次に図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。なお以下の示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の技術的思想は構成部品の配置等を下記のものに特定するものではない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
実施の形態に係るマスク製造システムは、図1に示すように、半導体装置の製造に用いられるマスクパターンを構成する複数の単位形状パターンを保存する単位形状ライブラリ401、半導体装置の製造条件に基づいて複数の単位形状パターンのそれぞれの限界寸法を決定する限界寸法決定部402、限界寸法に基づいてマスクパターンのマニュファクチャビリティを検査し、マスクパターンからマニュファクチャビリティ違反のエラーを検出する検査部322、製造条件及びマスクパターンの設計条件からエラーの原因を抽出する原因抽出部405、原因に基づいてマニュファクチャビリティを満たすようにマスクパターンの設計変更をする設計変更部404、及び設計変更をされたマスクパターンを有するマスクを製造するマスク製造装置340を備える。
限界寸法決定部402、検査部322、原因抽出部405、及び設計変更部404のそれぞれは中央演算処理装置(CPU)300に含まれる。マスク製造装置340はCPU300に接続されている。また単位形状ライブラリ401は、CPU300に接続されたデータベース記憶装置301に含まれる。
マスク製造装置340は、露光工程で使用されるマスクを製造する装置である。マスク製造装置340には、マスクデータを読み取りマスク基板上に回路パターン等のマスクパターンを描画する電子線(EB)描画装置あるいはレーザ描画装置等が使用可能である。CPU300に接続されたマスク検査装置341には、マスク製造装置340で製造されたマスクのマスクパターン透過像や反射像の画像からマスクに生じた欠陥あるいはマスクに付着したゴミ等を検出する顕微鏡装置、又はマスクデータからマスク像をシミュレーションする回路等が使用可能である。
CPU300はさらにデザインルールチェッカ320、マスクデータ処理部321、エラー判定部323、及びマスク欠陥判定部327を備える。デザインルールチェッカ320は、半導体装置の設計データがデザインルールを満たすか否かチェックする。なお、先端デバイス開発においては、設計データにテストエレメントグループ(TEG : Test Element Group)パターンが含まれることがある。TEGパターンには、デザインルールに違反するパターンが意図的に含まれている場合がある。そのため、デザインルールチェッカ320はTEGパターンについては検査対象から除外してもよい。マスクデータ処理部321は、設計データにレイヤー処理及びブーリアン処理等を施し、さらにOPC及びPSM等の超解像度処理を施す。また、マスクデータ処理部321は設計データのデータ形式をマスク製造装置340で読み取り可能な形式に変換し、マスクデータを生成する。
単位形状ライブラリ401には、図2に示す単位形状名表に登録された複数の単位形状パターンが保存されている。単位形状名「1-a」に定義された単位形状パターンは、図3に示すように、マスク基板63に設けられた断面形状が矩形状で深さD1、幅WG1の溝33である。図2に示す単位形状名「1-b」に定義された単位形状パターンは、図4に示すように、マスク基板63に設けられた断面形状が台形状で深さD2、開口部の幅WG2の溝34である。図2に示す単位形状名「1-c」に定義された単位形状パターンは、図5に示すように、マスク基板63に設けられた断面形状が三角形状で深さD3、開口部の幅WG3の溝35である。
図2に示す単位形状名「2-a」に定義された単位形状パターンは、図6に示すように、マスク基板63上に設けられた断面が矩形状で高さH1、幅WP1の突起36である。図2に示す単位形状名「2-b」に定義された単位形状パターンは、図7に示すように、マスク基板63上に設けられた断面が台形状で高さH2、底部の幅WP2の突起37である。図2に示す単位形状名「2-c」に定義された単位形状パターンは、図8に示すように、マスク基板63上に設けられた断面が三角形状で高さH3、底部の幅WP3の突起38である。
図2に示す単位形状名「3-a」に定義された単位形状パターンは、図9の上面図に示すように、マスク基板63上に配置された一の方向に延伸する配線パターン53と、配線パターン53に対して直角方向に延伸し、端部が配線パターン53と間隔I1をおいて配置された配線パターン54を有する。図2に示す単位形状名「4-a」に定義された単位形状パターンは、図10の上面図に示すように、マスク基板63上に配置されたそれぞれ並行方向に延伸する配線パターン55, 56、及び配線パターン55, 56を接続する線幅WL1の配線接続部57を有する。図2に示す単位形状名「5-a」に定義された単位形状パターンは、図11の上面図に示すマスク基板63上にそれぞれ配置された配線パターン51及び配線パターン52を有する。配線パターン51と配線パターン52とは、それぞれの4辺が互いに対向しない位置に平行に配置されており、互いに対向する配線パターン51の角と配線パターン52の角とが間隔I2をおいて配置されている。図2に示す単位形状名「5-b」に定義された単位形状パターンは、図12の上面図に示すマスク基板63上に配置された線幅WL2のくびれ部41を有する配線パターン58である。なお、図3乃至図12に示した深さD1, D2, D3、高さH1, H2, H3、幅WG1, WG2, WG3、幅WP1, WP2, WP3、線幅WL1, WL2、及び間隔I1, I2のそれぞれは変数である。
図1に示す限界寸法決定部402は、半導体装置の設計条件及び製造条件に基づいて、図3乃至図12に示した複数の単位形状パターンの深さD1, D2, D3、高さH1, H2, H3、幅WG1, WG2, WG3、幅WP1, WP2, WP3、線幅WL1, WL2、及び間隔I1, I2のそれぞれの限界寸法を決定する。ここで「限界寸法」とは、マスクデータに基づいてマスクを製造する際に、実際に製造可能となる深さD1, D2, D3、高さH1, H2, H3、幅WG1, WG2, WG3、幅WP1, WP2, WP3、線幅WL1, WL2、及び間隔I1, I2のそれぞれの値の最小値である。限界寸法は、製造される半導体装置のデザインルール及び図1に示すマスク製造装置340の解像度等によって変動する。また、例えば半導体装置の回路パターンの配線どうしの間隔は、短絡の防止等の理由により限界寸法が製品規格等により決定されている。図13に示す規格表は、図9に示す間隔I1の限界寸法と、配線パターン53及び配線パターン54のそれぞれの投影像の間隔の限界寸法であるデバイス限界寸法を、規格1乃至規格6の各規格ごとに示している。図1に示す限界寸法決定部402は、製造される半導体装置に図13に示す「規格1」が適用される場合、図9に示す単位形状パターン「3-a」の間隔I1の限界寸法を0.5μmと決定する。
図14に示す規格表は、図11に示す間隔I2の限界寸法と、配線パターン51及び配線パターン52のそれぞれの投影像の間隔の限界寸法であるデバイス限界寸法を、規格1乃至規格6の各規格ごとに示している。図1に示す限界寸法決定部402は、「規格2」が適用される場合、図11に示す単位形状パターン「5-a」の間隔I2の限界寸法を0.36μmと決定する。図1に示す限界寸法決定部402は図3乃至図12に示す深さD1, D2, D3、高さH1, H2, H3、幅WG1, WG2, WG3、幅WP1, WP2, WP3、線幅WL1, WL2、及び間隔I1, I2のそれぞれについても規格に基づいて限界寸法を決定する。なお、複数の規格に基づいて単位形状パターン毎に深さD1, D2, D3、高さH1, H2, H3、幅WG1, WG2, WG3、幅WP1, WP2, WP3、線幅WL1, WL2、及び間隔I1, I2のそれぞれの限界寸法を独立して決定してもよい。例えば、OPC等で付加されるセリフ等の補助パターンに該当する単位形状パターンについては、デザインルールよりも小さな限界寸法を設定し、配線パターン等についてはデザインルールと同等の限界寸法を設定してもよい。限界寸法決定部402は、決定した単位形状パターン毎の限界寸法の組み合わせを検査ルールとして生成する。なお検査ルールは、ルールジェネレータに要求仕様とパラメータを入力して自動生成させてもよい。
図1に示す検査部322は、検査ルールに記録された図3乃至図12に示す深さD1, D2, D3、高さH1, H2, H3、幅WG1, WG2, WG3、幅WP1, WP2, WP3、線幅WL1, WL2、及び間隔I1, I2のそれぞれの限界寸法に基づいて、マスクデータのマニュファクチャビリティ(製造可能性)を検査する。ここで「マニュファクチャビリティ」とは、マスクデータに基づく実際のマスクの製造可能性を意味する。したがって検査部322は、マスクデータに限界寸法を下回る製造不可能なパターンが含まれているか否かを検査し、製造不可能なパターンをエラーとして検出する。例えば検査部322は、図9に示す単位形状パターン「3-a」の間隔I1の限界寸法が0.5μmである場合、検査対象のマスクデータに単位形状パターン「3-a」と相似で間隔I1が0.5μm以下のパターンが含まれるか否かを検査する。また図1に示す検査部322は、図11に示す単位形状パターン「5-a」の間隔I2の限界寸法が0.36μmである場合、検査対象のマスクデータに単位形状パターン「5-a」と相似で間隔I2が0.36μm以下のパターンが含まれるか否かを検査する。図1に示す検査部322は、検査対象のマスクデータに図3乃至図12に示す単位形状パターン「1-a」、「1-b」、「1-c」、「2-a」、「2-b」、「2-c」、「4-a」、「5-b」と相似で深さD1, D2, D3、高さH1, H2, H3、幅WG1, WG2, WG3、幅WP1, WP2, WP3、及び線幅WL1, WL2のそれぞれが限界寸法以下のパターンが含まれるか否かも同様に検査する。
検査部322は、図3に示す単位形状パターン「1-a」と相似で幅WG1及び深さD1のそれぞれが限界寸法以下のエラーをマスクデータから例えば4カ所検出した場合、エラー検出座標(x, y)を図15に示す座標テーブルに記録し、例えば「file1-a」として保存する。また検査部322は、図4乃至図12に示す単位形状パターン「1-b」、「1-c」、「2-a」、「2-b」、「2-c」、「3-a」、「4-a」、「5-a」、「5-b」のそれぞれの限界寸法違反に該当するエラーをマスクデータから検出した場合、エラー検出座標(x, y)を示す座標テーブルに記録し、例えば「file1-b」、「file1-c」、「file2-a」、「file2-b」、「file2-c」、「file3-a」、「file4-a」、「file5-a」、「file5-b」として保存する。さらに検査部322は、エラーごとの検出数及び保存した座標テーブルのファイル名を記録した図16に示すエラーデータベースを作成する。
また図1に示す検査部322は、意図的にマニュファクチャビリティを満たさないように設計されたパターンについては、後述する疑似エラー情報ライブラリ353を参照して検査対象から除外してもよい。さらに同じマスクデータに対して複数の検査ルールを適用し、エラーデータベースを複数作成してもよい。
なお、図17に示すように遮光領域90に周囲を囲まれ、アレイ状に配置されたそれぞれ同一の回路パターンを有する複数のマスクパターン81a, 81b, 81c, 81d, 81e, 81f, 81g, 81hについては、図1に示す検査部322は図17に示すマスクパターン81aのみを検査してもよい。例えばエラー18a, 19a, 20a, 21aのそれぞれがマスクパターン81aに検出された場合、図18に示すように、マスクパターン81bについてはマスクパターン81aと同じ座標位置にエラー18b, 19b, 20b, 21bが存在するものと図1に示す検査部322は仮定する。同様に図18に示すマスクパターン81cについてはエラー18c, 19c, 20c, 21cが、マスクパターン81dについてはエラー18d, 19d, 20d, 21dが、マスクパターン81eについてはエラー18e, 19e, 20e, 21eが、マスクパターン81fについてはエラー18f, 19f, 20f, 21fが、マスクパターン81gについてはエラー18g, 19g, 20g, 21gが、マスクパターン81hについてはエラー18h, 19h, 20h, 21hが、マスクパターン81aと同じ座標位置に存在するものと図1に示す検査部322は仮定する。
エラー判定部323は、エラーが設計データあるいはマスクデータの修正を要するエラーであるか、あるいは無視することが可能な疑似エラーであるかを判定する。例えばTEGパターンに含まれる意図的にマニュファクチャビリティを満たさないよう設計されたパターンについては、エラー判定部323は無視することが可能な疑似エラーと判定する。
原因抽出部405は、図19に示すように、製造パラメータ検証部521、検査パラメータ検証部522、超解像処理パラメータ検証部523、及びマスクデータ処理パラメータ検証部524を有する。製造パラメータ検証部521は、エラーの原因がマスク製造装置340の製造パラメータに依存するか否かを検証する。例えば、マスク製造装置340のEBのビーム径、加速電圧、及び描画速度等の製造パラメータがエラーの原因であり、製造パラメータの変更によりエラーが回避できると判断した場合は、製造パラメータ検証部521は製造パラメータをエラーの原因として抽出する。検査パラメータ検証部522は、エラーの原因がマスク検査装置341の検査パラメータに依存するか否かを検証する。例えば、マスク検査装置341の解像度、及びスキャン速度等の検査パラメータがエラーの原因であり、検査パラメータの変更によりエラーが回避できると判断した場合は、検査パラメータ検証部522は検査パラメータをエラーの原因として抽出する。
超解像処理パラメータ検証部523は、エラーの原因がマスクデータ処理部321のOPCあるいはPSM等の超解像処理のパラメータに依存するか否かを検証する。例えば、パターンのグリッドサイズ、及びマスクデータのファイルサイズ等の超解像処理パラメータがエラーの原因であり、超解像処理パラメータの変更によりエラーが回避できると判断した場合は、超解像処理パラメータ検証部523は超解像処理パラメータをエラーの原因として抽出する。マスクデータ処理パラメータ検証部524は、エラーの原因がマスクデータ処理部321によるフラクチャリング処理、データ圧縮処理、ブーリアン処理、及びレイヤー処理等のマスクデータ処理パラメータに依存するか否かを検証する。マスクデータ処理パラメータの変更によりエラーが回避できると判断した場合は、マスクデータ処理パラメータ検証部524はマスクデータ処理パラメータをエラーの原因として抽出する。
図1に示す設計変更部404は、図20に示すように、製造パラメータ変更部531、検査パラメータ変更部532、超解像処理パラメータ変更部533、マスクデータ処理パラメータ変更部534、及び設計データ変更部324を有する。製造パラメータ変更部531は、エラーを回避できるようマスク製造装置340の製造パラメータを変更する。例えば、EBのビーム径がエラーの原因であり、ビーム径を小さくすることによりエラーを回避できる場合は、マスク製造装置340で用いられる電子ビームのビーム径を小さくする。検査パラメータ変更部532は、エラーを回避できるようマスク検査装置341の検査パラメータの検査パラメータを変更する。例えばスキャン速度がエラーの原因であり、スキャン速度を小さくすることによりエラーを回避できる場合は、マスク検査装置341のスキャン速度を遅くする。
超解像処理パラメータ変更部533は、エラーを回避できるようマスクデータ処理部321の超解像処理パラメータを変更する。例えば、パターンのグリッドサイズがエラーの原因であり、グリッドサイズ小さくすることによりエラーを回避できる場合は、グリッドサイズを小さくする。マスクデータ処理パラメータ変更部534は、エラーを回避できるようマスクデータ処理部のマスクデータ処理パラメータを変更する。例えば、データ圧縮処理の圧縮率がエラーの原因であり、圧縮率を下げることによりエラーを回避できる場合は圧縮率を下げる。設計データ変更部324は、設計データのうちデザインルールを満たしていない部分について、デザインルールを満たすよう線幅あるいはパターンの間隔等を変更する。
図1に示すマスク欠陥判定部327は、マスク検査装置341が検出した欠陥が半導体装置の製造に影響を与える欠陥か、あるいは半導体装置の製造に影響を与えない疑似欠陥であるかを判定する。例えば、超解像処理によりウェハ上に結像しない微細な補正パターンがマスク上に設けられることがある。微細な補正パターンは、マスクに付着した埃、あるいはパターン欠けと判別が困難であり、マスク検査装置341が欠陥として検出する場合がある。そのため、マスク欠陥判定部327は超解像処理の履歴を参照し、マスク検査装置341が検出した欠陥が実際の欠陥であるか、無視可能な疑似欠陥であるかを判定する。例えば、検出された欠陥の座標と、超解像処理で加えられた微細な補正パターンの座標とが一致する場合は、検出された欠陥は疑似欠陥であると判定する。
マスク検査装置341が検出した欠陥が半導体装置の製造に影響を与える欠陥である場合、マスク欠陥判定部327は欠陥がマスク製造工程時に生じたコンタミネーションに由来するか否かを判定する。欠陥がコンタミネーションに由来する場合は、マスク欠陥判定部327はマスク検査装置341にマスクの再製造を指示する。
CPU300には、さらに設計データ記憶装置310及びマスクデータ記憶装置311が接続されている。設計データ記憶装置310は、製造される半導体装置の設計データをCAD形式ファイル等で保存する。マスクデータ記憶装置311は、マスクデータ処理部321が生成したマスクデータを保存する。
データベース記憶装置301は、さらに疑似エラー情報ライブラリ353、規格ライブラリ366、検査ルールライブラリ351、エラー情報ライブラリ352、製造パラメータライブラリ361、検査パラメータライブラリ362、超解像処理パラメータライブラリ363、マスクデータ処理パラメータライブラリ364を備える。疑似エラー情報ライブラリ353は、設計データ中のTEGパターン等の意図的にデザインルールに違反するパターンあるいはマニュファクチャビリティを満たさないパターンの情報を疑似エラーとして保存する。また疑似エラー情報ライブラリ353は、OPC等でマスクパターンに付加された解像度以下のアシストパターンやダミーパターン等も疑似エラーとして保存する。規格ライブラリ366は、図13及び図14に示した規格表を保存する。検査ルールライブラリ351は、限界寸法決定部402が生成する検査ルールを保存する。エラー情報ライブラリ352は、検査部322が作成する図15に示す座標テーブル及び図16に示すエラーデータベースを保存する。製造パラメータライブラリ361は、マスク製造装置340の製造パラメータを保存する。検査パラメータライブラリ362は、マスク検査装置341の検査パラメータを保存する。超解像処理パラメータライブラリ363は、マスクデータ処理部321が設計データに対して施すOPCやPSM等の超解像処理に用いられる超解像処理パラメータを保存する。マスクデータ処理パラメータライブラリ364は、マスクデータ処理部321が設計データに対して施すブーリアン処理等のマスクデータ処理に用いられるマスクデータ処理パラメータを保存する。
CPU300には、入力装置312、出力装置313、プログラム記憶装置330、及び一時記憶装置331がさらに接続される。入力装置312としては、例えばキーボード、及びマウス等のポインティングデバイス等が使用可能である。出力装置313には液晶ディスプレイ、モニタ等の画像表示装置、及びプリンタ等が使用可能である。プログラム記憶装置330は、CPU300を制御するオペレーティングシステム等を保存する。一時記憶装置331は、CPU300による演算結果を逐次格納する。データベース記憶装置301、設計データ記憶装置310、マスクデータ記憶装置311、プログラム記憶装置330及び一時記憶装置331としては、例えば半導体メモリ、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスクや磁気テープなどのプログラムを記録する記録媒体等が使用可能である。
次に、図1に示すマスク製造システムを用いた実施の形態に係るマスク製造方法を図21及び図22に示すフローチャートを用いて説明する。
(a)図21のステップS101で、図1に示すデザインルールチェッカ320は設計データ記憶装置310から製造される半導体装置の設計データを読み出す。ステップS102で、デザインルールチェッカ320は設計データのデザインルールチェックを行う。この時、デザインルールチェッカ320は疑似エラー情報ライブラリ353を参照し、TEG等の意図的にデザインルールに反して設計データに含まれたパターンについては、デザインルールチェックの対象から除外する。デザインルールチェッカ320が設計データはデザインルールを満たすと判断した場合、ステップS103に進む。デザインルールを満たしていない場合はステップS206に進む。
(b)ステップS206で設計データ変更部324は、設計データのうちデザインルールを満たしていないとデザインルールチェッカ320で判断された部分について、デザインルールを満たすよう線幅あるいはパターンの間隔等を変更する。設計変更後再びステップS101に戻り、設計変更された設計データはデザインルールチェッカ320に読み込まれる。
(c)ステップS103でマスクデータ処理部321はマスクデータ処理パラメータライブラリ364に保存されているマスクデータ処理パラメータを用いて設計データに対しブーリアン処理等を施し、さらに超解像処理パラメータライブラリ363に保存されている超解像処理パラメータを用いてOPC及びPSM等の超解像処理を施す。その後、マスクデータ処理部321は、設計データのデータ形式をマスク製造装置340で読み取り可能な形式に変換し、マスクデータを生成する。ステップS104でマスクデータ処理部321はマスクデータをマスクデータ記憶装置311に保存する。
(d)ステップS105で限界寸法決定部402は、規格ライブラリ366に保存されている図13及び図14に示す規格表に基づいて、図1に示す単位形状ライブラリ401に保存されている図3乃至図12のそれぞれに示す単位形状パターンの深さD1, D2, D3、高さH1, H2, H3、幅WG1, WG2, WG3、幅WP1, WP2, WP3、線幅WL1, WL2、及び間隔I1, I2のそれぞれの限界寸法を決定する。なお、複数の規格に基づいて単位形状パターン毎に限界寸法を独立して決定してもよい。限界寸法決定部402は、複数の単位形状パターン毎にそれぞれ決定された限界寸法の組み合わせを検査ルールとして検査ルールライブラリ351に保存する。
(e)ステップS106で検査部322は、図1に示すマスクデータ記憶装置311に保存されているマスクデータに含まれるパターンに、検査ルールライブラリ351に保存された検査ルールに違反するものがあるか否かを検査する。検査の結果エラーが検出されなかった場合、ステップS401に進む。ステップS106でエラーが検出された場合、検査部322は図16に示すエラーデータベースを作成し、図1に示すエラー情報ライブラリ352に保存する。その後、図22のステップS201に進む。
(f)ステップS201で、エラー判定部323は疑似エラー情報ライブラリ353を参照して検査部322が検出したエラーが設計データあるいはマスクデータの修正を要するエラーであるか、あるいは無視することが可能な疑似エラーであるかを判定する。疑似エラーである場合は、エラーとして検出されたパターンを疑似エラー情報ライブラリ353に追加保存して図21のステップS401に進む。エラーが修正を要する場合には、図22のステップS202に進む。
(g)ステップS202で図19に示す検査パラメータ検証部522は、エラーの原因が検査パラメータライブラリ362に保存されているマスク検査装置341の検査パラメータに依存するか否かを検証する。エラーが検査パラメータに依存する場合、図20に示す検査パラメータ変更部532はエラーを回避できるよう検査パラメータを変更し、図21のステップS401に進む。エラーが検査パラメータに依存しない場合、図22のステップS203に進む。
(h)ステップS203で図19に示す製造パラメータ検証部521は、エラーの原因が製造パラメータライブラリ361に保存されているマスク製造装置340の製造パラメータに依存するか否かを検証する。エラーが製造パラメータに依存する場合、図20に示す製造パラメータ変更部531はエラーを回避できるよう製造パラメータを変更し、図21のステップS401に進む。エラーが製造パラメータに依存しない場合、図22のステップS204に進む。
(i)ステップS204で図19に示すマスクデータ処理パラメータ検証部524は、エラーの原因がマスクデータ処理パラメータライブラリ364に保存されているマスクデータ処理部321のマスクデータ処理パラメータに依存するか否かを検証する。エラーがマスクデータ処理パラメータに依存する場合、図20に示すマスクデータ処理パラメータ変更部534はエラーを回避できるようマスクデータ処理パラメータを変更し、図21のステップS103に進む。エラーが製造パラメータに依存しない場合、図22のステップS205に進む。
(j)ステップS205で図19に示す超解像処理パラメータ検証部523は、エラーの原因が超解像処理パラメータライブラリ363に保存されているマスクデータ処理部321の超解像処理パラメータに依存するか否かを検証する。エラーが超解像処理パラメータに依存する場合、図20に示す超解像処理パラメータ変更部533はエラーを回避できるよう超解像処理パラメータを変更し、図21のステップS103に進む。エラーが製造パラメータに依存しない場合、ステップS206に進む。
(k)ステップS401でマスク製造装置340は、製造パラメータライブラリ361に保存されている製造パラメータを用いて、マスクデータに基づくマスクを製造する。ステップS402でマスク検査装置341は、検査パラメータライブラリ362に保存されている検査パラメータを用いて、マスク製造装置340が製造したマスクが欠陥を有するか否か検査する。ここで、マスクが欠陥を有さない場合は実施の形態に係るマスク製造方法を終了する。マスクが欠陥を有する場合にはステップS403に進む。
(l)ステップS403でマスク欠陥判定部327は、マスク検査装置341が検出した欠陥が実際の欠陥か、あるいは半導体装置の製造に影響を与えない疑似欠陥であるかを判定する。例えばマスク検査装置341が埃として検出した欠陥が、超解像処理パラメータライブラリ363に保存されている超解像処理の履歴を参照して実際は補正パターンであった場合、マスク欠陥判定部327は疑似エラー情報ライブラリ353に補正パターンが欠陥として検出されたことを記録する。また既に疑似エラー情報ライブラリ353に登録されているパターンと一致する欠陥についても、マスク欠陥判定部327は疑似欠陥と判定する。マスク検査装置341が検出した欠陥が疑似欠陥であった場合、実施の形態にかかるマスク製造方法を終了する。マスク検査装置341が検出した欠陥が実際の欠陥であった場合、ステップS404に進む。
(m)ステップS404でマスク欠陥判定部327は、マスクの欠陥がマスク製造時のコンタミネーションに由来するか否かを判定する。マスクの欠陥がコンタミネーションに由来するものであり、マスクパターンの変更を要しない場合は、マスク欠陥判定部327はマスク製造装置340にマスクの再製造を指示し、ステップS401に進む。一方、マスクの欠陥がマスクデータの変更を要するものである場合には、図22のステップS202に進む。
以上、図1に示したマスク製造システムと、図21及び図22に示したマスク製造方法によれば、マスクデータのマニュファクチャビリティ検査で生じうる疑似エラー及びマスク検査で生じうる疑似欠陥の発生を抑制し、マスクの開発時間及び開発コストの低減をはかることが可能となる。従来においては、マスクデータのマニュファクチャビリティを検査する際の検査ルールは、作業者が自己の経験に基づいて作成していた。しかし半導体集積回路の集積度が向上し、半導体装置に数千あるいは億単位の活性素子が含まれる場合は、マスクデータの検査ルールを毎回作成するのは非常に時間がかかり、マスクの設計コストの増大につながっていた。これに対し、図21及び図22に示したマスク製造方法においては、図3乃至図12に示したように、あらかじめマスクデータを構成する複数の単位形状パターンが用意される。そして、デザインルールや、あるいは単位形状パターンが補助パターンに該当するか否かに応じて、複数の単位形状パターンのそれぞれの限界寸法を図1に示す限界寸法決定部402が決定する。さらに限界寸法決定部402は、決定した複数の単位形状パターンのそれぞれの限界寸法の組み合わせである検査ルールを作成する。したがって、予め用意した複数の単位形状パターンを用いることにより、検査ルールの作成にかかる時間を圧縮することが可能となる。
また従来はマスクデータを一律にデザインルールチェックすることにより、セリフやアシストパターン等の補助パターンがエラーとして検出される問題があった。このようなエラーはマスクデータの修正を要しない疑似エラーであり、膨大な検出エラーから疑似エラーを除去するには多くの時間とコストを要していた。これに対し、図21及び図22に示したマスク製造方法は、図3乃至図12に示した複数の単位形状パターンのそれぞれの限界寸法を限界寸法決定部402が個別に設定する。したがって、従来はデザインルールチェッカがエラーとして検出した微細な補助パターン等の疑似エラーの数を大幅に減少させることが可能となる。また、ステップS201で検出された疑似エラーは疑似エラー情報ライブラリ353に保存される。したがって、次回以降の検査では疑似エラーの検出精度がより高くなる。
また図21及び図22に示したマスク製造方法は、ステップS403で、疑似欠陥として検出されたパターンを疑似エラー情報ライブラリ353に記録する。そのため、次回以降のマスク検査では、疑似エラー情報ライブラリ353を参照することにより、超解像処理の履歴を参照するよりも疑似欠陥の検出速度が向上する。したがって、図1に示すマスク製造システムを用いてマスク検査を繰り返すことにより、自動的に欠陥の検出精度を向上させることが可能となる。また検出回数を記録することにより、疑似エラー情報ライブラリ353に保存される複数のパターンのそれぞれが実際に疑似欠陥として検出されやすいか否かをランク付けすることも可能となる。
なおステップS106における検査は、限界寸法違反のエラーを検出することに限定されない。例えば、マスクや半導体装置の製造工程から要求されるパターン配置ルール維持の検証、PSMにおける種々の位相を持つ開口部の位置関係等の検証も含めてもよい。ステップS205における検証では、超解像処理に使用するコンピュータのメモリ不足等もエラーの原因として超解像処理パラメータ検証部523は検証してもよい。この場合、図20に示す超解像処理パラメータ変更部533は、大量のメモリを搭載するコンピュータに処理を振り分ける、あるいは複数のコンピュータで分散処理を行うように指示してもよい。
(第1の変形例)
実施の形態においては、図21に示したように、ステップS103でマスクデータを作成した後、ステップS106でマスクデータのマニュファクチャビリティを検査するマスクデータ補正方法の例を示した。これに対し、マニュファクチャビリティを検査するステップはマスクデータを作成する工程に組み込んでもよい。以下、図23に示すフローチャートを用いて、実施の形態の第1の変形例に係るマスク製造方法を説明する。
(a) まず図21と同様に、図23に示すステップS101及びステップS102の工程を実施する。デザインルールチェッカ320が設計データはデザインルールを満たすと判断した場合、ステップS311に進む。ステップS311でマスクデータ処理部321はデザインルールチェッカ320から設計データを受け取る。マスクデータ処理部321はマスクデータ処理パラメータライブラリ364に保存されているマスクデータ処理パラメータを用いて設計データに対しブーリアン処理を施す。
(b) ステップS312で、マスクデータ処理部321はブーリアン処理された設計データに含まれるパターン同士のパターンマッチングを行う。パターンが一致するものは以下の処理をまとめて行う。ステップS313で、限界寸法決定部402は図3乃至図12のそれぞれに示す単位形状パターンの深さD1, D2, D3、高さH1, H2, H3、幅WG1, WG2, WG3、幅WP1, WP2, WP3、線幅WL1, WL2、及び間隔I1, I2のそれぞれの限界寸法を決定し、検査ルールを作成し、検査ルールライブラリ351に保存する。
(c) ステップS314で、マスクデータ処理部321は超解像処理パラメータライブラリ363に保存されている超解像処理パラメータを用いてOPC及びPSM等の超解像処理を設計データに施す。ステップS315で検査部322は、超解像処理が施された設計データに含まれるパターンに、検査ルールライブラリ351に保存された検査ルールに違反するものがあるか否かを検査する。ここで、ステップS314の超解像度処理をそれぞれ異なる複数の超解像処理パラメータを用いて行い、ステップS315でそれぞれ異なる超解像処理パラメータで補正された設計データを検査することを繰り返す。検査が終了した場合、ステップS316に進む。
(d) ステップS316で検査部322は、検査でエラーが検出されたか否かを判断する。エラーが検出されなかった場合は、ステップS317に進む。エラーが検出された場合は、ステップS319に進む。ステップS317でマスクデータ処理部321は、設計データのデータ形式をマスク製造装置340で読み取り可能な形式に変換し、マスクデータ記憶装置311にマスクデータとして保存する。
(e) ステップS319で検査部322は、図24に示すように、超解像処理パラメータ毎に検出されたエラーの種類、寸法、検出座標を記録したエラーデータベースを作成し、図1に示すエラー情報ライブラリ352に保存する。保存後、図22のステップS201に進む。図23のステップS401乃至S404の内容は図21と同様であるので、重複する説明は省略する。
以上説明した、実施の形態の第1の変形例によれば、図23のステップS315及びステップS319が実施されることにより、図24に示したように解像処理パラメータ毎にエラーの情報が蓄積される。したがって、図22のステップS201で検出したエラーが疑似エラーか否かを判定することにより、解像処理パラメータ毎に疑似エラーが発生しやすいか否かを評価することが可能となる。さらに、疑似エラーとなりやすい単位形状パターンも特定可能であるので、解像処理パラメータの補正も容易となる。
(その他の実施の形態)
上記のように、本発明の実施の形態を記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
例えば図25に示すように、マスク製造システムのCPU300に、複数のクライアントコンピュータ451, 452, 453のそれぞれをコンピュータネットワークを介して接続してもよい。クライアントコンピュータ451, 452, 453のそれぞれから設計データ及び検査に用いる規格をCPU300に送信することにより、遠隔地からもマスクデータの補正及びマスクの製造を指示することも可能となる。クライアントコンピュータ451で表示されるインターフェースの一例を図26に示す。インターフェースは、マスクデータ名入力ウインドウ201、層名選択ボタン202、規格選択ボタン203、検査領域選択ウインドウ204, 205、チェック対象選択ボタン206、チェック値入力ウインドウ207、及び形状入力ウインドウ208を有する。
マスクデータ名入力ウインドウ201には、図1に示す検査部322が検査する対象となるマスクデータの名称を、例えば6〜10文字の英数字で入力される。図26に示す層名選択ボタン202は、マスクデータのレイヤー名を選択するボタンである。規格選択ボタン203は、図3乃至図12のそれぞれに示す単位形状パターンの深さD1, D2, D3、高さH1, H2, H3、幅WG1, WG2, WG3、幅WP1, WP2, WP3、線幅WL1, WL2、及び間隔I1, I2のそれぞれの限界寸法を決定する規格を選択するボタンである。図26に示す検査領域選択ウインドウ204, 205には、マスクデータのうち検査対象とする領域の、例えば左下の座標と、右上の座標が入力される。チェック対象選択ボタン206は、パターンの線幅を検査するか、パターン間の間隔を検査するか選択するボタンである。チェック値入力ウインドウ207は、規格外の値で検査を行う場合に、ナノメートル又はマイクロメートルオーダで数値を入力するウインドウである。形状入力ウインドウ208には、図3乃至図12のそれぞれに示す単位形状パターンが保存されている図1に示す単位形状ライブラリ401のネットワーク上におけるアドレス等が入力される。なお、検査領域は複数設定可能としてもよいし、検査対象、規格値、及び単位形状パターンの組み合わせを複数設定可能としてもよい。
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明からは妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。