JP4650982B2 - 定着装置及びその定着装置を有する画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、記録材に担持された未定着トナー像を定着する定着装置と、その定着装置を有する画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子複写機、プリンタ、ファクシミリ或いはこれらの少なくとも2つの機能を備えた複合機などとして構成される画像形成装置においては、記録材に担持された未定着トナー像を熱と圧力の作用で定着する定着装置が用いられている。かかる定着装置として、定着ベルトに加圧ローラを圧接させ、未定着トナー像を担持した記録材を、そのトナー像が、定着ベルトに接触する向きにして定着ベルトと加圧ローラとの圧接部を通過させる形式の装置が知られている。
【0003】
この定着装置の場合、記録材が定着ベルトと加圧ローラの圧接部を通過するとき、高温となったトナーが定着ベルトの表面に移行する現象、すなわち高温オフセットを防止する目的で、その定着ベルト表面に多量のシリコーンオイルより成る離型剤を塗布している。カラー画像形成装置の場合には、画像の色再現性や光沢性を高めるために、トナー像の定着時にトナーを充分に溶融させる必要があるため、低融点のトナーが使用されているが、かかる低融点トナーは高温オフセットしやすいため、特に多量のシリコーンオイルを定着ベルト表面に塗布している。ところが、このように定着ベルト表面に多量のシリコーンオイルを塗布すると、これが記録材に付着したり、多量のシリコーンオイルを使用することから、これがこぼれてしまうおそれもある。
【0004】
そこで、このような問題点を解決するために、シリコーンオイルを全く使用しないか、或いは定着ベルトへのシリコーンオイルの塗布量を極くわずかにして、定着後の画像の優れた色再現性と光沢性を得ることの可能な定着装置が提案されている。例えば、特開平4−273274号において、加熱ローラとベルト搬送ローラとに掛け回した定着ベルトを、定着ローラに対して下方から押圧する加圧ローラを設け、定着ローラと加圧ローラとの圧接部を通過した記録材を定着ベルトに密着させたまま搬送し、その搬送過程での定着ベルト自体の温度低下により、トナーを冷却してその粘度を高める定着装置が提案されている。この定着装置では、トナーがガラス転移状態になった後に記録材を定着ベルトから分離するので、シリコーンオイル等の離型剤を使用することなく、或いは極く少量の使用でオフセットのない定着画像を得られる。
【0005】
ところが、上記公知技術においては、定着ベルトに対するトナーの離型性は、定着ベルト自体の温度低下により改善されているが、定着ローラと加圧ローラとの圧接部よりも定着ベルト移動方向下流側の定着ベルト部分が加圧ローラに巻き付いているので、圧接部を通過した記録材が加圧ローラ側にカールし、その記録材がそのまま加圧ローラの周面に巻き付きやすくなる。特に、記録材の両面に画像を形成できる画像形成装置において、未定着トナー像を担持した面と反対側の面に既に定着トナー像が形成されている記録材を定着ローラと加圧ローラの圧接部に通して未定着トナー像を定着するとき、既に定着されているトナー像は加圧ローラの周面に接触することになるが、このとき加圧ローラからの熱によって既に定着されているトナー像のトナーが軟化するので、その記録材が加圧ローラの周面に巻き付きやすくなる。このような巻き付きが発生すると、記録材がジャムを起こすおそれがあるだけでなく、加圧ローラに接触したトナー像に過度の熱が加えられるので、そのトナー像と、その反対側の記録材面のトナー像とに光沢度に差が生じるおそれもある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、定着ベルトに離型剤を塗布しないか、又はその塗布量を少なくでき、しかも上記従来の欠点を除去可能な定着装置を提供することをその第1の目的とし、かかる定着装置を有する画像形成装置を提供することを第2の目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記第1の目的を達成するため、定着ローラとベルト搬送ローラの少なくとも2つのローラに無端状の定着ベルトを掛け渡し、該定着ベルトを介して、前記定着ローラに加圧ローラを圧接し、未定着トナー像を担持した記録材を、そのトナー像が、加熱された前記定着ベルトに接する向きにして、前記定着ローラと加圧ローラとの圧接部を通過させ、該圧接部を通過した記録材を定着ベルトに密着させたまま搬送した後、該記録材を定着ベルトから分離する定着装置において、前記定着ベルトを介して定着ローラと加圧ローラとが圧接した圧接部において、定着ローラが加圧ローラに食い込んで加圧ローラが凹んだ状態に弾性変形するように、前記定着ローラが剛体により構成され、かつ前記加圧ローラが、芯金と、該芯金のまわりに設けられた剛性を有する多孔質樹脂層と、その多孔質樹脂層のまわりに設けられた弾性層とを有していることを特徴とする定着装置を提案する(請求項1)。
【0009】
また、上記請求項1に記載の定着装置において、パイプ状の金型の内部に入れた芯金のまわりに、バインダーを混入した樹脂粒体を詰め、次いで該金型を封印した後、当該金型を加熱して前記バインダーを焼失させることによって、前記芯金と一体に形成された多孔質樹脂層を成形すると共に、該多孔質樹脂層が前記芯金に対して抜けることと、回転することを阻止する抜け回転阻止手段を設けると有利である(請求項2)。
【0010】
さらに、上記請求項1又は2に記載の定着装置において、前記多孔質樹脂層の気孔率は25%以上であると有利である(請求項3)。
【0012】
また、本発明は、上記第2の目的を達成するため、請求項1乃至3のいずれかに記載の定着装置を具備することを特徴とする画像形成装置を提案する(請求項4)。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態例を図面に従って詳細に説明する。
【0014】
図1は画像形成装置の一例であるカラープリンタの一部を示す概略図である。
ここに示した画像形成装置は、記録材上にトナー像を形成する作像手段1と、そのトナー像を記録材上に定着する定着装置2とを有している。先ず作像手段1の概略を明らかにする。
【0015】
図1に示した作像手段1は、ドラム状の感光体として構成された第1乃至第4の像担持体3Y,3M,3C,3BKを有し、その各像担持体上にイエロートナー像、マゼンタトナー像、シアントナー像及びブラックトナー像がそれぞれ形成される。第1乃至第4の像担持体3Y乃至3BKに対向して転写ベルト4が配置され、この転写ベルト4は、駆動ローラ5と従動ローラ6に巻き掛けられて矢印A方向に走行駆動される。
【0016】
第1乃至第4の各像担持体3Y,3M,3C,3BK上にトナー像を形成する構成と、その作用は実質的に全て同一であるため、第1の像担持体3Yにトナー像を形成する構成だけを説明する。この像担持体3Yは図1における時計方向に回転駆動され、このとき帯電ローラ7によって像担持体表面が所定の極性に均一に帯電される。次いでその帯電面に、レーザ書き込みユニット8から出射する光変調されたレーザビームLが照射される。これによって像担持体3Y上に静電潜像が形成され、その静電潜像が現像装置9によってイエロートナー像として可視像化される。
【0017】
一方、図示していない給紙部から、例えば転写紙又は樹脂シートや樹脂フィルムなどから成る記録材Pが給送され、その記録材Pが、矢印Bで示すように、像担持体3Yと転写ベルト4の間に送り込まれ、転写ベルト4に担持されて搬送される。転写ベルト4を挟んで、像担持体3Yにほぼ対向する位置には転写ローラ10が配置され、その転写ローラ10に対し、像担持体3Y上のトナーの帯電極性と逆極性の電圧が印加され、これによって像担持体3Y上のイエロートナー像が記録材P上に転写される。記録材Pに転写されず、像担持体3Y上に残された転写残トナーは、クリーニング装置11によって除去される。
【0018】
全く同様にして、第2乃至第4の像担持体3M,3C,3BK上にマゼンタトナー像、シアントナー像及びブラックトナー像がそれぞれ形成され、これらのトナー像が、イエロートナー像の転写された記録材P上に順次重ね合されて転写される。
【0019】
上述のようにして4色の未定着トナー像を担持した記録材Pは、矢印Cで示すように定着装置2を通過し、このときそのトナー像が記録材P上に定着される。定着装置2を通過した記録材は、そのまま矢印D方向に搬送されて図示していない排紙トレイ上に排出されるか、又は矢印Eで示すように、図示していない中間給紙装置に搬送され、ここから再給紙されて、既にトナー像が定着されている面と反対側の面を上にして、再び矢印Bで示すように転写ベルト4により搬送されながら各像担持体3Y,3M,3C,3BKを通過し、その記録材に4色の未定着トナー像が形成される。そして、この記録材が再び定着装置2を通過することにより、そのトナー像が記録材に定着され、引き続きこの記録材は矢印D方向に搬送されて排紙トレイに排出される。
【0020】
図2は定着装置2の拡大断面図であり、ここに示した定着装置2は、定着ローラ12とベルト搬送ローラ13とに巻き掛けられた定着ベルト14を有し、その定着ベルト14を介して加圧ローラ15が所定の圧力で定着ローラ12に圧接している。定着ローラ12の内部には、定着ベルト14を加熱する加熱源としてのヒータ16が配置され、定着ベルト14の表面にはサーミスタ17が配置されていて、このサーミスタ17により定着ベルト表面の温度を検知し、図示していない温度制御回路がサーミスタ17による検知温度に基づいてヒータ16をオン,オフ制御し、定着ベルト14の表面温度を所定の範囲に維持する。図示した例では、サーミスタ17は、定着ベルト14の幅方向中央部に設置され、しかも定着ベルト14と加圧ローラ15との圧接領域の中央部から定着ベルト表面の移動方向上流側に約90°の位置に取り付けられている。本例ではヒータ16としてハロゲンヒータが用いられている。また図示した例では、定着ベルト14が定着ローラ12とベルト搬送ローラ13の2つのローラに巻き掛けられているが、この定着ベルト14を3以上のローラに掛け渡すように構成することもできる。
【0021】
また、図2に示すように、定着ベルト14を介して定着ローラ12と加圧ローラ15とが圧接した圧接部において、定着ローラ12が加圧ローラ15に食い込んで加圧ローラ15が凹んだ状態に弾性変形するように、定着ローラ12と加圧ローラ15がそれぞれ構成されている。
【0022】
画像形成動作時に、各ローラ12,13,15はそれぞれ矢印方向に回転し、これに伴って定着ベルト14も図1に矢印で示す方向に駆動される。このとき、ヒータ16からの熱によって、定着ベルト14の表面温度がトナー像の定着に適した温度に保たれる。
【0023】
未定着トナー像Tを担持した記録材Pは、図1を参照して先に説明したように、矢印Cで示す如く定着装置2に搬送され、定着ローラ12と加圧ローラ15との圧接部を通過する。このときトナー像Tに圧力が加えられると共に、定着ベルト14から熱を与えられてトナーが溶融する。圧接部を通過した記録材Pは、引き続き溶融状態にあるので、定着ベルト14の表面に密着したままその定着ベルト14によって搬送される。記録材Pがこのように搬送される過程で、定着ベルト14が漸次、冷却されるので、トナーの温度も低下し、当該トナーがガラス転移状態になった後、例えばその記録材Pの腰の作用で当該記録材Pが定着ベルト14から分離する。このように、定着ローラ12と加圧ローラ15との圧接部を通過した記録材Pは定着ベルト14の表面に密着してベルト搬送ローラ13の部分、又はそのベルト搬送ローラ13の近くにまで搬送されて定着ベルト14から離れ、定着装置2から排出される。このようにして記録材上のトナー像が定着されるのである。
【0024】
図1に示した画像形成装置は、記録材P上にカラートナー像を形成するように構成され、定着後のトナー像の色再現性と光沢性を高めるために、低融点トナーが用いられている。このようなトナーは、定着ベルト14へのオフセットが発生しやすいのであるが、本例の定着装置2では、上述のように定着ローラ12と加圧ローラ15との圧接部を通過した後の記録材Pを定着ベルト14に密着させて搬送し、そのトナーの温度が低下したところで、記録材Pを定着ベルト14から分離するので、定着ベルト14上にシリコーンオイルを塗布しないか、或いは塗布したとしても極く少量のオイルを塗布するだけで、トナーが定着ベルト14に移行する現象、すなわち高温オフセットの発生を阻止できる。
【0025】
定着ベルト14に密着して搬送される記録材Pに対して、或いはベルト搬送ローラ13の部位に至った記録材Pに対して例えば冷風を当てるなどして、トナーを積極的に冷却し、記録材Pと定着ベルト14との分離性を高めるように構成することもできる。
【0026】
上述のように、本例の定着装置は、定着ローラとベルト搬送ローラの少なくとも2つのローラに無端状の定着ベルトを掛け渡し、該定着ベルトを介して、前記定着ローラに加圧ローラを圧接し、未定着トナー像を担持した記録材を、そのトナー像が、加熱された定着ベルトに接する向きにして、定着ローラと加圧ローラとの圧接部を通過させ、該圧接部を通過した記録材を定着ベルトに密着させたまま搬送した後、該記録材を定着ベルトから分離するように構成されており、かかる構成により定着ベルトに対するトナーの離型性を高めることができ、定着ベルトに離型剤を塗布しないか、又はその塗布量を極めて少なくすることが可能となる。
【0027】
しかも、前述のように、定着ローラ12と加圧ローラ15との圧接部において、加圧ローラ15が凹んだ状態に弾性変形しているので、この圧接部を出た記録材Pの先端部は、その腰によって、定着ローラ12ないしは定着ベルト14の側に向けてカールしようとする。このため、圧接部を通過した記録材Pが加圧ローラ15の周面に巻き付く不具合を阻止できる。図2に示したように、記録材Pの下側面(裏面)に既に定着されたトナー像T1が形成されていて、かかる記録材Pが定着ローラ12と加圧ローラ15との圧接部を通過するとき、すなわち両面定着時に、トナー像T1に熱が与えられてこれが軟化するので、従来のこの種の定着装置においては、そのトナー像T1のトナーが加圧ローラ15の周面に付着して、当該記録材Pが加圧ローラ15に巻き付きやすかったのであるが、本例の定着装置においては、上述の構成によって、既にトナー像T1が形成されている記録材も、加圧ローラ15に巻き付くことを阻止できる。これにより、記録材のジャムを防止できると共に、定着装置2を出た記録材Pの各面に形成されたトナー像の光沢度に差が生じることはなく、品質の一定したトナー像を得ることができる。
【0028】
次に定着装置2の各要素のより具体的な構成例を説明する。
【0029】
定着ベルト14の基体には、耐熱性樹脂や、金属から形成されたエンドレスのベルト状基体が用いられている。耐熱性樹脂の材質とは、ポリイミド、ポリアミドイド、ポリエーテルケトン(PEEK)等を使用し、金属ベルトの材質としては、ニッケル、アルミニウム、鉄等を使用することができる。その基体の厚さは100μm以下の薄肉のものが望ましい。また、定着ベルト14の表面は、記録材Pとトナーが加圧接触するため、離型性が必要であり、また、耐熱性、耐久性に優れたものが好ましい。そのため、定着ベルト14は、その基体の表面に耐熱離型層(フッ素系樹脂、高離型シリコンゴム等)から成る表面離型層が被覆されていることが好ましい。フッ素樹脂は、吹きつけ等により基体表面に塗装し、加熱融着させることにより表面離型層を形成する。高離型シリコンゴム層は、ゴム硬度25〜65度(JIS A硬度計)、厚さが100〜300μmの範囲が良好な定着性及び熱応答性を得る条件として望ましい。かかる定着ベルト14は、これを円形状態としたときの直径が例えば60mmに設定され、定着動作時の定着ベルト14の表面線速は例えば200mm/sに設定される。
【0030】
定着ローラ12は剛体により構成され、例えばアルミニウム、炭素鋼、ステンレス鋼等の中空金属円筒状の薄肉ローラとして形成される。その外径は、例えば30mm、肉厚は例えば0.6mmである。
【0031】
ヒータ16は定着ベルト14を加熱する加熱源であり、図1に示した例では定着ローラ12の内部に設けられているが、定着ローラ12の外部や、定着ベルトの外部などから定着ベルト14を加熱するようにヒータを配設することもできる。定着ローラ12と加圧ローラ15との圧接部を通過した定着ベルト部分は、前述のように冷却する必要があるため、ベルト搬送ローラ13にはヒータを設けない。また、加圧ローラ15の内部にヒータを設けることもできるが、このようにすると、加圧ローラ15が加熱されるので、既に定着されているトナー像T1を有する記録材Pが加圧ローラ15に接触したとき、そのトナーが定着ローラ12にオフセットしやすくなるので、この意味では、図1に示した例のように加圧ローラ15にヒータを設けない方が好ましい。
【0032】
次に、図2に例示した加圧ローラ15は、アルミニウム、ステンレス鋼、もしくは炭素鋼等の芯金18と、その芯金18のまわりに設けられた気孔を含む剛性を有した断熱性の多孔質樹脂層19と、その多孔質樹脂層19のまわりに設けられた弾性層20とを有している。多孔質樹脂層19は、バインダーを混入させた樹脂粒体を金型に詰め、金型を加熱し、バインダーを焼失させることで気孔を得ることができる。樹脂材料としては、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンサルファイド、フェノール樹脂等が用いられる。本実施例では、多孔質樹脂層19にポリエーテルイミド、弾性層20には、厚さ2mm、ゴム硬度25度(JIS A硬度)のシリコンゴムが用いられている。
【0033】
上述のように、定着ローラ12は剛体より成り、加圧ローラ15はその外側に弾性層20を有しているので、これらが定着ベルト14を介して圧接すると、その圧接部において、図2に示したように加圧ローラ15が凹んだ状態に弾性変形する。
【0034】
また、加圧ローラ15は芯金18のまわりに多孔質樹脂層19を有しているが、かかる多孔質材はその断熱性が高い。このため、定着ベルト14の熱が芯金18に逃げることを防止でき、熱の損失を防ぎ、定着装置の立上げ時間の短縮と省エネ化を図ることができる。
【0035】
多孔質樹脂層19の断熱性は、その気孔率によって変化する。図3は、本実施形態例で多孔質樹脂層19に用いたポリエーテルイミドの、気孔率と熱伝導率の関係を示す。気孔率が25%より小さくなると、熱伝導率が急激に高くなり、加圧ローラ15の断熱効果が低減してしまう。加圧ローラ15の断熱効果を得るためには、多孔質樹脂層19に用いるポリエーテルイミドの気孔率は25%以上、望ましくは40%以上が必要である。
【0036】
ベルト搬送ローラ13も断熱化を図るために、芯金の外周に断熱性の材料、例えば発泡シリコンゴム等で構成された断熱性部材を備えていることが好ましい。加圧ローラ15とベルト搬送ローラ13を断熱化することにより、より効果的に立上げ時間の短縮と省エネ化を図ることができる。また、ベルト搬送ローラ13の部分での曲率が大きいと、定着ベルト14に密着して搬送されてきた記録材Pの離型性がよいので、ベルト搬送ローラ13の径は小さい方がよい。その直径を例えば20mmとする。
【0037】
前述したように、加圧ローラ15の芯金18のまわりに設けた、気孔を含む剛性を有した多孔質樹脂層19は、バインダーを混入させた樹脂粒体を金型に詰め、金型を加熱し、バインダーを焼失させることで成形することができる。ところが、その多孔質樹脂層19は、成形時にヒケが発生し、また、そのヒケを一定にすることが難しく、外径は成形後にフレを補正する研磨が必要である。このとき、研磨の熱により多孔質樹脂層19の樹脂が溶け、多孔が埋まってしまわないように、低温を保ちながら研磨しなくてはならない。また、内径もヒケが一定にならないため、多孔質樹脂層19を成形後に、芯金18に圧入することは難しい。従って、多孔質樹脂層19は芯金18に一体成形するのがよい。図4に、芯金18と多孔質樹脂層19の一体成形による製造方法を示す。パイプ状の金型21の内部に芯金18を入れ、芯金18のまわりにバインダーを混入させた樹脂粒体を詰める。そして、上駒22と下駒23で金型21を封印し、その金型21を外部から加熱してバインダーを焼失させる。このようにして、芯金18と一体に形成された多孔質樹脂層19を成形することができる。
【0038】
ここで、加熱時に芯金18は膨張し、冷却時に収縮する。本例で用いたポリエーテルイミドの多孔質樹脂層19は、冷却時の収縮率が小さいため、芯金18への接着力が弱く、一体成形後、芯金18から抜けたり、回ったりしてしまいやすい。
【0039】
そこで、それらの問題を解決するために、図5に示すように、芯金18に多孔質樹脂層19の抜けと回転を防止する部材24を設ける。この抜け回転防止部材24は、ピンや突起等である。或いは、図6に示すように芯金18の表面に多孔質樹脂層19の抜けと回転を防止する溝25を設けてもよい。これにより、多孔質樹脂層19の芯金18からの抜け、及び回転を防止することができる。図6は、網目状に形成された抜け、及び回転防止用の溝25を設けた芯金18を示している。このように、多孔質樹脂層が芯金に対して抜けることと、回転することを阻止する回転阻止手段を設けることによって、多孔質樹脂層が芯金から抜けたり、回ったりする不具合を阻止できる。
【0040】
また多孔質樹脂層19の分子は、成形時に温度の高い方に寄っていく性質があり、金型21を外部からだけ加熱すると、多孔質樹脂層19の内径が大きくなってしまうことがわかった。そこで、成形時には、図4に示すように、中空の芯金18の内側に加熱手段26を挿入し、芯金18の内側からも加熱すると、多孔質樹脂層19の分子を芯金18側に導くことができる。それにより、多孔質樹脂層19の芯金18への密着力が高まり、芯金18からの抜け、及び回転を防止することができる。
【0041】
また、別の構成の加圧ローラ15を図7に示す。ここに示した加圧ローラ15は、芯金27と、その芯金27のまわりに設けられた弾性を有した断熱性の発泡体層28と、その発泡体層28のまわりに設けられた離型層29とを有している。本例では、発泡体層28として、耐熱性の発泡シリコンゴムが用いられ、離型層29としてPFAチューブが用いられている。発泡シリコンゴムは、厚さ3mm、硬度はアスカーCで60度とした。PFAチューブは、厚さ50μmのものを用いた。本構成の加圧ローラ15も弾性を持っているため、定着ローラ12と加圧ローラ15との圧接部において、加圧ローラ15が凹んだ状態に弾性変形する。このため、前述した加圧ローラ15と同様に、圧接部通過後の記録材Pは、定着ローラ12側にカールしようとするので、加圧ローラ15側の記録材面(裏面)の離型性を良くすることができ、特に裏面の離型性が悪くなる両面定着時においても、記録材Pの加圧ローラ15への巻き付きを防止することができる。よって、本構成の加圧ローラ15を用いた定着装置2も、オイルレスでの両面定着においても、記録材が加圧ローラ15に巻き付くことなくトナー像を定着することができる。
【0042】
また、加圧ローラ15は、断熱の発泡体層28を芯金27のまわりに有しているので、定着ベルト14の熱を芯金27に逃がさず、熱の損失を防ぐことができる。このため、定着装置2の立上げ時間の短縮と省エネ化を図ることができる。
【0043】
本発明は、単色の画像を形成する画像形成装置や、記録材の片面にのみ画像を形成する画像形成装置、及びこれらに用いられる定着装置にも広く適用できるものである。
【0044】
【発明の効果】
本発明によれば、定着ベルトに離型剤を塗布せず、或いはその塗布量を極く少なくすることができ、しかも記録材が加圧ローラに巻き付く不具合を防止することができる。その上、加圧ローラの断熱性を高めることができるので、定着装置の立上げ時間の短縮を図ることができる。
【0046】
特に、請求項2に係る発明によれば、多孔質樹脂層が芯金に対して抜けたり、回ったりする不具合を阻止できる。
【0047】
また、請求項3に係る発明によれば、加圧ローラの断熱性を特に高めることができる。
【0048】
さらに、請求項4に係る発明によれば、上記各効果を奏する画像形成装置を供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】画像形成装置の一部を示す概略図である。
【図2】図1に示した定着装置の拡大断面図である。
【図3】気孔率と熱伝導率の関係の一例を示すグラフである。
【図4】多孔質樹脂層の成形方法を説明する断面図である。
【図5】抜け回転防止部材を設けた芯金と多孔質樹脂層を示す断面図である。
【図6】抜け回転防止溝を設けた芯金を示す図である。
【図7】別の加圧ローラの横断面図である。
【符号の説明】
2 定着装置
12 定着ローラ
13 ベルト搬送ローラ
14 定着ベルト
15 加圧ローラ
18 芯金
19 多孔質樹脂層
20 弾性層
28 発泡体層
29 離型層
Claims (4)
- 定着ローラとベルト搬送ローラの少なくとも2つのローラに無端状の定着ベルトを掛け渡し、該定着ベルトを介して、前記定着ローラに加圧ローラを圧接し、未定着トナー像を担持した記録材を、そのトナー像が、加熱された前記定着ベルトに接する向きにして、前記定着ローラと加圧ローラとの圧接部を通過させ、該圧接部を通過した記録材を定着ベルトに密着させたまま搬送した後、該記録材を定着ベルトから分離する定着装置において、前記定着ベルトを介して定着ローラと加圧ローラとが圧接した圧接部において、定着ローラが加圧ローラに食い込んで加圧ローラが凹んだ状態に弾性変形するように、前記定着ローラが剛体により構成され、かつ前記加圧ローラが、芯金と、該芯金のまわりに設けられた剛性を有する多孔質樹脂層と、その多孔質樹脂層のまわりに設けられた弾性層とを有していることを特徴とする定着装置。
- パイプ状の金型の内部に入れた芯金のまわりに、バインダーを混入した樹脂粒体を詰め、次いで該金型を封印した後、当該金型を加熱して前記バインダーを焼失させることによって、前記芯金と一体に形成された多孔質樹脂層を成形すると共に、該多孔質樹脂層が前記芯金に対して抜けることと、回転することを阻止する抜け回転阻止手段を設けた請求項1に記載の定着装置。
- 前記多孔質樹脂層の気孔率は25%以上である請求項1又は2に記載の定着装置。
- 請求項1乃至3のいずれかに記載の定着装置を具備することを特徴とする画像形成装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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