JP4642967B2 - 水素吸蔵合金電極の製造方法、アルカリ二次電池の製造方法、ハイブリッドカー及び電気自動車 - Google Patents

水素吸蔵合金電極の製造方法、アルカリ二次電池の製造方法、ハイブリッドカー及び電気自動車 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水素吸蔵合金電極、水素吸蔵合金電極を備える二次電池に関する。
この二次電池は、例えば、携帯電子機器、ハイブリッドカーあるいは電気自動車に搭載される。
【0002】
【従来の技術】
水素吸蔵合金は、安全に、かつ容易にエネルギー源としての水素を貯蔵できる合金であり、新しいエネルギー変換及び貯蔵用材料として非常に注目されている。機能性材料としての水素吸蔵合金の応用分野は、水素の貯蔵・輸送、熱の貯蔵・輸送、熱-機械エネルギーの変換、水素の分離・精製、水素同位体の分離、水素を活物質とした電池、合成化学における触媒、温度センサーなどの広範囲にわたって提案されている。
【0003】
特に、水素を可逆的に吸蔵・放出することが可能な水素吸蔵合金を二次電池の負極に応用することが盛んに行われている。このうちの一部の二次電池は、実用化されている。ところで、二次電池は、様々な種類の小型で、軽量なポータブル電子機器の電源として使用されている。ポータブル機器は、高性能化、高機能化および小型化が進められており、このようなポータブル機器における長時間稼動を可能とするためには、二次電池の体積当たりの放電容量を大きくする必要がある。また、最近では、体積当たりの放電容量を高くするのと併せて、軽量化、すなわち、重量当りの放電容量を大きくすることが望まれている。
【0004】
AB5型の希土類系水素吸蔵合金は、常温・常圧付近で水素と反応し、また化学的安定性が比較的高いため、現在、電池用水素吸蔵合金としての研究が広く進められ、市販されている二次電池の負極において使用されている。しかしながら、AB5型の希土類系水素吸蔵合金を含む負極を備えた市販の二次電池の放電容量は、理論容量の80%以上に達しており、これ以上の高容量化には限界がある。
【0005】
ところで、特開平11−29832号公報には、組成が下記(ii)に示す一般式で表され、かつ空間群がP63/mmcである六方晶構造を有する水素吸蔵材料が開示されている。
【0006】
(R1-XAX)2(Ni7-Y-Z- α - βMnYNbZBαCβ)(ii)
但し、前記(ii)において、Rは希土類元素またはミッシュメタル(Mm)、AはMg,Ti,Zr,Th,Hf,SiおよびCaより選択された少なくとも1種、BはAlおよびCuより選択された少なくとも1種、CはGa,Ge,In,Sn,Sb,Tl,PbおよびBiより選択された少なくとも1種を示す。
また、X,Y,Z,α、βおよびnは、0<X≦0.3、0.3≦Y≦1.5,0<Z≦0.3,0≦α≦1.0,0≦β≦1.0,0.9≦n≦1.1を示す。
【0007】
この(ii)で表される組成を有する水素吸蔵材料においては、RとAの原子比の合計を1とした際のMnの原子比が0.135以上、0.825以下である。
【0008】
このような水素吸蔵材料は、Mn量が多いため、アルカリ電解液によって腐食されやすく、そのうえ平衡圧が低くなる。このため、前記水素吸蔵材料を含む負極を備えたアルカリ二次電池は、放電容量及び充放電サイクル寿命が低下する。
【0009】
一方、特開平6−215765号公開公報には、AB5型の希土類系水素吸蔵合金を含む負極にイットリウム及びイットリウム化合物のいずれか一方または両者を含有させることにより、前記水素吸蔵合金の酸化を防止し、充放電サイクル寿命を向上させることが開示されている。また、特開平8−329934号公開公報には、LaNi5系水素吸蔵合金100重量部と、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLu、並びにこれらの各元素の化合物からなる群から選択される少なくとも1種を0.1〜20重量部含む負極を用いることにより、前記水素吸蔵合金の酸化を防止し、サイクル寿命を改善させることが記載されている。
【0010】
ところで、特開平5−182688号公開公報には、CaCu5型、ZrNi2系あるいはTiNi系水素吸蔵合金を含む負極にマンガン化合物を含有させることにより、前記合金中のマンガン含有率が小さい場合における常温での自己放電が抑制されることが開示されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、高容量で、サイクル寿命が長く、かつ高温環境下での貯蔵後の容量回復率に優れる水素吸蔵合金電極の製造方法及びアルカリ二次電池の製造方法を提供することを目的とする。
【0012】
また、本発明は、走行性能に優れるハイブリッドカー及び電気自動車を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る水素吸蔵合金電極の製造方法は、下記一般式(1)で表わされる組成を有する水素吸蔵合金粉末と、Y、Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Yb、Y化合物、Sm化合物、Gd化合物、Tb化合物、Dy化合物、Ho化合物、Er化合物及びYb化合物よりなる群から選ばれる1種以上の粉末と、Mn及びMn化合物よりなる群から選ばれる1種以上の粉末とを含むペーストを調製する工程と、
前記ペーストを導電性基板に塗布する工程と、
前記導電性基板に塗布された前記ペーストを乾燥し、塗工板を得る工程と、
前記塗工板に加圧成形を施す工程と
を備えることを特徴とするものである。
【0014】
R11-a-bMgabNiZ-X-Y- α - βCoXMnαAlYM1β …(1)
但し、前記R1は、Yを含む希土類元素から選ばれる1種以上の元素、前記TはCa、Ti、ZrおよびHfからなる群より選ばれる1種以上の元素、前記M1はFe、Ga、Zn、Sn、Cu、Si、B、Nb、W、Mo、V、Cr、Ta、Li、PおよびSからなる群より選ばれる1種以上の元素であり、原子比a,b,X,Y、α、βおよびZは、0.15≦a≦0.37、0≦b≦0.3、0≦X≦0.5、0≦Y≦0.3、0≦α≦0.1、0≦β≦0.3、2.5≦Z≦4.2をそれぞれ示す。
【0015】
本発明に係る別の水素吸蔵合金電極の製造方法は、下記一般式(2)で表わされる組成を有する水素吸蔵合金粉末と、Y、Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、Er及びYbよりなる群から選ばれる1種以上からなる第1の希土類元素を含む添加剤の粉末とを混合し、真空中もしくは不活性雰囲気下で熱処理を施すことにより、表面における前記第1の希土類元素の存在比率が中央部に比べて多い水素吸蔵合金粉末を得る工程と、
前記水素吸蔵合金粉末と、Mn及びMn化合物よりなる群から選ばれる1種以上の粉末とを含むペーストを調製する工程と、
前記ペーストを導電性基板に塗布する工程と、
前記導電性基板に塗布された前記ペーストを乾燥し、塗工板を得る工程と、
前記塗工板に加圧成形を施す工程と
を備えることを特徴とするものである。
【0016】
R21-a-bMgabNiZ-X-Y-α-βCoXMnαAlYM1β …(2)
但し、前記R2はLa、Ce、Pr、Nd及びSmよりなる群から選ばれる1種以上の元素、前記TはCa、Ti、ZrおよびHfからなる群より選ばれる1種以上の元素、前記M1はFe、Ga、Zn、Sn、Cu、Si、B、Nb、W、Mo、V、Cr、Ta、Li、PおよびSからなる群より選ばれる1種以上の元素であり、原子比a,b,X,Y、α、βおよびZは、0.15≦a≦0.37、0≦b≦0.3、0≦X≦0.5、0≦Y≦0.3、0≦α≦0.1、0≦β≦0.3、2.5≦Z≦4.2をそれぞれ示す。
【0017】
本発明に係るアルカリ二次電池の製造方法は、正極と、負極と、前記正極及び前記負極の間に介在されるセパレータと、アルカリ電解液とを具備するアルカリ二次電池の製造方法において、
前記負極を前記のいずれかの水素吸蔵合金電極の製造方法によって得ることを特徴とする。
【0019】
本発明に係るハイブリッドカーは、電気駆動手段と、前記電気駆動手段用の電源とを具備したハイブリッドカーにおいて、前記電源は、正極と、負極と、アルカリ電解液とを具備した二次電池を備え、前記負極は、前記のいずれかの水素吸蔵合金電極の製造方法によって得られることを特徴とするものである。
【0021】
本発明に係る電気自動車は、駆動電源として二次電池を具備した電気自動車において、前記二次電池は、正極と、負極と、アルカリ電解液とを備え、前記負極は、前記のいずれかの水素吸蔵合金電極の製造方法によって得られることを特徴とするものである。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る第1、第2の水素吸蔵合金電極について説明する。
【0024】
(第1の水素吸蔵合金電極)
この電極は、下記一般式(1)で表わされる組成を有する水素吸蔵合金と、Y、Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Yb、Y化合物、Sm化合物、Gd化合物、Tb化合物、Dy化合物、Ho化合物、Er化合物及びYb化合物よりなる群から選ばれる1種以上(以下、希土類系添加物と称す)と、Mn及びMn化合物よりなる群から選ばれる1種以上(以下、マンガン系添加物と称す)とを含む。
【0025】
R11-a-bMgabNiZ-X-Y- α - βCoXMnαAlYM1β …(1)
但し、前記R1は、Yを含む希土類元素から選ばれる1種以上の元素、前記TはCa、Ti、ZrおよびHfからなる群より選ばれる1種以上の元素、前記M1はFe、Ga、Zn、Sn、Cu、Si、B、Nb、W、Mo、V、Cr、Ta、Li、PおよびSからなる群より選ばれる1種以上の元素であり、原子比a,b,X,Y、α、βおよびZは、0.15≦a≦0.37、0≦b≦0.3、0≦X≦0.5、0≦Y≦0.3、0≦α≦0.1、0≦β≦0.3、2.5≦Z≦4.2をそれぞれ示す。
【0026】
<水素吸蔵合金>
前記R1には、La、Ce、Pr、Nd及びSmよりなる群から選ばれる1種以上を用いることが好ましい。R1をこのような組成にすることによって、適正な平衡圧を得ることができる。特に、水素吸蔵合金電極の低コスト化を考慮すると、希土類混合物のミッシュメタルを使用することがより好ましい。前記ミッシュメタルとしては、Ceがリッチなミッシュメタル(Mm)、Laがリッチなミッシュメタル(Lm)を使用することが可能である。
【0027】
前記R1にはLaが含まれていることが望ましい。La含有量は、20重量%〜95重量%の範囲内にすることが好ましい。さらに、二次電池の作動電圧の観点から、従来合金のLaNi5系合金と同等の平均作動電圧を必要とする場合には、前記R1中のLa量は30重量%〜70重量%が好ましく、さらに好ましい範囲は35重量%〜60重量%である。
【0028】
前記R1中にCeが含まれている場合、R1中のCe量は20重量%以下にすることが好ましい。R1中のCe量が20重量%を超えると、CaCu5構造のようなAB5型の結晶構造を有する相が多量に析出して放電容量が低下する恐れがある。Ce量の好ましい範囲は、18重量%以下で、更に好ましい範囲は16重量%以下である。
【0029】
Mgの原子比aのより好ましい範囲は、0.15以上、0.35以下であり、さらに好ましい範囲は0.15以上、0.32以下であり、最も好ましい範囲は0.17以上、0.3以下である。
【0030】
Tの原子比bのより好ましい範囲は0以上、0.2以下であり、さらに好ましい範囲は0以上、0.1以下である。
【0031】
Coの原子比Xを前記範囲に規定するのは次のような理由によるものである。
原子比Xが0.5を超えると、水素吸蔵合金の充放電サイクルの進行に伴う微粉化が進んで長寿命を得られなくなる恐れがある。より好ましい範囲は0.2以下(0を含む)で、さらに好ましい範囲は0.1以下(0を含む)で、最も好ましい範囲は0.05以下(0を含む)である。
【0032】
Alの原子比Yを前記範囲に規定するのは次のような理由によるものである。
原子比Yが0.3を超えると、CaCu5構造のようなAB5型の結晶構造を有する相が多量に析出して放電容量が低下する。より好ましい範囲は0.02以上、0.2以下であり、さらに好ましい範囲は0.05以上、0.15以下である。
【0033】
M1の原子比βのより好ましい範囲は、0以上、0.3以下であり、さらに好ましい範囲は0以上、0.2以下である。
【0034】
前記合金がCoを含有する場合、このCoがアルカリ電解液に溶出するのを抑制するために前記合金中にMnを添加する。Mnは、合金の平衡圧を下げる要因となるため、Co無添加の際には添加しなくても良い。Mnを添加する際、Mnの原子比αを0.1以下にすることが好ましい。Mnの原子比αが0.1を超えると、水素平衡圧が著しく低下すると共に、水素吸蔵・放出反応における可逆性が劣化する。その結果、この水素吸蔵合金を含む負極を備えた二次電池は、放電電圧が低下するため、放電容量が低くなる。原子比αのより好ましい範囲は、0以上、0.08以下であり、さらに好ましい範囲は0以上、0.06以下である。
【0035】
原子比Zを前記範囲に規定する理由を説明する。原子比Zを2.5未満にすると、MgCu2構造のようなAB2型の結晶構造を有する相が主相となる。一方、原子比Zが4.2を超えると、CaCu5構造のようなAB5型の結晶構造を有する相が主相となる。このため、原子比Zが2.5未満か、あるいは4.2より大きい水素吸蔵合金を含む負極を備えた二次電池は、放電容量およびサイクル寿命が低下する。原子比Zのより好ましい範囲は、2.5以上、4以下であり、さらに好ましい範囲は3以上、3.8以下であり、最も好ましい範囲は3以上、3.7以下である。
【0036】
前記水素吸蔵合金には、C,N,O,F 等の元素が不純物として合金の特性を阻害しない範囲で含まれていてもよい。なお、これらの不純物は各々1wt%以下の範囲であることが好ましい。
【0037】
前記水素吸蔵合金は、結晶系が六方晶である第1の相(但し、CaCu5型構造を有する相を除く)および結晶系が菱面体である第2の相からなる群より選ばれる少なくとも1種類の相を主相として含む。
【0038】
前記第1の相は、Ce2Ni7型構造を有する相と、CeNi3型構造を有する相と、Ce2Ni7型構造もしくはCeNi3型構造に類似する結晶構造を有する相とからなることが望ましい。一方、前記第2の相群は、Gd2Co7型構造を有する相と、PuNi3型構造を有する相と、Gd2Co7型構造もしくはPuNi3型構造に類似する結晶構造を有する相とからなることが好ましい。ここで、Ce2Ni7型構造、CeNi3型構造、Gd2Co7型構造もしくはPuNi3型構造に類似する結晶構造を有する相(以下、類似結晶相と称す)とは、以下に説明する(a)または(b)の条件を満足する相を意味する。
【0039】
<条件(a)>
X線回折パターンに現れる主要なピークが正規構造のX線回折パターンに現れる主要なピークと似ている相。このような類似結晶相としては、例えば、Ce2Ni7型構造、CeNi3型構造、Gd2Co7型構造もしくはPuNi3型の面指数(ミラー指数)で規定することが可能な結晶構造を有する相を挙げることができる。中でも、前記類似結晶相は、以下の(1)または(2)に説明する結晶構造を有することが好ましい。
【0040】
(1)CuKα線を用いるX線回折において強度が最も高いピークが2θが42.1±1゜の範囲内に現れ、かつ下記(I)式で表される強度比が80%以下を満たす結晶構造。
【0041】
3/I4 (I)
但し、I4は、CuKα線を用いるX線回折における最も強度が高いピーク(P4)の強度であり、I3は、前記X線回折における2θが31〜34°の範囲に現れるピーク(P5)の強度である。なお、θはブラッグ角である。
【0042】
(2)CuKα線を用いるX線回折における2θが42.1±1゜の範囲内に強度が最も高いピークが現れ、かつ2θが31〜34°の範囲に現れるピークが複数本に割れている結晶構造。
【0043】
図1に水素吸蔵合金のX線回折パターンの一例を示す。図1の(a)の回折パターンは、Ce2Ni7型構造を有する相を主相として含む水素吸蔵合金のものである。この水素吸蔵合金は、2θ(θはブラッグ角を示す)が42.1±1゜の範囲と31〜34°の範囲とに主要なピークP、P1が現れる。また、2θが42.1±1゜の範囲に現れるピークPの強度が最も高い。図1の(b)の回折パターンは、前記(2)に説明した類似結晶相を主相として含む水素吸蔵合金のものである。図1の回折パターン(b)では、2θが42.1±1゜の範囲に最も強度が高いピークP2が現れ、2θが31〜34°の範囲に現れるピークP3が例えば3つに割れている。また、このピークP3の強度は、前述したピークP1の強度に比べて低い。一方、図1の(c)の回折パターンは、前記(1)に説明した類似結晶相を主相として含む水素吸蔵合金のものである。図1の回折パターン(c)では、2θが42.1±1゜の範囲に最も強度が高いピークP4が現れ、2θが31〜34°の範囲に前述したピークP1に比べて強度が低いピークP5が現れる。
【0044】
<条件(b)>
透過電子顕微鏡で撮影された電子線回折パターンにおいて、基本格子反射点(00L)と、原点(000)との距離|G00L|の5n等分点に規則格子反射点が存在する相。但し、L及びnは自然数である。
【0045】
前述した距離|G00L|は、0.385nm-1〜0.413nm-1の範囲内であることが望ましい。最も好ましい値は、0.4nm-1である。
【0046】
例えばnが1である時、基本格子反射点(00L)と、原点(000)との距離|G00L|を5等分する位置に規則格子反射点が存在する。
【0047】
なお、Ce2Ni7型の結晶構造か、もしくはGd2Co7型の結晶構造を有する水素吸蔵合金は、電子回折パターンにおいて、基本格子反射点(00L)と、原点(000)との距離|G00L|を3等分する位置に規則格子反射点が存在する。一方、CeNi3型の結晶構造か、もしくはPuNi3型の結晶構造を有する水素吸蔵合金は、電子回折パターンにおいて、基本格子反射点(00L)と、原点(000)との距離|G00L|を2等分する位置に規則格子反射点が存在する。
【0048】
前記類似結晶相の中でも、前述した(a)及び(b)の双方の条件を満足するものが好ましい。
【0049】
ここで、“主相”とは、前記第1の相及び前記第2の相からなる群より選ばれる少なくとも1つの相が前記水素吸蔵合金中に最大の容積を占めるか、前記水素吸蔵合金断面において最大の面積を占めることを意味するものである。特に、前記第1の相及び前記第2の相からなる群より選ばれる少なくとも1つの相の前記水素吸蔵合金に占める容積比率は、50容積%以上存在することが好ましい。前記容積比率のより好ましい範囲は、60容積%以上、さらに好ましくは70容積%以上である。
【0050】
前記水素吸蔵合金中の主相の容積比率は、以下に説明する方法で測定される。
すなわち、任意の5視野の走査電子顕微鏡写真を撮影し、各顕微鏡写真について視野内の合金面積に占める(この合金面積を100%とする)主相の面積比率を求める。得られた面積比率の平均値を算出し、これを水素吸蔵合金中の目的とする相の容積比率とする。但し、水素吸蔵合金を溶湯急冷で作製すると、結晶粒度が1μm程度もしくはそれ以下と小さくなるため、主相を走査電子顕微鏡で観察することが困難になる場合がある。この際には、走査電子顕微鏡の代わりに透過電子顕微鏡を使用する。
【0051】
この水素吸蔵合金の製造法について説明する。
【0052】
まず、各元素を秤量し、不活性雰囲気下、例えばアルゴンガス雰囲気下で高周波誘導溶解し、前述した(1)式で表される組成を有する合金インゴットを得る。また、溶湯急冷法あるいはガスアトマイズ法などの超急冷法により目的組成の合金を得ると、合金の均質性を高めることが可能である。しかしながら、低コスト化等を考慮し、前述した高周波誘導溶解に代表される鋳造法で目的組成の合金を得ることが好ましい。前述した第1の相群及び第2の相群から選ばれる少なくとも1種類の相は、AB2相とAB5相との包晶反応により生成すると考えられる。よって、得られた(1)式で表される組成を有する合金に、300℃以上、融点未満の温度で0.1〜500時間の熱処理を真空中もしくは不活性雰囲気下で施すことが望まれる。合金組成により最適な熱処理温度は異なるが、好ましい熱処理温度は概ね600〜1100℃の範囲である。前記熱処理温度を600℃未満にすると、包晶反応が進まないためにAB2型の結晶構造を有する相とAB5型の結晶構造を有する相が多量に残存する恐れがある。一方、前記熱処理温度が1100℃を越えると、水素吸蔵合金の一部が溶融して合金特性が劣化する恐れがある。
【0053】
上記の方法により作製された水素吸蔵合金を不活性雰囲気中でハンマーミル、ピンミルなどの粉砕機で粉砕することにより水素吸蔵合金粉末を得ることができる。但し、超急冷法で水素吸蔵合金を作製した場合には、粉砕工程を省略することができる。
【0054】
前記水素吸蔵合金粉末の平均粒径は、10〜100μmの範囲内にすることが好ましい。
【0055】
<希土類系添加物>
Y、Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Yb及びYの各元素の化合物としては、酸化物、水酸化物、硫酸塩、ハロゲン化物、硝酸塩化物、炭酸塩化物、燐酸塩化物等を使用することができる。中でも、酸化物が好ましい。また、好ましい希土類元素としては、Y、Yb、Erを挙げることができる。
【0056】
希土類系添加物の含有量は、前記水素吸蔵合金に対して0.05〜5重量%の範囲内にすることが好ましい。これは次のような理由によるものである。含有量を0.05重量%未満にすると、水素吸蔵合金のアルカリ電解液による腐食酸化を十分に抑制することが困難になって長寿命を得られなくなる恐れがある。一方、含有量が5重量%より多くなると、二次電池の初期活性が低下する恐れがある。含有量のさらに好ましい範囲は、0.2〜3重量%である。
【0057】
希土類系添加物は、一部がアルカリ電解液に溶解して希土類元素の水酸化物に変化する。このため、本発明に係る水素吸蔵合金電極を負極として用いたアルカリ二次電池においては、負極中に希土類元素の水酸化物が存在する。希土類元素の水酸化物としては、例えば、Er(OH)3、Y(OH)3、Yb(OH)3等を挙げることができる。また、希土類系添加物の電解液への溶解度が低いため、水素吸蔵合金電極中の希土類系添加物の含有量は、二次電池に組み込まれる前と後とでほとんど変化しない。
【0058】
<マンガン系添加物>
Mnの化合物としては、酸化物、水酸化物、硫酸塩、カルコゲン化合物等を挙げることができる。Mn酸化物としては、例えば、MnO、Mn23、Mn34を挙げることができる。Mn水酸化物としては、例えば、Mn(OH)2、Mn34・xH2O、Mn23・H2O、MnO2・H2Oを挙げることができる。Mn硫酸塩としては、例えば、MnSO4を挙げることができる。Mnのカルコゲン化合物としては、例えば、MnS、MnS2を挙げることができる。特に、Mn34、Mn(OH)2が好ましい。
【0059】
マンガン系添加物の含有量は、前記水素吸蔵合金に対して0.05〜5重量%の範囲内にすることが好ましい。これは次のような理由によるものである。含有量を0.05重量%未満にすると、高温貯蔵後の容量回復率を向上させることが困難になる恐れがある。一方、含有量を5重量%より多くしても、貯蔵特性の飛躍的な改善を望めないばかりか、水素吸蔵合金電極の容量が低下する恐れがある。含有量のさらに好ましい範囲は、0.1〜2重量%である。
【0060】
マンガン系添加物は、アルカリ電解液に溶解しやすく、一部あるいは全部がアルカリ電解液に溶解してMn水酸化物に変化する。このため、本発明に係る水素吸蔵合金電極を負極として用いたアルカリ二次電池においては、電池中にマンガンの水酸化物が存在する。また、この二次電池の負極のマンガン系添加物の含有量は、マンガン系添加物がアルカリ電解液に溶解した分、元の水素吸蔵合金電極に比べて少なくなっていることがある。例えば、水素吸蔵合金に対して0.05〜5重量%のマンガン系添加物を含む水素吸蔵合金電極を用いると、水素吸蔵合金に対して5重量%以下のマンガン系添加物が存在する負極を備えたアルカリ二次電池が得られる。また、二次電池の負極中のマンガン系添加物の存在量は、0.01〜5重量%の範囲内が好ましい。
【0061】
本発明に係る第1の電極は、例えば、水素吸蔵合金粉末、導電材、希土類系添加物の粉末、マンガン系添加物の粉末、結着剤および水を混練することによりペーストを調し、前記ペーストを導電性基板に塗布し、乾燥した後、加圧成形することにより作製される。
【0062】
前記結着剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリテトラフルオロエチレンを挙げることができる。
【0063】
前記導電材としては、例えば、カーボンブラック等を挙げることができる。
【0064】
前記導電性基板としては、例えば、パンチドメタル、エキスパンデッドメタル、ニッケルネット等の二次元基板や、フェルト状金属多孔体や、スポンジ状金属基板などの三次元基板を挙げることができる。
【0065】
(第2の水素吸蔵合金電極)
この第2の水素吸蔵合金電極は、下記一般式(2)で表わされる組成を有する水素吸蔵合金粉末と、前述した第1の電極で説明したのと同様な種類のマンガン系添加物とを含む。前記水素吸蔵合金粉末の表面における第1の希土類元素(前記第1の希土類元素は、Y、Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、Er及びYbよりなる群から選ばれる1種以上)の存在比率は、前記水素吸蔵合金粉末の中央部における第1の希土類元素の存在比率に比べて高い。
【0066】
R21-a-bMgabNiZ-X-Y- α - βCoXMnαAlYM1β …(2)
但し、前記R2は前記第1の希土類元素を必須成分として含む希土類元素、前記TはCa、Ti、ZrおよびHfからなる群より選ばれる1種以上の元素、前記M1はFe、Ga、Zn、Sn、Cu、Si、B、Nb、W、Mo、V、Cr、Ta、Li、PおよびSからなる群より選ばれる1種以上の元素であり、原子比a,b,X,Y、α、βおよびZは、0.15≦a≦0.37、0≦b≦0.3、0≦X≦0.5、0≦Y≦0.3、0≦α≦0.1、0≦β≦0.3、2.5≦Z≦4.2をそれぞれ示す。
【0067】
水素吸蔵合金粉末における第1の希土類元素の分布は、AES(オージェ分光分析装置)による水素吸蔵合金粉末の表面から内部への第1の希土類元素のdepth profileにより測定することができる。また、水素吸蔵合金における第1の希土類元素の存在比率は、透過型電子顕微鏡により倍率1万〜50万倍にて透過電子顕微鏡像を撮影し、透過型電子顕微鏡のEDX分析装置(Energy Dispersive X-ray Spectrometer)を用いて水素吸蔵合金の表面と内部の組成分析を行うことにより測定することができる。
【0068】
<水素吸蔵合金>
本発明では、水素吸蔵合金粉末の表面における第1の希土類元素の存在比率が前記合金粉末の中央部に比べて高くなっていれば良いが、表面を含む表層部の第1の希土類元素の存在比率が前記合金粉末の中央部に比べて高くても良い。また、水素吸蔵合金粉末の中央部の第1の希土類元素の存在量は、0重量%でも良い。
【0069】
表面における第1の希土類元素の存在比率(濃度)は、この表面を構成する全元素を100重量%とした際、0.01〜20重量%の範囲内にすることが好ましい。これは次のような理由によるものである。表面における第1の希土類元素濃度を0.01重量%未満にすると、水素吸蔵合金のアルカリ電解液による腐食を十分に抑制することが困難になる恐れがある。一方、表面における第1の希土類元素濃度が20重量%を超えると、水素吸蔵合金電極の初期活性が低下する恐れがある。表面における第1の希土類元素濃度の好ましい範囲は、0.05〜15重量%である。
【0070】
前記R2は、前記第1の希土類元素のみから構成することが可能であるが、第1の希土類元素の他に、La、Ce、Pr及びNdよりなる群から選ばれる1種以上からなる第2の希土類元素を含むことが好ましい。R2中に第2の希土類元素を含有させることによって、二次電池の平衡圧を適正値にすることができる。
【0071】
前記R2にはLaが含まれていることが望ましい。La含有量は、20重量%〜95重量%の範囲内にすることが好ましい。さらに、二次電池の作動電圧の観点から、従来合金のLaNi5系合金と同等の平均作動電圧を必要とする場合には、前記R2中のLa量は30重量%〜70重量%が好ましく、さらに好ましい範囲は35重量%〜60重量%である。
【0072】
前記R2中にCeが含まれている場合、R2中のCe量は20重量%以下にすることが好ましい。R2中のCe量が20重量%を超えると、CaCu5構造のようなAB5型の結晶構造を有する相が多量に析出して放電容量が低下する恐れがある。Ce量の好ましい範囲は、18重量%以下で、更に好ましい範囲は16重量%以下である。
【0073】
Mgの原子比aのより好ましい範囲は、0.15以上、0.35以下であり、さらに好ましい範囲は0.15以上、0.32以下であり、最も好ましい範囲は0.17以上、0.3以下である。
【0074】
Tの原子比bのより好ましい範囲は0以上、0.2以下であり、さらに好ましい範囲は0以上、0.1以下である。
【0075】
Coの原子比Xを前記範囲に規定するのは次のような理由によるものである。
原子比Xが0.5を超えると、水素吸蔵合金の充放電サイクルの進行に伴う微粉化が進んで長寿命を得られなくなる恐れがある。より好ましい範囲は、0.2以下(0を含む)で、さらに好ましい範囲は0.1以下(0を含む)で、最も好ましい範囲は0.05以下(0を含む)である。
【0076】
Alの原子比Yを前記範囲に規定するのは次のような理由によるものである。
原子比Yが0.3を超えると、CaCu5構造のようなAB5型の結晶構造を有する相が多量に析出して放電容量が低下する。より好ましい範囲は0.02以上、0.2以下であり、さらに好ましい範囲は0.05以上、0.15以下である。
【0077】
M1の原子比βのより好ましい範囲は、0以上、0.3以下であり、さらに好ましい範囲は0以上、0.2以下である。
【0078】
前記合金がCoを含有する場合、このCoがアルカリ電解液に溶出するのを抑制するために前記合金中にMnを添加する。Mnは、合金の平衡圧を下げる要因となるため、Co無添加の際には添加しなくても良い。Mnを添加する際、Mnの原子比αを0.1以下にすることが好ましい。Mnの原子比αが0.1を超えると、水素平衡圧が著しく低下すると共に、水素吸蔵・放出反応における可逆性が劣化する。その結果、この水素吸蔵合金を含む負極を備えた二次電池は、放電電圧が低下するため、放電容量が低くなる。原子比αのより好ましい範囲は、0以上、0.08以下であり、さらに好ましい範囲は0以上、0.06以下である。
【0079】
原子比Zを前記範囲に規定する理由を説明する。原子比Zを2.5未満にすると、MgCu2構造のようなAB2型の結晶構造を有する相が主相となる。一方、原子比Zが4.2を超えると、CaCu5構造のようなAB5型の結晶構造を有する相が主相となる。このため、原子比Zが2.5未満か、あるいは4.2より大きい水素吸蔵合金を含む負極を備えた二次電池は、放電容量およびサイクル寿命が低下する。原子比Zのより好ましい範囲は、2.5以上、4以下であり、さらに好ましい範囲は3以上、3.8以下であり、最も好ましい範囲は3以上、3.7以下である。
【0080】
前記水素吸蔵合金には、C,N,O,F 等の元素が不純物として合金の特性を阻害しない範囲で含まれていてもよい。なお、これらの不純物は各々1wt%以下の範囲であることが好ましい。
【0081】
前記水素吸蔵合金は、結晶系が六方晶である第1の相(但し、CaCu5型構造を有する相を除く)および結晶系が菱面体である第2の相からなる群より選ばれる少なくとも1種類の相を主相として含む。前記第1の相及び前記第2の相としては、前述した第1の水素吸蔵合金電極で説明したのと同様なものを挙げることができる。
【0082】
ここで、“主相”とは、前記第1の相及び前記第2の相からなる群より選ばれる少なくとも1つの相が前記水素吸蔵合金中に最大の容積を占めるか、前記水素吸蔵合金断面において最大の面積を占めることを意味するものである。特に、前記第1の相及び前記第2の相からなる群より選ばれる少なくとも1つの相の前記水素吸蔵合金に占める容積比率は、50容積%以上存在することが好ましい。前記容積比率のより好ましい範囲は、60容積%以上、さらに好ましくは70容積%以上である。
【0083】
水素吸蔵合金の主相の容積比率は、前述した第1の水素吸蔵合金電極で説明したのと同様な方法によって測定される。
【0084】
この水素吸蔵合金の製造法について説明する。
【0085】
まず、各元素を秤量し、不活性雰囲気下、例えばアルゴンガス雰囲気下で高周波誘導溶解し、目的組成の合金インゴットを得る。また、溶湯急冷法あるいはガスアトマイズ法などの超急冷法により目的組成の合金を得ると、合金の均質性を高めることが可能である。しかしながら、低コスト化等を考慮し、前述した高周波誘導溶解に代表される鋳造法で目的組成の合金を得ることが好ましい。前述した第1の相群及び第2の相群から選ばれる少なくとも1種類の相は、AB2相とAB5相との包晶反応により生成すると考えられる。よって、得られた合金に、300℃以上、融点未満の温度で0.1〜500時間の熱処理を真空中もしくは不活性雰囲気下で施すことが望まれる。合金組成により最適な熱処理温度は異なるが、好ましい熱処理温度は概ね600〜1100℃の範囲である。前記熱処理温度を600℃未満にすると、包晶反応が進まないためにAB2型の結晶構造を有する相とAB5型の結晶構造を有する相が多量に残存する恐れがある。一方、前記熱処理温度が1100℃を越えると、水素吸蔵合金の一部が溶融して合金特性が劣化する恐れがある。
【0086】
上記の方法により作製された合金を不活性雰囲気中でハンマーミル、ピンミルなどの粉砕機で粉砕することにより合金粉末を得る。但し、超急冷法で合金を作製した場合には、粉砕工程を省略することができる。前記合金粉末の平均粒径は、10〜100μmの範囲内にすることが好ましい。
【0087】
次いで、得られた合金粉末に、目的とする第1の希土類元素を含む添加剤を粉末状態で混合し、真空中もしくは不活性雰囲気下で750℃以上、融点未満の温度で0.1〜500時間熱処理を施すことにより、表面における第1の希土類元素の存在比率が中央部に比べて多い水素吸蔵合金粉末を得ることができる。このような方法によると、熱処理中に合金粉末表面と第1の希土類元素添加剤が反応し、合金表面付近を構成している希土類元素(主としてLa、Ce、PrまたはNd)と第1の希土類元素が置換固溶するため、合金の結晶構造を大きく変化させることなく、合金粉末表面に第1の希土類元素を多く存在させることが可能になる。また、得られた水素吸蔵合金粉末の表面には未反応物(例えば、第1の希土類元素の酸化物)が付着していることがある。この未反応物は、水洗などにより除去しても良いが、取り除かずに未反応物が付着した状態で使用しても良い。
【0088】
第1の希土類元素を含む添加剤は、合金粉末に対して0.1〜20重量%添加することが好ましい。さらに好ましい添加量は、0.2〜10重量の範囲内である。
【0089】
熱処理温度のさらに好ましい範囲は、800〜1100℃である。また、熱処理時間のさらに好ましい範囲は0.5〜100時間、最も好ましくは0.5〜20時間である。
【0090】
第1の希土類元素を含む添加剤には、第1の希土類元素の化合物か、第1の希土類元素の合金か、あるいは化合物と合金の両者を用いることができる。第1の希土類元素の化合物には、酸化物、水酸化物、硫酸塩、ハロゲン化物、硫酸塩化物、炭酸塩化物、燐酸塩化物等を使用することができる。使用する化合物の種類は、1種類もしくは2種類以上にすることができる。第1の希土類元素の合金としては、例えば、R3Tβ(但し、R3は第1の希土類元素、Tは遷移金属、原子比βは0<β≦3を示す)で表される組成の合金を挙げることができる。中でも、酸化物単独か、もしくは酸化物と他の種類の添加剤を混合して使用することが好ましい。原料化合物中に酸化物を含ませることによって、合金粉末の融着を回避することができる。
【0091】
本発明に係るアルカリ二次電池について説明する。
【0092】
このアルカリ二次電池は、正極と、前述した第1の水素吸蔵合金電極または第2の水素吸蔵合金電極から構成された負極と、前記正極及び前記負極の間に介在されるセパレータとを含む電極群と、前記電極群に含浸されるアルカリ電解液とを具備する。
【0093】
以下、正極、セパレータ及びアルカリ電解液について説明する。
【0094】
1) 正極
この正極は、例えば、活物質である水酸化ニッケル粉末に導電材料を添加し、高分子結着剤および水とともに混練してペーストを調し、前記ペーストを導電性基板に充填し、乾燥した後、成形することにより作製される。
【0095】
前記水酸化ニッケル粉末は、亜鉛酸化物、コバルト酸化物、亜鉛水酸化物及びコバルト水酸化物の群から選択される少なくとも1つの化合物を含んでいても良い。
【0096】
前記導電材料としては、例えば、コバルト酸化物、コバルト水酸化物、金属コバルト、金属ニッケル、炭素などを挙げることができる。
【0097】
前記高分子結着剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリテトラフルオロエチレンを挙げることができる。
【0098】
前記導電性基板としては、例えばニッケル、ステンレスまたはニッケルめっきが施された金属から形成された網状、スポンジ状、繊維状、もしくはフェルト状の金属多孔体を挙げることができる。
【0099】
前記正極は、Mn及びMn化合物よりなる群から選ばれる1種以上を含むことができる。
【0100】
2) セパレータ
このセパレータとしては、例えば、ポリプロピレン不織布、ナイロン不織布、ポリプロピレン繊維とナイロン繊維を混繊した不織布のような高分子不織布等を挙げることができる。特に、表面が親水化処理されたポリプロピレン不織布はセパレータとして好適である。
【0101】
3) アルカリ電解液
このアルカリ電解液としては、例えば、水酸化ナトリウム(NaOH)の水溶液、水酸化リチウム(LiOH)の水溶液、水酸化カリウム(KOH)の水溶液、NaOHとLiOHの混合液、KOHとLiOHの混合液、KOHとLiOHとNaOHの混合液等を用いることができる。
【0102】
第1の水素吸蔵合金電極を備えたアルカリ二次電池には、(a)40〜70℃で1〜50時間保持後、室温で初充電を施す工程か、(b)40〜100℃で初充電を施す工程か、(c)充電状態で40〜100℃で1〜50時間保持する工程を行うことが望ましい。
【0103】
前述した(a)〜(c)いずれかの工程を施すことによって、第1の水素吸蔵合金電極に含まれる希土類系添加物のアルカリ電解液への溶解を促すことができるため、水素吸蔵合金の電解液による腐食をより一層抑えることができ、サイクル寿命をより向上することができる。
【0104】
本発明に係るアルカリ二次電池の一例である角形アルカリ二次電池を図2に示す。
【0105】
負極端子を兼ねる有底矩形筒状の容器1内には、電極群2が収納されている。
前記電極群2は、負極3と正極4とをセパレータ5を介在させながら最外層が負極になるように交互に積層することにより作製される。前記電極群2の最外層の負極3は、前記容器1の内面と接している。アルカリ電解液は、前記容器1内に収容されている。ガス抜き孔(図示せず)が開口された長方形の封口板6は、前記容器1の上部開口部に絶縁ガスケット7を介してかしめ固定されている。正極リード8は、一端が前記正極4に接続され、かつ他端が前記封口板6の下面に接続されている。正極端子9は、前記封口板6上に前記ガス抜き孔を覆うように配置されている。ゴム製の安全弁10は、前記封口板6と前記正極端子9で囲まれた空間内に前記ガス抜き孔を塞ぐように配置されている。中央付近が開口されている絶縁板11は、前記容器1の折り曲げ部上端にその開口部から前記正極端子9が突出するように配置されている。絶縁チューブ12は、前記絶縁板11の周縁、前記容器1の側面及び前記容器1の底部周縁を被覆している。
【0106】
本発明に係る二次電池は、前述した図1に示すような角形アルカリ二次電池の他に、正極と負極とをセパレータを介して渦巻き状に捲回した構造の電極群と、アルカリ電解液とが有底円筒状の容器内に収納された構造の円筒形アルカリ二次電池に同様に適用することができる。
【0107】
以上説明した本発明に係る第1の水素吸蔵合金電極は、前記一般式(1)で表わされる組成を有する水素吸蔵合金と、Y、Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Yb、Y化合物、Sm化合物、Gd化合物、Tb化合物、Dy化合物、Ho化合物、Er化合物及びYb化合物よりなる群から選ばれる1種以上と、Mn及びMn化合物よりなる群から選ばれる1種以上とを含む。このような水素吸蔵合金電極によれば、高容量で、サイクル寿命が長く、かつ高温貯蔵特性に優れるアルカリ二次電池を実現することができる。
【0108】
すなわち、前記一般式(1)で表される組成を有する水素吸蔵合金は、以下の(1)〜(3)に説明する特長を有する。
【0109】
(1)単位体積並びに単位重量当たりの容量をCaCu5型の結晶構造を有する水素吸蔵合金に比べて高くすることができる。
【0110】
(2)Co量が少ないため、充放電サイクルの進行に伴う微粉化を抑制することができる。
【0111】
(3)Mn量が少ないため、適正な平衡圧を得ることができる。
【0112】
しかしながら、前記水素吸蔵合金は、アルカリ電解液により腐食されやすく、腐食による電解液中の水の消費及び腐食生成物による電池の内部抵抗の増加が進むため、サイクル寿命の低下を招く。この腐食は、高温環境下において顕著に生じるため、特に高温環境下でのサイクル寿命が短くなる。そのうえ、前記水素吸蔵合金を含む負極を備えた二次電池は、高温での容量回復率が十分ではない。
【0113】
本発明のように、Y、Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Yb、Y化合物、Sm化合物、Gd化合物、Tb化合物、Dy化合物、Ho化合物、Er化合物及びYb化合物よりなる群から選ばれる1種以上を添加することによって、前述した(1)〜(3)の特長を維持しつつ、高温環境下において合金がアルカリ電解液により腐食されるのを抑制することができるため、高温環境下においても長寿命を得ることができる。また、Mn及びMn化合物よりなる群から選ばれる1種以上を添加することによって、前述した(1)〜(3)の特長を維持しつつ、二次電池を高温で貯蔵した後の容量回復率を高くすることができる。その結果、高容量で、高温においても長寿命が得られ、かつ高温貯蔵特性に優れるアルカリ二次電池を実現することができる。さらに、本発明に係る第1の水素吸蔵合金電極は、水素吸蔵合金、希土類系添加物及びマンガン系添加物を含むペーストを導電性基板に充填し、乾燥し、加圧成形することにより作製されるため、簡単な方法で高性能な電極を実現することができる。
【0114】
また、本発明によれば、前記水素吸蔵合金の前記R1としてLa、Ce、Pr、Nd及びSmよりなる群から選ばれる1種以上を用いることができる。このような組成のR1成分は、水素吸蔵合金の腐食を助長する要因となるものの、本発明によれば、前記R1成分を含有する際にも合金の腐食を小さくすることができるため、前記組成のR1を含有する水素吸蔵合金の特長を生かして適正な平衡圧を得ることができる。その結果、放電電圧を高くすることができるため、放電容量を向上することができる。
【0115】
本発明に係る第2の水素吸蔵合金電極によれば、以下の(I)〜(III)に説明する効果を奏することができる。
【0116】
(I)前記一般式(2)で表わされる組成を有する水素吸蔵合金粉末を含有することによって、単位体積並びに単位重量当たりの容量をCaCu5型の結晶構造を有する水素吸蔵合金に比べて高くすることができ、充放電サイクルの進行に伴う微粉化を抑制することができ、かつ適正な平衡圧を得ることができる。
【0117】
(II)Mn及びMn化合物よりなる群から選ばれる1種以上を含有することによって、前述した(1)〜(3)の特長を維持しつつ、高温での容量回復率を向上することができる。
【0118】
(III)前記水素吸蔵合金粉末の表面における第1の希土類元素(前記第1の希土類元素は、Y、Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、Er及びYbよりなる群から選ばれる1種以上からなる)の存在比率を前記水素吸蔵合金粉末の中央部における前記第1の希土類元素の存在比率に比べて高くすることによって、前述した(1)〜(3)の特長を維持しつつ、高温環境下において合金がアルカリ電解液により腐食されるのを抑制することができる。
【0119】
これら(I)〜(III)の結果、高容量で、高温環境下においてもサイクル寿命が長く、かつ高温貯蔵特性に優れるアルカリ二次電池を実現することができる。
【0120】
また、本発明によれば、前記水素吸蔵合金の前記R2を第1の希土類元素と、La、Ce、Pr、Nd及びSmよりなる群から選ばれる1種以上からなる第2の希土類元素とから構成することによって、水素吸蔵合金の平衡圧の適正化を図ることができる。その結果、放電電圧を高くすることができるため、放電容量を向上することができる。
【0121】
次いで、本発明に係るハイブリッドカー及び電気自動車について説明する。
【0122】
本発明に係るハイブリッドカーは、外燃機関もしくは内燃機関と、例えばモータからなる電気駆動手段と、前記電気駆動手段用の電源とを具備する。前記電源は、正極と、負極と、アルカリ電解液とを具備した二次電池を具備する。前記負極には、本発明に係る第1または第2の水素吸蔵合金電極が用いられる。
【0123】
ここでいう“ハイブリッドカー”には、外燃機関もしくは内燃機関が発電機を駆動し、発電した電力と前記二次電池からの電力により電気駆動手段が車輪を駆動するものと、外燃機関もしくは内燃機関ならびに電気駆動手段の双方の駆動力を使い分けて車輪を駆動するものとが包含される。
【0124】
本発明に係る電気自動車は、駆動電源として二次電池を具備する。前記二次電池は、正極と、負極と、アルカリ電解液とを具備する。前記負極には、本発明に係る第1または第2の水素吸蔵合金電極が用いられる。
【0125】
本発明に係る第1または第2の水素吸蔵合金電極を負極として備えた二次電池が搭載されたハイブリッドカー及び電気自動車によれば、燃費等の走行性能を高くすることができる。
【0126】
【実施例】
(実施例1〜10)
<水素吸蔵合金の作製>
下記表1に示す組成となるように各元素を秤量し、アルゴン雰囲気下で高周波誘導炉で溶解し、水冷銅鋳型に注湯・固化して合金インゴットを作製した。なお、表1、3中のLm(1)は、98重量%のLaと、0.02重量%のCeと、0.08重量%のPrと、1重量%のNdとからなる組成を有し、Lm(2)は、53重量%のLaと、4重量%のCeと、8重量%のPrと、35重量%のNdとからなる組成を有し、Lm(3)は、38重量%のLaと、4重量%のCeと、16重量%のPrと、42重量%のNdとからなる組成を有し、Mm(1)は、30重量%のLaと、47.3重量%のCeと、8重量%のPrと、14.5重量%のNdと、0.2重量%のSmからなる組成を有する。
【0127】
得られた合金インゴットに900〜1020℃で2〜10時間の熱処理をアルゴン雰囲気下で施し、水素吸蔵合金インゴットを得た。
【0128】
<水素吸蔵合金の結晶構造>
各水素吸蔵合金について、Cu−Kα線をX線源とするX線回折パターンから結晶構造を観察し、主相の結晶構造を決定し、その結果を下記表1に示す。
【0129】
なお、実施例4の水素吸蔵合金は、前記X線回折パターンにおいて、2θが42.1±1゜の範囲に最も強度が高いピークが現れ、2θが31〜34°の範囲に現れるピークが2つに割れていた。また、この2つに割れたピークの強度は、Ce2Ni7型相を主相とする水素吸蔵合金のX線回折における2θが31〜34°に現れるピークの強度に比べて低かった。
【0130】
<水素吸蔵合金の主相の占有率>
各水素吸蔵合金について、任意の5視野の走査電子顕微鏡写真を撮影した。各顕微鏡写真について視野内の合金面積に占める主相の面積比率を求めた。得られた面積比率の平均値を算出し、これを水素吸蔵合金中の主相の容積比率とし、下記表1に併記する。
【0131】
<電池の組み立て>
得られた合金インゴットを平均粒径が50μmとなるようにアルゴン雰囲気中で粉砕し、水素吸蔵合金粉末を作製した。
【0132】
この合金粉末100重量部に対してスチレン・ブタジエンゴム(SBR)を1重量部、ポリアクリル酸ナトリウム0.2重量部、カルボキシメチルセルロース0.2重量部、ケッチェンブラック粉末を0.5重量部、ニッケル粉0.5重量部、水50重量部、下記表2に示す希土類系添加物及びマンガン系添加物を添加し、これらを攪拌することによりペーストを調製した。表面にニッケルメッキが施された鉄製穿孔薄板に得られたペーストを塗布し、乾燥することにより塗工板を得た。得られた塗工板にロールプレスを施すことにより厚さ調節を行った後、所望の寸法に裁断し、4.3gの水素吸蔵合金を含む負極を作製した。
【0133】
一方、セパレータとして、アクリル酸がグラフト共重合されたポリオレフィン系不織布を用意した。
【0134】
この負極と、860mAhの公称容量を有する公知技術によって作製されたペースト式ニッケル正極とを、その間に前記セパレータを介在させて積層することにより電極群を作製した。
【0135】
得られた電極群と、7mol/LのKOH、0.5mol/LのNaOH及び0.5mol/LのLiOHを含むアルカリ電解液1.27gとを容器内に収納し、封口することにより、公称容量が860mAhで、F6サイズの密閉形ニッケル水素二次電池を組み立てた。
【0136】
(比較例1)
下記表1に示す水素吸蔵合金を用い、かつ負極中に希土類系添加物及びマンガン系添加物を添加しないこと以外は、前述した実施例1と同様にしてニッケル水素二次電池を組み立てた。
【0137】
(比較例2)
<水素吸蔵合金の作製>
79%のランタン、0.2%のネオジウム、0.2%のセリウムおよび20.6%のプラセオジムを主成分とするミッシュメタルと、ニッケル、コバルト、アルミニウム、マンガンをそれぞれ表1のモル比で含む水素吸蔵合金インゴットを誘導溶解炉を用いて調製し、アルゴン雰囲気中で1000℃、5時間の熱処理を行った。
【0138】
この水素吸蔵合金について、Cu−Kα線をX線源とするX線回折パターンから結晶構造を観察したところ、結晶構造はCaCu5型であった。
【0139】
<電池の組み立て>
得られた合金インゴットを平均粒径が50μmとなるようにアルゴン雰囲気中で粉砕し、水素吸蔵合金粉末を作製した。
【0140】
この合金粉末100重量部に対してスチレン・ブタジエンゴム(SBR)を1重量部、ポリアクリル酸ナトリウム0.2重量部、カルボキシメチルセルロース0.2重量部、ケッチェンブラック粉末を0.5重量部、ニッケル粉0.5重量部、水50重量部、下記表2に示す希土類系添加物及びマンガン系添加物を添加し、これらを攪拌することによりペーストを調製した。表面にニッケルメッキが施された鉄製穿孔薄板に得られたペーストを塗布し、乾燥することにより塗工板を得た。得られた塗工板にロールプレスを施すことにより厚さ調節を行った後、所望の寸法に裁断し、4.3gの水素吸蔵合金を含む負極を作製した。
【0141】
一方、セパレータとして、アクリル酸がグラフト共重合されたポリオレフィン系不織布を用意した。
【0142】
この負極と、800mAhの公称容量を有する公知技術によって作製されたペースト式ニッケル正極とを、その間に前記セパレータを介在させて積層することにより電極群を作製した。
【0143】
得られた電極群と、7mol/LのKOH、0.5mol/LのNaOH及び0.5mol/LのLiOHを含むアルカリ電解液1.26gとを容器内に収納し、封口することにより、公称容量が800mAhで、F6サイズの密閉形ニッケル水素二次電池を組み立てた。
【0144】
得られた実施例1〜10及び比較例1〜2の二次電池について、室温で24時間放置した。室温で0.1CmAの電流で15時間充電後、60℃で15時間保持し、続いて室温で0.1CmAの電流で電池電圧が0.8Vになるまで放電するという充放電サイクルを行い、さらに0.2CmAの電流で6時間充電後、0.2CmAの電流で電池電圧が0.8Vになるまで放電するという充放電サイクルを室温で2回行い、初充放電を施した。次いで、以下に説明するサイクル試験及び貯蔵試験を行った。
【0145】
サイクル試験では、まず、45℃の環境下で1CmAの電流で充電し、充電時の最大電圧から4mV低下した時に充電を終了する−ΔV法を用いて充電を行った。その後、1CmAの電流で電池電圧が1.0Vになるまで放電した。このような充放電サイクルを繰り返し、放電容量が初期の70%に低下するまでのサイクル数を測定した。得られた結果を比較例1の二次電池のサイクル寿命を1とした相対値で表示し、その結果を下記表2に示す。
【0146】
貯蔵試験では、まず、25℃の環境下で1CmAの電流で充電し、充電時の最大電圧から4mV低下した時に充電を終了する−ΔV法を用いて充電を行った。
その後、1CmAの電流で電池電圧が1.0Vになるまで放電した。このような充放電サイクルを5回繰り返し、放電状態で60℃の環境下で50日間貯蔵した。貯蔵後、25℃の環境下で1CmAの電流で充電し、充電時の最大電圧から4mV低下した時に充電を終了する−ΔV法を用いて充電を行った。その後、1CmAの電流で電池電圧が1.0Vになるまで放電した。貯蔵前の放電容量に対する貯蔵後の放電容量の回復率を評価した結果を下記表2に示す。
【0147】
また、実施例3の二次電池について、前記初充放電後、分解して負極を取り出し、この負極中に残存するマンガン系添加物の種類を調べたところ、Mn34とMn(OH)2の混合物であることがわかった。
【0148】
【表1】
Figure 0004642967
【0149】
【表2】
Figure 0004642967
【0150】
表1、2から明らかなように、前述した(1)で表わされる組成を有する水素吸蔵合金、希土類系添加物及びマンガン系添加物を含む負極を備えた実施例1〜10の二次電池は、高温でのサイクル寿命及び高温貯蔵時の容量回復率を向上することができる。
【0151】
これに対し、希土類系添加物及びマンガン系添加物が無添加の負極を備えた比較例1の二次電池は、実施例1〜10の二次電池に比べて高温でのサイクル寿命及び高温貯蔵時の容量回復率が低くなることがわかる。一方、CaCu5型の水素吸蔵合金を含む負極を備えた比較例2の二次電池は、長寿命を得られるものの、公称容量及び高温貯蔵時の容量回復率が実施例1〜10の二次電池に比べて低くなることがわかる。
【0152】
(実施例11〜20)
下記表3に示す組成となるように各元素を秤量し、アルゴン雰囲気下で高周波誘導炉で溶解し、水冷銅鋳型に注湯・固化して合金インゴットを作製した。得られた合金インゴットに前述した実施例1で説明したのと同様な条件での熱処理をアルゴン雰囲気下で施し、水素吸蔵合金インゴットを得た。
【0153】
得られた水素吸蔵合金と、下記表3に示す希土類系添加物及びMn系添加物を用いること以外は、前述した実施例1で説明したのと同様にして負極を作製した。
【0154】
次いで、得られた負極から前述した実施例1で説明したのと同様にしてニッケル水素二次電池を組み立てた。
【0155】
(比較例3)
負極に希土類系添加物及びMn系添加物を添加しないこと以外は、前述した実施例11で説明したのと同様な構成のニッケル水素二次電池を組み立てた。
【0156】
実施例11〜20及び比較例3の二次電池について、前述した実施例1で説明したのと同様な条件のサイクル試験及び貯蔵試験を行い、その結果を表3に併記する。但し、サイクル寿命は、比較例3の二次電池のサイクル寿命を1とした相対値で表示した。
【0157】
【表3】
Figure 0004642967
【0158】
表3から明らかなように、前述した(1)で表わされる組成を有する水素吸蔵合金、希土類系添加物及びマンガン系添加物を含む負極を備えた実施例11〜20の二次電池は、高温でのサイクル寿命及び高温貯蔵時の容量回復率を向上することができる。
【0159】
これに対し、希土類系添加物及びマンガン系添加物が無添加の負極を備えた比較例3の二次電池は、実施例11〜20の二次電池に比べて高温でのサイクル寿命及び高温貯蔵時の容量回復率が低くなることがわかる。
【0160】
(実施例21〜30)
下記表4に示す組成となるように各元素を秤量し、アルゴン雰囲気下で高周波誘導溶解にて合金インゴットを作製した。つづいて、これら合金インゴットを溶融し、得られた溶湯をアルゴン雰囲気中において15m/secの周速度で回転する銅製単ロールの表面に滴下して急冷し、フレーク状の水素吸蔵合金を得た。なお、表4中のLm(4)は、75重量%のLaと、4重量%のCeと、5重量%のPrと、16重量%のNdとからなる組成を有し、Lm(5)は、48重量%のLaと、4重量%のCeと、13重量%のPrと、35重量%のNdとからなる組成を有し、Mm(2)は、38重量%のLaと、47.3重量%のCeと、5.5重量%のPrと、9重量%のNdと、0.2重量%のSmからなる組成を有する。得られた合金フレークに900〜1020℃で0.5〜5時間の熱処理をアルゴン雰囲気下で施した。
【0161】
この合金フレークを平均粒径50μmとなるようにアルゴン雰囲気中で粉砕した。得られた合金粉末と下記表5に示す希土類系化合物を混合し、800〜1020℃の範囲で1〜5時間の熱処理をアルゴン雰囲気下で施した。
【0162】
<水素吸蔵合金の結晶構造>
各水素吸蔵合金について、Cu−Kα線をX線源とするX線回折パターンから結晶構造を観察し、主相の結晶構造を決定し、その結果を下記表4に示す。
【0163】
<水素吸蔵合金の主相の占有率>
各水素吸蔵合金について、任意の5視野の透過電子顕微鏡写真を撮影した。各顕微鏡写真について視野内の合金面積に占める主相の面積比率を求めた。得られた面積比率の平均値を算出し、これを水素吸蔵合金中の主相の容積比率とし、下記表4に併記する。
【0164】
なお、実施例23,28の水素吸蔵合金は、前記X線回折パターンにおいて、2θが42.1±1゜の範囲に最も強度が高いピークが現れ、2θが31〜34°の範囲に現れるピークが2つに割れていた。また、この2つに割れたピークの強度は、Ce2Ni7型相を主相とする水素吸蔵合金のX線回折における2θが31〜34°に現れるピークの強度に比べて低かった。
【0165】
<水素吸蔵合金粉末中の第1の希土類元素存在比率>
AES(オージェ分光分析装置)によって水素吸蔵合金粉末の表面から内部への第1の希土類元素のdepth profileを測定した。また、透過型電子顕微鏡により倍率5万〜10万倍にて透過電子顕微鏡像を撮影し、透過型電子顕微鏡のEDX分析装置(Energy Dispersive X-ray Spectrometer)を用いて水素吸蔵合金の表面と内部の組成分析を行った。これらの結果より水素吸蔵合金の表面及び中央部における第1の希土類元素(Y、Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、Er及びYbよりなる群から選ばれる1種以上からなる)の存在比率(固溶置換量)を求め、その結果を下記表5に示す。
【0166】
<電池の組み立て>
この合金粉末100重量部に対してポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を1重量部、ポリアクリル酸ナトリウム0.2重量部、カルボキシメチルセルロース0.2重量部、ケッチェンブラック粉末を1重量部、水50重量部、下記表5に示すマンガン系添加物を添加し、これらを攪拌することによりペーストを調製した。表面にニッケルメッキが施された鉄製穿孔薄板に得られたペーストを塗布し、乾燥することにより塗工板を得た。得られた塗工板にロールプレスを施すことにより厚さ調節を行った後、所望の寸法に裁断し、8gの水素吸蔵合金を含む負極を作製した。
【0167】
一方、セパレータとして、アクリル酸がグラフト共重合されたポリオレフィン系不織布を用意した。
【0168】
この負極と、1500mAhの公称容量を有する公知技術によって作製されたペースト式ニッケル正極とを、その間に前記セパレータを介在させて渦巻き状に捲回することにより電極群を作製した。
【0169】
得られた電極群と、7mol/LのKOH、0.5mol/LのNaOH及び0.5mol/LのLiOHを含むアルカリ電解液2.4mLとを容器内に収納し、封口することにより、公称容量が1500mAhで、AAサイズの密閉形ニッケル水素二次電池を組み立てた。
【0170】
(比較例4)
下記表4に示す組成となるように各元素を秤量し、アルゴン雰囲気下で高周波誘導溶解にて合金インゴットを作製した。つづいて、これら合金インゴットを溶融し、得られた溶湯をアルゴン雰囲気中において15m/secの周速度で回転する銅製単ロールの表面に滴下して急冷し、フレーク状の水素吸蔵合金を得た。得られた合金フレークに900〜1020℃で0.5〜5時間の熱処理をアルゴン雰囲気下で施した。この合金フレークを平均粒径50μmとなるようにアルゴン雰囲気中で粉砕した。
【0171】
得られた水素吸蔵合金について、前述した実施例21で説明したのと同様にして結晶構造並びに主相の占有率を測定し、その結果を下記表4に併記する。
【0172】
この水素吸蔵合金を用い、希土類系化合物による熱処理を行わず、かつマンガン系添加物を添加しないこと以外は、前述した実施例21で説明したのと同様な構成のニッケル水素二次電池を組み立てた。
【0173】
(比較例5)
前述した比較例2で説明したのと同様な種類の合金粉末と下記表5に示す希土類系化合物を混合し、800〜1020℃の範囲で1〜5時間の熱処理をアルゴン雰囲気下で施した。
【0174】
<水素吸蔵合金粉末中の第1の希土類元素存在量>
水素吸蔵合金粉末断面の中央部と表面について、前述した実施例21で説明したのと同様にして第1の希土類元素の濃度を測定し、その結果を下記表5に示す。
【0175】
<電池の組み立て>
この合金粉末100重量部に対してポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を1重量部、ポリアクリル酸ナトリウム0.2重量部、カルボキシメチルセルロース0.2重量部、ケッチェンブラック粉末を1重量部、水50重量部、下記表5に示すマンガン系添加物を添加し、これらを攪拌することによりペーストを調製した。表面にニッケルメッキが施された鉄製穿孔薄板に得られたペーストを塗布し、乾燥することにより塗工板を得た。得られた塗工板にロールプレスを施すことにより厚さ調節を行った後、所望の寸法に裁断し、7gの水素吸蔵合金を含む負極を作製した。
【0176】
一方、セパレータとして、アクリル酸がグラフト共重合されたポリオレフィン系不織布を用意した。
【0177】
この負極と、1500mAhの公称容量を有する公知技術によって作製されたペースト式ニッケル正極とを、その間に前記セパレータを介在させて渦巻き状に捲回することにより電極群を作製した。
【0178】
得られた電極群と、7mol/LのKOH、0.5mol/LのNaOH及び0.5mol/LのLiOHを含むアルカリ電解液2.4mLとを容器内に収納し、封口することにより、公称容量が1500mAhで、AAサイズの密閉形ニッケル水素二次電池を組み立てた。
【0179】
得られた実施例21〜30及び比較例4,5の二次電池について、45℃で24時間放置した後、150mAの電流で15時間充電し、60℃で10時間保持した。その後、150mAの電流で電池電圧が0.8Vになるまで放電した。さらに、20℃で1500mAの電流で、充電時の最大電圧から10mV低下した時に充電を終了する−ΔV法を用いて充電後、1500mAの電流で電池電圧が1.0Vになるまで放電するという充放電サイクルを室温で5回行うことにより初充放電を施した。次いで、以下に説明するサイクル試験及び貯蔵試験を行った。
【0180】
サイクル試験では、まず、45℃の環境下で1500mAの電流で、充電時の最大電圧から10mV低下した時に充電を終了する−ΔV法を用いて充電を行った。その後、1500mAの電流で電池電圧が1.0Vになるまで放電した。このような充放電サイクルを繰り返し、放電容量が初期の70%に低下するまでのサイクル数を測定した。得られた結果を比較例4の二次電池のサイクル寿命を1とした相対値で表示し、その結果を下記表6に示す。
【0181】
貯蔵試験では、まず、25℃の環境下で1500mAの電流で、充電時の最大電圧から10mV低下した時に充電を終了する−ΔV法を用いて充電を行った。その後、1500mAの電流で電池電圧が1.0Vになるまで放電した。このような充放電サイクルを5回繰り返し、放電状態で60℃の環境下で60日間貯蔵した。貯蔵後、25℃の環境下で1500mAの電流で、充電時の最大電圧から10mV低下した時に充電を終了する−ΔV法を用いて充電を行い、1500mAの電流で電池電圧が1.0Vになるまで放電するという充放電のサイクルを2回繰り返し、放電容量を測定した。貯蔵前の放電容量に対する貯蔵後の放電容量の回復率を評価した結果を下記表6に示す。
【0182】
また、実施例26の二次電池について、前記初充放電後、分解して負極を取り出し、この負極中に残存するマンガン系添加物の種類を調べたところ、Mn34とMn(OH)2の混合物であることがわかった。
【0183】
【表4】
Figure 0004642967
【0184】
【表5】
Figure 0004642967
【0185】
【表6】
Figure 0004642967
【0186】
表4〜表6から明らかなように、前述した(2)で表わされる組成を有する水素吸蔵合金の粉末及びマンガン系添加物を含むと共に、前記水素吸蔵合金粉末の表面における第1の希土類元素の固溶置換量が前記水素吸蔵合金粉末の中央部における前記第1の希土類元素の固溶置換量に比べて多い負極を備えた実施例21〜30の二次電池は、高温でのサイクル寿命及び高温貯蔵時の容量回復率を向上することができる。
【0187】
これに対し、希土類系添加物及びマンガン系添加物が無添加の負極を備えた比較例4の二次電池は、実施例21〜30の二次電池に比べて高温でのサイクル寿命及び高温貯蔵時の容量回復率が低くなることがわかる。一方、CaCu5型の水素吸蔵合金を含む負極を備えた比較例5の二次電池は、長寿命を得られるものの、公称容量及び高温貯蔵時の容量回復率が実施例21〜30の二次電池に比べて低くなることがわかる。
【0188】
(実施例31〜40)
下記表7に示す組成となるように各元素を秤量し、アルゴン雰囲気下で高周波誘導溶解にて合金インゴットを作製した。つづいて、これら合金インゴットを溶融し、得られた溶湯をアルゴン雰囲気中において15m/secの周速度で回転する銅製単ロールの表面に滴下して急冷し、フレーク状の水素吸蔵合金を得た。得られた合金フレークに前述した実施例21で説明したのと同様な条件での熱処理をアルゴン雰囲気下で施した。
【0189】
この合金フレークを平均粒径50μmとなるようにアルゴン雰囲気中で粉砕した。得られた合金粉末と下記表7に示す希土類系化合物を混合し、800〜1020℃の範囲で1〜5時間の熱処理をアルゴン雰囲気下で施した。
【0190】
得られた水素吸蔵合金粉末について、前述した実施例21で説明したのと同様にして水素吸蔵合金の表面及び中央部における第1の希土類元素の存在比率(固溶置換量)を測定し、その結果を下記表7に示す。
【0191】
得られた水素吸蔵合金と、下記表8に示すMn系添加物を用いること以外は、前述した実施例21で説明したのと同様にして負極を作製した。
【0192】
次いで、得られた負極から前述した実施例21で説明したのと同様にしてニッケル水素二次電池を組み立てた。
【0193】
(比較例6)
負極に希土類系添加物及びMn系添加物を添加しないこと以外は、前述した実施例31で説明したのと同様な構成のニッケル水素二次電池を組み立てた。
【0194】
実施例31〜40及び比較例6の二次電池について、前述した実施例21で説明したのと同様な条件のサイクル試験及び貯蔵試験を行い、その結果を表8に併記する。但し、サイクル寿命は、比較例6の二次電池のサイクル寿命を1とした相対値で表示した。
【0195】
【表7】
Figure 0004642967
【0196】
【表8】
Figure 0004642967
【0197】
表7,8から明らかなように、前述した(2)で表わされる組成を有する水素吸蔵合金、希土類系添加物及びマンガン系添加物を含む負極を備えた実施例31〜40の二次電池は、高温でのサイクル寿命及び高温貯蔵時の容量回復率を向上することができる。
【0198】
これに対し、希土類系添加物及びマンガン系 添加物が無添加の負極を備えた比較例6の二次電池は、実施例31〜40の二次電池に比べて高温でのサイクル寿命及び高温貯蔵時の容量回復率が低くなることがわかる。
【0199】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、高容量で、サイクル寿命及び高温貯蔵特性に優れる水素吸蔵合金電極の製造方法及びアルカリ二次電池の製造方法を提供することができる。また、本発明に係るハイブリッドカー及び電気自動車によれば、燃費等の走行性能を向上することができる等の顕著な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る水素吸蔵合金電極に含まれる水素吸蔵合金についてのCuKα線によるX線回折パターンの一例を示す特性図。
【図2】本発明に係るアルカリ二次電池の一例を示す部分切欠斜視図。
【符号の説明】
1…容器、
2…電極群、
3…負極、
4…正極、
5…セパレータ、
6…封口板、
7…絶縁ガスケット。

Claims (7)

  1. 下記一般式(1)で表わされる組成を有する水素吸蔵合金粉末と、Y、Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Yb、Y化合物、Sm化合物、Gd化合物、Tb化合物、Dy化合物、Ho化合物、Er化合物及びYb化合物よりなる群から選ばれる1種以上の粉末と、Mn及びMn化合物よりなる群から選ばれる1種以上の粉末とを含むペーストを調製する工程と、
    前記ペーストを導電性基板に塗布する工程と、
    前記導電性基板に塗布された前記ペーストを乾燥し、塗工板を得る工程と、
    前記塗工板に加圧成形を施す工程と
    を備えることを特徴とする水素吸蔵合金電極の製造方法。
    R11-a-bMgabNiZ-X-Y-α-βCoXMnαAlYM1β …(1)
    但し、前記R1は、Yを含む希土類元素から選ばれる1種以上の元素、前記TはCa、Ti、ZrおよびHfからなる群より選ばれる1種以上の元素、前記M1はFe、Ga、Zn、Sn、Cu、Si、B、Nb、W、Mo、V、Cr、Ta、Li、PおよびSからなる群より選ばれる1種以上の元素であり、原子比a,b,X,Y、α、βおよびZは、0.15≦a≦0.37、0≦b≦0.3、0≦X≦0.5、0≦Y≦0.3、0≦α≦0.1、0≦β≦0.3、2.5≦Z≦4.2をそれぞれ示す。
  2. 前記R1は、La、Ce、Pr、Nd及びSmよりなる群から選ばれる1種以上から構成されることを特徴とする請求項1記載の水素吸蔵合金電極の製造方法
  3. 下記一般式(2)で表わされる組成を有する水素吸蔵合金粉末と、Y、Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、Er及びYbよりなる群から選ばれる1種以上からなる第1の希土類元素を含む添加剤の粉末とを混合し、真空中もしくは不活性雰囲気下で熱処理を施すことにより、表面における前記第1の希土類元素の存在比率が中央部に比べて多い水素吸蔵合金粉末を得る工程と、
    前記水素吸蔵合金粉末と、Mn及びMn化合物よりなる群から選ばれる1種以上の粉末とを含むペーストを調製する工程と、
    前記ペーストを導電性基板に塗布する工程と、
    前記導電性基板に塗布された前記ペーストを乾燥し、塗工板を得る工程と、
    前記塗工板に加圧成形を施す工程と
    を備えることを特徴とする水素吸蔵合金電極の製造方法。
    R21-a-bMgabNiZ-X-Y-α-βCoXMnαAlYM1β …(2)
    但し、前記R2はLa、Ce、Pr、Nd及びSmよりなる群から選ばれる1種以上の元素、前記TはCa、Ti、ZrおよびHfからなる群より選ばれる1種以上の元素、前記M1はFe、Ga、Zn、Sn、Cu、Si、B、Nb、W、Mo、V、Cr、Ta、Li、PおよびSからなる群より選ばれる1種以上の元素であり、原子比a,b,X,Y、α、βおよびZは、0.15≦a≦0.37、0≦b≦0.3、0≦X≦0.5、0≦Y≦0.3、0≦α≦0.1、0≦β≦0.3、2.5≦Z≦4.2をそれぞれ示す。
  4. 前記水素吸蔵合金は、結晶系が六方晶である第1の相(但し、CaCu5型構造を有する相を除く)および結晶系が菱面体である第2の相からなる群より選ばれる少なくとも1種類の相を主相として含むことを特徴とする請求項1〜3いずれか1項記載の水素吸蔵合金電極の製造方法
  5. 正極と、負極と、前記正極及び前記負極の間に介在されるセパレータと、アルカリ電解液とを具備するアルカリ二次電池の製造方法において、
    前記負極を請求項1〜4いずれか1項記載の方法によって製造することを特徴とするアルカリ二次電池の製造方法。
  6. 電気駆動手段と、前記電気駆動手段用の電源とを具備したハイブリッドカーにおいて、
    前記電源は、正極と、請求項1〜4いずれか1項記載の方法で製造された水素吸蔵合金電極からなる負極と、アルカリ電解液とを具備した二次電池を備えることを特徴とするハイブリッドカー。
  7. 駆動電源として二次電池を具備した電気自動車において、
    前記二次電池は、正極と、請求項1〜4いずれか1項記載の方法で製造された水素吸蔵合金電極からなる負極と、アルカリ電解液とを備えることを特徴とする電気自動車。
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