JP4650734B2 - 圧延用複合ロール - Google Patents
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Description
18.0%<V%+0.55×Nb%≦40.0% ・・・(1)
0<C%−0.2×(V%+0.55×Nb%)≦2.0% ...(2)
Cは、おもにVもしくはNbなどの合金元素と結合しMC型炭化物を形成することで耐摩耗性に寄与する必須の元素である。また、残部はおもに基地中に固溶もしくは合金元素とともに極微細に析出し基地を強化することでも耐摩耗性に寄与する。Cが4.5%以下ではMC型炭化物の量が不足し、十分な耐摩耗性が得られない。一方、Cが9.0%を超えると、炭化物の総量が過多となり耐クラック性が劣化する。
Siは、溶湯中で脱酸剤として作用する。Siが0.1%以下では脱酸効果が不足して鋳造欠陥を生じやすい。また、3.5%を超えると脆化する。好ましい範囲は0.2〜2.5%であり、さらに好ましい範囲としては0.2%〜1.5%である。
Mnは、溶湯の脱酸や不純物であるSをMnSとして固定し、0.1%を超えると効果がある。Mnが3.5%を超えると残留オーステナイトを生じやすくなり安定して硬さを維持できず、耐摩耗性や耐肌荒れ性が劣化しやすくなる。好ましい範囲は0.2〜2.5%であり、さらに好ましい範囲は0.2〜1.5%である。
Vは、おもにCと結合しMC型炭化物を形成する本発明の重要な元素である。本発明の特徴の一つは、外層材に極めて多量のMC型炭化物を含むことにある。Vが18.0%以下では、MC型炭化物の量が不足し、十分な耐摩耗性が得られない。一方、Vが40.0%を超えると、MC型炭化物が過剰になり、基地が不足する。基地が不足すると、クラックが組織中の炭化物を伝播して拡大するため耐クラック性が劣化する。
Crは、基地に固溶し焼入性を高め、また一部は基地中でCと結合し極微細な炭化物として析出し基地を強化する。Crが1.0%以下では、基地強化の効果が十分に得られない。また、15.0%を超えるとM7C3などMC型炭化物以外の炭化物が特に増加もしくは粗大化し、耐クラック性が低下する。より好ましいCrの範囲は、3.0%〜9.0%である。
Moは、基地に固溶し焼入性を高め、また一部は基地中でCと結合し極微細な炭化物として析出し基地を強化する。さらに、Moの一部はVやNbなどとともにMC型炭化物を形成する。Moが0.5%以下では、基地強化の効果が十分に得られない。一方、10.0%を超えるとM3CやM6CなどMC型炭化物以外の炭化物が特に増加もしくは粗大化し、耐クラック性が低下する。より好ましいMoの範囲としては、0.5%を超え5.0%以下である。
Wは、基地に固溶し焼入性を高め、また一部は基地中でCと結合し極微細な炭化物として析出し基地を強化する。さらに、Wの一部はVやNbなどとともにMC型炭化物を形成する。Wが1.0%以下では、基地強化の効果が十分に得られない。一方、40.0%を超えると特にM6CなどMC型炭化物以外の炭化物が生成もしくは過剰に増加し、耐クラック性が低下する。より好ましいWの範囲としては、5.0%〜40.0%であり、さらに好ましくは、5.0%〜20.0%である。
Nbは、MC型炭化物を形成する点でVと同様の作用がある。Nbは原子量の比より質量%で1V%に対し0.55×Nb%で等価式で代替可能であるため、前式の範囲で含まれるVの一部もしくはすべてをNbで置換することができる。
C%−0.2×(V%+0.55Nb%)の値が0以下となると、MC型炭化物の量が十分に得られなくなるとともに、基地中にVやNbが過剰となり基地の硬さが得られず耐摩耗性が低下する。また、C%−0.2×(V%+0.55Nb%)の値が2.0%を超えると、MC型炭化物以外の炭化物が形成もしくは増加し、耐クラック性が劣化する。
Niは基地に固溶し、基地の焼入れ性を向上させるのに有効である。Niが2.0%を超えると基地のオーステナイトが安定するため、基地硬さが十分に得られない。
Coは基地に固溶し、基地強化の効果がある。また、高温においても基地の硬さを維持できる。Coが10.0%を超えると靭性が低下する。一方Coは高価であるので、経済性と使用条件を考慮し含有量を決定すればよい。
Tiは、溶湯中で脱酸剤として作用するほか、Nと結合して窒化物を形成し、MC型炭化物の核となり、MC型炭化物を微細にする効果がある。また一部はCと結合してMC型炭化物の一部となる。Tiの効果は0.5%以下で十分である。
Alは、溶湯中で脱酸剤として作用するほか、MC型炭化物を微細にする効果がある。0.5%を超えると焼入れ性を悪化させ十分な基地硬さが得がたく好ましくない。
Cは強度向上に寄与するが、0.5%未満では溶着が不十分になりやすく、中間層と外層または内層の境界部に鋳巣等の欠陥が生成しやすい。また、Cが3.0%を超えると炭化物が過多となり強度が低下しやすい。より好ましいCの範囲は0.8〜2.4%である。
Siは、溶湯中で脱酸剤として作用する。Siが0.1%以下では脱酸効果が不足して鋳造欠陥を生じやすい。また、3.0%を超えると焼入れ性が低下し脆化するため、中間層としては不適となる。Siのより好ましい範囲は0.2〜1.5%であり、さらに好ましい範囲としては0.2%〜1.0%である。
Mnは、溶湯の脱酸や不純物であるSをMnSとして固定し、0.1%を超えると効果がある。Mnが3.0%を超えると脆化しやすくなり中間層としては不適となる。Mnのより好ましい範囲は0.2〜1.5%であり、さらに好ましい範囲は0.2〜1.0%である。
5 冷却水槽、 6 巻取り機、 7 テンションコントローラ、 S 圧延材、
イ MC型炭化物遠心分離濃化層、 ロ イを除く部位、 ハ 内層、
ニ 中間層、 ホ 軸材、 ヘ 中空部
Claims (9)
- 遠心力鋳造により、遠心力鋳造用鋳型の内面側にMC炭化物を濃化した層を形成させて、ロールの外面側のMC炭化物の存在が乏しい層を除去した後、得られる外層であって、化学成分が質量%で、C:4.5%を超え9.0%以下、Si:0.1%を超え3.5%以下、Mn:0.1%を超え3.5%以下、V:18.0%を超え40.0%以下を含有し残部Feおよび不可避的不純物元素からなる外層と、片状黒鉛鋳鉄、球状黒鉛鋳鉄、黒鉛鋼および鋳鋼のいずれかからなる内層と、前記外層と内層との間に中間層を有し、外層と中間層との間の引張強度が400MPa以上であることを特徴とする圧延用複合ロール。
- 遠心力鋳造により、遠心力鋳造用鋳型の内面側にMC炭化物を濃化した層を形成させて、ロールの外面側のMC炭化物の存在が乏しい層を除去した後、得られる外層であって、化学成分が質量%で、C:4.5%を超え9.0%以下、Si:0.1%を超え3.5%以下、Mn:0.1%を超え3.5%以下、V:18.0%を超え40.0%以下を含有し残部Feおよび不可避的不純物元素からなる外層と、片状黒鉛鋳鉄、球状黒鉛鋳鉄、黒鉛鋼および鋳鋼のいずれかからなる内層と、前記外層と内層との間に中間層を有する圧延用複合ロールにおいて、外層と中間層との間の接合境界部を含む引張試験片を引張試験に供したとき、引張破断位置が接合境界部を除く外層または中間層に存することを特徴とする圧延用複合ロール。
- 前記中間層の厚みが5mm以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の圧延用複合ロール。
- 前記中間層は化学成分が質量%で、C:0.5〜3.0%、Si:0.1〜3.0%、Mn:0.1〜3.0%を含有したFe基合金からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の圧延用複合ロール。
- 前記外層はさらに質量%で、Cr:1.0%を超え15.0%以下、Mo:0.5%を超え10.0%以下およびW:1.0%を超え40.0%以下のいずれか1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の圧延用複合ロール。
- 前記外層中のVの一部またはすべてを、質量%で下記(1)式を満足する範囲のNbで置換することを特徴とする請求項1、2、5のいずれかに記載の圧延用複合ロール。
18.0%<V%+0.55×Nb%≦40.0% ・・・(1) - さらに前記外層が下記(2)式を満足することを特徴とする請求項1、2、5、6のいずれかに記載の圧延用複合ロール。
0<C%−0.2×(V%+0.55×Nb%)≦2.0% ・・・(2) - さらに前記外層が質量%で、Ni:2.0%以下(0%を含む)およびCo:10.0%以下(0%を含む)のいずれか1種または2種を含有することを特徴とする請求項1、2、5〜7のいずれかに記載の圧延用複合ロール。
- さらに前記外層が質量%で、Ti:0.5%以下(0%を含む)およびAl:0.5%以下(0%を含む)のいずれか1種または2種を含有することを特徴とする請求項1、2、5〜8のいずれかに記載の圧延用複合ロール。
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