図1は、本発明の実施形態に係るフォークリフトの全体を示す斜視図である。なお、同フォークリフトの構造を説明するにあたり、同フォークリフトの前部を側方から見た図2Aを適宜参照する。図1に示すフォークリフト100は、前方および左右の荷役を行うことが可能な3方向フォーク10と、作業者が搭乗し前記フォーク10とともに昇降動作する運転台3とを備えていて、荷物(図示省略)やパレット20(図2Aに図示)を格納するラック(図示省略)間に設けられた通路を走行しながらパレット作業およびピッキング作業を行う際に使用される。
フォークリフト100の車体1は、底部に設けられたタイヤ(図示省略)を床上で転動させることにより、前後方向F、Bへ走行する。車体1の前方(F方向側)には、左右一対のメインマスト2が上下方向U、Dと平行に立設されている。メインマスト2の前方には、作業者が搭乗する運転台3が設けられている。メインマスト2の後側(B方向側)には、油圧シリンダ(図示省略)がメインマスト2に沿うように設けられている。メインマスト2間には、チェーン4等が設けられている。油圧シリンダおよびチェーン4等は、本発明におけるメインリフト機構の一実施形態を構成し、油圧シリンダ等の駆動によって運転台3をメインマスト2に沿って上下方向U、Dへ昇降させる。
運転台3の床面部3aには、作業者がフォークリフト100を動かすために操作するレバーやスイッチ等を備えた操作盤5が設けられている。運転台3の前方には、シフトキャリッジともいわれるサブマスト6が上下方向U、Dと平行に立設されている。詳しくは、サブマスト6は運転台3の床面部3aと天井部3bに架設されている。サブマスト6の前方には、逆L字形のヘッド7が設けられている。ヘッド7の前方には、ローテイト軸8が上下方向U、Dと平行に設けられている。ローテイト軸8には、フィンガバー9等を介して一対のフォーク10が連結されている。フォーク10は、図2Aに示すようにパレット20の差込口20aに差し込まれて、パレット20を支持する。フォーク10およびフィンガバー9等は、本発明における荷支持手段の一実施形態を構成する。
ヘッド7の前側(F方向側)内部には、図2Aに示すようにローテイト軸8の上端部やギヤ11や油圧モータ(図示省略)等が設けられている。ヘッド7の前側下部(D方向側)には、ローテイト軸8の下端部をベアリング12を介して回転可能に支持する支持部7aが前方へ突出するように設けられている。ローテイト軸8、ギヤ11、および油圧モータ等は、本発明におけるローテイト機構の一実施形態を構成し、油圧モータ等の駆動によってローテイト軸8を回転させることにより、フォーク10(詳しくは、フォーク10とフィンガバー9等)を図1に矢印Qで示すように鉛直軸J回りに180°旋回させる。ローテイト軸8は、フォーク10の旋回中心として機能している。
サブマスト6の内部には、上下方向U、Dと平行にシャフト(図示省略)が設けられている。シャフトには、運転台3の床面部3aと天井部3bの前側に連結されたラックギヤ13と噛み合うようにピニオンギヤ(図示省略)が連結されている。ヘッド7の後側内部には、シャフトを回転させる油圧モータやギヤ(図示省略)が設けられている。シャフト、ラックギヤ13、ピニオンギヤ、油圧モータ、およびギヤ等はサブリフト6とともに、本発明におけるサイドシフト機構の一実施形態を構成し、油圧モータ等の駆動によってサブリフト6を左右方向L、Rへ移動させることにより、フォーク10、ヘッド7、および上記ローテイト機構を左右方向L、Rへ横行させる。
サブマスト6の前側には、ヘッド7の内部でサブマスト6やヘッド7の内壁に連結された油圧シリンダ14やチェーン15等が設けられている。ヘッド7の後側内部には、例えば図2Aに示すようにガイドローラ16がサブマスト6に沿って転動するように設けられている。なお、図2Aでは、油圧シリンダ14やチェーン15等は図示を省略している。油圧シリンダ14、チェーン15、およびガイドローラ16等は、本発明におけるサブリフト機構の一実施形態を構成し、油圧シリンダ等の駆動によってフォーク10、ヘッド7、および上記ローテイト機構をサブマスト6に沿って上下方向U、Dへ昇降させる。また、上記サブリフト機構は前述のメインリフト機構とともに、本発明におけるリフト機構を構成する。
図2A〜図3は、本発明の第1実施形態に係るパレット固定構造を示す図である。詳しくは、図2A〜図2Dは、同構造をフォークリフト100の右方から見た側面図であり、図3は、同構造の分解状態をフォークリフト100の後方から見た斜視図である。例えば図2Aに示すように、各フォーク10の根元(フィンガバー9側)下部には、ロックレバー21が設けられている。詳しくは、ロックレバー21は、図3に示すように受皿形をしていて、側面の中央に形成された貫通孔21aと、各フォーク10の背面に固定されているブロック22に形成された貫通孔22aとに軸23を貫通することによって、各フォーク10の根元下部に回転可能に連結されている。ロックレバー21の先端部21cは、図2Aに示すようにフォーク10とともにパレット20の差込口20aに差し込まれる。
各ロックレバー21の後端部21dには、貫通孔21bが形成されていて、各貫通孔21bにロッド24を貫通することにより、図2Aに示すようにロックレバー21の後端部21dにロッド24が水平に連結されている。ロッド24の中央部は、ローテイト軸8の下方に配置された円柱体25の上下端に形成されたフランジ25a間に係合されている。円柱体25の上面には、ガイド軸26が固定されている。ガイド軸26は、ローテイト軸8の内部に上下方向U、Dへ移動可能に嵌入されて支持されている。円柱体25の上面とローテイト軸8の下面との間のガイド軸26の周囲には、コイルばね27が設けられている。円柱体25は、コイルばね27によって下方へ付勢された状態で、ローテイト軸8の下方に上下方向U、Dへ移動可能に設けられている。
ガイド軸26より後方の円柱体25の上面には、プレート28を介して引棒29が上下方向U、Dと平行に固定されている。引棒29は、ヘッド7の支持部7aを貫通していて、ローテイト軸8の回転につられて円柱体25が回転しないように円柱体25を拘束している。引棒29の上部には被覆付きのワイヤ31の一端が接続されている。ワイヤ31は、支持部7aの上面に固定されたワイヤガイド32を貫通し、ヘッド7の側方を通って、カムレバー33の前側の端部に他端を接続されている。カムレバー33は、ヘッド7の下面にブラケット34と軸35を介して回転可能に連結されていて、フォーク10とともに昇降可能かつ横行可能となっている。カムレバー33の後側の端部には、カムフォロア36が取り付けられている。カムフォロア36は、フォーク10の昇降をガイドするサブマスト6の前面に当接しながら転動する。
サブマスト6の前面には、薄板形のドグ37が設けられている。詳しくは、ドグ37は、フォーク10が昇降可能範囲の最下位置Pminよりも距離H1だけ高い第1の位置P1にあるときに、カムレバー33のカムフォロア36の中心がある位置P1’から、フォーク10が第1の位置P1よりも距離H2だけ高くかつ昇降可能範囲の最上位置Pmaxよりも距離H3だけ低い第2の位置P2にあるときに、カムレバー33のカムフォロア36の中心がある位置P2’に到るようにサブマスト6の前面に設けられている。なお、本第1実施形態では、フォーク10とカムフォロア36の中心とはフォークリフト100が接地している床面(図示省略)から略同一高さに設けられているため、位置P1と位置P1’、位置P2と位置P2’はそれぞれ略同一高さにある。
最下位置Pminから第1の位置P1までの高さは、一般にパレット20の差込口20aに対してフォーク10を差し込んだり抜き去ったりするときの高さである。第2の位置P2から最上位置Pmaxまでの高さは、運転台3を上昇させただけでは届かずフォーク10も上昇させなければならないような高所にあるパレット20の差込口20aに対してフォーク10を差し込んだり抜き去ったりするときの高さである。第1の位置P1から第2の位置P2までの高さは、一般にフォーク10で掬い上げて支持したパレット20を搬送したり、当該パレット20を使用してピッキング作業を行ったりするときの高さである。つまり、最下位置Pminから第1の位置P1までの高さおよび第2の位置P2から最上位置Pmaxまでの高さは、フォーク10でパレット20の荷役を行うときの高さである。フォーク10がサブマスト6に沿って昇降することにより、カムフォロア36がドグ37に当接して乗り上げ、カムレバー33が軸35を中心に時計回りに回転する。また、カムフォロア36がドグ37に当接しなくなると、後述するようにコイルばね27の弾性力によってカムレバー33が軸35を中心に反時計回りに回転して、ドグ37との当接により回転する前の状態(サブマスト6の前面に当接する状態)に復帰する。
上記第1実施形態の構造において、ロックレバー21は、本発明におけるパレット固定手段の一実施形態を構成する。コイルばね27は、本発明における復帰部材の一実施形態を構成し、カムレバー33およびドグ37とともに、本発明における作動力発生手段の一実施形態を構成する。ワイヤ31は、本発明における接続部材の一実施形態を構成し、ロッド24および円柱体25とともに、本発明における作動力伝達発生手段の一実施形態を構成する。
図2Aに示すようにフォーク10を最下位置Pminと第1の位置P1との間の高さに位置させているときは、カムフォロア36がドグ37に当接しない。このときは、コイルばね27の弾性力によって、円柱体25が下方へ押し下げられて、プレート28と引棒29とを介してワイヤ31を引っ張り、カムレバー33を反時計回りに回転させて、カムフォロア36をサブマスト6に当接させている。また、コイルばね27の弾性力によって、円柱体25が下方へ押し下げられて、ロッド24を介してロックレバー21を、先端部21cがフォーク10に近づく方向(図2Aでは反時計回りの方向)へ回転させて、パレット20の上側デッキボード20bおよび下側デッキボード20cから離間する姿勢(フォーク10と略平行な姿勢)で保持している。この状態では、ロックレバー21に邪魔されることなく、ラックの格納空間や床面等の所定の場所に載置されたパレット20の差込口20aに、フォーク10を根元まで差し込める。
図2Aに示すようにパレット20の差込口20aにフォーク10を根元まで差し込んだ後、所定の場所からパレット20を掬い上げるために、サブマスト6に沿ってフォーク10を上昇させて行く。そして、図2Bに示すようにフォーク10を第1の位置P1と第2の位置P2との間の高さまで上昇させると、カムフォロア36がドグ37に当接して乗り上げ、カムレバー33が時計回りに回転する。このため、カムレバー33の回転力がコイルばね27の弾性力に打ち勝ち、当該回転力によって、ワイヤ31が引っ張られ、引棒29を介して円柱体25が上方へ持ち上げられて、ロッド24を介してロックレバー21を、先端部21cがフォーク10から離れる方向(図2Bでは時計回りの方向)へ回転させて、先端部21cでフォーク10に支持されたパレット20の下側デッキボード20cを押圧する。この状態では、パレット20の上側デッキボード20bがフォーク10の上面に支持され、下側デッキボード20cがロックレバー21の先端部21cに支持されるので、パレット20がフォーク10に固定され、フォーク10上でパレット20が傾くことはない。
図2Bに示すようにパレット20をフォーク10に固定した後、所定の場所にパレット20を載置するために、サブマスト6に沿ってフォーク10を昇降させて行く。そして、図2Cに示すようにフォーク10を最下位置Pminと第1の位置P1との間の高さまで下降させると、または、図2Dに示すようにフォーク10を第2の位置P2と最上位置Pmaxとの間の高さまで上昇させると、カムフォロア36がドグ37に当接しなくなる。このため、コイルばね27の弾性力によって、円柱体25が下方へ押し下げられて、プレート28と引棒29とを介してワイヤ31を引っ張り、カムレバー33を反時計回りに回転させて、ドグ37との当接により回転する前の状態、即ちカムフォロア36がサブマスト6に当接する状態に復帰させる。また、コイルばね27の弾性力によって、円柱体25が下方へ押し下げられて、ロッド24を介してロックレバー21を、先端部21cがフォーク10に近づく方向へ回転させて、パレット20の上側デッキボード20bおよび下側デッキボード20cから離間する姿勢で保持する。この状態では、フォーク10を若干下降させて、パレット20を所定の場所に載置した後、ロックレバー21に邪魔されることなく、パレット20の差込口20aからフォーク10を引き抜ける。
上述した第1実施形態の構造によると、ロックレバー21を荷支持手段の一構成部品であるフォーク10に連結しているので、フォーク10がローテイト軸8を中心にしてQ方向(図1)に旋回したり、サブマスト6やヘッド7等とともに左右方向L、R(図1)に横行したりしても、ロックレバー21がフォーク10の旋回動作と横行動作に追従して、フォーク10の向きとロックレバー21の向きとを常に略同じにすることができる。このため、フォーク10が旋回したり横行したりしても、パレット20を固定可能な位置からロックレバー21をずれないようにすることが可能となる。
また、カムレバー33がドグ37に当接して回転する回転力を、ワイヤ31、円柱体25、およびロッド24によってロックレバー21に伝達するので、フォーク10が旋回したり横行したりしても、ロッド24がフォーク10の旋回動作に追従し、ドグ37、カムレバー33、ワイヤ31、円柱体25、およびロッド24がフォーク10の横行動作に追従して、カムレバー33の回転力をロックレバー21に確実に伝達することができる。このため、フォーク10が旋回したり横行したりしても、ロックレバー21を先端部21cがフォーク10から離れる方向へ回転させて、先端部21cでフォーク10に支持されたパレット20の下側デッキボード20cを押圧し、パレット20をフォーク10に固定することが可能となる。
また、カムレバー33がドグ37に当接しなくなってワイヤ31を引っ張っていないときに、コイルばね27の弾性力(カムレバー33を復帰させる力)を円柱体25およびロッド24によってロックレバー21に伝達するので、フォーク10が旋回したり横行したりしても、ロッド24がフォーク10の旋回動作に追従し、コイルばね27、円柱体25、およびロッド24がフォーク10の横行動作に追従して、コイルばね27の弾性力をロックレバー21に確実に伝達することができる。このため、フォーク10が旋回したり横行したりしても、ロックレバー21を先端部21cがフォーク10に近づく方向へ回転させて、パレット20の下側デッキボード20cおよび上側デッキボード20bから離間する姿勢で保持し、パレット20のフォーク10への固定を解除することが可能となる。
また、パレット20の固定時または固定解除時に、フォーク10が旋回したり横行したりしても、ロッド24がフォーク10の旋回動作に追従し、ドグ37、カムレバー33、ワイヤ31、円柱体25、およびロッド24がフォーク10の横行動作に追従するため、円柱体25が上下方向U、Dに移動せず、ロッド24が円柱体25のフランジ25a間から外れないようにすることができる。このため、ロックレバー21のパレット20の下側デッキボード20cを押圧している姿勢またはパレット20の下側デッキボード20cおよび上側デッキボード20bから離間する姿勢が保持され、パレット20の固定状態または固定解除状態を維持することが可能となる。
さらに、サブマスト6のP1’位置からP2’位置に到るようにドグ37を設けたので、フォーク10が第1の位置P1から第2の位置P2までの高さに位置しているとき、即ちフォーク10がパレット20の荷役を行うときの高さに位置していないときに、カムレバー33がドグ37に当接して回転し、当該回転力によってロックレバー21を先端部21cがフォーク10から離れる方向へ回転させて、パレット20の固定状態(図2Bの状態)に作動させることができる。また、フォーク10が最下位置Pminから第1の位置P1までの高さまたは第2の位置P2から最上位置Pmaxまでの高さに位置しているとき、即ちフォーク10がパレット20の荷役を行うときの高さに位置しているときに、カムレバー33がドグ37に当接しなくなって、コイルばね27の弾性力によってロックレバー21を先端部21cがフォーク10に近づく方向へ回転させて、パレット20の固定解除状態(図2A、図2C、および図2Dの状態)に作動させることができる。つまり、サブマスト6に沿ったフォーク10の昇降動作に基づいて、カムレバー33またはコイルばね27がロックレバー21を作動させる力を発生して、ロックレバー21を運転台3の昇降動作とは独立して自動的に作動させることができる。このため、フォーク10を昇降させて、最下位置Pminから第1の位置P1までの高さ、または第2の位置P2から最上位置Pmaxまでの高さに位置させることで、ロックレバー21がパレット20の固定解除状態に作動するので、ロックレバー21に邪魔されることなく、所定の場所に載置されたパレット20の差込口20aにフォーク10を根元まで差し込んで、当該パレット20を掬い上げることが可能となる。また、フォーク10でパレット20を掬い上げた後に、フォーク10を昇降させて、第1の位置P1から第2の位置P2までの高さに位置させることで、ロックレバー21がパレット20の固定状態に作動するので、ロックレバー21によってパレット20をフォーク10に固定することが可能となる。さらに、パレット20をフォーク10に固定した後、フォーク10を昇降させて、最下位置Pminから第1の位置P1までの高さまたは第2の位置P2から最上位置Pmaxまでの高さに位置させることで、ロックレバー21がパレット20の固定解除状態に作動するので、フォーク10で支持しているパレット20を所定の場所に載置して、当該パレット20の差込口20aからフォーク10を引き抜くことが可能となる。
図4A〜図4Dは、本発明の第2実施形態に係るパレット固定構造を示す図である。詳しくは、図4A〜図4Dは、同構造をフォークリフト100の右方から見た側面図である。なお、上述した図2A〜図3と同一部分については同一符号を付している。例えば図4Aに示すように、各フォーク10の根元下部には、ロックレバー21が回転可能に連結されている。各ロックレバー21の後端部21dには、ロッド24が水平に連結されている。ロッド24の中央部は、ローテイト軸8の下方に上下方向U、Dへ移動可能に設けられた円柱体25のフランジ25a間に係合されている。ロックレバー21、ロッド24、および円柱体25の形状と連結・係合状態は、図3に示したのと同一である。
円柱体25の後方上面にプレート28を介して固定された引棒29の上部には、被覆付きのワイヤ41の一端が接続されている。ワイヤ41は、真直性が高く、ヘッド7の内部を通って、カムレバー43に他端を接続されている。カムレバー43は、ヘッド7の内壁に軸45を介して回転可能に連結されていて、フォーク10とともに昇降可能かつ横行可能となっている。カムレバー43の先端部には、カムフォロア46が取り付けられていて、中央部には、コイルばね44の一端が引っ掛けられている。コイルばね44は、ヘッド7の内壁に他端を引っ掛けられていて、カムフォロア46がサブマスト6の前面に当接するように、カムレバー43をB方向に付勢している。
サブマスト6の前面には、ドグ47a、47bが設けられている。詳しくは、ドグ47aは、フォーク10が昇降可能範囲の最下位置Pminから第1の位置P1までにあるときに、カムレバー43のカムフォロア46の中心がある位置P1’’ に渡るようにサブマスト6の前面に設けられ、ドグ47bは、フォーク10が昇降可能範囲の最上位置Pmaxから第2の位置P2までにあるときに、カムレバー43のカムフォロア46の中心がある位置P2’’ に渡るようにサブマスト6の前面に設けられている。前述したように、最下位置Pminから第1の位置P1までの高さおよび第2の位置P2から最上位置Pmaxまでの高さは、フォーク10でパレット20の荷役を行うときの高さであり、第1の位置P1から第2の位置P2までの高さは、パレット20の搬送やピッキング作業を行うときの高さである。フォーク10がサブマスト6に沿って昇降することにより、カムフォロア46がドグ47a、47bに当接して乗り上げ、カムレバー43が軸45を中心に反時計回りに回転する。また、カムフォロア46が47a、47bに当接しなくなると、後述するようにコイルばね44の弾性力によってカムレバー43が軸45を中心に時計回りに回転して、ドグ47a、47bとの当接により回転する前の状態(サブマスト6の前面に当接する状態)に復帰する。
上記第2実施形態の構造において、ロックレバー21は、本発明におけるパレット固定手段の一実施形態を構成する。コイルばね44は、本発明における復帰部材の一実施形態を構成し、カムレバー43およびドグ47a、47bとともに、本発明における作動力発生手段の一実施形態を構成する。ワイヤ41は、本発明における接続部材の一実施形態を構成し、ロッド24および円柱体25とともに、本発明における作動力伝達発生手段の一実施形態を構成する。
図4Aに示すようにフォーク10を最下位置Pminと第1の位置P1との間の高さに位置させているときは、カムフォロア46がドグ47aに当接して乗り上げ、カムレバー44がコイルばね44の弾性力に打ち勝つ力で反時計回りに若干回転している。このため、当該カムレバー44の回転力によって、ワイヤ41が押し出されて、引棒29を介して円柱体25を下方へ押し下げ、ロッド24を介してロックレバー21を、先端部21cがフォーク10に近づく方向(図4Aでは反時計回りの方向)へ回転させて、パレット20の上下のデッキボード20b、20cから離間する姿勢で保持している。この状態では、ロックレバー21に邪魔されることなく、ラックの格納空間や床面等の所定の場所に載置されたパレット20の差込口20aに、フォーク10を根元まで差し込める。
図4Aに示すようにパレット20の差込口20aにフォーク10を根元まで差し込んだ後、所定の場所からパレット20を掬い上げるために、サブマスト6に沿ってフォーク10を上昇させて行く。そして、図4Bに示すようにフォーク10を第1の位置P1と第2の位置P2との間の高さまで上昇させると、カムフォロア46がドグ47aに当接しなくなり、コイルばね44の弾性力によってカムレバー43が押されて時計回りに回転し、カムフォロア46がサブマスト6に当接する。即ち、コイルばね44の弾性力によってカムレバー43が、ドグ47aとの当接により回転する前の状態に復帰する。このため、当該コイルばね44の弾性力によって、ワイヤ41が引っ張られ、引棒29を介して円柱体25を上方へ持ち上げて、ロッド24を介してロックレバー21を、先端部21cがフォーク10から離れる方向(図4Bでは時計回りの方向)へ回転させて、先端部21cでフォーク10に支持されたパレット20の下側デッキボード20cを押圧する。この状態では、パレット20の上側デッキボード20bがフォーク10の上面に支持され、下側デッキボード20cがロックレバー21の先端部21cに支持されるので、パレット20がフォーク10に固定され、フォーク10上でパレット20が傾くことはない。
図4Bに示すようにパレット20をフォーク10に固定した後、所定の場所にパレット20を載置するために、サブマスト6に沿ってフォーク10を昇降させて行く。そして、図4Cに示すようにフォーク10を最下位置Pminと第1の位置P1との間の高さまで下降させると、または、図4Dに示すようにフォーク10を第2の位置P2と最上位置Pmaxとの間の高さまで上昇させると、カムフォロア46がドグ47aまたはドグ47bに当接して乗り上げ、カムレバー44がコイルばね44の弾性力に打ち勝つ力で反時計回りに回転する。このため、当該カムレバー44の回転力によって、ワイヤ41が押し出されて、引棒29を介して円柱体25を下方へ押し下げ、ロッド24を介してロックレバー21を、先端部21cがフォーク10に近づく方向へ回転させて、パレット20の上下のデッキボード20b、20cから離間する姿勢で保持する。この状態では、フォーク10を若干下降させて、パレット20を所定の場所に載置した後、ロックレバー21に邪魔されることなく、パレット20の差込口20aからフォーク10を引き抜ける。
上述した第2実施形態の構造によると、カムレバー43がドグ47a、47bに当接して回転する回転力を、ワイヤ41、円柱体25、およびロッド24によって、フォーク10の旋回動作と横行動作に追従可能なロックレバー21に伝達するので、フォーク10が旋回したり横行したりしても、ロッド24がフォーク10の旋回動作に追従し、ドグ47a、47b、カムレバー43、ワイヤ41、円柱体25、およびロッド24がフォーク10の横行動作に追従して、カムレバー33の回転力をロックレバー21に確実に伝達することができる。このため、フォーク10が旋回したり横行したりしても、ロックレバー21を先端部21cがフォーク10に近づく方向へ回転させて、パレット20の下側デッキボード20cおよび上側デッキボード20bから離間する姿勢で保持し、パレット20のフォーク10への固定を解除することが可能となる。
また、カムレバー43がドグ47a、47bに当接しなくなったときに、コイルばね44の弾性力(カムレバー43を復帰させる力)を、ロックレバー43、ワイヤ41、円柱体25、およびロッド24によってロックレバー21に伝達するので、フォーク10が旋回したり横行したりしても、ロッド24がフォーク10の旋回動作に追従し、コイルばね44、ロックレバー43、ワイヤ41、円柱体25、およびロッド24がフォーク10の横行動作に追従して、コイルばね44の弾性力をロックレバー21に確実に伝達することができる。このため、フォーク10が旋回したり横行したりしても、ロックレバー21を先端部21cがフォーク10から離れる方向へ回転させて、先端部21cでフォーク10に支持されたパレット20の下側デッキボード20cを押圧し、パレット20をフォーク10に固定することが可能となる。
また、パレット20の固定時または固定解除時に、フォーク10が旋回したり横行したりしても、ロッド24がフォーク10の旋回動作に追従し、ドグ47a、47b、カムレバー43、コイルばね44、ワイヤ41、円柱体25、およびロッド24がフォーク10の横行動作に追従するため、円柱体25が上下方向U、Dに移動せず、ロッド24が円柱体25のフランジ25a間から外れないようにすることができる。このため、ロックレバー21のパレット20の下側デッキボード20cを押圧している姿勢またはパレット20の上下のデッキボード20b、20cから離間する姿勢が保持され、パレット20の固定状態または固定解除状態を維持することが可能となる。
さらに、サブマスト6のP1’’位置とP2’’位置とにドグ47a、47bをそれぞれ設けたので、フォーク10が第1の位置P1から第2の位置P2までの高さに位置しているとき、即ちフォーク10がパレット20の荷役を行うときの高さに位置していないときに、カムレバー43がドグ47a、47bに当接しなくなり、当該コイルばね44の弾性力によってロックレバー21を先端部21cがフォーク10から離れる方向へ回転させて、パレット20の固定状態(図4Bの状態)に作動させることができる。また、フォーク10が最下位置Pminから第1の位置P1までの高さまたは第2の位置P2から最上位置Pmaxまでの高さに位置しているとき、即ちフォーク10がパレット20の荷役を行うときの高さに位置しているときに、カムレバー43がドグ47a、47bに当接してコイルばね27の弾性力に打ち勝つ力で回転し、当該回転力によってロックレバー21を先端部21cがフォーク10に近づく方向へ回転させて、パレット20の固定解除状態(図4A、図4C、および図4Dの状態)に作動させることができる。つまり、サブマスト6に沿ったフォーク10の昇降動作に基づいて、カムレバー43またはコイルばね44がロックレバー21を作動させる力を発生して、ロックレバー21を自動的に作動させることができる。このため、フォーク10を昇降させて、最下位置Pminから第1の位置P1までの高さ、または第2の位置P2から最上位置Pmaxまでの高さに位置させることで、ロックレバー21がパレット20の固定解除状態に作動するので、ロックレバー21に邪魔されることなく、所定の場所に載置されたパレット20の差込口20aにフォーク10を根元まで差し込んで、当該パレット20を掬い上げたり、フォーク10で支持しているパレット20を所定の場所に載置して、当該パレット20の差込口20aからフォーク10を引き抜いたりすることが可能となる。また、フォーク10でパレット20を掬い上げた後に、フォーク10を昇降させて、第1の位置P1から第2の位置P2までの高さに位置させることで、ロックレバー21がパレット20の固定状態に作動するので、ロックレバー21によってパレット20をフォーク10に固定することが可能となる。
以上述べた第1、第2実施形態のパレット固定構造によれば、フォーク10の向きが車体1に対して複雑に変化し、かつ運転台3が昇降してピッキング作業を行うことが可能なフォークリフト100において、フォーク10の昇降動作に基づいてロックレバー21を作動させて、フォーク10で支持したパレット20をフォーク10に自動的に固定しまたは固定を解除することが可能となる。そしてこの結果、当該フォークリフト100において上述したようにパレット20をフォーク10に固定することで、例えば、フォーク10で支持したパレット20の端に荷物が偏って載置されていたり、支持したパレット20と当該パレット20に載置された荷物の搬送中(当該フォークリフト100の走行中)に振動や衝撃等の外力が加わったりしても、フォーク10上でパレット20および荷物が傾くことなく安定し、荷物の荷崩れを防止することが可能となる。また、例えば、ピッキング作業中に作業者がパレット20の端に荷物を偏って載置したり、パレット20に脚をかけたりしても、フォーク10上でパレット20および荷物が傾くことなく安定し、荷物や作業者の床への落下を防止することが可能となる。さらに、電気的部品を用いることなくパレット20の固定と固定解除を行うので、電源用および信号送受信用の電線や制御回路が不要となり、コストを低く抑えることが可能となる。
本発明は、以上の実施形態以外にも種々の形態を採用することができる。例えば、以上の実施形態では、パレット固定手段の一実施形態を構成するロックレバー21を、ブロック22を介して各フォーク10に設けた例を挙げているが、本発明はこれのみに限定するものではない。これ以外に、例えばロックレバー21を、各フォーク10に直接連結して設けたり、各フォーク10を保持するフィンガバー9の下部に連結して各フォーク10に間接的に設けたりしてもよい。また、パレット固定手段を、フォークやフィンガバーに連結しなくても、例えば一対のフォーク間に突出するようにローテイト軸に連結することにより、フォークおよびフィンガバーと常に一定の間隔をおいて設ける、即ち各フォークおよびフィンガバーとの距離が常に一定になるようにこれらの近傍に設けるようにしてもよい。つまり、パレット固定手段は、フォークとともにローテイト機構により旋回しかつサイドシフト機構により横行しかつリフト機構により昇降するように荷支持手段に設ければよい。
また、以上の実施形態では、ワイヤ31、41を接続手段として用いた例を挙げているが、本発明はこれのみに限定するものではない。これ以外に、例えば複数の梁と当該梁を回転可能に連結する間接部とから構成されるリンク機構等を接続手段として用いるようにしてもよい。つまり、接続手段は、カムレバーと円柱体とに接続され、ロックレバーを作動させるための作動力をカムレバー側から円柱体へと伝達できるものであればよい。
また、以上の実施形態では、コイルばね27、44を復帰手段として用い、コイルばね27、44、ドグ37、47a、47b、およびカムレバー33、43を作動力発生手段として用いた例を挙げているが、本発明はこれらのみに限定するものではない。これら以外に、例えば油圧シリンダ、エアーシリンダ、ソレノイド、モータ等といったアクチュエータを復帰手段や作動力発生手段として用いるようにしてもよい。つまり、復帰手段は、カムレバーをドグとの当接により回転する前の状態に復帰させる力を発生できるものであればよく、作動力発生手段は、パレット固定手段を作動させて、パレットの固定または固定解除を行えるものであればよい。
図5は、アクチュエータを用いた他の実施形態を示す図である。図5において、ヘッド7の支持部7aの上面には、アクチュエータとして油圧シリンダ51が固定されている。油圧シリンダ51のロッド51aは、支持部7aを貫通して、円柱体25の上面にプレートを介して連結されている。油圧シリンダ51は、フォークリフト100の車体1に内蔵されている制御部(図示省略)によって駆動を制御され、フォーク10の昇降動作に基づいてロッド51aを伸縮させて、円柱体25およびロッド24を介してロックレバー21をパレット20の固定状態または固定解除状態に作動させる。なお、本実施形態では、フォーク10がパレット20を荷役しないときの高さまたは荷役するときの高さに位置したことを、例えばリミットスイッチやフォトセンサやエンコーダ等から構成され、サブマスト6やヘッド7等に取り付けられたフォーク高さ検出センサ(図示省略)からの出力によって検出する。油圧シリンダ51は、本発明における作動力発生手段の一実施形態を構成し、円柱体25およびロッド24は、本発明における作動力伝達手段の一実施形態を構成する。
上記構造において、フォーク10がサブマスト6に沿って昇降して、図5に示すようにパレット20を荷役しないときの高さ(位置P1から位置P2までの高さ)に位置したことを、フォーク高さ検出センサによって検出すると、油圧シリンダ51は、ロッド51aを本体内へ縮退させる。このため、当該ロッド51aの縮退力によって、円柱体25がU方向へ引き上げられて、ロッド24を介してロックレバー21を、先端部21cがフォーク10から離れる方向(図5では時計回りの方向)へ回転させて、先端部21cでフォーク10に支持されたパレット20の下側デッキボード20cを押圧する姿勢、即ちパレット20の固定状態(図5の状態)に作動させる。また、フォーク10がパレット20を荷役するときの高さ(最下位置Pminから位置P1までの高さまたは位置P2から最上位置Pmaxまでの高さ)に位置したことを、フォーク高さ検出センサによって検出すると、油圧シリンダ51は、ロッド51aを本体内から下方(D方向)へ伸長させる。このため、当該ロッド51aの伸長力によって、円柱体25が下方へ押し下げられて、ロッド24を介してロックレバー21を、先端部21cがフォーク10に近づく方向(図5では反時計回りの方向)へ回転させて、パレット20の上下のデッキボード20b、20cから離間する姿勢、即ちパレット20の固定解除状態(図示省略)に作動させる。
さらに、以上の実施形態では、昇降可能な運転台3と、当該運転台3とは独立して昇降可能かつ前方および左右の荷役を行うことが可能な3方向フォーク10とを備えたフォークリフト100に本発明を適用しているが、本発明は、昇降可能な運転台を備えておらず、3方向フォークのみを備えた3方向スタッキングトラックのようなフォークリフトにも適用することが可能である。