JP4651093B2 - 金属電極/セラミックス接合体及びその製造方法 - Google Patents
金属電極/セラミックス接合体及びその製造方法 Download PDFInfo
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Description
金属材料とセラミックス材料とを接合する方法としては、
(1)ボルト締め、嵌合等の機械的接合法、
(2)有機系又は無機系の接着剤を用いた接着剤法、
(3)セラミック材料の表面に金属薄膜を形成(メタライズ)し、金属薄膜を介して金属材料とロウ付けするメタライズロウ付け法、
(4)無電解メッキによりセラミック材料の表面に金属薄膜を形成するメッキ法、
(5)金属材料とセラミック材料とを直接、又は、適当なロウ材、中間層等を介して突き合わせて高温に加熱し、界面において構成元素の拡散を行わせる拡散接合法、
(6)CVD、電子ビーム、スパッタ、レーザーアブレーション、PLD、ALD、蒸着等による物理的な成膜方法、
(7)導電ペーストのスクリーン印刷によりペースト薄膜を形成する方法、
などが知られている。また、拡散接合法においては、元素のイオン性を利用して界面反応を強制的に引き起こすことにより拡散接合するField-Assisted Bonding法(電場を印加する方法)も知られている。
(1)金属材料とセラミックス材料の中間の熱膨張係数を有する材料(例えば、W、Mo、Zr、Nb等)を界面に介在させる方法、
(2)金属材料とセラミックス材料との界面に軟質金属(例えば、Al、Au、Cu等)を介在させる方法、
(3)セラミックス側から金属側へ熱膨張係数を連続的に変化(傾斜)させる方法、
などが提案されている。
また、金属電極/セラミックス接合体が高温酸化雰囲気下で使用される場合、金属電極には、耐熱性及び耐酸化性に優れた各種耐熱材料が用いられる。一般に、耐熱材料には、緻密な酸化物を生成する元素(例えば、Al、Cr、Si等)が含まれている。このような耐熱材料を高温酸化雰囲気下に曝すと、その表面に緻密な酸化膜が形成され、この酸化膜が酸素の拡散を抑制することによって、耐熱材料の酸化の進行を抑制する。従って、長期間に渡って耐熱性及び耐酸化性を維持するためには、金属電極は、ある一定量以上の体積が必要になる。
また、熱膨張係数差に起因する熱応力を軽減するために金属電極とセラミックス材料の間に中間層を介在させ、応力緩和を図る方法を用いた場合、一般に中間層として使用可能な材料の強度、耐熱性、耐酸化性等が低いために、500℃以上の高温では使用できないという問題がある。また、中間層を挟むことによって処理が煩雑となり、コスト高になるという問題がある。さらに、中間層の組成によっては、接合界面に低融点の化合物を生成する場合があるので、材料選択の自由度が小さい。
さらに、金属電極を接合した金属/セラミック接合体においては、一般に、メタル箔の厚さが厚いほど、それらの熱膨張率差に起因して発生する熱応力が増加し、接合体が剥離しやすくなるという問題がある。この問題を解決するため、(1)メタル箔の厚さを薄くする、(2)接合温度を低下させる、という方法も考えられる。
しかしながら、メタル箔を薄くするのに伴って熱応力は低下するが、メタル電極にリード線を溶接あるいはロウ付け等をする場合に、メタル電極にリード線が溶接しにくくなるか、あるいは、溶接が可能な場合にも十分な溶接強度が得られないという問題がある。
一方、接合温度を低下させると、元素の拡散不足のために十分な接合強度が得られない、又は、接合体の耐熱強度が低下するおそれがある。
さらに、メタル箔を用いる場合において、所定のの厚さに圧延加工するためには、かなりの圧延加工が必要となり、プロセスが煩雑となり、コスト高となるおそれがある。従って、実用上、十分な接合及び溶接強度や耐熱性を得るためには、金属電極としてある一定以上の厚さが必要となる。
また、本発明が解決しようとする他の課題は、高温酸化雰囲気下で使用した場合であっても、長期間に渡って高い耐熱性、耐酸化性を示す金属電極/セラミックス接合体及びその製造方法を提供することにある。
(1)前記金属電極/セラミックス接合体は、
セラミックスと、
該セラミックスの少なくとも一方の表面に接合された金属電極とを備え、
前記金属電極は、連続体からなり、かつ、複数個の凹部を有している。
(2)前記金属電極は、
(a)その見かけの厚さが、5μm以上100μm以下であり、
(b)前記凹部の最大長さdが、0.01mm以上1.0mm以下であり、
(c)前記凹部のピッチが、0.3mm以上1.0mm以下であり、
(d)酸化膜形成元素を含む耐酸化性・耐熱材料からなる。
また、本発明に係る金属電極/セラミックス接合体の製造方法は、以下の構成を備えていることを要旨とする。
(1)前記金属電極/セラミックス接合体の製造方法は、
連続体からなり、かつ、複数個の凹部を有している金属シートとセラミックスとを重ね合わせ、前記金属シートと前記セラミックスとを加熱処理及び/又は電圧印加する接合工程を備えている。
(2)前記金属シートは、
(a)その見かけの厚さが、5μm以上100μm以下であり、
(b)前記凹部の最大長さdが、0.01mm以上1.0mm以下であり、
(c)前記凹部のピッチが、0.3mm以上1.0mm以下であり、
(d)酸化膜形成元素を含む耐酸化性・耐熱材料からなる。
また、本発明に係る金属電極/セラミックス接合体の製造方法の2番目は、以下の構成を備えていることを要旨とする。
(1)前記金属電極/セラミックス接合体の製造方法は、
不連続体からなり、複数個の凹部を有している金属シートとセラミックスとを重ね合わせ、前記金属シートと前記セラミックスとを加熱する接合工程と、
前記不連続体からなる前記金属シートの残留物を剥離させる剥離工程とを備えている。
(2)前記金属シートは、
(a)前記凹部の最大長さdが、0.01mm以上1.0mm以下であり、
(b)前記凹部のピッチが、0.3mm以上1.0mm以下であり、
(c)酸化膜形成元素を含む耐酸化性・耐熱材料からなる。
(3)前記接合工程及び前記剥離工程は、前記セラミックスの表面に形成される金属電極の見かけの厚さが5μm以上100μm以下となるように、接合及び剥離を行うものである。
また、本発明に係る金属電極/セラミックス接合体の製造方法の3番目は、以下の構成を備えていることを要旨とする。
(1)前記金属電極/セラミックス接合体の製造方法は、
複数個の貫通孔が形成されたマスクをセラミックス表面に重ね、媒体を溶剤に溶解させた溶液を前記マスクの上から塗布し、前記溶剤を除去することによって前記セラミックス表面に前記媒体からなる突起を形成する突起形成工程と、
前記突起が形成されたセラミックス表面に金属薄膜を形成する薄膜形成工程と、
前記突起を溶剤で除去し、又は、酸化除去する除去工程とを備えている。
(2)前記金属薄膜は、酸化膜形成元素を含む耐酸化性・耐熱材料からなる。
(3)前記突起形成工程、前記薄膜形成工程、及び、前記除去工程は、
(a)前記セラミックスの表面に形成される金属電極の見かけの厚さが5μm以上100μm以下となり、
(b)前記突起を除去することによって前記金属電極に形成される凹部の最大長さdが、0.01mm以上1.0mm以下となり、
(c)前記凹部のピッチが、0.3mm以上1.0mm以下となる
ように、突起形成、薄膜形成及び除去を行うものである。
(1)窒化ケイ素(Si3N4)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ガリウム(GaN)、窒化チタン(TiN)、窒化ジルコニウム(ZrN)等の窒化物、
(2)炭化ケイ素(SiC)、炭化チタン(TiC)、炭化ジルコニウム(ZrC)、炭化ホウ素(B4C)等の炭化物、
(3)アルミナ(Al2O3)、ジルコニア(ZrO2)、酸化モリブデン(MoOx)、セリア(CeO2)、イットリア(Y2O3)、酸化ビスマス(Bi2O3)、チタン酸バリウム(BaTiO3)、チタニア(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、マグネシア(MgO)、カルシア(CaO)、スピネル(Al2MgO4)、チタン酸バリウム(BaTiO3)、La6WO3、LaBO3、LaPO4等の酸化物、
(4)ホウ化チタン(TiB2)、ホウ化ジルコニウム(ZrB2)等のホウ化物、
(5)ケイ化チタン(TiSi2)、ケイ化ジルコニウム(ZrSi2)等のケイ化物、
(6)La2Zr2O7、Sm2Zr2O7、Gd2Zr2O7等のパイクロール型酸化物、
(7)SrCeO3、SrCe1−xMxO3(M=Sc、Zn、Y、Mn、In、Nd、Sm、Dy、Yb)、La1−xCaCrO3、La1−xSrCrO3、YMnO3、La1−xCoxMnO3、LaSrMnO3、LaFeO3、La1−xCaxCoO3、La1−xSrxCoO3、SrCeO3、CaZrO3、SrZrO3、SrTiO4、SrTi2O7、BeZrO3、BaCeO3、BaCe1−xGdxO3、CaHfO3、KTaO3等のペロブスカイト型酸化物、
がある。また、セラミックス材料は、これらの複合セラミックスであっても良い。
(1)電極を厚さ方向に見た時に、別個の金属材料(例えば、金属繊維)が物理的に接触した状態、又は、別個の金属材料が、その大きさに比べて相対的に小さな接触面積で接合している状態にあるもの、あるいは、
(2)接合界面と平行方向に見た時に、金属電極が孤立した突起の集合体からなるもの、
(以下、これらの状態にあるものを「不連続体」という。)は、本発明に言う「連続体」には含まれない。不連続体は、接合面積が小さく、十分な接合強度が得られないので、金属電極として用いるのは好ましくない。
また、「連続体」としては、具体的には、
(1) 金属箔、
(2) 織物メッシュのような不連続体をセラミックス材料表面に重ね合わせ、固相拡散接合及び/又は金属材料の一部溶融を行い、残留した不連続体をセラミックス材料表面から剥離させた後にセラミックス材料表面に残る金属材料の接合物及び/又は融着物、
(3) スパッタ、PLD(パルスレーザーデポジション)、蒸着等の気相法により、所定のパターンでセラミックス表面に形成された薄膜、
(4) メッキ、
などがある。
強度及び耐酸化性に優れた金属電極/セラミックス接合体を得るためには、金属電極は、以下のような条件を満たすものが好ましい。
また、凹部が非貫通孔である場合、金属電極は、
(1)セラミックスとの接合面が平坦であり、セラミックスと接合されていない非接合面に凹部を有するもの、
(2)セラミックスとの接合面に凹部を有し、セラミックスと接合されていない非接合面が平坦であるもの、あるいは、
(3)セラミックスとの接合面、及び、セラミックスと接合されていない非接合面の双方に凹部を有するもの、
のいずれであっても良い。特に、上記(1)のケースは、セラミックスと金属電極との間に高い接合強度が得られるので、金属電極の構造として特に好適である。
さらに、金属電極の凹部は、金属電極面内の中央部と外周部でピッチや孔径、および厚さを変化させても良い。この場合、内周部に比べて外周部のピッチを小さくしたり、孔径を大きくすることにより、応力緩和しやすくなる場合がある。
(1)できるだけ熱膨張率の小さい金属/セラミックスの組み合わせを用いる、
(2)弾性率の小さいメタルを用いる、又は、
(3)高強度のセラミックスを用いる
など、接合によって生じる熱応力や、熱応力によるセラミックスの破壊を抑止できる組み合わせが好ましい。但し、耐熱性及び/又は耐酸化性、並びに、耐久性に優れた金属電極/セラミック接合体を得るためには、金属電極は、耐酸化性・耐熱材料が好ましい。
これに対し、金属電極として、所定の酸化膜形成元素を含む金属材料を用いると、金属電極表面には、剥離しにくく、かつ、緻密な酸化膜が形成される。また、酸化膜の一部が剥離した場合であっても、酸化膜形成元素が金属表面に拡散し、新たな酸化膜が形成される。そのため、金属電極内部への酸素の拡散が抑制され、金属電極の耐熱性、耐酸化性の劣化を抑制することができる。
また、金属電極として、使用温度において酸化膜を形成しにくい金属材料を用いた場合も同様であり、酸素の拡散に起因する金属電極の特性劣化を抑制することができる。
金属電極中に含まれる酸化膜形成元素の量は、金属電極内部への酸素の拡散を抑制でき、かつ、金属電極の加工性を低下させないように、金属電極の組成、酸化膜形成元素の種類等に応じて、最適な量を選択する。
金属電極中に含まれる酸化膜形成元素の量は、具体的には、1000℃以上の高温使用条件において酸化膜を100時間以上、形成するために必要な量以上が好ましい。また、金属電極中に含まれる酸化膜形成元素の量は、5wt%以上が好ましい。特に、Al含有量が5wt%以上である材料は、金属電極として好適である。
一般に、金属材料の表面に形成される酸化膜には、下地の金属材料と密着性の良いものと、悪いものがあることが知られている。酸化膜が下地の金属材料との密着性が悪いものである場合、金属材料にある種の元素(酸化膜安定化元素)を添加すると、酸化膜と下地の密着性が向上し、酸化膜の剥離を抑制することができる。本発明において、酸化膜安定化元素は、必ずしも必要なものではないが、酸化膜安定化元素を含む金属電極を用いると、高温酸化雰囲気下で長時間使用した場合であっても、耐熱性及び/又は耐酸化性を維持することが可能な金属電極/セラミックス接合体が得られる。
金属電極中に含まれる酸化膜安定化元素の量は、酸化膜の密着性を高めることができ、かつ、金属電極の加工性を低下させないように、金属電極の組成、酸化膜安定化元素の種類等に応じて、最適な量を選択する。
(1) Fe−Cr−Al合金、Fe−Cr−Al−La合金、Ni−Cr−Al合金、Fe−Cr−Si合金、Fe−Cr−Y合金、Fe−Cr−La合金、Cr−Fe−Al−Ni合金、Cr−Fe合金、Ni−Cr−Mo−Fe合金、Ni−Cr−Fe合金、Cr−Ni−Fe合金、Cr−Al−Fe−Y合金等の耐酸化性・耐熱材料、
(2) Al、W、Nb、Zr、Ta、Ti、Ni、Pt、In、La、Pd、Au、Sm、Sn、Fe、Cu、Gd、Si、Co、Y、Yb、Fe、Sc、Ru、Ti、Th、Cr、Hf、Zn、Ag、Ir、Mo、Re等、又は、これらの合金からなる耐熱材料
等がある。
但し、耐熱性に優れた金属電極/セラミックス接合体を得るためには、接合後の界面に、金属電極の融点より高い融点を有する拡散層が形成されるように、金属電極とセラミック材料の組み合わせを選択するのが好ましい。
例えば、PtやNiのケイ化物は、PtやNiより融点が低いことが知られている。従って、金属電極又はセラミック材料のいずれか一方にPt及び/又はNiが含まれる場合には、界面にこれらのケイ化物が生成しないように、他方にSiを含まないものを用いるのが好ましい。
(1) その見かけの厚さが5μm以上300μm以下であり、
(2) 凹部の最大長さdが0.01mm以上1.0mm以下であり、
(3) 凹部のピッチが最大長さdの0.3倍以上100倍以下であるもの、
が好ましい。なお、「連続体」、「凹部」、「最大長さd」等の定義、及び、金属シートの材料として耐酸化性・耐熱材料が好ましい点は、上述した通りである。
金属シートとしては、具体的には、
(1) 所定の形状を有する貫通孔が、所定のピッチで規則的又は不規則的に形成された金属箔、
(2) その片面又は両面に、所定の形状を有する非貫通孔が、所定のピッチで規則的又は不規則的に形成された金属箔、
などがある。
このような金属シートは、一定の厚さを有する金属箔に対して、化学的エッチング、物理的エッチング、光学的エッチング、打ち抜き、プレス、エンボス加工、圧延等の処理を施すことにより得られる。この時、処理条件を最適化することによって、凹部の形状、配置、凹部の配列周期等を任意に変化させることができる。
接合温度及び時間は、金属シート及びセラミックス材料の組成、中間層等を用いる場合にはその組成、これらの組み合わせ等に応じて最適なものを選択する。一般に、接合温度が金属シート、中間層等の融点に比べて低すぎる場合、及び/又は、接合時間が短すぎる場合には、十分な接合強度は得られない。一方、接合温度が金属シート、中間層等の融点に比べて高すぎる場合、及び/又は、接合時間が長すぎる場合には、金属シートが溶融し、あるいは、セラミックス側に生成する拡散層の厚さが厚くなるので好ましくない。
このような場合には、金属シートに予め炭素及び/又は窒素の拡散を抑制する処理を施すのが好ましい。このような処理としては、具体的には、
(1) 酸化膜形成元素を含む金属シートを、接合前に酸化処理し、金属シート表面に薄い酸化膜を形成する方法、
(2) 金属シートの表面に炭素との親和性が低い金属層(例えば、白金、ロジウム等の貴金属層)を形成する方法、
(3) 金属シートの表面に、金属シートより酸化膜形成元素の含有量が多い金属層を形成する方法、
(4) BN、Al2O3等の反応性の低い離型層をカーボンパンチとメタルシートの間に形成する方法、
などがある。
金属シートは、具体的には、
(1) 凹部の最大長さdが0.01mm以上1.0mm以下であり、
(2) 凹部のピッチが最大長さdの0.3倍以上100倍以下であるもの、
が好ましい。
なお、本実施の形態において、金属シートの厚さは、特に限定されるものではなく、金属シートを剥離させた後に、セラミックス表面に残る金属層の見かけの厚さが5μm以上300μm以下となるものであればよい。
また、「不連続体」、「凹部」、「最大長さd」等の定義、及び、金属シートの材料として耐酸化性・耐熱性材料が好ましい点は、上述した通りである。
不連続体からなる金属シートとしては、具体的には、金属繊維からなる織物メッシュ、2枚以上のパンチングメタルのような網状シートを積層した複層シート、メタル粒子集合体、短繊維集合体、などがある。
「媒体」としては、例えば、熱軟化性または溶剤に溶けやすい樹脂やワックス、及び、カーボン等の酸化処理により除去可能な物質が挙げられる。
セラミックス表面にマスクを重ね、その上から溶液を塗布し、乾燥させると、セラミックス表面に所定のパターンで複数個の突起を形成することができる。次に、突起が形成されたセラミックス表面に、スパッタ法、PLD法、蒸着法等を用いて薄膜を形成する。さらに、突起を適当な溶剤で除去し、あるいは酸化除去すれば、セラミックス表面に、連続体からなり、かつ、所定の凹凸構造を有する金属電極を形成することができる。
セラミックス表面を所定のパターンを有するマスクで覆い、気相法を用いて金属薄膜を堆積させると、セラミックス表面に所定の凹凸構造を有する金属電極/セラミックス接合体が得られる。
一般に、金属材料の熱膨張係数は、セラミックス材料より大きいので、これらを高温において接合し、室温まで冷却すると、接合界面には、熱膨張係数差に起因する熱応力が発生する。この熱応力がセラミックス材料の破壊強度を超えると、接合直後に、接合界面近傍には、クラックが発生する。また、熱応力がセラミックス材料の破壊強度を超えない場合であっても、使用中に繰り返し応力(例えば、振動による共振など)が作用すると、相対的に短期間で金属電極が剥離し、セラミックス材料が持つ電気的特性を長期間に渡って発現させるのが困難となる。
一方、金属電極として織物メッシュのような不連続体を用いると、熱応力は、ある程度緩和することができる。しかしながら、不連続体は、接合面積が相対的に小さいので、実用上、十分な接合強度は得られない。
さらに、金属電極に、リード線等の金属部品をロウ付けする場合、ロウ付けを容易化するためには、金属電極には、ある程度の厚さが必要となる。本発明に係る金属電極/セラミックス接合体は、金属電極が所定の凹凸構造を有しているので、ロウ付けの際には、厚いところを介してロウ付けが行われる。そのため、金属部品のロウ付けも極めて容易に行うことができる。
種々の組成を有する金属箔に対し、所定形状の孔を有するマスクを用いてエッチング処理し、所定の形状及び最大長さdを有する貫通孔を所定のピッチで形成した。次に、図3に示すように、機能性セラミックス10の両側を、貫通孔12a、12a…を有する金属箔12、12でサンドイッチ状に挟み、真空炉を用いて、真空中において所定の条件下で熱処理した。
機能性セラミックスの両側を、貫通孔を有しない種々の金属箔でサンドイッチ状に挟み、真空炉を用いて、真空中において、所定の条件下で熱処理した。
機能性セラミックスの両側に、凹凸構造を有する金属電極を接合した接合モデルを想定し、FEM解析により接合による応力計算を行った。金属電極は、Fe−Cr−Al−Y系耐熱鋼箔とし、接合温度は、1050℃とした。また、凹凸構造は、金属電極の外周部にのみ形成し、凹部は、四角穴(非貫通孔、深さ15μm)又は丸穴(非貫通孔、深さ15μm)とした。また、凹部の最大長さd(直径又は対角線長さ)、凹部のピッチ、及び、金属電極の厚さを変えて応力解析を行った。図4に、その結果を示す。
(1) 箔厚及び穴ピッチが一定である場合において、穴サイズ(凹部の最大長さd)が大きくなるほど、接合体に発生する最大応力が小さくなること(図4(a))、
(2) 箔厚及び穴サイズが一定である場合において、穴ピッチが大きくなるほど、接合体に発生する最大応力が小さくなること(図4(b))、及び、
(3) 穴サイズ及び穴ピッチが一定である場合において、箔厚が薄くなるほど、接合体に発生する最大応力が小さくなること(図4(c))、
がわかる。
厚さ50μmの穴開き及び穴無しの2種類のメタルシートを用いて、1000℃×390kg/cm2(38MPa)×10分の熱処理を実施した。穴無しのメタルシートを接合したサンプルは、接合後、セラミック内部で破壊し、2つに分離するような現象が認められた。一方、穴開きのメタルシートを用いた金属電極/セラミックス接合体においては、上記のような剥離現象は認められず、穴開きメタルを用いると、熱応力の緩和効果が大きいことがわかった。
Claims (8)
- 以下の構成を備えた金属電極/セラミックス接合体。
(1)前記金属電極/セラミックス接合体は、
セラミックスと、
該セラミックスの少なくとも一方の表面に接合された金属電極とを備え、
前記金属電極は、連続体からなり、かつ、複数個の凹部を有している。
(2)前記金属電極は、
(a)その見かけの厚さが、5μm以上100μm以下であり、
(b)前記凹部の最大長さdが、0.01mm以上1.0mm以下であり、
(c)前記凹部のピッチが、0.3mm以上1.0mm以下であり、
(d)酸化膜形成元素を含む耐酸化性・耐熱材料からなる。 - 前記凹部の形状は、菱形、四角形、多角形、三角形、円形、楕円形又は丸形である請求項1に記載の金属電極/セラミックス接合体。
- 前記金属電極は、前記セラミックスとの接合面が平坦であり、前記セラミックスと接合されていない非接合面に前記凹部を有する請求項1又は2に記載の金属電極/セラミックス接合体。
- 前記凹部は、規則配列している請求項1から3までのいずれかに記載の金属電極/セラミックス接合体。
- 以下の構成を備えた金属電極/セラミックス接合体の製造方法。
(1)前記金属電極/セラミックス接合体の製造方法は、
連続体からなり、かつ、複数個の凹部を有している金属シートとセラミックスとを重ね合わせ、前記金属シートと前記セラミックスとを加熱処理及び/又は電圧印加する接合工程を備えている。
(2)前記金属シートは、
(a)その見かけの厚さが、5μm以上100μm以下であり、
(b)前記凹部の最大長さdが、0.01mm以上1.0mm以下であり、
(c)前記凹部のピッチが、0.3mm以上1.0mm以下であり、
(d)酸化膜形成元素を含む耐酸化性・耐熱材料からなる。 - 以下の構成を備えた金属電極/セラミックス接合体の製造方法。
(1)前記金属電極/セラミックス接合体の製造方法は、
不連続体からなり、複数個の凹部を有している金属シートとセラミックスとを重ね合わせ、前記金属シートと前記セラミックスとを加熱する接合工程と、
前記不連続体からなる前記金属シートの残留物を剥離させる剥離工程とを備えている。
(2)前記金属シートは、
(a)前記凹部の最大長さdが、0.01mm以上1.0mm以下であり、
(b)前記凹部のピッチが、0.3mm以上1.0mm以下であり、
(c)酸化膜形成元素を含む耐酸化性・耐熱材料からなる。
(3)前記接合工程及び前記剥離工程は、前記セラミックスの表面に形成される金属電極の見かけの厚さが5μm以上100μm以下となるように、接合及び剥離を行うものである。 - 前記接合工程は、0.5MPa以上100MPa以下の加圧下において、前記金属シートと前記セラミックスとを接合させるものである請求項5又は6に記載の金属電極/セラミック接合体の製造方法。
- 以下の構成を備えた金属電極/セラミックス接合体の製造方法。
(1)前記金属電極/セラミックス接合体の製造方法は、
複数個の貫通孔が形成されたマスクをセラミックス表面に重ね、媒体を溶剤に溶解させた溶液を前記マスクの上から塗布し、前記溶剤を除去することによって前記セラミックス表面に前記媒体からなる突起を形成する突起形成工程と、
前記突起が形成されたセラミックス表面に金属薄膜を形成する薄膜形成工程と、
前記突起を溶剤で除去し、又は、酸化除去する除去工程とを備えている。
(2)前記金属薄膜は、酸化膜形成元素を含む耐酸化性・耐熱材料からなる。
(3)前記突起形成工程、前記薄膜形成工程、及び、前記除去工程は、
(a)前記セラミックスの表面に形成される金属電極の見かけの厚さが5μm以上100μm以下となり、
(b)前記突起を除去することによって前記金属電極に形成される凹部の最大長さdが、0.01mm以上1.0mm以下となり、
(c)前記凹部のピッチが、0.3mm以上1.0mm以下となる
ように、突起形成、薄膜形成及び除去を行うものである。
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