的に純水を用いた透過率100%又は吸光度ゼロの基準値を測定することは重要であり、一つのセルを用いた上記例の装置ではこの問題は十分緩和されているものである。
【0065】
例えば、「純水での透過率/100×分析サンプルの透過率」として、次に行うめっき液の分析結果を演算することで、吸光セルの汚れにより生じる誤差を緩和することができる。また、吸光セルの汚れが分析結果に影響がでるような看過できないまでになるのを防ぐため、前回の純水での透過率の測定から純水での透過率が所定以上(例えば、1%以上)に変動した場合には、警報を発し、吸光セルの洗浄又は交換を促すようにすることができる。
【0066】
なお、図18,19は、本装置を組み込んだめっき装置の一例を示す。即ち、図18は、主として定量ポンプを用いて主成分の薬液を補給するように構成した例であり、定量ポンプ形式のメリットとしては、設備コストが比較的安価で補給量を動作時間で制御できるので、毎回の分析結果に対して、補給量を任意に自動調整することが可能であることなどが挙げられる。一方、図19は、主成分の薬液をカラムにより行うようにした例で、定量ポンプよりも補給量の秤量安定性が高いことが利点である。
【0067】
ここで、図18において、20はめっき槽であり、オーバーフロー槽22が付設されている。また、24は定量ポンプ、26は補給剤(ニッケル塩、還元剤、錯化剤等)タンク、28はアルカリ供給タンク、30は複合材供給カラムであり、補給剤、アルカリ、複合材がオーバーフロー槽に供給され、これがめっき槽内のめっき液に流入されるものである。また、図19において、32は定量ポンプ、34は補給カラムであって、主補給剤をカラムを用いて補給する以外は図18の場合と同様である。
【0068】
一方、図18,19において、36は冷却機構であり、ここで室温まで冷却されためっき液が自動分析・管理装置1に供給され、上述したように分析が行われるものである。なお、図中、38は純水タンク、40はpH4標準液タンク、42はpH7標準液タンクである。
【0069】
前述のように、濃度測定部Bの分析値を受けて、制御部Aが分析結果を演算する。この分析結果に応じて、制御部Aによって定量ポンプ24、複合材供給カラム30の作動制御が行われる。例えば、分析結果からめっき液中の金属濃度が不足していることがわかると、補給剤タンクの定量ポンプ24を予め設定されていた時間作動し停止させる。あるいは、補給剤タンクの定量ポンプ24を作動し、以降の分析結果で金属濃度の不足が解消されたことがわかると、上記定量ポンプ24を停止してもよい。pH調整用のアルカリ供給タンクの定量ポンプ24の作動も同様にできる。複合材供給カラムの制御は、例えば上記補給剤の定量ポンプ24の作動回数が所定回数となった場合に1回作動させる、又は、上記補給剤の定量ポンプ24の作動時間からめっき液中へ補給された金属量を算出して、補給された金属量が所定量となった場合に1回作動させることで、所定量をめっき液中に補給する。
【0070】
【発明の効果】
本発明によれば、無電解複合めっき液中の金属イオン濃度を容易かつ確実に自動分析することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】PTFEを含まない無電解ニッケルめっき液において、Ni濃度を0〜5g/Lに変化させた場合の測定波長と吸光度との関係を示すグラフである。
【図2】PTFEを複合材粒子とし、金属成分を含まない無電解めっき液(Ni濃度0g/L)において、PTFE濃度を0〜10g/Lに変化させた場合の測定波長と吸光度との関係を示すグラフである。
【図3】PTFEを複合材粒子とする無電解複合ニッケルめっき液において、Ni濃度を5g/Lの一定とし、PTFE濃度を0〜10g/Lに変化させた場合の測定波長と吸光度との関係を示すグラフである。
【図4】PTFEを複合材粒子とする無電解複合ニッケルめっき液において、PTFE濃度を0〜10g/Lに変化させた場合の、波長400nmでのNi濃度と吸光度との関係を示すグラフである。
【図5】PTFEを複合材粒子とする無電解複合ニッケルめっき液において、Ni濃度を0〜5g/Lに変化させた場合の、波長400nmでのPTFE濃度と吸光度との関係を示すグラフである。
【図6】PTFEを複合材粒子とする無電解複合ニッケルめっき液において、PTFE濃度を0〜10g/Lに変化させた場合の、波長520nmでのNi濃度と吸光度との関係を示すグラフである。
【図7】PTFEを複合材粒子とする無電解複合ニッケルめっき液において、Ni濃度を0〜5g/Lに変化させた場合の、波長520nmでのPTFE濃度と吸光度との関係を示すグラフである。
【図8】本発明の一実施例に係る自動分析・管理装置の概略正面図である。
【図9】同装置の測定部の説明図である。
【図10】同装置を用い、Ni濃度を一定とし、PTFE濃度を変化させた無電解複合ニッケルめっき液について測定した波長660nmの吸光度と波長520nmとの関係を示すグラフである。
【図11】同無電解複合ニッケルめっき液についてのK値とNi濃度との関係を示すグラフである。
【図12】同装置を用い、Ni濃度を一定とし、PTFE濃度を変化させた別の無電解複合ニッケルめっき液について測定した波長660nmの吸光度と波長520nmとの関係を示すグラフである。
【図13】同無電解複合ニッケルめっき液についてのK値とNi濃度との関係を示すグラフである。
【図14】無電解複合ニッケルめっきを連続的に行った場合におけるターン数(MTO)とNi濃度測定値との関係を示すグラフである。
【図15】無電解複合ニッケルめっきを連続的に行った場合におけるターン数とpH測定値との関係を示すグラフである。
【図16】ターン補正係数を算出するためのグラフで、ターン数とNi濃度標準値−誤差値との関係を示す。
【図17】無電解複合ニッケルめっきを連続的に行った場合におけるターン数と520nmで測定した濁度値との関係を示すグラフである。
【図18】本発明装置を組み込んだ無電解複合めっき装置の一例を示す概略図である。
【図19】本発明装置を組み込んだ無電解複合めっき装置の他の例を示す概略図である。
【符号の説明】
10 吸光度測定ユニット
10a 吸光セル
12 pHセル
14 カラム
16 温度センサー
18 サンプリングポンプ
Claims (1)
- 無電解複合ニッケルめっき液を自動分析し、適切な液組成及び/又は使用条件に自動管理する無電解複合ニッケルめっき液の自動分析・管理装置であって、
分析セルにめっき液を導入するサンプリング経路の途中に、サンプリング配管の断面積よりも2倍以上の断面積を有する垂直方向に長いめっき液滞留部分を有し、そのめっき液滞留部分の入口を上部に設け、出口を下部に設けることにより、めっき液に抱き込まれてきた微細な泡を分析セル内に持ち込まないためのトラップ機構と、
自動でめっき液を分析セル内に導入した後、半値幅が1〜100nmの光を分光する干渉フィルターを有し、少なくとも二つ以上の異なる波長で、かつ測定波長の少なくとも一つの波長が半値幅1〜100nmに分光された波長で透過率又は吸光度を測定する機構と、
その測定値から目的とする濃度を演算処理により算出して結果を表示する機構とを備えており、
めっき液中のニッケル成分の液中濃度を吸光光度法により測定する手法として、
上記測定波長の組み合わせが、少なくとも一つの測定波長として250〜350nm又は450〜550nmの波長範囲を選択し、この波長と重複しないその他の測定波長として、その少なくとも一つの測定波長として350〜450nm又は550〜800nmの波長範囲を選択した組み合わせであり、
分析セル内にめっき液を自動で導入した後、透過率又は吸光度の測定を開始するまでに15秒以上の静置時間を確保するように測定タイムテーブルが設定され、
定期的に分析セル内に純水を導入して分析セル内を洗浄すると共に、セル内にこの純水を満たした状態で設定している測定波長において透過率又は吸光度の測定を行う機能を有し、その後同様の純水での測定を行うまでの時間内に実施されるめっき液での透過率又は吸光度の測定値に対してこれらの測定値を100%透過率又は吸光度ゼロの基準値として用いる
ことを特徴とする無電解複合ニッケルめっき液の自動分析・管理装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001148561A JP4654534B2 (ja) | 2000-05-22 | 2001-05-18 | 無電解複合ニッケルめっき液の自動分析・管理装置 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000-150474 | 2000-05-22 | ||
JP2000150474 | 2000-05-22 | ||
JP2001148561A JP4654534B2 (ja) | 2000-05-22 | 2001-05-18 | 無電解複合ニッケルめっき液の自動分析・管理装置 |
Publications (3)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002047575A JP2002047575A (ja) | 2002-02-15 |
JP2002047575A5 JP2002047575A5 (ja) | 2008-09-04 |
JP4654534B2 true JP4654534B2 (ja) | 2011-03-23 |
Family
ID=26592350
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001148561A Expired - Lifetime JP4654534B2 (ja) | 2000-05-22 | 2001-05-18 | 無電解複合ニッケルめっき液の自動分析・管理装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4654534B2 (ja) |
Families Citing this family (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2004294205A (ja) * | 2003-03-26 | 2004-10-21 | Kurabo Ind Ltd | 酸溶液の金属含有量の測定方法及び測定装置 |
JP2008032719A (ja) * | 2006-07-31 | 2008-02-14 | Applied Materials Inc | 集積化学計測としてのラマン分光法 |
JP5242542B2 (ja) * | 2009-12-11 | 2013-07-24 | シャープ株式会社 | 金属濃度測定方法および金属濃度自動管理装置 |
CN102879356A (zh) * | 2012-09-28 | 2013-01-16 | 邢台钢铁线材精制有限责任公司 | 测量电镀钝化槽液浓度的方法 |
JP6499846B2 (ja) * | 2014-11-17 | 2019-04-10 | 株式会社堀場製作所 | 吸光分析装置及びその検量線作成方法 |
JP2020186962A (ja) * | 2019-05-13 | 2020-11-19 | 株式会社ダイセル | 複合めっき液中のナノダイヤモンド粒子濃度の分析方法及び管理方法 |
JP7247067B2 (ja) * | 2019-09-26 | 2023-03-28 | 三菱重工業株式会社 | 濃度監視システム、濃度管理システムおよび濃度監視方法 |
Citations (14)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS63121668A (ja) * | 1986-08-25 | 1988-05-25 | フイルトロ−ル・コ−ポレイシヨン | 無電解メツキ浴金属塩濃度の検出及び調整手段 |
JPH03104856U (ja) * | 1990-02-08 | 1991-10-30 | ||
JPH0641764A (ja) * | 1992-07-23 | 1994-02-15 | Ishihara Chem Co Ltd | 無電解メッキ浴の自動管理方法 |
JPH06265510A (ja) * | 1993-03-15 | 1994-09-22 | Ebara Corp | はんだめっき液自動分析方法 |
JPH0815266A (ja) * | 1994-06-28 | 1996-01-19 | Nippon Tectron Co Ltd | 脱ガス装置 |
JPH0875740A (ja) * | 1994-08-31 | 1996-03-22 | Shimadzu Corp | 免疫比濁分析方法 |
JPH08334463A (ja) * | 1995-06-08 | 1996-12-17 | Kao Corp | 配管内濁度評価装置 |
JPH09101311A (ja) * | 1995-10-05 | 1997-04-15 | Hitachi Ltd | 自動化学分析装置 |
JPH10142144A (ja) * | 1996-11-13 | 1998-05-29 | Chuo Seisakusho Ltd | 無電解めっき液の金属イオン濃度測定方法 |
JPH10142143A (ja) * | 1996-11-11 | 1998-05-29 | Chuo Seisakusho Ltd | 無電解ニッケルめっき液のニッケル濃度測定方法 |
JPH10267935A (ja) * | 1997-03-25 | 1998-10-09 | Olympus Optical Co Ltd | キュベット補正方法 |
JPH11246978A (ja) * | 1998-03-02 | 1999-09-14 | Ebara Corp | 基板のめっき装置 |
JPH11340186A (ja) * | 1999-04-23 | 1999-12-10 | Dainippon Screen Mfg Co Ltd | 半導体処理装置 |
JP2000061448A (ja) * | 1998-06-11 | 2000-02-29 | Japan Organo Co Ltd | 水処理用薬品の濃度管理方法 |
Family Cites Families (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH03104856A (ja) * | 1989-09-18 | 1991-05-01 | Toyota Motor Corp | 多孔質基板への成膜方法 |
-
2001
- 2001-05-18 JP JP2001148561A patent/JP4654534B2/ja not_active Expired - Lifetime
Patent Citations (14)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS63121668A (ja) * | 1986-08-25 | 1988-05-25 | フイルトロ−ル・コ−ポレイシヨン | 無電解メツキ浴金属塩濃度の検出及び調整手段 |
JPH03104856U (ja) * | 1990-02-08 | 1991-10-30 | ||
JPH0641764A (ja) * | 1992-07-23 | 1994-02-15 | Ishihara Chem Co Ltd | 無電解メッキ浴の自動管理方法 |
JPH06265510A (ja) * | 1993-03-15 | 1994-09-22 | Ebara Corp | はんだめっき液自動分析方法 |
JPH0815266A (ja) * | 1994-06-28 | 1996-01-19 | Nippon Tectron Co Ltd | 脱ガス装置 |
JPH0875740A (ja) * | 1994-08-31 | 1996-03-22 | Shimadzu Corp | 免疫比濁分析方法 |
JPH08334463A (ja) * | 1995-06-08 | 1996-12-17 | Kao Corp | 配管内濁度評価装置 |
JPH09101311A (ja) * | 1995-10-05 | 1997-04-15 | Hitachi Ltd | 自動化学分析装置 |
JPH10142143A (ja) * | 1996-11-11 | 1998-05-29 | Chuo Seisakusho Ltd | 無電解ニッケルめっき液のニッケル濃度測定方法 |
JPH10142144A (ja) * | 1996-11-13 | 1998-05-29 | Chuo Seisakusho Ltd | 無電解めっき液の金属イオン濃度測定方法 |
JPH10267935A (ja) * | 1997-03-25 | 1998-10-09 | Olympus Optical Co Ltd | キュベット補正方法 |
JPH11246978A (ja) * | 1998-03-02 | 1999-09-14 | Ebara Corp | 基板のめっき装置 |
JP2000061448A (ja) * | 1998-06-11 | 2000-02-29 | Japan Organo Co Ltd | 水処理用薬品の濃度管理方法 |
JPH11340186A (ja) * | 1999-04-23 | 1999-12-10 | Dainippon Screen Mfg Co Ltd | 半導体処理装置 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2002047575A (ja) | 2002-02-15 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
RU2594659C2 (ru) | Способ и устройство для определения параметров системы в целях уменьшения коррозии в установке первичной обработки нефти | |
KR101248213B1 (ko) | 에칭액 관리장치 | |
US9134238B2 (en) | Method for determination of system parameters for reducing crude unit corrosion | |
US20090157229A1 (en) | Method and apparatus for plating solution analysis and control | |
Barwell-Clarke et al. | Institute of Ocean Sciences nutrient methods and analysis | |
US7507587B2 (en) | Automatic analysis and control system for electroless composite plating solution | |
EP1286239A2 (en) | Method and system for controlling the concentration of a component in a composition with absorption spectroscopy | |
JP4654534B2 (ja) | 無電解複合ニッケルめっき液の自動分析・管理装置 | |
US4911891A (en) | Sample monitoring instrument for on-line application | |
JP6818336B2 (ja) | 洗浄液の汚染度判定装置及び汚染度判定方法 | |
AU743103B2 (en) | Methods and apparatus for monitoring water process equipment | |
KR20040018202A (ko) | 금속 용액 자동 희석 장치 | |
JPH0364482A (ja) | めっき液の濃度測定方法と濃度調整方法および濃度調整装置 | |
JP2008191159A (ja) | 比重及び成分濃度が変動する系の成分濃度分析方法、成分濃度分析装置及び成分濃度管理装置 | |
JP2003004726A (ja) | メッキ液の硫酸濃度測定方法 | |
WO2022019064A1 (ja) | 自動分析装置および自動分析方法 | |
KR940007441B1 (ko) | 도금액중 첨가제 투입량자동조절장치 및 그 방법 | |
JPS6191397A (ja) | 合金めつき浴自動管理方法 | |
JP2005321384A (ja) | 洗浄液のモニター方法ならびにそのシステム及び試薬 | |
JPS60105945A (ja) | 溶液中の6価クロムイオン濃度の測定方法 | |
JPH04262245A (ja) | 不純物ガス量評価方法およびその装置 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20080407 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20080718 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20100831 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20100908 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20101102 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20101124 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20101207 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140107 Year of fee payment: 3 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Ref document number: 4654534 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
EXPY | Cancellation because of completion of term |