JP4688124B2 - 定着装置及びその定着装置を有する画像形成装置 - Google Patents
定着装置及びその定着装置を有する画像形成装置 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、記録材に担持された未定着トナー像を定着する定着装置と、その定着装置を有する画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子複写機、プリンタ、ファクシミリ或いはこれらの少なくとも2つの機能を備えた複合機などとして構成される画像形成装置においては、記録材に担持された未定着トナー像を熱と圧力の作用で定着する定着装置が用いられている。かかる定着装置として、定着部材に加圧部材を圧接させ、未定着トナー像を担持した記録材を、そのトナー像が、定着部材に接触する向きにして定着部材と加圧部材との圧接部、すなわちそのニップ部を通過させる形式の装置が知られている。
【0003】
この定着装置の場合、記録材が定着部材と加圧部材のニップ部を通過するとき、高温となったトナーが定着部材の表面に移行する現象、すなわち高温オフセットを防止する目的で、その定着部材表面に、例えば低粘度のシリコーンオイルより成る離型剤を多量に塗布している。カラー画像形成装置の場合には、画像の色再現性や光沢性を高めるために、トナー像の定着時にトナーを充分に溶融させる必要があるため、低融点のトナーが使用されているが、かかる低融点トナーは高温オフセットしやすいため、特に多量のシリコーンオイルを定着部材表面に塗布する必要がある。ところが、このように定着部材表面に多量のシリコーンオイルを塗布すると、これが記録材に付着したり、多量のシリコーンオイルを使用することから、これがこぼれてしまうおそれもある。
【0004】
そこで、回転する定着部材の表面線速と、同じく回転する加圧部材の表面線速を異ならせることにより、これらのニップ部を搬送される記録材の速さと定着部材の表面の線速とが互いに異なるように構成することが考えられる。このように構成すれば、記録材上のトナーと定着部材表面との間にせん断力が作用するので、トナー像を定着部材の表面から効率よく分離させることができ、トナーが定着部材の表面に移行するオフセットを防止できると共に、記録材が定着部材の表面に巻き付いてしまう不具合を防止することが可能となる。これにより、定着部材の表面に離型剤を塗布せず、或いはその塗布量を少なくすることができる。ところが、定着部材と加圧部材のニップ部中に存在するトナーは、その温度が高く、溶融状態ないしは軟化状態にあるため、そのニップ部において記録材の速さと定着部材表面の線速との差が、例えば定着部材の表面線速の1%以上と、大きな値に設定されていると、ニップ部内のトナーが記録材に対してずれ動き、トナー像が乱れてしまう欠点を免れない。そこで、定着部材の表面線速と記録材の速さの差を、上記値よりも小さく設定したとすると、今度は、オフセット防止効果と記録材の巻き付き防止効果が不充分となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記認識に基づきなされたものであり、定着部材表面に離型剤を塗布しないか、又はその塗布量を少なくしても、オフセットを防止できると共に、記録材が定着部材に巻き付くことを防止可能な定着装置を提供することを第1の目的とし、かかる定着装置を具備する画像形成装置を提供することを第2の目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記第1の目的を達成するため、回転する定着部材と、回転する加圧部材とのニップ部に、定着すべきトナー像を担持した記録材を、そのトナー像が定着部材に接する向きにして通過させ、該ニップ部にて前記トナー像を加圧すると共に加熱して該トナー像のトナーを溶融させ、ニップ部を出た記録材を、定着部材の表面に密着させて搬送しながらトナーの温度を低下させ、次いで該記録材を、前記定着部材と、回転する搬送手段の圧接部を通過させ、該圧接部を通過した記録材を定着部材から分離する定着装置において、前記定着部材を、ガイドローラに巻き掛けられて回転駆動される定着ベルトとして構成すると共に、該定着部材の表面線速と前記搬送手段の表面線速を異ならせ、かつ前記搬送手段の表面線速を周期的に変化させることを特徴とする定着装を提案する(請求項1)。
【0008】
また、上記請求項1に記載の定着装置において、前記搬送手段は、芯軸と、該芯軸のまわりに設けられた多孔質樹脂層とを有する搬送ローラにより構成されていると有利である(請求項2)。
【0009】
さらに、上記請求項1又は2に記載の定着装置において、前記搬送手段は、シリコーンゴム層より成る表層を具備すると有利である(請求項3)。
【0010】
また、本発明は、上記第2の目的を達成するため、請求項1乃至3のいずれかに記載の定着装置を有することを特徴とする画像形成装置を提案する(請求項4)。
【0011】
その際、前記定着装置により定着されるトナー像のトナーが、少なくとも結着樹脂、着色剤及びワックスを含有していると有利である(請求項5)。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態例を図面に従って説明する。
【0013】
図1は画像形成装置の一例であるカラープリンタの一部を示す概略図である。ここに示した画像形成装置は、記録材上にトナー像を形成する作像手段1と、そのトナー像を記録材上に定着する定着装置2とを有している。先ず作像手段1の概略を明らかにする。
【0014】
図1に示した作像手段1は、ドラム状の感光体として構成された第1乃至第4の像担持体3Y,3M,3C,3BKを有し、その各像担持体上にイエロートナー像、マゼンタトナー像、シアントナー像及びブラックトナー像がそれぞれ形成される。第1乃至第4の像担持体3Y乃至3BKに対向して転写ベルト4が配置され、この転写ベルト4は、駆動ローラ5と従動ローラ6に巻き掛けられて矢印A方向に回転駆動される。
【0015】
第1乃至第4の各像担持体3Y,3M,3C,3BK上にトナー像を形成する構成と、その作用は実質的に全て同一であるため、第1の像担持体3Yにトナー像を形成する構成だけを説明する。この像担持体3Yは図1における時計方向に回転駆動され、このとき帯電ローラ7によって像担持体表面が所定の極性に均一に帯電される。次いでその帯電面に、レーザ書き込みユニット8から出射する光変調されたレーザビームLが照射される。これによって像担持体3Y上に静電潜像が形成され、その静電潜像が現像装置9によってイエロートナー像として可視像化される。
【0016】
一方、図示していない給紙部から、例えば転写紙又は樹脂シートや樹脂フィルムなどから成る記録材Pが給送され、その記録材Pが、矢印Bで示すように、像担持体3Yと転写ベルト4の間に送り込まれ、転写ベルト4に担持されて搬送される。転写ベルト4を挟んで、像担持体3Yにほぼ対向する位置には転写ローラ10が配置され、その転写ローラ10に対し、像担持体3Y上のトナーの帯電極性と逆極性の電圧が印加され、これによって像担持体3Y上のイエロートナー像が記録材P上に転写される。記録材Pに転写されず、像担持体3Y上に残された転写残トナーは、クリーニング装置11によって除去される。
【0017】
全く同様にして、第2乃至第4の像担持体3M,3C,3BK上にマゼンタトナー像、シアントナー像及びブラックトナー像がそれぞれ形成され、これらのトナー像が、イエロートナー像の転写された記録材P上に順次重ね合されて転写される。
【0018】
上述のようにして4色の未定着トナー像を担持した記録材Pは、矢印Cで示すように定着装置2に送り込まれ、このときそのトナー像が記録材P上に定着される。定着装置2を通過した記録材は、矢印D方向に搬送されて図示していない排紙トレイ上に排出される。
【0019】
図2は図1に示した定着装置2の拡大断面図であり、ここに示した定着装置2は、無端状の定着ベルトとして構成された定着部材14を有し、この定着部材14は、複数のガイドローラ、図2に示した例では第1ガイドローラ12と第2ガイドローラ13の2つのガイドローラに巻き掛けられている。また、定着部材14の表面には、加圧ローラとして構成された加圧部材15が圧接し、定着部材14と加圧部材15との圧接によりニップ部Nが形成されている。図2に示した定着装置においては、加圧部材15が定着部材14を介して第1ガイドローラ12に圧接している。
【0020】
第1ガイドローラ12又は第2ガイドローラ13、或いは両ガイドローラ12,13が図示していない駆動装置により回転駆動されることにより、定着ベルトより成る定着部材14は矢印E方向に回転駆動され、第1及び第2ガイドローラ12,13はそれぞれ矢印で示した方向に回転する。加圧部材15は定着部材14に圧接しながら矢印方向に回転する。すなわち、加圧部材15は、定着部材14との当接部において、当該定着部材14の表面移動方向と同じ方向に移動する向きに回転する。第2ガイドローラ13は定着ベルトより成る定着部材14にテンションを付与するテンションローラとしての用をなす。
【0021】
第1ガイドローラ12の内部には、定着部材14を加熱する加熱源としてのヒータ16が配置され、定着部材14の表面には、その定着部材の温度を検知するセンサの一例であるサーミスタ17が配置されている。このサーミスタ17により定着部材表面の温度を検知し、図示していない温度制御回路がサーミスタ17による検知温度に基づいてヒータ16をオン,オフ制御し、定着部材14の表面温度をトナー像の定着に適した所定の範囲に維持する。図示した例では、サーミスタ17は、定着部材14の幅方向中央部に設置され、しかも定着部材14と加圧部材15とのニップ部Nの中央部から定着部材表面の移動方向上流側に約90°の位置に取り付けられている。本例ではヒータ16としてハロゲンヒータが用いられている。
【0022】
図示した例では、定着部材14が第1ガイドローラ12と第2ガイドローラ13の2つのローラに巻き掛けられているが、定着ベルトより成る定着部材14を3以上のローラに掛け渡すように構成することもできる。
【0023】
また、上記ニップ部Nよりも、定着部材14の表面移動方向下流側の定着部材表面部分には、記録材に搬送力を与える搬送手段の一例である搬送ローラ18が圧接し、この搬送ローラ18は、図示していない駆動装置によって、矢印方向に回転駆動される。すなわち、搬送ローラ18は、定着部材14との当接部において、当該定着部材14の表面移動方向と同じ方向に移動する向きに回転駆動される。図2に示した例では、搬送ローラ18が、定着ベルトより成る定着部材14を介して第2ガイドローラ13に圧接している。
【0024】
未定着トナー像Tを担持した記録材Pは、矢印Cで示す如く定着装置2に搬送され、そのトナー像Tが定着部材14に接する向きにして、定着部材14と加圧部材15とのニップ部Nに入り込み、ここを通過する。このときトナー像Tに圧力が加えられると共に、熱を与えられてトナーが加熱され、当該トナーが溶融する。ニップ部Nを通過した記録材Pは、引き続き定着部材14の表面に密着したままその定着部材14によって搬送される。このようにしてトナー像が記録材Pに定着される。
【0025】
引き続き、この記録材は、搬送ローラ18と定着部材14との圧接部に送り込まれ、この圧接部を通過したところで、当該記録材Pが定着部材14から分離される。このように、記録材Pは、定着部材14と加圧部材15とのニップ部Nを通過した後、定着部材14の表面に密着したまま定着部材14と搬送ローラとの圧接部まで搬送されるが、この搬送過程において、記録材上のトナー像のトナーは定着部材自体の温度低下により冷却されて粘度が高められ、ガラス転移状態となる。搬送ローラ18は、記録材Pの裏面からその記録材Pに搬送力を与える。
【0026】
上述のように、本例の定着装置は、回転する定着部材と、回転する加圧部材とのニップ部に、定着すべきトナー像を担持した記録材を、そのトナー像が定着部材に接する向きにして通過させ、該ニップ部にて前記トナー像を加圧すると共に加熱して該トナー像のトナーを溶融させ、ニップ部を出た記録材を、定着部材の表面に密着させて搬送しながらトナーの温度を低下させ、次いで該記録材を、上記定着部材と、回転する搬送手段の圧接部を通過させ、該圧接部を通過した記録材を定着部材から分離するように構成されている。
【0027】
ここで、本例の定着装置においては、定着部材14の表面線速と、搬送手段(図2に示した例では搬送ローラ18)の表面線速が互いに異なるように構成されている。かかる構成により、定着部材14の表面から剥離する直前の記録材Pの搬送速さと、定着部材14の表面線速とに差が生じ、記録材Pに担持されたトナー像が定着部材14の表面から剥離することが促進される。これにより、定着部材14の表面に離型剤が塗布されておらず、またはその塗布量が少ないときも、トナーが定着部材14の表面に移行することなく、また記録材Pが定着部材14の表面に巻き付くことなく当該記録材Pが定着部材14の表面から分離することができる。
【0028】
搬送ローラ18の表面線速が定着部材14の表面線速よりも遅い場合には、搬送ローラ18により搬送力を受ける記録材Pの搬送速さは定着部材14の表面線速よりも遅くなり、記録材P上のトナーと定着部材14との界面にはせん断力が生じる。その際、定着部材14とトナーとの界面の摩擦係数は、記録材Pとトナーとの界面の摩擦係数よりも低いので、そのトナーと定着部材14とが互いにスリップし、当該トナーと定着部材表面との間の付着力が低減する。このようにして、せん断力がトナーの定着部材14から剥離を促進させ、記録材の腰の強さによって、当該記録材Pが定着部材表面から剥離される。かかる現象はセルフストリッピングと称せられており、このセルフストリッピングによりオフセットと、定着部材表面への記録材の巻き付きが防止される。
【0029】
逆に搬送ローラ18の表面線速が定着部材の表面線速よりも速い場合には、記録材の搬送速さは定着部材14の表面線速よりも速くなり、従ってこの場合も、記録材上のトナーと、定着部材表面との界面にせん断力が発生し、上述したところと同様に、オフセットと、定着部材表面への巻き付きを防止しつつ、記録材Pを定着部材14の表面から剥離することができる。
【0030】
記録材Pが定着部材14と搬送ローラ18との圧接部に至るまでに、トナー像の定着工程が終わり、トナーはガラス転移状態となっているので、記録材Pの搬送速さと定着部材14の表面線速との差が大きくとも、トナー像が記録材Pに対してずれる現象、すなわち画像ずれが発生することはなく、定着後の画像品質が低下する不具合を阻止できる。このため、定着部材14の表面線速と、搬送ローラ18の表面線速の差を、定着部材の表面線速の1%以上の値に設定することができ、これによって、オフセットと記録材の定着部材への巻き付きをより一層確実に防止することができる。
【0031】
また、ニップ部Nを出た記録材Pに担持されたトナーをより確実に冷却させるため、定着部材14と加圧部材15とのニップ部Nを通過した定着部材14の部分、又は記録材P、或いはその両者を冷却する冷却手段を設けることもできる。例えば、搬送ローラ18を中空状に形成し、その内部にエアを供給して搬送ローラ18の表面部分を低温に保ち、その表面によって記録材Pの裏面を冷却したり、図2に示すように搬送ローラ18とニップ部Nとの間の定着部材部分の裏面にヒートパイプ19を当接させ、そのヒートパイプ19を冷却して、定着部材14の温度を下げたり、或いは搬送ローラ18とニップ部Nの間の定着部材部分の裏面に、図示していない冷却スプレーから流出する冷気を吹き当てて当該定着部材を冷却するなどの冷却手段を採用することができる。
【0032】
上述した定着装置において、搬送ローラ18の表面線速が常に一定となるように、その搬送ローラ18の駆動を制御してもよいが、このように構成すると、定着部材14の表面線速と搬送ローラ18の表面線速の差が常にほぼ一定となるため、記録材Pと、定着部材14が定着ベルトより成るときは、その定着ベルトとに、上記速度差により生じるたるみが蓄積され、記録材Pと定着ベルトにしわやたるみが生じて記録材の搬送が不安定となるおそれがある。従って、特に、定着部材14をガイドローラに巻き掛けられて回転駆動される定着ベルトとして構成したときは、搬送手段の表面線速を周期的に変化させることが好ましい。この構成により、定着ベルトと記録材Pにたるみが蓄積されることを阻止でき、記録材Pと定着ベルトの搬送性を安定させることができる。かかる構成は、搬送手段が搬送ローラ18より成る場合に限らず、例えば、後述するように搬送手段が搬送ベルトにより構成されている場合にも適用できるものである。
【0033】
搬送ローラ18は適宜な形態に構成できるものであるが、図2に例示した搬送ローラ18は、例えばアルミニウム、ステンレス鋼、或いは炭素鋼などの金属、または硬質樹脂、或いはこれらの複合材料などの剛体より成る芯軸30と、その芯軸30のまわりに固定されて設けられた剛性を有する多孔質樹脂層31とを有している。かかる多孔質樹脂層31は、例えば、バインダを混入した樹脂粒体を金型に詰め、その金型を加熱してバインダを焼失させて気孔を形成することにより製造することができる。その樹脂粒体の材料としては、例えば、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンサルファイド、フェノール樹脂等を用いることができる。かかる気孔を含む多孔質樹脂層は、高い断熱性を有しているので、定着部材14の熱が搬送ローラ18に多量に奪われることはなく、定着部材14を加熱して定着装置を立ち上げる時、熱の損失を防ぎ、その立上げ時間を短縮でき、消費エネルギーの低減を達成できる。
【0034】
また、図2に示した搬送ローラ18は、多孔質樹脂層31の表面にシリコーンゴム層より成る表層32が設けられている。シリコーンゴム層は、摩擦係数が高いので、搬送ローラ18と記録材Pとの間のスリップを防止し、搬送ローラ18による搬送力を記録材Pに確実に伝え、記録材上のトナーと定着部材14との間にせん断力を確実に生じさせ、オフセットと記録材の定着部材への巻き付きをより確実に防止することができる。かかる構成は、搬送手段が搬送ローラ以外のものから成るときも適用できる。搬送手段が、シリコーンゴム層より成る表層を具備しているのである。
【0035】
また図2に示した定着装置2の他の構成要素も適宜な材料によって構成でき、しかもその形態も各種採用できるがその一例を示すと次のとおりである。
【0036】
第1ガイドローラ12は、例えば、アルミニウム、炭素鋼、ステンレス鋼等の中空金属円筒体状の薄肉ローラとして構成できる。加圧ローラとして構成された加圧部材15は、例えば、芯金20と、そのまわりに設けられた弾性を有する断熱性の発泡体層21と、その発泡体層21のまわりに設けられた離型層22とから構成することができ、その発泡体層21としては、耐熱性の発泡シリコーンゴムを用い、離型層22としてはPFAチューブを用いることができる。さらに、第2ガイドローラ13としては、例えば、芯金のまわりに弾性を有する断熱性の発泡体層を設けたローラを用いることができる。その発泡体層としては、例えば耐熱性の発泡シリコーンゴムを用いることができる。
【0037】
定着ベルトより成る定着部材14の基材には、例えば耐熱性樹脂や、金属から形成されたエンドレスのベルト状基材を用いることができる。耐熱性樹脂の材質としては、ポリイミド、ポリアミドイド、ポリエーテルケトン(PEEK)等を使用し、金属ベルトの材質としては、ニッケル、アルミニウム、鉄等を使用することができる。その厚さは100μm以下の薄肉のものが望ましい。定着部材14の表面は、記録材Pとトナーとに加圧接触するので、離型性を有していることが好ましく、しかも耐熱性、耐久性に優れていることが好ましい。このため、定着部材14の表層は、例えばフッ素系樹脂、高離型シリコーンゴム等の耐熱性離型層であることが望ましい。フッ素樹脂は、吹きつけ等により基材の表面に塗装し、加熱融着させることにより表面離型層を形成する。高離型シリコーンゴム層は、ゴム硬度25〜65度(JIS A硬度計)であることが好ましく、定着部材14の全厚さは100〜300μmの範囲が良好な定着性及び熱応答性を得る条件として望ましい。また定着部材14の別の構成として、ポリイミド等の耐熱性樹脂の基材にシリコーンゴム等の弾性体層を設け、その上にフッ素系樹脂などの離型層を設けたものを用いると、定着後の画像の透明性と均一定着性を高めることができる。
【0038】
また、前述の如き定着装置により定着されるトナー像のトナーは、少なくとも結着樹脂、着色剤、及びワックスを含有していることが好ましく、かかるトナーを用いることにより、定着部材への離型剤の塗布の省略、またはその塗布量の低減化をより確実に達成できる。ワックスとしては、カルナウバやジメチルシロキサンなどを用いることができる。また、特にカラー画像形成装置では、定着後のカラー画像の光沢度、透明性が損なわれないように、トナー中のワックスの含有量をあまり多くしないことが好ましい。
【0039】
以上説明した各構成は、図2に示した形態以外の各種定着装置にも広く適用できるものである。例えば、図3に示すように、ガイドローラ12に接していない定着部材14の部分に加圧部材15を圧接させ、また搬送ローラ18などにより構成される搬送手段も、ガイドローラ13に接していない定着部材14の部分に圧接させてもよい。また、図4に示すように、加圧部材15Aを複数のローラに巻き掛けられて回転する無端ベルトとして構成し、同じく搬送手段も、複数のローラに巻き掛けられて回転駆動される無端ベルト18Aとして構成することもできる。さらに、図5に示すように、定着部材14Aを矢印方向に回転駆動されるドラム状に形成し、その周面に、矢印方向に回転する加圧部材15と、例えば搬送ローラ18として構成された搬送手段とをそれぞれ当接させ、この定着部材14Aをヒータ16Aによって加熱すると共に、その定着部材14Aと加圧部材15とのニップ部Nに記録材Pを通過させて、これに担持された定着すべきトナー像Tのトナーを加熱して溶融させ、その記録材Pが定着部材14Aを搬送ローラ18との圧接部に至るまでに、トナーを冷却させ、搬送ローラ18を通過した記録材Pを定着部材14Aの表面から剥離させることもできる。このように構成された各定着装置にも、前述の各構成を採用することができる。
【0040】
また本発明は、単色の画像を形成する画像形成装置や、記録材の両面に画像を形成する画像形成装置、及びこれらに用いられる定着装置にも広く適用できるものである。
【0041】
【発明の効果】
本発明によれば、定着部材に離型剤を塗布せず、或いはその塗布量を極く少なくすることができ、しかもオフセットの発生と、記録材が定着部材に巻き付く不具合を効果的に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】画像形成装置の一部を示す概略図である。
【図2】図1に示した定着装置の拡大断面図である。
【図3】定着装置の他の例を示す概略図である。
【図4】定着装置のさらに他の例を示す概略図である。
【図5】定着装置のさらに別の例を示す概略図である。
【符号の説明】
2 定着装置
12 ガイドローラ
13 ガイドローラ
14 定着部材
14A 定着部材
15 加圧部材
15A 加圧部材
30 芯軸
31 多孔質樹脂層
32 表層
N ニップ部
P 記録材
T トナー像
Claims (5)
- 回転する定着部材と、回転する加圧部材とのニップ部に、定着すべきトナー像を担持した記録材を、そのトナー像が定着部材に接する向きにして通過させ、該ニップ部にて前記トナー像を加圧すると共に加熱して該トナー像のトナーを溶融させ、ニップ部を出た記録材を、定着部材の表面に密着させて搬送しながらトナーの温度を低下させ、次いで該記録材を、前記定着部材と、回転する搬送手段の圧接部を通過させ、該圧接部を通過した記録材を定着部材から分離する定着装置において、
前記定着部材を、ガイドローラに巻き掛けられて回転駆動される定着ベルトとして構成すると共に、該定着部材の表面線速と前記搬送手段の表面線速を異ならせ、かつ前記搬送手段の表面線速を周期的に変化させることを特徴とする定着装置。 - 前記搬送手段は、芯軸と、該芯軸のまわりに設けられた多孔質樹脂層とを有する搬送ローラにより構成されている請求項1に記載の定着装置。
- 前記搬送手段は、シリコーンゴム層より成る表層を具備する請求項1又は2に記載の定着装置。
- 請求項1乃至3のいずれかに記載の定着装置を有することを特徴とする画像形成装置。
- 前記定着装置により定着されるトナー像のトナーが、少なくとも結着樹脂、着色剤及びワックスを含有している請求項4に記載の画像形成装置。
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