JP4649591B2 - 希土類合金の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、マイクロモータやマイクロアクチュエータ、センサー、磁気記録媒体などに好適に用いられる希土類合金の製造方法に関する。
各種電気機器の小型化が進む中で、永久磁石薄膜を用いたマイクロモータやマイクロアクチュエータなどの開発が進められている。この種のデバイスのサイズや性能は、永久磁石薄膜の磁気特性に左右される。このため、永久磁石薄膜の材料として、粉末冶金製法で既に商用化され、高い最大エネルギー積を実現している希土類永久磁石材料に注目が集まっている。
希土類永久磁石材料の中では、主たる構成相が正方晶Nd2Fe14B化合物相であるNd−Fe−B系永久磁石材料が最も広く知られている。正方晶Nd2Fe14B化合物相は飽和磁化が高く、粉末冶金法で製作した焼結磁石は、粉末成型時に磁化容易軸を磁界配向させることで、実用永久磁石としては最高の400kJ/m3を越える最大エネルギー積が得られている。そのため、薄膜プロセスにおいてもNd−Fe−B系材料(Nd−Fe−B系合金)に対する関心は高く、容易磁化方向(C軸)が薄膜の面に対して垂直に配向する傾向が強い性質と相まって、高性能垂直磁化膜としての応用が期待されている。
一般に、希土類合金の薄膜を作製する方法としては、スパッタリング法、電子ビーム蒸着法、レーザーアブレーション法などの物理蒸着(PVD)法や、化学気相成長(CVD)法などの気相法による薄膜堆積手段が知られている(特許文献1および特許文献2)。しかしながら、これらの方法を実行するには大型の堆積装置が必要であり、使用する基板の形状や大きさなどを適切に制御しなければならないなどの点で生産効率に劣る。
また、非特許文献1には、特別なスパッタリング装置を用いてNd−Fe−B系焼結磁石の内外表面にDy(ディスプロシウム)金属を堆積した後、加熱することによってマイクロモータ用の微小片を作製する方法が開示されている。通常、焼結磁石を加工すると、Nd2Fe14B化合物相の周囲に形成された粒界相が破壊されて保磁力が急激に低下するが、この方法によれば、加熱によってNd−Fe−B系焼結磁石の内部にDyが拡散されるため、低下した磁気特性が大幅に回復する旨記載されている。しかしながら、この方法は特別なスパッタリング装置を必要とし、成膜条件や加熱条件の制御が比較的難しいなどの点で不便である。
一方、最近、溶融塩電解技術(溶融塩電気化学プロセス)を利用して希土類合金を作製する方法が注目されている(非特許文献2から非特許文献4)。溶融塩電解技術の原理は、電解液としてアルカリ金属ハライド(アルカリ土類金属ハライドを含んでいてもよい)の溶融塩を用いる点を除き、水を用いる電気分解技術と同じである。具体的には、被処理材である金属を陰極(作用極)として用い、希土類元素イオンを含む溶融塩中で陰極分解すると、希土類元素のイオンが被処理材の表面で還元され、被処理材の構成元素と希土類元素とが電解析出と同時に相互拡散することにより、被処理材の表面から深さ方向に沿って希土類合金が形成される。溶融塩電解技術によれば、浴組成、浴温、電極電位、電流密度、電気量などのパラメータを制御することによって合金の組成、厚さ、形態、結晶性などを容易に制御することができる。
非特許文献2中のTable 3には、溶融塩電解技術によって作製された希土類合金がまとめて記載されており、例えば、Nd−Ni系合金、Sm−Co系合金などが記載されている。
特開2001−237119号公報 特開2003−17320号公報 特開2003−320442号公報 特開2004−100043号公報 "ネオジウム−鉄−ホウ素系微小磁石"、[online]、[2004年11月25日検索]、インターネット<URL:http://home.jeita.or.jp/ecb/material/no001.html 野平俊之、伊藤靖彦、"溶融塩電気化学プロセスによる希土類合金の形成"、溶融塩および高温化学、47巻、1号、p.5−12、2004年2月 後藤琢也、伊藤靖彦、"溶融塩電気化学プロセスによるFe−Sm−N系化合物薄膜の形成"、平成11年第31回、溶融塩化学討論会予稿集、p.31−32 小西宏和、野平俊之、伊藤靖彦、"電気化学インプランテーションによるDy合金薄膜の形成"、平成10年第30回、溶融塩化学討論会予稿集、p.15−16
しかしながら、非特許文献2から非特許文献4には、希土類元素がNdであるNd−Fe−B系合金を溶融塩電解技術によって作製する方法は開示されていない。前述したとおり、Nd−Fe−B系合金は、他の希土類合金のなかでも非常に高い磁気特性を有しているが、それにもかかわらず、従来は、溶融塩電解技術を用いたNd−Fe−B系合金に関する研究の報告すらなされていなかった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、主たる構成相が正方晶Nd2Fe14B化合物相である希土類合金を溶融塩電解技術によって製造する方法を提供することにある。
本発明の希土類合金の製造方法は、Fe−B合金を用意する工程(a)と、Fe−B合金を被処理材として用い、Ndイオンを含む溶融塩中で電解を行うことによって被処理材の少なくとも表面の一部に主たる構成相が正方晶Nd2Fe14B化合物相である希土類合金を形成する工程(b)とを包含する。
ある好ましい実施形態では、前記工程(b)は、350℃以上、665℃未満の温度で行う。
ある好ましい実施形態では、前記工程(b)において、前記溶融塩はアルカリ金属ハライドまたはアルカリ土類金属ハライドである。
ある好ましい実施形態では、前記溶融塩はLiCl−NaClである。
ある好ましい実施形態では、前記工程(b)において、前記Ndの供給源はNdのハロゲン化物である。
ある好ましい実施形態では、前記工程(a)において、前記Fe−B合金に含まれるBの比率は、FeおよびBの総元素量に対して40原子%未満である。
ある好ましい実施形態では、前記工程(a)において、前記Fe−B合金に含まれるBの比率は、FeおよびBの総元素量に対して7原子%以上である。
ある好ましい実施形態では、前記工程(a)は、急冷法を用いてFe−B合金を作製する工程を含む。
本発明の希土類合金は、少なくとも表面の一部に、溶融塩電解によって形成された正方晶Nd2Fe14B化合物相を主たる構成相として含む。
本発明による電気機器の製造方法は、金属部材と磁石層とを備える電気機器の製造方法であって、Fe−B合金を用いて所定の形状を有する前記金属部材を用意する工程と、前記金属部材を被処理材として用い、Ndイオンを含む溶融塩中で電解を行うことによって前記被処理材の少なくとも表面の一部に主たる構成相が正方晶Nd2Fe14B化合物相である希土類合金からなる前記磁石層を形成する工程とを包含する。
ある好ましい実施形態では、前記金属部材を用意する工程は、前記Fe−B合金の粉末を用いて成形体を作製する工程を包含する。
ある好ましい実施形態では、前記金属部材を用意する工程は、急冷法を用いて前記Fe−B合金の薄帯を形成する工程と、前記薄帯を粉砕することによって前記Fe−B合金の前記粉末を作製する工程とを更に包含する。
本発明によれば、所定の形状に加工された被処理材の少なくとも表面の一部にNd−Fe−B系合金を形成できるため、従来のように焼結磁石を加工することなしに、高性能の磁石層を備えた電気機器を簡便に製造することができる。
本発明者は、正方晶Nd2Fe14B化合物相を主体とするNd−Fe−B系合金を溶融塩電解技術によって製造する方法を提供するため、鋭意検討してきた。
一般に、Ndを溶融塩電解技術によってFe系合金の処理材に注入し、合金化させることは難しいと考えられている。そのため、これまでは、溶融塩電解技術を用いたNd−Fe−B系合金に関する研究の報告すらなされておらず、せいぜい、合金化形成速度が比較的大きいNiを電極に用いて形成されたNdNi2やNd2Ni7などのNd−Ni系合金が開示されているだけであった(非特許文献2を参照)。
このような背景のもと、本発明者は、被処理材の種類や電解条件などを種々変えて数多くの実験を重ねてきた。その結果、Fe−B合金を被処理材(陰極)として用いて陰極電解を行うことにより、所望とするNd−Fe−B系合金が形成されることを見出し、本発明に想到した。詳細な実験データは、後述する実験例において詳述する。
本発明によれば、様々な形状や大きさの被処理材の表面に希土類合金層(磁石層)を形成することができるため、例えば、複雑な形状を有するマイクロモータやマイクロアクチュエータなどのデバイスを作製するのに好適に利用される。
さらに本発明によれば、Fe−B合金の少なくとも表面の一部にNd−Fe−B系合金を形成できるため、例えば、ロータの一部に磁石層が形成されたモータを製造することが可能である。したがって、従来のように焼結磁石をマイクロモータ用の微小片に加工する必要は全くなく、加工による磁気特性の著しい低下も生じない。そのため、非特許文献1に記載されているような特別なスパッタリング装置を用いて磁気特性の低下を補填する必要もない。さらに、焼結磁石を用いる方法では、焼結磁石の厚さを約300μm以下に加工することは技術的に非常に困難であり、小型化への要請に充分応えることができなかったが、本発明によれば、電解条件を適切に制御することにより、希土類合金層の厚さを種々変化させることが可能である。
まず、図1および図2の電解装置を用いて、溶融塩電解技術による合金形成の概略を説明する。
はじめに図1を用いて、希土類元素のイオンと溶融塩とを含む電解液中で電気分解を行うことにより、被処理材(陰極)の一部に希土類合金が形成されるメカニズムを説明する。溶融塩電解技術は、溶融塩の融点以上の温度で電気分解を行う技術であり、水の電気分解と同様の電解装置が用いられる。電解装置10は、陰極(作用極)1、陽極(対極)2、および参照極(不図示)の三電極式セルと、電解浴3とから構成される。陰極1と参照極との間の電位や、セルに流れる電流は、ポテンショガルバノスタット4によって一定に保持されている。
陰極1は、希土類合金の形成が行われる作用極として機能する。陰極1には、例えば、Niなどの金属(M)5が被処理材として用いられる。
参照極は電気化学セルの電位の基準となる電極であり、Ag+/Ag電極などのような電位の安定した電極が用いられる。参照極を使用することにより、参照極と観察したい電極(ここでは陰極)との間の電位を測定、制御し、陰極(作用極)と陽極(対極)の間に流れる電流を測定することができる。
電解浴3は、溶融塩と希土類元素とを含んでいる。
溶融塩としては、LiCl、KCl、NaCl、NaF、KFなどのアルカリ金属ハライドや、CaCl2などのアルカリ土類金属ハライドが挙げられる。溶融塩には、通常、LiCl−KCl、LiCl−NaCl、NaCl−KClなどの共晶塩が用いられる。
希土類元素は、溶融塩に溶解するように、通常、希土類元素のハロゲン化物として電解浴3中に添加される。図1には、希土類元素のハロゲン化物として、Ndのハロゲン化物(NdX3、Xはハロゲンである。)を示している。NdX3は、電解浴3中でNdイオン(Nd(III))として存在する。
被処理材である金属(M)5を陰極電解することにより、希土類元素のイオン(Nd(III))は被処理材5の表面で還元されて被処理材に注入される結果、希土類合金6(MNd)が形成される。この反応は、下式(1)で表される。
M+Nd(III)+3e-→MNd・・・ (1)
希土類元素のイオンが還元されて希土類合金を形成するための電位(電解電位)は、サイクリックボルタンメトリー(CV)法を用い、参照極に対する陰極の電圧と電流とを測定したサイクリックボルタモグラムに基づいて決定される。
次に、図2の電解装置を用いて、本発明による希土類合金の製造方法の実施形態を説明する。
図2の装置は、陰極としてFe−B合金11、陽極としてグラッシーカーボン12、および参照極としてAg+/Ag電極13から構成される電解セルと、電解浴14とを備えている。電解浴14は、電解浴14の温度を測定するための熱電対15と、電解装置内を不活性雰囲気下に制御して希土類合金の酸化を防ぐためのアルゴンガス供給口16およびガス排気口17とをさらに備えている。
溶融塩電解を行うに当たっては、適切な合金化形成速度でNd−Fe−B系合金を作製できるよう、電解浴14の温度を350℃超、665℃未満の範囲に制御することが好ましい。本発明者は電解浴14の温度を変化させて実験を行ったところ、電解浴14の温度が350℃以下では合金形成化速度が著しく低下し、生産性が悪いことが判明した。一方、後記する実験例に記載したとおり、電解浴14の温度が665℃以上になると、所望とするNd−Fe−B系合金は形成され難いことも分かった。以上の実験結果にもとづき、本実施形態では、電解浴の温度を上記範囲に定めた。
電解浴14中に添加される溶融塩やNd化合物の種類は、電解浴の温度などとの関係で適切に定められる。溶融塩は、上記の温度範囲で溶融塩電解を実行できるよう、融点が上記温度範囲内にあるものを選択することが好ましい。このような溶融塩としては、例えば、LiCl−NaCl(融点約551℃〜557℃)、CaCl2−KCl(融点約594℃〜600℃)などが挙げられる。本発明者の実験によれば、LiCl−NaClを用いた場合には所望のNd−Fe−B系合金が形成された(後記する実験例を参照)が、LiCl−KCl(融点約348℃〜359℃)を用いて浴温450℃で溶融塩電解を行った場合には、Nd−Fe−B系合金はほとんど形成されなかったことを確認している。
本実施形態では、電極条件や溶融塩の種類などを適切に制御することにより、被処理材の少なくとも表面の一部のみならず、被処理材のすべてを合金化することも可能である。
電解浴の温度や溶融塩以外の電解条件は、目的とするNd−Fe−B系合金の厚さや用途などに応じて適切に定めることができる。例えば、Nd−Fe−B系合金をマイクロモータに適用する場合、Nd−Fe−B系合金の厚さが約50μm以上になるよう、電解時間などを制御することが好ましい。これにより、モータの回転に充分な磁気特性を付与することができる。
本実施形態に用いられるFe−B合金11は、例えば、メルトスピニング(MS)法やストリップキャスト(SC)法などの急冷法によって作製することが好ましい。急冷法によれば、FeとBとの組成が均一なFe−B合金の薄帯が得られる。後記する実験例では、特許文献4中のMS装置を用い、Fe−B合金を作製した。
MS法は、溶解炉内で溶融した合金溶湯を、底部に噴射ノズル(出湯ノズル)を有した容器内に注ぎ入れた後、容器内の溶湯に一定の圧力を加えることによって溶湯をノズルから冷却ロールの表面に向けて噴射させる方法である。一方、SC法では、溶解炉から合金溶湯を案内手段(シュート)上に供給し、シュート上の合金溶湯を冷却ロールと接触させることによって急冷合金を作製する。SC法ではMS法のような噴射ノズルを用いず、シュートを介して冷却ロール上への合金溶湯の連続的な供給を行うため、大量生産に適しており、製造コストの低下を実現することが可能である。
MS法やSC法の詳細は、例えば、特許文献3および特許文献4に記載された方法を参照することができる。
Fe−B合金11としては、上記の急冷法で得られる合金薄帯に限られず、粉末成形法によって作製した焼結体を用いてもよい。粉末成形法は特に限定されず、FeおよびBの構成比率が所定の組成比となるように調整した粉末をプレス成形装置を用いて圧縮成形し、所定の成形密度を有するプレス成形体を作製する。その後、所定温度で焼結する。粉末成形法によれば、Fe−B合金11を、例えば、弓形形状など任意の形状に容易に加工することができる。
Fe−B合金11におけるFeおよびBの構成比率は、FeおよびBの総元素量に対し、Fe>60原子%、B<40原子%の関係を満足することが好ましい。後記する実験例に示すように、FeおよびBの構成比率がそれぞれ、60原子%および40原子%であるFe6040合金を使用すると、所望とするNd2Fe14B化合物相がほとんど形成されず、保磁力が低下したが、FeおよびBの構成比率がそれぞれ、80原子%および20原子%であるFe8020合金を使用すると、単相のNd2Fe14B化合物相から構成されるNd−Fe−B合金が安定して形成されることが分かった。
なお、Fe−B合金の構成元素とNdとが相互拡散してNd2Fe14B化合物相を主体とするNd−Fe−B系合金が形成されるためには、Fe−B合金11におけるBの構成比率は、FeおよびBの総元素量に対し、できるだけ多い方が良い。したがって、Fe−B合金は、少なくとも、原子比率でFe:B=14:1となるよう、B≧7原子%以上、Fe≦約93原子%以下の関係を満足することが好ましい。
なお、永久磁石薄膜を用いるデバイスの機能や製造工程などの違いによっては、Feの一部が他の遷移金属に置換されていてもよい。また、遷移金属以外の元素であっても、永久磁石薄膜の磁気特性や本永久磁石薄膜を備えたデバイスの諸特性に著しい悪影響を及ぼさない限り、不純物として混入することは差しつかえない。
Fe−B合金11を所定の形状に加工し、これを被処理材として用いて前述した溶融塩電解技術を実行すれば、所定の形状に加工されたFe−B合金11の少なくとも表面の一部を合金化することができる。この方法によれば、金属部材(軟磁性体)であるFe−B合金の一部を合金化して磁石層を形成することができるため、従来のように焼結磁石を加工することなしに、ロータなどの金属部材と磁石層とが一体化された電気機器を製造することが可能である。その結果、例えば、弓形形状のロータや円筒状のロータの内外表面に磁石層を備えたモータを高い磁気特性を維持したまま、簡便に作製できる。さらに、従来の焼結磁石を加工する方法では製造が困難であった厚さが約300μm以下の磁石層を備えたマイクロモータなどを作製することも可能である。
Fe−B合金11を所定の形状に加工する方法は特に限定されず、前述したように、粉末成形法を用いて得られた成形体を焼結し、加工してもよい。あるいは、前述した急冷法によって作製したFe−B合金の薄帯を粉砕し、プレス成形して得られた成形体を焼結し、加工してもよい。
(実験例)
以下の実験では、Fe−B合金の組成比が異なる2種類の合金(Fe8020合金およびFe6040合金)を被処理材として用い、前述した図2の溶融塩電解装置を用いて以下に示す方法で溶融塩電解を行った。電解前および電解後のそれぞれの試料について、これらの形態・組成分布をEPMA分析およびFE−SEM観察によって行うとともに、結晶構造の解析をX線回折測定(XRD法)によって行った。また、電解後の各試料における磁気特性は、VSMを用いて調べた。
その結果、Fe8020合金を用いた場合は、Nd2Fe14B化合物相を主体とする高磁性のNd−Fe−B系合金薄膜が得られたが、Fe6040合金を用いた場合は、Nd2Fe14B化合物相を主体とする合金薄膜はほとんど形成されなかった。
以下、それぞれの実験工程および評価法を詳述する。
[Fe−B合金の作製]
本実験例では、図3に示すMS装置を用い、以下のようにしてFe8020合金およびFe6040合金を作製した。図3(a)は全体構成図であり、図3(b)は、一部の拡大図である。図3(a)および図3(b)は、特許文献4中の図1(a)および図1(b)に対応する。上記MS装置の詳細な説明は、特許文献4に記載されている。
まず、それぞれの合金組成となるように、純度99.5%以上のFeおよびBの原料30を用いて総量が20kgとなるように秤量し、溶解炉23内に投入した。
高周波加熱法により溶解炉23内で原料合金の溶湯(合金溶湯)を作製した後、溶解炉23を傾転し、下方に位置する貯湯容器(タンディッシュ)24に合金溶湯を注いだ。貯湯容器24は底部に内径2.0mmφの出湯ノズル25を有しているため、合金溶湯は出湯ノズル25から下方に排出される。貯湯容器24に設けられたモリブデンヒータ(加熱装置)によって溶湯温度を1250℃に調節した。原料の溶解は圧力が35kPaのアルゴン雰囲気下において行った。
合金溶湯31は、出湯ノズル25の下方15mmの位置にある銅製の回転冷却ロール27の外周面に供給され、急冷された。回転冷却ロール27は、その外周面の温度が室温程度に維持されるように内部が冷却されながら高速で回転する。このため、出湯ノズル25から出た合金溶湯31は回転冷却ロール27の周面に接触して熱を奪われつつ、周速度方向に飛ばされることになる。合金溶湯31は、出湯ノズル25を介して連続的に回転冷却ロール27の表面上に噴出するため、急冷によって凝固した合金は薄帯状に延びたリボンの形態を持つことになる。
本実験例で採用する冷却ロール法(単ロール法)の場合、冷却速度はロール周速度および単位時間当たりの溶湯流下量によって規定される。本実験例では、溶湯供給レートを約4kg/分とし、ロール表面速度(ロール周速度)を20m/秒に設定することにより、平均厚さが約60μmのFe8020合金薄帯が得られた。また、溶湯供給レートを約4kg/分とし、ロール表面速度を33m/秒に設定することにより、平均厚さが約20μmのFe6040合金薄帯が得られた。
このようにして得られたFe8020合金薄帯およびFe6040合金薄帯を図4のように編み込み、1辺が約10mmの試料を作製した。これらの試料は、後記する溶融塩電解実験において作用極として用いた。以下では、これらの試料をそれぞれ、Fe8020基板およびFe6040基板と呼ぶ場合がある。
[サイクリックボルタンメトリー(CV)法による電解電位の決定]
溶融塩電解実験を行う前に、Ndイオン(Nd(III))が還元されてNd−Fe−B系合金を形成するための電位(電解電位)を以下のようにして求めた。
まず、電解液として、無水NdCl3(0.5mol%)を含む溶融塩(LiCl−NaCl(78mol%−22mol%))を用意した。本実験例に使用した溶融塩は、上記の組成比で混合したLiCl−NaClを200℃で3日間真空乾燥し、水分を除去したものである。
上記の電解液を含む電解浴の温度(浴温)を630℃に保ち、前述した方法によって作製したFe8020基板を作用極(陰極)に用いたときのサイクリックボルタンメトリーを実施することにより、電解電位は0.30V(vs.Li/Li+)より卑な電位に設定すればNdが電析することが分かった。
本実験例では、参照極の電位を、ニッケル線にリチウムを電解によって析出させたときに示す安定な電位を基に較正した。これらの実験結果にもとづき、本実験例では電解電位を0.10V(vs.Li/Li+)に設定した。
[溶融塩電解によるNd−Fe−B合金の形成]
次に、Fe8020基板およびFe6040基板を作用極(陰極)に用い、電解浴の温度(浴温)を630℃に保ちながら、上記の電解電位で10時間電解を行うことにより、Fe−B基板の表面に電気化学的にNd原子を注入した。電解浴中に添加される溶融塩やNd化合物の種類は、前述したCV法と同じである。
電解後のそれぞれの試料は、その表面に残存する溶融塩を除去するとともに酸化防止の目的で、エチレングリコールに浸漬した。
[評価]
電解前および電解後の各試料について、これらの形態・組成分布をEPMA分析およびFE−SEM観察によって行うとともに、結晶構造の解析をX線回折測定(XRD法)によって行った。また、電解後の各試料における磁気特性は、VSMを用いて調べた。各項目の測定方法および測定結果は以下のとおりである。
以下では、説明の便宜上、電解前のFe8020基板およびFe6040基板を、それぞれ、試料1および試料2と呼び、630℃の浴温で電解した後の基板を、それぞれ、試料1(a)および試料2(a)と呼ぶ。
[EPMA分析]
まず、電解前および電解後の各試料の形態および組成分布を電子線マイクロアナライザ(EPMA)を用いて評価した。EPMA観察用の試料は、次のようにして作製した。それぞれの試料をエポキシ樹脂に含浸し表面を研磨した後、厚さ約20nmのAu蒸着を施したものをEPMA用試料とした。EPMAの加速電圧は15kVとした。照射電流は、B.E.I.(反射電子像)、S.E.I.(二次電子像)および特性X線像のいずれも、1.0nAとした。EPMA装置として、(株)島津製作所製の電子プローブマイクロアナライザー(型式:EPMA−810、1610)を使用した。凹凸の観察は主に二次電子像を用い、組成の観察は主に反射電子像を用い、元素分析は主に特性X線像を用いて行った。
EPMA分析により、電解後の試料1(a)の表面には、組成比が均質な約20μmのNd−Fe−B合金層が形成されているのに対し、試料2(a)の表面には、組成比が変動する不均質な約3μmのNd−Fe−B合金層が形成されていることが分かる。電解前の試料1および試料2については、EPMA分析による組成の差は見られなかった。以下、図5から図9を参照しながら、詳細に説明する。
まず、電解前の試料1および試料2について検討する。図5(a)および(b)は、試料1および試料2の表面におけるEPMAによる二次電子像(S.E.I)および特性X線像(FeKαおよびBKα)を示す写真である。
図5(a)および(b)に示す二次電子像(S.E.I)より、試料1および試料2のいずれの表面にも凹凸が見られたが、いずれの試料も、おおむね、均一な組成を有していることが分かる(図5(a)および(b)に示す特性X線像を参照)。このようにEPMA分析による組成分析では、試料1と試料2との間で顕著な差は見られなかった。
次に、図6から図7を用いて電解後の試料1(a)におけるEPMA分析結果を、図8から図9を用いて電解後の試料2(a)におけるEPMA分析結果を、それぞれ、説明する。
まず、試料1(a)について説明する。以下に詳述するとおり、試料1(a)の表面には組成比が一定のNd−Fe−B合金層が約20μmの厚さで形成されていることが分かる。
図6(a)は、試料1(a)の表面におけるEPMAによる二次電子像(S.E.I)および特性X線像(NdLα、FeKα、およびBKα)を示す写真である。さらに、試料1(a)の断面における結果を図6(b)に示す。
図6(a)に示す二次電子像(S.E.I)より、試料1の表面は、ややポーラスで緻密性にやや欠けるが、均一な組成を有していることが分かる(図6(a)および(b)に示す特性X線像を参照)。また、図6(b)に示す反射電子像(B.E.I)および特性X線像(NdLα)より、Fe8020基板の表面は、約20μmのNd−Fe−B合金層を有していることが確認された。この合金層は、合金化されていないFe−B基板との界面における密着性に優れている(図6(b)に示す反射電子像(B.E.I)を参照)。
さらに、Nd−Fe−B合金層における組成比をZAF法によって定量分析した結果、組成比はNd14.1Fe76.96.9であった。定量分析は、Fe8020基板とNd−Fe−B合金層との界面に近い緻密な部分について行った。ZAF法(ZAF補正計算法)は、EPMAのX線強度に影響を及ぼす3つの要素、すなわち、原子番号効果(Z)、吸収効果(A)、および蛍光励起効果(F)を所定の補正係数に基づいて算出することによって元素の含有比率を算出する方法である。ZAF法によって得られたNd−Fe−B合金層の組成比(Nd14.1Fe76.96.9)は、所望とするNd2Fe14B化合物相の化学量論比に近似しているが、Nd2Fe14B化合物相に比べるとNdおよびBの含有比率がやや多い。
さらに、試料1(a)の断面におけるEPMAによるラインプロファイルを図7(b)に示す。横軸は走査距離(表面からの距離)であり、縦軸は特性X線の強度である。参考までに、図6(b)に示す反射電子像(B.E.I)を図7(a)に示す。
図7(b)より、試料1(a)には、ClおよびO(酸素)を若干含有するが、組成比が一定のNd−Fe−B合金層が安定して形成されていることが分かる。また、界面付近におけるNdおよびFeの勾配は非常に急峻である(図7(b)を参照)。このことは、上記のNd−Fe−B合金層以外の合金層は作製されていないことを示唆している。
以上の一連の実験データより、試料1(a)の表面には組成比が一定のNd−Fe−B合金層が約20μmの厚さで安定して形成されていることが分かった。
次に、試料2(a)について説明する。以下に詳述するとおり、試料2(a)の表面には組成比が変動する不均質なNd−Fe−B合金層が約3μmの厚さで形成されていることが分かる。
図8(a)は、試料2(a)の表面におけるEPMAによる二次電子像(S.E.I)および特性X線像(NdLα、FeKα、およびBKα)を示す写真である。さらに、試料2(a)の断面における結果を図8(b)に示す。
図8(b)に示す反射電子像(B.E.I)および特性X線像(NdLα)より、試料2では、Fe6040基板の表面に約3μmのNd−Fe−B合金層が形成されていることが確認されたが、合金層の表面に存在するNdおよびFeの分布にバラツキ(ムラ)が見られた(図8(a)に示す特性X線像(NdLαおよびFeKα)を参照)。
次に、図8(a)に示す特性X線像(NdLα)において、白い部分(Nd含有量が多い部分)および黒い部分(Nd含有量が少ない部分)をZAF法によって定量分析したところ、Nd8.8Fe47.430.1およびFe41.910.9であった。このことから、試料2(a)の表面には、おおむね、所望とするNd2Fe14B化合物相に比べてB量が多いNd1.1Fe44化合物とFe4B化合物とを含む合金層が形成されていると考えられる。この合金層は、Fe−B基板との界面における密着性に劣っていることも分かった(図8(b)に示す反射電子像(B.E.I)を参照)。
さらに、試料2(a)の断面におけるEPMAによるラインプロファイルを図9(b)に示す。参考までに、図8(b)に示す反射電子像(B.E.I)を図9(a)に示す。
図9(b)より、試料2(a)には、試料1(a)に比べて多量のClおよびOを含み、Fe−B基板の深さ方向に沿って組成比が変動する不均質なNd−Fe−B合金層が形成されていることが分かる。
以上の一連の実験データより、試料2(a)の表面には、組成比が変動する不均質なNd−Fe−B合金層が約3μmの厚さで形成されていることが分かった。
[X線回折測定]
次に、各試料の結晶構造をX線回折法(XRD法)で評価した。本実験例では、リガク社製の粉末X線回折装置(型式:RINT−2400)を用いた。X線回折の測定には、図4に示すように編みこんだ試料をそのまま用いた。ターゲットにはCuを用い、X線源はCu−Kα線を用いた。スキャンスピードは4.0°/min、サンプリング幅は0.02°、測定範囲は20〜70°とした。
その結果、電解後の試料1(a)の表面には、単相のNd2Fe14B化合物相からなる合金層が安定して形成されているのに対し、電解後の試料2(a)の表面には、Nd2Fe14B化合物相を含む合金層はほとんど形成されないことが分かった。以下、図10(a)および(b)を参照しながら、試料1(a)と試料2(a)との結晶構造の違いを説明する。
図10(a)および(b)は、試料1(a)および試料2(a)の結晶構造をXRD法で評価した結果を示す図である。図10(a)および(b)には、電解前の試料1および試料2における評価結果も併記している。
まず、図10(a)を参照する。電解前の試料1には、Fe(図中、△)のほか、Fe2B(図中、◇)や結晶構造が不明な化合物(図中、×)に帰属される回折ピークの強度が検出され、結晶化していると考えられるが、詳細な結晶構造は同定できなかった。これに対し、電解後の試料1(a)は、Nd23化合物に帰属される回折ピーク(図中、□)の強度が若干検出されたこと以外、ほぼ単相のNd2Fe14B化合物相(図中、●)を有している。前述したZAF法の結果に基づけば、試料1(a)には、Nd2Fe14B型化合物とは異なる第2の化合物相が存在すると予想されたが、XRD法による結晶構造解析では、このような第2の化合物相を検出できなかった。したがって、試料1(a)の表面には、単相のNd2Fe14B型化合物相が形成されていると結論付けられる。
これらの結果より、Fe8020基板を陰極に用い、電解浴の温度を630℃に保ちながら陰極電解すると、電解と同時に上記基板の構成元素とNdの相互拡散による合金化反応が進行し、単相のNd2Fe14B化合物相からなる合金層が安定して形成されると考えられる。
次に、図10(b)を参照する。電解前の試料2には、回折ピークはほとんど見られず、わずかに、Fe(図中、△)や結晶構造が不明な化合物(図中、×)が観察された。したがって、電解前の試料2は、アモルファス構造を有していると考えられる。これに対し、電解後の試料2(a)は、主に、Nd1.1Fe44化合物(図中、○)から形成される結晶構造を有している。試料2(a)には、Nd2Fe14B化合物はほとんど検出されなかった。この結果は、前述したZAF法の結果とほぼ一致している。
これらの結果より、Fe6040基板を陰極に用いて陰極電解した場合には、Nd2Fe14B化合物相を含む合金層はほとんど形成されないことが確認された。
[FE−SEMによる断面観察]
次に、試料1について、電解前および電解後における膜断面の組織を電界放射型走査電子顕微鏡(FE−SEM、日立社製「S−4300」)を用いて観察した。これらの結果を図11(a)および(b)に示す。
図11(a)に示すように、電解前の試料1には、粒径が非常に小さい微細結晶が観察された。この結晶構造は、前述したXRD法によっても同定できなかった(図10(a)を参照)。
一方、電解後の試料1(a)では、図11(b)に示すように、1辺が約1μmから3μmの比較的大きな直方体状の結晶がランダムに形成されている。前述した図10(a)に示すXRD法の測定結果を考慮すると、この直方体状結晶は、Nd2Fe14B化合物相であると考えられる。
[磁気特性]
次に、試料1(a)および試料2(a)の磁気特性を調べた。測定試料として、各試料を5×5mmに切断し、3T以上のパルス磁界で着磁したものを用意した。それぞれの試料について、試料振動型磁力計(VSM、東英工業製「VSM−5−20」)を用いて膜面内方向の磁化曲線を測定した。測定は、最大1.6MA/mの印加磁界のもとで行った。
試料1(a)および試料2(a)の磁化曲線を図12(a)および(b)に示す。
これらの磁化曲線を比較すると明らかなように、膜面内方向の磁化曲線の角型性は、試料2(a)よりも試料1(a)のほうが良好である。試料1(a)は、Nd2Fe14B化合物に起因すると推定される約66kA/m(約0.8kOe)の保磁力を有している。
以上、図5から図12に示す一連の実験結果より、Fe8020合金を用い、電解浴温度を630℃に保ちながら、電解電位0.10V(Li/Li+)で10時間電解することにより、Nd2Fe14B化合物相を主体とする高磁性のNd−Fe−B系合金薄膜を作製できることが分かった。これに対し、Fe6040合金を用い、上記と同様にして溶融塩電解を行っても、所望とするNd−Fe−B系合金薄膜は得られなかった。
さらに、電解浴の温度による合金形成に及ぼす影響を調べる目的で、Fe8020基板およびFe6040基板を用い、電解浴温度を630℃から665℃に高めて上記と同様にして陰極電解を行った。電解後の各基板について、上記と同様にして評価を行った結果、いずれも、Nd−Fe−B系合金はほとんど形成されなかった(図示せず)。
したがって、Fe8020基板およびFe6040基板を用い、電解浴温度を665℃に保ちながら、電解電位0.10V(Li/Li+)で10時間電解した場合には、所望とするNd−Fe−B系合金薄膜を作製できないことが分かる。
なお、本実験例では、被処理材としてFe−B合金を用いて溶融塩電解を行ったが、Fe−B合金の代わりにFeを用い、電解浴温度を630℃に保ちながら、上記と同様の方法によって溶融塩電解を行うと、Nd2Fe17合金が形成されることを確認している。
本発明の方法によって製造された希土類合金は、マイクロモータやマイクロアクチュエータ、センサー、磁気記録媒体などに好適に用いられる。
溶融塩電解技術による合金形成の概略を説明するための図である。 本発明の実施形態に用いられる溶融塩電解装置の概略を示す図である。 本実施形態の実験例に用いられるMS装置であり、(a)は全体構成図であり、(b)は、一部の拡大図である。 本実験例に用いられるFe8020合金薄帯およびFe6040合金薄帯の概略を示す写真である。 (a)は、電解を行う前の試料1の表面におけるEPMAによる二次電子像(S.E.I)および特性X線像(FeKαおよびBKα)を示す写真である。(b)は、電解を行う前の試料2の表面におけるEPMAによる二次電子像(S.E.I)および特性X線像(FeKαおよびBKα)を示す写真である。 (a)は、電解を行った後の試料1(a)の表面におけるEPMAによる二次電子像(S.E.I)および特性X線像(NdLα、FeKα、およびBKα)を示す写真である。(b)は、電解を行った後の試料1(a)の断面におけるEPMAによる反射電子像(B.E.I)および特性X線像(NdLα、FeKα、およびBKα)を示す写真である。 (a)は、試料1(a)の断面におけるEPMAによる二次電子像(S.E.I)を示す写真であり、(b)は、試料1(a)の断面におけるEPMAによるラインプロファイルを示す図である。 (a)は、電解を行った後の試料2(a)の表面におけるEPMAによる二次電子像(S.E.I)および特性X線像(NdLα、FeKα、およびBKα)を示す写真である。(b)は、電解を行った後の試料2(a)の断面におけるEPMAによる反射電子像(B.E.I)および特性X線像(NdLα、FeKα、およびBKα)を示す写真である。 (a)は、試料2(a)の断面におけるEPMAによる二次電子像(S.E.I)を示す写真であり、(b)は、試料2(a)の断面におけるEPMAによるラインプロファイルを示す図である。 (a)は、試料1(a)の結晶構造をXRD法で評価した結果を示す図であり、(b)は、試料2(a)の結晶構造をXRD法で評価した結果を示す図である。 (a)は、電解前の試料1のFE−SEMによる破断面の組織を示す写真であり、(b)は、電解後の試料1(a)のFE−SEMによる破断面の組織を示す写真である。 (a)は、試料1(a)の磁化曲線を示すグラフであり、(b)は、試料2(a)の磁化曲線を示すグラフである。
符号の説明
1 陰極(作用極)
2 陽極(対極)
3 電解浴
4 ポテンショガルバノスタット
5 被処理材
6 希土類合金
10 電解装置
11 Fe−B合金
12 グラッシーカーボン
13 Ag+/Ag電極
14 電解浴
15 熱電対
16 アルゴンガス供給口
17 ガス排気口
21b、22b、および28b 雰囲気ガス供給口
21a、22a、および28a ガス排気口
21 溶解室
22 急冷室
23 溶解炉
24 貯湯容器
25 出湯ノズル
26 ロート
27 回転冷却ロール
31 溶湯
32 合金薄帯

Claims (12)

  1. Fe−B合金を用意する工程(a)と、
    前記Fe−B合金を被処理材として用い、Ndイオンを含む溶融塩中で電解を行うことによって前記被処理材の少なくとも表面の一部に主たる構成相が正方晶Nd2Fe14B化合物相である希土類合金を形成する工程(b)と、
    を包含する希土類合金の製造方法。
  2. 前記工程(b)は、350℃以上、665℃未満の温度で行う請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記工程(b)において、前記溶融塩はアルカリ金属ハライドまたはアルカリ土類金属ハライドである請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 前記溶融塩はLiCl−NaClである請求項3に記載の製造方法。
  5. 前記工程(b)において、前記Ndの供給源はNdのハロゲン化物である請求項1から4のいずれかに記載の製造方法。
  6. 前記工程(a)において、前記Fe−B合金に含まれるBの比率は、FeおよびBの総元素量に対して40原子%未満である請求項1から5のいずれかに記載の製造方法。
  7. 前記工程(a)において、前記Fe−B合金に含まれるBの比率は、FeおよびBの総元素量に対して7原子%以上である請求項1から6のいずれかに記載の製造方法。
  8. 前記工程(a)は、急冷法を用いてFe−B合金を作製する工程を含む請求項1から7のいずれかに記載の製造方法。
  9. 少なくとも表面の一部に、溶融塩電解によって形成された正方晶Nd2Fe14B化合物相を主たる構成相として含む希土類合金。
  10. 金属部材と磁石層とを備える電気機器の製造方法であって、
    Fe−B合金を用いて所定の形状を有する前記金属部材を用意する工程と、
    前記金属部材を被処理材として用い、Ndイオンを含む溶融塩中で電解を行うことによって前記被処理材の少なくとも表面の一部に主たる構成相が正方晶Nd2Fe14B化合物相である希土類合金からなる前記磁石層を形成する工程と、
    を包含する、電気機器の製造方法。
  11. 前記金属部材を用意する工程は、前記Fe−B合金の粉末を用いて成形体を作製する工程を包含する請求項10に記載の製造方法。
  12. 前記金属部材を用意する工程は、
    急冷法を用いて前記Fe−B合金の薄帯を形成する工程と、
    前記薄帯を粉砕することによって前記Fe−B合金の前記粉末を作製する工程と、
    を更に包含する請求項11に記載の製造方法。
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