本発明に係るムラ測定方法の一実施例としての実施例1のムラ測定方法、およびそのムラ測定方法を用いる一実施例としての実施例1のムラ測定装置10を、図1から図20を用いて説明する。ムラ測定装置10は、図1に示すように、光源を用いて形成されて均一的な明るさでの表示が求められる面状の表示箇所を有する表示装置(実施例1では表示装置50の表示箇所51(図2等参照))において、その表示箇所のムラを測定することにより、表示箇所(表示装置)のムラに関する検査を可能とするものである。そのムラとは、表示箇所(表示箇所51)を視認した者が認識する輝度等の不均一性を言う。このため、ムラは、輝度の不均一性に対するコントラスト差や面積比等の要因に、人間の視覚特性が大きく影響することで認識されるものと考えられる。このことから、ムラが生じているか否かの判断や、ムラが生じていた場合に当該ムラがどの程度であるのかの判断は、検査する人間によって変化するものであり、また同一人物であっても検査した日の体調や精神面等の影響によって変化するものであり、それらの判断基準にバラつきが生じてしまう。このことを鑑みて、ムラ測定装置10は、表示装置における表示箇所にムラが生じているか否かと、ムラが生じていた場合に当該ムラの程度と、の測定を設定した判断基準に基づいて行うものであり、それぞれの測定結果としての数値を算出する。
その面状の表示箇所を有する表示装置としては、光源を用いて形成されているものであればよく、例えば、FPD(フラットパネルディスプレイ)や、プロジェクタにより投影されたスクリーンや、LED(Light−Emitting Diode)や、OLED(Organic Light−Emitting Diode)や、自動車のインストルメントパネル等があげられる。なお、その表示箇所おいて均一的な明るさでの表示が求められるとは、全領域において均一的な明るさでの表示が求められるものであってもよく、複数の領域に分けられるとともに領域毎に均一的な明るさでの表示が求められるものであってもよい。実施例1が測定対象とする表示装置50は、図1および図2に示すように、FPDとされている。このため、実施例1の表示装置50では、そこにおける表示画面が面状の表示箇所51となる。そして、ムラ測定装置10は、その表示箇所51における複数の点(箇所)の輝度を一度に計測する所謂面計測を行うものである。
ムラ測定装置10は、面測定機11と制御機12とを備える。その面測定機11は、測定対象としての表示装置50の表示箇所51の輝度データLd(図2参照)を取得する。面測定機11は、制御機12(その後述するデータ取得部14)に接続されており、取得した輝度データLdを制御機12(データ取得部14)へと出力する。面測定機11は、実施例1では、任意の箇所の画像を撮影することのできる撮像装置(カメラ)であり、その撮影対象とする範囲の調整が可能とされている。そして、面測定機11は、調整された範囲の画像を撮影することにより、当該範囲内の画像を面状の輝度データLd(画像データ)として出力する。その輝度データLdは、面測定機11が内蔵するCCD等の撮像素子の画素(有効画素数)のそれぞれにおける輝度値を示す画素データの集まりで構成されており、各画素データが高い分解能で輝度値を示すものとされている。このため、ムラ測定装置10では、表示装置50における表示箇所51となる平坦な画面を撮影対象とする範囲内に位置させるべく調整することにより、表示箇所51を含む範囲の面状で高い分解能の輝度データLdを取得する。その面測定機11には、制御機12が接続されており、そこで取得した輝度データLdを制御機12(後述するデータ取得部14)へと出力することが可能とされている。
その制御機12は、面測定機11から入力された輝度データLdに基づいて、表示箇所51におけるムラを検出するとともに、その検出した各ムラに関する測定結果としての数値(後述する相対値Semu、絶対値MVおよび評価値MI)を算出する。また、制御機12は、面測定機11における動作を制御する。その制御機12は、制御部13とデータ取得部14と再生成部15と評価部16と操作部17と表示部18とメモリ部19とを有する。この制御機12は、実施例1では、メモリ部19に専用のプログラムを記憶させたPC(パーソナルコンピュータ)で形成されており、データ取得部14と再生成部15と評価部16とがプログラムにより構成されている。なお。制御機12は、ムラ測定装置10の専用の機器として設計されているものであってもよく、そこにおいてデータ取得部14と再生成部15と評価部16とが電子回路により専用に構成されているものであってもよく、実施例1の構成に限定されるものではない。また、面測定機11と制御機12とは、一体的な構成とされている、すなわち単一の機器として形成されているものであってもよく、実施例1の構成に限定されるものではない。さらに、専用のプログラムは、制御部13の後述する記憶部13aに記憶されるものであってもよい。
その制御部13は、操作部17に為された操作に基づく駆動処理や、データ取得部14における面測定機11からの輝度データLd(図2参照)の取得処理や、再生成部15における評価用データEd(図2参照)の再生成処理や、評価部16における面測定機11からの輝度データLdに基づくムラ測定制御処理(図3のフローチャート参照)や、表示部18の駆動の制御処理等を、メモリ部19もしくは内蔵する記憶部13aに記憶されたプログラムにより統括的に行う。制御部13は、ムラ測定制御処理により求めた測定結果等を表示部18に適宜表示させる。操作部17、表示部18およびメモリ部19には、図示は略すが制御部13を介して電力が供給され、それぞれの動作の実行が可能とされている。制御部13は、操作部17への操作に基づいて、あるいはメモリ部19(記憶部13a)に記憶されたプログラムに従って、上述した各動作(制御)を適宜実行する。
データ取得部14は、測定の対象としての表示装置50の表示箇所51の輝度データLd(図2参照)を取得する。このデータ取得部14は、面測定機11に接続されており、その面測定機11から出力される輝度データLdを直接読み込むことが可能とされている。データ取得部14は、再生成部15に接続されており、読み込んだ輝度データLdを再生成部15に伝送する。また、データ取得部14は、読み込んだ輝度データLdを、制御部13を介してメモリ部19に記憶(保存)させることが可能とされている。
その再生成部15は、データ取得部14から伝送された面状の輝度データLd(図2参照)あるいはメモリ部19に格納された面状の輝度データLdから、評価用データEd(図2参照)を再生成する再生成処理を行う。この再生成処理について図1および表示装置50の表示箇所51を測定対象とした一場面を示す図2を用いて説明する。その図2に示す例では、理解容易のために、撮影対象とする範囲(図2(a)の一点鎖線参照)を、表示装置50(その表示箇所51)に対して傾いた状態であることを強調して示している。図2(a)に示すように、面測定機11で、表示装置50における表示箇所51(平坦な画面)を撮影対象とする範囲(一点鎖線参照)内に位置させて撮影することにより、その表示箇所51を含む範囲の面状で高い分解能の輝度データLdを取得したものとする。このとき、測定体操とする表示箇所51を撮影対象とする範囲における周辺部にあまり近接させない、換言すると撮影対象とする範囲内において表示箇所51の周辺にある程度の隙間を生じさせるように当該表示箇所51を撮影することが望ましい。これは、以下のことによる。面測定機11では、撮影対象とする範囲における周辺部にディストーション等の影響が生じてしまうことから、補正処理によりその影響を打ち消している。その補正処理は、適切に設定されているものではあるが、周辺部にあまり近接させない方が当該補正処理の影響すなわちディストーション等の影響を小さなものとすることができるので、より適切な輝度データLdを取得できる。また、面測定機11が内蔵する撮像素子では、周辺部に位置する受光素子からの出力信号(各画素における輝度値を示す画素データ)の信頼性が、それらの内側に位置する受光素子からの出力信号の信頼性よりも低い。これは、面測定機11の撮像素子では、周辺部に位置する受光素子における感度の精度が、それらの内側に位置する受光素子における感度の精度よりも低いこと等に起因するものと考えられる。このため、周辺部にあまり近接させない方が、信頼性の高い各受光素子からの出力信号を用いることができるので、より適切な輝度データLdを取得できる。
すると、輝度データLdでは、図2(b)に示すように、表示箇所51全体を含みつつその表示箇所51(表示装置50)が傾いた状態となる。このままでは、輝度データLdには、表示箇所51の他に表示装置50におけるフレーム箇所や表示装置50以外の箇所(背景等)が含まれているとともに表示箇所51が傾いており、ムラの検出等を行うムラ測定制御処理(図3のフローチャート参照)を行うことが容易ではない。このため、再生成部15は、ムラ測定制御処理を行うことを容易なものとすべく、測定対象となる表示箇所51が傾いていない状態となるように輝度データLdを適宜回転させる(図2(c)参照)。また、再生成部15は、輝度データLdのうち、測定対象となる表示箇所51に相当する箇所のみを切り抜く(所謂トリミングする)(図2(c)参照)。なお、この図2(c)では、輝度データLdのうち、切り抜かれた表示箇所51に相当する箇所を実線で示すとともに、そこを除く箇所を二点鎖線で示している。その後、再生成部15は、切り抜いた表示箇所51に相当する箇所の輝度データLdを、指定されたデータサイズに再生成する(図2(d)参照)。なお、この図2(d)では、理解容易のために、輝度データLdにおける全体を表示箇所51に相当する箇所の輝度データLdで埋めたものとして示しているが、指定されたデータサイズとするものであればよい。このため、再生成された表示箇所51に相当する箇所の輝度データLdは、指定されたデータサイズの個数(N個とする)の画素データの集まりで構成されている。このように指定されたデータサイズに再生成した表示箇所51に相当する箇所の輝度データLdが評価用データEdとなる。このため、上記した各動作が再生成部15における再生成処理となる。この再生成部15は、図1に示すように、評価部16に接続されており、再生成した評価用データEdを評価部16に伝送する。
なお、この再生成処理では、撮影対象とする範囲の内方に表示箇所51全体を位置させつつその周辺箇所も当該範囲内に位置させるものとしているので、表示箇所51に相当する箇所の評価用データEdの再生成のための動作を容易なものとしつつ適切な評価用データEdの取得を可能とすることができる。これは、撮影対象とする範囲を表示箇所51全体に一致させた場合、上述したようにディストーション等の影響が大きくなってその補正処理の影響が大きくなることや、信頼性の低い各受光素子からの出力信号も用いることによる。また、周辺箇所も含めて表示箇所51全体が当該範囲の内方に位置するための面測定機11での調整は、撮影対象とする範囲を表示箇所51全体に一致させることに比較して遥かに容易であることから、輝度データLdの取得のための作業も極めて容易なものとすることができ、表示箇所51の測定のための作業を極めて容易なものとすることができる。
その評価部16は、測定対象(表示箇所51)の検査のために、再生成部15から伝送された評価用データEdを用いて、その測定対象におけるムラを検出するとともに、その検出した各ムラに関する測定結果としての数値(後述する相対値Semu、絶対値MVおよび評価値MI)を算出するムラ測定制御処理(図3のフローチャート参照)を行う。そのムラ測定制御処理については、後に詳細に説明する。
操作部17は、制御機12における各種の動作を実行させるための操作を行う箇所であり、測定対象におけるムラの測定(検査)のための動作を実行させるための操作や、面測定機11により表示箇所51の輝度データLdを取得するための操作を行うことが可能とされている。この操作部17は、実施例1では、制御機12がPCで形成されていることから、図示は略すがPCに接続されたキーボードや、マウス等のポインティングデバイスで構成されている。なお、操作部17は、表示部18をタッチパネルの機能を搭載するものとして、その表示部18により構成するものであってもよい。
表示部18は、液晶ディスプレイで形成されており、制御部13の制御下で、測定対象(表示箇所51)におけるムラの検査のための画面や、面測定機11で取得した輝度データLdや、再生成部15で生成した評価用データEdや、ムラ測定制御処理により求めた測定結果等を表示する。その測定結果等とは、後述する各画素データが3つの種類に分類された評価用データEd(図9(b)参照)や、後述する明るい領域Bおよび暗い領域Dが設定された評価用データEd(図10参照)や、各ムラに関する測定結果としての数値(後述する相対値Semu、絶対値MVおよび評価値MI)である。
メモリ部19は、制御部13の制御下で、各種データやプログラムを記憶する。そのメモリ部19は、実施例1では、制御機12(PC)を面測定機11と協働してムラ測定装置10を構成させるための専用のプログラムを記憶(保存)するとともに、面測定機11から出力されてデータ取得部14が読み込んだ輝度データLdを適宜記憶(保存)する。
次に、評価部16において実行される、本発明に係るムラ測定方法の一実施例としての実施例1のムラ測定方法を実行するムラ測定制御処理について、図3から図20を用いて説明する。その図3は、実施例1における評価部16にて実行されるムラ測定制御処理(ムラ測定方法)を示すフローチャートである。以下、図3のフローチャートの各ステップ(各工程)について説明する。このムラ測定制御処理(ムラ測定方法)は、再生成部15から評価用データEdが入力されることにより開始される。
ステップS1では、ムラ検出制御処理を行って、ステップS2へ進む。このステップS1では、再生成部15からの評価用データEdを用いて表示箇所51におけるムラを検出するムラ検出制御処理(図4のフローチャート参照)を行う。このムラ検出制御処理については、後に詳細に説明する。
ステップS2では、ステップS1でのムラ検出制御処理に続き、重み付け制御処理を実行するか否かを判断し、Yesの場合はステップS3へ進み、Noの場合はステップS4へ進む。このステップS2では、後述する重み付け制御処理を行う旨の設定が為されているか否かを判断することで、重み付け制御処理を実行するか否かを判断する。ステップS2では、実施例1では、操作部17に為された操作に基づいて、制御部13の制御下で重み付け制御処理を行う旨の設定がされているか否かを判断する。実施例1では、その操作部17により重み付け制御処理を行う旨の設定が為される際、後述する振幅倍率Rや、重み付けによる増大あるいは減少の方向性が、併せて設定される。
ステップS3では、ステップS2での重み付け制御処理を実行するとの判断に続き、重み付け制御処理を行って、ステップS4へ進む。このステップS3では、ステップS1のムラ検出制御処理で検出した各ムラ(後述する明るい領域Bおよび暗い領域D(図10参照))における各画素データの輝度値に対して、測定対象とする表示箇所51における位置に応じて適宜重み付けを行う重み付け制御処理(図20のフローチャート参照)を行う。この重み付け制御処理については、後に詳細に説明する。
ステップS4では、ステップS3での重み付け制御処理、あるいは、ステップS2での重み付け制御処理を実行しないとの判断に続き、相対値算出制御処理を行って、ステップS5へ進む。このステップS4では、ステップS1のムラ検出制御処理で検出した各ムラ、あるいは、重み付け制御処理が施された当該各ムラに対して、ムラの程度を相対的な数値で示す相対値Semuを算出する相対値算出制御処理(図11のフローチャート参照)を行う。この相対値算出制御処理については、後に詳細に説明する。
ステップS5では、ステップS4での相対値算出制御処理に続き、絶対値算出制御処理を行って、ステップS6へ進む。このステップS5では、ステップS1のムラ検出制御処理で検出した各ムラ、あるいは、重み付け制御処理が施された当該各ムラに対して、ムラの程度を絶対的な数値で示す絶対値MVを算出する絶対値算出制御処理(図13のフローチャート参照)を行う。この絶対値算出制御処理については、後に詳細に説明する。
ステップS6では、ステップS5での絶対値算出制御処理に続き、評価値算出制御処理を行って、ムラ測定制御処理(ムラ測定方法)を終了する。このステップS6では、ステップS5の絶対値算出制御処理で算出した絶対値MVを用いて、ムラ検出制御処理で検出した各ムラを有する測定対象(表示箇所51)の評価を数値で示す評価値MIを算出する評価値算出制御処理(図14のフローチャート参照)を行う。この評価値算出制御処理については、後に詳細に説明する。
なお、上記したムラ測定制御処理(ムラ測定方法(図3のフローチャート))では、相対値算出制御処理(ステップS4)の後に絶対値算出制御処理(ステップS5)を行うものとしているが、絶対値算出制御処理を相対値算出制御処理の前に行うものとしてもよく、絶対値算出制御処理と相対値算出制御処理とを同時に行うものとしてもよく、実施例1の構成に限定されるものではない。
次に、上述したムラ測定制御処理(ムラ測定方法(図3のフローチャート))におけるムラ検出制御処理(ステップS1)について説明する。そのムラ検出制御処理では、測定対象(表示箇所51)の全領域での各輝度値から当該測定対象の全領域における統計的な情報である全体統計情報を算出し、その全体統計情報から輝度値で見た指定範囲Aa(図5等参照)を算出する。また、ムラ検出制御処理では、指定範囲Aa内の各輝度値から当該指定範囲Aaにおける統計的な情報である指定統計情報を算出し、その指定統計情報から輝度値で見た2つの閾値を算出する。そして、ムラ検出制御処理では、算出した2つの閾値を用いて、明るい領域Bと暗い領域Dとそれらの中間領域Mとの3種類の領域を設定して(図10参照)、各明るい領域Bおよび各暗い領域Dをムラとして検出する。以下では、ムラ検出制御処理の詳細について説明する。
図4は、実施例1における評価部16にて実行されるムラ検出制御処理を示すフローチャートである。以下、図4のフローチャートの各ステップ(各工程)について説明する。このムラ検出制御処理は、再生成部15から評価用データEdが入力されることにより開始される。
ステップS11では、評価用データEdから全体統計情報を算出して、ステップS12へ進む。このステップS11では、評価用データEdにおける全ての画素データ(それが示す輝度値)を用いて、全体統計情報としての平均Ave1(全体平均)と分散σ1 2(全体分散)と標準偏差σ1(全体標準偏差)とを求める。ここで、評価用データEdにおける全ての画素データを用いることは、測定対象とする表示箇所51における全て(指定されたデータサイズの個数(N個))の画素データを対象としていることとなる。このため、ステップS11では、測定対象とする表示箇所51の全領域における輝度値の統計的な情報である全体統計情報(Ave1、σ1 2、σ1)を算出していることとなる。その平均Ave1と分散σ1 2とは、評価用データEdを構成するN個の画素データ(輝度値)をxk(kは最大値をNとする0(ゼロ)を除く自然数)とすると、式(1)で求めることができる。なお、標準偏差σ1は、分散σ1 2の平方根となる。
ステップS12では、ステップS11での評価用データEdの各画素データから全体統計情報を算出することに続き、指定範囲Aaを求めて、ステップS13へ進む。このステップS12では、ステップS11で算出した平均Ave1と標準偏差σ1とを用いて、指定上限値a1と指定下限値a2(図5参照)とを、式(2)により算出する。
a1=Ave1+σ1
a2=Ave1−σ1 ・・・・(2)
そして、ステップS12では、評価用データEdのN個の画素データ(輝度値)のうち、輝度値で見た指定上限値a1と指定下限値a2との間を指定範囲Aa(図5参照)とする。このため、評価用データEdのN個の画素データのうち、輝度値が指定上限値a1よりも小さくかつ指定下限値a2とよりも大きな値となるものが、指定範囲Aaの内方に存在するものとなる。その指定範囲Aaの内方に存在する画素データの個数をM個とする。
ステップS13では、ステップS12での指定範囲Aaを求めることに続き、指定範囲Aa内の各画素データから指定統計情報を算出して、ステップS14へ進む。このステップS13では、評価用データEdのうち指定範囲Aa内に存在する画素データ(それが示す輝度値)を用いて、指定統計情報としての平均Ave2(指定平均(図6参照))と分散σ2 2(指定分散)と標準偏差σ2(指定標準偏差)とを求める。ここで、評価用データEdのうち指定範囲Aa内に存在する画素データを用いることは、測定対象とする表示箇所51において、平均Ave1から大きく外れてはいない信頼性の高い各画素データ((M個))を対象とすることとなる。このため、ステップS13では、評価用データEdのうち信頼性の高いM個の画素データに基づいて輝度値の統計的な情報である指定統計情報(Ave2、σ2 2、σ2)を求めていることとなる。その平均Ave2と分散σ2 2とは、評価用データEdを構成するM個の画素データ(輝度値)をxh(hは、最大値をMとする0(ゼロ)を除く自然数)とすると、式(3)で求めることができる。なお、標準偏差σ2は、分散σ2 2の平方根となる。
ステップS14では、ステップS13での指定範囲Aa内の各画素データから指定統計情報を算出することに続き、指定範囲Aa内の正規分布N(h)を求めて、ステップS15へ進む。このステップS14では、ステップS13で算出した平均Ave2と標準偏差σ2とを用いて、指定範囲Aa内の各画素データにおける正規分布N(h)(図7参照)を式(4)により算出する。
ステップS15では、ステップS14での指定範囲Aa内の正規分布N(h)を求めることに続き、半値半幅HWHMを求めて、ステップS16へ進む。このステップS15では、ステップS14で算出した正規分布N(h)における半値半幅HWHM(図7参照)を、ステップS13で求めた標準偏差σ2を用いて、式(5)により算出する。
HWHM≒1.177410×σ2 ・・・・(5)
ステップS16では、ステップS15での半値半幅HWHMを求めることに続き、上側閾値THBrightと下側閾値THDarkとを求めて、ステップS17へ進む。このステップS16では、基本的にステップS13で算出した平均Ave2(その輝度値)を基準として、ステップS15で求めた半値半幅HWHM(その輝度値)だけ変化した値を上側閾値THBrightまたは下側閾値THDarkとする。換言すると、ステップS16では、基本的に平均Ave2(その輝度値)を中心として、明るい側と暗い側との両側に半値半幅HWHM(その輝度値)の範囲を設定し、その範囲の区切りとなる箇所を上側閾値THBrightまたは下側閾値THDarkとする。また、ステップS16では、ステップS11で算出した平均Ave1(輝度値)とステップS13で算出した平均Ave2(輝度値)との差分ΔAve(輝度値)が正の値であるか負の値であるかに応じて、その差分ΔAveを上側閾値THBrightまたは下側閾値THDarkの設定に用いる。詳細には、ΔAve>0である場合(図8参照)、換言すると平均Ave1が平均Ave2よりも大きい場合、上側閾値THBright側に差分ΔAveを加算する。すなわち、ΔAve>0である場合、基準とする平均Ave2が全体の平均Ave1よりも小さくなる方向へと変化しているので、その変化分だけ上側閾値THBrightを増加させる(広げる)。また、ΔAve<0である場合、換言すると平均Ave1が平均Ave2よりも小さい場合、下側閾値THDark側に差分ΔAveを加算(負の値であるから実質的に減算)する。すなわち、ΔAve<0である場合、基準とする平均Ave2が全体の平均Ave1よりも大きくなる方向へと変化しているので、その変化分だけ下側閾値THDarkを減少させる(広げる)。なお、Ave=0である場合は、何れに加算しても影響を及ぼさないので、除外している。このように、上側閾値THBrightと下側閾値THDarkと(図8参照)は、式(6)により算出する。
ΔAve>0である場合
THBright=Ave2+HWHM+ΔAve
THDark=Ave2−HWHM
ΔAve<0である場合 ・・・(6)
THBright=Ave2+HWHM
THDark=Ave2−HWHM+ΔAve
但し、ΔAve=Ave1−Ave2
ステップS17では、ステップS16での上側閾値THBrightと下側閾値THDarkとを求めることに続き、その上側閾値THBrightおよび下側閾値THDarkを用いて評価用データEdの各画素データを3つの種類に分類して、ステップS18へ進む。このステップS17では、評価用データEdの全て(N個)の画素データのうち、上側閾値THBrightよりも大きな輝度値であるものを明るい画素(図9(b)の符号B´参照)に分類し、下側閾値THDarkよりも小さな輝度値であるものを暗い画素(図9(b)の符号D´参照)に分類する。そして、ステップS17では、評価用データEdの全ての画素データのうち、明るい画素にも暗い画素にも分類しなかった残りの全ての画素データを中間画素とする(図9(b)の符号M´参照)。
ステップS18では、ステップS17での上側閾値THBrightと下側閾値THDarkとを用いて評価用データEdの各画素データを3つの種類に分類することに続き、明るい領域Bおよび暗い領域Dを設定して、このムラ検出制御処理を終了する。このステップS18では、ステップS17で明るい画素に分類した画素データ(図9(b)の符号B´参照)のうち、互いに隣り合うものを組み合わせて単一の領域を構成するもの(単一の塊)として取り扱う。ステップS18では、実施例1では、評価用データEdのうちのいずれか1つの明るい画素(その画素データ)に注目し、その注目した画素に隣接する画素(その画素データ)が、ステップS17で明るい画素に分類されたものであるか否かを判断し、明るい画素である場合には同様に当該画素に隣接する画素が明るい画素に分類されたものであるか否かを判断する、ということ繰り返す、いわゆるBlob処理を行うことにより上記した動作を実行する。その注目した画素に隣接する画素は、例えば、各画素が等しい矩形が行列状(縦横のそれぞれに並列して並べられている)とされている場合においては、表示箇所(表示箇所51)における外縁部を除くと縦横に4個および斜めに4個の合計8個存在する。ステップS18では、ステップS17で分類した暗い画素(図9(b)の符号D´参照)についても同様の処理を行う。これにより、ステップS18では、評価用データEdに明るい画素が存在する場合には少なくとも1つの明るい領域Bを設定することとなり、評価用データEdに明るい画素が存在する場合には少なくとも1つの暗い領域Dを設定することとなる。このため、ステップS18では、測定対象とする表示箇所51における明るい領域Bおよび暗い領域D(それぞれゼロの場合も複数の場合もあり)を設定する(図10参照)。このことから、測定対象とする表示箇所51では、明るい領域Bと暗い領域Dとのいずれにも設定されなかった残りの領域が中間領域Mとなる(図10参照)。なお、この図10に示す例では、後述するように、4つの明るい領域Bと3つの暗い領域Dとが設定されている。
これにより、ムラ検出制御処理では、測定対象とする表示箇所51における明るい領域Bおよび暗い領域D(それぞれゼロの場合も複数の場合もあり)を設定することができる。この明るい領域Bおよび暗い領域Dは、ステップS16で求めた上側閾値THBrightよりも明るい画素、もしくはステップS16で求めた下側閾値THDarkよりも暗い画素であることから、測定対象とする表示箇所51においてムラが生じている領域となる。このため、ムラ検出制御処理では、明るい領域Bおよび暗い領域Dを、ムラとして検出することとなる。
次に、ムラ測定制御処理(ムラ測定方法(図3のフローチャート))における相対値算出制御処理(ステップS4)について説明する。その相対値算出制御処理は、ムラ検出制御処理で検出した各ムラ(明るい領域Bおよび暗い領域D)に対して、それぞれのムラの程度を相対的な数値で示す相対値Semuを算出する。なお、相対値算出制御処理は、上述したようにムラ測定制御処理(ムラ測定方法)において重み付け制御処理を実行する場合には、ムラ検出制御処理で検出されて適宜重み付け制御処理が施された各ムラ(明るい領域Bおよび暗い領域D)に対してそれぞれ相対値Semuを算出する。その相対値Semuは、SEMI D31−1102(FPD画質検査における輝度ムラの計量単位(Semu))で定義されている規格値である。相対値算出制御処理では、先ず、次のようにCxとSxとを求める。
Cxは、算出対象とするムラ(各明るい領域Bまたは各暗い領域Dのいずれか1つ)におけるムラ平均コントラスト(背景の輝度値を100%とした場合の当該ムラの輝度値との差分を単位%で示したもの)である。また、Sxは、算出対象とするムラ(各明るい領域Bまたは各暗い領域Dのいずれか1つ)の面積(mm2)である。そして、相対値算出制御処理では、そのムラ平均コントラストCxと面積Sxとを用いて、式(7)により測定対象とする表示箇所51の対象とするムラの相対値Semuを算出する。
このように実施例1における評価部16にて実行される相対値算出制御処理を、図11のフローチャートに示す。以下、図11のフローチャートの各ステップ(各工程)について説明する。その図11は、実施例1における評価部16にて実行されるムラ測定制御処理(ムラ測定方法)における相対値算出制御処理を示すフローチャートである。この相対値算出制御処理は、ムラ検出制御処理で検出された明るい領域Bおよび暗い領域D(あるいはそこに適宜重み付け制御処理が施されたもの)に対して相対値Semuを算出するものであることから、図3のフローチャートに示すように、基本的に図4に示すムラ検出制御処理が終了した後に開始される。
ステップS21では、相対値算出制御処理の開始、あるいはステップS24での全てのムラを算出対象としていないとの判断に続き、算出対象とするムラ(各明るい領域Bまたは各暗い領域Dのいずれか1つ)を決定して、ステップS22へ進む。このステップS21では、ムラ検出制御処理で検出された各ムラ(各明るい領域Bまたは各暗い領域D)のうち、未だ算出対象とされていないものの中からいずれか1つを選定して、算出対象を決定する。すなわち、相対値算出制御処理を開始した直後にあっては、ムラ検出制御処理で検出された全てのムラの中からいずれか1つを選定し、ステップS24を経由した後にあっては、ムラ検出制御処理で検出された全てのムラのうち既に算出対象とされたものを除いた中からいずれか1つを選定する。
ステップS22では、ステップS21での算出対象とするムラの決定に続き、ムラ平均コントラストCxと面積Sxとを求めて、ステップS23へ進む。このステップS22では、ステップS21で決定した算出対象とするムラ(各明るい領域Bまたは各暗い領域Dのいずれか1つ)におけるムラ平均コントラストCxを求める。また、ステップS22では、ステップS21で決定した算出対象とするムラの面積(mm2)Sxを求める。
ステップS23では、ステップS22でのムラ平均コントラストCxと面積Sxとを求めることに続き、相対値Semuを算出して、ステップS24へ進む。このステップS23では、算出対象とするムラのムラ平均コントラストCxと面積Sxとを用いて、上述したように式(7)により測定対象とする表示箇所51の算出対象とするムラの相対値Semuを算出する。
ステップS24では、ステップS23での相対値Semuの算出に続き、全てのムラを算出対象としたか否かを判断し、Yesの場合は相対値算出制御処理を終了し、Noの場合はステップS21に戻る。このステップS24では、ムラ検出制御処理で検出された全てのムラを算出対象としたか否か、すなわち全てのムラの相対値Semuを算出したか否かを判断する。
これにより、相対値算出制御処理では、測定対象とする表示箇所51において、ムラ検出制御処理により検出された全てのムラ(各明るい領域Bおよび各暗い領域D(それぞれゼロの場合も複数の場合もあり)の相対値Semuを算出することができる。
なお、実施例1の相対値算出制御処理では、ムラ検出制御処理で検出された全てのムラを算出対象とするものとしていたが、算出対象とするムラの条件を設定するもの(例えば、各明るい領域Bのみを対象とする等)であってもよく、実施例1に限定されるものではない。
次に、ムラ測定制御処理(ムラ測定方法(図3のフローチャート))における絶対値算出制御処理(ステップS5)について説明する。その絶対値算出制御処理は、ムラ検出制御処理で検出した各ムラ(明るい領域Bおよび暗い領域D)に対して、それぞれのムラの程度を絶対的な数値で示す絶対値MV(絶対値MuraValue)を算出する。なお、絶対値算出制御処理は、上述したように重み付け制御処理を実行する場合には、ムラ検出制御処理で検出されて適宜重み付け制御処理が施された各ムラ(明るい領域Bおよび暗い領域D)に対してそれぞれ絶対値MVを算出する。
絶対値算出制御処理では、絶対値MVを求めるために、先ず、算出対象とするムラ(各明るい領域Bまたは各暗い領域Dのいずれか1つ)内での基準輝度Lbを求める。この基準輝度Lbは、算出対象とするムラにおける評価の基準となる輝度を示す。この基準輝度Lbの求め方を、図12を用いて説明する。その図12では、理解容易のために、測定対象とする表示箇所(表示箇所51)において、図10とは異なり単一の明るい領域Bと単一の暗い領域Dとが設定されたものとする。このため、図12(a)におけるグラフでは、上側閾値THBrightよりも明るい画素の分布を示す明画素群Dbが明るい領域B(その全ての画素データ)を示し、下側閾値THDarkよりも暗い画素の分布を示す暗画素群Ddが暗い領域D(その全ての画素データ)を示す。また、図12(b)におけるグラフは、(a)の明画素群Dbを対象として、後述する仮基準輝度Liを基準としたA群およびB群と、その中における基準輝度Lbと、の概念を示している。
実施例1の絶対値算出制御処理では、基準輝度Lbを求めるために、先ず仮基準輝度Liを求める。その仮基準輝度Liは、算出対象とするムラ(明るい領域Bまたは暗い領域D)における各画素データを輝度値で見て閾値(上側閾値THBrightまたは下側閾値THDark)から遠い方から順に並べたものとして、輝度値の遠い方から全画素数に対して所定の割合の順番に位置する画素データの輝度値とする。その所定に割合は、実施例1では、30%としており、輝度値の遠い方から全画素数に対して30%(近い方から70%)の順番に位置する画素データの輝度値を仮基準輝度Liとする(図12(b)参照)。すなわち、仮基準輝度Liは、全ての画素が等しい面積とされているものとすると、算出対象とするムラの面積Sxに対して、輝度値の遠い方から30%の面積(0.3Sx)を規定する順番に位置する画素データの輝度値となる。このため、仮基準輝度Liは、図12(a)の明画素群Dbを例にすると、図12(b)に示すように、輝度値の高い方から全画素数に対して30%(低い方から70%)の順番に位置する画素データ(輝度値の大きさ順で見て明画素群Dbにおいて第3十分位数となる画素データ)の輝度値となる。同様に、仮基準輝度Liは、図12(a)の暗画素群Ddを例にすると、輝度値の低い方から全画素数に対して30%(高い方から70%)の順番に位置する画素データ(輝度値の大きさ順で見て暗画素群Ddにおいて第7十分位数となる画素データ)の輝度値となる。
そして、絶対値算出制御処理では、算出対象とするムラにおいて、仮基準輝度Liよりも閾値側となる輝度値を有する各画素データをA群とし、そのA群における輝度値で見た大きさをA群輝度差αとする。このため、A群輝度差αは、仮基準輝度Liと閾値(上側閾値THBrightまたは下側閾値THDark)との差分の絶対値となる。また、絶対値算出制御処理では、算出対象とするムラにおいて、A群としない残り(残部)をB群とし、そのB群における輝度値で見た大きさをB群輝度差βとする。このため、B群輝度差βは、算出対象とするムラにおける最大輝度値もしくは最小輝度値と仮基準輝度Liとの差分の絶対値となる。このことから、明画素群Dbにおいては、上側閾値THBrightから仮基準輝度Liの間の輝度値となる各画素データがA群となり、仮基準輝度Li以上の輝度値となる各画素データがB群となる。また、暗画素群Ddにおいては、下側閾値THDarkから仮基準輝度Liの間の輝度値となる各画素データがA群となり、仮基準輝度Li以下の輝度値となる各画素データがB群となる。このA群とB群とにおける画素データの個数の比率は7:3となり、全ての画素が等しい面積とされているものとすると面積比も7:3となる。
絶対値算出制御処理では、上述したように設定したB群における輝度値で見た範囲を、閾値(上側閾値THBrightまたは下側閾値THDark)から遠い方からA群輝度差αとB群輝度差βとの比で分割し、その分割点となる輝度値を基準輝度Lbとする(図12参照)。すなわち、明画素群Dbにおいては、B群における最大輝度値と最少輝度値(仮基準輝度Li)との間を、最大輝度値側を比率αとするとともに最少輝度値側を比率βとするように分割した際の分割点となる輝度値が基準輝度Lbとなる。また、暗画素群Ddにおいては、B群における最小輝度値と最大輝度値(仮基準輝度Li)との間を、最小輝度値側を比率αとするとともに最大輝度値側を比率βとするように分割した際の分割点となる輝度値が基準輝度Lbとなる。これらのことから、基準輝度Lbは、明るい領域Bと暗い領域Dとで場合分けして式(8)で示すことができる。なお、式(8)では、明るい領域Bにおける最大輝度値をRlとし、暗い領域Dにおける最小輝度値をRsとする。
そして、絶対値算出制御処理では、上述したように求めた基準輝度Lbに加えて、上述した平均Ave2および面積Sxを用いて、式(9)により測定対象とする表示箇所51の対象とするムラの絶対値MVを算出する。
この絶対値MVは、式(9)に示すように、基準輝度Lbと平均Ave2(指定平均)との差分を用いていることから、算出対象とするムラの程度を絶対的な数値で示すものとなる。これに対して、相対値Semuは、算出対象とするムラにおけるムラ平均コントラストを用いていることから、算出対象とするムラの程度を測定対象(表示箇所51)内での評価としての相対的な数値で示すものとなる。
このように実施例1における評価部16にて実行される絶対値算出制御処理を、図13のフローチャートに示す。以下、図13のフローチャートの各ステップ(各工程)について説明する。その図13は、実施例1における評価部16にて実行されるムラ測定制御処理(ムラ測定方法)における絶対値算出制御処理を示すフローチャートである。この絶対値算出制御処理は、図3のフローチャートに示すように、図11に示す相対値算出制御処理が終了した後に開始される。なお、絶対値算出制御処理は、上述したように、相対値算出制御処理の前に行われるものであってもよく、相対値算出制御処理と同時に行われるものであってもよい。
ステップS31では、絶対値算出制御処理の開始、あるいはステップS35での全てのムラを算出対象としていないとの判断に続き、算出対象とするムラ(各明るい領域Bまたは各暗い領域Dのいずれか1つ)を決定して、ステップS32へ進む。このステップS31では、ムラ検出制御処理で検出された各ムラ(各明るい領域Bまたは各暗い領域D)のうち、未だ算出対象とされていないものの中からいずれか1つを選定して、算出対象を決定する。すなわち、絶対値算出制御処理を開始した直後にあっては、ムラ検出制御処理で検出された全てのムラの中からいずれか1つを選定し、ステップS35を経由した後にあっては、ムラ検出制御処理で検出された全てのムラのうち既に算出対象とされたものを除いた中からいずれか1つを選定する。
ステップS32では、ステップS31での算出対象とするムラの決定に続き、仮基準輝度Liを求めて、ステップS33へ進む。このステップS32では、上述したように、ステップS31で決定した算出対象とするムラ(各明るい領域Bまたは各暗い領域Dのいずれか1つ)における仮基準輝度Liを求める。
ステップS33では、ステップS32での仮基準輝度Liを求めることに続き、基準輝度Lbを求めて、ステップS34へ進む。このステップS33では、上述したように、ステップS31で決定した算出対象とするムラ(各明るい領域Bまたは各暗い領域Dのいずれか1つ)における基準輝度Lbを求める。
ステップS34では、ステップS33での基準輝度Lbを求めることに続き、絶対値MVを算出して、ステップS35へ進む。このステップS34では、上述したように式(9)により測定対象とする表示箇所51の算出対象とするムラの絶対値MVを算出する。
ステップS35では、ステップS34での絶対値MVの算出に続き、全てのムラを算出対象としたか否かを判断し、Yesの場合は絶対値算出制御処理を終了し、Noの場合はステップS31に戻る。このステップS35では、ムラ検出制御処理で検出された全てのムラを算出対象としたか否か、すなわち全てのムラの絶対値MVを算出したか否かを判断する。
これにより、絶対値算出制御処理では、測定対象とする表示箇所51において、ムラ検出制御処理により検出された全てのムラ(明るい領域Bおよび暗い領域D(それぞれゼロの場合も複数の場合もあり)の絶対値MVを算出することができる。
なお、実施例1の絶対値算出制御処理では、ムラ検出制御処理で検出された全てのムラを算出対象とするものとしていたが、算出対象とするムラの条件を設定するもの(例えば、各明るい領域Bのみを対象とする等)であってもよく、実施例1に限定されるものではない。
次に、ムラ測定制御処理(ムラ測定方法(図3のフローチャート))における評価値算出制御処理(ステップS6)について説明する。その評価値算出制御処理では、絶対値算出制御処理で算出した絶対値MVを用いて、評価値MI(評価値MuraIndex)を算出する。その評価値MIは、測定対象としての表示箇所51(表示装置50)において、ムラ検出制御処理で検出した各ムラが全体に及ぼす影響の観点からの評価としての数値を示す。この評価値算出制御処理を図14のフローチャートに示す。以下、図14のフローチャートの各ステップ(各工程)について説明する。その図14は、実施例1における評価部16にて実行されるムラ測定制御処理(ムラ測定方法)における評価値算出制御処理を示すフローチャートである。この評価値算出制御処理は、図3のフローチャートに示すように、図13に示す絶対値算出制御処理が終了した後に開始される。
ステップS41では、表示箇所51における各ムラの絶対値MVのうちの最も大きな絶対値MVを選出して、ステップS42へ進む。このステップS41では、測定対象とする表示箇所51において、絶対値算出制御処理(図13参照)により算出した各ムラ(明るい領域Bおよび暗い領域D)の絶対値MVのうち、最も大きな絶対値MVを選出する。
ステップS42では、ステップS41での最も大きな絶対値MVの選出に続き、その最も大きな絶対値MVの所定の割合となる値よりも大きな値の絶対値MVであるムラを全て選出して、ステップS43へ進む。このステップS42では、ステップS41で選出した最も大きな絶対値MVの所定の割合(実施例1では70%とする)となる値を算出する。そして、ステップS42では、測定対象とする表示箇所51において、算出した所定の割合(70%)となる値よりも大きな値の絶対値MVであるムラを全て(最大となるムラも含む)選出する。なお、この所定の割合は、適宜設定することができる。
ステップS43では、ステップS42での最も大きな絶対値MVの所定の割合となる値よりも大きな値の絶対値MVであるムラを全て選出することに続き、代表MVtを求めて、ステップS44へ進む。このステップS43では、ステップS42で選出した絶対値MVの平均値を算出し、その算出した値を測定対象とする表示箇所51における代表MVt(代表MuraValue(符号は絶対値MVとの区別のため、MVtとする))とする。なお、ステップS43では、測定対象とする表示箇所51において、最も大きな絶対値MVの所定の割合(70%)となる値よりも大きな値の絶対値MVとなるムラが他に存在しない場合、最も大きな絶対値MVをそのまま測定対象とする表示箇所51における代表MVtとする。
ステップS44では、ステップS43での代表MVtを求めることに続き、評価値MIを算出して、評価値算出制御処理を終了する。このステップS44では、算出した測定対象とする表示箇所51における代表MVtを用いて、式(10)により表示箇所51の評価値MIを算出する。なお、その式(10)における係数Aおよび係数Bの設定の方法については後述する。
MI=A×Log10(MVt)+B ・・・・(10)
次に、その式(10)における係数Aおよび係数Bの設定の方法を、図15のフローチャートに示す。以下、図15のフローチャートの各ステップ(各工程)について、図16および図17を用いて説明する。その図15は、実施例1における評価部16にて実行されるムラ測定制御処理(ムラ測定方法)の評価値算出制御処理において用いる式(10)における係数Aおよび係数Bの設定の方法を示すフローチャートである。この係数Aおよび係数Bの設定のために、先ず、図16に示すように、測定対象とする表示箇所51(それを有する表示装置50)と等しい規格とされた複数の表示箇所51(表示装置50)をサンプルCn(nは、ゼロを除く自然数(図16に示す例ではn=1〜20))として用意する。なお、このサンプルCnの数(nの上限値)は、数十とすることが望ましい。
ステップS51では、各サンプルCnにおける代表MVtを求めて、ステップS52へ進む。このステップS51では、用意した各サンプルCnに対して、図14のフローチャートにおけるステップS41からステップS43までと同様の工程を行うことにより、各サンプルCnにおける代表MVtを求める。
ステップS52では、ステップS51での各サンプルCnにおける代表MVtを求めることに続き、その常用対数Lnを算出して、ステップS53へ進む。このステップS52では、ステップS51で求めた各サンプルCnにおける代表MVtを用いて、その常用対数Ln(Ln=Log10(MVt))を算出する。
ステップS53では、ステップS52での常用対数Lnの算出に続き、各サンプルCnにおける目視評価値Ewを決定して、ステップS54へ進む。このステップS53では、各サンプルCnに対して、検査官(例えば、ムラ測定装置10の使用者)が目視により評価値としての目視評価値Ewを決定する。この目視評価値Ewは、それぞれのサンプルCnを目視した検査官が、当該サンプルCnにおけるムラの程度を段階的な数値で示すものであり、その段階的な数値における良品と不良品との境界が設定されている。目視評価値Ewは、実施例1では、ムラが殆ど目立たないものを1として5までの5段階の数値で示すものとして、2以下を良品とし3以上を不良品としている(図17参照)。なお、この目視評価値Ewにおける段階的な数値の範囲(段階数)と、そこにおける良品と不良品との境界と、は、実施例1では操作部17(図1参照)の操作により設定可能とされている。
ステップS54では、ステップS53での目視評価値Ewの決定に続き、係数Aおよび係数Bを求めて、係数Aおよび係数Bの設定の処理(工程)を終了する。このステップS54では、図17に示すように、各サンプルCnを、常用対数Lnと目視評価値Ewとで示すグラフに記述する。そして、ステップS54では、その記述したグラフからM推定法(ロバスト推定法)を用いて、Ew=A×Ln+Bにおける係数Aおよび係数Bを求める。ここで、代表MVtを常用対数Lnとしているのは、各サンプルCnを図17に示すような直線状の式(Ew=A×Ln+B)で示すためである。
なお、この式(10)における係数Aおよび係数Bの設定では、各サンプルCnを目視評価値Ewで見て、その目視評価値Ewが取り得る範囲の全域に渡って満遍無く分布するように、各サンプルCn(等しい規格とされた複数の表示箇所51(表示装置50))を用意することが望ましい。その目視評価値Ewが取り得る範囲とは、ムラの程度を段階的な数値として設定した範囲であり、実施例1では、1から5となる。これは、以下のことによる。式(10)における係数Aおよび係数Bの設定では、上述したように各サンプルCnを常用対数Lnと目視評価値Ewとで示すグラフに記述し、その記述したグラフからM推定法(ロバスト推定法)を用いて、Ew=A×Ln+Bにおける係数Aおよび係数Bを求めている。このため、偏った範囲の目視評価値Ewのみを各サンプルCnとして用いると、Ew=A×Ln+Bが、目視評価値Ewが取り得る範囲の全域に渡る傾向を示しているものとはならない場面が生じる得ることが考えられる。よって、目視評価値Ewが取り得る範囲の全域に渡って満遍無く分布するように各サンプルCnを用意することにより、より適切に係数Aおよび係数Bすなわち式(10)を設定することができ、より適切に評価値MIを算出することができることとなる。
また、この式(10)における係数Aおよび係数Bの設定では、各サンプルCnにおける目視評価値Ewを決定する際(ステップS53)、検査する検査官による差異や、同一の検査官であっても検査した日の体調や精神面等の影響による差異を考慮して設定することが望ましい。
これにより、評価値算出制御処理では、上述したように求めた係数Aおよび係数Bを適用した式(10)を用いて評価値MIを算出することが可能となる。このため、評価値算出制御処理では、図14のフローチャートにおいて、ステップS41→ステップS42→ステップS43へと進むことにより測定対象とする表示箇所51における代表MVtを求め、ステップS44へと進むことによりその代表MVtを式(10)に当て嵌めることで測定対象とする表示箇所51の評価値MIを算出することができる。この評価値算出制御処理では、式(10)を用いて評価値MIを算出することから、当該評価値MIを実際に検査官が目視により決定した目視評価値Ewに極めて近いものとすることができる。また、評価値算出制御処理では、式(10)を用いて評価値MIを算出することから、当該評価値MIにおける分解能を目視評価値Ewよりも高いものとすることができる。そして、評価値算出制御処理では、このように算出した評価値MIを四捨五入することにより、目視評価値Ewと同様の段階的な数値とすることもできる。この場合、上述したように係数Aおよび係数Bを設定していることから、その段階的な数値を検査官が目視により決定した目視評価値Ewと略一致させることができる。
なお、実施例1の評価値算出制御処理では、代表MVtの常用対数Lnを用いていたが(図14のフローチャート参照)、常用対数とすることのない代表MVtと目視評価値Ewとを用いて、評価値MIを算出するための式(その定数)を求めるものとし、式(10)に替えて当該式により評価値MIを算出するものとしてもよい。
また、上記した係数Aおよび係数Bの設定の方法(図15のフローチャート)では、各サンプルCnにおける代表MVtの常用対数Lnを算出(ステップS51→ステップS52)の後に各サンプルCnにおける目視評価値Ewの決定(ステップS53)を行うものとしているが、順序を入れ替えるものであってもよく、同時に行うものであってもよく、実施例1に限定されるものではない。
次に、ムラ測定制御処理(ムラ測定方法(図3のフローチャート))における重み付け制御処理(ステップS3)について説明する。この重み付け制御処理は、ムラ検出制御処理により検出された各ムラ(明るい領域Bおよび暗い領域D)における各画素データの輝度値に対して、測定対象とする表示箇所51における位置に応じて適宜重み付けを行うものである。重み付け制御処理は、図3のフローチャートに示すように、相対値算出制御処理(ステップS4)、絶対値算出制御処理(ステップS5)およびそれに基づく評価値算出制御処理(ステップS6)を行う前に実行するものであり、相対値Semu、絶対値MVおよび評価値MIを求める元となる各画素データの輝度値の重要度合を適宜変化させる。そして、重み付け制御処理は、操作部17に為された操作に基づき、制御部13の制御下で適宜実行の有無や、後述する振幅倍率Rや、重み付けによる増大あるいは減少の方向性が設定される。
実施例1の重み付け制御処理では、図18に示すように、測定対象とする表示箇所51における上下左右の縁部および四隅に重み付けを行うことを可能としている。これは、実施例1では、測定対象とする表示箇所51が、FPDである表示装置50の表示画面とされていることによる。すなわち、FPDでは、上下左右の縁部および四隅に漏れ光が発生し易いことから、当該漏れ光がムラ検出制御処理により上下左右の縁部および四隅でムラとして検出された際の取り扱いを予め決めておくためである。その取扱いとは、例えば、漏れ光を問題としない(ムラとして扱わない)場合には、重み付けにより当該漏れ光を無視することができ、漏れ光を重要視する(ムラの中でも特に重要視する)場合には、重み付けにより当該漏れ光を強調する。
実施例1の重み付け制御処理では、重み付けを行うための重み付け領域AWを、次のように設定する。先ず、表示箇所51(表示画面)において、上下の縁部に設定領域As1を設定するとともに、左右の縁部に設定領域As2を設定する。この設定領域As1および設定領域As2は、実施例1では、測定対象とする表示箇所51(表示画面(評価用データEd))の全域に対する割合として、操作部17により設定する。詳細には、設定領域As1は、測定対象とする表示箇所51(表示画面(評価用データEd))を縦幅方向(図18を正面視して上下方向)で見た割合(パーセンテージ)として設定する。この設定領域As1は、実施例1の図18に示す例では、当該表示箇所51の縦幅方向の15%(上下の縁部のそれぞれに15%)に設定している。同様に、設定領域As2は、測定対象とする表示箇所51(表示画面(評価用データEd))を横幅方向(図18を正面視して左右方向)で見た割合(パーセンテージ)として設定する。この設定領域As2は、実施例1の図18に示す例では、当該表示箇所51の横幅方向の15%(左右の縁部のそれぞれに15%)に設定している。
そして、実施例1の重み付け制御処理では、表示箇所51において、上下の外縁辺部の中央の中心点Pc1を中心としつつ設定領域As1と設定領域As2との交点を通る楕円となる2つの境界線Bl1を設定する。また、表示箇所51において、左右の外縁辺部の中央の中心点Pc2を中心としつつ設定領域As1と設定領域As2との交点を通る楕円となる2つの境界線Bl2を設定する。さらに、表示箇所51において、四隅の頂点Pc3を中心としつつ設定領域As1と設定領域As2との交点を通る円となる4つの境界線Bl3を設定する。この各境界線Bl1、各境界線Bl2および各境界線Bl3と、表示箇所51における周縁部と、で囲まれた領域を重み付け領域AW(図18においてハッチを付した領域)とする。このように、実施例1の重み付け制御処理では、操作部17による設定領域As1および設定領域As2の設定に基づいて、重み付け領域AWを設定する。
このため、重み付け領域AWでは、表示箇所51における四隅の近傍において、それぞれ重複領域Ol1と重複領域Ol2と重複領域Ol3と(図18においてドットを付して示す)が形成されている。その各重複領域Ol1では、境界線Bl1で規定される領域と、境界線Bl3で規定される領域と、の2つの領域が重複している。また、各重複領域Ol2では、境界線Bl2で規定される領域と、境界線Bl3で規定される領域と、の2つの領域が重複している。そして、各重複領域Ol3では、境界線Bl1で規定される領域と、境界線Bl2で規定される領域と、境界線Bl3で規定される領域と、の3つの領域が重複している。その重み付け領域AWでは、表示箇所51における周縁部に向かうに連れて重み付けの値である重み値Weightの絶対値を大きくするように設定している。なお、表示箇所51における重み付け領域AW以外の領域(図18の例ではハッチが付されていない中央付近の領域)は、重み値Weightが1(振幅倍率R=100%)とされている。
実施例1では、重み値Weightは、各中心点(Pc1、Pc2、Pc3)から、それぞれが対応する各境界線Bl1、各境界線Bl2および各境界線Bl3へと向かうコサイン(cos)カーブに従って変化するものとしている。すなわち、境界線Bl1で規定される領域と、境界線Bl2で規定される領域と、境界線Bl3で規定される領域と、では、互いに異なるコサイン(cos)カーブに従って変化されて重み値Weightが設定されている。その重み値Weightが、図18に示す線分Ls上において変化する様子を図19のグラフに示す。この図19のグラフでは、縦軸を振幅倍率Rで示しており、R=100%を重み値Weight=1としている。すると、重み値Weightは、振幅倍率Rが0(ゼロ)%よりも大きく100%未満(ムラを弱める(ムラにおける各輝度値を減少させる))である場合と、振幅倍率Rが100%よりも大きい場合(ムラを強める(ムラにおける各輝度値を増大させる))と、振幅倍率Rが100%である場合と、で場合分けして式(11)で示すことができる。その式(11)では、対応する中心点(Pc1、Pc2、Pc3)から表示箇所51における任意の点Paまでの距離をdrとし、対応する中心点(Pc1、Pc2、Pc3)から任意の点Paを経て対応する境界線(Bl1、Bl2、Bl3)までの距離をdbとする(図18参照)。
このように設定された各重み値Weightは、0%<R<100%である(ムラを弱める)場合には、R≦Weight≦1となり、R>100%である(ムラを強める)場合には、1≦Weight≦Rとなる。ここで、実施例1では、境界線Bl1で規定される領域と、境界線Bl2で規定される領域と、境界線Bl3で規定される領域と、では、互いに異なるコサイン(cos)カーブに従って変化されて重み値Weightが設定されている。このため、実施例1では、各重複領域Ol1と各重複領域Ol2とにおいて、それぞれ2種類の重み値Weightが設定されていることとなり、各重複領域Ol3において、3種類の重み値Weightが設定されていることとなる。このことから、実施例1の重み付け制御処理では、重複して設定された重み値Weightのうち、最も突出した値を採用するものとしている。すなわち、実施例1の重み付け制御処理では、0%<R<100%である(ムラを弱める)場合には、複数の重み値Weightのうち最も小さなものを採用し、R>100%である(ムラを強める)場合には、複数の重み値Weightのうち最も大きなものを採用するものとしている。
このように実施例1における評価部16にて実行されるムラ測定制御処理(ムラ測定方法)の重み付け制御処理を、図20のフローチャートに示す。以下、図20のフローチャートの各ステップ(各工程)について説明する。この重み付け制御処理は、図3のフローチャートに示すように、重み付け制御処理を実行することが選択されている場面において、図4に示すムラ検出制御処理が終了した後に開始される。
ステップS61では、重み付け領域AWを設定して、ステップS62へ進む。このステップS61では、操作部17により設定された設定領域As1および設定領域As2の情報を取得し、その取得した設定領域As1および設定領域As2に基づいて重み付け領域AWを設定する(図18参照)。
ステップS62では、ステップS61での重み付け領域AWの設定に続き、重み付けによる方向性の設定を取得して、ステップS63へ進む。このステップS62では、操作部17により設定された重み付けによる方向性、すなわちムラにおける各輝度値を重み付けにより増大させるのか、ムラにおける各輝度値を重み付けにより減少させるのか、の方向性の情報を取得する。
ステップS63では、ステップS62での重み付けによる方向性の設定の取得に続き、振幅倍率Rの設定を取得して、ステップS64へ進む。このステップS63では、操作部17により設定された振幅倍率Rの情報を取得する。
ステップS64では、ステップS63での振幅倍率Rの設定の取得に続き、重み付け領域AW内のムラにおける各輝度値に重み付けを行って、重み付け制御処理を終了する。このステップS64では、式(11)を用いて、ムラ検出制御処理を行った後の重み付け領域AW(図18参照)内の任意の点Paにおける画素データの輝度値に対して適宜重み付けを行うことを、重み付け領域AW内のムラの全ての画素データに対して行う。
なお、上記した重み付け制御処理(図20のフローチャート)では、重み付け領域AWを設定(ステップS61)、重み付けによる方向性の設定の取得(ステップS62)、振幅倍率Rの設定の取得(ステップS63)の順に処理を行うものとしているが、それらの順序を適宜入れ替えるものであってもよく、それらを同時に行うものであってもよく、実施例1に限定されるものではない。
この重み付け制御処理では、式(11)を用いることで、ムラ検出制御処理を行った後の重み付け領域AW(図18参照)内の任意の点Paにおける画素データの輝度値に対して、設定された方向性に設定された振幅倍率Rで適宜重み付けを行うことができる。このため、ムラ測定制御処理では、適宜重み付けした画素データの輝度値に基づいて、相対値算出制御処理により相対値Semuを求め、絶対値算出制御処理により絶対値MVを求め、評価値算出制御処理により評価値MIを求める。これにより、実施例1のムラ測定制御処理では、測定対象とする表示箇所51において、上下左右の縁部および四隅における重要度を考慮しつつ相対値Semu、絶対値MVおよび評価値MIを求めることができる。
なお、重み付け制御処理(図20のフローチャート)では、上述したように重み付け領域AWおよびその中での重み値Weightを設定していたが、重み付け領域AWの設定、およびその中での重み値Weightの設定(変化の態様等)は、測定対象とする表示箇所の態様に応じて適宜設定すればよく、実施例1の構成に限定されるものではない。
次に、ムラ測定装置10を用いて表示装置50の表示箇所51におけるムラを測定する際の動作について説明する。先ず、図1に示すように、面測定機11を表示装置50の表示箇所51に対向させて配置する。この後の以下に示すムラ測定装置10での動作は、操作部17に為された操作に基づき、制御部13の制御下で適宜行われる。面測定機11では、表示箇所51となる平坦な画面が撮影対象とする範囲内に位置されて、当該表示箇所51にピントが合わせられることで、表示箇所51を含む範囲の面状で高い分解能の輝度データLdを取得する(図2(a)参照)。その輝度データLdは、制御機12のデータ取得部14に読み込まれて再生成部15に伝送され、その再生成部15での再生成処理により評価用データEdに再生成される(図2参照)。そしてその再生成された評価用データEdが評価部16へと伝送されて、その評価部16においてムラ測定制御処理が行われる。なお、その評価用データEdは、メモリ部19から評価部16へと伝送されたものであってもよい。そして、評価部16においてムラ測定制御処理が行われる評価用データEdは、表示部18に適宜表示される。
そのムラ測定制御処理では、図3のフローチャートにおいて、ステップS1へと進むことにより、ムラ検出制御処理(図4のフローチャート)が実行されて、評価用データEdを用いて表示箇所51におけるムラを検出する。すなわち、図4のフローチャートにおいて、ステップS11→ステップS12へと進むことにより、全体統計情報から指定上限値a1と指定下限値a2とを算出して、指定範囲Aaを求める(図5参照)。その後、図4のフローチャートにおいて、ステップS13へと進むことにより、指定範囲Aa内の各画素データから指定統計情報(平均Ave2、分散σ2 2、標準偏差σ2)を算出する(図6参照)。そして、図4のフローチャートにおいて、ステップS14へと進むことにより、指定範囲Aa内の各画素データにおける正規分布N(h)を求め(図7参照)、ステップS15へと進むことにより、その正規分布N(h)における半値半幅HWHM(図7参照)を算出する。その後、図4のフローチャートにおいて、ステップS16へと進むことにより、平均Ave2と半値半幅HWHMとを用いて上側閾値THBrightおよび下側閾値THDarkを求める(図8参照)。そして、図4のフローチャートにおいて、ステップS17へと進むことにより、評価用データEdの各画素データを3つの種類に分類し、表示箇所51を示す画像である評価用データEd(図9(a)参照)から、各画素データが3つの種類に分類された評価用データEd(図9(b)参照)を生成する。その後、図4のフローチャートにおいて、ステップS18へと進むことにより、3つの種類の分類に基づいて、明るい領域Bおよび暗い領域Dを設定する(図10参照)。その表示箇所51を示す画像である評価用データEd(図9(a)参照)、各画素データが3つの種類に分類された評価用データEd(図9(b)参照)、明るい領域Bおよび暗い領域Dが設定された評価用データEd(図10参照)は、表示部18に適宜表示される。この図10に示す例では、表示箇所51の四隅の周辺に4つの明るい領域B(個別に示す際には符号Bの後に1から4の番号を付して示す)が設定されるとともに、表示箇所51の上および左右の縁部に3つの暗い領域D(個別に示す際には符号Bの後に1から3の番号を付して示す)が設定されている。このように、ムラ検出制御処理では、表示箇所51における明るい領域Bおよび暗い領域Dを設定することができ、それらをムラとして検出する。
その後、ムラ測定制御処理では、図3のフローチャートにおいて、ステップS2へと進むことにより、重み付け制御処理を実行するか否かが判断される。そして、ムラ測定制御処理では、実行する旨の設定が為されている場合には重み付け制御処理を実行して相対値算出制御処理へ進み(ステップS2→ステップS3→ステップS4)、実行する旨の設定が為されていない場合には重み付け制御処理を実行することなく相対値算出制御処理へ進む(ステップS2→ステップS4)。そのムラ測定制御処理では、重み付け制御処理を実行する場合(ステップS2→ステップS3)、図20のフローチャートにおいて、ステップS61→ステップS62→ステップS63→ステップS64へと進むことにより、ムラ検出制御処理で検出したムラ、すなわち4つの明るい領域Bおよび3つの暗い領域Dにおける設定された重み付け領域AW内に位置する画素データの輝度値に対して、設定された方向性に設定された振幅倍率Rで適宜重み付けを行う。
そして、ムラ測定制御処理では、図3のフローチャートにおいて、ステップS4へと進むことにより、相対値算出制御処理(図11のフローチャート)が実行されて、ムラ検出制御処理で検出した各ムラ(4つの明るい領域Bおよび3つの暗い領域D)に対して、対応する画素データの輝度値(重み付け制御処理を実行した場合には重み付けされた輝度値)を用いて、相対値Semuを算出する。すなわち、相対値算出制御処理では、図11のフローチャートにおいて、ステップS21へ進むことにより、算出対象とするムラを決定する。その後、相対値算出制御処理では、図11のフローチャートにおいて、ステップS22へ進むことにより、算出対象とするムラのムラ平均コントラストCxと面積Sxとを求める。そして、相対値算出制御処理では、図11のフローチャートにおいて、ステップS23へ進むことにより、ムラ平均コントラストCxと面積Sxとを用いて式(7)により相対値Semuを算出する。相対値算出制御処理では、この各工程をムラ検出制御処理で検出された全てのムラに対して行うまで繰り返して(ステップS24→ステップS21)、全てのムラ(4つの明るい領域Bおよび3つの暗い領域D)の相対値Semuを算出する。
また、ムラ測定制御処理では、図3のフローチャートにおいて、ステップS5へと進むことにより、相対値算出制御処理(図13のフローチャート)が実行されて、ムラ検出制御処理で検出した各ムラ(4つの明るい領域Bおよび3つの暗い領域D)に対して、対応する画素データの輝度値(重み付け制御処理を実行した場合には重み付けされた輝度値)を用いて、絶対値MVを算出する。すなわち、絶対値算出制御処理では、図13のフローチャートにおいて、ステップS31へ進むことにより、算出対象とするムラを決定する。その後、絶対値算出制御処理では、図13のフローチャートにおいて、ステップS32へ進むことにより、算出対象とするムラにおける仮基準輝度Liを求め、ステップS33へ進むことにより、当該ムラにおける基準輝度Lbを求める。そして、絶対値算出制御処理では、図13のフローチャートにおいて、ステップS34へ進むことにより、算出対象とするムラの基準輝度Lbと平均Ave2(指定平均)と面積Sxとを用いて式(9)により絶対値MVを算出する。絶対値算出制御処理では、この各工程をムラ検出制御処理で検出された全てのムラに対して行うまで繰り返して(ステップS35→ステップS31)、全てのムラ(4つの明るい領域Bおよび3つの暗い領域D)の絶対値MVを算出する。なお、上述したように、各ムラにおける相対値Semuと絶対値MVとを求める順番については特に規定はなく、逆の順番であってもよく、同時に行うものであってもよい。その算出された各ムラにおける相対値Semuと絶対値MVとは、表示部18に適宜表示される。
そして、ムラ測定制御処理では、図3のフローチャートにおいて、ステップS6へと進むことにより、評価値算出制御処理(図14のフローチャート)が実行されて、絶対値算出制御処理により求めた絶対値MVに基づいて、評価値MIを算出する。すなわち、評価値算出制御処理では、図14のフローチャートにおいて、ステップS41へ進むことにより、表示箇所51における各ムラの絶対値MVのうちの最も大きな絶対値MVを選出する。その後、評価値算出制御処理では、図14のフローチャートにおいて、ステップS42へ進むことにより、選出した最も大きな絶対値MVの所定の割合となる値よりも大きな値の絶対値MVであるムラを全て選出する。そして、評価値算出制御処理では、図14のフローチャートにおいて、ステップS43へ進むことにより、選出した全てのムラの絶対値MVに基づいて代表MVtを求める。その後、評価値算出制御処理では、図14のフローチャートにおいて、ステップS44へ進むことにより、求めた代表MVtを用いて式(10)により評価値MIを算出する。
この評価値算出制御処理では、式(10)を用いていることから、目視評価値Ewよりも高い分解能を有する評価値MIを算出することができるとともに、その評価値MIを四捨五入することにより、目視評価値Ewと同様の段階的な数値とすることができる。その算出された測定対象とする表示箇所51における評価値MIや、それを四捨五入した値は、表示部18に適宜表示される。
本発明に係る一実施例としての実施例1のムラ測定方法(ムラ測定制御処理)では、測定対象とする表示箇所51の全領域での各輝度値から当該測定対象における全体統計情報(Ave1、σ1 2、σ1)を算出し、その全体統計情報から指定範囲Aaを算出する。また、ムラ測定方法では、その指定範囲Aa内の各輝度値から当該指定範囲Aaにおける指定統計情報(Ave2、σ2 2、σ2)を算出し、その指定統計情報から2つの閾値を算出し、その2つの閾値を用いて明るい領域Bと暗い領域Dとの2種類の領域を設定する。そして、ムラ測定方法では、設定した明るい領域Bと暗い領域Dとをムラとして検出する。このように、ムラ測定方法では、測定対象とする表示箇所51の全領域での各輝度値から直接ムラの検出のための基準を設定するのではなく、全領域での各輝度値から算出した指定範囲Aaでの各輝度値からムラの検出のための基準となる2つの閾値を設定する。このため、ムラ測定方法では、ムラ(明るい領域Bおよび暗い領域D)の検出のための2つの閾値を、表示箇所51の全領域での各輝度値の平均(平均Ave1)から大きく外れてはいない信頼性の高い各輝度値(画素データ)に基づいて設定することができる。換言すると、ムラ測定方法では、表示箇所51の全領域での各輝度値のうち、輝度値で見て大勢が分布する範囲の各輝度値(画素データ)に基づいて、ムラ(明るい領域Bおよび暗い領域D)の検出のための2つの閾値を設定することができる。これにより、ムラ測定方法では、ムラとして検出した明るい領域Bおよび暗い領域Dを、人間が目視により検出したムラに適合させることができる。これは、全領域での各輝度値から直接ムラの検出のための基準を設定すると、大勢が分布する範囲から突出した輝度値が含まれてしまうことにより、例えば、表示箇所51の全領域における輝度値の分布で見た画素データの個数のピーク値に近いもの(値)であってもムラとして検出してしまうことのように、人間が目視により検出したムラと適合しない場面が生じてしまうことによる。
また、ムラ測定方法では、測定対象とする表示箇所51の全領域における全体統計情報(Ave1、σ1 2、σ1)に基づいて算出した指定範囲Aaにおける指定統計情報(Ave2、σ2 2、σ2)を求め、その平均Ave2(指定平均)を基準としてムラの検出のための2つの閾値を設定する。このため、ムラ測定方法では、2つの閾値の基準となる平均Ave2を、表示箇所51の全領域における輝度値の平均Ave1よりも、表示箇所51の全領域における輝度値の分布で見た画素データの個数のピーク値に近いものとすることができる。これにより、ムラ測定方法では、その個数のピーク値に近い平均Ave2を基準として2つの閾値を設定するので、ムラとして検出した明るい領域Bおよび暗い領域Dを、人間が目視により検出したムラに適合させることができる。これは、全領域での各輝度値の平均Ave1を基準として2つの閾値を設定すると、平均Ave2よりも個数のピーク値に近くはない値を基準としてムラを検出してしまうことにより、人間が目視により検出したムラと適合しない場面が生じてしまうことによる。
さらに、ムラ測定方法では、測定対象とする表示箇所51の全領域における全体統計情報(Ave1、σ1 2、σ1)に基づいて算出した指定範囲Aaにおける指定統計情報(Ave2、σ2 2、σ2)を求め、その平均Ave2を基準としてムラの検出のための2つの閾値を設定する。このように、ムラ測定方法では、表示箇所51の全領域における輝度値の分布で見た画素データの個数のピーク値もしくは極大値と基準とするのではなく、上述したように求めた平均Ave2を基準としている。このため、ムラ測定方法では、ムラとして検出した明るい領域Bおよび暗い領域Dを、人間が目視により検出したムラにより適切に適合させることができる。これは、表示箇所51の全領域における輝度値の分布で見た画素データの個数では、複数の極大値が存在する場合があるので、単にピーク値もしくは極大値を基準としてしまうと、人間が目視により検出したムラと適合しない場面が生じてしまうことによる。
ムラ測定方法では、測定対象とする表示箇所51の全領域における全体統計情報(Ave1、σ1 2、σ1)に基づいて算出した指定範囲Aaにおける指定統計情報(Ave2、σ2 2、σ2)を求め、その平均Ave2を基準としてムラの検出のための2つの閾値を設定して、その2つの閾値を用いて明るい領域Bと暗い領域Dとの2種類の領域をムラとして検出する。このように、ムラ測定方法では、測定対象とする表示箇所(実施例1では表示箇所51(表示装置50))における統計情報(全体統計情報、指定統計情報)に基づいてムラ(明るい領域Bおよび暗い領域D)を検出している。このため、ムラ測定方法では、使用者等がパラメータ等を設定することなく、かつ測定対象とする表示箇所の種類や特性に拘わらず一定の基準でムラ(明るい領域Bおよび暗い領域D)を検出することができる。また、ムラ測定方法では、測定対象とする表示箇所における統計情報に基づいてムラを検出しているので、許容されるものであるか否か(全体に及ぼす影響の観点からの評価の観点での良品であるか否か)に拘わらず確実にムラを検出することができる。
ムラ測定方法では、個数のピーク値に近い平均Ave2を基準として指定範囲Aaにおける正規分布N(h)の半値半幅HWHMだけ変化した値に、全体の輝度値の平均Ave1と当該平均Ave2との差分ΔAveを、その差分ΔAveが正であるか負であるかに応じて一方の閾値の設定に用いる。そのムラ測定方法では、平均Ave1が平均Ave2よりも大きい場合、上側閾値THBright側に差分ΔAveを加算して(THBright=Ave2+HWHM+ΔAve)、上側閾値THBrightを算出する。また、ムラ測定方法では、平均Ave1が平均Ave2よりも小さい場合、下側閾値THDark側に差分ΔAveを加算(負の値であるから実質的に減算)して(THDark=Ave2−HWHM+ΔAve)、下側閾値THDarkを算出する。このため、ムラ測定方法では、表示箇所51の全領域における輝度値の平均Ave1を基準とすると、平均Ave1に対して平均Ave2が変位した側にΔAveだけ一方の閾値を変位させていることとなる。これにより、ムラ測定方法では、平均Ave2を基準とすると、測定対象とする表示箇所51の全体的な明るさに応じていずれか一方の閾値で規定されるムラとしない輝度値の範囲を広げることができる。このため、例えば、平均Ave2が全体の平均Ave1よりも小さいということは、表示箇所51が全体的に暗い傾向であるので、明るい箇所がより強調されて見える場面であるが、平均Ave2を基準として上側閾値THBrightを差分ΔAveだけ大きくすることで、見た目の感覚に適合させることができる。同様に、例えば、平均Ave2が全体の平均Ave1よりも大きいということは、表示箇所51が全体的に明るい傾向であるので、暗い箇所がより強調されて見える場面であるが、平均Ave2を基準として下側閾値THDarkを差分ΔAveだけ小さくすることで、見た目の感覚に適合させることができる。このため、ムラ測定方法では、ムラとして検出した明るい領域Bおよび暗い領域Dを、人間が目視により検出したムラにより適切に適合させることができる。
ムラ測定方法では、個数のピーク値に近い平均Ave2を基準として指定範囲Aaにおける正規分布N(h)の半値半幅HWHMだけ変化した値に、全体の輝度値の平均Ave1と当該平均Ave2との差分ΔAveを、その差分ΔAveが正であるか負であるかに応じて一方の閾値の設定に用いる。このため、ムラ測定方法では、平均Ave2を基準として、平均Ave1が変位する側に差分ΔAveだけ一方の閾値を変位させていることとなる。これにより、ムラ測定方法では、平均Ave2を基準とすると、大勢が分布する範囲から離れる輝度値の画素データであっても全体の平均Ave1を考慮していずれか一方の閾値で規定されるムラとしない輝度値の範囲を広げることができる。すなわち、平均Ave2が全体の平均Ave1よりも小さいということは、輝度値で見て大勢が分布する範囲よりも大きい領域に平均Ave1を押し上げるだけの大きい輝度値の画素データが存在することとなる。このため、平均Ave2を基準とすると上側閾値THBrightを差分ΔAveだけ大きくすることにより、平均Ave2に半値半幅HWHMを加算した値よりも大きくかつ上側閾値THBrightよりも小さな輝度値(その画素データ)をムラとして検出しないものとすることができる。同様に、平均Ave2が全体の平均Ave1よりも大きいということは、輝度値で見て大勢が分布する範囲よりも小さい領域に平均Ave1を押し下げるだけの小さい輝度値の画素データが存在することとなる。このため、平均Ave2を基準とすると下側閾値THDarkを差分ΔAveだけ小さくすることにより、平均Ave2から半値半幅HWHMを減算した値よりも小さくかつ下側閾値THDarkよりも大きな輝度値(その画素データ)をムラとして検出しないものとすることができる。このため、ムラ測定方法では、ムラとして検出した明るい領域Bおよび暗い領域Dを、人間が目視により検出したムラにより適切に適合させることができる。
ムラ測定方法では、測定対象とする表示箇所51の全領域における全体統計情報(Ave1、σ1 2、σ1)を算出し、その平均Ave1と標準偏差σ1とを用いて指定上限値a1と指定下限値a2とを算出して指定範囲Aaを求めている。このため、ムラ測定方法では、表示箇所51の全領域での各輝度値の平均(平均Ave1)から大きく外れてはいない信頼性の高い各輝度値(画素データ)をより適切に取り込めるように、指定範囲Aaを求めることができる。このため、ムラ測定方法では、ムラとして検出した明るい領域Bおよび暗い領域Dを、人間が目視により検出したムラにより適切に適合させることができる。
ムラ測定方法では、算出対象とするムラ(各明るい領域Bまたは各暗い領域Dのいずれか1つ)におけるムラ平均コントラスト(その値)を用いて、相対値Semuを算出する。このため、ムラ測定方法では、それぞれのムラの程度を、測定対象(表示箇所51)内での評価としての相対的な数値で示す相対値Semuを算出することができる。
ムラ測定方法では、人間が目視により検出したムラに適合する各ムラ(明るい領域Bおよび暗い領域D)に対して、それぞれのムラの程度を相対的な数値で示す相対値Semuを算出する。このため、ムラ測定方法では、人間が目視により検出したムラに適合する各ムラにおける各画素データ(その輝度値)に基づいて相対値Semuを算出することができるので、ムラの程度としての相対的な数値を適切に求めることができる。
ムラ測定方法では、算出対象とするムラにおける評価の基準となる輝度としての基準輝度Lbから、当該ムラを有する測定対象とする表示箇所51の指定範囲Aaにおける各輝度値の平均Ave2を減算した値を用いて、絶対値MVを算出する。このため、ムラ測定方法では、それぞれのムラの程度を絶対的な数値で示す絶対値MVを算出することができる。
ムラ測定方法では、人間が目視により検出したムラに適合する各ムラ(明るい領域Bおよび暗い領域D)に対して、それぞれのムラの程度を絶対的な数値で示す絶対値MVを算出する。このため、ムラ測定方法では、人間が目視により検出したムラに適合する各ムラにおける各画素データ(その輝度値)に基づいて絶対値MVを算出することができるので、ムラの程度としての絶対的な数値を適切に求めることができる。
ムラ測定方法では、基準輝度Lbから平均Ave2を減算した値を用いて絶対値MVを算出していることから、当該絶対値MVに基づいて人間の目視による評価である目視評価値Ewと相関のある指標としての評価値MIを算出することができる。これは以下のことによる。相対値Semuは、算出対象とするムラにおけるムラ平均コントラストを用いるものであることから、測定対象とした表示箇所51内における割合に基づくものとなるので、測定対象とした表示箇所51内における各ムラの違いを示す数値となり、測定対象とする表示箇所51(表示装置50)と等しい規格とされた各表示箇所51との比較には相応しくない。これに対し、絶対値MVは、基準輝度Lbから平均Ave2を減算した値である差分を用いるものであることから、絶対的な大きさに基づくものとなるので、測定対象とする表示箇所51(表示装置50)と等しい規格とされた各表示箇所51との比較が可能な数値となる。このため、ムラ測定方法では、絶対値MVを算出しているので、それに基づく代表MVtと目視評価値Ewとの関係式(式(10))を導くことができる。これにより、ムラ測定方法では、その関係式(式(10))を用いることで、当該絶対値MVに基づいて人間の目視による評価である目視評価値Ewと相関のある指標としての評価値MIを算出することができる。
ムラ測定方法では、輝度値で見て全画素数に対して所定の割合(実施例1では遠い方から30%)となる順番に位置する画素データの輝度値を仮基準輝度Liとし、算出対象とするムラをその仮基準輝度LiでA群とB群とに区画する。そして、ムラ測定方法では、そのB群における輝度値の範囲を、A群における輝度値の大きさであるA群輝度差αとB群における輝度値の大きさであるB群輝度差βとの比で分割し、その分割点となる輝度値を基準輝度Lbとする。このため、ムラ測定方法では、絶対値MVの算出のための基準輝度Lbを、算出対象とするムラにおける輝度値の分布の態様に適合させることができるので、より適切に絶対値MVを算出することができる。
ムラ測定方法では、絶対値MVを算出する算出式(式(9))において、基準輝度Lbと平均Ave2(指定平均)との差分の絶対値を分子としている。このため、ムラ測定方法では、算出対象とするムラにおける基準輝度Lbの表示箇所51の平均Ave2との差が大きくなるほど絶対値MVを大きな値とするとともに、当該差が小さくなるほど絶対値MVを小さな値とすることができる。ここで、測定対象(表示箇所51)では、算出対象とするムラにおける明るさが平均Ave2と乖離するほど、当該ムラが目立つこととなり、算出対象とするムラにおける明るさが平均Ave2に近付くほど、当該ムラが目立たなくなる。このため、ムラ測定方法では、算出したムラの程度を示す絶対的な数値である絶対値MVを、見た目の感覚に適合させることができる。
ムラ測定方法では、絶対値MVを算出する算出式(式(9))において、基本的に算出対象とするムラの面積Sxの逆数を分母としている。このため、ムラ測定方法では、算出対象とするムラの面積Sxが小さくなるほど絶対値MVを小さな値とするとともに、当該面積Sxが大きくなるほど絶対値MVを大きな値とすることができる。ここで、表示箇所51では、算出対象とするムラの面積Sxが小さくなるほど当該ムラが目立たなくなり、算出対象とするムラの面積Sxが大きくなるほど当該ムラが目立つこととなる。このため、ムラ測定方法では、算出したムラの程度を示す絶対的な数値である絶対値MVを、見た目の感覚により適合させることができる。
ムラ測定方法では、絶対値MVを算出する算出式(式(9))の分母において、算出対象とするムラの面積Sxを単純に逆数として用いるのではなく、ムラの面積Sxが人間の視覚に与える影響を考慮して設定した式(CJND)における逆数として当該面積Sxを用いている。このため、ムラ測定方法では、算出対象とするムラの面積Sxが極めて小さい場合には絶対値MVを極めて小さくすることができ、当該面積Sxが大きくなるにつれて絶対値MVを大きくすることができ、当該面積Sxがある程度を超えて大きくなると当該面積Sxの大きさの変化に対する絶対値MVの変化の割合を小さなものとすることができる。その絶対値MVの変化は、算出式(式(9))が式(CJND)を用いたものであることから、ムラの面積Sxが人間の視覚に与える影響を考慮したものとなる。このため、ムラ測定方法では、算出したムラの程度を示す絶対的な数値である絶対値MVを、見た目の感覚により適合させることができる。
ムラ測定方法では、絶対値MVを算出する算出式(式(9))の分母を、ムラの面積Sxを逆数として用いつつ当該面積Sxが人間の視覚に与える影響を考慮して設定した式(CJND)としている。このため、ムラ測定方法では、ムラの面積Sxが所定の大きさを超えるまでは、分母(式(CJND))を1よりも大きな値とし、かつ当該面積Sxが所定の大きさを超えると分母(式(CJND))を1よりも小さな値とすることができる。このことから、ムラ測定方法では、算出対象とするムラの面積Sxが所定の大きさを超えるまでは、ムラにおける明るさの影響を弱めた絶対値MVとし、かつ当該ムラの面積Sxが所定の大きさを超えると、ムラにおける明るさの影響を強調した絶対値MVとする。このため、ムラ測定方法では、算出したムラの程度を示す絶対的な数値である絶対値MVを、見た目の感覚により適合させることができる。
ムラ測定方法では、絶対値MVを算出する算出式(式(9))において、基準輝度Lbと平均Ave2(指定平均)との差分の絶対値を分子とし、ムラの面積Sxを逆数として用いつつ当該面積Sxが人間の視覚に与える影響を考慮して設定した式(CJND)を分母としている。このため、ムラ測定方法では、例えば、等しい平均Ave2(指定平均)の中に等しい基準輝度Lbとなる2つのムラが存在しているものとしても、それぞれのムラの面積Sxの大きさが異なるものであれば、当該面積Sxが小さいムラの絶対値MVを小さな値とし、当該面積Sxが大きいムラの絶対値MVを大きな値とする。同様に、ムラ測定方法では、例えば、等しい平均Ave2(指定平均)の中に等しい面積Sxの2つのムラが存在しているものとしても、それぞれのムラの基準輝度Lbが異なるものであれば、当該基準輝度Lbと平均Ave2との差分の絶対値が小さいムラの絶対値MVを小さな値とし、当該基準輝度Lbと平均Ave2との差分の絶対値が大きいムラの絶対値MVを大きな値とする。換言すると、ムラ測定方法では、例えば、面積Sxの小さいムラでは、面積Sxの大きいムラと比較すると、基準輝度Lbと平均Ave2との差分の絶対値を大きくしないと、すなわち平均Ave2に対する基準輝度Lbの差異を大きくしないと、絶対値MVを等しい値とすることができない。このため、ムラ測定方法では、面積Sxが小さくなるほど、より濃いムラもしくはより薄いムラしか絶対値MVを大きくすることはなく、面積Sxが大きくなるほど、それほど濃いムラもしくはそれほど薄いムラではなくても絶対値MVを大きくする。このように、ムラ測定方法では、平均Ave2に対する算出対象とするムラにおける明るさの影響と、当該ムラの面積Sxが人間の視覚に与える影響と、の双方のバランスを考慮した絶対値MVを算出することができる。よって、ムラ測定方法では、算出したムラの程度を示す絶対的な数値である絶対値MVを、見た目の感覚により適合させることができる。
ムラ測定方法では、適切に求められた絶対値MVを用いて評価値MIを算出するので、測定対象としての表示箇所51(表示装置50)において各ムラが全体に及ぼす影響の観点からの評価としての数値である評価値MIを適切に算出することができる。
ムラ測定方法では、測定対象としての表示箇所51において、その最も大きな絶対値MVの所定の割合(実施例1では70%)となる値よりも大きな値の絶対値MVであるムラを全て選出し、その選出した絶対値MVの平均値を算出して代表MVtとする。そして、ムラ測定方法では、その代表MVtを用いて評価値MIを算出する。このため、ムラ測定方法では、絶対値MVが最も大きなムラだけではなく、最も大きな絶対値MVの所定の割合(70%)となる値よりも大きなムラの絶対値MVを用いて、評価値MIの算出のための代表MVtを求めていることから、より適切に評価値MIを算出することができる。これは次のことによる。測定対象としての表示箇所51の各ムラにおけるムラの程度を示す絶対値MVの全ての平均値を用いた場合、算出した評価値MIが各ムラのうち絶対値MVが小さな値となる各ムラの影響を受けたものとなる。すると、代表MVtは、表示箇所51におけるムラとして最も目に入り易いものの値(絶対値MV)を小さくしたものとなってしまい、評価値MIは、その小さな値に基づくものとなってしまう。これに対して、ムラ測定方法では、最も大きな絶対値MVの所定の割合(70%)となる絶対値MVのみを用いていることから、絶対値MVが小さな値となる各ムラの影響を無くすことができ、代表MVtを表示箇所51におけるムラとして最も目に入り易いものの値(絶対値MV)を小さくしたものとすることを抑制することができる。ここで、単に絶対値MVが小さな値となる各ムラの影響を無くすだけであれば、最も大きい絶対値MVを代表MVtとすることも考えられる。しかしながら、ムラ測定方法では、上述したように最も大きな絶対値MVの所定の割合(70%)となる値よりも大きいすべての絶対値MVを用いて、評価値MIの算出のための代表MVtを求めている。これは以下のことによる。人間は、一般的に、測定対象(表示箇所51)全体の平均的な明るさに対して明るい箇所または暗い箇所をムラとして感じる。これは、各ムラの基準輝度が、測定対象(表示箇所51)全体におけるピーク値近辺の平均的な明るさとの差が大きいことを感じ取っているものと考えられる。このため、ムラ測定方法では、各ムラにおいて、このような明るさの差が大きいものほど、絶対値MVが大きな値となるものとしている。加えて、ムラ測定方法では、その絶対値MVを、ムラの面積も考慮して見た目の感覚により適合させた値としていることから、当該絶対値MVを見ることで各ムラの絶対的な程度を認識することを可能としている。このことから、測定対象(表示箇所51)全体の評価(評価値MIの算出)には、当該測定対象(表示箇所51)のうち最も大きい絶対値MVとなるムラのみを用いること(代表とすること)が相応しいものと考えられる。ところが、例えば、測定対象(表示箇所51)に同値程度の大きい絶対値MVを持つムラが複数個存在しているものとした場合、その各ムラのうちのいずれが最大のムラであるかを判断することは困難であるとともに、各ムラの程度を絶対値MVと同等に細かに順序付けすることも困難であり、検査官によって異なる見解が出てしまう場合がある。これは、人間がムラとして感じる際の分解能が絶対値MVの分解能よりも低いものであることから、当該絶対値MVが近くなるものでは人間がムラとして感じる際にバラつきが生じてしまうことに起因するものと考えられる。逆に、例えば、測定対象(表示箇所51)に最も大きい絶対値MVを持つムラの他には、それと大きな差がある小さい絶対値MVを持つムラが複数個存在しているものとした場合、その各ムラのうちのいずれが最大のムラであるかを判断することは容易であり、いずれの検査官であっても等しい見解が出るものと思われる。これは、人間がムラとして感じる際の分解能を超えた分だけ絶対値MVの差があれば、人間がムラとして感じる際にバラつきが生じないことに起因するものと考えられる。このように、人間が感じる測定対象(表示箇所51)全体の評価には曖昧さが含まれる。このため、ムラ測定方法では、最も大きな絶対値MVの所定の割合(70%)となる値よりも大きいすべての絶対値MVを用いて代表MVtを求めることにより、絶対値MVが小さな値となる各ムラの影響を無くしつつ、人間の曖昧さを加味することができる。換言すると、人間が感じる分解能よりも高い絶対値MVの最大値のみをそのまま代表MVtとして用いると、曖昧さを有する人間の感覚とは隔たりが生じてしまう虞がある。ここで、測定対象とする表示箇所51において、最も大きな絶対値MVの所定の割合(70%)となる値よりも大きな値の絶対値MVとなるムラが他に存在しない場合、最も大きな絶対値MVをそのまま測定対象とする表示箇所51における代表MVtとしている。この場合、最も大きい絶対値MVを持つムラの他には、曖昧さとして取り込みたい範囲を超えた小さな絶対値MVを持つムラしか存在しないこととなる。このような場面では、人間がムラとして感じる際にバラつきが生じないことから、絶対値MVが小さな値となる各ムラの影響を無くすことも併せて考えると、最も大きな値の絶対値MVをそのまま代表MVtとしても、曖昧さを有する人間の感覚とは隔たりが生じることを防止することができる。このことから、ムラ測定方法では、そのように求めた代表MVtに基づいて評価値MIを算出することにより、当該評価値MIを人間の見た目の感覚により適合させることができる。よって、ムラ測定方法では、より適切に評価値MIを算出することができる。
ムラ測定方法では、測定対象としての表示箇所51において、代表MVtを求める際に用いる絶対値MVの境界値を、最も大きな絶対値MVに対する所定の割合とするとともに、当該所定の割合を適宜設定可能なものとしている。このため、ムラ測定方法では、評価値MIを算出する際に、絶対値MVの大きさで見て、曖昧さとして取り込みたい範囲であるとともに影響を無くしたい範囲を、任意に設定することができる。このことから、ムラ測定方法では、例えば、測定対象(実施例1では表示箇所51)に応じたり、ムラ測定装置10の使用者の感覚に合わせたりして、評価値MIを算出する際の傾向を適宜設定することができるので、様々な測定対象に対応しつつムラ測定装置10の使用者の感覚に適合させることができ、使い勝手を向上させることができる。
ムラ測定方法では、評価値MIを算出するための式(10)における係数Aおよび係数Bを、測定対象とする表示箇所51(表示装置50)と等しい規格とされた複数の表示箇所51をサンプルCnとして用意して、それぞれの代表MVt(実施例1ではその常用対数Ln)と検査官による目視評価値Ewとに基づいて求める。このため、ムラ測定方法では、算出した評価値MIを、人間の目視による評価である目視評価値Ewと相関のある指標としての値とすることができ、実際に検査官が目視により決定した目視評価値Ewに極めて近いものとすることができる。
ムラ測定方法では、評価値MIを算出するための式(10)における係数Aおよび係数Bを求めるために用いる各サンプルCnの目視評価値Ewを、ムラの程度を段階的な数値で示すものとするとともに、その段階的な数値における良品と不良品との境界を設定している。このため、ムラ測定方法では、測定対象としての表示箇所51の代表MVt(実施例1ではその常用対数Ln)から式(10)を用いて評価値MIを算出することにより、当該評価値MIを、人間の目視による評価である目視評価値Ewと相関のある指標とすることができるとともに、人間の目視による良品と不良品との評価と相関のある指標とすることができる。このことから、ムラ測定方法では、細かなパラメータの設定を要することなくムラを定量化することができるとともに、それを人間の目視による段階的な評価に適合させて細分化(レベル分け)可能とすることができる。これに対し、上記した従来技術では、画素ムラ欠陥の有無を判断するための閾値としてのパラメータを設定する必要があるが、この閾値(パラメータ)を人間の目視による評価と相関のあるものとすることは困難である。よって、ムラ測定方法では、従来技術と比較して、簡易にかつ適切に人間の目視による評価(目視評価値Ew)と相関のある評価値MIを算出することを可能とすることができ、ムラに起因する表示箇所51の評価を見た目の感覚に適合させることができる。
ムラ測定方法では、評価値MIを算出するための式(10)における係数Aおよび係数Bを求めるために用いる各サンプルCnの目視評価値Ewを、ムラの程度を段階的な数値で示すものとするとともにその段階的な数値における良品と不良品との境界を設定して、実際に検査官が目視により決定している。このため、ムラ測定方法では、算出する評価値MIを、簡易にかつ適切に検査官すなわちムラ測定装置10の使用者の感覚に合わせたものとすることができる。よって、ムラ測定方法では、ムラ測定装置10の使用者の感覚に適合した評価値MIを算出するものとすることができるので、使い勝手を向上させることができる。
ムラ測定方法では、複数のサンプルCnを用いて求めた係数Aおよび係数Bにより規定される式(10)により評価値MIを算出しているので、その評価値MIにおける分解能を目視評価値Ewよりも高いものとすることができる。
ムラ測定方法では、複数のサンプルCnを用いて求めた係数Aおよび係数Bにより規定される式(10)により評価値MIを算出しているので、その評価値MIを四捨五入することにより目視評価値Ewと同様の段階的な数値とすることもでき、その段階的な数値を検査官が目視により決定した目視評価値Ewと略一致させることができる。
ムラ測定方法では、算出対象とするムラにおける輝度値の分布の態様に適合させた基準輝度Lbから、当該ムラを有する測定対象とする表示箇所51の指定範囲Aaにおける各輝度値の平均Ave2を減算した値を用いて、絶対値MVを算出する。また、ムラ測定方法では、その算出した絶対値MVに基づいて代表MVtを求める。さらに、ムラ測定方法では、同様の方法で複数のサンプルCnの代表MVtを算出するとともに、各サンプルCnの目視評価値Ewを検査官により求めている。ついで、ムラ測定方法では、各サンプルCnの目視評価値Ewと、各サンプルCnの代表MVt(その常用対数Ln)と、に基づいて式(10)における係数Aおよび係数Bを求める。そして、ムラ測定方法では、そのように求めた係数Aおよび係数Bを適用した式(10)に、上述したように求めた測定対象とする表示箇所51の代表MVtを当て嵌めることで、当該表示箇所51の評価値MIを算出する。このため、ムラ測定方法では、算出した評価値MIを実際に検査官が目視により決定した目視評価値Ewに極めて近いものとすることができる。
ムラ測定方法では、先ず、測定対象とする表示箇所(表示箇所51)における統計情報(全体統計情報、指定統計情報)に基づいて各ムラを検出する。その後、ムラ測定方法では、その検出した各ムラの絶対値MVを算出し、その絶対値MVを用いて測定対象とする表示箇所51における代表MVtを算出する。そして、ムラ測定方法では、ムラの程度を段階的な数値で示しつつ段階的な数値における良品と不良品との境界を設定した目視評価値Ewに基づいて求めた係数Aおよび係数Bを適用した式(10)により、測定対象とする表示箇所51の評価値MIを算出する。このため、ムラ測定方法では、先ず、使用者等がパラメータ等を設定することなく、かつ測定対象とする表示箇所の種類や特性に拘わらず一定の基準でムラ(明るい領域Bおよび暗い領域D)を検出することができる。そして、ムラ測定方法では、人間の目視による評価(目視評価値Ew)と相関のある指標であるとともに人間の目視による良品と不良品との評価と相関のある指標としての評価値MIを算出することができる。このため、ムラ測定方法では、細かなパラメータの設定を要することなくムラを定量化することができるとともに、それを人間の目視による段階的な評価に適合させて細分化(レベル分け)可能とすることができる。換言すると、ムラ測定方法では、測定対象とする表示箇所51における統計情報に基づいて一定の基準でムラを検出し、その検出した各ムラに基づいて定量化し人間の目視による段階的な評価に適合させて細分化(レベル分け)した評価値MIを算出することにより、検出した各ムラが許容できるものであるか否かの見極めを可能とすることができる。ここで、上記した従来技術では、人間の目視による評価と相関のあるものとすることが困難な閾値としてのパラメータを用いて、画素ムラ欠陥の有無を判断している。これに対し、ムラ測定方法では、各ムラを検出することとは別に、検出した各ムラに基づいて算出した人間の目視による評価(目視評価値Ew)と相関のある評価値MIで当該各ムラが許容できるものであるか否かの見極めを可能とする。よって、ムラ測定方法では、従来技術と異なり、一定の基準でムラを検出するとともに、その検出したムラが許容できるものであるかを見た目の感覚に適合させて判断することを可能とすることができる。
ムラ測定方法では、測定対象とする表示箇所51における統計情報に基づいて一定の基準でムラを検出し、その検出した各ムラに基づいて定量化し人間の目視による段階的な評価に適合させて細分化(レベル分け)した評価値MIを算出することにより、検出した各ムラが許容できるものであるか否かの見極めを可能とする。ここで、従来技術では、測定領域を複数のエリアに分割し、その各々のエリアにおいて標準偏差を求めていることから、分割したエリアに対するムラの大きさの差異の影響を受けてしまう。すなわち、従来技術では、例えば、分割したエリアの大きさに対してムラの大きさが格段に大きい場合、標準偏差自体が小さくなってしまう。このことから、従来技術では、分割したエリアの大きさがムラに対して適切ではない場合には、適切に画素ムラ欠陥の有無を判断することが困難となってしまう。これに対し、ムラ測定方法では、単一の領域を構成するもの(単一の塊)として各ムラを検出するとともに、その検出した各ムラに基づいて算出した人間の目視による評価(目視評価値Ew)と相関のある評価値MIで当該各ムラが許容できるものであるか否かの見極めを可能とする。このため、ムラ測定方法では、従来技術と異なり、検出した各ムラの大きさに拘わらず、当該ムラが許容できるものであるかを見た目の感覚に適合させて判断することを可能とすることができる。
ムラ測定方法では、面測定機11により測定対象とする表示箇所51を撮影するだけで、測定対象とする表示箇所51において各ムラ(各明るい領域Bおよび各暗い領域D)を検出して、その各ムラの相対値Semuおよび絶対値MVを算出する。また、ムラ測定方法では、その絶対値MVに基づいて、測定対象とする表示箇所51の評価値MIを算出し、その評価値MIを適宜四捨五入する。このため、ムラ測定方法では、面測定機11により測定対象とする表示箇所51を撮影するだけで、当該表示箇所51におけるムラを検出するとともに、その検出した各ムラに関する測定結果としての数値を算出するので、バラつきの無い判断基準に基づいて自動的な評価をすることができる。
ムラ測定方法では、検出した各ムラにおける重み付け領域AW内に位置する画素データの輝度値に対して適宜重み付けを行うことができる。このため、ムラ測定方法では、検出した各ムラが予め設定した重み付け領域AW内に位置する場合、予め設定したその重み付け領域AW内における各ムラの取り扱いに従って相対値Semu、絶対値MVおよび評価値MIを求めることができる。これにより、ムラ測定方法では、測定対象とする表示箇所(表示箇所51)の仕様や特性や要求される態様に応じて、相対値Semu、絶対値MVおよび評価値MIを求めることができ、使い勝手を向上させることができる。
ムラ測定方法では、求めた相対値Semu、絶対値MVおよび評価値MIを当該表示箇所51にフィードバックすることで、当該表示箇所51におけるムラを適切に補正したり、効率よく低減したりすることができる。
本発明に係るムラ測定装置の一実施例としての実施例1のムラ測定装置10では、本発明に係る一実施例としての実施例1のムラ測定方法(ムラ測定制御処理)を実行するものであることから、上述した各効果を得ることができる。
また、ムラ測定装置10では、ムラとしての各明るい領域Bおよび各暗い領域Dを設定すると、その各明るい領域Bおよび各暗い領域Dが表示された評価用データEdを、表示部18に適宜表示させる。このため、ムラ測定装置10の使用者は、測定対象とする表示箇所51において、設定された各ムラ(各明るい領域Bおよび各暗い領域D)を確認することができ、使い勝手を向上させることができる。
したがって、本発明に係る一実施例としての実施例1のムラ測定方法では、測定対象とする表示装置50の表示箇所51におけるムラの測定を適切に行うことができる。
次に、本発明の実施例2のムラ測定方法、およびそのムラ測定方法を用いる実施例2のムラ測定装置10B(図1参照)について、図21から図25を用いて説明する。この実施例2のムラ測定方法(ムラ測定装置10B)は、評価部16にて実行されるムラ測定制御処理(ムラ測定方法)における評価値算出制御処理が、実施例1のムラムラ測定方法(ムラ測定装置10)とは異なる例である。この実施例2のムラ測定方法(ムラ測定装置10B)は、基本的な構成および各工程は上記した実施例1のムラ測定方法(ムラ測定装置10)と同様であることから、等しい構成および工程の個所には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
実施例2のムラ測定方法(ムラ測定装置10B)では、ムラ測定制御処理(ムラ測定方法)の評価値算出制御処理において、評価値MIの算出するために式(12)および式(13)を設定している。
MI=A1×Log10(MVt)+B1 ・・・(12)
MI=A2×Log10(MVt)+B2 ・・・(13)
この式(12)および式(13)は、基本的に実施例1の評価値算出制御処理で評価値MIの算出に用いる式(10)と同様のものであり、それぞれ係数Aをそれとは異なる係数A1または係数A2とし、かつ係数Bをそれとは異なる係数B1または係数B2としたものである。先ず、この式(12)および式(13)における係数A1および係数B1と、係数A2および係数B2と、の設定の方法について説明する。図21は、実施例2のムラ測定装置10Bの評価部16にて実行されるムラ測定制御処理(ムラ測定方法)の評価値算出制御処理において用いる式(12)および式(13)における係数A1、係数B1、係数A2および係数B2の設定の方法を示すフローチャートである。以下、図21のフローチャートの各ステップ(各工程)について、図22から図24を用いて説明する。この係数A1、係数B1、係数A2および係数B2の設定のために、先ず、実施例1と同様に、測定対象とする表示箇所51(それを有する表示装置50)と等しい規格とされた複数の表示箇所51(表示装置50)をサンプルCnとして用意する。
ステップS71では、各サンプルCnにおける代表MVtを求めて、ステップS72へ進む。このステップS71では、用意した各サンプルCnに対して、実施例1の図14のフローチャートにおけるステップS41からステップS43までと同様の工程を行うことにより、各サンプルCnにおける代表MVtを求める。
ステップS72では、ステップS71での各サンプルCnにおける代表MVtを求めることに続き、その常用対数Lnを算出して、ステップS73へ進む。このステップS72では、ステップS71で求めた各サンプルCnにおける代表MVtを用いて、その常用対数Ln(Ln=Log10(MVt))を算出する。
ステップS73では、ステップS72での常用対数Lnの算出に続き、各サンプルCnにおける目視評価値Ewを決定して、ステップS74へ進む。このステップS73では、各サンプルCnに対して、検査官(例えば、ムラ測定装置10Bの使用者)が目視により評価値としての実施例1と同様の目視評価値Ewを決定する。
ステップS74では、ステップS73での目視評価値Ewの決定に続き、係数A0および係数B0を求めて、ステップS75へ進む。このステップS74では、図22に示すように、各サンプルCnを、常用対数Lnと目視評価値Ewとで示すグラフに記述する。そして、ステップS74では、その記述したグラフからM推定法(ロバスト推定法)を用いて、Ew=A0×Ln+B0における係数A0および係数B0を求める。ここで、代表MVtを常用対数Lnとしているのは、実施例1と同様に、各サンプルCnを図22に示すような直線状の式(Ew=A0×Ln+B0)で示すためである。なお、この係数A0および係数B0は、実施例1の図15のフローチャートで設定した係数Aおよび係数Bと同様のものとなる。
ステップS75では、ステップS74での係数A0および係数B0を求めることに続き、評価閾値THiを求めて、ステップS76へ進む。このステップS75では、ステップS74で用いた式(Ew=A0×Ln+B0)に、ステップS74で求めた係数A0および係数B0を適用するとともに、目視評価値Ewに良否境界値Bvを適用する(Bv=A0×Ln+B0)ことで、良否境界値Bvとなる常用対数Ln(代表MVt)を求める。そして、その求めた常用対数Lnを評価閾値THiとする。その良否境界値Bvは、目視評価値Ewにおける良品と不良品との境となる値である。実施例2では、目視評価値Ewを実施例1と同様のものとしていることから、2以下を良品とし3以上を不良品としているので、良否境界値Bvは2.5となる。このため、評価閾値THiは、(2.5=A0×THi+B0)により求めることができる。なお、目視評価値Ewにおける段階的な数値の範囲(段階数)と、そこにおける良品と不良品との境界と、は、実施例1と同様に操作部17(図1参照)の操作により設定可能とされていることから、それらの設定により良否境界値Bvは変化する。
ステップS76では、ステップS75での評価閾値THiを求めることに続き、各サンプルCnをOK群とNG群とに分類して、ステップS77へ進む。このステップS76では、各サンプルCnを、その代表MVtの常用対数Lnが評価閾値THiよりも小さいか否かを判断することによりOK群とNG群とに分類する。ステップS76では、図22に示すように、代表MVtの常用対数Lnが評価閾値THiよりも小さい値となるサンプルCnをOK群に分類し、代表MVtの常用対数Lnが評価閾値THiよりも大きい値となるサンプルCnをNG群に分類する。そして、実施例2では、常用対数Lnが評価閾値THiと等しい値となるサンプルCnをOK群に分類するものとする。なお、常用対数Lnが評価閾値THiと等しい値となるサンプルCnをNG群に分類するものとしてもよい。このとき、代表MVtの常用対数Lnと評価閾値THiとで分類していることから、目視評価値Ewが良否境界値Bv(2.5)より大きくても、OK群に分類されるサンプルCnが存在し得り、目視評価値Ewが良否境界値Bv(2.5)以下であっても、NG群に分類されるサンプルCnが存在し得る。
ステップS77では、ステップS76での各サンプルCnをOK群とNG群とに分類することに続き、係数A1および係数B1を求めて、ステップS78へ進む。このステップS77では、図23に示すように、OK群に分類した各サンプルCnを、ステップS72で算出した常用対数Lnと、ステップS73で決定した目視評価値Ewと、で示すグラフに記述する。そして、ステップS77では、その記述したグラフからM推定法(ロバスト推定法)を用いて、Ew=A1×Ln+B1における係数A1および係数B1を求める。ここで、代表MVtを常用対数Lnとしているのは、ステップS74と同様に、各サンプルCnを図23に示すような直線状の式(Ew=A1×Ln+B1)で示すためである。
ステップS78では、ステップS77での係数A1および係数B1を求めることに続き、係数A2および係数B2を求めて、係数A1、係数B1、係数A2および係数B2の設定の処理(工程)を終了する。このステップS78では、図24に示すように、NG群に分類した各サンプルCnを、ステップS72で算出した常用対数Lnと、ステップS73で決定した目視評価値Ewと、で示すグラフに記述する。そして、ステップS78では、その記述したグラフからM推定法(ロバスト推定法)を用いて、Ew=A2×Ln+B2における係数A2および係数B2を求める。ここで、代表MVtを常用対数Lnとしているのは、ステップS74およびステップS77と同様に、各サンプルCnを図24に示すような直線状の式(Ew=A2×Ln+B2)で示すためである。
なお、上記した係数A1、係数B1、係数A2および係数B2の設定の処理(工程)(図21のフローチャート)では、係数A1および係数B1を求めた(ステップS77)後に係数A2および係数B2を求める(ステップS78)ものとしているが、順序を入れ替えるものであってもよく、同時に行うものであってもよく、実施例2に限定されるものではない。
これにより、実施例2の評価値算出制御処理では、上述したように求めた係数A1および係数B1を適用した式(12)を用いて評価値MIを算出することと、上述したように求めた係数A2および係数B2を適用した式(13)を用いて評価値MIを算出することと、が可能となる。その式(12)は、上述したように、OK群に分類した各サンプルCnに基づいて求めた係数A1および係数B1を適用したものであることから、代表MVtを常用対数Lnで見てOK群に分類される表示箇所(表示箇所51)に適合している。また、式(13)は、上述したように、NG群に分類した各サンプルCnに基づいて求めた係数A2および係数B2を適用したものであることから、代表MVtを常用対数Lnで見てNG群に分類される表示箇所(表示箇所51)に適合している。
その式(12)または式(13)を用いる実施例2のムラ測定装置10Bの評価部16にて実行されるムラ測定制御処理(ムラ測定方法)の評価値算出制御処理を、図25のフローチャートに示す。以下、図25のフローチャートの各ステップ(各工程)について説明する。
ステップS81では、表示箇所51における各ムラの絶対値MVのうちの最も大きな絶対値MVを選出して、ステップS82へ進む。このステップS81では、測定対象とする表示箇所51において、絶対値算出制御処理(実施例1の図13参照)により算出した各ムラ(明るい領域Bおよび暗い領域D)の絶対値MVのうち、最も大きな絶対値MVを選出する。
ステップS82では、ステップS81での最も大きな絶対値MVの選出に続き、その最も大きな絶対値MVの所定の割合となる値よりも大きな値の絶対値MVであるムラを全て選出して、ステップS83へ進む。このステップS82では、ステップS81で選出した最も大きな絶対値MVの所定の割合(実施例2では70%とする)となる値を算出する。そして、ステップS82では、測定対象とする表示箇所51において、算出した所定の割合(70%)となる値よりも大きな値の絶対値MVであるムラを全て(最大となるムラも含む)選出する。なお、この所定の割合は、適宜設定することができる。
ステップS83では、ステップS82での最も大きな絶対値MVの所定の割合となる値よりも大きな値の絶対値MVであるムラを全て選出することに続き、代表MVtを求めて、ステップS84へ進む。このステップS83では、ステップS82で選出した絶対値MVの平均値を算出し、その算出した値を測定対象とする表示箇所51における代表MVtとする。なお、ステップS83では、測定対象とする表示箇所51において、最も大きな絶対値MVの所定の割合(70%)となる値よりも大きな値の絶対値MVとなるムラが他に存在しない場合、最も大きな絶対値MVをそのまま測定対象とする表示箇所51における代表MVtとする。
ステップS84では、ステップS83での代表MVtを求めることに続き、表示箇所51をOK群に分類するか否かを判断し、Yesの場合はステップS85へ進み、Noの場合はステップS86へ進む。このステップS84では、算出した測定対象とする表示箇所51における代表MVtの常用対数Lnを算出し、その算出した常用対数Lnが評価閾値THiよりも小さいか否かを判断することによりOK群もしくはNG群に分類する。その評価閾値THiは、係数A1、係数B1、係数A2および係数B2の設定の処理(工程)(図21のフローチャート)で用いたものと同様である。ステップS84では、算出した常用対数Lnが評価閾値THiよりも小さい値であると、測定対象とする表示箇所51をOK群に分類するものと判断し(Yes)、算出した常用対数Lnが評価閾値THiよりも大きい値であると測定対象とする表示箇所51をNG群に分類するものと判断する(No)。そして、実施例2では、算出した常用対数Lnが評価閾値THiと等しい値であると測定対象とする表示箇所51をOK群に分類するものと判断する(Yes)。なお、算出した常用対数Lnが評価閾値THiと等しい値であると測定対象とする表示箇所51をNG群に分類分類するものと判断する(No)ものとしてもよい。
ステップS85では、ステップS84での表示箇所51をOK群に分類するとの判断に続き、式(12)により評価値MIを算出して、評価値算出制御処理を終了する。このステップS85では、ステップS84で測定対象とする表示箇所51をOK群に分類したことから、上述した式(12)を用いて評価値MIを算出するものとする。すなわち、ステップS85では、算出した表示箇所51における代表MVtを用いて、上述した式(12)により表示箇所51の評価値MIを算出する。なお、このステップS85で算出した評価値MIでは、OK群に分類した(代表MVtの常用対数Lnが評価閾値THiよりも小さい)場面ではあるが、良否境界値Bv(2.5)を超える場合がある。その場合であっても、算出した評価値MIを、評価値算出制御処理による結果として出力するものとする。
ステップS86では、ステップS84での表示箇所51をOK群に分類しないとの判断に続き、式(13)により評価値MIを算出して、評価値算出制御処理を終了する。このステップS86では、ステップS84で表示箇所51をNG群に分類したことから、上述した式(13)を用いて評価値MIを算出するものとする。すなわち、ステップS86では、算出した測定対象とする表示箇所51における代表MVtを用いて、上述した式(13)により表示箇所51の評価値MIを算出する。なお、このステップS86で算出した評価値MIでは、NG群に分類した(代表MVtの常用対数Lnが評価閾値THiよりも大きい)場面ではあるが、良否境界値Bv(2.5)を下回る場合がある。その場合であっても、算出した評価値MIを、評価値算出制御処理による結果として出力するものとする。
これにより、実施例2の評価値算出制御処理では、図25のフローチャートにおいて、ステップS81→ステップS82→ステップS83へと進むことにより測定対象とする表示箇所51における代表MVtを求める。その後、実施例2の評価値算出制御処理では、図25のフローチャートにおいて、ステップS84へと進むことにより、ステップS83で求めた代表MVtに基づいて表示箇所51をOK群もしくはNG群に分類する。そして、実施例2の評価値算出制御処理では、OK群に分類した場合、図25のフローチャートにおいて、ステップS84→ステップS85へと進むことにより、表示箇所51における代表MVtを式(12)に当て嵌めることで測定対象とする表示箇所51の評価値MIを算出する。また、実施例2の評価値算出制御処理では、NG群に分類した場合、図25のフローチャートにおいて、ステップS84→ステップS86へと進むことにより、表示箇所51における代表MVtを式(13)に当て嵌めることで測定対象とする表示箇所51の評価値MIを算出する。
なお、実施例2の評価値算出制御処理では、代表MVtの常用対数Lnを用いていたが(図25のフローチャート参照)、常用対数とすることのない代表MVtと目視評価値Ewとを用いて、評価値MIを算出するための式(その定数)を求めるものとし、式(12)もしくは式(13)に替えて当該式により評価値MIを算出するものとしてもよい。
また、上記した係数A1、係数B1、係数A2および係数B2の設定の方法(図21のフローチャート)では、各サンプルCnにおける代表MVtの常用対数Lnを算出(ステップS71→ステップS72)の後に各サンプルCnにおける目視評価値Ewの決定(ステップS73)を行うものとしているが、順序を入れ替えるものであってもよく、同時に行うものであってもよく、実施例2に限定されるものではない。
実施例2のムラ測定方法(ムラ測定制御処理)では、基本的に実施例1のムラ測定方法(ムラ測定制御処理)と同様の構成であることから、基本的に実施例1と同様の効果を得ることができる。
それに加えて、実施例2のムラ測定方法(ムラ測定制御処理)では、評価値MIを算出する際、場面に応じて式(12)と式(13)とを使い分けているので、より適切に評価値MIを算出することができる。これは、以下のことによる。評価値MIの算出のための式(式(10))を単一のものとすると、そこにおける各係数(係数A、係数B)を求める際に、全てのサンプルCn(その代表MVt(その常用対数Ln)および目視評価値Ew)を用いることとなる。この全てのサンプルCnでは、それらが分布する全ての領域において、等しい単一の傾向を有しているものとは限らない。このため、単一の式(式(10))の各係数(係数A、係数B)には、傾向が変化することに起因して誤差が蓄積され易くなってしまい、それを用いた式(式(10))により算出する評価値MIに影響が及んでしまう虞がある。これに対し、実施例2のムラ測定方法では、場面に応じて式(12)と式(13)とを使い分けているため、傾向が異なっている場合であってもその影響を小さくすることができるので、各係数(係数A1、係数B1、係数A2、係数B2)に誤差が蓄積されることを抑制することができる。このため、実施例2のムラ測定方法では、より適切に評価値MIを算出することができる。
また、実施例2のムラ測定方法では、良否境界値Bvとなる常用対数Ln(代表MVt)を評価閾値THiとして、その評価閾値THiを基準として、評価値MIを算出するための式(式(12)、式(13))の使い分けを行っている。そして、実施例2のムラ測定方法では、その良否境界値Bvを、目視評価値Ewにおける良品と不良品との境となる値としている。このため、実施例2のムラ測定方法では、目視評価値Ewにおける良品と不良品との境となる値に基づいて、評価値MIを算出するための式(式(12)、式(13))の使い分けを行っているので、各式(式(12)、式(13))をより適切なものとすることができ、より適切に評価値MIを算出することができる。
したがって、本発明に係る一実施例としての実施例2のムラ測定方法では、測定対象とする表示装置50の表示箇所51におけるムラの測定を適切に行うことができる。
なお、上記した各実施例では、本発明に係る実施例1および実施例2としてのムラ測定方法(ムラ測定制御処理)について説明したが、表示箇所におけるムラを測定するムラ測定方法であって、前記表示箇所の全領域での各輝度値から前記表示箇所における全体統計情報を算出し、前記全体統計情報から輝度値で見た指定範囲を算出する工程と、前記指定範囲内の各輝度値から前記指定範囲における指定統計情報を算出し、前記指定統計情報から輝度値で見た2つの閾値を算出する工程と、2つの前記閾値を用いて前記表示箇所における明るい領域と暗い領域との2種類の領域を設定する工程と、を含み、設定した前記明るい領域と前記暗い領域とを前記表示箇所におけるムラとして検出するムラ測定方法であればよく、上記した各実施例に限定されるものではない。
また、上記した各実施例では、測定対象とする表示装置の表示箇所がFPDとされていたが、光源を用いて形成されて均一的な明るさでの表示が求められる面状の表示箇所を有する表示装置であれば、LEDや、プロジェクタにより投影されたスクリーンや、OLEDや、自動車のインストルメントパネル等であってもよく、上記した各実施例に限定されるものではない。なお、測定対象とする表示装置60が、例えば、図26に示すように、表示領域61に、各種の目盛り62、指針63、目盛りの表示内容等を示す表示記号64、および方向指示記号65が設けられた自動車のインストルメントパネルであるものとする。その表示装置60(インストルメントパネル)では、目盛り62、指針63、表示記号64および方向指示記号65に加えて、それらの背景となる表示領域61が光るものとされている。この場合、その表示装置60では、目盛り62、指針63、表示記号64および方向指示記号65を含む表示領域61が表示箇所51となる。このため、ムラ測定装置10(10B)では、面測定機11で表示箇所51としての表示領域61の輝度データLdを取得した後、再生成部15において表示領域61のみを切り抜いて評価用データを再生成するものとすればよい。また、例えば、表示領域61における背景となる箇所と、目盛り62、指針63、表示記号64および方向指示記号65と、で求められる明るさ等が異なる場合、その求められる明るさに応じて適宜重み付けを行うようにすればよい。すなわち、表示領域61における背景となる箇所や、目盛り62、指針63、表示記号64および方向指示記号65となる箇所を、それぞれ重み付け領域AWとして設定するとともに、それぞれにおける重み値Weightを適宜設定すればよい。
さらに、上記した各実施例では、ムラ測定制御処理(ムラ測定方法)の絶対値算出制御処理において、基準輝度Lbを上述したように求めていたが、算出対象とするムラにおける評価の基準となる輝度を示すものであれば、例えば、算出対象とするムラ(明るい領域Bまたは暗い領域D)における各画素データの輝度値の平均値を用いるものであってもよく、上記した各実施例に限定されるものではない。
上記した各実施例では、ムラ測定制御処理(ムラ測定方法)の絶対値算出制御処理において、仮基準輝度Liを求める際のA群とB群との画素データの個数の所定の割合(比率)を7:3としていたが、上記した絶対値算出制御処理と同様に基準輝度Lbおよび仮基準輝度Liを求めるものであれば、上記した所定の割合(比率)は適宜設定すればよく、上記した各実施例に限定されるものではない。
上記した各実施例では、評価値MIを算出するための代表MVtを上述したように求めていたが、最も大きな絶対値MVの所定の割合(各実施例では70%)を他の数値(0%から100%の任意の値)に変更するものであってもよく、所定の割合を設定することなく最も大きな絶対値MVのみを用いるものであってもよく、上記した各実施例に限定されるものではない。なお、最も大きな絶対値MVの所定の割合としたものから代表MVtを求めることによる上記した絶対値MVが小さな値となる各ムラの影響を無くしつつ人間の曖昧さを加味するという効果を得るためには、0%(全ての絶対値MVを用いる)や100%(単に最も大きい絶対値MVのみを用いる)とすることを除外する必要がある。ここで、測定対象(表示箇所51)において、最も大きな絶対値MVの所定の割合(各実施例では70%)となる値よりも大きな値の絶対値MVとなるムラが他に存在しない場合に、最も大きな絶対値MVをそのまま測定対象における代表MVtとすることは、当該測定対象における他のムラの絶対値MVを考慮した上で代表MVtの算出に用いていないことから、単に最も大きい絶対値MVのみを用いる場合とは異なり、上記した絶対値MVが小さな値となる各ムラの影響を無くしつつ人間の曖昧さを加味するという効果を得ることができる。
上記した各実施例では、面測定機11を用いていたが、測定対象とする表示箇所51の輝度データLd(評価用データEd)を取得することにより、その表示箇所51に対してムラ測定方法(ムラ測定制御処理)を実行することができるものであれば、輝度データLd(評価用データEd)を取得する方法やムラ測定装置10(10B)の構成が異なるものであってもよく、上記した各実施例に限定されるものではない。
以上、本発明のムラ測定方法を各実施例に基づき説明してきたが、具体的な構成については各実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。