JP7386670B2 - フィルタ用基材 - Google Patents

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本発明は、エアフィルタやマスクを調製可能なフィルタ用基材に関する。
従来からエアフィルタやマスクには、圧力損失が低く通気性に優れると共に、大気塵やPM2.5などの塵埃ならびに花粉などの捕集効率に優れるという性能が求められている。このような相反する性能を共に満足するため、摩擦帯電繊維を含有するフィルタ用基材を用いてエアフィルタやマスクを調製することが検討されてきた。
具体例として、特開2006-218342(特許文献1)には、異なる複数種の繊維(摩擦帯電繊維)を混合してなる摩擦帯電濾材は、低圧力損失でかつ粒子捕集効率が比較的高いことが開示されている。
なお、特許文献1にかかる発明は、当該摩擦帯電濾材へ抗菌性と抗アレルゲン性ならびに難燃性を付与するため、摩擦帯電繊維としてホスフィン酸化合物を側鎖に有するポリエステル系繊維とオレフィン系繊維を採用すること、そして、これらの繊維を特定比で配合していることを特徴とする発明である。更に、特許文献1の実施例には当該摩擦帯電濾材として、
・実施例1~2および比較例2~5:ポリエステル系繊維とポリプロピレン繊維を混綿、カーディング、水流パンチ加工して調製した混繊維ウェブに、更に、針密度50本/cm2にてニードルパンチ処理を行って調製した帯電濾材試料、
ならびに、
・比較例1:アクリル繊維とポリプロピレン繊維を混綿、カーディング、水流パンチ加工して調製した混繊維ウェブに、更に、針密度50本/cm2にてニードルパンチ処理を行って調製した帯電濾材試料、
が開示されているものの、上述した通り特許文献1にかかる発明は水流パンチ加工について検討した発明ではなく、その詳細については何ら開示または示唆されているものではない。
特開2006-218342(特許請求の範囲、0001-0002、0032-0033、表1)
本願出願人は検討を続けた結果、従来技術にかかる摩擦帯電繊維を含有するフィルタ用基材(例えば、特許文献1に記載されている帯電濾材試料)は、構成繊維が脱落し易いという問題を抱えていることを見出した。
構成繊維が脱落し易いフィルタ用基材を用いてエアフィルタやマスクを調製した場合、フィルタ用基材の上流側の主面ならびに下流側の主面から構成繊維が容易に脱落することに伴い、フィルタ用基材の濾過性能を左右する繊維密度や目付ならびに空隙の大きさや空隙率などが意図せず変化して、使用するにつれエアフィルタやマスクの捕集効率が意図せず低下してゆく恐れがあった。また、当該エアフィルタやマスクを通過し濾過された気体中に、フィルタ用基材の下流側(前記濾過された気体が存在する側)の主面から脱落した構成繊維が多量に混ざり、使用するにつれ濾過された気体が意図せず汚染されてゆく恐れがあった。
第一の本発明は、
「下記の測定方法で評価する(i)および(ii)の2項目をいずれも満足する、摩擦帯電繊維とが交絡一体化したフィルタ基材であって、摩擦帯電繊維を含有するフィルタ用基材。

(1)粘着力が8N/25mm巾粘着テープ(長辺:200mm、短辺:50mm)を用意し、粘着テープにおける長辺方向端部からもう一方の長辺方向端部へ向かう25mmまでの範囲を、粘着面を間に介するようにして重ね合わせることで、測定用粘着テープ(長辺:175mm、短辺:50mm、露出している粘着面の大きさは長辺150mmであり短辺50mmである)を調製する
(2)測定用粘着テープの重量を計量する
(3)フィルタ用基材の一方の主面に測定用粘着テープの露出している粘着面すべてを貼り付ける、このとき、フィルタ用基材の生産方向と測定用粘着テープの長辺方向が平行を成すようにする
(4)測定用粘着テープの露出する主面上にローラー(重量:1590g、ローラーの軸長さ:230mm)を2往復作用させる、このとき、ローラーにより測定用粘着テープおよび測定用粘着テープが貼り付いているフィルタ用基材の厚さ方向へ作用させる荷重は346g/50mm幅である
(5)フィルタ用基材から測定用粘着テープを剥がし、剥がした測定用粘着テープの重量を計量する、そして、剥がした測定用粘着テープの重量から測定用粘着テープの重量を引き、フィルタ用基材の一方の主面から脱落した繊維の重量(A)を算出する
(6)フィルタ用基材におけるもう一方の主面に対し、上述した(3)~(5)の試験を行うことで、フィルタ用基材のもう一方の主面から脱落した繊維の重量(B)を算出する
上述の測定を行った結果、
(i)脱落した繊維の重量(A)と脱落した繊維の重量(B)のうち、軽い方の重量が5.8g/m未満である
(ii)脱落した繊維の重量(A)と脱落した繊維の重量(B)の合計が、18.4g/m未満である
である。
本願出願人は更に検討を続けた結果、従来技術よりも構成繊維が脱落し難い、帯電した摩擦帯電繊維を含有するフィルタ用基材の実現に成功した。具体的には、上述した測定方法で評価される「(i)脱落した繊維の重量(A)と脱落した繊維の重量(B)のうち、軽い方の重量が5.8g/m未満である、(ii)脱落した繊維の重量(A)と脱落した繊維の重量(B)の合計が、18.4g/m未満である」という2項目をいずれも満足する、帯電した摩擦帯電繊維を含有するフィルタ用基材の実現に成功した。
そのため、本発明によって、捕集効率が意図せず低下するのが防止されていると共に、濾過された気体が意図せず汚染されるのが防止された、圧力損失が低く通気性と捕集効率に優れたエアフィルタやマスクを提供できる。
また、摩擦帯電繊維を含む繊維シートへ水流絡合処理を施した後、繊維シートへニードルパンチ絡合処理を施すことで、帯電した摩擦帯電繊維を含有するフィルタ用基材の製造方法において、本願出願人は、当該繊維シートの両主面へ水流絡合処理を施すことによって、はじめて、上述した性能を満足した帯電した摩擦帯電繊維を含有するフィルタ用基材を製造できることを見出した。
そのため、本発明にかかる帯電した摩擦帯電繊維を含有するフィルタ用基材の製造方法によって、捕集効率が意図せず低下するのが防止されていると共に、濾過された気体が意図せず汚染されるのが防止された、圧力損失が低く通気性と捕集効率に優れたエアフィルタやマスクを提供できる。
本発明では、例えば以下の構成など、各種構成を適宜選択できる。
なお、本発明で説明する各種測定は特に記載や規定のない限り、常圧のもと25℃温度条件下で測定を行った。また、本発明で説明する各種測定結果は特に記載や規定のない限り、求める値よりも一桁小さな値まで測定で求め、当該値を四捨五入することで求める値を算出した。具体例として、少数第一位までが求める値である場合、測定によって少数第二位まで値を求め、得られた少数第二位の値を四捨五入することで少数第一位までの値を算出し、この値を求める値とした。
そして、本発明で例示する各上限値および各下限値は、任意に組み合わせることができる。
本発明にかかる摩擦帯電繊維を含有するフィルタ用基材(以降、フィルタ用基材と省略し称することがある)は、摩擦帯電繊維を含有している。
ここでいう摩擦帯電繊維とは、構成樹脂が異なる他の繊維(例えば、他の摩擦帯電繊維)と接触することで帯電可能な繊維を指す言葉である。なお、「構成樹脂が異なる」とは、摩擦帯電繊維の表面(両端部を除く)の構成樹脂と、他の繊維の表面(両端部を除く)の構成樹脂が異なることを意味する。そのため、仮に、摩擦帯電繊維の内部(非表面)を構成する樹脂が他の繊維の表面や内部を構成する樹脂と同じであったとしても、摩擦帯電繊維の表面を構成する樹脂が、他の繊維の表面を構成する樹脂と異なるのであれば、互いに構成樹脂が異なる繊維である。
摩擦帯電繊維の種類は適宜選択できる。摩擦帯電繊維の組み合わせとして、例えば、ポリオレフィン系繊維とアクリル系繊維との組合せ;フッ素系繊維とポリアミド系繊維、羊毛、ガラス系繊維、絹又はレーヨン系繊維との組合せ;ウレタン系繊維とポリアミド系繊維、羊毛、ガラス系繊維、絹又はレーヨン系繊維との組合せ;塩化ビニル系繊維とポリアミド系繊維、羊毛、ガラス系繊維、絹又はレーヨン系繊維との組合せ;ポリオレフィン系繊維とポリアミド系繊維、羊毛、ガラス系繊維、絹又はレーヨン系繊維との組合せ;アクリル系繊維とポリアミド系繊維、羊毛、ガラス系繊維、絹又はレーヨン系繊維の組合せ;ビニロン系繊維とポリアミド系繊維、羊毛、ガラス系繊維、絹又はレーヨン系繊維との組合せ;ポリエステル系繊維とポリアミド系繊維、羊毛、ガラス系繊維、絹又はレーヨン系繊維との組合せ;アセテート系繊維とポリアミド系繊維、羊毛、ガラス系繊維、絹又はレーヨン系繊維との組合せ;などを挙げることができる。
これらの中でも、ポリオレフィン系繊維とアクリル系繊維との組合せであると帯電量が多いことで、捕集効率に優れたエアフィルタやマスクを提供可能なフィルタ用基材を実現でき好ましい。
ポリオレフィン系繊維の構成樹脂としては、例えば、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン-プロピレン共重合体、又は、これら樹脂の一部をシアノ基やハロゲンで置換した樹脂などを挙げることができ、ポリオレフィン系繊維はこれら構成樹脂1種類、又は2種類以上からなる複合繊維であることができる。例えば、芯鞘型複合繊維であり、鞘成分がポリオレフィン系樹脂からなるポリオレフィン系繊維であっても良い。
また、ポリオレフィン系繊維の構成樹脂は、リン系添加剤やイオウ系添加剤を含有しているのが好ましい。リン系添加剤やイオウ系添加剤を含有していることによって、初期捕集効率が向上するためである。なお、リン系添加剤やイオウ系添加剤に加えて、更に、フェノール系、アミン系などの他の添加剤が含まれていても良い。なお、これら添加剤の合計量が多くなると、紡糸性が悪くなる恐れがあるため、添加剤の合計量がポリオレフィン系繊維の5質量%以下であるのが好ましく、2質量%以下であるのがより好ましく、1質量%以下であるのが更に好ましい。
リン系添加剤としては、例えば、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールホスファイト、ビス(2,6,ジ-t-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトールホスファイト、2,2-メチレンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)オクチルホスファイト、テトラキス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)-4,4’-ビフェニレン-ジ-ホスホナイト、ビス(2,4-ビス(1,1-ジメチルエチル)-6-メチルフェニル)エチルエステル亜リン酸、テトラキス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)(1,1-ビフェニル)-4,4’-ジイルビスホスフォナイト、ビス(ビス(2,4-ジ-t-ブチル-5-メチルフェノキシ)ホスフィノ)などのリン系酸化防止剤を挙げることができる。このリン系添加剤はポリオレフィン系繊維中、0.01質量%以上含有しているのが好ましく、0.2質量%以上含有しているのがより好ましく、0.3質量%以上含有しているのが更に好ましく、0.6質量%以上含有しているのが更に好ましい。イオウ系添加剤としては、ジラウリル-3,3’-チオジプロピオネート、ジミリスチル-3,3’-チオジプロピオネート、ジステアリル-3,3’-チオジプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキスなどのイオウ系酸化防止剤などが好適に使用できる。このイオウ系添加剤はポリオレフィン系繊維中、0.01質量%以上含まれているのが好ましく、0.1質量%以上含まれているのがより好ましい。
アクリル系繊維としては、アクリロニトリルを主成分(85%以上)とするポリアクリロニトリル系と、アクリロニトリルを35%以上85%未満含むモダクリル系のいずれであっても使用することができる。また、ポリアクリロニトリル系繊維は有機系溶媒を用いて紡糸したものと、無機系溶媒を用いて紡糸したものの2種類があるが、いずれのポリアクリロニトリル系繊維であっても良い。
摩擦帯電繊維は、例えば、溶融紡糸法、乾式紡糸法、湿式紡糸法、直接紡糸法(メルトブロー法、スパンボンド法、静電紡糸法など)、複合繊維から一種類以上の樹脂成分を除去することで繊維径が細い繊維を抽出する方法、繊維を叩解して分割された繊維を得る方法など公知の方法により得ることができる。
摩擦帯電繊維の繊度は、本発明の目的を達成できるのであれば特に限定されるものではないが、圧力損失が低く通気性と捕集効率に優れたエアフィルタやマスクを提供可能なフィルタ用基材となるよう、摩擦帯電繊維の繊度は0.1~10dtexであるのが好ましく、0.3~7dtexであるのが好ましく、0.6~5dtexであるのが好ましい。なお、「繊度」はJIS L1015:2010、8.5.1(正量繊度)に規定されているA法により得られる。
摩擦帯電繊維の繊維長は、本発明の目的を達成できるのであれば特に限定されるものではなく、短繊維や長繊維あるいは連続繊維であってもよい。しかし、摩擦帯電繊維同士がランダムに存在してなるフィルタ用基材を実現できることで、空隙率が高く孔径が均一となり、圧力損失が低く通気性と捕集効率に優れたエアフィルタやマスクを提供可能なフィルタ用基材となることから、繊維長は3~150mmであるのが好ましく、10~100mmであるのが好ましく、30~80mmであるのが好ましい。なお、「繊維長」は、JIS L1015:2010、8.4.1[補正ステープルダイヤグラム法(B法)]により得られる。
フィルタ用基材は通気性を有する基材であり、その種類は用途により適宜選択できるが、繊維ウェブや不織布、あるいは、織物や編み物などのシート状の布帛(繊維シート)であることができる。特に、繊維同士がランダムに存在することで空隙率が高く孔径が均一となり、圧力損失が低く通気性と捕集効率に優れたエアフィルタやマスクを提供できることから、フィルタ用基材は不織布であるのが好ましい。
フィルタ用基材は摩擦帯電繊維以外の繊維を含有していても良い。フィルタ用基材を構成している繊維の質量に占める、摩擦帯電繊維の質量の百分率は適宜調整できるが、圧力損失が低く通気性と捕集効率に優れたエアフィルタやマスクを提供可能なフィルタ用基材であるよう、50質量%以上であるのが好ましく、65質量%以上であるのがより好ましく、80質量%以上であるのがより好ましく、フィルタ用基材を構成している繊維が摩擦帯電繊維のみであるのが最も好ましい。
フィルタ用基材が複数種類の摩擦帯電繊維(例えば、ポリオレフィン系繊維とアクリル系繊維)を含有している場合、各摩擦帯電繊維の混合比率は適宜調整するものである。例えば、フィルタ用基材に二種類の摩擦帯電繊維(摩擦帯電繊維Aと摩擦帯電繊維B)が含有されている場合、摩擦帯電繊維Aと摩擦帯電繊維Bの混合比率は5質量%:95質量%~95質量%:5質量%であることができ、15質量%:85質量%~85質量%:15質量%であることができ、25質量%:75質量%~75質量%:25質量%であることができる。
フィルタ用基材を構成している繊維は、バインダや繊維接着によって繊維同士が一体化されている状態であっても良い。しかし、フィルタ用基材を気体が通過する際中にもフィルタ用基材の構成繊維同士が効率良くこすれ合うことで摩擦帯電繊維の帯電が維持される、捕集効率に優れたエアフィルタやマスクを提供可能なフィルタ用基材であるよう、フィルタ用基材を構成している繊維はバインダや繊維接着によって繊維同士が一体化されておらず、繊維同士がただ絡合してなるフィルタ用基材であるのが好ましい。また、繊維同士がただ絡合してなるフィルタ用基材であると、コンタミネーションが発生し難く、また、風合いが劣化し難いフィルタ用基材を提供でき好ましい。
フィルタ用基材の目付は特に限定するものではないが、剛性が優れるフィルタ用基材を調製できるよう、20~200g/mであるのが好ましく、30~100g/mであるのがより好ましく、40~80g/mであるのが更に好ましい。なお、「目付」は1mあたりの質量であり、JIS L1085:1998、6.2「単位面積当たりの質量」に規定する方法により得られる。
また、フィルタ用基材の厚さは特に限定するものではないが、剛性が優れるフィルタ用基材を調製できるよう、0.2~100mmであるのが好ましく、0.3~50mmであるのがより好ましく、0.4~30mmであるのが更に好ましく、0.5~10mmmmであるのが更に好ましく、0.6~5mmであるのが更に好ましく、0.7~3mmであるのが更に好ましい。なお、「厚さ」は、濾過材の厚さ方向断面における実体顕微鏡写真を撮影し、無作為に選んだ5点における厚さの算術平均値をいう。
本発明のフィルタ用基材は、下記の測定方法で評価する(i)および(ii)の2項目をいずれも満足する。
(繊維脱落の評価方法)
(1)粘着力が8N/25mm巾の粘着テープ(一例として、日東電工CSシステム株式会社製 商品名:ダンプロン40 No.3303、サイズ長辺:200mm、短辺:50mm)を用意し、粘着テープにおける長辺方向端部からもう一方の長辺方向端部へ向かう25mmまでの範囲を、粘着面を間に介するようにして重ね合わせることで、測定用粘着テープ(長辺:175mm、短辺:50mm、露出している粘着面の大きさは長辺150mmであり短辺50mmである)を調製する。
(2)測定用粘着テープの重量を計量する。
(3)フィルタ用基材の一方の主面に測定用粘着テープの露出している粘着面すべてを貼り付ける。このとき、フィルタ用基材の生産方向と測定用粘着テープの長辺方向が平行を成すようにする。
(4)測定用粘着テープの露出する主面上にローラー(重量:1590g、ローラーの軸長さ:230mm)を2往復作用させる。このとき、ローラーにより測定用粘着テープおよび測定用粘着テープが貼り付いているフィルタ用基材の厚さ方向へ作用させる荷重は346g/50mm幅である。
(5)フィルタ用基材から測定用粘着テープを剥がし、剥がした測定用粘着テープの重量を計量する。そして、剥がした測定用粘着テープの重量から測定用粘着テープの重量を引き、フィルタ用基材の一方の主面から脱落した繊維の重量(A)を算出する。
(6)フィルタ用基材におけるもう一方の主面に対し、上述した(3)~(5)の試験を行うことで、フィルタ用基材のもう一方の主面から脱落した繊維の重量(B)を算出する。
上述の測定を行った結果、
(i)脱落した繊維の重量(A)と脱落した繊維の重量(B)のうち、軽い方の重量が5.8g/m未満である。
(ii)脱落した繊維の重量(A)と脱落した繊維の重量(B)の合計が、18.4g/m未満である。
なお、カタログ等に粘着テープの粘着力が開示されている場合には、当該値を粘着テープの粘着力であるとみなすことができる。
また、粘着テープの粘着力が不明である場合には、以下の方法で粘着テープの粘着力を測定できる。
(1)主面が平滑な四角形のステンレス板(SUS304BAが使用可能である)を用意する。
(2)測定対象となる粘着テープ(長辺:150mm、短辺:25mm)を用意し、粘着テープにおける長辺方向端部からもう一方の長辺方向端部へ向かう25mmまでの範囲を、粘着面を間に介するようにして重ね合わせることで、測定用粘着テープ(長辺:125mm、短辺:25mm、露出している粘着面の大きさは長辺100mmであり短辺25mmである)を調製する。
(3)ステンレス板の主面上に、調製した測定用粘着テープの粘着面を貼り付け、ローラー(重量:1590g、ローラーの軸長さ:230mm)を1往復して圧着する。その後、非粘着部分を掴んで長辺方向に50mm分の粘着面を剥がし、ステンレス板と粘着面の接着部分の大きさを長辺方向50mm、短辺方向25mmとする。
(4)23℃、50%RH環境下において、ステンレス板の主面に貼り付けられている測定用粘着テープの非粘着部分をテンシロン型引張試験機で掴み、剥離角度が180度となる方向へ引張速度:300mm/分の条件で引張り、ステンレス板から粘着テープが剥がれるまでに測定された応力を測定する。
なお測定に際し、粘着面部分の長辺方向50mmにおける最初の10mm分と最後の10mm分を剥がす間に測定された応力は無視する。つまり、中間の30mm分を剥がす間に測定された応力の平均値を算出し、算出した値を粘着テープの粘着力(単位:N/25mm巾)とする。
本発明にかかるフィルタ用基材は、従来技術に係るフィルタ用基材よりも、フィルタ用基材から構成繊維が脱落し難いという特性を有する。そして、上述した測定へフィルタ用基材を供し、当該フィルタ用基材における両主面から脱落した繊維の重量の合計値と、繊維の脱落量が少ない方の主面から脱落した繊維の重量とを確認することで、当該フィルタ用基材が構成繊維を脱落し難いという特性を有するものであるか否かを判断できる。具体的には、フィルタ用基材の両主面から脱落した繊維の重量の合計値が18.4g/m未満であり、繊維の脱落量が少ない方の主面から脱落した繊維の重量が5.8g/m未満であるフィルタ用基材は、従来技術に係るフィルタ用基材よりも、構成繊維が脱落し難いという特性を有する。
フィルタ用基材における両主面から脱落する繊維の重量の合計値が小さいほど、捕集効率が意図せず低下し難いと共に、濾過された気体が意図せず汚染されることを防止できるフィルタやマスクを提供できることから、当該値は16.5g/m未満であるのが好ましく、13.0g/m以下であるのが好ましい。
また、フィルタ用基材における繊維の脱落量が少ない方の主面から脱落した繊維の重量が軽いほど、特にフィルタ用基材を備えるフィルタにおいて当該主面を下流側に向けて使用した場合に、濾過された気体(フィルタの下流側に存在する気体)が意図せず汚染されるのを防止できることから、当該値は5.0g/m未満であるのが好ましく、4.5g/m以下であるのが好ましい。なお、フィルタ基材におけるそれぞれの主面から脱落した繊維の重量が同一である場合には、いずれか一方の主面を、フィルタ用基材における繊維の脱落量が少ない方の主面とする。
次いで、本発明に係るフィルタ用基材を製造可能な、摩擦帯電繊維を含有するフィルタ用基材の製造方法について説明する。
本製造方法は(1)摩擦帯電繊維を含む繊維シートを用意する工程を有している。
摩擦帯電繊維を含む繊維シートは既に調製された布帛や、新たに調製する布帛のいずれであってもよい。摩擦帯電繊維を含む繊維シートの調製方法は適宜選択できるが、摩擦帯電繊維を求める配合比で混ぜ合わせてカード装置へ供することで、繊維ウェブとして得られる。なお、繊維ウェブの他にも不織布(乾式不織布や湿式不織布、あるいは、メルトブロー不織布やスパンボンド不織布や静電紡糸不織布などの直接紡糸不織布)や織物あるいは編み物を繊維シートとして、次の工程へ供してフィルタ用基材を製造してもよい。
本製造方法は(2)繊維シートへ水流絡合処理を施す工程を有している。繊維シートへ施す水流絡合処理における、水流の強さや水流を放射するノズルの間隔や配置などは適宜調整する。また、水流絡合処理に使用する水の種類は適宜選択できるが、例えば、工業用水、上水、蒸留水、純水などであることができる。なお、水流絡合処理に使用した後の水(繊維から脱落した油剤などが含まれていることがある)を繰り返し、水流絡合処理に使用しても良い。
摩擦帯電繊維を含むフィルタ用基材を構成する繊維の表面に存在する油剤を取り除き、後のニードルパンチ絡合処理による摩擦帯電繊維の帯電量を効率よく向上できるように、また、繊維同士の絡み合いを促進して剛性に優れると共に薄手のフィルタ用基材を調製できるように、プレシャワーを除く、ノズル1本あたりの平均水圧を3MPa以上とするのが好ましく、3.5MPa以上とするのがより好ましく、4MPa以上とするのが更に好ましい。一方、平均水圧が高過ぎると、構成繊維同士の絡み合いが強固になり過ぎてしまい、空隙率が意図せず低くなり圧力損失が低いエアフィルタやマスクを提供するのが困難となる恐れがあることから、20MPa以下とするのが好ましく、18MPa以下とするのがより好ましく、16MPa以下とするのが更に好ましく、14MPa以下とするのが最も好ましい。
加えて本発明では、本(2)工程において、繊維シートの両主面へ水流絡合処理を施すことを特徴とする。
本願出願人は、水流絡合処理を繊維シートの一方の主面へのみ施した場合、構成繊維が脱落し難いフィルタ用基材を実現するのが困難であることを見出した。そのため、繊維の脱落量が少ない(具体的には、脱落した繊維の重量が5.8g/m未満)主面を備えると共に、両主面から脱落する繊維の重量の合計値が少ない(具体的には、脱落した繊維の重量の合計値が18.4g/m未満)フィルタ用基材を実現することができないものであった。
更に、以下の知見を見出した。
・水流絡合処理を繊維シートの一方の主面へのみ施した場合において、繊維同士の絡合を強めることで主面から脱落する繊維量を低減化するため水圧を強めたとしても、水流絡合処理を施した側の主面から脱落する繊維の重量が増量すること、そして、その影響を受けフィルタ用基材における両主面から脱落する繊維が増量すること。
・水流絡合処理を繊維シートの一方の主面へのみ施した場合において、繊維シートの一方の主面へ施す水圧を弱めたとしても、水流絡合を施すことなく製造したフィルタ用基材に物性が近づくと考えられることから、当該場合には、繊維の脱落量が少ない主面における繊維脱落量が増量すると共に、フィルタ用基材における両主面から脱落する繊維も増量すると考えられること。
そのため、水流絡合処理を繊維シートの一方の主面へのみ施す限り、いかに水圧を調整しても、繊維の脱落量が少ない(具体的には、脱落した繊維の重量が5.8g/m未満)主面を備えると共に、フィルタ用基材における両主面から脱落する繊維の脱落量が少ない(具体的には、脱落した繊維の重量の合計値が18.4g/m未満)フィルタ用基材を実現することができないと考えられた。
一方、本願出願人は繊維シートの両主面へ水流絡合処理を施すことによって、フィルタ用基材の両主面から脱落する繊維の重量の合計値が18.4g/m未満であり、繊維の脱落量が少ない方の主面から脱落する繊維の重量が5.8g/m未満であるフィルタ用基材を実現したものである。
なお、繊維シートの両主面へ施す水流絡合処理における、水流の強さや水流を放射するノズルの間隔や配置などは適宜調整するが、より両主面から脱落する繊維の重量の合計値が低減化したフィルタ用基材を提供できるよう、繊維シートの一方の主面へ作用させる水流絡合の条件と、もう一方の主面へ作用させる水流絡合の条件は、同程度(好ましくは同じ)であるのが望ましい。
水流絡合処理を施した後の繊維シートは、そのまま、次のニードルパンチ絡合処理へ供しても良いが、ニードルパンチ絡合処理において摩擦帯電繊維の帯電量を効率よく向上して、捕集効率に優れたエアフィルタやマスクを提供可能なフィルタ用基材を製造できるように、繊維シート中に含まれる水を除去してから、繊維シートを次のニードルパンチ絡合処理へ供するのが好ましい。
繊維シート中に含まれる水を除去する方法は適宜選択できるが、加熱装置へ供する方法を採用できる。加熱装置の種類は適宜選択でき、例えば、ロールにより加熱または加熱加圧する装置、オーブンドライヤー、遠赤外線ヒーター、乾熱乾燥機、熱風乾燥機、赤外線を照射し加熱できる装置などを用いることができる。加熱装置による加熱温度は適宜選択するが、水を揮発させ除去可能であると共に、繊維シートの物性が変化し難いと共に構成繊維などの構成成分が意図せず分解や変性し難い温度であるように適宜調整する。
本製造方法は(3)水流絡合処理を施した後の繊維シートへニードルパンチ絡合処理を施す工程を有している。使用するニードルの種類(例えば、クロスバーブニードル、フォークニードルなど)や、ニードルパンチ密度などの絡合条件は適宜調整する。
摩擦帯電繊維の帯電量を効率よく向上して、捕集効率に優れたエアフィルタやマスクを提供可能なフィルタ用基材を製造できるように、また、繊維同士の絡み合いを促進して剛性に優れるフィルタ用基材を製造できるように、ニードルパンチ密度は10~300本/cmであることができ、20~200本/cmであることができ、30~150本/cmであることができる。
繊維シートへ差し込むニードルの深さは適宜調整できるが、摩擦帯電繊維の帯電量を効率よく向上できるように、また、繊維同士の絡み合いを促進できるように、繊維シートにおけるニードルパンチ処理を施す側から、その反対側の主面までニードルが貫通するようにニードルパンチ処理を施すのが好ましい。なお、繊維シートにおける両主面にニードルパンチ絡合処理を各々施してもよいが、製法を簡略化でき、製造工程ライン短縮によってコンタミネーションの発生を抑制できることから、一方の主面のみにニードルパンチ絡合処理を施すのが好ましい。
このようにして製造したフィルタ用基材は単体でフィルタとして使用可能であるが、フィルタ用基材にカバー材や支持体、および/または、プレフィルタやバックアップフィルタなどを積層してフィルタを構成しても良い。カバー材や支持体、および/または、プレフィルタやバックアップフィルタは公知のものを採用でき、例えば、布帛あるいは多孔フィルムや通気性発泡体などを採用できる。なお、例示したものとフィルタ用基材とをただ重ね合わせてなる積層フィルタであっても、バインダやホットメルトウェブあるいは繊維接着によって、ヒートシールや超音波溶着などの接着処理へ供することによって層間接着してなる積層フィルタであっても良い。
また、フィルタ用基材およびフィルタ用基材を備えてなるフィルタの外形は適宜調整でき、特に限定するものではないが、例えば、二次元的なシート形状、三次元的なコルゲート形状やプリーツ形状、円筒形状などであることができる。なお、フィルタ用基材およびフィルタ用基材を備えてなるフィルタは切り抜き部、打ち抜き部、又は切れ込み部を有することができる。
以下に、本発明の実施例を記載するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例における評価方法は次の通りである。
(繊維シートの調製方法)
ポリプロピレン繊維(繊度:2.2dtex、繊維長:51mm)と、アクリル系繊維(繊度:1.7dtex、繊維長:51mm)を、混合比が(ポリオレフィン繊維:アクリル系繊維)=(50質量%:50質量%)となるように均一に混ぜ合わせた。
この混ぜ合わせた繊維群をカード機へ供することで、繊維シートである繊維ウェブを調製した。
(比較例1)
繊維ウェブの一方の主面(A)側からもう一方の主面(B)へ向け、針密度50本/cm2の条件下でニードルパンチ処理を施し(もう一方の主面(B)へニードルが突き出るようニードルパンチ処理を施した)、摩擦帯電繊維を含有するフィルタ用基材(目付:50g/m、厚さ:1.5mm)を製造した。
(比較例2)
繊維ウェブの一方の主面(A)側からもう一方の主面(B)へ向け水流絡合処理(水圧:3MPa、工程搬送速度:5m/min)を施した。その後、同条件で再度、繊維ウェブの一方の主面(A)側からもう一方の主面(B)へ向け水流絡合処理(水圧:3MPa、工程搬送速度:5m/min)を施した。
そして、水流絡合処理を施した繊維ウェブをオーブンドライヤー(加熱温度:80℃)へ供することで、繊維ウェブ中に含まれている水を除去した。
次いで、繊維ウェブの水流絡合を施した主面(A)側からもう一方の主面(B)へ向け、針密度50本/cmの条件下でニードルパンチ処理を施し(もう一方の主面(B)へニードルが突き出るようニードルパンチ処理を施した)、摩擦帯電繊維を含有するフィルタ用基材(目付:50g/m、厚さ:1.0mm)を製造した。
(比較例3)
水圧を5MPaに変更したこと以外は、比較例2と同様にして、摩擦帯電繊維を含有するフィルタ用基材(目付:50g/m、厚さ:1.0mm)を製造した。
(実施例1)
繊維ウェブの一方の主面(A)側からもう一方の主面(B)へ向け水流絡合処理(水圧:3MPa、工程搬送速度:5m/min)を施した。その後、同条件で、繊維ウェブのもう一方の主面(B)側から一方の主面(A)へ向け水流絡合処理(水圧:3MPa、工程搬送速度:5m/min)を施した。
そして、水流絡合処理を施した繊維ウェブをオーブンドライヤー(加熱温度:80℃)へ供することで、繊維ウェブ中に含まれている水を除去した。
次いで、繊維ウェブのはじめに水流絡合を施した主面(A)側からもう一方の主面(B)へ向け、針密度50本/cmの条件下でニードルパンチ処理を施し(もう一方の主面(B)へニードルが突き出るようニードルパンチ処理を施した)、摩擦帯電繊維を含有するフィルタ用基材(目付:50g/m、厚さ:1.1mm)を製造した。
(実施例2)
針密度を100本/cmに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、摩擦帯電繊維を含有するフィルタ用基材(目付:50g/m、厚さ:1.0mm)を製造した。
上述のようにして製造した各フィルタ用基材の製造工程を表1にまとめた。なお、処理を施していない項目については「-」を記載した。
Figure 0007386670000001
上述のようにして製造した各フィルタ用基材の諸物性を表2にまとめた。また、通気抵抗(単位:Pa)と捕集効率(単位:%)は、フィルタ用基材を以下の測定方法へ供することで求めた。なお、「最小値」欄にはフィルタ用基材における繊維の脱落量が少ない方の主面から脱落した繊維の重量(単位:g/m)を記載し、「合計値」欄にはフィルタ用基材の両主面から脱落した繊維の重量の合計値(単位:g/m)を記載した。
(通気抵抗と捕集効率の測定方法)
フィルタ用基材から主面における有効ろ過面積が124cmの試験片を採取した。そして、採取した試験片を柴田科学株式会社製の測定装置「AP-9000」に装着して、捕集効率および通気抵抗を測定した。
まず、試験流量を毎分40リットルに調整した時の、試験片における上流と下流との差圧を測定し、測定された差圧からフィルタ用基材の通気抵抗(単位:Pa)を求めた。
次いで、試験流量を毎分30リットルに変更すると共に、塩化ナトリウム粒子(粒径分布の中央値:0.06~0.10μm、幾何標準偏差:1.8以下)が、濃度50mg/m以下(濃度変動:±15%以下)含有されている試験気流を、試験片の上流側へ供給した。そして、試験気流を1分間供給した後の、試験片における上流側と下流側に存在する当該塩化ナトリウム粒子の濃度を、光散乱式粉じん濃度計を用いて測定し、測定された両濃度からフィルタ用基材に捕集されている塩化ナトリウム粒子の濃度を算出した。そして、試験片の上流側へ供給された塩化ナトリウム粒子の濃度に占める、フィルタ用基材に捕集されている塩化ナトリウム粒子の濃度の百分率を算出し、その値をフィルタ用基材の捕集効率(単位:%)とした。
Figure 0007386670000002
実施例のフィルタ用基材は、繊維の脱落量が少ない(具体的には、脱落する繊維の重量が5.8g/m未満)主面を備えると共に、繊維の脱落量が少ない(具体的には、脱落する繊維の重量の合計値が18.4g/m未満)ものであった。
一方、比較例2のフィルタ用基材は、繊維の脱落量が少ない(具体的には、脱落する繊維の重量が5.8g/m未満の)主面を有していなかった。また、比較例3のフィルタ用基材は、繊維の脱落量が多い(具体的には、脱落する繊維の重量の合計値が18.4g/m以上の)ものであった。
また、水圧を強めて水流絡合処理を繊維シートの一方の主面へのみ施してなる比較例3は、比較例2と比べ水流絡合処理を施した側の主面から脱落する繊維量が増量したフィルタ用基材であった。そして、その影響を受け比較例3は比較例2と比べ、フィルタ用基材における両主面から脱落した繊維の重量の合計値が増量していた。
そして、仮に比較例2において繊維シートの一方の主面へ施す水圧を弱めても、製造されるフィルタ用基材の物性は、比較例1のように水流絡合を施すことなく製造したフィルタ用基材の物性に近づくと考えられたことから、当該場合には、繊維の脱落量が少ない主面(もう一方の主面(B))における繊維脱落量が増量すると共に、フィルタ用基材における両主面から脱落する繊維も増量すると考えられた。
そのため、水流絡合処理を繊維シートの一方の主面へのみ施す限り、いかに水圧を調整しても、繊維の脱落量が少ない(具体的には、脱落した繊維の重量が5.8g/m未満)主面を備えると共に、フィルタ用基材における両主面から脱落する繊維の脱落量が少ない(具体的には、脱落した繊維の重量の合計値が18.4g/m未満)フィルタ用基材を実現することができないと考えられた。
以上から、本発明によって、捕集効率が意図せず低下するのが防止されていると共に、濾過された気体が意図せず汚染されるのが防止された、圧力損失が低く通気性と捕集効率に優れたエアフィルタやマスクを提供できるものであった。
本発明にかかるフィルタ用基材を用いることで、例えば、食品や医療品の生産工場用途、精密機器の製造工場用途、農作物の室内栽培施設用途、一般家庭用途あるいはオフィスビルなどの産業施設用途、空気清浄機用途やOA機器用途などの電化製品用途、自動車や航空機などの各種車両用途のエアフィルタを調製できる。更に、本発明にかかるフィルタ用基材を用いることで、マスクを調製できる。
また、本発明にかかるフィルタ用基材の製造方法によって、上述したフィルタ用基材を製造できる。

Claims (1)

  1. 下記の測定方法で評価する(i)および(ii)の2項目をいずれも満足する、摩擦帯電繊維とが交絡一体化したフィルタ基材であって、摩擦帯電繊維を含有するフィルタ用基材。

    (1)粘着力が8N/25mm巾粘着テープ(長辺:200mm、短辺:50mm)を用意し、粘着テープにおける長辺方向端部からもう一方の長辺方向端部へ向かう25mmまでの範囲を、粘着面を間に介するようにして重ね合わせることで、測定用粘着テープ(長辺:175mm、短辺:50mm、露出している粘着面の大きさは長辺150mmであり短辺50mmである)を調製する
    (2)測定用粘着テープの重量を計量する
    (3)フィルタ用基材の一方の主面に測定用粘着テープの露出している粘着面すべてを貼り付ける、このとき、フィルタ用基材の生産方向と測定用粘着テープの長辺方向が平行を成すようにする
    (4)測定用粘着テープの露出する主面上にローラー(重量:1590g、ローラーの軸長さ:230mm)を2往復作用させる、このとき、ローラーにより測定用粘着テープおよび測定用粘着テープが貼り付いているフィルタ用基材の厚さ方向へ作用させる荷重は346g/50mm幅である
    (5)フィルタ用基材から測定用粘着テープを剥がし、剥がした測定用粘着テープの重量を計量する、そして、剥がした測定用粘着テープの重量から測定用粘着テープの重量を引き、フィルタ用基材の一方の主面から脱落した繊維の重量(A)を算出する
    (6)フィルタ用基材におけるもう一方の主面に対し、上述した(3)~(5)の試験を行うことで、フィルタ用基材のもう一方の主面から脱落した繊維の重量(B)を算出する
    上述の測定を行った結果、
    (i)脱落した繊維の重量(A)と脱落した繊維の重量(B)のうち、軽い方の重量が5.8g/m未満である
    (ii)脱落した繊維の重量(A)と脱落した繊維の重量(B)の合計が、18.4g/m未満である
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