JP4650738B2 - 圧延用複合ロール - Google Patents
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Description
11.0%<V%+0.55×Nb%≦40.0% ・・・(1)
0<C%−0.2×(V%+0.55×Nb%)≦2.0% ...(2)
前記外層の基地は、MC炭化物などの炭化物を除く部分であり、おもにFeおよび合金元素からなり、熱処理による変態や基地中の極微細な炭化物の析出などにより硬さが変化する。基地の硬さがビッカース硬さでHv550未満では耐摩耗性が低下する。耐摩耗性向上の観点から基地の硬さは高いほうが望ましいが、Hv900を超えると、基地の靭性が低下する。基地の硬さのより好ましい範囲は、Hv650〜850である。さらに好ましい範囲は、Hv650〜750である。
円相当直径D=√(A×4/π) ・・・(3)
円相当直径が15μm以上のMC炭化物間の平均粒子間距離G=
(Σ(L1+L2+・・・・+Ln))/n ・・・(4)
Cは、おもにVもしくはNbなどの合金元素と結合しMC炭化物を形成することで耐摩耗性に寄与する必須の元素である。また、合金元素と結合しないCはおもに基地中に固溶もしくは合金元素とともに極微細に析出し基地を強化することでも耐摩耗性に寄与する。Cが2.5%以下ではMC炭化物の量が不足し十分な耐摩耗性が得られない。一方、Cが9.0%を超えると、炭化物が過多となり耐熱亀裂性が劣化する。より好ましいC含有量は3.5%を超え9.0%以下であり、さらに好ましくは4.5%を超え9.0%以下である。
Siは、溶湯中で脱酸剤として作用する。Siが0.1%以下では脱酸効果が不足して鋳造欠陥を生じやすい。また、3.5%を超えると脆化する。より好ましいSi含有量は0.2〜2.5%であり、さらに好ましくは0.2〜1.5%である。
Mnは、溶湯の脱酸や不純物であるSをMnSとして固定し、0.1%を超えると効果がある。Mnが3.5%を超えると残留オーステナイトを生じやすくなり安定して硬さを維持できず、耐摩耗性が劣化しやすくなる。より好ましいMn含有量は0.2〜2.5%であり、さらに好ましくは0.2〜1.5%である。
Vは、おもにCと結合しMC炭化物を形成する本発明の重要な元素である。本発明の特徴の一つは、外層に極めて多量のMC炭化物を含むことにある。Vが15.0%以下では、MC炭化物が不足し、十分な耐摩耗性が得られない。一方、Vが40.0%を超えるとMC炭化物が過剰となり、靭性が劣化する。より好ましいV含有量は15.0%を超え40.0%以下であり、さらに好ましくは18.0%を超え40.0%以下である。
Crは、基地に固溶し焼入性を高め、また一部は基地中でCと結合し極微細な炭化物として析出し基地部を強化する。Crが1.0%以下では、基地強化の効果が十分に得られない。また、15.0%を超えるとM7C3炭化物などのMC炭化物以外の炭化物が特に増加、粗大化もしくは網目状に晶出し、耐熱亀裂性が劣化する。より好ましいCr含有量は3.0〜9.0%である。
Moは、基地に固溶し焼入性を高め、また一部は基地中でCと結合し極微細な炭化物として析出し基地を強化する。さらに、Moの一部はVやNbなどとともに粒状炭化物を形成する。Moが0.5%以下では、基地強化の効果が十分に得られない。一方、20.0%を超えるとM2CやM6CなどのMC炭化物以外の炭化物が特に増加、粗大化もしくは網目状に晶出し、耐熱亀裂性が劣化する。より好ましいMo含有量は2.5〜20.0%であり、さらに好ましくは2.5〜10.0%以下である。
Wは、基地部に固溶し焼入性を高め、また一部は基地中でCと結合し極微細な炭化物として析出し基地部を強化する。さらに、Wの一部はVやNbなどとともに粒状炭化物を形成する。Wが1.0%以下では、基地強化の効果が十分に得られない。一方、40.0%を超えるとM6CやM2CなどのMC炭化物以外の炭化物が特に増加、粗大化もしくは網目状に晶出し、耐熱亀裂性が劣化する。より好ましいW含有量は、5.0〜40.0%であり、さらに好ましくは5.0〜20.0%以下である。
Nbは、MC炭化物を形成する点でVと同様の作用がある。質量%でVが1.0%の場合、Nbは原子量の比より質量%で0.55×Nb%でVと等価となる。よって、(1)式の範囲でVの一部をNbで置換することができる。
C%−0.2×(V%+0.55Nb%)の値が0以下となると、MC炭化物の量が十分に得られなくなるとともに、基地中にVやNbが過剰となり基地の硬さが得られず耐摩耗性が低下する。また、C%−0.2×(V%+0.55Nb%)の値が2.0%を超えると、M2C、M6C、およびM7C3炭化物などのMC炭化物以外の炭化物が特に増加、粗大化もしくは網目状に晶出し、耐熱亀裂性が劣化する。
Niは基地に固溶し、基地の焼入れ性を向上させるのに有効である。Niが2.0%を超えると基地のオーステナイトが安定するため、基地の硬さが十分に得られない。
Coは基地部に固溶し、基地強化の効果がある。また、高温においても基地の硬さを維持できる。Coが10.0%を超えると靭性が低下する。一方、Coは高価であるので、経済性と使用条件を考慮し含有量を決定するのが望ましい。
Tiは、溶湯中で脱酸剤として作用するほか、Nと結合して窒化物を形成し、粒状炭化物の核となり、粒状炭化物を微細にする効果がある。また一部はCと結合して粒状炭化物の一部となる。Tiの効果は0.5%以下で十分である。
Alは、溶湯中で脱酸剤として作用するほか、粒状炭化物を微細にする効果がある。0.5%を超えると焼入れ性を悪化させ十分な基地硬さが得がたく好ましくない。
Cは強度向上に寄与するが、0.5%未満では溶着が不十分になりやすく、または内層の境界部に鋳巣等の欠陥が生成しやすい。また、Cが3.0%を超えると炭化物が過多となり強度が低下しやすい。より好ましいCの範囲は1.8〜2.4%である。
Siは、溶湯中で脱酸剤として作用する。Siが0.1%以下では脱酸効果が不足して鋳造欠陥を生じやすい。また、3.0%を超えると焼入れ性が低下し脆化するため、内層としては不適となる。Siのより好ましい範囲は0.2〜1.5%であり、さらに好ましい範囲としては0.2%〜1.0%である。
Mnは、溶湯の脱酸や不純物であるSをMnSとして固定し、0.1%を超えると効果がある。Mnが2.0%を超えると脆化しやすくなり内層としては不適となる。Mnのより好ましい範囲は0.2〜1.5%であり、さらに好ましい範囲は0.2〜1.0%である。
5 冷却水槽、 6 巻取り機、 7 テンションコントローラ、 S 圧延材、
8 ラック、 9 重り、 10 ピニオン、 11 試験材、
12 噛み込み材、 A 対象物の面積、 B 円、 D 円相当直径、
E 測定対象物、
a(a1、a2、a3、a4) 円相当直径で15μm以上のMC炭化物、
b 円相当直径で15μm以下のMC炭化物、 c 内接円、 d 内接円直径、
e MC炭化物a、bを除いた領域、 L 任意の直線、
L1、L2、L3 粒子間距離、
イ MC炭化物遠心分離濃化層、 ロ イを除く部位、 ハ 内層、
ホ 軸材、 ヘ 中空部
Claims (11)
- 遠心力鋳造により、遠心力鋳造用鋳型の内面側にMC炭化物を濃化した層を形成させて、ロールの外面側のMC炭化物の存在が乏しい層を除去した後、得られる外層であって、外層の化学成分が質量%で、C:2.5%を超え9.0%以下、Si:0.1%を超え3.5%以下、Mn:0.1%を超え3.5%以下、V:15.0%を超え40.0%以下を含有し、さらに質量%で、Cr:1.0%を超え15.0%以下、Mo:0.5%を超え20.0%以下およびW:1.0%を超え40.0%以下のいずれか1種または2種以上を含有し、残部Feおよび不可避的不純物元素からなり、ビッカース硬さがHv550〜900の基地に、面積率でMC炭化物が20〜60%分散した組織であって、該組織における円相当直径が15μm以上のMC炭化物を含まない領域が内接円直径で150μmを超えない外層と、前記外層の内面に金属接合された化学成分が質量%で、C:0.5〜3.0%、Si:0.1〜3.0%、Mn:0.1〜3.0%を含有したFe基合金からなる内層を有し、外層と内層との間の引張強度が400MPa以上であることを特徴とする圧延用複合ロール。
- 遠心力鋳造により、遠心力鋳造用鋳型の内面側にMC炭化物を濃化した層を形成させて、ロールの外面側のMC炭化物の存在が乏しい層を除去した後、得られる外層であって、外層の化学成分が質量%で、C:2.5%を超え9.0%以下、Si:0.1%を超え3.5%以下、Mn:0.1%を超え3.5%以下、V:15.0%を超え40.0%以下を含有し、さらに質量%で、Cr:1.0%を超え15.0%以下、Mo:0.5%を超え20.0%以下およびW:1.0%を超え40.0%以下のいずれか1種または2種以上を含有し、残部Feおよび不可避的不純物元素からなり、ビッカース硬さがHv550〜900の基地に、面積率でMC炭化物が20〜60%分散した組織であって、該組織における円相当直径が15μm以上のMC炭化物を含まない領域が内接円直径で150μmを超えない外層と、前記外層の内面に金属接合された化学成分が質量%で、C:0.5〜3.0%、Si:0.1〜3.0%、Mn:0.1〜3.0%を含有したFe基合金からなる内層を有する圧延用複合ロールにおいて、外層と内層との間の接合境界部を含む引張試験片を引張試験に供したとき、引張破断位置が接合境界部を除く外層に存することを特徴とする圧延用複合ロール。
- 遠心力鋳造により、遠心力鋳造用鋳型の内面側にMC炭化物を濃化した層を形成させて、ロールの外面側のMC炭化物の存在が乏しい層を除去した後、得られる外層であって、外層の化学成分が質量%で、C:2.5%を超え9.0%以下、Si:0.1%を超え3.5%以下、Mn:0.1%を超え3.5%以下、V:15.0%を超え40.0%以下を含有し、さらに質量%で、Cr:1.0%を超え15.0%以下、Mo:0.5%を超え20.0%以下およびW:1.0%を超え40.0%以下のいずれか1種または2種以上を含有し、残部Feおよび不可避的不純物元素からなり、ビッカース硬さがHv550〜900の基地に、面積率でMC炭化物が20〜60%分散した組織であって、該組織における円相当直径が15μm以上のMC炭化物間の平均粒子間距離が10〜40μmである外層と、前記外層の内面に金属接合された化学成分が質量%で、C:0.5〜3.0%、Si:0.1〜3.0%、Mn:0.1〜3.0%を含有したFe基合金からなる内層を有し、外層と内層との間の引張強度が400MPa以上であることを特徴とする圧延用複合ロール。
- 遠心力鋳造により、遠心力鋳造用鋳型の内面側にMC炭化物を濃化した層を形成させて、ロールの外面側のMC炭化物の存在が乏しい層を除去した後、得られる外層であって、外層の化学成分が質量%で、C:2.5%を超え9.0%以下、Si:0.1%を超え3.5%以下、Mn:0.1%を超え3.5%以下、V:15.0%を超え40.0%以下を含有し、さらに質量%で、Cr:1.0%を超え15.0%以下、Mo:0.5%を超え20.0%以下およびW:1.0%を超え40.0%以下のいずれか1種または2種以上を含有し、残部Feおよび不可避的不純物元素からなり、ビッカース硬さがHv550〜900の基地に、面積率でMC炭化物が20〜60%分散した組織であって、該組織における円相当直径が15μm以上のMC炭化物間の平均粒子間距離が10〜40μmである外層と、前記外層の内面に金属接合された化学成分が質量%で、C:0.5〜3.0%、Si:0.1〜3.0%、Mn:0.1〜3.0%を含有したFe基合金からなる内層を有する圧延用複合ロールにおいて、外層と内層との間の接合境界部を含む引張試験片を引張試験に供したとき、引張破断位置が接合境界部を除く外層に存することを特徴とする圧延用複合ロール。
- 前記外層中の分散するMC炭化物の平均円相当直径が10〜50μmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の圧延用複合ロール。
- 前記外層中の円相当直径が15μm以上のMC炭化物間の平均粒子間距離(G)と、MC炭化物の平均円相当直径(H)との比(G/H)が2以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の圧延用複合ロール。
- 円相当直径で1μm以上のM2C、M6CおよびM7C3炭化物の総量が0〜5%分散した組織であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の圧延用複合ロール。
- さらに、前記外層のVの一部を、質量%で下記(1)式を満足する範囲のNbで置換することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の圧延用複合ロール。
11.0%<V%+0.55×Nb%≦40.0% ・・・(1) - さらに前記外層が下記(2)式を満足することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の圧延用複合ロール。
0<C%−0.2×(V%+0.55×Nb%)≦2.0% ・・・(2) - さらに前記外層中の成分が質量%で、Ni:2.0%以下(0%を含む)およびCo:10.0%以下(0%を含む)のいずれか1種または2種を含有することを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の圧延用複合ロール。
- さらに前記外層中の成分が質量%で、Ti:0.5%以下(0%を含む)およびAl:0.5%以下(0%を含む)のいずれか1種または2種を含有することを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の圧延用複合ロール。
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