JP2004014906A - ナノコンポジットバルク磁石およびその製造方法 - Google Patents

ナノコンポジットバルク磁石およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】バルク成形体の密度が高く、且つ、耐食性に優れたR−Fe−B系のナノコンポジットバルク磁石の製造方法を提供する。
【解決手段】粒径が53μm以下の第1粒子を10質量%以上含む、R−Fe−B系のナノコンポジット磁石用急冷合金粉末を準備する工程と、前記急冷合金粉末を熱間成形することによってバルク成形体を得る工程とを包含する。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、R−Fe−B系のナノコンポジット急冷合金から作製されるバルク磁石およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
R−Fe−B系永久磁石は、種々の磁石のなかで最大磁気エネルギー積が最も高く、種々の用途に利用されている。
【0003】
R−Fe−B系永久磁石は、メルトスピニング法などの急冷法を用いて作製された急冷合金を粉砕して得られる急冷合金粉末を結合剤と混合したボンド磁石として用いられる。しかしながら、ボンド磁石では、急冷合金粉末の体積分率を80%以上に高めることが難しいため、磁気特性が制限される。
【0004】
ボンド磁石よりも急冷合金粉末の体積分率が高い磁石として、バルク磁石(「フルデンス磁石」と呼ばれることもある)が知られている。例えば、R−Fe−B系バルク磁石として、MQI社から、MQ2(等方性磁石)およびMQ3(異方性磁石)が市販されている。これらのバルク磁石は、磁性相としてNdFe14B型結晶構造を有する硬磁性相だけを有し、急冷合金粉末を熱間成形(例えばホットプレス)などの方法で高密度化することにより製造される。
【0005】
一方、近年、いわゆるナノコンポジット磁石(「交換スプリング磁石」または単に「スプリング磁石」と呼ばれることもある。)の高性能化が進んでいる。ナノコンポジット磁石は、NdFe14B相などの硬磁性相と、α−Fe相や鉄基硼化物相(例えば、FeB相やFe23相)などの軟磁性相とが、ナノメートルオーダーで組織を形成した磁石であり、高い磁化を得ることができる。本明細書において、硬磁性相として、少なくともNdFe14B型結晶構造を有する硬磁性相を含み、α−Fe相や鉄基硼化物相などの少なくとも1種の軟磁性相を含むナノコンポジット磁石をR−Fe−B系ナノコンポジット磁石ということにする。R−Fe−B系ナノコンポジット磁石も、メルトスピニングなどの急冷法を用いて作製された急冷合金を粉砕して得られる急冷合金粉末から製造される。なお、ナノコンポジットバルク磁石は、その原料である急冷合金粉末がナノコンポジット組織を有している必要はなく、最終的なバルク成形体がナノコンポジット組織を有していれば良い。本明細書において、最終的にナノコンポジット磁石となり得る急冷合金粉末のことを「ナノコンポジット磁石用急冷合金粉末」と呼ぶことがある。
【0006】
R−Fe−B系ナノコンポジット磁石は、MQ粉に代表される従来のR−Fe−B系永久磁石よりも希土類元素の含有率が低く(典型的には10原子%未満)、そのために比較的安価であるという利点がある。また、従来のR−Fe−B系永久磁石では、NdFe14B相の粒界にNdに富んだ相(すなわち、NdFe14B相の化学量論組成よりもNdの含有率の高い相)が存在するのに対し、R−Fe−B系ナノコンポジット磁石には、このような希土類元素の含有率が高い相が存在しないので、磁石自身の耐食性が比較的優れるという利点を有している。従って、R−Fe−B系ナノコンポジット磁石は、従来のR−Fe−B系永久磁石よりも簡易な表面処理でも十分な耐食性を得ることができると期待される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、R−Fe−B系ナノコンポジット磁石のバルク磁石は、まだ市販されるに至っていない。
【0008】
その主な原因の一つは、ナノコンポジット磁石用急冷合金粉末を用いて十分に緻密なバルク成形体を形成することが困難なことにある。これは、従来のR−Fe−B系永久磁石の製造過程においては、上述した希土類元素の含有率が高い相が熱間成形時に液相となり、この液相がバルク成形体の緻密化に寄与するのに対し、R−Fe−B系ナノコンポジット磁石の製造過程においては液相が形成されないためと考えられる。
【0009】
さらに、ナノコンポジット磁石用急冷合金粉末を用いてある程度の密度のバルク成形体が得られても、バルク成形体の表面に多くの空隙や孔が形成されると、バルク成形体に表面処理を施して表面に被膜を形成しても、耐食性を十分に向上できないことがある。これは、単純にバルク成形体の密度の問題ではなく、空隙や孔の分布に依存することを種々の実験から見出した。
【0010】
本発明はかかる諸点に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、R−Fe−B系ナノコンポジット磁石のバルク成形体の密度を向上させるとともに、耐食性に優れたR−Fe−B系のナノコンポジットバルク磁石およびその製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明によるバルク磁石の製造方法は、少なくとも1種の硬磁性相および少なくとも1種の軟磁性相を有するナノコンポジットバルク磁石の製造方法であって、粒径が53μm以下の第1粒子を10質量%以上含む、R−Fe−B系の急冷合金粉末を準備する工程と、前記急冷合金粉末を熱間成形することによってバルク成形体を得る工程とを包含することを特徴とする。
【0012】
前記急冷合金粉末は、粒径が106μm超の第2粒子を含み、前記第2粒子のうちの個数百分率で60%以上の粒子のアスペクト比が0.4以上であることが好ましい。
【0013】
ある好ましい実施形態において、前記急冷合金粉末を準備する工程は、合金溶湯を急冷することによって、厚さが60μm以上300μm以下の急冷合金を作製する工程と、前記急冷合金を粉砕する工程とを包含する。
【0014】
前記急冷合金粉末の質量基準の粒度分布は、少なくとも2つのピークを有し、前記少なくとも2つのピークは、106μm以下にある少なくとも1つのピークを含むことが好ましい。
【0015】
ある実施形態において、前記バルク成形体はα−Fe相を含む。あるいは、前記バルク成形体は鉄基硼化物相を含んでもよい。
【0016】
ある好ましい実施形態において、前記バルク成形体に表面処理を行う工程をさらに包含する。
【0017】
本発明によるバルク磁石は、上記のいずれかの製造方法によって製造されることを特徴とする。
【0018】
好ましい実施形態において、バルク磁石は、バルク成形体と、前記バルク成形体の表面に形成された被膜とを有する。前記被膜の厚さは5μm以下であることが好ましい。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明のナノコンポジットバルク磁石の製造方法は、粒径が53μm以下の第1粒子を10質量%以上含むR−Fe−B系ナノコンポジット磁石用急冷合金粉末を準備する工程と、この急冷合金粉末を熱間成形することによってバルク成形体を得る工程とを包含する。
【0020】
本発明に用いられるR−Fe−B系ナノコンポジット磁石用急冷合金粉末としては、希土類元素(イットリウムを含む)から選ばれる少なくとも1種の元素、鉄または鉄と他の遷移金属元素と、硼素または硼素と炭素とを主成分とし、希土類元素の含有率が10原子%未満のものを好適に用いることができる。
【0021】
さらに、本発明に用いられるR−Fe−B系ナノコンポジット磁石用急冷合金粉末は、所定の組成の希土類合金の溶湯をメルトスピニング法などの急冷法を用いて作製された急冷合金粉末を加熱処理することによって製造されるものが好ましい。最終的なバルク磁石における組織は、平均結晶粒径が500nm以下の硬磁性相と軟磁性相とを有するナノコンポジット組織を形成していることが好ましい。
【0022】
最終的なバルク磁石における硬磁性相は、NdFe14B型結晶構造を有する硬磁性相(簡単のために単に「NdFe14B相」ということもある。)であり、軟磁性相は、α−Fe相および/または鉄基硼化物相(例えば、FeB相やFe23相)などである。
【0023】
ここで、軟磁性相として結晶化によって鉄基硼化物相を形成する材料を用いる場合、結晶化が進んだ合金粉末を用いてバルク成形体を形成すると、緻密化の困難さに起因して、表面の空隙を減少させることが困難となるので、非晶質を含む合金粉末(例えば、非晶質の体積%が30%以上)を用いることが好ましい。
【0024】
このような急冷合金粉末の組成は、組成式T100−x−y(Tは、Feまたは、CoおよびNiからなる群から選択された少なくとも1種の元素とFeとを含む遷移金属元素、QはBおよびCからなる群から選択されたすくなくとも1種の元素、Rは希土類元素(Yを含む)の内でLaおよびCeを実質的に含まない少なくとも1種の希土類金属元素)で表され、組成比率xおよびyが、それぞれ、10原子%≦x≦30原子%、1原子%≦y<10原子%を満足するものであることが好ましく、さらに、10原子%≦x≦20原子%、3原子%≦y<10原子%を満足することが好ましい。なお、上記組成式では省略したが、全体の10原子%以下の範囲でFeの一部をAl、Si、Ti、V、Cr、Mn、Cu、Ga、Zn、Nb、Mo、Hf、Ta、W、Pt、Pb、Auからなる群から選択される少なくとも1種の元素などで置換してもよく、また、不可避不純物を含むことがある。
【0025】
一方、軟磁性相として結晶化によってα−Fe相を形成する材料は、α−Fe相がバルク成形体の緻密化に寄与するため、本発明により好適に用いることができる。
【0026】
このような急冷合金粉末の組成は、組成式T100−x−y(Tは、Feまたは、CoおよびNiからなる群から選択された少なくとも1種の元素とFeとを含む遷移金属元素、QはBおよびCからなる群から選択されたすくなくとも1種の元素、Rは希土類元素(Yを含む)の内でLaおよびCeを実質的に含まない少なくとも1種の希土類金属元素)で表され、組成比率xおよびyが、それぞれ、3原子%≦x<10原子%、5原子%≦y≦11原子%を満足するものであることが好ましく、さらに、5原子%≦x<10原子%、6原子%≦y≦10原子%を満足することが好ましい。なお、上記組成式では省略したが、全体の10原子%以下の範囲でFeの一部をAl、Si、Ti、V、Cr、Mn、Cu、Ga、Zn、Nb、Mo、Hf、Ta、W、Pt、Pb、Auからなる群から選択される少なくとも1種の元素などで置換してもよく、また、不可避不純物を含むことがある。
【0027】
さらに、硬磁性相の体積比率が小さい場合、めっきなどによって硬磁性相が優先的に腐食され、ナノコンポジット磁石の磁気特性の発現に必要な、硬磁性相と軟磁性相との間の交換相互作用が十分に得られなくなるので、本発明の効果は、硬磁性相の体積比率が高い(例えば、60%以上)ナノコンポジット磁石において顕著に得られる。
【0028】
以上の観点から、本発明に用いられるR−Fe−B系ナノコンポジット磁石用急冷合金粉末の組成としては、上記組成式において、5原子%≦x≦15原子%、5原子%≦y<10原子%を満足するものが好ましく、軟磁性相が主にα−Fe相を含むナノコンポジット磁石が得られる、5原子%≦x<10原子%、6原子%≦y<8原子%、の範囲にあるものがさらに好ましい。
【0029】
上述の組成を有し、最終的に上述の組織を形成するナノコンポジット磁石用急冷合金粉末が、粒径が53μm以下の第1粒子を10質量%以上含むように調整する。これは、急冷法によって得られた急冷合金を、必要に応じて、粉砕および/または分級などによって粒度分布を調節することによって得られる。
【0030】
バルク成形体の作製に供される急冷合金粉末に、粒径が53μm以下の第1粒子を10質量%以上含ませることによって、バルク成形体の密度を高めることが出来るとともに、バルク成形体中に形成される空隙(孔を含む)の分布が均一となり、バルク成形体の表面に形成される空隙が少なく且つ小さくなる。その結果、バルク成形体に表面処理を施し被膜を形成することによって、耐食性に優れたバルク磁石が得られる。
【0031】
特に、本発明によるバルク磁石にめっき法や電着塗装法等の湿式表面処理法を用いて被膜を形成する場合、バルク成形体の表面に形成される空隙が少なく且つ小さいので、処理液が被膜の下に残存することによる耐食性の低下の問題が抑制される。樹脂塗装法を用いる場合には、空隙に残存する溶剤が蒸発する際に被膜にピンホールが形成されることが抑制される。また、蒸着法などの薄膜堆積法を採用する場合には、バルク成形体の空隙部分における被覆不良によって被膜にピンホールが形成されることが抑制される。
【0032】
本発明に用いる急冷合金粉末は、粒径が106μm超の第2粒子を含み、第2粒子のうちの個数百分率で60%以上の粒子のアスペクト比が0.4以上であることが好ましい。以下にこの理由を説明する。
【0033】
MQ粉に代表される従来のR−Fe−B系急冷合金粉末は、アスペクト比(短軸の長/長軸の長さ)が0.3未満であったが、熱間成形過程で液相を形成するため、十分に緻密なバルク成形体が得られた。すなわち、従来のR−Fe−B系バルク磁石の製造においては、その原料となる急冷合金粉末のアスペクト比は緻密性を向上させる重要な因子ではなかった。しかしながら、上述したように、ナノコンポジット磁石用急冷合金粉末は、熱間成形過程で液相を形成しないため、アスペクト比が緻密性に影響することがわかった。
【0034】
そこで、種々検討した結果、急冷合金粉末に含まれる粒径が106μm超の第2粒子のうちの個数百分率で60%以上の粒子のアスペクト比が0.4以上となるように調整することによって、緻密性を向上できることがわかった。粒径が106μm超の粒子にアスペクト比が0.4以上の粒子を含ませると、圧粉体(粉末成形体)中に形成される空隙の分布が均一になり、この空隙に、上述の第1粒子が分配される結果、熱間成形によってより緻密なバルク成形体が得られるものと考えられる。さらに、第2粒子の70%以上の粒子のアスペクト比が0.4以上であることがより好ましい。
【0035】
なお、急冷合金粉末中の粒径が106μm超の第2粒子のアスペクト比は、JIS8801準拠のふるいを用いて、粒径が106μm以下の粒子を取り除いた後、電子顕微鏡など、粒子形状がわかる装置を用いて、個々の粒子のアスペクト比を計測し、(アスペクト比が0.4以上の粒子数/計測した粒子の総数)から求めた。
【0036】
なお、急冷合金粉末の平均粒径は、緻密性の観点から、300μm以下が好ましく、50μm以上200μm以下の範囲にあることがさらに好ましい。また、急冷合金粉末の95質量%以上の粒径が300μm以下であることが好ましい。
【0037】
また、急冷合金粉末の質量基準の粒度分布が少なくとも2つのピークを有し、そのうちの少なくとも一方が106μm以下にあるように、粒度分布を調整すると、緻密性をさらに向上することが出来る。なお、質量基準の粒度分布は、JIS8801準拠のふるいを用いて求める。
【0038】
上述のようなアスペクト比の粒子を含む急冷合金粉末は、メルトスピニング法やストリップキャスト法を用いて、合金溶湯を急冷することによって、厚さが60μm以上300μm以下の急冷合金を作製し、得られた急冷合金を粉砕することによって、効率的に作製することができる。なお、粒径が小さなものほどアスペクト比が大きくなる傾向にあるので、106μm超の粒子の60%(個数百分率)の以上の粒子のアスペクト比が0.4以上となるように粉砕すれば、106μm以下の粒子の60%(個数百分率)超の粒子のアスペクト比が0.4以上となる。粉砕は、例えば、パワーミル装置で粒径が約850μm以下となるまで急冷合金を粗粉砕した後、ピンディスクミル装置によって粒径が約150μm〜約300μmとなるまで粉砕する。
【0039】
また、ガスアトマイズ法を用いてナノコンポジット磁石用急冷合金粉末を作製してもよい。ガスアトマイズ法を用いて合金溶湯から合金粉末を作製する場合は、急冷によって、アスペクト比が0.4以上の粒状の粉末粒子が得られるため、その後に粉砕工程を別途行う必要は無い。なおガスアトマイズ法による場合は、冷却が粉末粒子の内部にまで均質に達成されるように粉末粒子のサイズを150μm以下に調節することが好ましい。
【0040】
なお、バルク成形体の形成に供される急冷合金粉末は、急冷したものをそのまま用いても良いし、適宜、結晶化のための熱処理を施してから用いても良い。粉砕や粒度調整は、熱処理の前でも後でも良い。また、熱処理を施した粉末と熱処理を施していない粉末とを混合して用いても良い。
【0041】
上述のように準備したナノコンポジット磁石用急冷合金粉末を熱間成形することによって、バルク成形体を作製する。このとき、急冷合金粉末に、10体積%未満の金属粉末(例えば、Al)や無機粉末(例えば、ガラス、酸化ケイ素)を混合しても良い。
【0042】
熱間成形の方法としては、放電プラズマ焼結法やホットプレス法などを採用することができる。また、目的とするバルク成形体の形状に応じて、圧縮成形、押出し成形などを適宜併用することができる。
【0043】
放電プラズマ焼結法は、例えば、図1に示す放電プラズマ焼結装置を用いて実行することができる。
【0044】
この装置は、水冷チャンバ26と、その内部に位置する焼結ダイス27と、この焼結ダイス27内の粉体に圧力を与えるための上部パンチ28aおよび下部パンチ28bとを備えている。上部パンチ28aおよび下部パンチ28bは、特殊加圧機構29によって押圧されるとともに、特殊焼結電源31によって粉体に通電を行うことができるように構成されている。特殊焼結電源31は、上部パンチ電極30aおよび下部パンチ電極30bを介して、ダイス27内の粉体に電力を投じ、放電プラズマを形成する。特殊加圧機構29および特殊焼結電源31は制御装置32によって制御される。焼結ダイス27、上部パンチ28aおよび下部パンチ28bの材料としては、カーボン、超硬合金などの公知の材料を用いることが出来る。
【0045】
このような装置を用いて行う放電プラズマ焼結法では、直流電流とパルス電流列とを重ねて流し、それによって、アーク放電に移行する直前の過度アーク放電現象を利用するため、加圧下で効果的な焼結を行うことができる。より詳しくは、圧粉体粒子間隙に直接パルス状の電気エネルギーを投入し、火花放電によって瞬時に発生する高温プラズマのエネルギーを焼結に利用する。そのため、急速昇温が可能であり、原料粉末の粒成長を制御しやすい。このように放電プラズマ焼結法は、短時間で緻密な焼結体を形成するのに適しているため、本発明のようにナノコンポジットバルク成形体を作製する上で好適である。
【0046】
このような装置によって10MPa以上の圧力を急冷合金粉末に印加すれば、400℃〜850℃程度の焼結温度で良質のバルク成形体を得ることができる。最適な圧力範囲は、急冷合金粉末の組成によって異なるが、50MPa以上500MPa以下の範囲にあることが好ましい。
【0047】
本発明では、上述のような急冷合金粉末を用いているので、合金真密度の90%以上の密度を有するバルク成形体を得ることができ、さらに、バルク成形体の表面に形成される孔は少なく且つ小さい。従って、このようにして得られたバルク成形体に表面処理を行うことによって、耐食性に優れたバルク磁石が得られる。
【0048】
なお、熱間押出し成形法などを用いて、バルク成形体に塑性加工を施すことにより、磁気異方性を付与することができる。また、バルク成形体にさらに熱処理を施すことによって、磁気特性を最適化してもよい。さらに、最終的に必要とされる寸法精度を得たり、あるいは、バルク成形体の表面の酸化層を除去するために、研削などの種々の加工を施しても良い。
【0049】
表面処理方法としては、公知の方法を広く用いることができる。表面処理によって形成される保護膜は、無機材料(金属、セラミック、無機高分子など)でも有機材料(低分子、高分子など)や無機・有機複合材料を用いることもできる。これらの保護膜は、用いる材料に応じて、種々の方法で形成することができる。
【0050】
例えば、金属膜は、めっき法(電解めっきおよび無電解めっき法など)や種々の薄膜堆積技術(真空蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタ法、イオンビーム法など)さらに、SnやZnなどの低融点の溶融金属に浸漬し冷却する方法などを採用することができる。金属被膜としては、アルミニウム、チタニウム、ニッケル、銅、クロムおよびこれらを含む合金を用いて形成することが好ましく、バルク磁石を装置に固定する際に用いる接着剤との接着性、表面清浄性など、用途に応じて適宜選択すればよい。
【0051】
セラミックス材料の膜は、金属膜と同様に薄膜堆積技術を用いて形成しても良いし、ゾルゲル法を利用する場合の処理液やアルカリ珪酸塩水溶液などを使用し、ディッピング法やスプレー法などを用いて形成しても良い。また、電気泳動電着法などを採用しても良い。
【0052】
樹脂膜は、有機高分子材料を用いて、電着塗装、スプレー塗装、静電塗装、ディップ塗装、ロールコート法などの種々の方法を用いて形成できる。また、同様の方法で、無機高分子材料(例えばシリコーン樹脂)の膜を形成することもできる。
【0053】
また、カップリング剤(シラン系、チタネート系、アルミネート系、ジルコネート系など)やベンゾトリアゾールなどの低分子量有機材料を用いて保護膜を形成することもできる。これらの低分子有機材料は、溶液としてバルク成形体に種々の方法で付与することができる。
【0054】
また、種々の方法で微粒子を被着(堆積)することによって保護膜を形成することもできる。微粒子としては、Al、Zn、Ni、Cu、Fe,Co,Sn,Pb,Au,Agなどの金属微粒子、SiO、Al、ZrO、MgO、TiO、ムライト、チタン酸塩、けい酸塩などの金属酸化物および複合金属酸化物(ガラスを含む)、TiN、AlN,BN、TiC、TiCN、TiBなどのセラミック微粒子、ポリテトラフルオロエチレン、アクリル樹脂などの樹脂微粒子、カーボンブラックやMoSなどが挙げられる。
【0055】
なお、これらの微粒子をバルク成形体の表面に固定するために、必要に応じてバインダを用いてもよい。バインダの材料としては、クロム酸やモリブデン酸、リン酸およびこれらの塩などの無機材料、カップリング剤などの低分子量有機化合物、有機樹脂などの高分子化合物などを用いることができる。
【0056】
バルク成形体の表面に微粒子を固定する方法としては、予め微粒子とバインダを混合したものをスプレー法やディッピング法などの塗布法を用いてもよいし、バルク成形体の表面に予め形成したバインダ層に微粒子を機械的な力を利用して付着させても良い。また、必要に応じて、加熱処理を施し、微粒子をさらに強固にバルク成形体表面に固着させても良い。
【0057】
保護膜は成形上がりのバルク成形体に新たな膜として形成するだけでなく、バルク成形体の表面を改質することによって形成してもよい。バルク成形体表面における磁粉との反応を利用してもよい。例えば、リン酸処理、リン酸亜鉛処理、リン酸マンガン処理、リン酸カルシウム処理、リン酸クロメート処理、クロム酸処理、ジルコニウム酸処理、タングステン酸処理、モリブデン酸処理などの種々の化成処理を挙げることができる。
【0058】
ここで本発明におけるバルク成形体中の希土類元素(典型的にはNd)の含有率が低いので、鉄鋼の分野で一般に用いられている化成処理を用いても、十分な耐食性を得ることができる。
【0059】
さらには、バルク成形体の表面を種々の方法で酸化することによって適当な厚さの酸化膜を形成してもよい。ここで、本発明におけるナノコンポジット磁石は、本質的に、希土類元素に富んだ相(典型的にはNdリッチ相)を含まないため、耐食性、特に湿潤下での耐食性に優れた酸化膜を形成することができる。
【0060】
また、上述したように、本発明のバルク成形体は本質的に空隙を少なくできるため、耐食性に優れ、且つ、各種表面処理に適しているが、過酷な環境で使用される場合などには、磁石の信頼性をさらに向上するために、種々の封孔処理を行っても良い。
【0061】
また、上述した表面処理は適宜組み合わせてもよく、例えば、異なる材料を用いて積層膜を形成してもよい。
【0062】
上述したように、本発明によるナノコンポジットバルク成形体は、希土類元素の含有率が従来のMQ2やMQ3に比べて少ないために本質的に耐食性が優れる上に、成形体の表面に形成される空隙が少なく且つ小さいので、従来よりも薄い被膜を形成しても、従来よりも優れた耐食性が得られ、特に、被膜の厚さが5μm以下の場合に優れた効果を発揮する。このように被膜の厚さを小さくできることにより、モータなどに組み込んだ際の磁気的なギャップを減少させて、エネルギー効率の高いモータを得ることが可能となる。
【0063】
また、メッキなどの湿式表面処理を行う場合、ナノコンポジットバルク成形体の構成成分が処理液中に溶出する量が、MQ2やMQ3磁石よりも少ないので、処理液の管理・交換のための工程を削減することできる利点も得られる。
【0064】
【実施例】
(実施例A)
絶対圧力が30kPaのアルゴン雰囲気中で、厚さ5〜15μmのクロムめっき層を形成した直径350mmの銅合金性冷却ロールを15m/minの周速度で回転し、メルトスピニング法(単ロール法)によって、Nd5.5Fe6618.5CoCrの組成(原子比)を有する急冷合金の薄帯を作製した。
【0065】
得られた急冷合金薄帯の結晶構造をX線回折で測定した結果、薄帯のほぼ100%が非晶質であった。
【0066】
上記急冷合金の薄帯をパワーミルおよびピンディスクミルを用いて粉砕した後、JIS8801準拠の標準ふるいを用いて分級し、表1のように粒度調整を行い、実施例1、2および比較例1の急冷合金粉末とした。
【0067】
【表1】
Figure 2004014906
【0068】
それぞれの粉末を構成する粒子のうち、粒径が106μmを超える粒子200個について、電子顕微鏡でアスペクト比を求めた結果、0.4以上のものが、実施例1は91%、実施例2は約62.5%、比較例1は52%であった。
【0069】
実施例1、2および比較例1のサンプル11.78gを以下の方法で熱間圧縮成形を行うことにより、直径20mm、高さの5mm(狙い寸法)円形状のバルク磁石とした。
【0070】
熱間圧縮成形装置としては、図1に示した放電プラズマ焼結装置を用い、超硬合金製のダイスとパンチを使用した。
【0071】
合金粉末を金型に投入し、放電プラズマ焼結装置にセットし、装置内を1Pa以下に減圧した後、196MPaの加圧下で放電プラズマ焼結(パルス通電焼結)を行った。
【0072】
なお、放電プラズマ焼結時の温度は、超硬合金製のダイスに穴を開け、熱電対を挿入して測定した。
【0073】
パルス通電焼結による昇温速度は40℃/minとし、その後、670℃で5分間保持し、その後通電を止めて放冷した。得られたバルク成形体は、合金真密度の94%の密度に緻密化されていた。
【0074】
上記バルク成形体10個をバレル研磨し、表面の酸化層を除去した後、直径2mmのスチールボールといっしょに耐熱プラスチック製のバレル治具に投入した。上記バレルを回転数5rpmで、硝酸ナトリウム0.2mol/L、硫酸1.5vol%からなる液温30℃の処理液に4分間浸漬した後、直ちに1μS/cm以下のイオン交換水で30秒間超音波洗浄し、その後速やかにめっきを開始した。
【0075】
その後、硫酸ニッケル・6水和物240g/L、塩化ニッケル・6水和物45g/L、ホウ酸30g/L、光沢剤として2−ブチン−1、4ジオールを0.2g/L、サッカリン1g/L用いたpH=4.2(炭酸ニッケルで調整)、液温50℃のめっき浴を使用し、電流密度0.2A/dmで100分間電解めっきを行い、ニッケルめっき被膜を形成したのち、磁石をバレルから取り出し、水洗を行った。蛍光X線膜厚計で測定しためっき被膜の膜厚(磁石5個の平均値)を表2に示す。
【0076】
得られた磁石10個を80℃90%の高温高湿下に500時間放置したあとの磁石の外観を調査した。なお、外観は目視で、発錆、被膜のフクレなどの異常は認められなかったものを合格とした。結果を表2に示す。
【0077】
表2から明らかなように、53μm以下の粒子の含有率が少ない合金粉末を用いた比較例に比べ、53μm以下の粒子を10質量%以上含む実施例のバルク磁石の耐食性が優れていることがわかる。
【0078】
特に、実施例1に用いた合金粉末は、粒径が106μm超の粒子のうちアスペクト比が0.4を超える粒子の割合が多く、さらに、その質量基準の粒度分布に2つのピークを有し、且つ、一方のピークが106μm以下にあり、その結果、バルク成形体の表面に形成される孔がさらに少なく且つ小さいため、優れた耐食性を示している。
【0079】
【表2】
Figure 2004014906
【0080】
また、実施例1の磁石について高温高湿下放置前後における磁石特性をBHトレーサを用いて評価した。結果を表3に示す。高温高湿放置による磁気特性の低下はほとんど見られなかった。
【0081】
【表3】
Figure 2004014906
【0082】
(実施例B)
Nd:8.9原子%、B:12.6原子%、Ti:3.0原子%、C:4原子%、Nb:1原子%、残部Feの合金組成になるように配合した原料5kgを坩堝内に投入した後、50kPaに保持したAr雰囲気中にて高周波誘導加熱により合金溶湯を得た。
【0083】
ストリップキャスト法を用いて急冷合金を得た。具体的には、坩堝を傾転することによって、上記合金溶湯をシュートを介して、ロール表面周速度14m/秒にて回転する純銅製の冷却ロール(直径250mm)上に供給し、合金溶湯を急冷した。なお、ロールに溶湯を供給する際には、シュート上で溶湯を2条に分流し、その際の溶湯の供給速度は坩堝の傾転角度を調整することにより、1条あたり1.3kg/分に調整した。
【0084】
得られた急冷合金の平均厚さは85μmでその標準偏差はδは13μmであった。得られた急冷合金の一部を850μm以下に粉砕した後、フープベルト炉を用い、Ar粒気下、ベルト送り速度100mm/分にて780℃に保持した炉内へ粉末を20g/分の供給速度で投入することによって熱処理を施した磁粉の結晶構造を粉末X線回折法を用いて解析した結果、NdFe14B相とFe23相およびα−Fe相から構成されていた。
【0085】
次に、上記急冷合金ピンディスクミルを用いて粉砕した後、JIS8801の標準ふるいを用いて分級を行った後、表4のような粒度分布を持つ磁粉になるように調整した。
【0086】
【表4】
Figure 2004014906
【0087】
実施例3および比較例2のサンプル11.78gを以下の方法で熱間圧縮成形を行うことにより、直径20mm、高さの5mm(狙い寸法)の円柱状のバルク磁石とした。
【0088】
熱間圧縮成形装置としては、放電プラズマ焼結装置を用い、超硬合金製のダイスとパンチを使用した。
【0089】
粉末を金型に投入し、放電プラズマ焼結装置にセットし、装置内を1Pa以下に減圧した後、300MPaの加圧下で放電プラズマ焼結(パルス通電焼結)を行った。
【0090】
なお、放電プラズマ焼結時の温度は、超硬合金製のダイスに穴を開け、熱電対を挿入して測定した。
【0091】
パルス通電焼結による昇温速度は100℃/minとし、その後、780℃で5分間保持し、その後通電を止めて放冷した。
【0092】
上記バルク成形体10個に対して投射材としてアランダム♯180(新東ブレーター製)を用いて、ショットブラストを行い、上記バルク成形体の表面の酸化層を除去した。
【0093】
▲1▼モノメチルトリエトキシシラン、▲2▼液相法で作製した平均粒径25nmのSiO微粒子をメタノールで分散したもの、▲3▼水、▲4▼イソプロピルアルコールをそれぞれ用意し、▲1▼から▲4▼の各成分を用いて、ゾルゲル法にて表面処理液を調整した。モノメチルトリエトキシシランとSiOは重量比で等量(ただし、モノメチルトリエトキシシランはSiO換算したもの)とし、これらをあわせて15質量%の溶液(溶媒は上記メタノール+イソプロピルアルコール)となるようにした。また、モノメチルトリエトキシシランと水の比を1:2.4とし、粘度が1.3cPとなるように処理液を調整した。
【0094】
上記バルク成形体の表面に上記処理液を塗布し、200℃×20min熱処理を行った。得られた被膜の膜厚(破断面の電子顕微鏡観察で測定)を表4に示す。
【0095】
得られた磁石5個を80℃、90%の高温高湿下に100時間放置したあとの磁石の外観を調査した。なお、外観は目視で、発錆、被膜のフクレなどの異常は認められなかったものを合格とした。結果を表5に示す。
【0096】
【表5】
Figure 2004014906
【0097】
(実施例C)
実施例3と同様の方法で放電プラズマ焼結を行ったバルク成形体10個に対して投射材としてアランダムA♯180(新東ブレ−タ−製)を用いて、ショットブラストを行い、上記バルク成形体の表面の酸化層を除去した。
【0098】
蒸着装置(真空槽の内容積が2.2mで、ステンレス製メッシュ金網で作製された円筒形バレルを回転させるとともに、ワイヤー状金属蒸着材料を溶融蒸発部に供給しながら蒸着処理が行えるもの:例えば、特開2001−32062号公報の図1と同様の構成)の円筒形バレルに磁石体を投入し、真空槽内を全圧が1.0×10−3Pa以下になるまで真空排気した後、アルゴンガスを真空槽内の全圧が1Paになるように導入した。
【0099】
その後、バレルの回転軸を1.5rpmで回転させながら、バイアス電圧−500Vの条件下、15分間グロー放置によるスパッタリングを行って磁石表面を清浄化した。
【0100】
続いて、バレルの回転軸を1.5rpmで回転させながら、上記アルゴンガス雰囲気で、バイアス電圧−100Vの条件下、蒸着材料としてアルミニウムワイヤーを用い、これを加熱してイオン化し、5分間イオンブレーティング法にてバルク成形体の表面にアルミニウム被膜を形成した。
【0101】
蛍光X線膜厚計で測定したアルミニウム被膜の膜厚(磁石5個の平均値)は10.5μmであった。
【0102】
その後、表面アルミニウム被膜を有するバルク磁石をブラスト加工装置に投入し、Nガスからなる加圧気体とともに、投射材としてGB−AG(新東ブレ−ター製)を用い、投射圧0.2MPaにて15分間噴射して、ピーニング処理を行った。
【0103】
得られた磁石を80℃、90%の高温高湿下に2000時間放置したが、発錆、被膜のフクレなどの異常は認められなかった。また、得られた磁石を、嫌気性接着剤(ロックタイト366、ヘンケルジャパン製)を用いて、鋳鉄製の治具に接着し、圧縮せん断接着試験を行った結果、28.5MPaであった。この値は本接着剤の硬化後の破壊強度に相当しており、本発明によるバルク磁石は優れた接着性を有していることが分かった。
【0104】
【発明の効果】
上述したように、本発明によると、R−Fe−B系ナノコンポジットバルク磁石の密度が向上するとともに、バルク成形体の表面に形成される空隙が少なく且つ小さくなるので、耐食性が向上する。従って、このバルク成形体に表面処理を施すことにより、従来より薄い被膜で、従来と同等以上の耐食性を有するバルク磁石が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に好適に用いられる放電プラズマ焼結装置の構成を示す模式図である。
【符号の説明】
26 水冷チャンバ
27 焼結ダイス
28a 上部パンチ
28b 下部パンチ
29 特殊加圧機構
30a 上部パンチ電極
30b 下部パンチ電極
31 特殊焼結電源
32 制御装置

Claims (10)

  1. 少なくとも1種の硬磁性相および少なくとも1種の軟磁性相を有するナノコンポジットバルク磁石の製造方法であって、
    粒径が53μm以下の第1粒子を10質量%以上含む、R−Fe−B系の急冷合金粉末を準備する工程と、
    前記急冷合金粉末を熱間成形することによってバルク成形体を得る工程と、
    を包含する、バルク磁石の製造方法。
  2. 前記急冷合金粉末は、粒径が106μm超の第2粒子を含み、前記第2粒子のうちの個数百分率で60%以上の粒子のアスペクト比が0.4以上である、請求項1に記載のバルク磁石の製造方法。
  3. 前記急冷合金粉末を準備する工程は、
    合金溶湯を急冷することによって、厚さが60μm以上300μm以下の急冷合金を作製する工程と、
    前記急冷合金を粉砕する工程と、
    を包含する、請求項1または2に記載のバルク磁石の製造方法。
  4. 前記急冷合金粉末の質量基準の粒度分布は、少なくとも2つのピークを有し、前記少なくとも2つのピークは、106μm以下にある少なくとも1つのピークを含む、請求項1から3のいずれかに記載のバルク磁石の製造方法。
  5. 前記バルク成形体はα−Fe相を含む、請求項1から4のいずれかに記載のバルク磁石の製造方法。
  6. 前記バルク成形体は鉄基硼化物相を含む、請求項1から4のいずれかに記載のバルク磁石の製造方法。
  7. 前記バルク成形体に表面処理を行う工程をさらに包含する、請求項1から6のいずれかに記載のバルク磁石の製造方法。
  8. 請求項1から7のいずれかに記載の製造方法によって製造されたバルク磁石。
  9. 請求項7に記載の製造方法によって製造されたバルク磁石であって、前記バルク成形体と、前記バルク成形体の表面に形成された被膜とを有する、バルク磁石。
  10. 前記被膜の厚さが5μm以下である、請求項9に記載のバルク磁石。
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