JP2000214713A - 定着ロ―ラ、定着装置及び画像形成装置 - Google Patents

定着ロ―ラ、定着装置及び画像形成装置

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JP2000214713A
JP2000214713A JP11013928A JP1392899A JP2000214713A JP 2000214713 A JP2000214713 A JP 2000214713A JP 11013928 A JP11013928 A JP 11013928A JP 1392899 A JP1392899 A JP 1392899A JP 2000214713 A JP2000214713 A JP 2000214713A
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Ryuichiro Maeyama
龍一郎 前山
Yasuhiro Hayashi
康弘 林
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Abstract

(57)【要約】 【課題】電磁誘導加熱方式の定着装置について、ハロゲ
ンヒータを用いた熱ローラ方式の定着装置と同等あるい
はそれ以上の効率が得られ、迅速に立ち上がる、マイク
ログロスの発生がなく、OHTのような定着ローラに巻
き付きやすいメディアに対しても、十分な分離性能を確
保できる等の特長を具備させること。 【解決手段】相互圧接させた定着ローラ1と加圧ローラ
2とを有し、磁束発生手段3の発生磁束によって定着ロ
ーラを加熱し、上記両ローラ1・2の圧接ニップ部Nで
未定着像tを担持した記録材Pを挟持搬送して未定着像
を溶融定着させる電磁誘導加熱方式の定着装置であり、
定着ローラ1は内側から外側に順に、支持層11、スポ
ンジ層12、電磁誘導発熱性層13、弾性層14、離型
層15の少なくとも5層から構成され、スポンジ層12
の内部に空間12aが設けられ、磁束発生手段3は定着
ローラ1の外側に配置されていること。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は画像形成装置におい
て記録材(メディア)上の未定着像を溶融定着(加熱定
着)する定着装置に関するものである。
【0002】より詳しくは、電磁誘導発熱性の定着ロー
ラ、該定着ローラを有する電磁誘導加熱方式の定着装
置、該定着装置を具備した画像形成装置に関する。
【0003】
【従来の技術】従来、複写機・プリンタ等の画像形成装
置において、電子写真プロセス・静電記録プロセス等の
適宜の作像プロセス手段により転写方式あるいは直接方
式で記録材上に形成担持させた未定着像(樹脂・磁性体
・着色料等からなる加熱溶融性の顕画剤(トナー)の
像)を記録材に溶融定着する定着装置としては熱ローラ
方式の装置が汎用されている。熱ローラ方式の定着装置
は互いに圧接・回転している定着ローラ(熱ローラ)と
加圧ローラとの圧接ニップ部(定着ニップ部)で未定着
トナー像を担持させた記録材を狭持搬送しながら熱と圧
力を加えることで未定着トナー像を溶融定着せしめるも
ので、熱ローラである定着ローラを加熱する手段とし
て、定着ローラに熱源としてハロゲンランプを内蔵さ
せ、該ハロゲンランプで定着ローラを内部から加熱し
て、定着ローラ表面の温度を定着に適当な温度に温調す
るものが一般的であった。
【0004】熱ローラである定着ローラを加熱する他の
手段として、励磁コイルによる磁束で定着ローラ内面に
設けた導電層に渦電流を発生させてジュール熱により導
電層を発熱させ、その発熱により定着ローラを加熱する
ようにした電磁誘導加熱方式の定着装置が提案されてい
る。
【0005】この電磁誘導加熱方式の定着装置は熱発生
源をトナー像のごく近くに置くことができるので、ハロ
ゲンランプを用いた定着装置に比して、定着装置起動時
に定着ローラ表面の温度が定着に適当な温度になるまで
に要する時間が短くできるという特徴がある。また熱発
生源からトナー像への熱伝達経路が短く単純であるため
熱効率が高いという特徴もある。
【0006】カラー複写機用定着ローラや高速白黒複写
機用定着ローラは、芯がねとして肉厚3mm以上のアル
ミシリンダ(アルミニウムシリンダ)製を用い、この芯
がね上層に500μm以上の弾性層を設け、芯がね内部
に励磁コイルを設けて該励磁コイルの発生磁束で該芯が
ねを電磁誘導発熱させ、芯がね自身の大きな熱容量を利
用し、連続通紙時の定着ローラの温度低下を緩和すると
ともに、上層に存在する弾性層の効果によって、画像上
の微小な光沢むら(マイクログロス)の防止や、黒のし
っとり感を出させる効果をもっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来例の様な定着ローラ内部に励磁コイルを設けた電磁誘
導加熱方式の定着装置において、アルミ芯がねで効率良
く熱を発生させるためには磁束を狭い領域に集中させ密
度の大きな誘導電流を流しても、効率のよい発熱は得ら
れず(アルミは透磁率μが低いので表面抵抗Rsが小さ
く発熱しにくい)、また磁束発生手段としての励磁コイ
ル・磁性体コアを定着ローラ外部に配設する構成を選択
した場合には、定着ローラの弾性層の存在により、コイ
ル、コア間のギャップが大きくなって、芯がねまでの距
離が遠くなり、即ちコイル・コアと定着ローラ芯がね間
の距離が遠くなり、ハロゲンヒータ並みの発熱効率を得
ることが出来なかった。
【0008】そこで本発明の目的は、ハロゲンヒータを
用いた熱ローラ方式の定着装置と同等あるいはそれ以上
の効率が得られ、迅速に立ち上がる、マイクログロスの
発生がなく、OHTのような定着ローラに巻き付きやす
いメディアに対しても、十分な分離性能を確保できる等
の特長を具備させた電磁誘導加熱方式の定着装置を提供
することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は下記の構成を特
徴とする、定着ローラ、定着装置、及び画像形成装置で
ある。
【0010】(1)加圧ローラと圧接ニップ部を形成
し、この圧接ニップ部で未定着像を担持した記録材を挟
持搬送して未定着像を記録材に溶融定着させる電磁誘導
発熱性の定着ローラであり、内側から外側に順に、支持
層、スポンジ層、電磁誘導発熱性層、弾性層、離型層の
少なくとも5層から構成され、前記スポンジ層の内部に
空間が設けられていることを特徴とする定着ローラ。
【0011】(2)互いに表面で圧接されていて自由に
回転できる定着ローラ及び加圧ローラとを有し、磁束発
生手段の発生磁束によって定着ローラに設けた電磁誘導
発熱性層を発熱させ、定着ローラと加圧ローラとの圧接
ニップ部で未定着像を担持した記録材を挟持搬送して未
定着像を記録材に溶融定着させる電磁誘導加熱方式の定
着装置であり、定着ローラは内側から外側に順に、支持
層、スポンジ層、電磁誘導発熱性層、弾性層、離型層の
少なくとも5層から構成され、前記スポンジ層の内部に
空間が設けられ、磁束発生手段は定着ローラの外側に配
置されて発生磁束が定着ローラの外面側から電磁誘導発
熱性層に作用することを特徴とする定着装置。
【0012】(3)磁束発生手段は定着ローラに対向さ
せて定着ローラの長手方向に沿わせて配設してあること
を特徴とする(2)に記載の定着装置。
【0013】(4)磁束発生手段は励磁コイルと磁性体
コアであることを特徴とする(2)または(3)に記載
の定着装置。
【0014】(5)磁性体コアを定着ローラに対向させ
て定着ローラの長手方向に沿わせて配置し、励磁コイル
は定着ローラの長手方向に渡って巻き線してあることを
特徴とする(4)に記載の定着装置。
【0015】(6)記録材に未定着像を形成する作像手
段と、記録材に形成担持させた未定着像を記録材に溶融
定着させる定着手段を有する画像形成装置において、定
着手段は(2)ないし(5)の何れかに記載の定着装置
であることを特徴とする画像形成装置。
【0016】〈作 用〉 a)定着ローラの層構成を内側から外側に順に、支持
層、スポンジ層(発泡体層)、電磁誘導発熱性層、弾性
層、離型層の少なくとも5層から構成し、スポンジ層の
内部には空間を設け、磁束発生手段は定着ローラの外側
に配置して発生磁束を定着ローラの外面側から電磁誘導
発熱性層に作用させることによって、発熱に寄与し、渦
電流を発生させる電磁誘導発熱性層の熱容量が小さく、
この電磁誘導発熱性層がスポンジ層により断熱保持され
るため、定着ローラ表層側にある弾性層あるいは離型層
を迅速に加熱するように作用し、定着ローラ表面が定着
に必要な温度に迅速に到達するとともに、紙等のメディ
アに熱が奪われても、熱の供給が追いつくことができ
る。
【0017】b)また、スポンジ層により断熱保持させ
た電磁誘導発熱性層自体のたわみ性を利用して定着ロー
ラと加圧ローラとの圧接ニップ部の形成に対して、弾性
層が300μmと薄くしても、今まで以上の幅のニップ
が形成でき、また定着ローラの硬度が加圧ローラの硬度
に比べて小さくなる構成なので圧接ニップ部を出た記録
材部分の排紙方向が定着ローラから離れ方向となって、
マイクログロスの発生がなく、OHTのような定着ロー
ラに巻き付きやすいメディアに対しても、十分な分離性
能を確保できる。
【0018】c)スポンジ層の内部には空間を設けるこ
とで、スポンジ層の断熱効果を空間を設けていないスポ
ンジ層の場合よりも高めることができて、定着ローラ表
面が定着に必要な温度に迅速に到達する即ちウエイトタ
イムの短縮化ができるとともに、スポンジ層の体積が熱
によって大きくなっても、それがスポンジ層の内部に設
けた空間によって吸収されることで、定着ローラの温度
に対する外形変化が20%を越えることがなく、定着ロ
ーラの温度に対する外形変化が20%以上となる場合の
ように定着ローラの温度に対する周速の変化が大きくな
り通紙時の紙しわを発生させることを防止できる。
【0019】
【発明の実施の形態】〈第一の実施例〉(図1) 図1は本実施例における定着装置の要部の横断面模型図
である。
【0020】1は定着ローラ、2は加圧ローラ、3は磁
束発生手段、4は高周波コンバーター(励磁回路)、5
は温度センサー、6は制御回路、7は記録材搬送ガイ
ド、8は分離爪、Pは記録材、tはこの記録材上の未定
着トナー像である。
【0021】定着ローラ1と加圧ローラ2は上下に並行
に配列してそれぞれ両端側を不図示の軸受部材に回転自
在に支持させてあり、加圧ローラ2をバネなどを用いた
不図示の加圧機構によって定着ローラ1の回転軸方向に
付勢して定着ローラ1の下面部に所定の加圧力で圧接さ
せて圧接ニップ部(定着ニップ部)Nを形成させてい
る。定着ローラ1は不図示の駆動機構により矢印の時計
方向に所定の周速度で回転駆動される。加圧ローラ2は
圧接ニップ部Nでの定着ローラ1との圧接摩擦力で定着
ローラ1の回転に従動して回転する。
【0022】a)定着ローラ1 定着ローラ1は、内側から外側に順に、支持層としての
芯金シリンダ11、スポンジ層12、電磁誘導発熱性層
としての導電層13、弾性層14、離型層15の5層構
成である。12aはスポンジ層の内部に設けた空間部で
ある。定着ローラ1のローラ硬度は空間部12aを設け
たスポンジ層12の空間率によってローラ硬度は変わる
が、定着ローラ1はローラ硬度が30°〜70°(AS
KER−C 1kg)のものを使う。
【0023】本例において、支持層としての芯金シリン
ダ11は、外径40mm、厚さ0.7mmの鉄製シリン
ダである。
【0024】スポンジ層12は、電磁誘導発熱性層13
を断熱保持するとともに、電磁誘導発熱性層13のたわ
みを許容して圧接ニップ部Nの幅を増やし、また加圧ロ
ーラよりもローラ硬度を小さくして排紙性・記録材分離
性性能を向上させる役目をするもので耐熱性・弾性を有
するゴム材や樹脂材のスポンジ体(断熱構造体)が用い
られ、例えば厚さ2〜10mmに設定される。本例にお
いてスポンジ層12は、アスカーゴム硬度計で30度、
厚さ3.9mmのシリコンゴムのスポンジ層である。必
要に応じてプライマーで接着する。
【0025】スポンジ層12は、押し出し機で押し出す
際に、その肉厚内に円周にそって野菜のレンコン状に定
着ローラ長手方向に直径1mm程度の複数の空隙孔を設
けてスポンジ層内部空間部12aを構成する。
【0026】電磁誘導発熱性層としての導電層13は本
例においては、厚さ100μmの無端状のニッケル電鋳
ベルト層である。電磁誘導発熱性層13は他の材料とし
て、例えば磁性ステンレスのような磁性材料(磁性金
属)といった、比較的透磁率μが高く、適当な抵抗率ρ
を持つ物を用いてもよい。さらに非磁性材料でも、金属
などの導電性のある材料は材料を薄膜にする事などによ
り使用可能である。
【0027】弾性層14は記録材と定着ローラ表面との
密着性を高める役目をするもので、耐熱性・弾性を有す
るゴム材や樹脂材の層であり、例えば厚さ100〜80
0μmに設定される。本例においては、JIS−Aのゴ
ム硬度計(JIS K6301のA型硬度計により規定
される硬度)で1度、厚さ300μmのシリコンゴムの
層である。
【0028】最外層の離型層15は定着ローラ表面の離
型性を高めるためのもので、例えばPTFEやPFA等
のフッ素系樹脂の厚さ10〜50μmの層である。
【0029】b)加圧ローラ2 加圧ローラ2は、外径20mmの鉄製の芯金21の外周
に、厚さ5mmのSiゴムの層22と、さらに定着ロー
ラ1と同様に表面の離型性を高めるために例えばPTF
EやPFA等のフッ素系樹脂の厚さ10〜50μmの離
型層23を設けた、全体外径30mmのローラである。
【0030】加圧ローラ2は定着ローラ1に対して約3
0Kg重で加圧されており、その場合圧接ニップ部Nの
ニップ幅は約6mmになる。都合によっては荷重を変化
させてニップ幅を変えてもよい。
【0031】c)磁束発生手段3 磁束発生手段3は励磁コイル31と磁性体コア32とか
らなり、定着ローラ1の外側において定着ローラに対向
させて定着ローラの長手方向に沿わせて配設してある。
【0032】磁性体コア32は、横断面E型で、定着ロ
ーラ1の長手方向寸法に略対応した長さ寸法を有する長
尺部材である。励磁コイル31はこの横断面E型で長尺
の磁性体コア32の中央突起部に長手方向に渡って導線
を巻いたような構造である。
【0033】また励磁コイル31は高周波コンバーター
4に接続されて100〜2000[W]の高周波電力が
供給されるため、細い線を数本リッツにしたものを用い
ており、巻き線に伝熱した場合を考え、被覆には耐熱性
の物を使用した。
【0034】磁性体コア32は高透磁率かつ低損失のも
のを用いる。パーマロイのような合金の場合は、コア内
の渦電流損失が高周波で大きくなるため積層構造にして
もよい。コア32は磁気回路の効率を上げるためと磁気
遮蔽のために用いている。このコイル31とコア32の
磁気回路部分は、磁気遮蔽が十分にできる手段がある場
合は空芯にしてもよい。
【0035】d)定着ローラ1の加熱と温調制御 励磁コイル31には高周波コンバーター4により10〜
100[kHz]の交流電流が印加される。交流電流に
よって誘導された磁束はE型磁性体コア32の内部を外
部に漏れることなく通り、コアの突起部間で初めて磁性
体コア外部に漏れ、定着ローラ1の電磁誘導発熱性層で
ある導電層13を貫き、導電層13に渦電流が流れて導
電層自体がジュール発熱する。この導電層13の発熱で
定着ローラ1が加熱状態となる。
【0036】温度センサー5は例えばサーミスタであ
り、定着ローラ1の表面に当接するように配置され、こ
の温度センサー5の定着ローラ表面温度検出信号が制御
回路6に入力する。制御回路6は温度センサー5から入
力する定着ローラ表面温度検出信号をもとに高周波コン
バーター4を制御して高周波コンバーター4から励磁コ
イル31への電力供給を増減させることで、定着ローラ
1の表面温度が所定の一定温度になる様自動制御され
る。
【0037】e)定着動作 定着ローラ1が回転駆動され、これに伴い加圧ローラ2
も従動回転し、磁束発生手段3の発生磁束の作用により
定着ローラ1の電磁誘導発熱性層としての導電層13が
電磁誘導発熱して定着ローラ1の表面温度が所定の一定
温度になる様自動制御された状態において、定着ローラ
1と加圧ローラ2との圧接ニップ部Nに、不図示の作像
機構部から搬送された未定着トナー像tを形成担持した
記録材Pが搬送ガイド7で案内されて導入される。この
場合、記録材Pの未定着トナー像形成担持面側が定着ロ
ーラ1に対面する。
【0038】定着ローラ1と加圧ローラ2との圧接ニッ
プ部Nに導入された記録材Pは圧接ニップ部Nを挟持搬
送され、定着ローラ1で加熱されて、未定着トナー像t
が記録材Pに溶融定着される。
【0039】圧接ニップ部Nを通った記録材Pは定着ロ
ーラ1から分離して排出搬送されていく。分離爪8は定
着ローラ1の表面に当接させて配置され、記録材Pが圧
接ニップ部通過後に定着ローラ1面に張り付いてしまっ
た場合に定着ローラ1面から強制的に分離させてしてジ
ャムを防止するためのものである。
【0040】而して、定着ローラ1の層構成を内側から
外側に順に、支持層11、スポンジ層12、電磁誘導発
熱性層13、弾性層14、離型層15の少なくとも5層
から構成し、スポンジ層12の内部には空間12aを設
け、磁束発生手段3は定着ローラ1の外側に配置して発
生磁束を定着ローラ1の外面側から電磁誘導発熱性層1
3に作用させることによって、発熱に寄与し、渦電流を
発生させる電磁誘導発熱性層13の熱容量が小さく、こ
の電磁誘導発熱性層13がスポンジ層12により断熱保
持されるため、定着ローラ表層側にある弾性層14ある
いは離型層15を迅速に加熱するように作用し、定着ロ
ーラ表面が定着に必要な温度に迅速に到達するととも
に、紙等のメディアに熱が奪われても、熱の供給が追い
つくことができる。
【0041】また、スポンジ層12により断熱保持させ
た電磁誘導発熱性層13自体のたわみ性を利用して定着
ローラ1と加圧ローラ2との圧接ニップ部Nの形成に対
して、弾性層14が300μmと薄くしても、今まで以
上の幅のニップが形成でき、マイクログロスの発生がな
く、OHTのような定着ローラに巻き付きやすいメディ
アに対しても、十分な分離性能を確保できる。
【0042】スポンジ層12の内部には空間12aを設
けることで、スポンジ層12の断熱効果を空間を設けて
いないスポンジ層の場合よりも高めることができて、定
着ローラ表面が定着に必要な温度に迅速に到達する即ち
ウエイトタイムの短縮化ができるとともに、スポンジ層
12の体積が熱によって大きくなっても、それがスポン
ジ層の内部に設けた空間によって吸収されることで、定
着ローラの温度に対する外形変化が20%を越えること
がなく、定着ローラの温度に対する外形変化が20%以
上となる場合のように定着ローラの温度に対する周速の
変化が大きくなり通紙時の紙しわを発生させることを防
止できる。
【0043】具体的に、スポンジ層12に空間部12a
を設けていない定着ローラを用いた定着装置の場合は3
0秒で定着ローラ1の表面温度が190℃に到達した
が、本実施例では20秒で190℃に迅速に到達すると
ともに、スポンジ層12の体積が熱によって大きくなっ
ても、それがスポンジ層の内部に設けた空間によって吸
収されることで、定着ローラ1の温度に対する外形変化
が20%を越えることがなくなる。したがって、定着ロ
ーラの温度に対する周速の変化が大きくなることによる
通紙時の紙しわの発生を防止することが可能となった。
【0044】かくして、ハロゲンヒータを用いた熱ロー
ラ方式の定着装置と同等あるいはそれ以上の効率が得ら
れ、迅速に立ち上がる、マイクログロスの発生がなく、
OHTのような定着ローラに巻き付きやすいメディアに
対しても、十分な分離性能を確保できる等の特長を具備
させた電磁誘導加熱方式の定着装置を構成できた。
【0045】〈第二の実施例〉(図2) 本実施例は、図2に示したように、定着ローラ1のスポ
ンジ層12の肉厚内にランダムに直径約2mmの数多の
空隙部12aを形成具備させた。この空隙部12aは、
スポンジを形成させるときに、あらかじめ塩で作った直
径2mmのボールをスポンジ層材料に練り込んでおき、
スポンジ発泡後、お湯で溶かして形成した。本実施例で
は空隙12aを断面積に対する空隙率が30%になるよ
うに作成した。
【0046】また本実施例では磁束発生手段3の磁性体
コア32を分割し、分割した磁性体コア間で磁束密度が
下がって発熱量が低下しないように、不図示のコアによ
り磁気結合されている。
【0047】その他の装置構成は第一の実施例と同様で
ある。
【0048】本実施例では23秒で定着ローラ1の表面
温度が190℃に迅速に到達するとともに、スポンジ層
12の体積が熱によって大きくなっても、それがスポン
ジ層の内部に設けた空間によって吸収されることで、定
着ローラ1の温度に対する外形変化が20%を越えるこ
とがなくなる。したがって、定着ローラの温度に対する
周速の変化が大きくなることによる通紙時の紙しわの発
生を防止することが可能となった。
【0049】〈第三の実施例〉(図3) 本実施例は、図3に示したように、定着ローラ1のスポ
ンジ層12の肉厚内に長径約2mm・短径約1mmの楕
円形の複数の空隙部12aを断面積に対する空隙率が3
0%になるように形成具備させた。
【0050】また本実施例では磁束発生手段3の磁性体
コア32を分割し、分割した磁性体コア間で磁束密度が
下がって発熱量が低下しないように、不図示のコアによ
り磁気結合されている。
【0051】その他の装置構成は第一の実施例と同様で
ある。
【0052】本実施例では21秒で定着ローラ1の表面
温度が190℃に迅速に到達するとともに、スポンジ層
12の体積が熱によって大きくなっても、それがスポン
ジ層の内部に設けた空間によって吸収されることで、定
着ローラ1の温度に対する外形変化が20%を越えるこ
とがなくなる。したがって、定着ローラの温度に対する
周速の変化が大きくなることによる通紙時の紙しわの発
生を防止することが可能となった。
【0053】〈第四の実施例〉(図4) 本実施例は画像形成装置例であり、図4はその概略構成
図である。本例の画像形成装置は電子写真4色カラープ
リンタである。
【0054】51は有機感光体でできた電子写真感光体
ドラム(像担持体)であり、矢示の反時計方向に所定の
プロセススピード(周速度)で回転駆動される。
【0055】感光体ドラム51はその回転過程で帯電ロ
ーラ等の帯電装置52で所定の極性・電位の一様な帯電
処理を受ける。
【0056】次いでその帯電処理面にレーザ光学箱(レ
ーザスキャナ)53から出力されるレーザ光Lによる、
目的の画像情報の走査露光処理を受ける。レーザ光学箱
53は不図示の画像読取装置等の画像信号発生装置から
の目的画像情報の時系列電気デジタル画素信号に対応し
て変調(オン/オフ)したレーザ光Lを出力して回転感
光体面を走査露光するもので、この走査露光により回転
感光体ドラム51面に走査露光した目的画像情報に対応
した静電潜像が形成される。53aはレーザ光学箱53
からの出力レーザ光を感光体ドラム51の露光位置に偏
向させるミラーである。
【0057】フルカラー画像形成の場合は、目的のフル
カラー画像の第1の色分解成分画像、例えばイエロー成
分画像についての走査露光・潜像形成がなされ、その潜
像が4色カラー現像装置54のうちのイエロー現像器5
4Yの作動でイエロートナー像として現像される。その
イエロートナー像は感光体ドラム51と中間転写体ドラ
ム56との接触部(或は近接部)である一次転写部T1
において中間転写体ドラム56の面に転写される。中間
転写体ドラム56面に対するトナー像転写後の回転感光
体ドラム51面はクリーナ57により転写残りトナー等
の付着残留物の除去を受けて清掃される。
【0058】上記のような帯電・走査露光・現像・一次
転写・清掃のプロセスサイクルが、目的のフルカラー画
像の、第2(例えばマゼンタ成分画像、マゼンタ現像器
54Mが作動)、第3(例えばシアン成分画像、シアン
現像器54Cが作動)、第4(例えば黒成分画像、黒現
像器54BKが作動)の各色分解成分画像について順次
に実行され、中間転写体ドラム56面にイエロートナー
像・マゼンタトナー像・シアントナー像・黒トナー像の
都合4色のトナー像が順次重ねて転写されて、目的のフ
ルカラー画像に対応したカラー画像が合成形成される。
【0059】中間転写体ドラム56は、金属ドラム上に
中抵抗の弾性層と高抵抗の表層を有するもので、感光体
ドラム51に接触して或は近接して感光体ドラム51と
略同じ周速度で矢示の時計方向に回転駆動され、金属ド
ラムにバイアス電位を与えて感光体ドラム51との電位
差で感光体ドラム51側のトナー像を該中間転写体ドラ
ム面側に転写させる。
【0060】上記の回転中間転写体ドラム56面に合成
形成されたカラートナー画像は、該回転中間転写体ドラ
ム56と転写ローラ55との接触ニップ部である二次転
写部T2において、該二次転写部T2に不図示の給紙部
から所定のタイミングで送り込まれた記録材(転写材)
Pの面に転写されていく。転写ローラ55は記録材Pの
背面からトナーと逆極性の電荷を供給することで中間転
写体ドラム56面側から記録材P側へ合成カラートナー
画像を順次に一括転写する。
【0061】二次転写部T2を通過した記録材Pは中間
転写体ドラム56の面から分離されて定着装置Aへ導入
され、未定着トナー像の加熱定着処理を受けてカラー画
像形成物として機外の不図示の排紙トレーに排出され
る。
【0062】定着装置Aは本発明に従う電磁誘導加熱方
式の定着装置であり、例えば第一または第二または第三
の実施例の定着装置である。
【0063】記録材Pに対するカラートナー像転写後の
回転中間転写体ドラム56はクリーナ58により転写残
りトナー・紙粉等の付着残留物の除去を受けて清掃され
る。このクリーナ58は常時は中間転写体ドラム56に
非接触状態に保持されており、中間転写体ドラム56か
ら記録材Pに対するカラートナー画像の二次転写実行過
程において中間転写体ドラム56に接触状態に保持され
る。
【0064】また転写ローラ55も常時は中間転写体ド
ラム56に非接触状態に保持されており、中間転写体ド
ラム56から記録材Pに対するカラートナー画像の二次
転写実行過程において中間転写体ドラム56に記録材P
を介して接触状態に保持される。
【0065】なお、本発明の定着装置には、画像を担持
じた記録材を加熱して艶等の表面性を改質したり、仮定
着する等の像加熱装置も含まれる。
【0066】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、電
磁誘導加熱方式の定着装置について、ハロゲンヒータを
用いた熱ローラ方式の定着装置と同等あるいはそれ以上
の効率が得られ、迅速に立ち上がる、マイクログロスの
発生がなく、OHTのような定着ローラに巻き付きやす
いメディアに対しても、十分な分離性能を確保できる等
の特長を具備させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第一の実施例における定着装置の要部の横断
面模型図
【図2】 第二の実施例における定着装置の要部の横断
面模型図
【図3】 第三の実施例における定着装置の要部の横断
面模型図
【図4】 第四の実施例における画像形成装置例の概略
構成図
【符号の説明】
1・・定着ローラ 11・・支持層としての芯金シリンダ(支持層) 12・・スポンジ層 13・・電磁誘導発熱性層 14・・弾性層 15・・離型層 2・・加圧ローラ 3・・磁束発生手段 31・・励磁コイル 32・・磁性体コア 4・・高周波コンバーター(励磁回路) 5・・温度センサー 6・・制御回路 7・・記録材搬送ガイド 8・・分離爪 P・・記録材 t・・未定着トナー像

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 加圧ローラと圧接ニップ部を形成し、こ
    の圧接ニップ部で未定着像を担持した記録材を挟持搬送
    して未定着像を記録材に溶融定着させる電磁誘導発熱性
    の定着ローラであり、内側から外側に順に、支持層、ス
    ポンジ層、電磁誘導発熱性層、弾性層、離型層の少なく
    とも5層から構成され、前記スポンジ層の内部に空間が
    設けられていることを特徴とする定着ローラ。
  2. 【請求項2】 互いに表面で圧接されていて自由に回転
    できる定着ローラ及び加圧ローラとを有し、磁束発生手
    段の発生磁束によって定着ローラに設けた電磁誘導発熱
    性層を発熱させ、定着ローラと加圧ローラとの圧接ニッ
    プ部で未定着像を担持した記録材を挟持搬送して未定着
    像を記録材に溶融定着させる電磁誘導加熱方式の定着装
    置であり、 定着ローラは内側から外側に順に、支持層、スポンジ
    層、電磁誘導発熱性層、弾性層、離型層の少なくとも5
    層から構成され、前記スポンジ層の内部に空間が設けら
    れ、 磁束発生手段は定着ローラの外側に配置されて発生磁束
    が定着ローラの外面側から電磁誘導発熱性層に作用する
    ことを特徴とする定着装置。
  3. 【請求項3】 磁束発生手段は定着ローラに対向させて
    定着ローラの長手方向に沿わせて配設してあることを特
    徴とする請求項2に記載の定着装置。
  4. 【請求項4】 磁束発生手段は励磁コイルと磁性体コア
    であることを特徴とする請求項2または3に記載の定着
    装置。
  5. 【請求項5】 磁性体コアを定着ローラに対向させて定
    着ローラの長手方向に沿わせて配置し、励磁コイルは定
    着ローラの長手方向に渡って巻き線してあることを特徴
    とする請求項4に記載の定着装置。
  6. 【請求項6】 記録材に未定着像を形成する作像手段
    と、記録材に形成担持させた未定着像を記録材に溶融定
    着させる定着手段を有する画像形成装置において、定着
    手段は請求項2ないし5の何れかに記載の定着装置であ
    ることを特徴とする画像形成装置。
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