JP4642705B2 - 磁気記録媒体の製造方法 - Google Patents

磁気記録媒体の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4642705B2
JP4642705B2 JP2006158634A JP2006158634A JP4642705B2 JP 4642705 B2 JP4642705 B2 JP 4642705B2 JP 2006158634 A JP2006158634 A JP 2006158634A JP 2006158634 A JP2006158634 A JP 2006158634A JP 4642705 B2 JP4642705 B2 JP 4642705B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
magnetic
particle
particles
recording medium
substrate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2006158634A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2007018688A (ja
JP2007018688A5 (ja
Inventor
亮子 堀江
伸浩 安居
透 田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP2006158634A priority Critical patent/JP4642705B2/ja
Publication of JP2007018688A publication Critical patent/JP2007018688A/ja
Publication of JP2007018688A5 publication Critical patent/JP2007018688A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4642705B2 publication Critical patent/JP4642705B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、磁性粒子間の磁気的分離に優れた磁気記録媒体を製造する方法に関する。
従来利用されてきたハードディスク用磁気記録媒体は長手磁気記録方式であり、磁化はディスク表面に平行に記録されている。この長手磁気記録方式では高密度化に伴い磁区内の反磁界を抑え、且つ磁化状態を検出させるため媒体上方に磁界を出すために磁気記録層を薄くしていく必要がある。そのため磁性微粒子1つ当たりの体積が極度に小さくなり、超常磁性効果が発生しやすい傾向にある。すなわち磁化方向を安定させているエネルギーが熱エネルギーより小さくなり、記録された磁化が時間とともに変化し、記録を消してしまうことが起こる。このため近年では長手磁気記録に代わって記録層の膜厚を大きくとれる垂直磁気記録方式へ移行する研究が盛んに行われている。
垂直磁気記録用の媒体としては、記録層として一般にCo−Cr合金が用いられており、スパッタリング法で作製する。Co組成が多いコア部とその周りのCr組成が比較的多いシェル部に分離された状態で成長する。
しかし、さらなる高密度化においては、Co−Cr系では、Co組成が多いコア部分の微細化が困難であることが予想される。そこで、近年注目されているのが、CoPt,FePtのL1規則合金(図10)である。ただし、規則合金化するためにはグラニュラー膜状態において熱処理を施す必要がある。その熱処理過程において規則合金化と磁性粒同士の結合とが同時進行してしまう。これにより、熱処理前には10nm以下の磁性粒子が非磁性体部分によって分離していたものが、熱処理後には磁性粒子同士が結合して直径が数十nmの磁性粒子部分となり、磁性粒の微細化にともなう性能向上があまり見られなかった。
そこで、低温で規則化合金を形成するための技術が提案されている(特許文献1)。特許文献1には、FePtにCuを添加することによって低温化を実現している。
特開2004−311607号公報
しかし、特許文献1では、めっきでFePtやCuを細孔に充填しているために、不純物が混じる可能性が高く、期待される磁気特性がでないことが考えられる。
そこで、本発明は、不純物の混入がすくなく、磁気特性が向上した磁気記録媒体を提供することを目的とする。
そこで、本発明は
磁性粒子部分が非磁性部分に分散して配置した記録層を有する磁気記録媒体の製造方法において、
基体上に気相成膜法でCuまたはAg粒子部分を非磁性部分に分散して配置する第1工程と、
気相成膜法で前記CuまたはAg粒子部分に磁性粒子部分を積層し、非磁性部分にはさらに非磁性部分を積層する第2工程と、
積層後に熱処理を行う第3の工程とを有する磁気記録媒体の製造方法を提供するものである。
また、上述の製造方法を応用することにより、次のような製造方法で、磁気記録媒体の作製が可能になる。
本発明は、磁性粒子部分が非磁性部分に分散して配置した記録層を有する磁気記録媒体の製造方法において、
基体上に気相成膜法でCuまたはAg粒子部分を非磁性部分に分散して配置する第1工程と、
気相成膜法で前記CuまたはAg粒子部分にAl粒子部分を積層し、非磁性部分にはさらに非磁性部分を積層する第2工程と、
前記Al粒子部分を除去して孔を形成し、形成された孔に磁性粒子を充填し、且つ熱処理を行う第3の工程とを有する磁気記録媒体の製造方法を提供するものである。
さらに、本発明は、
磁性粒子部分が非磁性部分に分散して配置した記録層を有する磁気記録媒体の製造方法であって、
磁性粒子部分の規則化温度を下げるための物質を非磁性部分中に分散して配置された第1層を形成する工程と、
前記第1層の上で、前記物質上に磁性粒子部分を積層し、前記非磁性部分上に非磁性部分を積層した第2層を形成する工程と、
前記積層後に熱処理を行うことにより、前記磁性粒子部分を規則化する工程とを有する磁気記録媒体の製造方法を提供するものである。
本発明で磁気記録媒体を製造することにより、磁性粒子に不純物の混入がすくなくなり、磁気特性が向上する。また、CuやAg粒子部分を非磁性部分に分散して配置することにより、磁性粒子の規則化温度を低下することが可能になる。
以下、本発明の磁気記録媒体の製造方法について詳細に説明する。
図1に本発明の磁気記録媒体の製造方法の一実施形態を示す図である。まず、基体10を用意する(a)。工程1として、用意した基体上に気相成膜法でCuまたはAg粒子部分11を非磁性部分12に分散して配置する(b)。さらに、工程2として、気相成膜法でCuまたはAg粒子部分11に磁性粒子部分13を積層し、非磁性部分12にはさらに非磁性部分12Bを積層する(c)。そして、積層後、熱処理することにより、磁性粒子13が規則化する(d)。これらの工程を経ることにより磁気特性の向上した磁気記録媒体を提供することが可能になる。
図2をもちいて磁気記録媒体の構成を説明する。16は基板、17は軟磁性層(裏打ち層)、18は下地層、19は記録層、20は保護層、21は潤滑層である。ここで、本発明の製造方法は、記録層19に関し、その他の層を付加して磁気記録媒体となる。
記録層19以外の層を形成する方法は、気相成長法以外に、例えば軟磁性層17や下地層18はメッキ法、潤滑層21は塗布法等の方法により形成することができる。
以下、本発明の要素技術を項目に分けて説明する。
(気相成膜法)
気相成膜法とは、スパッタリング法、分子線成長法、蒸着法などの気相から物質を堆積させる手法を指すものである。ただし、気相成長ならばどのような条件でも必ず形成されるというものではなく、条件があり基体に目的の材料が堆積してい行く過程において、最表面にて十分な表面拡散を生じる状況にし、各々の材料が相分離を起こすような条件を設定する必要性を有する。
重要なのは、表面における拡散を促す手段を講じることであり、スパッタリングにおいては、アルゴンガス圧をおよそ0.7Pa程度で成膜するところを0.1Pa近傍まで下げる、または基板バイアスを印加することも効果的である。または、分子線成長法では、少なくとも10−8Pa程度の超高真空中であるためもともと十分拡散することが考慮でき、蒸着法でも真空度をよくしていくことで拡散を促進できる。また、イオン化したガスを基板に照射するイオンアシストによる効果を導入することで拡散を促進することも有効である。ただし、基体全体を加熱することは最表面の拡散のみでなく、堆積物全体の拡散を促すことから加熱しすぎることは好ましくないが、実施を否定するものではない。
相分離構造を有する膜や層を形成するにあたって特に有力な材料は、Al、Zn、Ag、Cd、In、Sn、Sb、Auである。これらを粒子として(SixGe1−x)yO1−y(0≦x≦1,0.034≦y≦1)に分散した層を形成する場合、成膜前の真空度の背圧にも依存する。特にAgを粒子部分にする場合は、残留している酸素、水などが大きく影響し、Agの活発なマイグレーションにより粒子径の肥大化と基板表面への析出等が顕著になることに注意が必要である。また、このマイグレーションの抑制に対して異種元素の添加も効果的であり、基板表面におけるマイグレーションが不活性な材料、例えばWや、Agと混ざりやすい材料、例えばNdなどを添加することで粒子径の肥大化と基板表面への析出等を抑制する方法も有力な手段である。
このように、異種材料を添加することは図3における粒子の直径14、粒子の間隔15などの制御に重要であり、粒子部分を形成する元素を除けばどの元素を利用してもよく、30at%(atomic%)以下で混入させることが好ましい。拡散を促進させるためには、Li、Na、Mg、Ca、Sr、Ba、Cd、Zn、K、Ga、Sn等を混入させることが好ましい。拡散を抑制させるためには、W、Ta、Nb、Mo、Hf、Zr、V、Ti、Cr、Y、Ni、Fe、Co、Pt、Pd等を混入させることが好ましい。
これらの材料を分散させることは成膜過程において自然に生じるものである。さらに、上記工程1と上記工程2を連続して行うことで、非磁性部分と非磁性部分の粒子が互いに接合し、また、AgまたはCu粒子がそのうえに積層された磁性粒子と互いに接合する。熱処理工程時にAgまたはCu粒子と磁性粒子とが相互拡散する材料が上下に存在することで。積層された粒子磁性粒子をL10 規則合金化させる効果を得やすい。なお、大気に暴露したり、表面を酸化させてしまうと粒子が互いに接合しなくなるので、水素雰囲気や窒素雰囲気や真空中で連続して各層を形成することが好ましい。
(基体)
磁気記録媒体を作製するために基体を用意するが、基体を構成する材料としては、ガラスやSUSなどが好ましい。さらに、導電層などをあらかじめ設けられているものも用いることが可能である。同様に、結晶面が現れている基体をもちいることも可能である。
(磁性粒子)
磁性粒子部分は、Co、またはMPt(M=Co、Fe)のいずれかを含み、MPtはL1規則合金化していることが好ましい。また、熱処理工程においては、磁性粒子部分には、Ag、Cu等が相互拡散でMPt(M=Co、Fe)と固溶するか又は固溶しないにかかわらず、組成分布が一様または傾斜して含有されていることが好ましい。AgやCuが相互拡散することにより、MPtが、AgやCuを添加しない場合よりも低温で、規則化することができるようになり、粒子同士の結合などが少なくなり、良好な磁性粒子を提供することが可能になる。
また、本明細書においては、粒子の直径と言った場合、図3に14に示すものを粒子の直径14と言い、粒子の間隔と言った場合、図3の15に示す距離を粒子の間隔15と言うこととする。
粒子の直径14の分布が狭く、粒子の間隔15の分布も狭い方が好ましく、特に、粒子の直径が50nm以下で1nm以上であることが好ましい。また、粒子の間隔は、20nm以下から2nm以上であることが好ましく、さらに、15nm以下から5nm以上であることが好ましい。粒子部分の高さ15は、40nm以下6nm以上であることが好ましく、さらに6nm以上25nm以下であることが好ましい。粒子の配列はハニカム状に分布したときがもっとも好ましい状態である。ハニカム状とは、図3の平面図に示すような配列であるが、本発明は完全なハニカム配列のものだけに限定するものではない。
磁性粒子部分は、Coである場合にはhcp構造(hexagonal close−packed structure)のc軸が基板垂直方向に向いていることが好ましい。MPt(M=Co、Fe)である場合にはL1規則合金化しており、そのc軸が基板垂直方向に向いていることが好ましい。本発明のhcp構造(hexagonal close−packed structure)のc軸の方向に関しては図4に示すように図中(001)面に対する法線がc軸と一致しており、このc軸が基板垂直方向に向いている関係にある。また、L1規則合金とc軸の方向に関しては図4に示すように図中(001)面に対する法線がc軸と一致しており、このc軸が基板垂直方向に向いている関係にある。
図5は、本発明の熱処理工程を含む製造方法で製造された磁気記録媒体を示す模式図である。10は基体であり、13は磁性粒子部分、12は非磁性体部分、12Aは第一非磁性体部分、12Bは第二非磁性体部分である。14は磁性粒子部分の直径、15は磁性粒子部分の間隔、16は磁性粒子部分の高さである。図6では、磁性粒子部分13であり、基体近傍ではAg、Cu等の組成が高く、次第に減少するような分布を示していてもよい。もちろん、磁性粒子部分13としているが全体がL1規則合金化している必要はなく、特に基体近傍のAg、Cu組成の高い部分においてはL1規則合金化していなくてもよく、強磁性を有していなくてもかまわない。
また、上記のように基体近傍のみにAg、Cu等の組成が高いものに限らず、Ag、Cuの組成の高い部分においてはL1規則合金化していなくてもよく、強磁性でなくてもよい。さらに、磁性粒子部分13において、L1規則合金化している部分においては、そのc軸が基板垂直方向に向いていることが好ましい。規則合金化していない部分においてはfcc構造(face centered cubic structure)で基板面に対して垂直な軸方向に(001)配向していることが好ましい。本発明のfcc構造(face centered cubic structure)の(001)配向に関しては、図7に示すように図中(001)面に対する法線が基板垂直方向を向いていることを示す。
また、図1中ではAgまたはCu粒子部分12と磁性粒子部分13が同じ直径で接続しているが、接続していれば同様の直径でなくてもよい。また、AgまたはCu粒子部分12と磁性粒子部分13はエピタキシャルに接続していることが好ましい。さらに、第一非磁性体部分12Aと第二非磁性体部分12Bは、双方(SixGe1−x)yO1−y(0≦x≦1,0.034≦y≦1)からなることが好ましい。ただし、第一非磁性体部分12Aと第二非磁性体部分12Bは、(SixGe1−x)yO1−yのSiGe間の比率、SiGeと酸素間の比率は同一であっても、そうでなくてもよい。例えば、第一非磁性体部分12Aと第二非磁性体部分12Bの層における(SixGe1−x)yO1−yの組み合わせは、SiとGe、SiとGeO2、SiO2とGe、SiO2とGeO2、SiとSi0.5Ge0.5、(Si0.5Ge0.50.50.5と(Si0.1Ge0.90.50.5.など0≦x≦1,0.034≦y≦1から任意に選択可能である。
また、AgまたはCu粒子部分12は、磁性粒子部分13がコバルトの場合にはfcc構造(face centered cubic structure)で基板垂直方向に(111)配向していることが好ましい。(111)配向とは図7に示すように(111)面に対する法線が基板垂直方向を向いていることを示す。さらに、磁性粒子部分13がMPt(M=Co,Fe)の場合にはfcc構造(face centered cubic structure)で基板垂直方向に(001)配向していることが好ましい。(001)配向とは図7に示すように(001)面に対する法線が基板垂直方向を向いていることを示す。また、磁性粒子部分13は、L1規則合金化していなくてもよく、その場合にはfcc構造(face centered cubic structure)で基板垂直方向に(001)配向していることが好ましい。(001)配向とは図7に示すように(001)面に対する法線が基板垂直方向を向いていることを示す。
(非磁性部分)
非磁性部分は、(SixGe1−x)yO1−y (0≦x≦1,0.034≦y≦1)が好ましい。しかし、磁性材料でなく、Al、Au、Cuのいずれかと相分離を起す材料なら工程によっては用いることが可能である。
SiGe間の比率、SiGeと酸素間の比率は同一であっても、そうでなくてもよい。例えば、第一工程で形成された第一の層と第二工程で形成された第二の層における(SixGe1−x)yO1−yの組み合わせは、次のようなものが考えられる。SiとGe、SiとGeO、SiOとGe、SiOとGeO、SiとSi0.5Ge0.5、(Si0.5Ge0.50.50.5と(Si0.1Ge0.90.50.5など、0≦x≦1,0.034≦y≦1から任意に選択可能である。また各層には、粒子部分を構成する元素を一部含んでいてもよい。
(熱処理工程)
熱処理は、粒子状のAgまたはCuいずれかと粒子状のMPt(M=Co、Fe)のいずれかが拡散を開始する温度にて行うものであり、500℃以下であることが好ましく、さらに400℃以下であることが好ましい。CuやAgがあることにより、MPt単体で加熱するようりも低温で規則化合金を作製することが可能になる。また、熱処理は真空中で行うことが好ましく、窒素、または水素を含有する雰囲気中で行っても良い。もちろん、各工程で堆積された(SixGe1−x)yO1−y(0≦x≦1,0.034≦y≦1)部分は、AgまたはCuのいずれかとも相互に拡散は起こらず、MPt(M=Co、Fe)のいずれかとも相互拡散は起こらないことが特徴である。つまり、拡散可能領域をAg、またはCuのいずれかとMPt(M=Co、Fe)のいずれかの間においてのみに限定することが重要である。これにより、非磁性部分に磁性材料が拡散せず、磁気的に分離した状態で、磁気特性を向上させることが可能になる。そして、結果として従来問題視されていた基板面内方向でのMPt(M=Co、Fe)粒子同士の肥大化が抑制されているにもかかわらず、MPt(M=Co、Fe)のL1規則合金化が達成されるものである。
(第二の実施形態)
図8をもちいて、本発明の一実施形態の概要を説明する。これまで図1をもいてきた実施形態との違いは、磁性粒子を含まない相分離層を積層させて、相分離層の柱状部分を除去し、穴を形成し、穴に磁性材料を充填する部分が異なる。
具体的には、まず基体10を用意する(A)。基体上に気相成膜法でCuまたはAg粒子部分11を非磁性部分12に分散させて第一の相分離層を形成する(B)。さらに、気相成膜法で前記CuまたはAg粒子部分にAl粒子部分を積層し、非磁性部分にはさらに非磁性部分を積層させて第二の相分離層を形成する(C)。その後、Al粒子部分を除去し孔を形成する(D)。形成された孔に磁性粒子を充填し(E)、熱処理を行い磁性粒子を規則合金化することにより磁気記録媒体を製造する。
図1で説明した一実施形態とことなる部分は、Al粒子部分を除去し孔を形成する(D)技術であり、他の技術は、上述で説明した技術を用いて製造することが可能であるので、ここでは、Al粒子部分を除去する技術について説明する。
Alを用いている理由は、Al粒子とSiやGeは層分離構造を得やすいことがあげられる。さらに、Al部分は酸に容易に溶けることから、磁性粒子(主に、Co、またはMPt(M=Co、Fe))を充填するための細孔を簡単に得ることが可能である。エッチングには、酸(例えば、リン酸水溶液、硫酸水溶液など)でも弱アルカリ(アンモニア水、希薄水酸化ナトリウム水溶液)でもSiやGeを溶解しないものであれば使用可能である。また、メッキ法を用いれば、細孔に磁性粒子(主に、Co、またはMPt(M=Co、Fe))を充填することが可能である。
実施例1
(SiとCuまたはAgの相分離膜とFe50Pt50とSiOの相分離膜)
ガラス基板上にMgO(001)層を10nm成膜したものを準備し、Siターゲット上に10mm角のCu片12枚またはAg片8枚をそれぞれエロージョンエリアを含めて内側に対照に配置する。アルゴン圧力0.1PaにおいてRFパワー100Wにてスパッタリング法を用いて5nm成膜した。そのとき、Cu粒子径またはAg粒子径はどちらも約6nmで、基板垂直方向にfcc構造で(001)配向しておりその周囲をSi(一部酸素が混入している可能性がある。)が囲っているグラニュラー構造が形成されていることを確認した。
さらに、連続してFe50Pt50とSiOを同時スパッタにて15nm成膜するとCu粒子またはAg粒子と6nm程度のfcc構造で(001)配向したFePt粒子が接続していることが透過型電子顕微鏡の断面観察から確認できる。
さらに、比較例としてFe50Pt50のみをMgO(001)上に成膜した試料も準備し、300℃、400℃、500℃で30分加熱後、Fe50Pt50の粒子径を計測した。方法は、透過型電子顕微鏡で得られた画像を画像処理し、粒子の平均直径を算出した。また、500℃における基板垂直方向の保持力も示す。その結果を表1に示す。
Figure 0004642705
以上から、500℃までの加熱において比較例に対して、AgまたはCuのグラニュラー層を有する方が粒子径の肥大化が生じにくいことがわかる。また、保持力からも低温化の効果も付与できることが確認できる。
さらに、500℃加熱処理後の試料の透過型電子顕微鏡による断面観察において、Cu粒子とFePt粒子の相互の拡散が進行しており、境界が不明瞭であることが確認される。また、組成分析からCu粒子が位置している場所においては、Cu濃度が比較的高く、FePt粒子が位置している場所においてもCuが検出されるが比較的少なく、図7の模式図のようにCuの組成が基板垂直方向に傾斜されていることが確認される。
実施例2
(GeとCuまたはAgの相分離膜とFe50Pt50とSiOの相分離膜)
ガラス基板上にMgO(001)層を10nm成膜したものを準備し、Geターゲット上に10mm角のCu片14枚またはAg片10枚をそれぞれエロージョンエリアを含めて内側に対照に配置する。アルゴン圧力0.1PaにおいてRFパワー60Wにてスパッタリング法を用いてGeとCuとの相分離した膜を5nm成膜した。そのとき、Cu粒子径またはAg粒子径はどちらも約6nmで、基板垂直方向にfcc構造で(001)配向しておりその周囲をSi(一部酸素が混入している可能性がある。)が囲っているグラニュラー構造が形成されていることが確認できる。
さらに、連続してFe50Pt50とSiOを同時スパッタにて、Fe50Pt50とSiOとの相分離した膜を15nm成膜する。するとCu粒子またはAg粒子と6nm程度のfcc構造で(001)配向したFePt粒子が接続していることが透過型電子顕微鏡の断面観察から確認できる。
実施例3
(積層体:SiとCuまたはAgの相分離膜とFe50Pt50とSiOの相分離膜)
実施例1の成膜法を適用して、AgまたはCu粒子のグラニュラー層のいずれかを2nm、Fe50Pt50粒子のグラニュラー層を10nmとして、それらを3層づつ交互に積層させたものをAgとCu粒子のグラニュラー層に対して準備する。断面から透過型電子顕微鏡で観察すると図9のようにAg、またはCu粒子のグラニュラー層とFePtのグラニュラー層が3層積層されていることがわかる。これらを真空中500℃で30分加熱したものを実施例1の1層づつのものと比較する。比較すると、大きく特性に変化はないが、断面の透過型電子顕微鏡による局所的な組成の分析において変化がある。実施例1で基板垂直方向にCuの組成が傾斜されている状況が解消され、図8に示す磁性粒子部分のようになり一様にCuが分布していることがわかる。AgにおいてはFePtと固溶しないが、組成分析では一様であるように見られる。
同様にして、実施例2の成膜方法を適用したAgまたはCu粒子のグラニュラー層を成膜したものをもちいても積層体を作ることができる。
実施例4
(第二の実施形態の製造方法)
実施例1の成膜法を適用して、AgまたはCu粒子のグラニュラー層のいずれかを5nm成膜する。さらに続けてAl53Si47組成の101.6mm(4inch)ターゲットからアルゴンガス圧0.1Pa、RFパワー100Wで15nmスパッタリング成膜する。AgとCu粒子のグラニュラー層に対して膜を準備する。このときのAl粒子部分の直径は、およそ6nmでAgまたはCu粒子と接続していることも断面を透過型電子顕微鏡観察により確認した。
引き続き、Al粒子部分を除去するために0.3mol/lのリン酸水溶液に15分浸漬する。ここで得られる構造は、図8に示す工程3終了後に対応した細孔を有するものが得られる。
さらに、その細孔にFe50Pt50を充填するためにFePtメッキ液を用いて電着し、細孔から溢れた部分を精密研磨で除去する。このときの断面は、AgまたはCu粒子とFePt粒子が接続していることが確認できる。このとき、メッキ液は主に硫酸鉄と六塩化白金酸からなる水溶液を用い、電位の制御によりFe50Pt50組成の析出物を形成できる。
そして、最後に500℃で熱処理することで実施例1にあげたのと同様の結果が得られ、FePt粒子同士の結合は抑制され、AgまたはCuとの相互拡散により規則化も500℃で進行していることが確認できる。
同様にして、実施例2の成膜方法を適用したAgまたはCu粒子のグラニュラー層を成膜したものをもちいても作ることができる。
以上述べてきたように、本発明を用いることにより、磁気特性が向上した磁気記録媒体を提供することが可能になる。これにより、単位面積あたりの高密度化が可能になり、小型の磁気記録媒体の提供などが可能になる。それにより、パソコン用のハードディスクのみならず、携帯電話などの小型機器への搭載も可能になる。
本発明の一実施形態である製造方法を示す工程図 磁気記録媒体の断面図 本発明の構造体の上面の概要を示した図 hcp構造と方位の関係を示す模式図 本発明の製造方法により得られる磁気記録媒体を示す図 Al粒子が分散した層の形成後の磁気記録媒体を示す図 fcc構造と方位の関係を示す模式図 本発明の一実施形態である製造方法を示す工程図 本発明の一実施形態である製造方法を示す工程図 L1規則合金の構造と方位の関係を示す模式図

Claims (3)

  1. 磁性粒子部分が非磁性部分に分散して配置した記録層を有する磁気記録媒体の製造方法において、
    基体上に気相成膜法でCuまたはAg粒子部分を非磁性部分に分散するように、該CuまたはAg粒子部分と該非磁性部分を同時に配置する第1工程と、
    気相成膜法で前記CuまたはAg粒子部分に、MPt(M=Co、Fe)を含む磁性粒子部分を積層し、非磁性部分にはさらに非磁性部分を積層するように、該磁性粒子部分と該非磁性部分を同時に配置する第2工程と、
    前記第2工程の後に熱処理を行い、前記CuまたはAg粒子部分と、前記磁性粒子部分とを相互拡散させる第3工程とを有することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  2. 前記非磁性部分が、(SiGe1−x1−y (0≦x≦1,0.034≦y≦1)からなることを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体の製造方法。
  3. 前記第1工程と前記第2工程とを繰り返し行うことを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体の製造方法。
JP2006158634A 2005-06-10 2006-06-07 磁気記録媒体の製造方法 Expired - Fee Related JP4642705B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006158634A JP4642705B2 (ja) 2005-06-10 2006-06-07 磁気記録媒体の製造方法

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005171430 2005-06-10
JP2006158634A JP4642705B2 (ja) 2005-06-10 2006-06-07 磁気記録媒体の製造方法

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2007018688A JP2007018688A (ja) 2007-01-25
JP2007018688A5 JP2007018688A5 (ja) 2010-02-04
JP4642705B2 true JP4642705B2 (ja) 2011-03-02

Family

ID=37755703

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006158634A Expired - Fee Related JP4642705B2 (ja) 2005-06-10 2006-06-07 磁気記録媒体の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4642705B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9548075B2 (en) 2013-06-27 2017-01-17 Kabushiki Kaisha Toshiba Magnetic recording medium and magnetic recording/reproduction apparatus

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
SG11201502575TA (en) * 2012-12-06 2015-05-28 Fuji Electric Co Ltd Perpendicular magnetic recording medium
WO2015111384A1 (ja) * 2014-01-23 2015-07-30 富士電機株式会社 垂直磁気記録媒体
JP6803045B2 (ja) 2017-06-08 2020-12-23 昭和電工株式会社 磁気記録媒体および磁気記憶装置

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH09320847A (ja) * 1996-05-31 1997-12-12 Res Inst Electric Magnetic Alloys 垂直磁化膜およびその製造法ならびに 垂直磁気記録媒体
JP2002175621A (ja) * 2000-09-29 2002-06-21 Canon Inc 磁気記録媒体及びその製造方法
JP2004178753A (ja) * 2002-11-28 2004-06-24 Toshiba Corp 垂直磁気記録媒体
JP2004311607A (ja) * 2003-04-04 2004-11-04 Canon Inc 磁性体、磁気記録媒体、磁気記録再生装置、情報処理装置及びその製造方法

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH09320847A (ja) * 1996-05-31 1997-12-12 Res Inst Electric Magnetic Alloys 垂直磁化膜およびその製造法ならびに 垂直磁気記録媒体
JP2002175621A (ja) * 2000-09-29 2002-06-21 Canon Inc 磁気記録媒体及びその製造方法
JP2004178753A (ja) * 2002-11-28 2004-06-24 Toshiba Corp 垂直磁気記録媒体
JP2004311607A (ja) * 2003-04-04 2004-11-04 Canon Inc 磁性体、磁気記録媒体、磁気記録再生装置、情報処理装置及びその製造方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9548075B2 (en) 2013-06-27 2017-01-17 Kabushiki Kaisha Toshiba Magnetic recording medium and magnetic recording/reproduction apparatus

Also Published As

Publication number Publication date
JP2007018688A (ja) 2007-01-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7901737B2 (en) Process for producing magnetic recording medium
JP3809418B2 (ja) 磁気記録媒体及び磁気記録装置
JP2005190517A (ja) 垂直磁気記録媒体及び磁気記憶装置
US9899050B2 (en) Multiple layer FePt structure
JP5575172B2 (ja) 磁気記録媒体,磁気記録再生装置,および磁気記録媒体の製造方法
JP2001522504A (ja) 磁気記録媒体用マンガン含有層
JP6112117B2 (ja) 磁気記録媒体
JP2004362746A (ja) 磁気記録媒体、磁気記憶装置、および磁気記録媒体の製造方法
CN103534757A (zh) 磁记录介质及其制造方法以及磁记录再生装置
JP2006313584A (ja) 磁気記録媒体の製造方法
JP4641524B2 (ja) 磁気記録媒体及びその製造方法
US8153189B2 (en) Structure and process for production thereof
CN102270459B (zh) 磁记录介质和磁记录再生装置
JP4642705B2 (ja) 磁気記録媒体の製造方法
JP5136751B2 (ja) FePtナノ粒子の製造方法、及びFePt磁性ナノ粒子配列体を有する磁気記録媒体の製造方法
JP2013058303A (ja) 積層構造を備えた装置
JP2007164941A (ja) 垂直磁気記録媒体
JP4319060B2 (ja) 磁性膜の形成方法、磁性パターンの形成方法及び磁気記録媒体の製造方法
CN103943116A (zh) 磁记录介质的制造方法、磁记录介质及磁记录再现装置
JP5535293B2 (ja) 磁気記録媒体の製造方法
JP4673735B2 (ja) 磁気記録媒体及びその製造方法
JP5232730B2 (ja) 磁気記録媒体、磁気記録媒体の製造方法及び磁気記録再生装置
JP5981564B2 (ja) 磁気記録媒体及びその製造方法
CN106205644A (zh) 垂直磁记录介质及磁记录再生装置
JP5112534B2 (ja) 磁気記録媒体、その製造方法、及び磁気記録再生装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20090604

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20091214

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20100201

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100203

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100302

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100427

RD01 Notification of change of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7421

Effective date: 20100630

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100914

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20101108

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20101130

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20101201

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131210

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees