JP4650736B2 - 圧延用複合ロール - Google Patents

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Description

本発明は、圧延ロール用外層およびそれを用いた圧延用複合ロールに関するものであり、耐摩耗性、耐肌荒れ性および耐焼付き性に優れ、特に熱間薄板圧延機の仕上列に用いられるワークロールとして好適なものである。
圧延の生産性を決定する重要な特性として、圧延ロールの耐摩耗性および耐肌荒れ性がある。耐摩耗性が乏しいと、早期にロール表面が摩耗し、被圧延材の寸法精度を損なう。また圧延ロールは、被圧延材との接触やバックアップロールとの接触などにより表面が不均一に摩耗し肌荒れが発生すると、その肌荒れが被圧延材に転写され、被圧延材の表面の外観を損なう。これらを防止する為にはロールを頻繁に取り替えなければならず、圧延操業の中断の頻度が増えることによる圧延工場の生産性の低下、ロール表面研削加工に要するコストの増大、さらにロール表面研削量の増大によるロール原単位の低下といった問題が発生する。
また、圧延ロールの他の重要な特性に耐焼付き性がある。耐焼付き性に乏しいと、圧延時のロールバイト内での発熱等により、被圧延材がロールに焼付き、正常な圧延ができなくなる。特に熱間薄板圧延機の仕上列の後段スタンドでは、被圧延材の端部が何らかの要因で2枚重ねで圧延される、いわゆる“絞り”と称される事故が発生する。その際、耐焼付き性に乏しいと被圧延材がロールに焼付いたり、さらに被圧延材がロール胴体に巻きつき圧延停止を余儀なくされる。また、被圧延材がロールに焼付いたまま圧延されると、その焼付き部に圧延荷重が集中することによりクラックが発生し、それを起点にスポール等のロール破損に至る場合がある。
そこで、従来から耐摩耗性、耐肌荒れ性の要求に応えることを目論んだ圧延ロール用外層として、Cr、Mo、W、Vなどの合金元素を多量に含んだハイス系合金が使用されている。その組織には、Crを多く含むM型炭化物(Mは金属元素を示す、以降同様)、Mo及びWを多く含むMC型炭化物やMC型炭化物、およびVを多く含むMC型炭化物などの金属炭化物を含有しているものである。この種の外層の公知例は数多くあり例えば以下のものが挙げられる。
特許文献1には、化学成分が重量%で、C:1.0〜3.0%、Si:0.1〜3.0%、Mn:0.1〜2.0%、Cr:2.0〜10.0%、Mo:0.1〜10.0%、V:1.0〜10.0%、W:0.1〜10.0%の範囲で、かつMo+W≦10.0%の式の満たす合金成分および残部がFeおよび不純物からなる外層と、鋳鉄または鋳鋼の内層からなる中実または中空の遠心鋳造複合ロールが記載されている。
特許文献2には、C:3.5〜5.5%、Si:0.1〜1.5%、Mn:0.1〜1.2%、Cr:4.0〜12.0%、Mo:2.0〜8.0%、V:12.0〜18.0%、残部Fe及び不可避的不純物からなることを特徴とする熱間圧延用工具鋼が記載されている。前記熱間圧延用工具鋼について、またNb:8.0%以下を含有すること、さらにNi:5.5%以下を含有することが記載されている。また、熱間圧延用工具鋼からなる遠心力鋳造ロール用外層において、0.2≦Nb/Vを満足する遠心力鋳造ロール用外層が記載されている。
特許文献3には、C含有量が2.0〜3.2%(重量%、以下同じ)であるハイス系鋳鉄材の外層の内面に、C:0.8〜1.9%、Si:3.0%以下、Mn:2.0%以下、Cr:6.0%以下、Mo:5.0%以下、W:5.0%以下、V:5.0%以下、残部実質的にFeからなる中間層が溶着一体化され、該中間層の内面に、C:0.2〜0.8%、Si:0.2〜3.0%、Mn:0.2〜2.0%、Cr:1.5%以下、Mo:1.0%以下、W:1.0%以下、V:1.5%以下、但しCr+Mo≧0.3%であり、残部実質的にFeからなる鋳鋼材の内層が溶着一体化されてなり、前記外層を構成するハイス系鋳鉄材は、C:2.0〜3.2%、Si:0.1〜2.0%、Mn:0.1〜2.0%、Cr:3〜10%、2×Mo+W:5〜22%、V:3〜8%、残部実質的にFeからなる圧延用複合ロールが記載されている。
特許文献4には、重量比で、C:1.8〜5%,Si:2%以下、Mn:2%以下、Cr:4〜6%、W:2〜8%、Mo:2〜10%、V:11%を超えて17%以下、Co7〜13%,残部Feおよび不可避的不純物からなり、平均粒径1〜30μm、面積率20〜40%のMC型炭化物を含有する耐摩耗焼結合金が記載されている。
また、従来から耐焼付き性および耐肌荒れ性に優れる圧延ロール用外層として、グレン系合金が使用されている。その組織中には、多量のセメンタイトすなわちMC炭化物と少量の黒鉛が含有されており、炭化物と黒鉛の効果により耐焼付き性が向上する。近年、このグレン系外層にVなどを添加し、その組織中にMC炭化物を含有させることで耐摩耗性の向上を図った材質の適用が拡大しつつある。この種の外層の公知例として例えば以下のものが挙げられる。
特許文献5には、化学成分が重量比でC2.0〜4.0%、Si0.5〜4.0%、Mn0.1〜1.5%、Ni2.0〜6.0%、Cr1.0〜7.0%、V:2.0〜8.0%、残部はFe及び不純物元素からなり、基地組織と0.5〜5面積%の黒鉛と0.2〜10面積%のMC系炭化物と10〜40面積%のセメンタイトからなる金属組織を有する耐摩耗耐焼付性熱間圧延ロールが記載されている。
特開平8−60289号公報 特開平9−256108号公報 特開平9−209071号公報 特開平7−268569号公報 特開平6−335712号公報
圧延ロールの耐摩耗性を向上させるには、一般的にロール材の硬さを増すことが行なわれる。ハイス系ロール材は、主に合金元素よりなる高硬度の炭化物(MC、MC、MC、M)を含んでおり、耐摩耗性を高めている。合金元素のうち、特にVやNbは、ビッカース硬さでHv2400〜3200程度の極めて高硬度のMC炭化物を形成し耐摩耗性の向上に寄与する。
しかしながら、VやNbが過剰に含まれた溶湯を遠心力鋳造すると、遠心分離による偏析が発生する。前述の特許文献1には、Vが10.0%を超えると、遠心力鋳造法の場合には形成される炭化物が軽いため内面に浮上し、圧延に用いる外層外表面では含有量相当の炭化物が含まれないことが記載されている。このような現象は、遠心力鋳造鋳型内に鋳込まれた溶湯が凝固する際、その溶湯が初晶にて粒状炭化物を晶出する場合に発生しやすい。この初晶粒状炭化物は比重が6g/cm程度と溶湯残液(比重7〜8g/cm程度)に対して比重が軽く、過剰に晶出すると遠心力により内面側に分離するためである。
また、炭化物の比重を大きくすることで遠心分離による偏析を防止する手段も提案されている。前述の特許文献2には、VC炭化物はその比重が母溶湯に対して小さく、遠心力鋳造を行なうと偏析する。NbはVと複合炭化物{V,Nb}Cを形成し、V単独の炭化物のときより比重を増大させる。それにより、遠心分離による偏析を防止することが記載されている。また、遠心力鋳造法で製造した場合に均一なロール用外層を得るためには、0.2≦Nb/Vとしなければならないことが記載されている。また、Vが18.0%を超えると焼付き性向上の効果が飽和するとともに、溶解不良等の製造上の問題を生じる危険がある。NbはVと複合炭化物{V,Nb}Cを形成するが、8.0%を超えると溶解不良等の製造上の問題を生じることが記載されている。
一方、このような多量の合金成分が添加された外層の内面に内層を形成する場合、外層と内層との間に引け巣や炭化物偏析等の溶着不良が発生したり、外層から内層へ多量の合金成分が混入するため、内層の強靱性が劣化するという問題があった。特許文献3には、高C材料の外層と低C材料の内層を有する複合ロールを遠心力鋳造により作製するに際し、中間層を設けることで前記の問題を抑制できることが記載されている。
このように、遠心力鋳造されてなるハイス系外層の耐摩耗性を飛躍的に向上させるには、VおよびNbを多量に添加すればよいが、前述の通り実際には製造上極めて困難である。
また、特許文献4のような粉末HIP法の場合でも同様に、VやNbといったMC炭化物形成元素を多量に添加すると、粉末製造のプロセスで溶湯をガスアトマイズする際に使用する溶湯ノズル内でMC炭化物が晶出し、ノズルを閉塞させる。これを防ぐため、ノズル径を大きくすると、粉末の粒径が粗大化し、粉末中に含まれるMC炭化物のサイズが不均質となる。このような粉末を使用したHIP焼結合金は、MC炭化物のサイズや分布が不均一であり、MC炭化物の多い部分と少ない部分のミクロ的な偏析により摩耗差を生じ肌荒れが発生する。
また、圧延ロールの耐焼付き性を向上させるには、金属組織中に炭化物を多く含ませ、ロール表面において炭化物の面積率を増すことが一般的に知られている。従来のハイス系外層は、炭化物を面積率で20%程度含むが、耐焼付き性を高めるのには充分ではない。
そこで、従来のハイス系外層において、耐焼付き性向上を目論み炭化物を増量させるためにCや合金元素を多く含ませると、靭性の低下や欠け落ちなどによる肌荒れが発生しやすい。特に、CやCr、MoおよびWといった合金元素を過剰に増加させると、MC、MC、およびM炭化物などいわゆる共晶炭化物が増加し、クラックが容易に伝播しやすくなる。そのため、靭性の低下や、これらの炭化物が粗大化し欠け落ちによる肌荒れを招きやすい。
一方、特許文献5のようなグレン系外層は、セメンタイトを面積率で40%程度と多量に含んでおり、耐焼付き性を高めている。しかしながら、グレン系外層は主にFeよりなるMC炭化物(セメンタイト)を含有しており、その硬さはHv1000〜1800程度と比較的低いため、ハイス系外層よりも耐摩耗性に劣るという欠点がある。
そこで本発明は、従来の圧延ロールにおける問題点を解消し、優れた耐摩耗性、耐肌荒れ性及び耐焼付き性を兼備するとともに、外層と内層が健全に溶着された圧延用複合ロールの提供を目的とする。
本発明者は、初晶MC炭化物を晶出する化学組成に調整した溶湯を遠心力鋳造用鋳型内に鋳込み、遠心力鋳造して、鋳型内の内面側にMC炭化物が濃化した層を形成することにより、組織中にMC炭化物がリッチで均一に分散した組織を得ることができることを見いだし本発明に到達した。
すなわち、本発明の第1の圧延用複合ロールは、遠心力鋳造により、遠心力鋳造用鋳型の内面側にMC炭化物を濃化した層を形成させて、ロールの外面側のMC炭化物の存在が乏しい層を除去した後、得られる外層であって、外層の化学成分が質量%で、C:2.5%を超え9.0%以下、Si:0.1%を超え3.5%以下、Mn:0.1%を超え3.5%以下、V:15.0%を超え40.0%以下を含有し、さらに質量%で、Cr:1.0%を超え15.0%以下、Mo:0.5%を超え20.0%以下およびW:1.0%を超え40.0%以下のいずれか1種または2種以上を含有し、残部Feおよび不可避的不純物元素からなり、ビッカース硬さがHv550〜900の基地に、面積率でMC炭化物が20〜60%分散した組織であって、該組織における円相当直径が15μm以上のMC炭化物を含まない領域が内接円直径で150μmを超えない外層と、片状黒鉛鋳鉄、球状黒鉛鋳鉄、黒鉛鋼および鋳鋼のいずれかからなる内層と、前記外層と内層との間に、化学成分が質量%で、C:0.5〜3.0%、Si:0.1〜3.0%、Mn:0.1〜3.0%を含有したFe基合金からなる中間層を有し、外層と中間層との間の引張強度が400MPa以上であることを特徴とする。
本発明の第2の圧延用複合ロールは、遠心力鋳造により、遠心力鋳造用鋳型の内面側にMC炭化物を濃化した層を形成させて、ロールの外面側のMC炭化物の存在が乏しい層を除去した後、得られる外層であって、外層の化学成分が質量%で、C:2.5%を超え9.0%以下、Si:0.1%を超え3.5%以下、Mn:0.1%を超え3.5%以下、V:15.0%を超え40.0%以下を含有し、さらに質量%で、Cr:1.0%を超え15.0%以下、Mo:0.5%を超え20.0%以下およびW:1.0%を超え40.0%以下のいずれか1種または2種以上を含有し、残部Feおよび不可避的不純物元素からなり、ビッカース硬さがHv550〜900の基地に、面積率でMC炭化物が20〜60%分散した組織であって、該組織における円相当直径が15μm以上のMC炭化物を含まない領域が内接円直径で150μmを超えない外層と、片状黒鉛鋳鉄、球状黒鉛鋳鉄、黒鉛鋼および鋳鋼のいずれかからなる内層と、前記外層と内層との間に、化学成分が質量%で、C:0.5〜3.0%、Si:0.1〜3.0%、Mn:0.1〜3.0%を含有したFe基合金からなる中間層を有する圧延用複合ロールにおいて、外層と中間層との間の接合境界部を含む引張試験片を引張試験に供したとき、引張破断位置が接合境界部を除く外層または中間層に存することを特徴とする。
また、本発明の第3の圧延用複合ロールは、遠心力鋳造により、遠心力鋳造用鋳型の内面側にMC炭化物を濃化した層を形成させて、ロールの外面側のMC炭化物の存在が乏しい層を除去した後、得られる外層であって、外層の化学成分が質量%で、C:2.5%を超え9.0%以下、Si:0.1%を超え3.5%以下、Mn:0.1%を超え3.5%以下、V:15.0%を超え40.0%以下を含有し、さらに質量%で、Cr:1.0%を超え15.0%以下、Mo:0.5%を超え20.0%以下およびW:1.0%を超え40.0%以下のいずれか1種または2種以上を含有し、残部Feおよび不可避的不純物元素からなり、ビッカース硬さがHv550〜900の基地に、面積率でMC炭化物が20〜60%分散した組織であって、該組織における円相当直径が15μm以上のMC炭化物間の平均粒子間距離が10〜40μmである外層と、片状黒鉛鋳鉄、球状黒鉛鋳鉄、黒鉛鋼および鋳鋼のいずれかからなる内層と、前記外層と内層との間に、化学成分が質量%で、C:0.5〜3.0%、Si:0.1〜3.0%、Mn:0.1〜3.0%を含有したFe基合金からなる中間層を有し、外層と中間層との間の引張強度が400MPa以上であることを特徴とする。
また、本発明の第4の圧延用複合ロールは、遠心力鋳造により、遠心力鋳造用鋳型の内面側にMC炭化物を濃化した層を形成させて、ロールの外面側のMC炭化物の存在が乏しい層を除去した後、得られる外層であって、外層の化学成分が質量%で、C:2.5%を超え9.0%以下、Si:0.1%を超え3.5%以下、Mn:0.1%を超え3.5%以下、V:15.0%を超え40.0%以下を含有し、さらに質量%で、Cr:1.0%を超え15.0%以下、Mo:0.5%を超え20.0%以下およびW:1.0%を超え40.0%以下のいずれか1種または2種以上を含有し、残部Feおよび不可避的不純物元素からなり、ビッカース硬さがHv550〜900の基地に、面積率でMC炭化物が20〜60%分散した組織であって、該組織における円相当直径が15μm以上のMC炭化物間の平均粒子間距離が10〜40μmである外層と、片状黒鉛鋳鉄、球状黒鉛鋳鉄、黒鉛鋼および鋳鋼のいずれかからなる内層と、前記外層と内層との間に、化学成分が質量%で、C:0.5〜3.0%、Si:0.1〜3.0%、Mn:0.1〜3.0%を含有したFe基合金からなる中間層を有する圧延用複合ロールにおいて、外層と中間層との間の接合境界部を含む引張試験片を引張試験に供したとき、引張破断位置が接合境界部を除く外層または中間層に存することを特徴とする。
また、前記中間層の厚みがロール軸方向に対して垂直な断面において5mm以上であることを特徴とする。
前記外層中の分散するMC炭化物の平均円相当直径が10〜50μmであることを特徴とする。
前記外層中の円相当直径が15μm以上のMC炭化物間の平均粒子間距離(G)と、MC炭化物の平均円相当直径(H)との比(G/H)が2以下であることを特徴とする。
さらに、前記外層のVの一部を、質量%で下記(1)式を満足する範囲のNbで置換することを特徴とする。
11.0%<V%+0.55×Nb%≦40.0% ・・・(1)
さらに前記外層が下記(2)式を満足することを特徴とする。
0<C%−0.2×(V%+0.55×Nb%)≦2.0% ...(2)
さらに前記外層中の成分が質量%で、Ni:2.0%以下(0%を含む)およびCo:10.0%以下(0%を含む)のいずれか1種または2種を含有することを特徴とする。
さらに前記外層中の成分が質量%で、Ti:0.5%以下(0%を含む)およびAl:0.5%以下(0%を含む)のいずれか1種または2種を含有することを特徴とする。
まず、本発明の圧延用複合ロールの外層の組織要素について説明する。
前記外層の基地は、MC炭化物などの炭化物を除く部分であり、おもにFeおよび合金元素からなり、熱処理による変態や基地中の極微細な炭化物の析出などにより硬さが変化する。基地の硬さがビッカース硬さでHv550未満では耐摩耗性が低下する。耐摩耗性向上の観点から基地の硬さは高いほうが望ましいが、Hv900を超えると、基地の靭性が低下する。基地の硬さのより好ましい範囲は、Hv650〜850である。さらに好ましい範囲は、Hv650〜750である。
MC炭化物は、他の炭化物に比べると高硬度であり、耐摩耗性の向上に寄与する。また、MC炭化物は高温で安定であり、被圧延材と金属結合しにくいことから、耐焼付き性改善にも優れた効果を発揮する。本発明のMC炭化物は、面積率で20%未満では耐摩耗性および耐焼付き性が不十分であり、MC炭化物が面積率で60%を超えると耐焼付き性改善効果が飽和するとともに、靭性が著しく低下する。よってMC炭化物は面積率で20〜60%が好ましい。より好ましい面積率は30〜50%である。
本発明の外層には、円相当直径で1μm以上のMC、MC、およびM炭化物の総量が面積率で0〜5%分散することができる。これらの炭化物の総和が面積率で5%を超えると、それらの炭化物が粗大化し耐肌荒れ性や靭性を損なう。少ないほど好ましく、面積率で0%でもよい。より好ましい面積率は0〜3%であり、さらに好ましくは、0〜1%である。なお、本発明の外層においては、MC、MC、MC、およびM炭化物以外の各種炭化物を微量含んでもかまわない。
本発明の外層の最大の特徴は、本発明の外層の組織において円相当直径が15μm以上のMC炭化物を含まない領域が内接円直径で150μmを超えないことである。MC炭化物が円相当直径で15μm未満の場合、MC炭化物が本来有する耐焼付き性の向上効果を期待できない。また、円相当直径が15μm以上のMC炭化物を含まない領域の内接円直径を150μm以下としたのは、この内接円直径より大きい領域が存在すると、MC炭化物の分布のばらつきが無視できないほど大きくなり、耐焼付き性の向上が見られないことが判った。円相当直径が15μm以上のMC炭化物を含まない領域が内接円直径で120μmを超えないことがより好ましい。さらには80μmを超えないことがより望ましい。
また、本発明の外層の組織において、円相当直径が15μm以上のMC炭化物間の平均粒子間距離が10〜40μmとしたのは、この平均粒子間距離より小さいと、MC炭化物が凝集しすぎて、MC炭化物の多い部分と少ない部分で摩耗差によるミクロ的な凹凸を生じ、耐肌荒れ性を損なう。この平均粒子間距離より大きいと、MC炭化物の分布のばらつきが無視できないほど大きくなり、耐焼付き性の向上が見られないことが判った。円相当直径が15μm以上のMC炭化物間の平均粒子間距離は20〜30μmがより好ましい。
また、外層の組織中に分散するMC炭化物の平均円相当直径は10〜50μmが望ましい。圧延時にロール表面は圧延鋼板からの高熱に晒される。特に熱負荷が高い場合は、ロール表面から10μm程度熱影響を受け、ロール基地が軟化し、ロールの耐摩耗性、耐肌荒れ性の劣化の要因となる。MC炭化物の平均円相当直径が10μm未満では、前述の軟化した基地をMC炭化物が支持することができず、耐摩耗性、耐肌荒れ性が劣化する。一方、50μmを超えて粗大となると耐焼付き性の向上効果が飽和するとともに、靭性が低下する。MC炭化物の平均円相当直径のより好ましい範囲は、10〜40μmであり、さらに好ましくは15〜30μmである。
また、本発明の外層の組織において、円相当直径が15μm以上のMC炭化物間の平均粒子間距離(G)と、MC炭化物の平均円相当直径(H)との比(G/H)が2以下であるのが望ましい。本発明の外層は、耐摩耗性に優れるMC炭化物を多量に含んでおり、耐摩耗性、耐肌荒れ性に優れるが、一方で製造時にはMC炭化物が凝集しやすい。MC炭化物が凝集すると、MC炭化物の多い部分と少ない部分で摩耗差によるミクロ的な凹凸を生じ、耐肌荒れ性を損なう一因となる。このG/Hの値が2を超えると、MC炭化物が凝集傾向にあり、MC炭化物の多い部分と少ない部分で摩耗差によるミクロ的な凹凸を生じ、耐肌荒れ性を損なう。より好ましいG/Hの値は、1.5以下である。
ここで、本発明における円相当直径について説明する。図1に円相当直径の概念図を示す。円相当直径とは、対象物(ここでは炭化物を指す)と等しい面積の円の直径を表したものである。図1において、測定対象物Eの面積をAとすると、円相当直径Dは測定対象物の面積Aと等しい面積に相当する円Bの直径であり、式(3)で表される。
円相当直径D=√(A×4/π) ・・・(3)
このようにして、本発明のMC炭化物の円相当直径Dやそれらを平均したMC炭化物の平均円相当直径Hを求めた。
また、本発明における円相当直径が15μm以上のMC炭化物を含まない領域の内接円直径について説明する。図2に円相当直径が15μm以上のMC炭化物を含まない領域の内接円直径の概念図を示す。
図2において、符号a、a1、a2、a3、a4(白塗り部)は円相当直径で15μm以上のMC炭化物、符号b(黒塗り部)は円相当直径で15μm未満のMC炭化物、符号eはMC炭化物a、bを除いた部分であり、基地とMC、MCおよびM炭化物の存在する領域である。この場合、本発明の内接円直径は領域eの面に無数に描かれる。図2に示すように、15μm未満のMC炭化物bを測定対象から除外して、15μm以上のMC炭化物a1〜a4のすべてに内接する内接円直径dが、本発明における内接円直径である。
また、本発明における円相当直径が15μm以上のMC炭化物間の平均粒子間距離について説明する。図3に平均粒子間距離の概念図を示す。図3において、符号a(白塗り部)は円相当直径で15μm以上のMC炭化物、符号b(黒塗り部)は円相当直径で15μm未満のMC炭化物、符号eはMC炭化物a、bを除いた部分であり、基地とMC、MCおよびM炭化物の存在する領域である。この場合、任意の直線Lにおいて、15μm未満のMC炭化物bを測定対象から除外して、直線L上に存在する15μm以上のMC炭化物aにおいて隣接するMC炭化物a同士間の最短距離であるLの線分をLnとすると、平均粒子間距離Gは、式(4)で表される。なお、Xは他の任意の直線であって、直線L同様に平均粒子間距離Gを求める。
円相当直径が15μm以上のMC炭化物間の平均粒子間距離G=
(Σ(L+L+・・・・+L))/n ・・・(4)
次に本発明の圧延用複合ロールの外層の化学成分(質量%)の限定理由について説明する。なお、本発明の外層の化学成分は、溶湯の成分ではなく、最終製品における外層の化学成分を示す。
C:2.5%を超え9.0%以下
Cは、おもにVもしくはNbなどの合金元素と結合しMC炭化物を形成することで耐摩耗性に寄与する必須の元素である。また、合金元素と結合しないCはおもに基地中に固溶もしくは合金元素とともに極微細に析出し基地を強化することでも耐摩耗性に寄与する。Cが2.5%以下ではMC炭化物の量が不足し十分な耐摩耗性が得られない。一方、Cが9.0%を超えると、炭化物が過多となり耐熱亀裂性が劣化する。より好ましいC含有量は3.5%を超え9.0%以下であり、さらに好ましくは4.5%を超え9.0%以下である。
Si:0.1%を超え3.5%以下
Siは、溶湯中で脱酸剤として作用する。Siが0.1%以下では脱酸効果が不足して鋳造欠陥を生じやすい。また、3.5%を超えると脆化する。より好ましいSi含有量は0.2〜2.5%であり、さらに好ましくは0.2〜1.5%である。
Mn:0.1%を超え3.5%以下
Mnは、溶湯の脱酸や不純物であるSをMnSとして固定し、0.1%を超えると効果がある。Mnが3.5%を超えると残留オーステナイトを生じやすくなり安定して硬さを維持できず、耐摩耗性が劣化しやすくなる。より好ましいMn含有量は0.2〜2.5%であり、さらに好ましくは0.2〜1.5%である。
V:15.0%を超え40.0%以下
Vは、おもにCと結合しMC炭化物を形成する本発明の重要な元素である。本発明の特徴の一つは、外層に極めて多量のMC炭化物を含むことにある。Vが15.0%以下では、MC炭化物が不足し、十分な耐摩耗性が得られない。一方、Vが40.0%を超えるとMC炭化物が過剰となり、靭性が劣化する。より好ましいV含有量は15.0%を超え40.0%以下であり、さらに好ましくは18.0%を超え40.0%以下である。
Cr:1.0%を超え15.0%以下
Crは、基地に固溶し焼入性を高め、また一部は基地中でCと結合し極微細な炭化物として析出し基地部を強化する。Crが1.0%以下では、基地強化の効果が十分に得られない。また、15.0%を超えるとM炭化物などのMC炭化物以外の炭化物が特に増加、粗大化もしくは網目状に晶出し、耐熱亀裂性が劣化する。より好ましいCr含有量は3.0〜9.0%である。
Mo:0.5%を超え20.0%以下
Moは、基地に固溶し焼入性を高め、また一部は基地中でCと結合し極微細な炭化物として析出し基地を強化する。さらに、Moの一部はVやNbなどとともに粒状炭化物を形成する。Moが0.5%以下では、基地強化の効果が十分に得られない。一方、20.0%を超えるとMCやMCなどのMC炭化物以外の炭化物が特に増加、粗大化もしくは網目状に晶出し、耐熱亀裂性が劣化する。より好ましいMo含有量は2.5〜20.0%であり、さらに好ましくは2.5〜10.0%以下である。
W:1.0%を超え40.0%以下
Wは、基地部に固溶し焼入性を高め、また一部は基地中でCと結合し極微細な炭化物として析出し基地部を強化する。さらに、Wの一部はVやNbなどとともに粒状炭化物を形成する。Wが1.0%以下では、基地強化の効果が十分に得られない。一方、40.0%を超えるとMCやMCなどのMC炭化物以外の炭化物が特に増加、粗大化もしくは網目状に晶出し、耐熱亀裂性が劣化する。より好ましいW含有量は、5.0〜40.0%であり、さらに好ましくは5.0〜20.0%以下である。
本発明の外層には耐摩耗性を十分に発揮すべく必要な基地を得るために、基地の強化元素であるCr、MoもしくはWの少なくともいずれか1種または2種以上を含有させることが望ましい。
11.0%<V%+0.55×Nb%≦40.0% ・・・(1)
Nbは、MC炭化物を形成する点でVと同様の作用がある。質量%でVが1.0%の場合、Nbは原子量の比より質量%で0.55×Nb%でVと等価となる。よって、(1)式の範囲でVの一部をNbで置換することができる。
0<C%−0.2×(V%+0.55×Nb%)≦2.0% ・・・(2)
C%−0.2×(V%+0.55Nb%)の値が0以下となると、MC炭化物の量が十分に得られなくなるとともに、基地中にVやNbが過剰となり基地の硬さが得られず耐摩耗性が低下する。また、C%−0.2×(V%+0.55Nb%)の値が2.0%を超えると、MC、MC、およびM炭化物などのMC炭化物以外の炭化物が特に増加、粗大化もしくは網目状に晶出し、耐熱亀裂性が劣化する。
また、圧延ロールの用途、使用方法に応じて、本発明の外層には以下の成分を適宜添加することができる。
Ni:2.0%以下
Niは基地に固溶し、基地の焼入れ性を向上させるのに有効である。Niが2.0%を超えると基地のオーステナイトが安定するため、基地の硬さが十分に得られない。
Co:10.0%以下
Coは基地部に固溶し、基地強化の効果がある。また、高温においても基地の硬さを維持できる。Coが10.0%を超えると靭性が低下する。一方、Coは高価であるので、経済性と使用条件を考慮し含有量を決定するのが望ましい。
Ti:0.5%以下
Tiは、溶湯中で脱酸剤として作用するほか、Nと結合して窒化物を形成し、粒状炭化物の核となり、粒状炭化物を微細にする効果がある。また一部はCと結合して粒状炭化物の一部となる。Tiの効果は0.5%以下で十分である。
Al:0.5%以下
Alは、溶湯中で脱酸剤として作用するほか、粒状炭化物を微細にする効果がある。0.5%を超えると焼入れ性を悪化させ十分な基地硬さが得がたく好ましくない。
次に、本発明の中間層について説明する。本発明の外層は耐摩耗性を確保するため高合金成分である。そのため、外層と内層を接合した場合、外層から内層に合金成分が混入し靭性が劣化する。さらに、外層が高合金成分であるため、特にVおよびNbの炭化物が多量に存在し、遠心力鋳造を行った場合、炭化物の比重により外層の内面に偏析が生じ、内面との溶着部分に偏在する炭化物層が発生するため、外層と内層の溶着が困難となる。そこで、中間層を外層と内層の間に介在させることで、内層への合金成分への混入および炭化物層を抑制することにより、外層と内層の溶着の強化を図った。
本発明の圧延用複合ロールにおいては、外層と中間層との間の引張強度が400MPa以上であることを特徴とする。これにより、圧延使用時に発生する応力振幅によって疲労し外層が剥離しロール破壊することを防止できる。より好ましい外層と中間層との間の引張強度は500MPa以上である。
また、外層と中間層との間の接合境界部を含む引張試験片を引張試験に供したとき、引張破断位置が接合境界部を除く部位すなわち外層または中間層に存するようにすれば、引張応力が極大となり疲労破壊の起点となりうる弱点部が接合境界部を除く部位に位置することになり、熱間薄板圧延機のワークロールのような高負荷条件においても十分耐えることが可能となる。
次に、中間層の成分(質量%)の限定理由を説明する。なお、本発明の中間層の化学成分は、溶湯の成分ではなく、最終製品における中間層の化学成分を示す。
C:0.5〜3.0%
Cは強度向上に寄与するが、0.5%未満では溶着が不十分になりやすく、中間層と外層または内層の境界部に鋳巣等の欠陥が生成しやすい。また、Cが3.0%を超えると炭化物が過多となり強度が低下しやすい。より好ましいCの範囲は1.8〜2.4%である。
Si:0.1〜3.0%
Siは、溶湯中で脱酸剤として作用する。Siが0.1%以下では脱酸効果が不足して鋳造欠陥を生じやすい。また、3.0%を超えると焼入れ性が低下し脆化するため、中間層としては不適となる。Siのより好ましい範囲は0.2〜1.5%であり、さらに好ましい範囲としては0.2%〜1.0%である。
Mn:0.1〜3.0%
Mnは、溶湯の脱酸や不純物であるSをMnSとして固定し、0.1%を超えると効果がある。Mnが2.0%を超えると脆化しやすくなり中間層としては不適となる。Mnのより好ましい範囲は0.2〜1.5%であり、さらに好ましい範囲は0.2〜1.0%である。
中間層には上記以外にも、目的に応じて、Ni、Cr、Mo、W、V、Nb、Co、Ti、Al等の合金元素が混入してもよい。また、ロール軸方向に対して垂直な断面における中間層の厚みが5mm未満では、前記混入した合金元素が中間層中で均一に分布せず、炭化物偏析等の溶着不良を起こしやすい。中間層の厚みの好ましい範囲は5mm以上であり、より好ましくは10〜50mmである。50mmを超えると中間層自体の欠陥が発生しやすくなり靭性劣化の原因となる。
本発明の圧延用複合ロールの外層は遠心力鋳造法で形成するのが望ましい。本発明の遠心力鋳造されてなる圧延用複合ロールについて説明する。図4は本発明の遠心力鋳造されてなる圧延用複合ロールの断面の模式図を示す。本発明の外層は、初晶粒状炭化物を晶出する化学組成に調整した溶湯を遠心力鋳造用鋳型内に鋳込み、遠心力鋳造することにより、内面側に粒状炭化物を濃化した層を形成させることで得られる。図4において、イ部は粒状炭化物が密集濃化した層である。ロ部はそれ以外の部位であり粒状炭化物の存在が乏しい層である。ハ部は内層である。本発明における圧延用複合ロールは、外層部を鋳込んだ後、中間層を遠心力鋳造法により鋳込み、図4のイ部にニ部の中間層を溶着させる。その後、図4のハ部の内層を静置鋳造にて鋳込む。ロール完成後、図4のロ部を、切削加工などにより除去し、図4のイ部を外層とした本発明の圧延用複合ロールを得る。
本発明の圧延用複合ロールの内層については、中間層と内層との健全な溶着を得るため、球状黒鉛鋳鉄、片状黒鉛鋳鉄などの鋳鉄系合金や黒鉛鋼や鋳鋼のように、強靭な材料が望ましい。また、本発明の圧延用複合ロールの中間層については、その用途や目的に応じて複数の中間層を設けてもよい。
本発明の圧延用複合ロールは、圧延用ワークロール全般で優れた耐摩耗性、耐肌荒れ性および耐焼付き性を発揮するが、特に熱間薄板圧延機の仕上列に用いられるワークロールで極めて優れた耐摩耗性、耐肌荒れ性および耐焼付き性を発揮し、圧延工場における生産性の向上やロール原単位の向上に寄与する。
本発明の外層は、初晶粒状炭化物を晶出する化学組成に調整した溶湯を遠心力鋳造用鋳型内に鋳込み、遠心力鋳造することにより、鋳型内の内面側にMC炭化物が濃化した層を形成した。供試材No.1〜5は本発明の実施例であり、本発明の遠心力鋳造で形成し、前述の図4のイ部に相当する部位より採取したものである。また、供試材No.6〜8は比較例、供試材No.9および10は従来例である。供試材No.6は静置鋳造で形成し、供試材No.7〜10は遠心力鋳造で形成した。
採取した供試材No.1〜8およびNo.10は、鋳込後1000〜1200℃で焼入れを行い、500〜600℃で3回焼戻しを行う熱処理を行った。また、供試材No.9は鋳込後400〜500℃で加熱し、残留オーステナイト分解兼歪取り熱処理を行った。各供試材はこれらの熱処理の後、各種試験片形状に加工を行った。これらの供試材No.1〜10の化学成分(質量%)を表1に示す。ここで、表1中の式(1)はV%+0.55×Nb%の値、また式(2)はC%−0.2×(V%+0.55×Nb%)の値である。
さらに、MC炭化物の面積率、MC、MCおよびM炭化物の合計の面積率、円相当直径が15μm以上のMC炭化物を含まない領域の内接円直径の最大値、基地のビッカース硬さ、MC炭化物の平均円相当直径および円相当直径が15μm以上のMC炭化物の平均粒子間距離の測定をそれぞれ行った。
また、耐摩耗性および耐肌荒れ性の評価として圧延摩耗試験機による摩耗試験の摩耗量および粗さの測定、耐焼付き性の評価として摩擦熱衝撃試験による焼付き面積率の測定、また靭性評価として破壊靭性値KICの測定を行った。
MC炭化物の面積率は、まず供試材を鏡面研磨し、次に重クロム酸カリウム水溶液中で電解腐食することによりMC炭化物を黒色に腐食した後、画像解析装置(日本アビオニクス株式会社製SPICCA−II)を使用し測定した。
また、MC、MC、およびM炭化物の面積率は、まず供試材を鏡面研磨し、次に村上試薬によって腐食することによりMC、MC、およびM炭化物を黒色に腐食または、黒色もしくは灰色に着色した後、画像解析装置を使用し測定した。なお、識別が容易な、円相当直径で1μm以上のMC、MC、およびM炭化物を測定対象とした。
これらの画像解析は1視野が供試材の0.23mm×0.25mmに相当する視野で面積率の測定を行った。この測定を、各供試材それぞれ任意の20視野について行い、その平均値を求めた。
MC炭化物の平均円相当直径は、まず供試材を鏡面研磨し、次に重クロム酸カリウム水溶液中で電解腐食することによりMC炭化物を黒色に腐食した後、画像解析装置(日本アビオニクス株式会社製SPICCA−II)を使用し測定した。画像解析の測定範囲は、1視野が供試材の0.23mm×0.25mmに相当する視野とし、各供試材それぞれ任意の20視野について測定し、測定値の平均値を求めた。
円相当直径が15μm以上のMC炭化物間の平均粒子間距離は、まず供試材を鏡面研磨し、次にピクリン酸アルコール溶液で基地を腐食する。これを光学顕微鏡で観察すると、基地は濃い灰色、MC炭化物は薄い灰色、MC、MCおよびM炭化物は白色に見える。このようにして、供試材試料の任意の1.0mm×1.5mmの面の倍率200倍の光学顕微鏡組織写真を用いて、円相当直径が15μm以上のMC炭化物の平均粒子間距離を測定した。
円相当直径が15μm以上のMC炭化物を含まない領域の内接円直径の測定は、まず供試材を鏡面研磨し、次にピクリン酸アルコール溶液で基地を腐食する。これを光学顕微鏡で観察すると、基地は濃い灰色、MC炭化物は薄い灰色、MC、MCおよびM炭化物は白色に見える。このようにして供試材試料の任意の2.0mm×3.0mmの面の倍率100倍の光学顕微鏡組織写真を作製し、本発明の内接円直径の最大値を測定した。
基地のビッカース硬さは、供試材を鏡面研磨し、ピクリン酸エタノール溶液を用いて基地を軽く腐食した後、ビッカース硬さ試験機を用いて、荷重50g〜200gの範囲で測定した。供試材それぞれ任意の5箇所についてその平均値を求めた。
図5は圧延摩耗試験機の概略図を示す。図5において、圧延摩耗試験機は、圧延機1と、圧延材Sを余熱する加熱炉4と、圧延材Sを冷却する冷却水槽5と、圧延材Sの巻取り機6とテンションコントローラ7とから構成される。圧延機1には試験用ロール2、3が組み込まれる。試験用ロールは前述の各供試材から作製し、外径60mm、内径40mm、幅40mmの小型スリーブロールを用いた。圧延摩耗試験機に試験用ロールを組み込み、試験条件が、圧延材料:SUS304、圧下率:25%、圧延速度:150m/min、圧延温度:900℃、圧延距離:300m/回、ロール冷却:水冷、ロール数:4重式にて試験を行った。圧延後、試験用ロールの表面に生じた摩耗の深さと十点平均粗さ(Rz)を触針式表面粗さ計により測定した。
図6は摩擦熱衝撃試験機の概略図を示す。この試験は、ラック8に重り9を落下させることによりピニオン10を回動させ、試験材11に噛み込み材12を強く接触させるものである。この試験により、試験材11に圧痕がつき、その一部もしくは全面に噛み込み材が焼付き付着する。焼付き面積率は焼付き付着面積を圧痕面積で割ったものを百分率で表したものである。この試験を各供試材につきそれぞれ2回行い、焼付き面積率の平均を求めた。
破壊靭性値KICは、各供試材より破壊靭性値KIC測定用の試験片を採取し、ASTM E399に準拠した試験により測定した。測定は各供試材につき2個の試験片について行い、その平均値を求めた。
表2に各種測定した結果を示す。すなわち、MC炭化物の面積率(%)、1μm以上のMC、MCおよびM炭化物の合計の面積率(%)、円相当直径が15μm以上のMC炭化物を含まない領域の内接円直径の最大値(μm)、基地のビッカース硬さ(Hv)、円相当直径が15μm以上のMC炭化物の平均粒子間距離(μm)、摩耗量(μm)、表面粗さRz(μm)、焼付き面積率(%)および破壊靭性値KIC(kg/mm3/2)を示す。
図7に本発明例の供試材No.1の金属組織を示す。図7において、白色の部分がMC炭化物であり、黒色の部分は基地である。供試材No.1はMC炭化物が高濃度に分布しているのがわかる。
図8に比較例の供試材No.6の金属組織を示す。図8において、白色の部分がMC炭化物であり、黒色の部分は基地である。供試材No.6はMC炭化物が部分的に偏在して分布しているのがわかる。
図9に従来例のハイス系ロール材の供試材No.10の金属組織を示す。図9において、白色の微細粒状の部分がMC炭化物、白色の網目状の部分がMC、MCおよびM炭化物であり、黒色の部分は基地である。供試材No.10はMC炭化物が部分的に偏在して分布し、MC、MCおよびM炭化物は網目状に分布しているのがわかる。
本発明例のNo.1〜5の摩耗量は、従来例のNo.9に比べ半分以下であり、耐摩耗性が極めて良好である。また本発明例は、粗さ、焼付き面積率および破壊靭性値KICも従来例材以上であり、耐肌荒れ性、耐焼付き性および十分な靭性を兼ね備えている。
比較例のNo.6は、円相当直径が15μm以上のMC炭化物を含まない領域が内接円直径で150μmを超え、また円相当直径が15μm以上のMC炭化物間の平均粒子間距離(G)と、MC炭化物の平均円相当直径(H)との比(G/H)が2を超える本発明の範囲外であり、粗さおよび焼付き面積率が従来例材以下であり、耐肌荒れ性および耐焼付き性が劣る。
比較例のNo.7は、C%、Ni%、式(2)の値、MC炭化物の面積率、基地硬さ、MC炭化物の平均円相当直径が本発明の範囲外であり、また円相当直径が15μm以上のMC炭化物間の平均粒子間距離(G)と、MC炭化物の平均円相当直径(H)との比(G/H)が2を超えるものであり、摩耗量および焼付き面積率が従来例材以下であり、耐摩耗性および耐焼付き性が劣る。
比較例のNo.8は、V%、Cr%、式(1)の値、式(2)の値、MC炭化物の面積率、1μm以上のMC、MCおよびM炭化物の合計面積率が本発明の範囲外であり、また円相当直径が15μm以上のMC炭化物間の平均粒子間距離(G)と、MC炭化物の平均円相当直径(H)との比(G/H)が2を超えるものであり、粗さおよびKICが従来例材以下であり、耐肌荒れ性および靭性が劣る。
従来例のNo.9は、V%、Ni%、式(1)の値、MC炭化物の面積率、MC炭化物の平均円相当直径が本発明の範囲外であり、また円相当直径が15μm以上のMC炭化物間の平均粒子間距離(G)と、MC炭化物の平均円相当直径(H)との比(G/H)が2を超えるものであり、耐摩耗性が本発明材よりも劣る。
次に、本発明の圧延用複合ロールの中間層について検討を行った。表3に中間層の最終製品における化学成分(質量%)を示す。供試材No.11〜13は本発明の中間層材質である。供試材No.14、No.15は比較例であり、供試材No.16は従来の内層材質である球状黒鉛鋳鉄である。これらの材質を使用して、以下の溶着試験を行った。
溶着試験に用いる外層は表1に示す本発明材No.1とした。No.11〜15については、内径500mm、長さ1200mmの金型および遠心力鋳造機を用いて表1のNo.1に示す外層になるように調製された溶湯を注入し、所定の時間が経過した後、さらに表3のNo.11〜15に示す成分になるように調製された中間層溶湯を注入した。その後、外層と中間層が注入された鋳型を遠心力鋳造機より取り出し、ピット内に縦置きにし、鋳型下部から球状黒鉛鋳鉄の内層溶湯を注入し、複合ロールの製造を行った。
表3の従来材であるNo.16については、内径500mm、長さ1200mmの金型および遠心力鋳造機を用いて溶湯をを注入した。所定の時間が経過した後、外層が注入された鋳型を遠心力鋳造機より取り出し、ピット内に縦置きにし、鋳型下部から球状黒鉛鋳鉄の内層溶湯を注入し、中間層の無い複合ロールの製造を行った。
上記の試験ロールは鋳型と共に自然冷却し、ロールが室温になった時点で解体を行い、試験ロール素材を取り出した。ロール素材の胴体部において炭化物の少ない部分(図1のロ部)を旋盤加工にて除去し、外径350mm、胴長600mmの試験ロールを製造した。試験ロールに適正な熱処理を行った後、ロール胴体中央部よりステッキ加工により円盤型素材(ロール外層、接合境界部を含む素材)を切り出し、前記円盤型素材より各種試験片を採取した。
前記試験片のうち、溶着部の健全性の確認および中間層厚みを測定した。また、No.11〜15においては外層と中間層の間の境界引張り試験を行った。No.16については、外層と内層の間の境界引張り試験を行った。
表3に示すように、本発明の供試材No.11〜13の境界は正常に溶着しており、外層と中間層との間の引張強度も480MPa以上であり中間層に適していることが判った。一方、C%の低い供試材No.14では、接合境界部に鋳巣が多量に存在し、溶着不良が発生しているのが認められ、外層と中間層との間の引張強度も非常に低い。また、C%の高い供試材No.15およびNo.16は境界周辺に多量の炭化物偏析が認められ、引張強度も低いことが判った。
図10は本発明の供試材No.11の引張試験後の断面組織写真を示す。図10において、本発明の供試材は、外層と中間層との間の接合境界部に鋳巣や凝集した炭化物層はなく、外層側で破断していることがわかる。
図11は従来例の供試材No.16の引張試験後の断面組織写真を示す。図11において、従来例の供試材は、外層と内層との間の接合境界部に凝集した炭化物層があり、脆弱な接合境界部で破断していることがわかる。
図12は本発明の圧延用複合ロールの種々の形態を示す概略断面図である。図12(a)は、本発明の外層イと、中間層ニと、内層ハよりなる中実ロールである。図12(b)は本発明の外層イと、中間層ニと、内層ハよりなる中空スリーブロールである。ヘは中空部である。図12(c)は本発明の外層イと、中間層ニと、内層ハよりなる中空スリーブロールを金属製の軸材ホに嵌合させたものである。なお、ここでいう外層イは、前述の図4におけるMC炭化物の乏しい層ロを加工除去したもので、MC炭化物が濃化した層イ部と同じである。
また、本発明の圧延用複合を製造し、実際に圧延を行ったところ、極めて優れた耐摩耗性、耐肌荒れ性および耐焼付き性を発揮することが確認できた。
本発明の圧延用複合ロールは、圧延用ワークロール全般で優れた耐摩耗性、耐肌荒れ性および耐焼付き性を発揮するが、特に熱間薄板圧延機の仕上列に用いられるワークロールで極めて優れた耐摩耗性、耐肌荒れ性および耐焼付き性を発揮し、圧延工場における生産性の向上やロール原単位の向上に寄与する。
円相当直径を説明するための図である。 内接円直径を説明するための図である。 平均粒子間距離を説明するための図である。 本発明の圧延用複合ロールを説明するための図である。 圧延摩耗試験機の概略図である。 摩擦熱衝撃試験機の概略図である。 本発明の供試材No.1の光学顕微鏡による金属組織写真である。 比較例の供試材No.6の光学顕微鏡による金属組織写真である。 従来例の供試材No.10の光学顕微鏡による金属組織写真である。 本発明の供試材No.11の引張試験後の断面組織写真を示す。 従来例の供試材No.16の引張試験後の断面組織写真を示す。 本発明に係る圧延用複合ロールの種々の形態の例を示す概略断面図である。
符号の説明
1 圧延摩耗試験機、 2 試験用ロール、 3 試験用ロール、 4 加熱炉、
5 冷却水槽、 6 巻取り機、 7 テンションコントローラ、 S 圧延材、
8 ラック、 9 重り、 10 ピニオン、 11 試験材、
12 噛み込み材、 A 対象物の面積、 B 円、 D 円相当直径、
E 測定対象物、
a(a1、a2、a3、a4) 円相当直径で15μm以上のMC炭化物、
b 円相当直径で15μm以下のMC炭化物、 c 内接円、 d 内接円直径、
e MC炭化物a、bを除いた領域、 L 任意の直線、
L1、L2、L3 粒子間距離、
イ MC炭化物遠心分離濃化層、 ロ イを除く部位、 ハ 内層、 ニ 中間層、
ホ 軸材、 ヘ 中空部

Claims (11)

  1. 遠心力鋳造により、遠心力鋳造用鋳型の内面側にMC炭化物を濃化した層を形成させて、ロールの外面側のMC炭化物の存在が乏しい層を除去した後、得られる外層であって、外層の化学成分が質量%で、C:2.5%を超え9.0%以下、Si:0.1%を超え3.5%以下、Mn:0.1%を超え3.5%以下、V:15.0%を超え40.0%以下を含有し、さらに質量%で、Cr:1.0%を超え15.0%以下、Mo:0.5%を超え20.0%以下およびW:1.0%を超え40.0%以下のいずれか1種または2種以上を含有し、残部Feおよび不可避的不純物元素からなり、ビッカース硬さがHv550〜900の基地に、面積率でMC炭化物が20〜60%分散した組織であって、該組織における円相当直径が15μm以上のMC炭化物を含まない領域が内接円直径で150μmを超えない外層と、片状黒鉛鋳鉄、球状黒鉛鋳鉄、黒鉛鋼および鋳鋼のいずれかからなる内層と、前記外層と内層との間に、化学成分が質量%で、C:0.5〜3.0%、Si:0.1〜3.0%、Mn:0.1〜3.0%を含有したFe基合金からなる中間層を有し、外層と中間層との間の引張強度が400MPa以上であることを特徴とする圧延用複合ロール。
  2. 遠心力鋳造により、遠心力鋳造用鋳型の内面側にMC炭化物を濃化した層を形成させて、ロールの外面側のMC炭化物の存在が乏しい層を除去した後、得られる外層であって、外層の化学成分が質量%で、C:2.5%を超え9.0%以下、Si:0.1%を超え3.5%以下、Mn:0.1%を超え3.5%以下、V:15.0%を超え40.0%以下を含有し、さらに質量%で、Cr:1.0%を超え15.0%以下、Mo:0.5%を超え20.0%以下およびW:1.0%を超え40.0%以下のいずれか1種または2種以上を含有し、残部Feおよび不可避的不純物元素からなり、ビッカース硬さがHv550〜900の基地に、面積率でMC炭化物が20〜60%分散した組織であって、該組織における円相当直径が15μm以上のMC炭化物を含まない領域が内接円直径で150μmを超えない外層と、片状黒鉛鋳鉄、球状黒鉛鋳鉄、黒鉛鋼および鋳鋼のいずれかからなる内層と、前記外層と内層との間に、化学成分が質量%で、C:0.5〜3.0%、Si:0.1〜3.0%、Mn:0.1〜3.0%を含有したFe基合金からなる中間層を有する圧延用複合ロールにおいて、外層と中間層との間の接合境界部を含む引張試験片を引張試験に供したとき、引張破断位置が接合境界部を除く外層または中間層に存することを特徴とする圧延用複合ロール。
  3. 遠心力鋳造により、遠心力鋳造用鋳型の内面側にMC炭化物を濃化した層を形成させて、ロールの外面側のMC炭化物の存在が乏しい層を除去した後、得られる外層であって、外層の化学成分が質量%で、C:2.5%を超え9.0%以下、Si:0.1%を超え3.5%以下、Mn:0.1%を超え3.5%以下、V:15.0%を超え40.0%以下を含有し、さらに質量%で、Cr:1.0%を超え15.0%以下、Mo:0.5%を超え20.0%以下およびW:1.0%を超え40.0%以下のいずれか1種または2種以上を含有し、残部Feおよび不可避的不純物元素からなり、ビッカース硬さがHv550〜900の基地に、面積率でMC炭化物が20〜60%分散した組織であって、該組織における円相当直径が15μm以上のMC炭化物間の平均粒子間距離が10〜40μmである外層と、片状黒鉛鋳鉄、球状黒鉛鋳鉄、黒鉛鋼および鋳鋼のいずれかからなる内層と、前記外層と内層との間に、化学成分が質量%で、C:0.5〜3.0%、Si:0.1〜3.0%、Mn:0.1〜3.0%を含有したFe基合金からなる中間層を有し、外層と中間層との間の引張強度が400MPa以上であることを特徴とする圧延用複合ロール。
  4. 遠心力鋳造により、遠心力鋳造用鋳型の内面側にMC炭化物を濃化した層を形成させて、ロールの外面側のMC炭化物の存在が乏しい層を除去した後、得られる外層であって、外層の化学成分が質量%で、C:2.5%を超え9.0%以下、Si:0.1%を超え3.5%以下、Mn:0.1%を超え3.5%以下、V:15.0%を超え40.0%以下を含有し、さらに質量%で、Cr:1.0%を超え15.0%以下、Mo:0.5%を超え20.0%以下およびW:1.0%を超え40.0%以下のいずれか1種または2種以上を含有し、残部Feおよび不可避的不純物元素からなり、ビッカース硬さがHv550〜900の基地に、面積率でMC炭化物が20〜60%分散した組織であって、該組織における円相当直径が15μm以上のMC炭化物間の平均粒子間距離が10〜40μmである外層と、片状黒鉛鋳鉄、球状黒鉛鋳鉄、黒鉛鋼および鋳鋼のいずれかからなる内層と、前記外層と内層との間に、化学成分が質量%で、C:0.5〜3.0%、Si:0.1〜3.0%、Mn:0.1〜3.0%を含有したFe基合金からなる中間層を有する圧延用複合ロールにおいて、外層と中間層との間の接合境界部を含む引張試験片を引張試験に供したとき、引張破断位置が接合境界部を除く外層または中間層に存することを特徴とする圧延用複合ロール。
  5. 前記中間層の厚みが5mm以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の圧延用複合ロール。
  6. 前記外層中の分散するMC炭化物の平均円相当直径が10〜50μmであることを特徴とする請求1〜4のいずれかに記載の圧延用複合ロール。
  7. 前記外層中の円相当直径が15μm以上のMC炭化物間の平均粒子間距離(G)と、MC炭化物の平均円相当直径(H)との比(G/H)が2以下であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の圧延用複合ロール。
  8. さらに、前記外層のVの一部を、質量%で下記(1)式を満足する範囲のNbで置換することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の圧延用複合ロール。
    11.0%<V%+0.55×Nb%≦40.0% ・・・(1)
  9. さらに前記外層が下記(2)式を満足することを特徴とする請求項1〜4、8のいずれかに記載の圧延用複合ロール。
    0<C%−0.2×(V%+0.55×Nb%)≦2.0% ・・・(2)
  10. さらに前記外層中の成分が質量%で、Ni:2.0%以下(0%を含む)およびCo:10.0%以下(0%を含む)のいずれか1種または2種を含有することを特徴とする請求項1〜4、8、9のいずれかに記載の圧延用複合ロール。
  11. さらに前記外層中の成分が質量%で、Ti:0.5%以下(0%を含む)およびAl:0.5%以下(0%を含む)のいずれか1種または2種を含有することを特徴とする請求項1〜4、8〜10のいずれかに記載の圧延用複合ロール。
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