JP2006218342A - 抗菌性、抗アレルゲン性を有する摩擦帯電濾材およびその製造方法 - Google Patents

抗菌性、抗アレルゲン性を有する摩擦帯電濾材およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ポリエステル系繊維とポリオレフィン系繊維との組合せで、低圧力損失で微細塵に対する高い粒子捕集効率を発現でき、かつそれ自身が抗菌性や抗アレルゲン性を有する帯電濾材を提供するものである。さらには、「JIS D 1201(1977)自動車車室内用有機資材の燃焼性試験方法」による燃焼性区分が自消性であり、かつ焼却処分時にダイオキシン類を発生しない帯電濾材を提供しようとするものである。
【解決手段】ホスフィン酸化合物を側鎖に有するポリエステル系繊維を少なくとも20質量%と、ポリオレフィン系繊維を少なくとも30質量%含んでなる繊維集合体をアルカリ処理した後に摩擦帯電処理することにより製造される摩擦帯電濾材である。
【選択図】なし

Description

本発明は摩擦帯電濾材に関し、さらに詳しくは自動車室内や事務機器、居住空間などのエアフィルタや、マスク等に使用される、抗菌性、抗アレルゲン性と難燃性を併せ持つ摩擦帯電濾材に関する。さらには、優れた濾過特性、抗菌性、抗アレルゲン性、難燃性を同時に発現させるための摩擦帯電濾材の製造方法に関する。
空気中の塵埃、特にサブミクロンオーダーの微細塵を捕集するエアフィルタとして種々のものが提案されてきた。その中で、異なる複数種の繊維を混合した摩擦帯電濾材は低圧力損失でかつ粒子捕集効率が比較的高い濾材として注目され、これまで種々の組合せの繊維構成によるものが提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
米国特許第4,798,850号明細書 特開2000−170068号公報 特表2003−512147号公報
これらの文献では、ポリオレフィン系繊維と、モダクリルやアクリル、ポリエステル繊維の組合せにおいて、繊維の油剤を除去して表面を清浄にした後に摩擦帯電させることにより得られる濾材が開示されている。しかしながら何れの文献においても濾材の燃焼性については何ら検討されていない。濾材は、用途によっては自己消火性が必要な場合があり、例えば自動車室内の空気清浄ユニットに使用される場合は「JIS D 1201(1977)自動車車室内用有機資材の燃焼性試験方法」による燃焼性区分が自消性であることが必須である。しかしながら前記特許文献で開示された繊維構成のうち、ポリオレフィン系繊維とアクリル繊維の組合せは、濾過性能は高いもののアクリル繊維が極めて燃えやすいため自消性とはならず、ポリオレフィン系繊維とモダクリル繊維の組合せは自消性を示すが、モダクリルは塩素を含んでおり、焼却処分時に有害なダイオキシン類を発生する恐れがあることから環境上好ましくなく、これらの濾材は用途の制限を受ける。
またポリオレフィン系繊維と標準的な芳香族ポリエステル繊維(以下、標準ポリエステル繊維と呼ぶ)の組合せは、ポリオレフィン系繊維とアクリル繊維との組合せよりも燃えにくいものの、必ずしも自消性を示さない上、濾過性能も劣るという問題がある。特許文献3ではポリオレフィン系繊維とポリエステル繊維からなる濾材が開示されているが、帯電性が充分とは言えず、特に0.3μm程度の微細塵に対する捕集効率は充分ではなく、高い濾過性能や自消性を発現させるためのポリエステルの構造に関しては何ら記載がない。
一方、近年自動車室内や居住空間などのエアフィルタにおいて抗菌性や抗アレルゲン性に対する要求が高まってきている。空気中において細菌類、および花粉やダニ等のアレルゲン物質は主に微粒子状物として浮遊しており、これら微粒子状物を捕集するため、摩擦帯電濾布を用いることは有効な手段である。しかしながら、これら細菌類やアレルゲン物質を含む微粒子状物を捕集することができても、一般に摩擦帯電濾布には不活化作用が乏しく、捕集したアレルゲン物質等を不活化させることができない。そこで、濾材自体に不活化作用を付与するため、一般的にはフィルタを構成する不織布等に抗菌や抗アレルゲン効果のある薬剤を塗布して製造されるが、このような薬剤を塗布した不織布は帯電性が著しく低下するため、そのまま帯電濾材として使用することは実質的に不可能であり、細菌類やアレルゲン物質の捕集自体が困難となる。そこで、帯電濾材を別途準備してこれと積層する、あるいは貼り合わせる等してフィルタとすることも提案されている。しかしながら、係る積層体を用いても、細菌類やアレルゲン物質等を捕集する箇所と不活化する箇所が離れており、有効にアレルゲン物質を捕集・不活化することが困難である。
また特許文献4では、リン含有化合物の加水分解残基を側鎖に有する難燃抗菌性繊維を60〜100%含有する不織布を少なくとも1層有するフィルタが開示されている。しかしこの文献で開示されているフィルタは帯電性を有しておらず、0.3μm程度の微細塵に対して十分な捕集効率を得ることは期待できない。
特開2000−328413号公報
本発明は、ポリエステル系繊維とポリオレフィン系繊維との組合せで、低圧力損失で微細塵に対する高い粒子捕集効率を発現でき、かつそれ自身が抗菌性や抗アレルゲン性を有する帯電濾材を提供するものであり、さらには、「JIS D 1201(1977)自動車車室内用有機資材の燃焼性試験方法」による燃焼性区分が自消性であり、かつ焼却処分時にダイオキシン類を発生しない帯電濾材を提供しようとするものである。
本発明は、ホスフィン酸化合物を側鎖に有するポリエステル系繊維を少なくとも20質量%とポリオレフィン系繊維を少なくとも30質量%含んでなることを特徴とする抗菌性、抗アレルゲン性を有する摩擦帯電濾材である。
さらに、前記濾材が、JIS D 1201(1977)自動車車室内用有機資材の燃焼性試験方法による燃焼性区分が自消性であることを特徴とする摩擦帯電濾材である。
また本発明は、ホスフィン酸化合物を側鎖に有するポリエステル系繊維を少なくとも20質量%と、ポリオレフィン系繊維を少なくとも30質量%含んでなる繊維集合体をアルカリ処理した後に摩擦帯電処理することを特徴とする前記摩擦帯電濾材の製造方法である。
本発明の摩擦帯電濾材は、低圧力損失で微細塵に対する高い粒子捕集効率を発現できる。またそれ自体が抗菌性、抗アレルゲン性を有するため、捕集された細菌類やアレルゲン物質をその場で不活性化することが可能である。しかも、ホスフィン酸化合物を含有するポリエステル系繊維とポリオレフィン系繊維との組合せであるため、摩擦帯電性に優れるとともに、「JIS D 1201(1977)自動車車室内用有機資材の燃焼性試験方法」による自消性を発現することができ、エアフィルタに自己消火性が要求される用途に利用可能な摩擦帯電濾材を得ることができる。また、本発明の濾材は焼却処分時にダイオキシン類を発生しないため、環境負荷の少ない濾材である。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明の帯電濾材は、複数の繊維成分が混合されてなる帯電濾材であって、その構成繊維としてホスフィン酸化合物を含有するポリエステル系繊維と、ポリオレフィン系繊維とを含むことを特徴とする。
本発明におけるホスフィン酸化合物は、下記一般式(1)で表される化合物である。
Figure 2006218342
(式中、X1はエステル形成性官能基、R1は低級アルキレン基あるいはアリーレン(Arylene)基、R2、R3は同一もしくは異なる炭素数1〜10の炭化水素基、n1は1または2の整数、n2、n3はそれぞれ0〜4の整数を表す。)
本発明において前記一般式(1)中、X1は具体的にはカルボキシル基、カルボキシル基の炭素数が1〜6のアルキルエステル、シクロアルキルエステル、アリール(Aryl)エステル、ヒドロキシル基、炭素数2〜7のヒドロキシルアルコキシカルボニル基などが挙げられる。またR1として好ましいものはメチレン、エチレン、1,2−プロピレン、1,3−プロピレンなどの低級アルキレン基、1,3−フェニレン、1,4−フェニレンなどのアリーレン(Arylene)基などが挙げられる。またR2、R3としては、炭素数1〜6のアルキル基、シクロアルキル基、アリール(Aryl)基および上記X1の1
価の基などが好ましいものとして挙げられる。
前記一般式(1)で示されるホスフィン酸化合物の具体例としては、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド(HCA)の他、その他下記化学式(a)〜(z)で表される化合物である。
Figure 2006218342
Figure 2006218342
Figure 2006218342
Figure 2006218342
さらにホスフィン酸化合物としては、上記以外に下記一般式(2)の化合物や一般式(3)で示されるカルボキシホスフィン酸およびその誘導体も有効である。
Figure 2006218342
(式中、R8は炭素数1以上22以下のアルキル基、フェニル基、ナフチル基およびアントラセン基を示し、M2は金属イオン、アンモニウムイオン、ホスホニウムイオンを示す。)
一般式(2)で示される化合物の具体例としては、フェニルホスフィン酸ナトリウム、フェニルホスフィン酸カリウム、フェニルホスフィン酸リチウム、フェニルホスフィン酸カルシウム、フェニルホスフィン酸マグネシウム等がある。
Figure 2006218342
(式中、R11は炭素数4以上の分岐したアルキル基または芳香族基、R12、R13は水素原子または炭素原子数1〜6の1価の有機基またはヒドロキシル基を有する有機基で互いに同じでも違っていてもよい。また、A3は2価または3価の有機残基を表す。)
一般式(3)で示されるカルボキシホスフィン酸およびその誘導体の具体例としては、(2−カルボキシエチル)フェニルホスフィン酸、(2−カルボキシエチル)−tertブチルホスフィン酸、(2−カルボキシエチル)1,1−ジメチルヘキシルホスフィン酸、(2−カルボキシエチル)ナフチルホスフィン酸、(2−カルボキシエチル)トルイルホスフィン酸、(2−カルボキシエチル)2,5−ジメチルフェニルホスフィン酸、(2−カルボキシエチル)シクロヘキシルホスフィン酸、(2−カルボキシエチル)4−クロロフェニルホスフィン酸、(4−カルボキシフェニル)フェニルホスフィン酸、(3−カルボキシフェニル)フェニルホスフィン酸、カルボキシメチルフェニルホスフィン酸、カルボキシメチルナフチルホスフィン酸およびそれらの低級アルコールエステル、低級アルコールジエステル、環状無水物などが挙げられる。
本発明において、前記ホスフィン酸化合物がポリエステル分子鎖に共重合されていることが好ましい。またそのポリエステル分子鎖は、ジカルボン酸成分のうち80%以上がテレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体と、グリコール成分のうち80%以上がエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコールから選ばれた少なくとも1種のアルキレングリコールまたはそれらのエステル形成性誘導体から得られるものである。共重合体における前記ホスフィン酸化合物の含有量は、ホスフィン酸化合物として全カルボン酸成分の0.5〜5モル%、好ましくは1〜3モル%である。これらの共重合ポリエステルの製造にあたっては、エステル交換反応、重縮合反応とも従来公知の触媒、反応条件を採用することができる。またこれらの共重合ポリエステル樹脂を原料として、定法により短繊維を製造することができる。
抗菌効果、抗アレルゲンの発現は、これら化合物が共重合されて側鎖に存在し、アルカリ処理などの加水分解によりP−Oの部分が切断されて、−OHとなり、最終的にはOPP( オルソフェニルフェノール) が側鎖に存在するような恰好になっていると推定される。OPPはフェノール系抗菌剤として古くから知られている。従って、アルカリなどによる加水分解処理により側鎖にOPPの構造として残る構造式の化合物であれば特に限定されるものではない。
本発明におけるアルカリ処理は、例えば所望の濃度の水酸化ナトリウム水溶液中にて90〜100 ℃まで昇温し所定時間処理する方法、アルカリ水溶液を付与後、高圧もしくは高温スチーミングする方法、スチーム下マイクロ波で加熱処理する方法等がある。本発明の摩擦帯電濾材では、摩擦帯電処理の前に繊維に付着している油剤を除去しておくことが必須であり、その除去方法として精練処理が有効である。すなわち適当な濃度の水酸化ナトリウムと界面活性剤を混合した温水槽に繊維集合体を浸漬し、その後十分にすすぎ処理を行うことにより、油剤除去と共重合成分の加水分解が同時に達成されるのである。
前記共重合ポリエステル繊維をポリオレフィン系繊維と混合し、適当な方法で繊維同士を摩擦することにより帯電電荷が発生するが、その帯電レベルは標準ポリエステル繊維を用いた場合に比べて極めて大きく、細菌類やアレルゲン物質を含む粒子状物を捕集することができる。更に上述の通り、当該繊維は細菌類やアレルゲン物質等を不活化する作用を有するため、捕集点と不活化点が一致し、有効に捕集・不活化させることが可能となる。したがって本発明の摩擦帯電濾材は、標準ポリエステル繊維とポリオレフィン系繊維で構成される濾材に比べて濾過性能が優れることに加え、細菌類やアレルゲン物質等の捕集・不活化という一連の作用を有効に発揮するというという特徴がある。
また前記共重合ポリエステル繊維は標準ポリエステル繊維に比べて難燃特性に優れている。これは、ホスフィン酸化合物がポリマー中に含有されることにより、燃焼時のドリップ性が発現して難燃効果に寄与するものと考えられる。したがって、本発明の摩擦帯電濾材は、「JIS D 1201(1977)自動車車室内用有機資材の燃焼性試験方法」による自消性とすることが容易である。
本発明におけるポリオレフィン系繊維とは、ポリエチレン繊維、ポリプリピレン繊維、ポリエチレン−ポリプロピレン複合繊維などがあるが、好ましくはポリプロピレン繊維である。これらのポリオレフィン繊維が難燃剤を含有していても構わない。
一般的に摩擦帯電濾材において摩擦による帯電レベルを高めるには、異なる繊維同士の接触頻度を増やすこと、接触によって発生する電荷量を増やすことが有効であると考えられる。このうち後者に関しては、前記共重合ポリエステル繊維とポリオレフィン系繊維を混合、摩擦することによって帯電レベルが大きくなることは上述の通りである。前者に関しては、ポリエステル系繊維とポリオレフィン系繊維の混合比の最適な領域が存在し、これから外れると帯電レベルが大きくならない。
したがって本発明の摩擦帯電濾材において、ホスフィン酸化合物を含有する前記ポリエステル系繊維が、全構成繊維に対して20質量%以上含まれていることが必要である。20質量%未満であると、高帯電化の効果、および難燃化の効果が十分ではない。30〜70質量%であることが好ましい。
また本発明の帯電濾材においてポリオレフィン系繊維の含有量は、摩擦による帯電効果を発現するために、全構成繊維に対して30質量%以上必要であり、30〜70質量%であることが好ましい。
本発明の摩擦帯電濾材は、ホスフィン酸化合物を含有するポリエステル系繊維と、ポリオレフィン系繊維以外に、他の繊維を含有していてもよい。好適な繊維としては、標準ポリエステル繊維、ポリ乳酸繊維、アクリル繊維等である。
本発明の摩擦帯電濾材の好適な製法例を以下に説明する。まず上記繊維を含む複数の繊維成分を所定の質量混合比で混綿、カーディングして混繊ウェブを製造し、続いてニードルパンチや水流パンチ等によって交絡させておく。その後、精練処理により油剤除去と加水分解を同時に行う。次に乾燥したウェブを摩擦処理して帯電濾材を得る。摩擦処理の方法としては、例えば2つのギアロール間に濾材を噛み合わせて通過させながら摩擦を行う方法や、ニードルパンチ処理を利用して摩擦と交絡を同時に行う方法などがある。これらの摩擦工程において、帯電処理と同時にウェブを延伸して所定の目付量に調整したり、あるいは補強材と貼り合わせたりすることも可能である。補強材としてはネット、スパンボンド不織布、サーマルボンド不織布、湿式抄造紙など従来公知のものを使用することができる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。
(共重合ポリエステル繊維の製造)
194質量部のジメチルテレフタレート(DMT)、124質量部のエチレングリコール、DMTに対して2モル%の前記化合物(r)のホスフィン酸化合物を反応容器に入れ、これにDMTに対し0.1モル%の酢酸亜鉛、および0.02モル%の三酸化アンチモンを添加して、窒素ガス雰囲気下2時間かけて150℃から230℃に昇温しつつエステル交換反応を行った。次いでこの生成物を重縮合缶に移し、280℃、1mmHg以下の減圧下で5時間重縮合反応を行って共重合ポリエステル樹脂を得た。この樹脂を原料として定法により2.2デシテックスの短繊維Aを作製した。
(帯電濾材の製造方法)
表1に示した所定の質量混合比の繊維を混綿、カーディング、水流パンチ加工により目付100g/m2の混繊ウェブを作製した。この混繊ウェブを、オープンソーパー精練機を用いて、水酸化ナトリウム5g/リットル、ノニオン系界面活性剤1g/リットル、液温90℃にて精練処理を行い、その後湯洗、乾燥した。さらに針密度50本/cm2にてニードルパンチ処理を行い、摩擦帯電と交絡を同時に行って、帯電濾材試料を得た。ニードルパンチ処理時の温湿度は、27℃、55RH%とした。なお表1に示した上記A以外の繊維は以下の通りである。
NC:宇部日東化成(株)製ポリプロピレン短繊維(2.2dtex,51mm)
707:東洋紡績(株)製標準ポリエステル繊維(2.2dtex,51mm)
K8:日本エクスラン工業(株)製アクリル繊維(2.2dtex,51mm)
また比較例5は上記製造方法において精練処理を行わずに濾材を作製した。
(濾過性能の測定)
圧力損失は、帯電濾材試料をダクト内に設置し、空気濾過速度が30cm/秒になるようコントロールし、濾材上流、下流の静圧差を圧力計で読み取り求めた。また粒子捕集効率(%)の評価は粒子径0.3μmのNaCl粒子を用い、30cm/秒にて行った。
(燃焼性評価)
JIS D 1201(1977)自動車車室内用有機資材の燃焼性試験方法に従って実施した。試験点数は、各濾材のカーディングのMD方向およびTD方向それぞれ5箇所ずつとした。
(抗菌性評価)
JIS L 1902(1988)の繊維製品の抗菌性試験法(統一法)マニュアルに準じた。即ち、密閉容器の底部に予め2cm角の濾材検体を置き、このサンプル上に予め培養した1/50ブロースで希釈した黄色ブドウ球菌(試験菌種:ATCC6538P)の
菌液0.2ミリリットルを蒔き、37℃のインキュベーター内に18時間静置した後、20ミリリットルの洗い出し用生理食塩水を添加して十分に振とうして菌を洗い落とす。これを普通寒天培地に置き24時間後に菌数を計測し、同時に実施した抗菌性を有しない対照不織布の菌数値と比較して抗菌性を判断した。
F=Mb−MA
ここで、F:増殖値
Mb:対照不織布の18時間培養後の生菌数の対数(3検体の平均)
MA:対照不織布の接種直後の生菌数の対数(3検体の平均)
D=Mb−Mc
D:静菌活性値
Mc:濾材検体の培養18時間培養後の生菌数の対数
この試験において、静菌活性値Dが2以上である場合に抗菌性ありと判定した。
(抗アレルゲン性の評価)
アサヒフード&ヘルスケア社製の精製ダニ抗原Derf1(コナヒョウヒダニのグループ1アレルゲン)を、リン酸緩衝溶液(0.05%のTween20を含む0.1mol/リットルのリン酸緩衝溶液、pH=7.4)に、抗原濃度が5μg/ミリリットルとなるように溶解させて抗原溶液とした。1.5cm×10cmにカットした濾材検体を、1.5mlの低吸着マイクロチューブに入れ、これに抗原溶液100μリットルを注入して常温で一晩放置した。その後、この液を前述と同様のリン酸緩衝溶液で任意の濃度に希釈し、ELISAキット(LCDアレルギー研究所製)を用いて残存アレルゲン量を測定した。空試験として濾材検体がない場合も測定し、次式により抗アレルゲン性の比活性(%)を算出した。
比活性(%)=(空試験のアレルゲン量−検体の残存アレルゲン量)/(空試験のアレルゲン量)×100
実施例1〜2および比較例1〜5の繊維構成、濾過性能、燃焼性、抗菌性、抗アレルゲン性の評価結果を表1に示した。実施例の帯電濾材は何れも粒子捕集効率が高く、燃焼性試験においてすべての箇所で自消性を示し、同時に優れた抗菌性、抗アレルゲン性を示した。比較例1の帯電濾材は、粒子捕集効率は高いものの、アクリル繊維が非常に燃えやすいため燃焼性試験においてMD、TDすべての箇所で易燃性となった。比較例2および3の帯電濾材は粒子捕集効率がやや低く、また燃焼性試験において自消性を示さない箇所もみられた。比較例1〜3は短繊維Aの含有量が小さいため抗菌性、抗アレルゲン性がほとんど認められなかった。比較例4ではポリプロピレン繊維の混合率が小さいため、粒子捕集効率が低いレベルであった。また比較例5は精練処理をしていないため油剤除去が不十分で粒子捕集効率が低く、また抗菌性、抗アレルゲン性がほとんど認められなかった。
Figure 2006218342
本発明の摩擦帯電濾材は、摩擦帯電特性が優れるため、低圧力損失で微細塵に対する高い粒子捕集効率を発現でき、かつそれ自身が抗菌性や抗アレルゲン性を有している。しかも、ホスフィン酸化合物を側鎖に有するポリエステル系繊維とポリオレフィン系繊維との組合せであるため、「JIS D 1201(1977)自動車車室内用有機資材の燃焼性試験方法」において自消性を発現し、自己消火性が要求されるエアフィルタ用途に利用可能な濾材を提供することができる。また本発明の摩擦帯電濾材は焼却処分時にダイオキシン類を発生しないため、環境負荷の少ない帯電濾材として産業上有用である。

Claims (3)

  1. ホスフィン酸化合物を側鎖に有するポリエステル系繊維を少なくとも20質量%と、ポリオレフィン系繊維を少なくとも30質量%含んでなる抗菌性及び/又は抗アレルゲン性を有する摩擦帯電濾材。
  2. 前記濾材が、JIS D 1201(1977)自動車車室内用有機資材の燃焼性試験方法による燃焼性区分が自消性であることを特徴とする請求項1記載の摩擦帯電濾材。
  3. ホスフィン酸化合物を側鎖に有するポリエステル系繊維を少なくとも20質量%と、ポリオレフィン系繊維を少なくとも30質量%含んでなる繊維集合体をアルカリ処理した後に摩擦帯電処理することを特徴とする請求項1または2記載の摩擦帯電濾材の製造方法。
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