JP4649863B2 - 摩擦帯電濾材 - Google Patents

摩擦帯電濾材 Download PDF

Info

Publication number
JP4649863B2
JP4649863B2 JP2004117443A JP2004117443A JP4649863B2 JP 4649863 B2 JP4649863 B2 JP 4649863B2 JP 2004117443 A JP2004117443 A JP 2004117443A JP 2004117443 A JP2004117443 A JP 2004117443A JP 4649863 B2 JP4649863 B2 JP 4649863B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fiber
filter medium
acid
acid compound
mass
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2004117443A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005296825A (ja
Inventor
省二 徳田
真之 今川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyobo Co Ltd
Original Assignee
Toyobo Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyobo Co Ltd filed Critical Toyobo Co Ltd
Priority to JP2004117443A priority Critical patent/JP4649863B2/ja
Publication of JP2005296825A publication Critical patent/JP2005296825A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4649863B2 publication Critical patent/JP4649863B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Filtering Materials (AREA)
  • Electrostatic Separation (AREA)

Description

本発明は摩擦帯電濾材に関し、さらに詳しくは自動車室内や事務機器、居住空間などのエアフィルタや、マスク等に使用されるものである。さらには、「JIS D 1201(1977)自動車車室内用有機資材の燃焼性試験方法」による燃焼性区分が自消性を有する摩擦帯電濾材に関する。
空気中の塵埃を捕集するエアフィルタとして種々のものが提案されてきた。その中で、異なる複数種の繊維を混合した摩擦帯電濾材は低圧力損失でかつ粒子捕集効率が比較的高い濾材として注目され、これまで種々の組合せの繊維構成によるものが提案されてきた。
(例えば、特許文献1〜3)。
米国特許第4,798,850号明細書 特開2000−170068号公報 特表2003−512147号公報
これらの文献では、ポリオレフィン系繊維と、モダクリルやアクリル、ポリエステル繊維の組合せにおいて、繊維の油剤を除去して表面を清浄にした後に摩擦帯電させることにより得られる濾材が開示されている。しかしながら何れの文献においても濾材の燃焼性については何ら記載がない。用途によっては自消性が必要な場合がある。例えば自動車室内の空気清浄ユニットに使用される場合は「JIS D 1201(1977)自動車車室内用有機資材の燃焼性試験方法」による燃焼性区分が自消性であることが必須である。しかしながら前記特許文献で開示された繊維構成のうち、ポリオレフィン系繊維とアクリル繊維の組合せは、濾過性能は高いもののアクリル繊維が極めて燃えやすいため自消性とはならない。ポリオレフィン系繊維とモダクリル繊維の組合せは自消性を示すが、モダクリルは塩素を含んでおり、焼却処分時に有害なダイオキシン類を発生する恐れがあることから環境上好ましくない。
またポリオレフィン系繊維と標準的な芳香族ポリエステル繊維(以下、標準ポリエステル繊維と呼ぶ)の組合せは、ポリオレフィン系繊維とアクリル繊維との組合せよりも燃えにくいものの、必ずしも自消性を示さない上、また濾過性能も劣るという問題がある。特許文献3ではポリオレフィン系繊維とポリエステル繊維からなる濾材が開示されているが、帯電性が充分とは言えず、特に0.3μm程度の微細な粒子の捕集効率は充分ではなく、高い濾過性能や自消性を発現させるためのポリエステルの構造に関しては何ら記載がない。
本発明は、ポリエステル系繊維とポリオレフィン系繊維との組合せで、低圧力損失で高い粒子捕集効率を発現できる帯電濾材を提供するものであり、さらには、「JIS D 1201(1977)自動車車室内用有機資材の燃焼性試験方法」による燃焼性区分が自消性であり、かつ焼却処分時にダイオキシン類を発生しない帯電濾材をも提供しようとするものである。
本発明は、ポリエステル系繊維を少なくとも20質量%とポリオレフィン系繊維を少なくとも30質量%含んでなる摩擦帯電濾材であって、該摩擦帯電濾材中にリン原子および/またはイオウ原子が300ppm以上含有されていることを特徴とする摩擦帯電濾材である。
また、前記リン原子および/またはイオウ原子が、ホスフィン酸化合物及び/またはスルホン酸化合物として存在し、ポリエステル分子鎖と共重合していることを特徴とする摩擦帯電濾材である。
本発明の摩擦帯電濾材は、低圧力損失で高い粒子捕集効率を発現できる。しかも、ホスフィン酸化合物及び/またはスルホン酸化合物を含有するポリエステル系繊維とポリオレフィン系繊維との組合せであるため、摩擦帯電性に優れるとともに、「JIS D 1201(1977)自動車車室内用有機資材の燃焼性試験方法」による自消性を必要に応じて容易に達成することができ、エアフィルタに自消性が要求される用途に利用可能な摩擦帯電濾材を得ることができる。また、本発明の濾材は焼却処分時にダイオキシン類を発生しないため、環境負荷の少ない濾材である。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明の摩擦帯電濾材はポリエステル系繊維を少なくとも20質量%とポリオレフィン系繊維を少なくとも30質量%含んでなることを特徴とする摩擦帯電濾材であって、該摩擦帯電濾材中にリン原子および/またはイオウ原子が300ppm以上含有されている。これらリン原子および/またはイオウ原子は、ホスフィン酸化合物及び/またはスルホン酸化合物としてポリエステル分子鎖と共重合して存在していることが好ましい。
本発明におけるホスフィン酸化合物としては、下記一般式(1)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0004649863
(式中、X1はエステル形成性官能基、R1は低級アルキレン基あるいはアリーレン(Arylene)基、R2、R3は同一もしくは異なる炭素数1〜10の炭化水素基、n1は1または2の整数、びn2、n3はそれぞれ0〜4の整数を表す。)
本発明におけるスルホン酸化合物としては、下記一般式(2)で表されるスルホン酸金属塩、または下記一般式(3)で表されるスルホン酸ホスホニウム塩が挙げられる。
Figure 0004649863
(式中、X2はエステル形成性官能基、X3はX2と同一もしくは異なるエステル形成性官能基あるいは水素原子、A1は芳香族または脂肪族の基、M1はアルカリ金属またはアルカリ土類金属を示す。)
Figure 0004649863
(式中、X4はエステル形成性官能基、X5はX4と同一もしくは異なるエステル形成性官能基あるいは水素原子、A2は芳香族または脂肪族の基、R4、R5、R6、R7は水素、アルキル基、アリール(Aryl)基、ヒドロキシアルキル基から選ばれた同一または異なる基、n4は1または2の整数を示す。)
本発明において前記一般式(1)中、X1は具体的にはカルボキシル基、カルボキシル基の炭素数が1〜6のアルキルエステル、シクロアルキルエステル、アリール(Aryl)エステル、ヒドロキシル基、炭素数2〜7のヒドロキシルアルコキシカルボニル基などが挙げられる。またR1として好ましいものはメチレン、エチレン、1,2−プロピレン、1,3−プロピレンなどの低級アルキレン基、1,3−フェニレン、1,4−フェニレンなどのアリーレン(Arylene)基などが挙げられる。またR2、R3としては、炭素数1〜6のアルキル基、シクロアルキル基、アリール(Aryl)基および上記X1の1価の基などが好ましいものとして挙げられる。
前記一般式(1)で示されるホスフィン酸化合物の具体例としては、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド(HCA)の他、その他下記化学式(a)〜(z)で表される化合物である。
Figure 0004649863
Figure 0004649863
Figure 0004649863
Figure 0004649863
さらにホスフィン酸化合物としては、上記以外に下記一般式(4)の化合物や、特に一般式(5)で示されるカルボキシホスフィン酸およびその誘導体が有効である。
Figure 0004649863
(式中、R8は炭素数1以上22以下のアルキル基、フェニル基、ナフチル基およびアントラセン基を示し、M2は金属イオン、アンモニウムイオン、ホスホニウムイオンを示す。)
一般式(4)で示される化合物の具体例としては、フェニルホスフィン酸ナトリウム、フェニルホスフィン酸カリウム、フェニルホスフィン酸リチウム、フェニルホスフィン酸カルシウム、フェニルホスフィン酸マグネシウム等がある。
Figure 0004649863
(式中R11 は炭素原子数4以上の分岐したアルキル基または芳香族基、R12 、R13 は水素原子または炭素原子数1〜6の1価の有機基またはヒドロキシル基を有する有機基で互いに同じでも違っていてもよい。また、A3は2価または3価の有機残基を表す。)
一般式(5)で示されるカルボキシホスフィン酸およびその誘導体の具体例としては、(2−カルボキシエチル)フェニルホスフィン酸、(2−カルボキシエチル)−tert,ブチルホスフィン酸、(2−カルボキシエチル)1,1−ジメチルヘキシルホスフィン酸、(2−カルボキシエチル)ナフチルホスフィン酸、(2−カルボキシエチル)トルイルホスフィン酸、(2−カルボキシエチル)2,5−ジメチルフェニルホスフィン酸、(2−カルボキシエチル)シクロヘキシルホスフィン酸、(2−カルボキシエチル)−4−クロロフェニルホスフィン酸、(4−カルボキシフェニル)フェニルホスフィン酸、(3−カルボキシフェニル)フェニルホスフィン酸、カルボキシメチルフェニルホスフィン酸、カルボキシメチルナフチルホスフィン酸およびそれらの低級アルコールエステル、低級アルコールジエステル、環状無水物などが挙げられる。
本発明におけるスルホン酸化合物である前記一般式(2)中、X2はエステル形成性官能基、X3はX2と同一もしくは異なるエステル形成性官能基あるいは水素原子を示す。エステル形成性官能基の具体例としては、−COOH、−COOR、−OH、−OR〔各式中Rは低級アルキル基、またはフェニル基である〕などを挙げることができる。なお、Rで表される低級アルキル基としては、例えばその炭素数が1〜4個の直鎖状または分岐状のものが好ましい。また、A1は芳香族または脂肪族の基を示し、なかでも芳香族基が好ましい。M1はアルカリ金属またはアルカリ土類金属を示し、アルカリ金属としてはナトリウム、カリウム、リチウムなどが、アルカリ土類金属としてはカルシウム、マグネシウムなどが挙げられる。
前記一般式(2)で示されるスルホン酸化合物はグリコールとの反応物として添加してもよい。かかるスルホン酸化合物の特に好ましい例としては、5−ナトリウムスルホイソフタル酸(およびそのメチルエステル、エチレングリコールエステル)、m−ナトリウムスルホ安息香酸(およびそのメチルエステル、エチレングリコールエステル)、p−ナトリウムスルホ安息香酸(およびそのメチルエステル、エチレングリコールエステル)、o−ナトリウムスルホ安息香酸(およびそのメチルエステル、エチレングリコールエステル)、4−ヒドロキシ−3−ナトリウムスルホ安息香酸(およびそのメチルエステル、エチレングリコールエステル)、3−ヒドロキシ−4−ナトリウムスルホ安息香酸(およびそのメチルエステル、エチレングリコールエステル)、3−ナトリウムスルホサリチル酸(およびそのメチルエステル、エチレングリコールエステル)等を挙げることができる。
本発明において前記一般式(3)中、X4はエステル形成性官能基、X5はX4と同一もしくは異なるエステル形成性官能基あるいは水素原子を示す。エステル形成性官能基の具体例としては、−COOH、−COOR、−OH、−OR〔各式中Rは低級アルキル基、またはフェニル基である〕などを挙げることができる。なお、Rで表される低級アルキル基としては、例えばその炭素数が1〜4個の直鎖状または分岐状のものが好ましい。また、A1は芳香族または脂肪族の基を示し、なかでも芳香族基が好ましい。
4、R5、R6及びR7 は水素、アルキル基、アリール(Aryl)基、ヒドロキシアルキル基よりなる群から選ばれた同一または異なる基を示す。かかるスルホン酸ホスホニウム塩は、一般に対応するスルホン酸とホスフィン類との反応または対応するスルホン酸金属塩とホスホニウムハライド類との反応により容易に合成できる。
前記一般式(3)で示されるスルホン酸ホスホニウム塩はグリコールとの反応物として添加してもよい。かかるスルホン酸ホスホニウム塩の好ましい例としては、3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸エチルトリブチルホスホニウム塩、3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸ベンジルトリブチルホスホニウム塩、3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸フェニルトリブチルホスホニウム塩、3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸テトラフェニルホスホニウム塩、3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸エチルトリフェニルホスホニウム塩、3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸ブチルトリフェニルホスホニウム塩、3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸ベンジルトリフェニルホスホニウム塩、3,5−ジカルボメトキシベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、3,5−ジカルボメトキシベンゼンスルホン酸エチルトリブチルホスホニウム塩、3,5−ジカルボメトキシベンゼンスルホン酸ベンジルトリブチルホスホニウム塩、3−カルボメトキシベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、3−カルボメトキシベンゼンスルホン酸テトラフェニルホスホニウム塩、3,5−ジ(β−ヒドロキシエトキシカルボニル)ベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、3,5−ジ(β−ヒドロキシエトキシカルボニル)ベンゼンスルホン酸テトラフェニルホスホニウム塩、3−(β−ヒドロキシエトキシカルボニル)ベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、3−(β−ヒドロキシエトキシカルボニル)ベンゼンスルホン酸テトラフェニルホスホニウム塩、4−ヒドロキシエトキシベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、2,6−ジカルボキシナフタレン−4−スルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、α−テトラブチルホスホニウムコハク酸等を挙げることができる。上記スルホン酸ホスホニウム塩は2種以上併用してもよい。
本発明において、前記ホスフィン酸化合物及び/またはスルホン酸化合物がポリエステル分子鎖に共重合されていることが好ましい。またそのポリエステル分子鎖は、ジカルボン酸成分のうち80%以上がテレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体と、グリコール成分のうち80%以上がエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコールから選ばれた少なくとも1種のアルキレングリコールまたはそれらのエステル形成性誘導体から得られるものである。共重合体における前記ホスフィン酸化合物及び/またはスルホン酸化合物の含有量は、ホスフィン酸化合物およびスルホン酸化合物として全カルボン酸成分の0.5〜5モル%、好ましくは1〜3モル%である。なおホスフィン酸化合物とスルホン酸化合物は同じポリエステル分子鎖内に共存していても差し支えない。これらの共重合ポリエステルの製造にあたっては、エステル交換反応、重縮合反応とも従来公知の触媒、反応条件を採用することができる。またこれらの共重合ポリエステル樹脂を原料として、定法により短繊維を製造することができる。
前記共重合ポリエステル繊維をポリオレフィン系繊維と混合し、適当な方法で繊維同士を摩擦することにより帯電電荷が発生するが、その帯電レベルは標準ポリエステル繊維を用いた場合に比べて極めて大きい。したがって本発明の摩擦帯電濾材は、標準ポリエステル繊維とポリオレフィン系繊維で構成される濾材に比べて濾過性能が優れるという特徴がある。
また前記共重合ポリエステル繊維は標準ポリエステル繊維に比べて難燃特性に優れている。これは、ホスフィン酸化合物及び/またはスルホン酸化合物がポリマー中に含有されることにより、燃焼時のドリップ性が発現して難燃効果に寄与するものと考えられる。したがって、本発明の摩擦帯電濾材は、「JIS D 1201(1977)自動車車室内用有機資材の燃焼性試験方法」による自消性とすることが容易である。
本発明におけるポリオレフィン系繊維とは、ポリエチレン繊維、ポリプリピレン繊維、ポリエチレン−ポリプロピレン複合繊維などがあるが、好ましくはポリプロピレン繊維である。これらのポリオレフィン繊維が難燃剤を含有していても構わない。
一般的に摩擦帯電濾材において摩擦による帯電レベルを高めるには、異なる繊維同士の接触頻度を増やすこと、接触によって発生する電荷量を増やすことが有効であると考えられる。このうち後者に関しては、前記共重合ポリエステル繊維とポリオレフィン系繊維を混合、摩擦することによって帯電レベルが大きくなることは上述の通りである。前者に関しては、ポリエステル系繊維とポリオレフィン系繊維の混合比の最適な領域が存在し、これから外れると帯電レベルが大きくならない。
すなわち本発明の摩擦帯電濾材は、全カルボン酸成分に対してホスフィン酸化合物及び/またはスルホン酸化合物が0.5〜5モル%、好ましくは1〜3モル%共重合されたポリエステル系繊維が全構成繊維の20質量%以上、好ましく30〜70質量%と、ポリオレフィン系繊維が全構成繊維に対して30質量%以上、好ましく30〜70質量%からなる。ここで本発明者らは、該摩擦帯電濾材中にリン原子および/またはイオウ原子が300ppm以上含有されていることが、高い粒子捕集効率及び難燃性の発現の点で重要であることを見出した。濾材中のポリエステル系繊維の構成比が小さい場合には、全カルボン酸成分に対するホスフィン酸化合物及び/またはスルホン酸化合物の含有量を多めにする必要があり、逆にポリエステル系繊維の構成比が大きい場合には、ホスフィン酸化合物及び/またはスルホン酸化合物の含有量は少なくてもよい。
本発明の摩擦帯電濾材は、ホスフィン酸化合物及び/またはスルホン酸化合物を含有するポリエステル系繊維と、ポリオレフィン系繊維以外に、他の繊維を含有していてもよい。好適な繊維としては、標準ポリエステル繊維、ポリ乳酸繊維、アクリル繊維等である。
本発明の摩擦帯電濾材の好適な製法例を以下に説明する。まず上記繊維を含む複数の繊維成分を所定の質量混合比で混綿、カーディングして混繊ウェブを製造する。その後ウェブの状態で繊維表面の油剤を除去する。油剤除去の具体的方法にはウェブを溶剤や界面活性剤等の槽に浸漬した後すすぎ処理を行う方法や、高圧水をウェブに噴射する方法などがある。次に乾燥したウェブを摩擦処理して帯電濾材を得る。摩擦処理の方法としては、例えば2つのギアロール間に濾材を噛み合わせて通過させながら摩擦を行う方法や、ニードルパンチ処理を利用して摩擦と交絡を同時に行う方法などがある。これらの摩擦工程において、帯電処理と同時にウェブを延伸して所定の目付量に調整したり、あるいは補強材と貼り合わせたりすることも可能である。補強材としてはネット、スパンボンド不織布、サーマルボンド不織布、湿式抄造紙など従来公知のものを使用することができる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。
(共重合ポリエステル繊維の製造)
(製造例1)
194質量部のジメチルテレフタレート(DMT)、124質量部のエチレングリコール、DMTに対して2モル%の前記化合物(r)のホスフィン酸化合物を反応容器に入れ、これにDMTに対し0.1モル%の酢酸亜鉛、および0.02モル%の三酸化アンチモンを添加して、窒素ガス雰囲気下2時間かけて150℃から230℃に昇温しつつエステル交換反応を行った。次いでこの生成物を重縮合缶に移し、280℃、1mmHg以下の減圧下で5時間重縮合反応を行って共重合ポリエステル樹脂を得た。元素分析にて原子換算で1820ppmのリンが検出された。この樹脂を原料として定法により2.2デシテックスの短繊維Aを作製した。
(製造例2)
194質量部のジメチルテレフタレート(DMT)、124質量部のエチレングリコール、DMTに対して3モル%の5−ナトリウムスルホイソフタル酸のエチレングリコールエステルを反応容器に入れ、これにDMTに対し0.1モル%の酢酸亜鉛、および0.02モル%の三酸化アンチモンを添加して、窒素ガス雰囲気下2時間かけて150℃から230℃に昇温しつつエステル交換反応を行った。次いでこの生成物を重縮合缶に移し、280℃、1mmHg以下の減圧下で5時間重縮合反応を行って共重合ポリエステル樹脂を得た。元素分析にて原子換算で2820ppmのイオウが検出された。この樹脂を原料として定法により2.2デシテックスの短繊維Bを作製した。
(製造例3)
194質量部のジメチルテレフタレート(DMT)、124質量部のエチレングリコールを反応容器に入れ、これにDMTに対し0.1モル%の酢酸亜鉛、および0.02モル%の三酸化アンチモンを添加して、窒素ガス雰囲気下3時間かけて150℃から230℃に昇温しつつエステル交換反応を行った。次いでこの生成物を重縮合缶に移し、DMTに対して2モル%の3,5−ジ(β−ヒドロキシエトキシカルボニル)ベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩を加えて、280℃、1mmHg以下の減圧下で5時間重縮合反応を行って共重合ポリエステル樹脂を得た。元素分析にて原子換算で1830ppmのリン、および1890ppmのイオウが検出された。この樹脂を原料として定法により2.2デシテックスの短繊維Cを作製した。
(製造例4)
194質量部のジメチルテレフタレート(DMT)、124質量部のエチレングリコール、DMTに対して0.4モル%の前記化合物(r)のホスフィン酸化合物を反応容器に入れ、これにDMTに対し0.1モル%の酢酸亜鉛、および0.02モル%の三酸化アンチモンを添加して、窒素ガス雰囲気下2時間かけて150℃から230℃に昇温しつつエステル交換反応を行った。次いでこの生成物を重縮合缶に移し、280℃、1mmHg以下の減圧下で5時間重縮合反応を行って共重合ポリエステル樹脂を得た。元素分析にて原子換算で370ppmのリンが検出された。この樹脂を原料として定法により2.2デシテックスの短繊維Dを作製した。
(製造例5)
1236質量部のテレフタル酸、62質量部の(2−カルボキシエチル)フェニルホスフィン酸[(2-Carboxyethyl)phenylphosphinic acid]と、1055質量部のエチレングリコールを反応容器に仕込み、さらに三酸化アンチモンを0.55質量部、トリエチルアミン11質量部を加えて230℃、ゲージ圧2.5kg/cm2 でエステル化に生成する水を逐次除去しながら2時間エステル化反応を行った。続いて1時間で系の温度を275℃まで昇温して、この間に系の圧力を徐々に減じて0.1mmHgとし、この条件下で2時間重縮合時間を行った。得られた共重合ポリエステル樹脂の〔η〕は0.64でリン含有量は5900ppmであった。この共重合ポリエステル樹脂を原料として常法により、紡糸、延伸して2.2デシテックスの短繊維Eを作製した。
(帯電濾材の製造方法)
表1に示した所定の質量混合比の繊維を混綿、カーディングして目付100g/m2の混繊ウェブを作製し、これに3MPaの高圧水を連続的に噴霧して油剤を除去した。これを乾燥後、針密度50本/cm2にてニードルパンチ処理を行い、摩擦帯電と交絡を同時に行って、帯電濾材試料を得た。ニードルパンチ処理時の温湿度は、27℃、55RH%とした。なお表1に示した上記A〜E以外の繊維は以下の通りである。
NC:宇部日東化成(株)製ポリプロピレン短繊維(2.2dtex,51mm)
707:東洋紡績(株)製標準ポリエステル繊維(2.2dtex,51mm)
K8:日本エクスラン工業(株)製アクリル繊維(2.2dtex,51mm)
(濾過性能の測定)
圧力損失は、帯電濾材試料をダクト内に設置し、空気濾過速度が30cm/秒になるようコントロールし、濾材上流、下流の静圧差を圧力計で読み取り求めた。また粒子捕集効率(%)の評価は粒子径0.3μmのNaCl粒子を用い、30cm/秒にて行った。
(燃焼性評価)
JIS D 1201(1977)自動車車室内用有機資材の燃焼性試験方法に従って実施した。試験点数は、各濾材のカーディングのMD方向およびTD方向それぞれ5箇所ずつとした。
実施例1〜7および比較例1〜4の、繊維構成、濾過性能、燃焼性評価結果を表1に示した。実施例の摩擦帯電濾材は何れも本発明の要件を満たしており、粒子捕集効率が高く、実施例1および実施例3〜7では、燃焼性試験においてすべての箇所で自消性を示した。比較例1の摩擦帯電濾材は、粒子捕集効率は高いものの、アクリル繊維が非常に燃えやすいため燃焼性試験においてMD、TDすべての箇所で易燃性となった。比較例2および3の帯電濾材は粒子捕集効率がやや低く、また燃焼性試験において自消性を示さなかった。比較例4ではポリプロピレン繊維の混合率が小さいいため、粒子捕集効率が低いレベルであった。また比較例5は構成繊維種および繊維混合比は本発明の要件を満たしているが、濾材中のリン原子および/またはイオウ原子が300ppm未満であるため、実施例と比べると粒子捕集効率が低く、また自消性を示さなかった。
Figure 0004649863
本発明の摩擦帯電濾材は、摩擦帯電特性が優れるため、低圧力損失で高い粒子捕集効率を発現できる。しかも、ポリエステル系繊維とポリオレフィン系繊維との組合せであるため、「JIS D 1201(1977)自動車車室内用有機資材の燃焼性試験方法」による自消性にすることが容易であり、自消性が要求されるエアフィルタ用途に利用可能な濾材を提供することができる。また本発明の帯電濾材は焼却処分時にダイオキシン類を発生しないため、環境負荷の少ない帯電濾材として産業上有用である。

Claims (2)

  1. ホスフィン酸化合物及び/またはスルホン酸化合物が、ポリエステル系繊維のポリエステル分子鎖に共重合して存在しているポリエステル系繊維を20〜70質量%とポリオレフィン系繊維を30〜70質量%含んでなる摩擦帯電濾材であって、該摩擦帯電濾材中にリン原子および/またはイオウ原子が300ppm以上含有されていることを特徴とする摩擦帯電濾材。
  2. 粒子径0.3μmのNaCl粒子を用いた粒子捕集効率が73%以上である請求項1記載の摩擦帯電濾材。
JP2004117443A 2004-04-13 2004-04-13 摩擦帯電濾材 Expired - Fee Related JP4649863B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004117443A JP4649863B2 (ja) 2004-04-13 2004-04-13 摩擦帯電濾材

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004117443A JP4649863B2 (ja) 2004-04-13 2004-04-13 摩擦帯電濾材

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005296825A JP2005296825A (ja) 2005-10-27
JP4649863B2 true JP4649863B2 (ja) 2011-03-16

Family

ID=35329018

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004117443A Expired - Fee Related JP4649863B2 (ja) 2004-04-13 2004-04-13 摩擦帯電濾材

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4649863B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN104815485A (zh) * 2015-04-17 2015-08-05 华中师范大学 一种透明荷电纳米纤维空气过滤材料及其制备方法

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH07207006A (ja) * 1994-01-07 1995-08-08 Toyobo Co Ltd 改質ポリエステルおよびその繊維
JP2000290834A (ja) * 1999-04-07 2000-10-17 Toyobo Co Ltd 難燃性および抗菌性に優れるポリエステル系繊維
JP2002348480A (ja) * 2001-05-24 2002-12-04 Toyobo Co Ltd エレクトレット材料
JP2003512147A (ja) * 1999-10-19 2003-04-02 ホリンズワース アンド ヴォ−ス エア フィルトレーション リミテッド 濾材およびその製造方法

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH07207006A (ja) * 1994-01-07 1995-08-08 Toyobo Co Ltd 改質ポリエステルおよびその繊維
JP2000290834A (ja) * 1999-04-07 2000-10-17 Toyobo Co Ltd 難燃性および抗菌性に優れるポリエステル系繊維
JP2003512147A (ja) * 1999-10-19 2003-04-02 ホリンズワース アンド ヴォ−ス エア フィルトレーション リミテッド 濾材およびその製造方法
JP2002348480A (ja) * 2001-05-24 2002-12-04 Toyobo Co Ltd エレクトレット材料

Also Published As

Publication number Publication date
JP2005296825A (ja) 2005-10-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
AU2003292812A1 (en) Polyester fiber structures
JP4760376B2 (ja) 摩擦帯電濾材
JP4649863B2 (ja) 摩擦帯電濾材
JP5297085B2 (ja) 層状珪酸塩とハイブリッド化した水性ポリエステル樹脂、皮膜形成用樹脂組成物、ポリエステルフィルム及び繊維
JP2006218342A (ja) 抗菌性、抗アレルゲン性を有する摩擦帯電濾材およびその製造方法
JP5297086B2 (ja) 層状珪酸塩とハイブリッド化した水性ポリエステル樹脂、皮膜形成用樹脂組成物、ポリエステルフィルム及び繊維
JPS63227898A (ja) 湿式不織布
JPS6254811B2 (ja)
JPS633913B2 (ja)
JP2003299924A (ja) プリーツ型フィルター材
JP2006192345A (ja) 耐紫外線性空調フィルター用濾材およびソックフィルター
JP3510011B2 (ja) 難燃性複合不織布およびその製造方法
CN1816377A (zh) 摩擦带电过滤材料
JP3329410B2 (ja) 難燃性ポリエステル繊維
JPH07102418A (ja) 難燃性ポリエステル繊維
JPH0830119B2 (ja) 芳香族ポリエステルの製造方法
JP3845625B2 (ja) ポリエステル系合成繊維の難燃加工方法
CN102219984A (zh) 一种抗静电共聚酯和生产方法及用途
JP2007002126A (ja) ポリエステル樹脂、並びに熱接着性複合バインダー繊維、不職布及び固綿
JPH04194026A (ja) ポリエステル系複合バインダー繊維
JP2001146672A (ja) 荷電不織布
JP3869746B2 (ja) 改質ポリエステル組成物の製造方法
JPS60110921A (ja) 制電性ポリエステル複合繊維
JPH073595A (ja) ポリエステル不織布およびその製法
JP3407225B2 (ja) 耐炎性ポリエステルの製造法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070329

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090527

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090604

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090803

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20100422

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100716

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20100907

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20101019

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20101025

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20101116

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20101129

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 4649863

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131224

Year of fee payment: 3

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees