JP3724622B2 - 抗菌性繊維及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、抗菌性繊維及びその製造方法に関するものであり、さらには抗菌性と難燃性との両機能を有する難燃抗菌性繊維及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、抗菌の機能を繊維に付与する方法は知られている。
例えばセラミック系粒子に金属類を担持しこれを繊維に練り混むブレンド法と、比較的安全性の高い有機系の抗菌剤による後加工法がある。前者の方法としては、特開昭59-133235号公報に開示されているように銀や銅等の金属を担持させたゼオライトや燐酸塩系の層状化合物等のセラミック系微粒子を繊維形成ポリマーに混練りして紡糸する方法がある。
近年、ホテル、旅館、学校、病院等の公共の建物に使用されるカーテン、敷物、合板類の用途には防炎性が必要であり、消防法でも一定以上の防炎性を満足するように規制されている。また、生活の多様化から種々の機能が繊維に要求されるようになった。特に衛生思考の高まりから各種繊維製品に抗菌防臭加工が要求されるようになってきた。従って、難燃と抗菌の両機能を併せ持った繊維の要求が増してきた。
【0003】
この様な観点から、抗菌性と難燃性とを併せ持つ繊維が開発されている。これらの機能付与方法としては、繊維製品に難燃剤と抗菌剤の後加工工程での付与する後化工方式、難燃剤を共重合して抗菌剤を後加工で付与する方式、抗菌剤を共重合して難燃剤を後工程で付与する方式等が考えられる。例えば特開平10-212667号公報等は、リン化合物共重合ポリエステル繊維布帛に抗菌化合物を付与してなる抗菌難燃性繊維がある。難燃剤は共重合であるが、抗菌剤は後加工付与方法である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、抗菌性の耐久性に優れた抗菌性繊維を簡便な方法で提供し、さらには抗菌性と難燃性の両機能を併せ持つ繊維を簡便に、かつ安定に提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は以下に示す抗菌性繊維を提供するものである。
1.下記一般式(1)で示されるリン含有化合物及び該リン含有化合物の加水分解残基を側鎖に有し、そのリン含量が100〜50000ppmである抗菌性繊維。
【化3】
(式中、R1は1価のエステル形成性官能基であり、R2、R3は同じかまたは異なる基であって、それぞれハロゲン原子、炭素原子数1〜10の炭化水素基、R1より選ばれ、Aは2価もしくは3価の有機残基を表わす。また、n1は1または2,n2、n3はそれぞれ0〜4の整数を表わす)
【0006】
2.静菌活性値が2.0以上で、かつLOI値が27以上であることを特徴とする請求項1記載の抗菌性繊維。
【0008】
3.下記一般式(1)で示されるリン含有化合物が共重合された共重合ポリエステル繊維を加水分解処理することを特徴とする抗菌性繊維の製造方法。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明におけるリン含有化合物とは、−OH基や−COOH基などの活性水素含有基、又はそれらのエステル基を有する化合物であり、ジカルボン酸やジオールと反応してポリエステルを形成したり、イソシアネート基と反応して、ポリウレタンを形成することができる化合物であり、ポリマーの側鎖又は/及び末端にリン原子を導入することができる化合物である。
【0010】
このリン含有化合物の例としては、一般式(1)で示される化合物があげられる。
【化4】
(式中、R1は1価のエステル形成性官能基であり、R2、R3は同じかまたは異なる基であって、それぞれハロゲン原子、炭素原子数1 〜10の炭化水素基、R1より選ばれ、Aは2価もしくは3価の有機残基を表す。また、n1は1または2であり、n2、n3はそれぞれ0〜4の整数を表す)
【0011】
一般式(1)の化合物の具体的化合物として下記a〜βが挙げられる。
【0012】
【化5】
【0013】
【化6】
【0014】
【化7】
【0015】
【化8】
【0016】
【化9】
【0017】
【化10】
共重合ポリエステルの場合、例えば、特公昭55-41610号公報に記載されるような公知の方法で重合することができ、共重合ポリエステルのリン含量は、100〜50,000ppmあり、好ましくは500〜8,000ppmである。
【0018】
本発明の抗菌性繊維を形成する共重合ポリマーは前記のリン含有化合物が共重合されて側鎖にリン含有基を有し、かつ該リン含有基が加水分解された残基を有する。
【0019】
抗菌効果の発現は、この側鎖のリン含有基の加水分解残基による。側鎖のリン含有基がアルカリ処理などによる加水分解によりP−Oの部分が切断されて、−OHやONaとなり、最終的にはOPP( オルソフェニルフェノール) が側鎖にぶらさがったような恰好になっていると推定される。従って、アルカリなどによる加水分解処理により側鎖にOPPの構造として残る構造式のものならなんでもよい。又、本発明におけるリン含有化合物を共重合できるポリマーであれば、ポリマーの種類は限定されない。
【0020】
加水分解残基の含有量はリン含有量として、50〜20000ppmであり、該加水分解残基を側鎖に導入するには、先に共重合で導入された側鎖を、アルカリなどで加水分解する方法が効果的である。
【0021】
本発明におけるアルカリ加水分解法としては、通常のポリエステル繊維布帛の風合い改良方法として行われる方法を採用することができる。例えば、所望の濃度の水酸化ナトリウム水溶液中にて90〜100 ℃まで昇温し所定時間処理する方法、アルカリ水溶液を付与後、高圧もしくは高温スチーミングする方法、スチーム下マイクロ波で加熱処理する方法等がある。
【0022】
ポリエステル繊維の場合の減量率は、抗菌性が発現すればよく、特に限定されないが通常1〜70%であり、好ましくは3〜60%、より好ましくは5〜50%である。
【0023】
【実施例】
以下製造例及び実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。尚、実施例中、部とあるのは重量部を、%とあるのは重量%を意味する。
(イ)固有粘度:フェノール−1,1,2,2−テトラクロルエタン混合溶媒( 重量比3:2)中30℃で測定した値より求めた。
(ロ)防炎性:JIS L 1091-1992 繊維製品の燃焼試験方法D 法( 接炎試験) に準じて実施した。即ち、ポリエステル重合体を 常法により紡糸延伸して得た糸をメリヤス編みとして、1gを長さ10cmにまるめて径 10mmの針金コイル中に挿入して、45°の角度に保持し、下端から点火し、火源を遠ざけて消火した場合は再び点火を繰り返し、全試料を燃焼しつくすのに要する点火回数を求め、5 個の試料についての平均値であらわしたものである。接炎回数が3 回以上であれば難燃性ありと判断した。
【0024】
(ハ)LOI 値: JIS K7201-1995酸素指数法の高分子材料の燃焼性試験方法にて測定した。
【0025】
(ニ)抗菌性評価:JIS L 1902-1998 で制定の繊維製品の抗菌性試験法( 統一法) マニュアルに準じた。即ち、密閉容器の底部に予めサンプルを2gを置き、このサンプル上に予め培養した1/50ブロースで希釈した黄色ブドウ球菌(試験菌種:AATCC -6538P)の菌液0.2ml を蒔き、37℃のインキュベーター内に18時間静置した後、20MLのSCDLP 培地を添加して充分に振とうして菌を洗い落とす。これを普通寒天培地に置き24時間後に菌数を計測し、同時に実施した無加工試料布による菌数値と比較し抗菌性を判断した。
【0026】
F=Mb−MA
ここで、F:増殖値
Mb:無加工試料の18時間培養後の生菌数の対数(3検体の平均)
MA:無加工試料の接種直後の生菌数の対数(3検体の平均)
D=Mb−Mc
D:静菌活性値
Mc:加工布培養18時間培養後の生菌数の対数
【0027】
【実施例】
リン含有化合物として前記の化合物Sを使用し、テレフタル酸とエチレングリコールを原料とし、リン原子含有量が6,000ppmになるように重合させて得られたリン含有共重合ポリエステルを用いて、通常の方法で溶融紡糸を行い、150dで48フィラメントの糸を巻き取った。
このものを、筒編みして難燃評価を実施した。
また、300本編み機にて一口編地にして前処理として精練( バットでノイゲンHC=2g/l、ソーダ灰=0.5g/l 、70℃×10分、浴比=1:50 、湯水洗い、風乾) し、ミニセッターにて160 ℃×1 分乾熱プリセットを行った。アルカリ加水分解処理(減量加工)として、ミニカラー染色機を用いて、浴比=1:50 で、試料重量10g 、水酸化ナトリウム水溶液=50g/l、80 →100 ℃(2℃/分)に昇温して処理温度が100 ℃で、処理時間を15、30、45及び60分の各条件で減量加工を行った後、冷水洗、湯水洗、中和洗浄( バット: 酢酸 10%,5cc/l、50℃×10分) 、水洗い、風乾を行い、各編地の減量率を求めた。この試料について、抗菌性能及び難燃性の評価を実施した。その結果を表1に示した。
【0028】
【表1】
これから難燃効果( 接炎回数、LOI 値) は減量加工の有無に係わらず、発現しており、従来通りの結果が再現されている。抗菌効果は、減量加工する事により発現しており、抗菌性及び難燃性の両効果を同時に示していることが判る。
【0029】
【発明の効果】
本発明は、特定のリン含有化合物を共重合させ、得られた製品をアルカリなどによる加水分解処理で抗菌機能を発現させる点において、従来とは全く異なる技術である。即ち、共重合されているリン含有化合物の一部が加水分解処理により構造がOPPなどに変化し、この変化した部分が抗菌効果を示す。また、リン含有化合物はポリマー中に残るために難燃効果は維持される。従って、難燃性及び抗菌性の両効果を併せ持ち、且つ半永久的にこれらの機能を維持することができる。各種繊維製品に利用でき、抗菌機能が必要な場合にのみ加水分解処理を行えばよく、抗菌需要に併せて用途別に生産対応が出来、かつ風合に優れた布帛を製造でき、非常に効率的な方法である。また、アルカリ処理などの加水分解処理は従来技術が適用でき、全く新しい設備を必要としない点でも画期的な発明である。
本発明の方法によれば、特定の化合物を共重合させるだけで、難燃性と抗菌性の両機能を持たせることができ、従来問題となっていたブリードアウトはなく、後工程での取扱い性にも優れているため、工業的生産が容易である。
Claims (3)
- 静菌活性値が2.0以上で、かつLOI値が27以上であることを特徴とする請求項1記載の抗菌性繊維。
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JP6677799A JP3724622B2 (ja) | 1999-03-12 | 1999-03-12 | 抗菌性繊維及びその製造方法 |
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1999
- 1999-03-12 JP JP6677799A patent/JP3724622B2/ja not_active Expired - Fee Related
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