JP4648540B2 - 鋼板の疵検出用閾値決定装置、鋼板の疵検出用閾値決定方法及び記憶媒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は鋼板の疵検出用閾値決定装置、鋼板の疵検出用閾値決定方法及び記憶媒体に関し、特に、銅板の表面を撮影した画像信号に基づいて、その表面疵を検出する疵検出装置及び方法に用いて好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
疵検出装置の調整をするにあたり、疵検出を行うための閾値を決めなくてはならないが、従来は、疵検出個数を確認しながら適切な閾値を人間が決定していた。例えば、輝度レベルが0から255階調を用いて表されている場合、中心を128とし、これより上に上限閾値、これより下に下限閾値が設定される。例えば、上限閾値として140、下限閾値として116などが与えられ、輝度が140を上回るもの、あるいは116を下回るものが疵候補としてあげられる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記判定すべきでない疵を含む疵の検出に用いられる閾値はライン毎に異なるため、ベテランの作業員が鋼板の地合を見ながら試行錯誤により決めざるをえなかった。しかしながら、ベテランの作業員の数は限られていること、及びベテラン作業員であっても閾値の調整作業は体力を消耗する等の理由により、全てのラインの閾値をベテラン作業員が全て調整することは実際には不可能であった。
【0004】
そこで、通常の作業員が粗調整をした後にベテランの作業員が微調整を行うことが慣例となっており、閾値調整には多くの時間を必要としているのが実情であった。本発明は上述の問題点にかんがみ、ベテラン作業員でなくても鋼板の判定すべきでない疵を含む疵の検出に用いられる閾値を的確に決定できるようにすることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の鋼板の疵検出用閾値決定装置は、鋼板の表面疵を検出するために、判定すべきでない疵を含む疵を検出する閾値を決定する鋼板の疵検出用閾値決定装置であって、1フレーム内における鋼板の判定すべきでない疵を含む疵を検出するためのパラメータを設定する検出用パラメータ設定手段と、上記検出用パラメータ設定手段によって設定されたパラメータに基づいて鋼板の判定すべきでない疵を含む疵の検出を行う疵検出手段と、上記疵検出手段によって検出された鋼板の判定すべきでない疵を含む疵が上記検出用パラメータ設定手段によって設定された1フレーム内の判定すべきでない疵を含む疵の検出個数より多いときは上記パラメータ中の疵検出用閾値を、判定すべきでない疵を含む疵を検出しにくい方向に変更し、上記設定された個数より少ないときは上記疵検出用閾値を、判定すべきでない疵を含む疵を検出しやすい方向に変更する疵検出用閾値変更手段とを具備することを特徴としている。
また、本発明の他の特徴とするところは、上記疵検出用閾値の変更過程をファイルに記録する閾値変更記録手段を具備することを特徴としている。
また、本発明のその他の特徴とするところは、上記検出用パラメータ設定手段は、上記規定の判定すべきでない疵を含む検出疵個数値を超えた場合の閾値変更量、及び規定の判定すべきでない疵を含む検出疵個数値を下回った場合の閾値変更量を設定することを特徴としている。
また、本発明のその他の特徴とするところは、上記検出用パラメータ設定手段は、最低通板時間を設定することを特徴としている。
また、本発明のその他の特徴とするところは、上記検出用パラメータ設定手段は、溶接点通過時刻よりどれほど前に格納した閾値と判定すべきでない疵を含む疵の検出個数を信用するのかを設定することを特徴としている。
また、本発明のその他の特徴とするところは、上記検出用パラメータ設定手段は、溶接点通過からどれほど後のデータが閾値調整を行うためのデータとして用いるのに妥当であるかを設定することを特徴としている。
【0006】
本発明の鋼板の疵検出用閾値決定方法は、鋼板の表面疵を検出するために、判定すべきでない疵を含む疵を検出する閾値を決定する鋼板の疵検出用閾値決定方法であって、鋼板の判定すべきでない疵を含む疵を検出するための上限閾値及び下限閾値の初期値を入力する第1のステップと、上記鋼板の判定すべきでない疵を含む疵を1フレームあたり検出する個数を入力する第2のステップと、上記鋼板の判定すべきでない疵を含む疵を検出する個数が規定の値を上回った場合の閾値変更量を入力する第3のステップと、上記鋼板の判定すべきでない疵を含む疵を1フレームあたり検出する個数が規定の値を下回った場合の閾値変更量を入力する第4のステップと、上記鋼板の最低通板時間を入力する第5のステップと、上記鋼板の溶接点通過よりどのくらい前のデータまでを信用するかを入力する第6のステップと、上記鋼板の溶接点通過よりどのくらい後のデータが閾値調整を行うためのデータとして用いるのかを入力する第7のステップとを有することを特徴としている。
【0007】
本発明の記憶媒体は、上記の何れかに記載の鋼板の疵検出用閾値決定装置の各手段としてコンピュータを機能させるためのプログラムを記録したことを特徴としている。また、本発明の他の特徴とするところは、上記に記載の鋼板の疵検出用閾値決定方法をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したことを特徴としている。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の鋼板の疵検出用閾値決定装置、鋼板の疵検出用閾値決定方法及び記憶媒体の実施の形態を説明する。本実施の形態の鋼板の疵検出用閾値決定装置は、1フレーム内の疵検出個数に着目して、これが規定の個数より多いときは閾値を自動的に緩め、これが規定の個数より少ないときは閾値を厳しくして疵検出個数を増やす調整を自動で実施し、かつ、その過程をファイルに残すことで後作業員によるレビュー(Review)、すなわち、調整内容に誤りがないか否かを検査することを可能にすることで、閾値調整の期間を大きく短縮できるようにしたものである。
【0009】
上限下限の2つの閾値を用いている場合、閾値を緩めるとは、上限閾値を上げ、下限閾値を下げることに相当する。反対に、閾値を厳しくするとは、上限閾値を下げ、下限閾値を上げることに相当する。
【0010】
ここで、1フレームあたりの輝度の分散をパラメータとしないことが重要である。なぜなら、当該パラメータは、地合の変動を表す特徴量であり、閾値を微調整する場合には適するが、閾値を自動で粗く調整するには適さないからである。
【0011】
図1は、本実施の形態の鋼板の疵検出用閾値決定装置の概略構成を示すブロック図である。図1に示したように、本実施の形態の鋼板の疵検出用閾値決定装置は、検出用パラメータ設定手段11、鋼板の疵検出手段12、疵検出用閾値変更手段13、閾値変更記録手段14、表示手段15等によって構成されている。
【0012】
上記検出用パラメータ設定手段11は、1フレーム内における鋼板の疵を検出するためのパラメータを設定する。また、上記鋼板の疵検出手段12は、上記検出用パラメータ設定手段11によって設定されたパラメータに基づいて鋼板の疵検出を行う。
【0013】
上記疵検出用閾値変更手段13は、上記鋼板の疵検出手段12によって検出された鋼板の疵が上記検出用パラメータ設定手段11によって設定された1フレーム内の疵検出個数より多いときは上記パラメータ中の疵検出用閾値を、疵を検出しにくい方向に変更し、上記設定された個数より少ないときは上記疵検出用閾値を、疵を検出しやすい方向に変更する。
【0014】
上記閾値変更記録手段14は、上記疵検出用閾値の変更過程をファイル(図示せず)に記録する。上記表示手段15は、図3に示すような検出用のパラメータを入力するためのメニュー画面を表示する。
【0015】
次に、図2のフローチャート及び図3のメニュー画面説明する図を参照しながら本実施の形態の鋼板の疵検出用閾値決定方法を説明する。
先ず、最初のステップS21において、図3(a)に示したように上限閾値、下限閾値の初期値を設定せよとの求めに応じてこれらの値を入力する。図3(a)の例では、上限閾値として「140」、下限閾値として「116」が入力されている。
【0016】
次に、ステップS22に進んで規定の検出疵個数の設定が行われる。本実施の形態においては、図3(b)に示したように、検出疵個数として「120」が入力されている。
【0017】
次に、ステップS23に進み、閾値の変更量が入力される。この閾値の変更量の入力は、最初に図3(c)に示したように、検出疵個数が規定の閾値を下回った場合の閾値変更量が入力される。この場合は、閾値変更量として「2」が入力されている。その後、図3(d)に示すように、検出疵個数が規定の閾値を上回った場合の閾値変更量が入力される。この場合は、閾値変更量として同じく「2」が入力されている。
【0018】
次に、ステップS24において最低通板時間が入力される。これは、鋼板1コイル分の長さが短い等の理由により、通板時間が短いときに次の鋼板と一緒に閾値を調整するためである。その理由は、鋼板が短い場合は、調整途中で次の鋼板が着てしまいため、調整途中で、再度調整開始ということになることにより、閾値調整を十分に行うことができない不都合を解消するためである。
【0019】
本実施の形態においては、上述のような不都合を防止するために、次の鋼板においても継続させることで、当該問題を解決するようにしている。図3(e)に示したように、最低通板時間として「10分」が入力されている。
【0020】
次に、ステップS25に進み、検出したデータを信用する条件を入力する。これは、溶接点通過よりどのくらい前に格納した閾値と疵検出個数データまでを信用するかを入力の求めに応じて入力するものであり、この例では図3(f)に示すように、「20m前」が入力されている。また、溶接点通過よりどのくらい後のデータから閾値調整に用いるべきかの値として、図3(g)に示すように、「20m後」が入力されている。
【0021】
次に、ステップS26に進み、閾値調整に用いるデータの条件を入力する。本実施の形態においては、図3(h)に示すように、鋼種A、B、Cについては、「上限閾値136」、「下限閾値120」、「検出疵個数110」が入力されている。その後、ステップS27に進み、入力された条件に基づいて閾値の自動調整を行う。
【0022】
図4は、鋼板におけるデータを使用する期間を説明する図である。図4に示したように、溶接点近傍のデータを調整に使用しない理由は、溶接点近傍は、中央部に比して汚れている部分や判定すべきでない疵が多く含まれており、検出疵個数が、中央部に比して、数倍〜数十倍となる場合が多い。また、このような部分は下工程で切り捨てられるからである。
【0023】
したがって、この部分に合わせて閾値を調整すると、疵を中央部の重要な箇所で検出しにくくなるため、本実施の形態においては溶接点の近傍は調整に用いないようにしている。
【0024】
(他の実施の形態)
本発明の鋼板の疵検出用閾値決定装置は、複数の機器から構成されるものであっても、1つの機器から構成されるものであってもよい。
【0025】
また、上述した実施の形態は、コンピュータのCPU或いはMPU、RAM、ROM等で構成されるものであり、RAMやROMに記録されたプログラムが動作することで実現される。したがって、前記実施の形態の機能を実現するためのソフトウェアのプログラムコードをコンピュータに供給するための手段、例えばかかるプログラムコードを格納した記憶媒体は本発明の範疇に含まれる。
【0026】
【発明の効果】
本発明は上述したように、本発明によれば、1フレーム内における鋼板の判定すべきでない疵を含む疵を検出するためのパラメータを設定し、上記パラメータに基づいて鋼板の判定すべきでない疵を含む疵の検出を行い、上記検出された鋼板の判定すべきでない疵を含む疵が上記設定した判定すべきでない疵を含む疵の検出個数より多いときは上記パラメータ中の疵検出用閾値を、判定すべきでない疵を含む疵を検出しにくい方向に変更し、上記設定された個数より少ないときは上記疵検出用閾値を、判定すべきでない疵を含む疵を検出しやすい方向に変更するようにしたので、検出する鋼板の状態に応じた最適の疵検出用閾値を自動的に調整することができ、閾値調整作業の自動化を可能にして、ベテラン作業員でなくても鋼板の疵検出用閾値を決定することができる。
【0027】
また、本発明の他の特徴によれば、1コイルあたりの通板時間が短くても、コイルにまたがった閾値調整を行うことが可能であるので、閾値決定を短期間に終了させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示し、鋼板の疵検出用閾値決定装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の鋼板の疵検出用閾値決定方法の手順を説明するフローチャートである。
【図3】表示手段に表示されるメニュー画面の一例を示す図である。
【図4】鋼板におけるデータを使用する区間を説明する図である。
【符号の説明】
11 検出用パラメータ設定手段
12 鋼板の疵検出手段
13 疵検出用閾値変更手段
14 閾値変更記録手段
15 表示手段
40 鋼板
Claims (9)
- 鋼板の表面疵を検出するために、判定すべきでない疵を含む疵を検出する閾値を決定する鋼板の疵検出用閾値決定装置であって、
1フレーム内における鋼板の判定すべきでない疵を含む疵を検出するためのパラメータを設定する検出用パラメータ設定手段と、
上記検出用パラメータ設定手段によって設定されたパラメータに基づいて鋼板の判定すべきでない疵を含む疵の検出を行う疵検出手段と、
上記疵検出手段によって検出された鋼板の判定すべきでない疵を含む疵が上記検出用パラメータ設定手段によって設定された1フレーム内の判定すべきでない疵を含む疵の検出個数より多いときは上記パラメータ中の疵検出用閾値を、判定すべきでない疵を含む疵を検出しにくい方向に変更し、上記設定された個数より少ないときは上記疵検出用閾値を、判定すべきでない疵を含む疵を検出しやすい方向に変更する疵検出用閾値変更手段とを具備することを特徴とする鋼板の疵検出用閾値決定装置。 - 上記疵検出用閾値の変更過程をファイルに記録する閾値変更記録手段を具備することを特徴とする請求項1に記載の鋼板の疵検出用閾値決定装置。
- 上記検出用パラメータ設定手段は、上記規定の判定すべきでない疵を含む検出疵個数値を超えた場合の閾値変更量、及び規定の判定すべきでない疵を含む検出疵個数値を下回った場合の閾値変更量を設定することを特徴とする請求項1または2に記載の鋼板の疵検出用閾値決定装置。
- 上記検出用パラメータ設定手段は、最低通板時間を設定する機能を有することを特徴とする請求項1または2に記載の鋼板の疵検出用閾値決定装置。
- 上記検出用パラメータ設定手段は、溶接点通過時刻よりどれほど前に格納した閾値と判定すべきでない疵を含む疵の検出個数を信用するのかを設定することを特徴とする請求項1または2に記載の鋼板の疵検出用閾値決定装置。
- 上記検出用パラメータ設定手段は、溶接点通過からどれほど後のデータが閾値調整を行うためのデータとして用いるのに妥当であるかを設定する機能を有することを特徴とする請求項1または2に記載の鋼板の疵検出用閾値決定装置。
- 鋼板の表面疵を検出するために、判定すべきでない疵を含む疵を検出する閾値を決定する鋼板の疵検出用閾値決定方法であって、
鋼板の判定すべきでない疵を含む疵を検出するための上限閾値及び下限閾値の初期値を入力する第1のステップと、上記鋼板の判定すべきでない疵を含む疵を1フレームあたり検出する個数を入力する第2のステップと、
上記鋼板の判定すべきでない疵を含む疵を検出する個数が規定の値を上回った場合の閾値変更量を入力する第3のステップと、
上記鋼板の判定すべきでない疵を含む疵を1フレームあたり検出する個数が規定の値を下回った場合の閾値変更量を入力する第4のステップと、
上記鋼板の最低通板時間を入力する第5のステップと、
上記鋼板の溶接点通過よりどのくらい前のデータまでを信用するかを入力する第6のステップと、
上記鋼板の溶接点通過よりどのくらい後のデータが閾値調整を行うためのデータとして用いるのかを入力する第7のステップとを有することを特徴とする鋼板の疵検出用閾値決定方法。 - 請求項1〜6の何れか1項に記載の鋼板の疵検出用閾値決定装置の各手段としてコンピュータを機能させるためのプログラムを記録したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
- 請求項7に記載の鋼板の疵検出用閾値決定方法をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
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