JP4649742B2 - 空気調和機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
【0002】
本願発明は、室内機として使用される空気調和機に関するものである。
【従来の技術】
【0003】
室内機として使用される空気調和機(例えば、カセット形室内機)は、図1および図9に示すように、天井Cに形成された開口Aの上方において梁等(図示省略)に取り付けられた吊りボルトTにより吊り下げ支持された空気調和機本体1と、該空気調和機本体1の下端に対して当接されるとともに前記開口Aを覆う化粧パネル2とを備えて構成されている。前記空気調和機本体1は、横断面略八角形形状のケーシング3を備えており、該ケーシング3内には、送風機であるターボファン4と、該ターボファン4の吹出側を囲繞する略環状のクロスフィンコイル型の熱交換器5と、該熱交換器5からのドレンを受け止めるドレンパン6とが内蔵されている。前記熱交換器5は、四つの直線形状部5a,5a・・と該直線形状部5a,5a・・をつなぐ三つの湾曲形状部5b,5b,5bとにより構成されており、前記化粧パネル2には、中央部に位置する空気吸込口7と、該空気吸込口7を囲むようにして前記熱交換器5の直線形状部5a,5a・・に対応する4個の空気吹出口8,8・・とが形成されている。符号9はファンモータ、10は吸込グリル、11は熱交換器5の外周側に位置して化粧パネル2側の空気吹出口8,8・・と連通する吹出空気通路、12は風向調整羽根である。
【0004】
上記のような構成の空気調和機においては、熱交換器5における下方部分Xは、空気調和機本体1の高さ寸法を抑えたいという要求からドレンパン6内に挿入される場合が多い。
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記構成の空気調和機の場合、ターボファン4の駆動により空気吸込口7から吸い込まれた空気Wは、熱交換器5を通過する過程で冷却あるいは加熱されて調和空気となって吹出空気通路11を経て空気吹出口8,8・・から室内へ吹き出されるが、図10に示すように、ドレンパン6の内部に挿入されている熱交換器5の下方部分Xを通過した空気流れwは、ドレンパン6における下流側側壁6aを乗り越えることとなる。すると、ドレンパン6における下流側側壁6aを乗り越える際に剥離eが生じて、熱交換器5の上方部分を通過した空気Wの主流の抵抗となり、送風音の上昇を招くこととなっている。
【0006】
また、上記構成の空気調和機の場合、熱交換器5における湾曲形状部5b,5b,5bにおいては、曲げ加工を施したことによりフィンピッチが小さくなっているので、空気の流通抵抗が大きくなり、流れが悪くなっている。その結果、空気吹出口8,8・・の中央部お流れる空気の風速が大きくなり、送風音の上昇を招くこととなっている。
【0007】
本願発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、ドレンパン内に挿入されている熱交換器の下方部分を通過した空気を、空気吹出口の端部方向に誘導することにより、ドレンパンの下流側側壁における剥離を低減させるとともに、空気吹出口の端部における送風量を確保することで空気吹出口における送風分布の偏りを小さくして、送風音の低減を図ることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明では、上記課題を解決するための手段として、送風機4と、該送風機4の吹出側を囲繞し且つ直線形状部5a,5a・・と該直線形状部5a,5a・・をつなぐ湾曲形状部5b,5b・・とにより構成された略環状の熱交換器5と、該熱交換器5の下方部分Xが挿入されるドレンパン6と、前記熱交換器5の中央部に位置する空気吸込口7から吸い込まれて前記熱交換器5を通過した調和空気Wを室内へ吹き出すべく前記空気吸込口7を囲むようにして前記熱交換器5の直線形状部5a,5a・・に対応して設けられた空気吹出口8,8・・とを備えた空気調和機において、前記ドレンパン6の下流側側壁6aであって前記熱交換器5における直線形状部5a,5a・・に対応させた位置に、前記熱交換器5の下方部分Xを通過した空気wを前記空気吹出口8,8・・の端部方向に誘導する空気誘導手段13を設けるとともに、該空気誘導手段13を、前記ドレンパン6における下流側側壁6aの上端より低い位置から前記熱交換器5側に突出し且つ上面が前記熱交換器5側に向かって下り勾配の傾斜面13aとされた突条により構成している。
【0009】
上記のように構成したことにより、ドレンパン6における下流側側壁6aを乗り越える空気流れが大幅に低減されることとなって当該部分での剥離が大幅に小さくなる(換言すれば、調和空気Wの主流に対する抵抗が小さくなる)とともに、熱交換器5の下方部分Xを通過した空気wが空気吹出口8,8・・の端部方向に誘導されることで、空気吹出口8,8・・の端部側の風速が大きくなって空気吹出口8,8・・での風速の偏りが小さくなる。その結果、送風音の低減を図ることができる。しかも、熱交換器5を、直線形状部5a,5a・・と該直線形状部5a,5a・・をつなぐ湾曲形状部5b,5b・・とにより構成する一方、前記ドレンパン6の下流側側壁6aであって前記熱交換器5における直線形状部5a,5a・・に対応させた位置に空気誘導手段13を設けたことにより、送風音低減効果を十分確保することができる範囲に空気誘導手段13を設けるだけでよいこととなり、構成が簡略となるとともに、空気誘導手段3により誘導された空気により空気が流れにくくなっている熱交換器湾曲形状部5b,5b・・から空気吹出口8,8・・に流れる空気が補充されることとなり、空気吹出口8,8・・での風速分布の偏りがより一層小さくなる。従って、送風音がより一層低減することとなる。また、空気誘導手段13を、前記ドレンパン6における下流側側壁6aの上端より低い位置から前記熱交換器5側に突出し且つ上面が前記熱交換器5側に向かって下り勾配の傾斜面13aとされた突条により構成したことにより、空気誘導手段13の構成が簡略となるとともに、突条13の傾斜面13a上に落下したドレンは速やかにドレンパン6内に流下せしめられることとなり、水飛びに対する信頼性が向上する。
【0010】
請求項2の発明では、上記課題を解決するための手段として、送風機4と、該送風機4の吹出側を囲繞し且つ直線形状部5a,5a・・と該直線形状部5a,5a・・をつなぐ湾曲形状部5b,5b・・とにより構成された略環状の熱交換器5と、該熱交換器5の下方部分Xが挿入されるドレンパン6と、前記熱交換器5の中央部に位置する空気吸込口7から吸い込まれて前記熱交換器5を通過した調和空気Wを室内へ吹き出すべく前記空気吸込口7を囲むようにして前記熱交換器5の直線形状部5a,5a・・に対応して設けられた空気吹出口8,8・・とを備えた空気調和機において、前記ドレンパン6の下流側側壁6aであって前記熱交換器5における直線形状部5a,5a・・に対応させた位置に、前記熱交換器5の下方部分Xを通過した空気wを前記空気吹出口8,8・・の端部方向に誘導する空気誘導手段13を設けるとともに、該空気誘導手段13を、前記ドレンパン6における下流側側壁6aの内壁上端部と該下流側側壁6aの上端とに跨がって形成され且つ上面が前記熱交換器5側に向かって下り勾配の傾斜面13aとされた突条により構成している。
【0011】
上記のように構成したことにより、ドレンパン6における下流側側壁6aを乗り越える空気流れが大幅に低減されることとなって当該部分での剥離が大幅に小さくなる(換言すれば、調和空気Wの主流に対する抵抗が小さくなる)とともに、熱交換器5の下方部分Xを通過した空気wが空気吹出口8,8・・の端部方向に誘導されることで、空気吹出口8,8・・の端部側の風速が大きくなって空気吹出口8,8・・での風速の偏りが小さくなる。その結果、送風音の低減を図ることができる。しかも、熱交換器5を、直線形状部5a,5a・・と該直線形状部5a,5a・・をつなぐ湾曲形状部5b,5b・・とにより構成する一方、前記ドレンパン6の下流側側壁6aであって前記熱交換器5における直線形状部5a,5a・・に対応させた位置に空気誘導手段13を設けたことにより、送風音低減効果を十分確保することができる範囲に空気誘導手段13を設けるだけでよいこととなり、構成が簡略となるとともに、空気誘導手段3により誘導された空気により空気が流れにくくなっている熱交換器湾曲形状部5b,5b・・から空気吹出口8,8・・に流れる空気が補充されることとなり、空気吹出口8,8・・での風速分布の偏りがより一層小さくなる。従って、送風音がより一層低減することとなる。また、空気誘導手段13を、前記ドレンパン6における下流側側壁6aの内壁上端部と該下流側側壁6aの上端とに跨がって形成され且つ上面が前記熱交換器5側に向かって下り勾配の傾斜面13aとされた突条により構成したことにより、ドレンパン6における下流側側壁6aの上端を整流化できるので、より低騒音化を図ることができるとともに、ドレンパン6との一体性および組立性も向上する。
【0012】
請求項3の発明におけるように、請求項1および2のいずれか一項記載の空気調和機において、前記突条13の長さをmとし、前記空気吹出口8の開口長さをMとした時、m/M≧0.4に設定した場合、突条13を設けたことによる送風音低減効果を十分確保することができる。なお、m/M<0.4の場合には、ドレンパン6の下流側側壁6aを乗り越える空気流れwが多く存在することとなり、十分な送風音低減効果が得られない(図5参照)。
【0013】
請求項4の発明におけるように、請求項1、2および3のいずれか一項記載の空気調和機において、前記突条13の先端と前記熱交換器5との間の距離をdとし、前記熱交換器5と前記ドレンパン6における下流側側壁6aとの間の距離をDとした時、d/D≦0.5に設定した場合、突条13を設けたことによる送風音低減効果を十分確保することができる。なお、d/D>0.5の場合には、ドレンパン6の下流側側壁6aを乗り越える空気流れwが多く存在することとなり、十分な送風音低減効果が得られない(図6参照)。
【発明の実施の形態】
【0014】
以下、添付の図面を参照して、本願発明の幾つかの好適な実施の形態について詳述する。
【0015】
第1の実施の形態
図1ないし図4には、本願発明の第1の実施の形態にかかる空気調和機が示されている。
【0016】
この空気調和機は、天井埋込式空気調和機用室内機とされており、従来技術の項において説明したものとほぼ同様な構造を有している。
【0017】
即ち、この空気調和機は、図1および図2に示すように、天井Cに形成された開口Aの上方において梁等(図示省略)に取り付けられた吊りボルトにより吊り下げ支持された空気調和機本体1と、該空気調和機本体1の下端に対して当接されるとともに前記開口Aを覆う化粧パネル2とを備えて構成されている。前記空気調和機本体1は、横断面略八角形形状のケーシング3を備えており、該ケーシング3内には、送風機であるターボファン4と、該ターボファン4の吹出側を囲繞する略環状のクロスフィンコイル型の熱交換器5と、該熱交換器5からのドレンを受け止めるドレンパン6とが内蔵されている。前記熱交換器5は、四つの直線形状部5a,5a・・と該直線形状部5a,5a・・をつなぐ三つの湾曲形状部5b,5b,5bとにより構成されており、前記化粧パネル2には、中央部に位置する空気吸込口7と、該空気吸込口7を囲むようにして前記熱交換器5の直線形状部5a,5a・・に対応する4個の空気吹出口8,8・・とが形成されている。符号9はファンモータ、10は吸込グリル、11は熱交換器5の外周側に位置して化粧パネル2側の空気吹出口8,8・・と連通する吹出空気通路、12は風向調整羽根である。
【0018】
そして、図3および図4に示すように、前記熱交換器5の下方部分Xは、前記ドレンパン6の内部に挿入されており、該ドレンパン6の下流側側壁6aには、前記熱交換器5の下方部分Xを通過した空気wを前記空気吹出口8,8・・の端部方向に誘導する空気誘導手段13が設けられている。該空気誘導手段13は、前記ドレンパン6における下流側側壁6aの上端より低い位置から前記熱交換器5側に突出し且つ上面が前記熱交換器5側に向かって下り勾配の傾斜面13aとされた突条により構成されている。該突条13は、熱交換器5の直線形状部5aに対応させて形成されている。
【0019】
上記のように構成したことにより、ドレンパン6における下流側側壁6aを乗り越える空気流れが大幅に低減されることとなって当該部分での剥離が大幅に小さくなる(換言すれば、調和空気Wの主流に対する抵抗が小さくなる)とともに、熱交換器5の下方部分Xを通過した空気wが空気吹出口8,8・・の端部方向に誘導された後、空気吹出口8,8・・の端部から室内へ吹き出されることで、空気吹出口8,8・・の端部側の風速が大きくなって空気吹出口8,8・・での風速の偏りが小さくなる。その結果、送風音の低減を図ることができる。
【0020】
しかも、空気誘導手段13は、前記ドレンパン6における下流側側壁6aの上端より低い位置から前記熱交換器5側に突出し且つ上面が前記熱交換器5側に向かって下り勾配の傾斜面13aとされた突条により構成されているので、空気誘導手段13の構成が簡略となるとともに、突条13の傾斜面13a上に落下したドレンは速やかにドレンパン6内に流下せしめられることとなり、水飛びに対する信頼性が向上する。
【0021】
さらに、前記空気誘導手段13である突条を、前記熱交換器5における直線形状部5a,5a・・に対応させて設けているため、送風音低減効果を十分確保することができる範囲に突条13を設けるだけでよいこととなり、構成が簡略となるとともに、突条3により誘導された空気により空気が流れにくくなっている熱交換器湾曲形状部5b,5b・・から空気吹出口8,8・・に流れる空気が補充されることとなり、空気吹出口8,8・・での風速分布の偏りがより一層小さくなる。従って、送風音がより一層低減することとなる。
【0022】
ところで、本実施の形態においては、空気誘導手段である突条13を、前記熱交換器5における直線形状部5a,5a・・に対応させて設けているが、突条13の長さをmとし、前記空気吹出口8の開口長さをMとして、両者の比m/Mを種々変化させて送風音テストを行ったところ、図5に示す結果が得られた。
【0023】
これによれば、m/M≧0.4の範囲において、突条13を設けたことによる送風音低減効果が十分得られることが分かる。また、m/M>0.8の範囲では、突条13による送風音低減効果がほぼ飽和してしまうこととなっているため、0.4≦m/M≦0.8の範囲とするのが望ましい。なお、m/M<0.4の場合には、ドレンパン6の下流側側壁6aを乗り越える空気流れwが多く存在することとなり、十分な送風音低減効果が得られない。
【0024】
また、前記空気誘導手段である突条13の先端と前記熱交換器5との間の距離をdとし、前記熱交換器5と前記ドレンパン6における下流側側壁6aとの間の距離をDとして、両者の比d/D≦0.5を種々変化させて送風音テストを行ったところ、図6に示す結果が得られた。
【0025】
これによれば、d/D≦0.5の範囲において、突条13を設けたことによる送風音低減効果が十分得られることが分かる。なお、d/D>0.5の場合には、ドレンパン6の下流側側壁6aを乗り越える空気流れwが多く存在することとなり、十分な送風音低減効果が得られない。ところで、このテストにおいては、d/D<0.1については結果が記載されていないが、本来、空気誘導手段としての作用効果はd=0が最大となるはずである。ところが、d/D<0.1の場合には、突条13の先端と熱交換器5との間の距離が近くなり過ぎて、ドレンパン6ないへの熱交換器5の設置作業が困難となるため、当該範囲をテストから除外しているだけである。
【0026】
第2の実施の形態
図7および図8には、本願発明の第2の実施の形態にかかる空気調和機が示されている。
【0027】
この場合、空気誘導手段13は、ドレンパン6における下流側側壁6aの内壁上端部と該下流側側壁6aの上端とに跨がって形成され且つ上面が熱交換器5側に向かって下り勾配の傾斜面13aとされた突条により構成されている。このようにすると、ドレンパン6における下流側側壁6aの上端を整流化できるので、より低騒音化を図ることができるとともに、ドレンパン6との一体性および組立性も向上する。その他の構成および作用効果は、第1の実施の形態におけると同様なので説明を省略する。
【0028】
上記各実施の形態においては、空気誘導手段である突条をドレンパンと別体構成としているが、ドレンパンを構成する発泡スチロールの成形時に一体成形する場合もある。
【発明の効果】
【0029】
請求項1の発明によれば、送風機4と、該送風機4の吹出側を囲繞し且つ直線形状部5a,5a・・と該直線形状部5a,5a・・をつなぐ湾曲形状部5b,5b・・とにより構成された略環状の熱交換器5と、該熱交換器5の下方部分Xが挿入されるドレンパン6と、前記熱交換器5の中央部に位置する空気吸込口7から吸い込まれて前記熱交換器5を通過した調和空気Wを室内へ吹き出すべく前記空気吸込口7を囲むようにして前記熱交換器5の直線形状部5a,5a・・に対応して設けられた空気吹出口8,8・・とを備えた空気調和機において、前記ドレンパン6の下流側側壁6aであって前記熱交換器5における直線形状部5a,5a・・に対応させた位置に、前記熱交換器5の下方部分Xを通過した空気wを前記空気吹出口8,8・・の端部方向に誘導する空気誘導手段13を設けるとともに、該空気誘導手段13を、前記ドレンパン6における下流側側壁6aの上端より低い位置から前記熱交換器5側に突出し且つ上面が前記熱交換器5側に向かって下り勾配の傾斜面13aとされた突条により構成して、ドレンパン6における下流側側壁6aを乗り越える空気流れが大幅に低減されることとなって当該部分での剥離が大幅に小さくなる(換言すれば、調和空気Wの主流に対する抵抗が小さくなる)とともに、熱交換器5の下方部分Xを通過した空気wが空気吹出口8,8・・の端部方向に誘導されることで、空気吹出口8,8・・の端部側の風速が大きくなって空気吹出口8,8・・での風速の偏りが小さくなるようにしたので、送風音の低減を図ることができるという効果がある。しかも、熱交換器5を、直線形状部5a,5a・・と該直線形状部5a,5a・・をつなぐ湾曲形状部5b,5b・・とにより構成する一方、前記ドレンパン6の下流側側壁6aであって前記熱交換器5における直線形状部5a,5a・・に対応させた位置に空気誘導手段13を設けているので、送風音低減効果を十分確保することができる範囲に空気誘導手段13を設けるだけでよいこととなり、構成が簡略となるとともに、空気誘導手段3により誘導された空気により空気が流れにくくなっている熱交換器湾曲形状部5b,5b・・から空気吹出口8,8・・に流れる空気が補充されることとなり、空気吹出口8,8・・での風速分布の偏りがより一層小さくなる。従って、送風音がより一層低減することとなるという効果もある。また、空気誘導手段13を、前記ドレンパン6における下流側側壁6aの上端より低い位置から前記熱交換器5側に突出し且つ上面が前記熱交換器5側に向かって下り勾配の傾斜面13aとされた突条により構成しているので、空気誘導手段13の構成が簡略となるとともに、突条13の傾斜面13a上に落下したドレンは速やかにドレンパン6内に流下せしめられることとなり、水飛びに対する信頼性が向上するという効果もある。
【0030】
請求項2の発明によれば、送風機4と、該送風機4の吹出側を囲繞し且つ直線形状部5a,5a・・と該直線形状部5a,5a・・をつなぐ湾曲形状部5b,5b・・とにより構成された略環状の熱交換器5と、該熱交換器5の下方部分Xが挿入されるドレンパン6と、前記熱交換器5の中央部に位置する空気吸込口7から吸い込まれて前記熱交換器5を通過した調和空気Wを室内へ吹き出すべく前記空気吸込口7を囲むようにして前記熱交換器5の直線形状部5a,5a・・に対応して設けられた空気吹出口8,8・・とを備えた空気調和機において、前記ドレンパン6の下流側側壁6aであって前記熱交換器5における直線形状部5a,5a・・に対応させた位置に、前記熱交換器5の下方部分Xを通過した空気wを前記空気吹出口8,8・・の端部方向に誘導する空気誘導手段13を設けるとともに、該空気誘導手段13を、前記ドレンパン6における下流側側壁6aの内壁上端部と該下流側側壁6aの上端とに跨がって形成され且つ上面が前記熱交換器5側に向かって下り勾配の傾斜面13aとされた突条により構成して、ドレンパン6における下流側側壁6aを乗り越える空気流れが大幅に低減されることとなって当該部分での剥離が大幅に小さくなる(換言すれば、調和空気Wの主流に対する抵抗が小さくなる)とともに、熱交換器5の下方部分Xを通過した空気wが空気吹出口8,8・・の端部方向に誘導されることで、空気吹出口8,8・・の端部側の風速が大きくなって空気吹出口8,8・・での風速の偏りが小さくなるようにしたので、送風音の低減を図ることができるという効果がある。しかも、熱交換器5を、直線形状部5a,5a・・と該直線形状部5a,5a・・をつなぐ湾曲形状部5b,5b・・とにより構成する一方、前記ドレンパン6の下流側側壁6aであって前記熱交換器5における直線形状部5a,5a・・に対応させた位置に空気誘導手段13を設けているので、送風音低減効果を十分確保することができる範囲に空気誘導手段13を設けるだけでよいこととなり、構成が簡略となるとともに、空気誘導手段3により誘導された空気により空気が流れにくくなっている熱交換器湾曲形状部5b,5b・・から空気吹出口8,8・・に流れる空気が補充されることとなり、空気吹出口8,8・・での風速分布の偏りがより一層小さくなって、送風音がより一層低減することとなるという効果もある。また、空気誘導手段13を、前記ドレンパン6における下流側側壁6aの内壁上端部と該下流側側壁6aの上端とに跨がって形成され且つ上面が前記熱交換器5側に向かって下り勾配の傾斜面13aとされた突条により構成しているので、ドレンパン6における下流側側壁6aの上端を整流化できることとなり、より低騒音化を図ることができるとともに、ドレンパン6との一体性および組立性も向上するという効果もある。
【0031】
請求項3の発明におけるように、請求項1および2のいずれか一項記載の空気調和機において、前記突条13の長さをmとし、前記空気吹出口8の開口長さをMとした時、m/M≧0.4に設定した場合、突条13を設けたことによる送風音低減効果を十分確保することができる。なお、m/M<0.4の場合には、ドレンパン6の下流側側壁6aを乗り越える空気流れwが多く存在することとなり、十分な送風音低減効果が得られない(図5参照)。
【0032】
請求項4の発明におけるように、請求項1、2および3のいずれか一項記載の空気調和機において、前記突条13の先端と前記熱交換器5との間の距離をdとし、前記熱交換器5と前記ドレンパン6における下流側側壁6aとの間の距離をDとした時、d/D≦0.5に設定した場合、突条13を設けたことによる送風音低減効果を十分確保することができる。なお、d/D>0.5の場合には、ドレンパン6の下流側側壁6aを乗り越える空気流れwが多く存在することとなり、十分な送風音低減効果が得られない(図6参照)。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本願発明の第1の実施の形態にかかる空気調和機の縦断面図である。
【図2】 本願発明の第1の実施の形態にかかる空気調和機のケーシング天板を除いた平面図である。
【図3】 本願発明の第1の実施の形態にかかる空気調和機における要部拡大断面図である。
【図4】 本願発明の第1の実施の形態にかかる空気調和機における要部拡大斜視図である。
【図5】 本願発明の第1の実施の形態にかかる空気調和機において突条の長さmと空気吹出口の開口長さMとの比を種々変化させて行った送風音テストの結果を示す特性図である。
【図6】 本願発明の第1の実施の形態にかかる空気調和機において突条の先端と熱交換器との間の距離dと、熱交換器とドレンパンにおける下流側側壁との間の距離Dとの比を種々変化させて行った送風音テストの結果を示す特性図である。
【図7】 本願発明の第2の実施の形態にかかる空気調和機における要部拡大断面図である。
【図8】 本願発明の第2の実施の形態にかかる空気調和機における要部拡大斜視図である。
【図9】 従来の空気調和機のケーシング天板を除いた平面図である。
【図10】 従来の空気調和機における要部拡大断面図である。
【符号の説明】
1は空気調和機本体、2は化粧パネル、3はケーシング、4は送風機(ターボファン)、5は熱交換器、5aは直線形状部、5bは湾曲形状部、6はドレンパン、6aは下流側側壁、7は空気吸込口、8は空気吹出口、13は空気誘導手段(突条)、13aは傾斜面、W,wは空気流。
Claims (4)
- 送風機(4)と、該送風機(4)の吹出側を囲繞し且つ直線形状部(5a),(5a)・・と該直線形状部(5a),(5a)・・をつなぐ湾曲形状部(5b),(5b)・・とにより構成された略環状の熱交換器(5)と、該熱交換器(5)の下方部分(X)が挿入されるドレンパン(6)と、前記熱交換器(5)の中央部に位置する空気吸込口(7)から吸い込まれて前記熱交換器(5)を通過した調和空気(W)を室内へ吹き出すべく前記空気吸込口(7)を囲むようにして前記熱交換器(5)の直線形状部(5a),(5a)・・に対応して設けられた空気吹出口(8),(8)・・とを備えた空気調和機であって、前記ドレンパン(6)の下流側側壁(6a)であって前記熱交換器(5)における直線形状部(5a),(5a)・・に対応させた位置には、前記熱交換器(5)の下方部分(X)を通過した空気(w)を前記空気吹出口(8),(8)・・の端部方向に誘導する空気誘導手段(13)を設けるとともに、該空気誘導手段(13)を、前記ドレンパン(6)における下流側側壁(6a)の上端より低い位置から前記熱交換器(5)側に突出し且つ上面が前記熱交換器(5)側に向かって下り勾配の傾斜面(13a)とされた突条により構成したことを特徴とする空気調和機。
- 送風機(4)と、該送風機(4)の吹出側を囲繞し且つ直線形状部(5a),(5a)・・と該直線形状部(5a),(5a)・・をつなぐ湾曲形状部(5b),(5b)・・とにより構成された略環状の熱交換器(5)と、該熱交換器(5)の下方部分(X)が挿入されるドレンパン(6)と、前記熱交換器(5)の中央部に位置する空気吸込口(7)から吸い込まれて前記熱交換器(5)を通過した調和空気(W)を室内へ吹き出すべく前記空気吸込口(7)を囲むようにして前記熱交換器(5)の直線形状部(5a),(5a)・・に対応して設けられた空気吹出口(8),(8)・・とを備えた空気調和機であって、前記ドレンパン(6)の下流側側壁(6a)であって前記熱交換器(5)における直線形状部(5a),(5a)・・に対応させた位置には、前記熱交換器(5)の下方部分(X)を通過した空気(w)を前記空気吹出口(8),(8)・・の端部方向に誘導する空気誘導手段(13)を設けるとともに、該空気誘導手段(13)を、前記ドレンパン(6)における下流側側壁(6a)の内壁上端部と該下流側側壁(6a)の上端とに跨がって形成され且つ上面が前記熱交換器(5)側に向かって下り勾配の傾斜面(13a)とされた突条により構成したことを特徴とする空気調和機。
- 前記突条(13)の長さをmとし、前記空気吹出口(8)の開口長さをMとした時、m/M≧0.4に設定したことを特徴とする前記請求項1および2のいずれか一項記載の空気調和機。
- 前記突条(13)の先端と前記熱交換器(5)との間の距離をdとし、前記熱交換器(5)と前記ドレンパン(6)における下流側側壁(6a)との間の距離をDとした時、d/D≦0.5に設定したことを特徴とする前記請求項1、2および3のいずれか一項記載の空気調和機。
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