JP4650730B2 - 圧延用複合ロール - Google Patents

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Description

本発明は、極めて優れた耐摩耗性をもつ圧延ロール用外層材を用いた圧延用複合ロールに関するものであり、特に熱間薄板圧延機の仕上列に用いられるワークロールとして好適なものである。
近年、圧延工場のさらなる生産性の向上やロール原単位の向上が求められており、特に熱間薄板圧延機に用いられるワークロールには高い耐摩耗性が要求される。さらに最近では、たとえば極微細粒径鉄鋼などに代表されるような被圧延材の機械的特性改善の為、圧延工程において高負荷操業が徐々に増加しており、それに使用されるロールには、耐摩耗性を飛躍的に向上させることが望まれている。
そのため、耐摩耗性向上の要求に応えることを目論んだ圧延用ロールとして、遠心力鋳造で製造されてなるハイス系合金の外層をもつ遠心力鋳造製ハイスロールが使用されている。このハイス系外層材は、Cr、Mo、W、Vなどの合金元素を多量に含んでおり、その組織には、硬質な炭化物を含んでいる。ハイス系外層材は、これらの硬質な炭化物により硬さを高めるとともに、基地中の合金元素により室温および高温での高硬度を得たものである。
この種の従来の技術として例えば特許文献1には、化学成分が重量%で、C:1.0〜3.0%、Si:0.1〜3.0%、Mn:0.1〜2.0%、Cr:2.0〜10.0%、Mo:0.1〜10.0%、V:1.0〜10.0%、W:0.1〜10.0%の範囲で、かつMo+W≦10.0%の式の満たす合金成分および残部がFeおよび不純物からなる外層と、鋳鉄または鋳鋼の内層からなる中実または中空の遠心力鋳造複合ロールが記載されている。
特許文献1によれば、外層材に付与させるべき耐摩耗性の確保のため添加するCr,V,Mo,W等の合金成分のうち、Mo,Wの含有量を最適の範囲とし、外層の耐摩耗性を確保しつつ前記の炭化物の偏析を防止し、実際の圧延におけるロールの偏摩耗、肌荒れを防止するものである。
特許文献2には、C:3.5〜5.5%、Si:0.1〜1.5%、Mn:0.1〜1.2%、Cr:4.0〜12.0%、Mo:2.0〜8.0%、V:12.0〜18.0%、残部Fe及び不可避的不純物からなることを特徴とする熱間圧延用工具鋼が記載されている。前記熱間圧延用工具鋼について、またNb:8.0%以下を含有すること、さらにNi:5.5%以下を含有することが記載されている。また、熱間圧延用工具鋼からなる遠心力鋳造ロール用外層材において、0.2≦Nb/V を満足する遠心力鋳造ロール用外層材が記載されている。
特許文献2によれば、耐摩耗性、耐クラック性、耐焼付き性を兼備し、工具として使用したときに相手材表面に損傷を発生させない熱間圧延用工具鋼を得ることができる。また、遠心鋳造しても偏析等を生じさせない圧延ロール用外層材を得ることができるものである。
また、特許文献3には、C含有量が2.0〜3.2%(重量%、以下同じ)であるハイス系鋳鉄材の外層の内面に、C:0.8〜1.9%、Si:3.0%以下、Mn:2.0%以下、Cr:6.0%以下、Mo:5.0%以下、W:5.0%以下、V:5.0%以下、残部実質的にFeからなる中間層が溶着一体化され、該中間層の内面に、C:0.2〜0.8%、Si:0.2〜3.0%、Mn:0.2〜2.0%、Cr:1.5%以下、Mo:1.0%以下、W:1.0%以下、V:1.5%以下、但しCr+Mo≧0.3%であり、残部実質的にFeからなる鋳鋼材の内層が溶着一体化されてなり、前記外層を構成するハイス系鋳鉄材は、C:2.0〜3.2%、Si:0.1〜2.0%、Mn:0.1〜2.0%、Cr:3〜10%、2×Mo+W:5〜22%、V:3〜8%、残部実質的にFeからなる圧延用複合ロールが記載されている。
特許文献3によれば、外層、中間層及び内層との溶着状態が良好であり、かつ、外層は所定の耐摩耗性を具備し、内層は所定の強靱性を具備することができるから、高品質の鉄鋼圧延用ロールを製造することができるものである。
特開平8−60289号公報 特開平9−256108号公報 特開平9−209071号公報
圧延ロールの耐摩耗性を向上させる手段として、CおよびCと結合し金属炭化物を形成する合金元素を多く含ませ、ロール材の硬さを増すことが一般的に知られている。合金元素のうち特にVは、Cと結合し硬質なMC型炭化物を形成し耐摩耗性を向上させる。また、NbもVと同様にMC型炭化物を形成し、耐摩耗性を向上させる。
しかしながら、VやNbが過剰に含まれた溶湯を遠心力鋳造すると、遠心分離による偏析が発生する。たとえば特許文献1には、Vが10.0%を超えると、遠心力鋳造法の場合には形成される炭化物が軽いため内面に浮上し、圧延に用いる外層材外表面では含有量相当の炭化物が含まれないことが記載されている。このような現象は、遠心力鋳造鋳型内に鋳込まれた溶湯が凝固する際、その溶湯が初晶にてMC型炭化物を晶出する場合発生しやすい。この初晶MC型炭化物は比重が6g/cm程度と溶湯残液(比重7〜8g/cm程度)に対して比重が軽く、過剰に晶出すると遠心力により内面側に分離する為である。
CおよびVやNbがある一定範囲を超えると溶湯より初晶MC型炭化物を形成し、その範囲は初晶投影状態図として種々のものが報告されている。たとえば、Feおよび合金よりなるC−V初晶投影状態図では、質量%でCが2.5%以上かつVが9.5%以上の領域では初晶にてMC型炭化物が晶出することが報告されている。また、Fe系合金よりなるC−Nb初晶投影状態図では、質量%でCが1.5%以上かつNbが4.0%以上の領域では初晶にてMC型炭化物が晶出することが報告されている。そこで、従来の遠心力鋳造されてなる圧延ロール用外層材は、初晶MC型炭化物を抑制し偏析を発生させないために、CおよびVやNbの含有量を制限している。
また、炭化物の比重を大きくすることで遠心分離による偏析を防止する手段も提案されている。たとえば、前述の特許文献2には、VC炭化物はその比重が母溶湯に対して小さく、遠心力鋳造を行なうと偏析する。NbはVと複合炭化物{V,Nb}Cを形成し、V単独の炭化物のときより比重を増大させる。それにより、遠心分離による偏析を防止することが記載されている。また、遠心力鋳造法で製造した場合に均一なロール用外層材を得るためには、0.2≦Nb/Vとしなければならないことが記載されている。また、Vが18.0%を超えると焼付き性向上の効果が飽和するとともに、溶解不良等の製造上の問題を生じる危険がある。NbはVと複合炭化物{V,Nb}Cを形成するが、8.0%を超えると溶解不良等の製造上の問題を生じることが記載されている。
また、このような多量の合金成分が添加された外層の内面に内層を形成する場合、外層と内層との間に引け巣や炭化物偏析等の溶着不良が発生したり、外層から内層へ多量の合金成分が混入するため、内層の強靱性が劣化するという問題があった。特許文献3には、高C材料の外層と低C材料の内層を有する複合ロールを遠心力鋳造により作製するに際し、中間層を設けることで前記の問題を抑制できることが記載されている。
このように、従来の遠心力鋳造製ハイス系外層材の耐摩耗性を飛躍的に向上させるには、VおよびNbを多量に添加すればよいが、前述の通り実際には製造上極めて困難である。また、VおよびNbの炭化物の量が増加すると、耐摩耗性に優れる一方で、炭化物の比重により外層材の内面に偏析が生じ、内面との溶着部分に炭化物偏析が発生するため、外層材と内層材の溶着が困難となる。
そこで本発明は、従来の遠心力鋳造製ハイス系外層材における問題点を解消し、格段に耐摩耗性に優れるとともに、外層と内層が健全に溶着された圧延用複合ロールの提供を目的とする。
本発明の圧延用複合ロールは、特にC、V等の合金量が格段に多く添加されている外層の内面に、最適成分の内層を設けたことに最大の特徴がある。つまり本発明では、前記内層の最適なC、Si、Mnの成分範囲を見出した。
すなわち、本発明の圧延用複合ロールは、遠心力鋳造により、遠心力鋳造用鋳型の内面側にMC炭化物を濃化した層を形成させて、ロールの外面側のMC炭化物の存在が乏しい層を除去した後、得られる外層であって、化学成分が質量%で、C:4.5%を超え9.0%以下、Si:0.1%を超え3.5%以下、Mn:0.1%を超え3.5%以下、V:18.0%を超え40.0%以下を含有し残部Feおよび不可避的不純物元素からなる外層と、前記外層の内面に金属接合された化学成分が質量%で、C:0.5〜3.0%、Si:0.1〜3.0%、Mn:0.1〜3.0%を含有したFe基合金からなる内層を有することを特徴とする。
さらに、前記外層にCr:1.0%を超え15.0%以下、Mo:0.5%を超え10.0%以下およびW:1.0%を超え40.0%以下のいずれか1種または2種以上を含有することを特徴とする。
前記外層中のVの一部またはすべてを、質量%で下記(1)式を満足する範囲のNbで置換することを特徴とする。
18.0%<V%+0.55×Nb%≦40.0% ・・・(1)
さらに前記外層が下記(2)式を満足することを特徴とする。
0<C%−0.2×(V%+0.55×Nb%)≦2.0% ...(2)
さらに前記外層が質量%で、Ni:2.0%以下(0%を含む)およびCo:10.0%以下(0%を含む)のいずれか1種または2種を含有することを特徴とする。
さらに前記外層が質量%で、Ti:0.5%以下(0%を含む)およびAl:0.5%以下(0%を含む)のいずれか1種または2種を含有することを特徴とする。
まず、本発明における外層の化学成分(質量%)の限定理由について説明する。なお、本発明の外層の化学成分とは、溶湯成分ではなく、最終ロール製品における外層の成分である。
C:4.5%を超え9.0%以下
Cは、おもにVもしくはNbなどの合金元素と結合しMC型炭化物を形成することで耐摩耗性に寄与する必須の元素である。また、残部はおもに基地中に固溶もしくは合金元素とともに極微細に析出し基地を強化することでも耐摩耗性に寄与する。Cが4.5%以下ではMC型炭化物の量が不足し、十分な耐摩耗性が得られない。一方、Cが9.0%を超えると、炭化物の総量が過多となり耐クラック性が劣化する。
Si:0.1%を超え3.5%以下
Siは、溶湯中で脱酸剤として作用する。Siが0.1%以下では脱酸効果が不足して鋳造欠陥を生じやすい。また、3.5%を超えると脆化する。好ましい範囲は0.2〜2.5%であり、さらに好ましい範囲としては0.2%〜1.5%である。
Mn:0.1%を超え3.5%以下
Mnは、溶湯の脱酸や不純物であるSをMnSとして固定し、0.1%を超えると効果がある。Mnが3.5%を超えると残留オーステナイトを生じやすくなり安定して硬さを維持できず、耐摩耗性や耐肌荒れ性が劣化しやすくなる。好ましい範囲は0.2〜2.5%であり、さらに好ましい範囲は0.2〜1.5%である。
V:18.0%を超え40.0%以下
Vは、おもにCと結合しMC型炭化物を形成する本発明の重要な元素である。本発明の特徴の一つは、外層材に極めて多量のMC型炭化物を含むことにある。Vが18.0%以下では、MC型炭化物の量が不足し、十分な耐摩耗性が得られない。一方、Vが40.0%を超えると、MC型炭化物が過剰になり、基地が不足する。基地が不足すると、クラックが組織中の炭化物を伝播して拡大するため耐クラック性が劣化する。
Cr:1.0%を超え15.0%以下
Crは、基地に固溶し焼入性を高め、また一部は基地中でCと結合し極微細な炭化物として析出し基地を強化する。Crが1.0%以下では、基地強化の効果が十分に得られない。また、15.0%を超えるとMなどMC型炭化物以外の炭化物が特に増加もしくは粗大化し、耐クラック性が低下する。より好ましいCrの範囲は、3.0%〜9.0%である。
Mo:0.5%を超え10.0%以下
Moは、基地に固溶し焼入性を高め、また一部は基地中でCと結合し極微細な炭化物として析出し基地を強化する。さらに、Moの一部はVやNbなどとともにMC型炭化物を形成する。Moが0.5%以下では、基地強化の効果が十分に得られない。一方、10.0%を超えるとMCやMCなどMC型炭化物以外の炭化物が特に増加もしくは粗大化し、耐クラック性が低下する。より好ましいMoの範囲としては、0.5%を超え5.0%以下である。
W:1.0%を超え40.0%以下
Wは、基地に固溶し焼入性を高め、また一部は基地中でCと結合し極微細な炭化物として析出し基地を強化する。さらに、Wの一部はVやNbなどとともにMC型炭化物を形成する。Wが1.0%以下では、基地強化の効果が十分に得られない。一方、40.0%を超えると特にMCなどMC型炭化物以外の炭化物が生成もしくは過剰に増加し、耐クラック性が低下する。より好ましいWの範囲としては、5.0%〜40.0%であり、さらに好ましくは、5.0%〜20.0%である。
本発明の外層材には耐摩耗性を十分に発揮する為に必要な基地を得るために、基地の強化元素であるCr、MoもしくはWの少なくともいずれか1種または2種以上を含有させることが望ましい。
18.0%<V%+0.55×Nb%≦40.0%
Nbは、MC型炭化物を形成する点でVと同様の作用がある。Nbは原子量の比より質量%で1V%に対し0.55×Nb%で等価式で代替可能であるため、前式の範囲で含まれるVの一部もしくはすべてをNbで置換することができる。
0<C%−0.2×(V%+0.55×Nb%)≦2.0%
C%−0.2×(V%+0.55Nb%)の値が0以下となると、MC型炭化物の量が十分に得られなくなるとともに、基地中にVやNbが過剰となり基地の硬さが得られず耐摩耗性が低下する。また、C%−0.2×(V%+0.55Nb%)の値が2.0%を超えると、MC型炭化物以外の炭化物が形成もしくは増加し、耐クラック性が劣化する。
また、圧延用ロールの用途、使用方法等に応じて、本発明の外層材には以下の成分を選択的に添加することができる。
Ni:2.0%以下
Niは基地に固溶し、基地の焼入れ性を向上させるのに有効である。Niが2.0%を超えると基地のオーステナイトが安定するため、基地硬さが十分に得られない。
Co:10.0%以下
Coは基地に固溶し、基地強化の効果がある。また、高温においても基地の硬さを維持できる。Coが10.0%を超えると靭性が低下する。一方Coは高価であるので、経済性と使用条件を考慮し含有量を決定すればよい。
Ti:0.5%以下
Tiは、溶湯中で脱酸剤として作用するほか、Nと結合して窒化物を形成し、MC型炭化物の核となり、MC型炭化物を微細にする効果がある。また一部はCと結合してMC型炭化物の一部となる。Tiの効果は0.5%以下で十分である。
Al:0.5%以下
Alは、溶湯中で脱酸剤として作用するほか、MC型炭化物を微細にする効果がある。0.5%を超えると焼入れ性を悪化させ十分な基地硬さが得がたく好ましくない。
次に、本発明の内層について説明する。本発明の外層は耐摩耗性を確保するため高合金成分である。そのため、外層と内層を接合した場合、外層から内層に合金成分が混入し靭性が劣化する。さらに、外層が高合金成分であるため、特にVおよびNbの炭化物が多量に存在し、遠心力鋳造を行った場合、炭化物の比重により外層材の内面に偏析が生じ、内面との溶着部分に偏在する炭化物層が発生するため、外層材と内層材の溶着が困難となる。そこで、内層の成分を特定させることで、炭化物層の発生を抑制することにより、外層と内層の溶着の健全性及び強化を図った。内層の成分(質量%)の限定理由を次に説明する。なお、本発明の内層の成分とは、溶湯成分ではなく、最終ロール製品における内層の成分である。
C:0.5〜3.0%
Cは強度向上に寄与するが、0.5%未満では溶着が不十分になりやすく、外層と内層の境界部に鋳巣等の欠陥が生成しやすい。また、Cが3.0%を超えると炭化物が過多となり強度が低下しやすい。より好ましいCの範囲は0.8〜2.4%である。
Si:0.1〜3.0%
Siは、溶湯中で脱酸剤として作用する。Siが0.1%以下では脱酸効果が不足して鋳造欠陥を生じやすい。また、3.0%を超えると焼入れ性が低下し脆化するため、内層としては不適となる。Siのより好ましい範囲は0.2〜1.5%であり、さらに好ましい範囲としては0.2%〜1.0%である。
Mn:0.1〜3.0%
Mnは、溶湯の脱酸や不純物であるSをMnSとして固定し、0.1%を超えると効果がある。Mnが3.0%を超えると脆化しやすくなり内層としては不適となる。Mnのより好ましい範囲は0.2〜1.5%であり、さらに好ましい範囲は0.2〜1.0%である。
内層には上記以外にも、目的に応じて、Ni、Cr、Mo、W、V、Nb、Co、Ti、Al等の合金元素が混入してもよい。
本発明の圧延用複合ロールは、圧延用ワークロール全般で優れた耐摩耗性を発揮する。特に熱間薄板圧延機の仕上列に用いられるワークロールで極めて優れた耐摩耗性を発揮し、圧延工場における生産性の向上やロール原単位の向上に寄与する。
図1は本発明の遠心力鋳造されてなる圧延用複合ロールの断面図である。本発明の外層材は、初晶MC型炭化物を晶出する化学組成に調整した溶湯を遠心力鋳造用鋳型内に鋳込み、遠心力鋳造することにより、内面側に初晶MC型炭化物を濃化した層を形成させる。図1において、イ部は初晶MC型炭化物が濃化した層である。ハ部は内層である。ロ部はそれ以外の部位である。圧延用複合ロールは、図1のロ部を、切削加工などにより除去して得ることができる。すなわち、初晶MC型炭化物が濃化した層のイ部を圧延使用層とした。
本発明の外層の実施例(供試材No.1〜5)を遠心力鋳造で形成させた。そして、図1のイ部に相当する部位について調査した。また、比較例(供試材No.6〜7)および従来例(供試材No.8)を遠心力鋳造で形成した。各供試材は、鋳込後1000〜1200℃で焼入れを行い、500〜600℃で3回焼戻しを行う熱処理を行なった。これらの供試材において化学成分分析および圧延摩耗試験機による摩耗試験を行なった。また、これらの供試材から耐クラック性の評価として破壊靭性値用の試験片を取り出し破壊靭性値KICを測定した。
図2は圧延摩耗試験機の概略図を示す。図2において、圧延摩耗試験機は、圧延機1と、圧延材Sを余熱する加熱炉4と、圧延材Sを冷却する冷却水槽5と、圧延材Sの巻取り機6とテンションコントローラ7とから構成される。圧延機1には試験用ロール2、3が組み込まれる。試験用ロールは前記の供試材から作製し、外径60mm、内径40mm、幅40mmの小型スリーブロールを用いた。圧延摩耗試験機に試験用ロールを組み込み、試験条件が、圧延材料:SUS304、圧下率:25%、圧延速度:150m/min、圧延温度:900℃、圧延距離:300m/回、ロール冷却:水冷、ロール数:4重式にて試験を行った。圧延後、試験用ロールの表面に生じた摩耗の深さを触針式表面粗さ計により測定した。
表1に本発明の圧延ロール用外層材の実施例(供試材No.1〜5)と比較例(供試材No.6〜7)および従来例(供試材No.8)の図1のイ部から分析した化学成分(質量%)と摩耗試験結果を示す。なお、表1中の式(1)はV%+0.55×Nb%の値であり、式(2)はC%−0.2×(V%+0.55×Nb%)の値である。
ここで図3に本発明の供試材No.1の金属組織を示す。図4に従来材の供試材No.8の金属組織を示す。図3において、白色に見える部分がMC型炭化物であり、黒色の部分は基地である。図4において、白色の微細粒状の部分がMC型炭化物、それ以外の白色の部分はMC型でない炭化物であり、黒色の部分は基地である。本発明材は従来材に比べMC型炭化物を多量に含んでいることが分かる。
本発明の供試材No.1〜5の摩耗量は、従来材の供試材No.8に比べ半分以下であり、耐摩耗性が極めて良好である。また、本発明材は破壊靭性値KICも従来材以上であり、耐クラック性にも優れることがわかった。
比較例の供試材No.6は、C%および C%−0.2×(V%+0.55×Nb%)の値が本発明の範囲外であり、本発明よりも破壊靭性値KICは良好であるものの耐摩耗性が極めて劣る。
比較例の供試材No.7は、V%、Cr%、V%+0.55×Nb%、の値が本発明の範囲外であり、本発明より耐摩耗性は劣る。また、破壊靭性値KICも劣る。
次に、本発明の圧延用複合ロールの内層について検討を行った。表2に内層の最終製品における化学成分(質量%)を示す。供試材No.11〜13は本発明の内層材質である。供試材No.14、No.15は比較例であり、供試材No.16は従来の内層材質である球状黒鉛鋳鉄である。これらの材質を使用して、以下の溶着試験を行った。
溶着試験に用いる外層は表1に示す本発明材No.1とした。内径500mm、長さ1200mmの金型および遠心力鋳造機を用いて表1のNo.1に示す外層になるように調製された溶湯を注入し、所定の時間が経過した後、さらに表2のNo.11〜16に示す内層になるように調製された溶湯を注入した。このようにして複合ロールの製造を行った。
上記の試験ロールは鋳型と共に自然冷却し、ロールが室温になった時点で解体を行い、試験ロール素材を取り出した。ロール素材の胴体部において炭化物の少ない部分(図1のロ部)を旋盤加工にて除去し、外径350mm、胴長600mmの試験ロールを製造した。試験ロールに適正な熱処理を行った後、ロール胴体中央部よりステッキ加工により円盤型素材(ロール外層、内層を含む素材)を切り出し、前記円盤型素材より各種試験片を採取した。
表2に示すように、本発明の供試材No.11〜13の境界は正常に溶着しており、境界強度も48kg/mm以上であり内層に適していることが判った。一方、C%の低い供試材No.14では、境界部に鋳巣が多量に発生しているのが認められ、境界強度も非常に低い。また、C%の高い供試材No.15およびNo.16は境界周辺に多量の炭化物偏析が認められ、境界強度も非常に低いことが判った。
図5は本発明の圧延用複合ロールの種々の形態を示す概略断面図である。図5の(a)は、本発明の外層イと内層ハよりなる中実ロールである。図5(b)は本発明の外層イと内層ハよりなる中空スリーブロールである。ヘは中空部である。図5(c)は本発明の外層イと内層ハよりなる中空スリーブロールを金属製の軸材ホに嵌合させたものである。
また、本発明の圧延用複合ロールを製造し、実際に圧延を行ったところ、極めて優れた耐摩耗性を発揮することが確認できた。
本発明の圧延用複合ロールは、圧延用ワークロール全般で優れた耐摩耗性を発揮する。特に熱間薄板圧延機の仕上列に用いられるワークロールで極めて優れた耐摩耗性を発揮し、圧延工場における生産性の向上やロール原単位の向上に寄与する。
本発明の遠心力鋳造されてなる圧延用複合ロールを説明するための図である。 圧延摩耗試験機の概略図である。 本発明の供試材No.1の光学顕微鏡による組織写真である。 従来材の供試材No.8の光学顕微鏡による組織写真である。 本発明に係る圧延用複合ロールの種々の形態の例を示す概略断面図である。
符号の説明
1 圧延摩耗試験機、 2 試験用ロール、 3 試験用ロール、 4 加熱炉、
5 冷却水槽、 6 巻取り機、 7 テンションコントローラ、 S 圧延材、
イ MC型炭化物遠心分離濃化層、 ロ イを除く部位、 ハ 内層、 ホ 軸材、
ヘ 中空部

Claims (6)

  1. 遠心力鋳造により、遠心力鋳造用鋳型の内面側にMC炭化物を濃化した層を形成させて、ロールの外面側のMC炭化物の存在が乏しい層を除去した後、得られる外層であって、化学成分が質量%で、C:4.5%を超え9.0%以下、Si:0.1%を超え3.5%以下、Mn:0.1%を超え3.5%以下、V:18.0%を超え40.0%以下を含有し残部Feおよび不可避的不純物元素からなる外層と、前記外層の内面に金属接合された化学成分が質量%で、C:0.5〜3.0%、Si:0.1〜3.0%、Mn:0.1〜3.0%を含有したFe基合金からなる内層を有することを特徴とする圧延用複合ロール。
  2. さらに、前記外層にCr:1.0%を超え15.0%以下、Mo:0.5%を超え10.0%以下およびW:1.0%を超え40.0%以下のいずれか1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の圧延用複合ロール。
  3. 前記外層中のVの一部またはすべてを、質量%で下記(1)式を満足する範囲のNbで置換することを特徴とする請求項1または2に記載の圧延用複合ロール。
    18.0%<V%+0.55×Nb%≦40.0% ・・・(1)
  4. さらに前記外層が下記(2)式を満足することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の圧延用複合ロール。
    0<C%−0.2×(V%+0.55×Nb%)≦2.0% ・・・(2)
  5. さらに前記外層が質量%で、Ni:2.0%以下(0%を含む)およびCo:10.0%以下(0%を含む)のいずれか1種または2種を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の圧延用複合ロール。
  6. さらに前記外層が質量%で、Ti:0.5%以下(0%を含む)およびAl:0.5%以下(0%を含む)のいずれか1種または2種を含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の圧延用複合ロール。
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