JP4644917B2 - 乗用型苗植機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、乗用型走行車体にリンク機構にて上下動自在に苗植装置を装着した乗用型苗植機に関するものである。
【0002】
【従来技術と発明が解決しようとする課題】
従来、この種の乗用型苗植機において、苗植装置の苗載台に供給する苗を載置しておく予備苗載台を設けたものは、色々とある。然し乍ら、従来のものは、畦から予備苗載台への苗移動若しくは予備苗載台から苗植装置の苗載台への苗移動を効率化するものが主であり、畦から予備苗載台へそして予備苗載台から苗植装置の苗載台へのトータル的な苗移動の効率化を目的とするものではなかった。
【0003】
【課題を解決するための手段】
前記従来の課題を解決するために、請求項1記載の発明は、乗用型走行車体(1)にリンク機構(21)を介して苗載台(28)を装備した複数条植えの苗植装置(23)を上下動自在にリンク機構(21)の後端部に装着してなる乗用型苗植機において、乗用型走行車体(1)には車体前部から後部まで予備苗を移動させる予備苗載台移動案内体(42)を設け、乗用型走行車体(1)の左右フレーム(2・3)の後端部に左右支持フレーム(22)の基部を固定し、該左右支持フレーム(22)にリンク機構(21)の基端部を枢着すると共に、その上端部に予備苗載台移動案内体(42)の後端部を枢着し、該予備苗載台移動案内体(42)の中途部を操縦ハンドル(10)近傍に設けた油圧作動スイッチ(S14)にて伸縮作動する左右油圧シリンダー(44)のピストン(45)上端部に枢支して、予備苗載台移動案内体(42)の前部が上下動自在に構成されたことを特徴とする乗用型苗植機としたものであり、請求項2記載の発明は、予備苗載台移動案内体(42)の前記ピストン(45)上端部に枢支されている部位よりも前部(42c)を枢支ピン(P)にて回動自在に構成して、予備苗載台移動案内体(42)の乗用型走行車体(1)より突出した前部(42c)を車体内方に収納自在に構成したことを特徴とする請求項1記載の乗用型苗植機としたものであり、請求項3記載の発明は、苗載台(28)の苗載部(28a)と側壁部(28b)に対応して上面に苗載部(40a)と側壁部(40b)を設けてマット状苗を左右方向に並んで載置する構成とした予備苗載台(40)のガイドローラ機構(41)の回転ローラ(41a・41b)を、予備苗載台移動案内体(42)の断面コ字状の内面(42a)と外側面(42b)に接当回転するようにして、予備苗載台(40)が予備苗載台移動案内体(42)に係合して機体前後方向に移動する構成としたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の乗用型苗植機としたものであり、請求項4記載の発明は、上端苗載台(28c)と中間苗載台(28d)をジョイント部(28e)で連結して苗載台(28)の上部を屈曲自在に構成し、予備苗載台(40)を予備苗載台移動案内体(42)の後端部まで移動させた状態で苗植装置(23)を上昇させると、予備苗載台(40)の後端部底面に苗載台(28)の上端部(28f)が接当して、上端苗載台(28c)と中間苗載台(28d)とが屈曲して、予備苗載台(40)の各苗載部(40a)と苗載台(28)の各苗載部(28a)とが全て連通した状態となることを特徴とする請求項3に記載の乗用型苗植機としたものである。
【0004】
【発明の作用効果】
請求項1記載の発明は、乗用型走行車体1にリンク機構21を介して苗載台28を装備した複数条植えの苗植装置23を上下動自在にリンク機構21の後端部に装着してなる乗用型苗植機において、乗用型走行車体1には車体前部から後部まで予備苗を移動させる予備苗載台移動案内体42を設けた乗用型苗植機としたものであるから、苗植え作業中に苗供給する場合は、乗用型走行車体1の車体前部を圃場の畦に近付けることにより、車体前部から後部まで予備苗を移動させる予備苗載台移動案内体42によって作業者が畦から苗植装置23の苗載台28へ苗を移動させる作業が効率良く行えて、従来例の課題を解消することができる。
【0005】
更に、乗用型走行車体1の左右フレーム2・3の後端部に左右支持フレーム22の基部を固定し、該左右支持フレーム22にリンク機構21の基端部を枢着すると共に、その上端部に予備苗載台移動案内体42の後端部を枢着し、該予備苗載台移動案内体42の中途部を操縦ハンドル10近傍に設けた油圧作動スイッチS14にて伸縮作動する左右油圧シリンダー44のピストン45上端部に枢支して、予備苗載台移動案内体42の前部が上下動自在に構成された請求項1記載の乗用型苗植機としたものであるから、請求項1記載の発明の作用効果に加えて、操縦ハンドル10近傍に設けた油圧作動スイッチS14を操作して油圧シリンダー44のピストン45を伸縮作動させると、予備苗載台移動案内体42の前部を適切な位置にすることができ、畦から作業者が苗を載置するのに適切な高さとなり、作業が容易に且つ能率良く行なえる。
【0006】
請求項2記載の発明は、予備苗載台移動案内体42の前記ピストン45上端部に枢支されている部位よりも前部42cを枢支ピンPにて回動自在に構成して、予備苗載台移動案内体42の乗用型走行車体1より突出した前部42cを車体内方に収納自在に構成した請求項1または請求項2記載の乗用型苗植機としたものであるから、請求項1または請求項2記載の発明の作用効果に加えて、予備苗載台移動案内体42の乗用型走行車体1より突出した前部42cを車体内方に収納しておくことにより、路上走行時には走行の邪魔にならず安全であり、トラックへの積込時や納屋等への収納時には収納スペースが狭くて済む。
請求項3記載の発明は、苗載台28の苗載部28aと側壁部28bに対応して上面に苗載部40aと側壁部40bを設けてマット状苗を左右方向に並んで載置する構成とした予備苗載台40のガイドローラ機構41の回転ローラ41a・41bを、予備苗載台移動案内体42の断面コ字状の内面42aと外側面42bに接当回転するようにして、予備苗載台40が予備苗載台移動案内体42に係合して機体前後方向に移動する構成とした請求項1から請求項3の何れか1項に記載の乗用型苗植機としたものであるから、請求項1から請求項3の何れか1項に記載の発明の作用効果に加えて、苗植え作業中に予備苗載台40に苗を載置する場合には、乗用型走行車体1の車体前部を圃場の畦に近付けて、予備苗載台40を予備苗載台移動案内体42の前部に位置させて、畦から作業者が容易に予備苗載台40に苗を載置することができる。また、苗を載置した予備苗載台40は予備苗載台移動案内体42の後部に移動させておくと、苗植え作業中に苗植装置23の苗載台28の苗が残り少なくなったときに、苗載台28に予備苗載台から苗を供給する作業が容易に行なえる。このように、畦から予備苗載台40へそして予備苗載台40から苗植装置23の苗載台28の苗載部28aへ苗を移動させる作業が効率良く行える。
請求項4記載の発明は、上端苗載台28cと中間苗載台28dをジョイント部28eで連結して苗載台28の上部を屈曲自在に構成し、予備苗載台40を予備苗載台移動案内体42の後端部まで移動させた状態で苗植装置23を上昇させると、予備苗載台40の後端部底面に苗載台28の上端部28fが接当して、上端苗載台28cと中間苗載台28dとが屈曲して、予備苗載台40の各苗載部40aと苗載台28の各苗載部28aとが全て連通した状態となる請求項4に記載の乗用型苗植機としたものであるから、請求項4記載の発明の作用効果に加えて、作業中に、苗載台28の苗載部28aに載置された苗が少なくなって苗植装置23を上昇させると、予備苗載台40の後端部底面に苗植装置23の苗載台28の上端部28fが接当して、上端苗載台28cと中間苗載台28dが屈曲して、予備苗載台40の各苗載部40aと苗載台28の各苗載部28aとが全て連通した状態となる。そこで、作業者が、予備苗載台40の各苗載部40aに載置されたマット状苗の前端を押してやると、予備苗載台40の各苗載部40aから苗載台28の各苗載部28aに容易に且つ苗を傷めることなく苗供給が行える。
【0007】
【発明の実施の形態】
この発明の一実施例である乗用型田植機を図面に基づき詳細に説明する。
1は乗用型走行車体であって、機体を構成する左右フレーム2・3の後部上面にエンジン4を搭載し、左右フレーム2・3の前部に走行ミッションケース5を設けている。そして、この走行ミッションケース5には、変速レバー6にてエンジン4の回転駆動力が変速されるHSTと前輪デフ機構と後輪デフ機構とが内蔵されている。
【0008】
7・7は左右フロントアクスルケースであって、前記走行ミッションケース5の前輪デフ機構より左右駆動軸8・8を介して動力が伝動されるように構成されている。9・9は左右操向駆動前輪であって、左右フロントアクスルケース7・7の下部に嵌合され後記操縦ハンドル10にて回動される操向ケース11・11に軸架されている。
【0009】
12は内部に変速歯車を有する操縦用伝動ケースであって、左右フレーム2・3両者の前端部に固着されており、その上部にはハンドルポスト13が固着され、ハンドルポスト13の上端部には操縦ハンドル10が設けられている。そして、操縦用伝動ケース12の下部には、その後端が左右操向ケース11・11に連結された操向伝達機構としてのリンク14が設けられており、操縦ハンドル10を回すと操縦用伝動ケース12内の変速歯車・リンク14を介して左右操向ケース11・11が縦軸回りに回動し左右操向駆動前輪9・9が向きを変えるように構成されている。
【0010】
15・15は左右後輪駆動ケースであって連結枠15aで一体に連結されており、該連結枠15aが左右フレーム2・3を連結するフレームにロリング軸を介してロリング自在に設けられており、その左右両側部に軸架された左右駆動後輪16・16が上下揺動できるように構成されている。17・17は、走行ミッションケース5の後輪デフ機構から左右後輪駆動ケース15・15に動力を伝える伝動軸である。
【0011】
そして、後輪駆動ケース15内部の伝動機構中には左右駆動後輪16・16に対する左右サイドクラッチと左右サイドブレーキとが内蔵されており、エンジン4の前方に設けられた左右クラッチペダルの踏込操作により該左右サイドクラッチが切れ且つ左右サイドブレーキが利くように構成されている。即ち、左右クラッチペダルの踏込操作をした側の駆動後輪16・16の駆動が停止されブレーキが利くようになっている。
【0012】
18は主クラッチペダルであって、前記走行ミッションケース5内に設けた主クラッチを断続操作するものである。
19はFRPにて成型された車体カバ−であって、エンジン4の周囲を覆うエンジンカバ−部19aと、前記エンジン4の前方及び左右側方に設けられたステップ19bと、ハンドルポストカバー19cと、エンジン4の後方に設けられたステップ19dとが一体形成され、左右フレーム2・3上に固定されている。
【0013】
20は操縦座席で、前記車体カバー19上面に設置固定されている。21は上部リンク21aと下部リンク21bとにより構成されるリンク機構であって、上部リンク21aと下部リンク21bの基端部は左右フレーム2・3に固着された左右支持フレーム22・22に各々枢着され、後端部は後述の苗植装置23をローリング自在に支持するローリング軸24が設けられた縦枠25に枢着されている。
【0014】
26は油圧シリンダーであって、シリンダーの基部が左右フレ−ム2・3に枢着され、ピストン26aの後端が上部リンク21aと一体の揺動アーム21cに枢着されている。
苗植装置23は、前記縦枠25のローリング軸24にローリング自在に装着されたフレームを兼ねる植付伝動ケース27と、該植付伝動ケース27に設けられた支持部材に支持されて機体左右方向に往復動する苗載台28と、植付伝動ケース27の後端部に装着され前記苗載台28の下端より1株分づつの苗を分割して圃場に植え付ける苗植付け装置29…と、植付伝動ケース27の下部にその後部が枢支されてその前部が上下揺動自在に装着された整地体である中央整地フロート30・左右整地フロート31・31等にて構成されている。左右整地フロート31・31は、各々左右駆動後輪16・16の後方に配置されており、該左右駆動後輪16・16にて掻き乱された圃場を整地すると共に苗植付け装置29にて苗が植付けられる圃場の前方を整地すべく設けられている。
【0015】
32は両端にユニバーサルジョイントを有するPTO伝動軸であって、動力を苗植装置23の植付伝動ケース27に伝達すべく設けている。
33は中央整地フロート30の前部上面と植付伝動ケース27との間に設けられた油圧バルブであって、中央整地フロート30の前部が外力にて適正範囲以上に持ち上げられた時には油圧ポンプ34にて走行ミッションケ−ス5内から汲み出された圧油を油圧シリンダー26に送り込んでピストンを突出させリンク機構21を上動させて苗植装置23を所定位置まで上昇せしめ、また、中央整地フロート30の前部が適正範囲以上に下がった時には油圧シリンダー26内の圧油を走行ミッションケ−ス5内に戻してリンク機構21を下動させて苗植装置23を所定位置まで下降せしめ、そして、中央整地フロート30の前部が適正範囲にあるとき(苗植装置23が適正な所定位置にある時)には油圧シリンダー26内の圧油の出入りを止めて苗植装置23を一定位置に保持せしめるべく設けられている。このように、中央整地フロート30を植付装置23の自動高さ制御のための接地センサーとして用いている。
【0016】
35は車体カバ−19より突出して操縦座席20の右側方に設けられた操作レバーであって、走行ミッションケ−ス5内に設けられたPTO伝動軸32を駆動回転する動力を断接するPTOクラッチを操作して苗植装置23への動力を入切操作できるように構成されていると共に、油圧バルブ33を操作して手動にて苗植装置23を上下動できるようにも構成されている。即ち、操作レバー35を前方に回動してD2位置にすると、PTOクラッチが入り苗植装置23が駆動され且つ油圧バルブ33が中央整地フロート30の上下動にて切換えられる自動制御状態となる。逆に、操作レバー35を後方に回動してU位置にすると、PTOクラッチが切れ苗植装置23の作動が停止し且つ油圧バルブ33が強制的に苗植装置23を上昇する側に切換えられ、苗植装置23が上昇される。そして、操作レバー35をその操作ストロークの中間のN位置にすると、PTOクラッチが切れ苗植装置23の作動が停止し且つ油圧バルブ33が油圧シリンダー26内の圧油の出入りを止めて苗植装置23を一定位置に保持せしめる位置に切換えられ、苗植装置23が操作レバー35を中間位置に操作したときの位置に保持され苗植装置23は上昇も下降もしない。また、操作レバー35をD1位置にすると、PTOクラッチは切りで油圧バルブ33が中央整地フロート30の上下動にて切換えられる自動制御状態となる。尚、操作レバー35は、各操作位置(D2・D1・N・U)で周知のカムによる係止手段にて係止されて操作位置が保持されるように構成されている。
【0017】
ここで、苗載台28について説明する。苗載台28は、マット状苗(縦が60cmで横が30cmの一般的な苗)の底面を受ける苗載部28aとマット状苗の側面を案内する側壁部28bとから構成され、前記植付伝動ケース27に基部が固定された上部案内体36と下部案内体37とにより支持されて、左右往復動機構38にて左右往復移動する構成となっており、前記6つの苗植付け装置29の各々が該左右方向に6つ並べて配置された苗載部28a…に載置されたマット状苗の下端より1株分づつの苗を分割できるようになっている。
【0018】
そして、苗載台28の上部は、上端苗載台28cと中間苗載台28dとを2か所のジョイント部28eで連結した構成となっており、該ジョイント部28eで苗載台28の上部は屈曲自在に構成されている。尚、ジョイント部28eは、上端苗載台28cと中間苗載台28dとが苗載台28下部に対して直線状になる方向に付勢しており、通常の状態では、側面視で上端苗載台28cと中間苗載台28dとが苗載台28下部と滑らかな曲線を描く状態になっている。また、上端苗載台28cの上端部28fは、後述の予備苗載台40の後端部底面と接当する平面部になっている。
【0019】
39は苗送りベルトであって、前記苗載部28aの下部に各々2づつ並列配置されており、苗載台28が左右往復移動端に来た時に苗載部28aに載置されたマット状苗を下端に向けて一株分の量だけ移送するように構成されている。S1〜S6は苗切れセンサーであって、前記苗載部28aの苗受け面から上方に突出して設けられている。そして、苗載部28aに載置されたマット状苗が各苗切れセンサーS1〜S6上に有るときは、マット状苗にて押されて各苗切れセンサーS1〜S6はOFF状態で、苗載部28aに載置されたマット状苗が苗送りベルト39にて順次下端に向けて移送されて、マット状苗の上端が苗切れセンサーS1〜S6を通り過ぎてマット状苗が各苗切れセンサーS1〜S6上に無くなると、各苗切れセンサーS1〜S6はON状態となる。即ち、各苗切れセンサーS1〜S6よりも下方の位置までマット状苗が少なくなると各苗切れセンサーS1〜S6はON状態となって、苗切れを検出する。
【0020】
S7は苗載台28が左右方向の中央位置にあることを検出するセンサーであって、前記左右往復動機構38にて左右往復移動する苗載台28が中央位置に来たときにON状態となる。
次に、予備苗載台40について説明する。予備苗載台40の上面は、苗載台28の苗載部28aと側壁部28bとに対応して苗載部40aと側壁部40bとが設けられており、6枚のマット状苗が左右方向に並んで載置できる構成となっている。そして、予備苗載台40の下面には、その左右両端部にガイドローラ機構41が設けられており、後述の左右予備苗載台移動案内体としての左右予備苗載台移動レール42に係合して機体前後方向に予備苗載台40が移動できる構成となっている。
【0021】
ここで、左右予備苗載台移動レール42について説明すると、左右予備苗載台移動レール42は、その後端部が乗用型走行車体1の左右フレーム2・3の後端部に基部が固定された前記左右支持フレーム22・22の上端部に枢着され、中途部が左右油圧シリンダー44のピストン45の上端部に枢支されて支持されている。そして、左右予備苗載台移動レール42は機体外側方に向けて開放した断面コ字状のフレーム材にて構成されており、該断面コ字状の内面42aと外側面42bとに前記予備苗載台40のガイドローラ機構41の回転ローラ41aと41bが接当回転するようになっている。尚、左右予備苗載台移動レール42の前端部と後端部とには、該左右予備苗載台移動レール42に係合して機体前後方向に移動する予備苗載台40が前端位置で停止するストッパと後端位置で停止するストッパとが設けられている。また、左右予備苗載台移動レール42のピストン45の上端部に枢支されている部位よりも前部42cは、枢支ピンPにて回動自在に構成されており、図1に実線にて示すように前方に延ばした作業位置では左右予備苗載台移動レール42は前端から後端まで連続したレールの構成となり、枢支ピンP周りに後方に回動させれば図1に仮想線にて示すように機体前端から突出しない収納した状態となる。
【0022】
S14は操縦ハンドル10近傍に設けた前記左右油圧シリンダー44を伸縮作動させる油圧作動スイッチであり、この油圧作動スイッチS14にて左右油圧シリンダー44を伸縮作動させて左右予備苗載台移動レール42の前部を上下動させることができる。
【0023】
SOL1は、油圧バルブ65を切り換えて油圧ポンプ34からの圧油を油圧シリンダー66に供給して、主クラッチペダル18を切り操作するソレノイドである。即ち、このSOL1に通電されると、主クラッチペダル18が切り操作されて、機体の進行が停止されると共に苗植装置23の作動も停止する。尚、このSOL1は自己保持型のソレノイドになっており、苗切れセンサーS1〜S6の何れかがON状態になり更にセンサーS7もON状態となってこのSOL1に通電されて機体が停止した後に、苗載台28に苗が供給されて苗切れセンサーS1〜S6の全てがOFF状態となって電流が断たれても、別のスイッチ(例えば、主クラッチペダル18を作業者が踏み操作して主クラッチを入りに操作した場合に連繋して操作されるスイッチ)が操作されるまでは機体の停止を保持する構成となっている。
【0024】
SOL2は、油圧バルブ67を切り換えて油圧ポンプ34からの圧油を油圧シリンダー26に供給して、苗植装置23を上昇操作するソレノイドである。SOL3は、油圧バルブ68を切り換えて油圧バルブ33からの油路を遮断操作するソレノイドである。このSOL3は自己保持型のソレノイドになっており、苗切れセンサーS1〜S6の何れかがON状態になり更にセンサーS7もON状態となってSOL2及びSOL3に通電されて苗植装置23が上昇した後に、苗載台28に苗が供給されて苗切れセンサーS1〜S6の全てがOFF状態となって電流が断たれても、下降スイッチ15が押されるまでは苗植装置23を上昇位置に保持する構成となっている。
【0025】
L及びBは警報ランプと警報ブザーであり、予備苗供給時に警報を発して、予備苗供給状態であることを作業者に報せるべく設けられている。尚、MSは、メインスイッチである。
次に、上記の乗用型田植機による田植作業を説明する。先ず、苗載台28の各苗載部28aに苗を載置すると共に、油圧作動スイッチS14にて左右油圧シリンダー44を縮小作動させて左右予備苗載台移動レール42の前部を下動させて予備苗載台40を左右予備苗載台移動レール42の前端部に位置させて、作業者は育苗箱から苗掬い板にてマット状苗を掬い取り、予備苗載台40の各苗載部40aにマット状苗を載置する。そして、油圧作動スイッチS14にて左右油圧シリンダー44を伸長作動させて左右予備苗載台移動レール42の前部を上動させて予備苗載台40を左右予備苗載台移動レール42の後端部まで移動させる。そして、エンジン4を始動した後に、メインスイッチMSをON状態(接続)にして、変速レバー6を操作して機体を前進せしめると共に、操作レバー35をD2位置に操作すれば、苗植装置23は自動的に適正位置に上下制御され田植作業が行われる。
【0026】
田植作業中に、苗載台28の苗載部28aに載置された苗が少なくなって、例えば苗切れセンサーS1とS2がON状態になり、更に、苗載台28が左右方向中央位置にきてセンサーS7もON状態になると、SOL1に通電されて主クラッチペダル18が切り操作され機体が停止する。このとき、警報ランプLと警報ブザーBにも通電されて、予備苗供給時であることを警報する。そして、同時にSOL2とSOL3とにも通電されるので、油圧バルブ67を切り換えて油圧ポンプ34からの圧油を油圧シリンダー26に供給して苗植装置23を上昇させる。すると、予備苗載台40の後端部底面に苗植装置23の苗載台28の上端部28fが接当して、上端苗載台28cと中間苗載台28dとが屈曲して、予備苗載台40の各苗載部40aと苗載台28の各苗載部28aとが全て連通した状態となる。
【0027】
そこで、作業者が、予備苗載台40の各苗載部40aに載置されたマット状苗の前端を押してやると、予備苗載台40の各苗載部40aから苗載台28の各苗載部28aに容易に且つ苗を傷めることなく苗供給が行える。そして、各苗載部28aに苗供給をすると、センサーS1乃至S6は全てOFF状態になるが、前述のとおり、SOL1とSOL3とは自己保持型のソレノイドになっているので、作業者が主クラッチペダル18を操作して主クラッチを入りに操作しない限り機体が前進することはなく、また、下降スイッチS15を押さない限り苗植装置23が下降することはない。
【0028】
そして、苗供給が終了すれば、先ず、下降スイッチS15を押して苗植装置23を苗植付け状態にまで下降させて、次に、主クラッチペダル18を踏み操作して主クラッチを入りに操作すれば、田植作業は再開される。
その後、畦際まで田植作業を行ない機体前部を畦に着けて機体を停止させる。そして、油圧作動スイッチS14にて左右油圧シリンダー44を縮小作動させて左右予備苗載台移動レール42の前部を下動させて予備苗載台40を左右予備苗載台移動レール42の前端部に位置させて、作業者が育苗箱から苗掬い板にてマット状苗を掬い取り、畦から予備苗載台40の各苗載部40aにマット状苗を載置する。そして、油圧作動スイッチS14にて左右油圧シリンダー44を伸長作動させて左右予備苗載台移動レール42の前部を上動させて予備苗載台40を左右予備苗載台移動レール42の後端部まで移動させる。そして、田植作業を続行する。
【0029】
尚、上記の実施例では、育苗箱から苗掬い板にて掬い取ったマット状苗を予備苗載台40の各苗載部40aに載置する例を説明したが、予備苗載台40の各苗載部40aに苗の入った育苗箱を載置して、予備苗載台40から苗載台28に苗供給する時に、予備苗載台40に載置された各育苗箱から苗掬い板にてマット状苗を掬い取って、苗掬い板にて苗載台28の各苗載部28aに苗供給しても良い。
【0030】
図10乃至図12は、左右整地フロート31の第2実施例を示し、図10は田植え作業時の接地した状態を示す平面図であり、図11は苗植装置23を上昇(リフト)させた時(接地していない状態)の正面図であり、図12は田植え作業時の接地した状態を示す正面図である。
【0031】
この左右整地フロート31の機体外方側には、接地時に泥水が側方の前行程で植付けた苗の方に流れるのを防止する泥水案内板50が前後の板バネ51・51を介して装着されている。従って、田植作業時に機体が前進すると、左右整地フロート31が接地して前進するために、泥水を側方の前行程で植付けた苗の方に押し流そうとするが、泥水案内板50がこの泥水を後方へと案内して、側方の前行程で植付けた苗の方に泥水が流れるのを防止し、側方の前行程で植付けた苗を倒してしまうような事態が防止できる。
【0032】
また、泥水案内板50は板バネ51・51にて左右整地フロート31に装着されているので、畦際で機体を旋回させる為に苗植装置23を上昇させて接地していない状態とした時には、図11のように泥水案内板50の側壁50aは垂直方向に向くので、泥水案内板50の側壁50aに付着した泥や夾雑物は落下しやすい状態となって、機体旋回中に泥水案内板50の側壁50aに付着した泥や夾雑物は落下して次行程での植付が良好となる。また、路上走行時には、苗植装置23を上昇させて接地していない状態となるので、機体幅が狭い状態となり、走行の邪魔にならない。更に、図12に仮想線にて示すように、田植作業時に泥水案内板50の側壁50aに多くの泥や夾雑物が付着した場合には、泥水案内板50は板バネ51・51にて装着されているから、上方に向けて逃げるような作動をし、泥水案内板50の側壁50aに多くの泥や夾雑物が付着することが防止できて良好な苗の植付け作業が行なえる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 乗用型田植機の全体側面図である。
【図2】 乗用型田植機の後部平面図である。
【図3】 乗用型田植機の正面図である。
【図4】 主要部の予備苗載台の作動説明用斜視図である。
【図5】 主要部の予備苗載台の作動説明用側面図である。
【図6】 操作レバーの作用説明側面図である。
【図7】 電気回路図である。
【図8】 油圧回路図である。
【図9】 主クラッチペダルの作動説明用側面図である。
【図10】 左右整地フロート31の第2実施例を示す平面図である。
【図11】 左右整地フロート31の第2実施例を示す正面図(リフト時)である。
【図12】 左右整地フロート31の第2実施例を示す正面図(接地時)である。
【符号の説明】
1 乗用型走行車体
2 左フレーム
3 右フレーム
10 操縦ハンドル
21 リンク機構
22 左右支持フレーム
23 苗植装置
28 苗載台
28a 苗載台28の苗載部
28b 苗載台28の側壁部
28c 上端苗載台
28d 中間苗載台
28e ジョイント部
28f 苗載台28の上端部
40 予備苗載台
40a 予備苗載台40の苗載部
40b 予備苗載台40の側壁部
41 ガイドローラ機構
41a 回転ローラ
41b 回転ローラ
42 予備苗載台移動案内体(左右予備苗載台移動レール)
42a 予備苗載台移動案内体42の内面
42b 予備苗載台移動案内体42の外側面
42c 移動案内体42の乗用型走行車体1より突出した前部
44 左右油圧シリンダー
45 ピストン
P 枢支ピン
S14 油圧作動スイッチ

Claims (4)

  1. 乗用型走行車体(1)にリンク機構(21)を介して苗載台(28)を装備した複数条植えの苗植装置(23)を上下動自在にリンク機構(21)の後端部に装着してなる乗用型苗植機において、乗用型走行車体(1)には車体前部から後部まで予備苗を移動させる予備苗載台移動案内体(42)を設け、乗用型走行車体(1)の左右フレーム(2・3)の後端部に左右支持フレーム(22)の基部を固定し、該左右支持フレーム(22)にリンク機構(21)の基端部を枢着すると共に、その上端部に予備苗載台移動案内体(42)の後端部を枢着し、該予備苗載台移動案内体(42)の中途部を操縦ハンドル(10)近傍に設けた油圧作動スイッチ(S14)にて伸縮作動する左右油圧シリンダー(44)のピストン(45)上端部に枢支して、予備苗載台移動案内体(42)の前部が上下動自在に構成されたことを特徴とする乗用型苗植機。
  2. 予備苗載台移動案内体(42)の前記ピストン(45)上端部に枢支されている部位よりも前部(42c)を枢支ピン(P)にて回動自在に構成して、予備苗載台移動案内体(42)の乗用型走行車体(1)より突出した前部(42c)を車体内方に収納自在に構成したことを特徴とする請求項1記載の乗用型苗植機
  3. 苗載台(28)の苗載部(28a)と側壁部(28b)に対応して上面に苗載部(40a)と側壁部(40b)を設けてマット状苗を左右方向に並んで載置する構成とした予備苗載台(40)のガイドローラ機構(41)の回転ローラ(41a・41b)を、予備苗載台移動案内体(42)の断面コ字状の内面(42a)と外側面(42b)に接当回転するようにして、予備苗載台(40)が予備苗載台移動案内体(42)に係合して機体前後方向に移動する構成としたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の乗用型苗植機
  4. 上端苗載台(28c)と中間苗載台(28d)をジョイント部(28e)で連結して苗載台(28)の上部を屈曲自在に構成し、予備苗載台(40)を予備苗載台移動案内体(42)の後端部まで移動させた状態で苗植装置(23)を上昇させると、予備苗載台(40)の後端部底面に苗載台(28)の上端部(28f)が接当して、上端苗載台(28c)と中間苗載台(28d)とが屈曲して、予備苗載台(40)の各苗載部(40a)と苗載台(28)の各苗載部(28a)とが全て連通した状態となることを特徴とする請求項3に記載の乗用型苗植機。
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