JP5535293B2 - 磁気記録媒体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明の実施形態は,磁気記録媒体の製造方法に関する。
情報を記録,再生する磁気記憶装置(HDD)の記憶密度の増大が要求されている。記憶密度の増大のため,面内磁気記録方式に代わって,垂直磁気記録方式が,HDDの磁気記録方式として,利用されるようになってきている。垂直磁気記録方式では,基板上の磁気記録層中の磁性結晶粒子が,基板に垂直な磁化容易軸を有する。
ここで,複数の磁性ドットを有する,パターンド媒体が検討されている。パターンド媒体では,垂直磁気記録層を微細加工することで,空隙を有する複数の磁性ドットを作成する。空隙により,磁性ドットを磁気的に孤立,安定化できる。
このとき,高記録密度化に伴い,磁性ドットの微細化が必要となる。このため,記録磁化の熱揺らぎ耐性を維持するために,磁性材料の磁気異方性エネルギー密度(Ku)を高くすることが必要となる。
パターンド媒体作成時の垂直磁気記録層の微細加工には,Ar等の不活性ガスイオンを用いたイオンミリングが,一般に用いられる。しかしながら,イオンミリングにより,磁性材料の特性(例えば,磁気異方性エネルギー密度(Ku))が低下する畏れがある。
特許3886802号公報
本発明は,微細加工時での磁性材料の特性の劣化を防止し,高密度記録が可能な磁気記録媒体の製造法を提供することを目的とする。
実施形態のパターンド媒体の製造方法は,基板上に垂直磁気記録層を形成する工程と,前記垂直磁気記録層上に,マスクを形成する工程と,前記垂直磁気記録層をミリングする工程と,前記垂直磁気記録層上に保護層を成膜する工程と,を具備する。前記垂直磁気記録層は,Fe,Coから選択される第1の元素と,Pt,Pdから選択される第2の元素と,を含み,かつL1またはL1構造を有する硬磁性合金材料を有する。前記ミリング中の前記基板の温度が,250℃以上,500℃以下である。
第1の実施形態に係るパターンド媒体10を表す断面図である。 パターンド媒体10の製造工程を表すフロー図である。 製造中のパターンド媒体10を表す断面図である。 製造中のパターンド媒体10を表す断面図である。 製造中のパターンド媒体10を表す断面図である。 製造中のパターンド媒体10を表す断面図である。 製造中のパターンド媒体10を表す断面図である。 変形例1に係るパターンド媒体10aを表す断面図である。 変形例2に係るパターンド媒体10bを表す断面図である。 変形例3に係るパターンド媒体10cを表す断面図である。 パターンド媒体10a〜10cの製造工程を表すフロー図である。 第2の実施形態に係る磁気記録再生装置を表す図である。 保磁力分散幅ΔHcの評価法を示す図である。
以下,図面を参照して,実施形態を詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は,第1の実施形態に係るパターンド媒体10を表す断面図である。図2は,パターンド媒体10の作成手順を表すフロー図である。図3A〜図3Eは,作成中のパターンド媒体10を表す断面図である。
パターンド媒体10では,基板11上に,非磁性下地層12,垂直磁気記録層13,保護層14,潤滑剤層15が順に積層される。
(1)基板11上への垂直磁気記録層13の形成(ステップS11,図3A参照)
基板11上に,垂直磁気記録層13を形成する。なお,後述のように,必要に応じて,非磁性下地層12が形成される。
基板11の材料として,ガラス,Al系の合金,表面が酸化したSi単結晶,セラミックス,及びプラスチック等の非磁性材料を使用できる。これら非磁性材料の表面にNiP合金などのメッキが施されても良い。
垂直磁気記録層13では,硬磁性記録層131,非磁性中間層132,軟磁性記録層133が順に積層される。
垂直磁気記録層13は,いわゆるECC(Exchange Coupled Composite)媒体として機能する。順に積層される,硬磁性記録層131,非磁性中間層132,軟磁性記録層133から,垂直磁気記録層13を構成することで,反転磁界のばらつきSFDを低減できる。ECC媒体では,記録磁化の保持を担う硬磁性記録層131と,磁化反転を容易にする軟磁性記録層133とが,薄い非磁性中間層132を介して,交換結合している。
硬磁性記録層131は,硬磁性記録層131の積層方向(基板11に対して垂直方向)を向く磁化容易軸を有する,硬磁性結晶粒からなる。硬磁性結晶粒の材料は,適度な保磁力Hcおよび高い磁気異方性エネルギー密度Kuを有することが好ましい。適度な保磁力Hcは,外部磁界,浮遊磁界等に対して,逆磁区の発生を抑制するためである。高い磁気異方性エネルギー密度Kuは,十分な熱揺らぎ耐性を得るためである。
硬磁性結晶材料として,L1構造を持ち,かつ磁性金属元素及び貴金属元素を主成分とするものが好ましく用いられる。磁性金属は,Fe,Coから選択される少なくとも1種であり,貴金属元素は,Pt,Pdからなる群より選択される少なくとも1種である。具体的には,磁性元素:貴金属元素の原子数比が,4:6乃至6:4の範囲にあるFe−Pt合金,Co−Pt合金,Fe−Pd合金を利用できる。これらの材料は,L1構造(または後述のL1構造)をとった(規則合金化した)場合に,c軸方向に10erg/cc以上と,非常に高い磁気異方性エネルギー密度Kuを有し,熱揺らぎ耐性に優れる。
硬磁性記録層131中に,磁気特性あるいは電磁変換特性を向上させる目的で,Cu,Zn,Zr,Cr,Ru,Irといった元素を適量添加してもよい。
硬磁性記録層131を構成する結晶粒子がL1構造をもっているかどうかは,一般的なX線回折装置で確認することができる。不規則な面心立方格子(FCC)では観測されない面((001),(003)面など)を表わすピーク(規則格子反射)が,それぞれの面間隔に一致する回折角度で観察できれば,L1構造が存在しているといえる。
硬磁性結晶粒子が完全なL1構造に近い構造をとっているかを評価する指標として,規則度Sが一般に用いられる。「規則度S=1」の場合は完全なL1構造であり,「規則度S=0」の場合は完全な不規則構造を意味する。上述の合金の場合,一般に規則度Sが高いほど磁気異方性エネルギー密度Kuが高くなり,好ましい。規則度Sの評価にはX線回折測定によって得られた,(001),(002)面それぞれのピークの積分強度を用い,次式で評価できる。
S= 0.72・(I001/I0021/2
ここでI001,I002はそれぞれ,(001),(002)面による回折ピークの積分強度である。パターンド媒体において,規則度Sが0.6を超えている場合,L1構造を有していると言って良い。
また,硬磁性結晶材料が(001)面配向(c軸配向)かどうかも,一般的なX線回折装置で確認することができる。
硬磁性結晶材料としては,これらL1構造の材料以外に,同様の元素,組成から成るL1構造の材料も用いることができる。L1構造の結晶粒は,たとえばRu,Reといったhcp(hexagonal close-packed)構造を有する材料からなる非磁性下地層12を設けた場合に形成できる。
上述の硬磁性材料は,室温で成膜した場合,準安定相である不規則相を形成する傾向がある。このため,成膜中での基板11の加熱によって,合金原子に拡散を生じさせ,安定相である規則相を形成させる必要がある。
このときの基板11の温度としては,250℃乃至500℃の範囲が,硬磁性結晶材料の規則度Sが向上し,好ましい。300℃乃至400℃の範囲であれば,さらに好ましい。基板11の温度が250℃未満であれば,合金原子の拡散が生じにくく,規則相が形成されにくいため,好ましくない。一方,基板11の温度が500℃を超えると,垂直磁気記録層13の平坦性が劣化し,ステップS12でのミリングマスク21の形成が困難となるため,好ましくない。
また,上述の硬磁性材料をスパッタリング法で成膜する場合,Ar等の希ガス(スパッタリング用ガス)の圧力を4Pa乃至12Paの範囲とすると,規則度Sが向上し,好ましい。スパッタリング用ガスの圧力が,6Pa乃至10Paの範囲が更に好ましい。
非磁性中間層132は,硬磁性記録層131と軟磁性記録層133の間に配置され,両層間の交換結合力を適度に弱め,ECC媒体化する機能を有する。これにより,反転磁界をさらに低減することに加え,反転磁界分散(SFD)を低減することができる。
非磁性中間層132として,Pt,Pd,ZnOを好ましく用いることができる。ZnOは,熱的に安定である。これに加え,ZnOは,一般的な酸化物,窒化物,炭化物等の化合物に比べて,垂直磁気記録層13の加工時でのミリング速度が速く,パターン加工が容易である。
非磁性中間層132の膜厚は,0.5nm乃至2nmの範囲が好ましい。0.5nm未満では,前述の拡散抑制効果が現れにくく,2nmを超えると,硬磁性記録層と軟磁性記録層間に働く交換相互作用が著しく低下するため,好ましくない。
非磁性中間層132をスパッタリング法で成膜する場合,Ar等の希ガス(スパッタリングガス)の圧力は低い方が緻密な膜が形成されやすく,SFD低減効果が高まるため好ましい。具体的には,0.1Pa乃至2Paのスパッタリングガス圧力範囲とすることが好ましい。
軟磁性記録層133の構成材料として,Co,Fe,Co−Pt合金,Fe−Pt合金が挙げられる。このうち,Co−Pt合金,Fe−Pt合金は,より好ましい。Co−Pt合金,Fe−Pt合金は,Ptを含有しているため,酸化耐性が高い。このため,Oを用いたRIEまたはイオンミリングで,後述のマスク材料をパターン加工する場合に,酸化による特性劣化を抑制できる。これらの合金は,前述の規則合金ではなくFCC構造を有し,かつPt組成が40乃至70原子%の範囲であることが好ましい。
これらの合金は前述の硬磁性記録層131の構成材料と組成がほぼ同じため,後述のミリング加工の際の基板11の加熱によって規則合金化しやすい。スパッタリング法により,低いガス圧力下で,軟磁性記録層133を成膜すると,加熱による規則合金化を抑制できることが判った。具体的には,0.1乃至2Paの範囲で成膜すると好ましいことが,実験により明らかとなった。
垂直磁気記録層13の合計の厚さはシステムの要求値によって決定されるが,一般的に20nmよりも薄い方が好ましく,5nmよりも薄いとより好ましい。垂直磁気記録層13の合計の厚さが,20nmを超えると,ドットパターン加工が困難となる。垂直磁気記録層13の合計の厚さが,0.5nmより薄いと,再生時の信号強度が著しく低下する。
既述のように,必要に応じて,垂直磁気記録層13の形成に先立ち,非磁性下地層12が形成される。
非磁性下地層12は,垂直磁気記録層13(硬磁性記録層131)の結晶配向を制御するほか,規則合金化を促進する機能を有する。
具体的な材料としては,垂直磁気記録層13(硬磁性記録層131)がL1構造を有する場合,(100)面配向させたPt,Pd,Ir,MgO等を好ましく用いることができる。特に,非磁性下地層12材料がPt,Pd,Irまたはそれらの合金の場合,垂直磁気記録層13の平坦性が高まるため,前述のミリングマスク21形成が容易となり,好ましい。
非磁性下地層12材料がPt,Pd,Irまたはそれらの合金を用いた場合,前述の成膜時及びイオンミリング時の基板11の温度は,いずれも400℃以下の範囲で行うのが好ましい。400℃を超えると,非磁性下地層12と垂直磁気記録層13との固溶が生じ,磁気特性が劣化する。垂直磁気記録層13がL1構造を有する場合,(0001)面配向させたRuまたはその合金を好ましく用いることができる。
非磁性下地層12の膜厚は,1nm乃至20mの範囲が好ましく,3nm乃至10nmの範囲であればより好ましい。膜厚が1nm未満では,上述の配向分散低減効果が顕著には現れ難い。膜厚が20nmを超えると,後述の軟磁性下地層18と垂直磁気記録層13との磁気的な空間が広がりすぎ,記録特性(writability)が低下する。
(2)垂直磁気記録層13のへのミリングマスク21の形成(ステップS12,図3B参照)
垂直磁気記録層13上にマスク材料を成膜し,凹凸パターン(微細形状配列構造)を形成する(転写)。
(a)マスク材料の成膜
垂直磁気記録層13上に,たとえば,Cやその化合物をマスク材料として成膜する。
(b)レジスト材料の塗布,パターンの転写
マスク材料の表面に光硬化樹脂等のレジスト材料を塗布する。そして,ドットパターンが転写されたスタンパを用い,ナノインプリント法によりレジスト材料に凹凸パターン(微細形状配列構造)を転写する。
ナノインプリント法に替えて,ジブロックポリマーの自己組織化を利用しても良い。マスク材料表面に,PS(ポリスチレン)−PMMA(ポリメチルメタクリレート)等のジブロックポリマーを塗布し,ジブロックポリマーを自己組織化することで,パターンを形成する。
(c)マスク材料のパターニング
凹凸パターンを有するレジスト材料をマスクとして,マスク材料に凹凸パターンを転写する。例えば,マスク材料を酸素イオンにより反応性イオンミリング(RIE:Reactive Ion Etching)する。
(3)垂直磁気記録層13のミリング(ステップS13,図3C,図3D参照)
Arイオンミリングにより垂直磁気記録層13をエッチングする。その後,CFガスによる反応性イオンミリング(RIE)により,垂直磁気記録層13からSOGミリングマスク21を除去する。
微細形状配列構造を有するミリングマスク21を用いて,垂直磁気記録層13を微細形状配列構造に加工する。
イオンミリングによって垂直磁気記録層13をパターン加工する。即ち,イオンIを垂直磁気記録層13に入射することで,垂直磁気記録層13をエッチングする。ミリング用イオン種としては,Ar,Xe,He,Neといった希ガスのほか,水素等も好ましく用いることができる。イオンミリング方法としては,イオンガンによるイオン照射のほか,誘導結合プラズマ(ICP)エッチングや,RIE,スパッタリング装置を用いた逆スパッタ等を好ましく用いることができる。
ここで,イオンミリングによる垂直磁気記録層13のパターン加工工程時において,基板11の温度を250℃乃至500℃としている。
イオンミリング工程では,磁性合金原子にイオンの衝突によって周りの原子との結合エネルギーを上回るエネルギーが与えられた結果,磁性合金元素がミリングされる。このエネルギーは温度に換算すると,1600℃以上になる。その際,ミリングされた原子に隣接していた,ドットの側壁部分の合金元素も,この温度に近い温度まで局所的に加熱される。本実施形態で用いられる規則合金は,高温では不規則相が安定であり,例えばFePt合金の場合,1300℃以上ではL1規則相が不規則相に変態してしまう。
基板11を加熱しないでイオンミリングした場合,不規則相に変態したドットの側壁部分は,ミリング後に室温付近まで急速に冷却され,不規則相が保持される。即ち,イオンミリングの際のイオンの衝突のエネルギーによって,規則合金材料中に,局所的に不規則相が形成される。この合金における不規則相の磁気異方性エネルギー密度Kは,規則相のそれに比べて遥かに低い。このため,不規則相が形成されると磁性ドットの平均の磁気異方性エネルギー密度Kが低下し,パターンド媒体の熱揺らぎ耐性が低下する。
これに対し,イオンミリング加工中に基板11を加熱すると,不規則相に変態したドットの側壁部分は,ミリング後もある程度の高温に保たれ,規則相に再変態可能となる。このとき,基板11の温度を,規則相が安定に存在でき,かつ原子の拡散が可能な温度に設定しておく。この結果,ミリングの際に不規則相に変態した側壁部分を,規則相に再変態させることが可能となり,ミリング工程による不規則相の形成を抑制できる。
具体的には基板11の温度が250℃乃至500℃の範囲にあれば,ミリング工程による不規則相形成を効果的に抑制できる。300℃乃至400℃の範囲であれば,さらに好ましい。基板11の温度が250℃未満であれば合金原子の拡散が生じにくいため,好ましくない。一方,基板11の温度が500℃を超えると,マスク材料と硬磁性結晶粒間に固溶が発生するため,好ましくない。
一方,ミリング加工後のポストアニールにより,不規則相を再規則化させる手法も考えられる。しかしながら,この手法では,不規則相部分の原子はミリング後,一旦室温付近まで冷却されるため,不規則相状態で原子間が強固に結合してしまう。強固に結合した不規則相に原子拡散を生じさせ規則相に再変態させるためには,500℃を超える高温が必要となる。
これに対し,本実施形態のように,基板11を加熱した状態でイオンミリングする場合,合金原子はミリング後の十分熱的に励起された状態から基板11の温度に達する。このため,イオンミリング中は原子間の結合が強固にならず,比較的低い加熱温度でも拡散が生じ,規則相に再変態させることができる。
イオンミリング工程中,基板11の温度は,維持される必要がある。イオンミリング中に基板11の温度を低下すると,不規則相形成抑制効果が十分ではなくなる。従って,イオンミリング開始直前までに基板11の加熱を開始することが好ましい。
さらに,RIEによるミリングマスク21の加工時(ステップS12の(c))においても,磁性合金の不規則相化が問題になる場合がある。このため,ミリングマスク21の加工工程においても,垂直磁気記録層13のイオンミリング時と同様に,基板11を加熱すれば,より好ましい。
ただし,垂直磁気記録層13のイオンミリング工程とは異なり,ミリングマスク21加工工程においては,ミリングイオンが磁性合金元素に熱エネルギーを与えうるのはミリングマスク21加工工程終了直前のみであるため,ミリングマスク21加工全工程中加熱温度が維持される必要はない。特に,ミリングマスク21材料が二層以上から構成される場合,垂直磁気記録層13に接する層の加工工程中のみ基板11を加熱すればよい。
(4)保護層14,潤滑剤層15の形成(ステップS14,S15,図3E,図1参照)
垂直磁気記録層13上に,保護層14,潤滑剤層15を設けることができる。保護層14としては,例えば,C,ダイアモンドライクカーボン(DLC),SiNx,SiOx,CNxがあげられる。潤滑剤層15を構成する潤滑剤として,例えばパーフルオロポリエーテル(PFPE)を用いることができる。
(変形例1)
図4は,変形例1に係るパターンド媒体10aを表す断面図である。パターンド媒体10aでは,基板11上に,第2の非磁性下地層16,非磁性下地層12,垂直磁気記録層13,保護層14,および潤滑剤層15が順に積層される。垂直磁気記録層13は,硬磁性記録層131,非磁性中間層132,および軟磁性記録層133が順に積層され,かつパターン化された微細形状配列構造を有する。
垂直磁気記録層13がL1構造を有する場合,非磁性下地層12の結晶配向性を向上させる目的で,非磁性下地層12と基板11との間に,第2の非磁性下地層16を設けることができる。具体的には,(100)面配向のCrまたはCr合金を用いることができる。Cr合金としては,Cr−Ru合金またはCr−Ti合金を好ましく用いることができる。
第2の非磁性下地層16の膜厚は,1nm乃至20nmの範囲が好ましく,5nm乃至10nmの範囲であれば,より好ましい。膜厚が1nm未満では,上述の配向分散低減効果が現れ難い。膜厚が20nmを超えると,後述の軟磁性下地層18と垂直磁気記録層13との磁気的な空間が広がりすぎ,記録特性(writability)が低下する。
パターンド媒体10aは,図7中のステップS24,S11〜S15の工程で作成できる。
(変形例2)
図5は,変形例2に係るパターンド媒体10bを表す断面図である。パターンド媒体10bでは,基板11上に,非晶質シード層17,第2の非磁性下地層16,非磁性下地層12,垂直磁気記録層13,保護層14,および潤滑剤層15が順に積層されている。垂直磁気記録層13では,硬磁性記録層131,非磁性中間層132,軟磁性記録層133が順に積層され,かつパターン化された微細形状配列構造を有する。
第2の非磁性下地層16と基板11との間に,Niを含有する非晶質合金からなる非晶質シード層17を配置すると,非磁性下地層12の(100)面への配向分散が向上して好ましい。
ここでいう非晶質とは,必ずしもガラスのような完全な非晶質を意味するものではなく,局所的に2nm以下の粒径の微細結晶がランダムに配向した状態の膜でも良い。
このようなNiを含有する合金としては,例えばNi−Nb合金,Ni−Ta合金,Ni−Zr合金,Ni−W合金,Ni−Mo合金,またはNi−V合金といった合金系が好ましく用いられる。
これらの合金中のNi含有量は,20から70原子パーセントの範囲であれば,非晶質になりやすく,好ましい。さらに,酸素を含む雰囲気中に,シード層の表面を曝露させると好ましい場合がある。
非晶質シード層17の膜厚は,1nm乃至20nmの範囲が好ましく,5nm乃至10nmの範囲であればより好ましい。膜厚が1nm未満では,上述の配向分散低減効果が顕著には現れ難い。膜厚が20nmを超えると,後述の軟磁性下地層18と垂直磁気記録層13との磁気的な空間が広がりすぎ,記録特性(writability)が低下する。
パターンド媒体10bは,図7中のステップS23,S24,S11〜S15の工程で作成できる。
(変形例3)
図6は,変形例3に係るパターンド媒体10cを表す断面図である。パターンド媒体10cでは,基板11上に,軟磁性下地層18,非晶質シード層17,第2の非磁性下地層16,非磁性下地層12,垂直磁気記録層13,保護層14,および潤滑剤層15が順に積層されている。垂直磁気記録層13では,硬磁性記録層131,非磁性中間層132,軟磁性記録層133が順に積層され,かつパターン化された微細形状配列構造を有する。
非磁性下地層12と基板11との間に高透磁率な軟磁性下地層18を設けることにより,いわゆる垂直二層媒体が構成される。この垂直二層媒体において,軟磁性下地層18は,磁気ヘッドの機能の一部を担う。即ち,軟磁性下地層18は,垂直磁気記録層13を磁化するための磁気ヘッド,例えば,単磁極ヘッドからの記録磁界を,水平方向に通し,磁気ヘッド側へ還流させる。軟磁性下地層18は,急峻で充分な垂直磁界を磁界の記録層に印加させ,記録再生効率を向上させる役目を果たし得る。
軟磁性下地層18の構成材料として,例えば,CoZrNb,CoB,CoTaZr,FeSiAl,FeTaC,CoTaC,NiFe,Fe,FeCoB,FeCoN,FeTaN,CoIr等が挙げられる。
軟磁性下地層18は,二層以上の多層膜であっても良い。その場合,それぞれの層の材料,組成,膜厚が異なっていても良い。また,軟磁性下地層18は,これらの二層を薄いRu層を挟んで積層させた,三層構造としても良い。軟磁性下地層18の膜厚は,重ね書き(OW:Over Write)特性と信号対雑音比(SNR: Signal Noise Ratio)のバランスにより適宜調整される。
各層の成膜法としては真空蒸着法,スパッタリング法,化学気相成長法,レーザーアブレーション法を用いることができる。スパッタリング法として,コンポジットターゲットを用いた単元のスパッタリング法及びそれぞれの物質のターゲットを用いた,多元同時スパッタリング法を用いることができる。
パターンド媒体10cは,図7中の工程で作成できる。
(第2の実施形態)
図8は,第2の実施形態に係る磁気記録再生装置60を示す図である。
磁気記録再生装置60は,ロータリーアクチュエータを用いた形式の装置である。記録用媒体ディスク62は,スピンドルモータ63に装着され,駆動装置制御部(図示せず)からの制御信号に応答するモータ(図示せず)により矢印Aの方向に回転する。本実施形態に係る磁気記録再生装置60は,複数の記録用媒体ディスク62を備えたものとしても良い。
記録用媒体ディスク62が回転すると,サスペンション64による押付け圧力とヘッドスライダーの媒体対向面(ABSともいう)で発生する圧力とが釣り合う。その結果,ヘッドスライダーの媒体対向面は,記録用媒体ディスク62の表面から所定の浮上量をもって保持される。
サスペンション64は,駆動コイル(図示せず)を保持するボビン部などを有するアクチュエータアーム65の一端に接続されている。アクチュエータアーム65の他端には,リニアモータの一種であるボイスコイルモータ67が設けられている。ボイスコイルモータ67は,アクチュエータアーム65のボビン部に巻き上げられた駆動コイル(図示せず)と,このコイルを挟み込むように対向して配置された永久磁石及び対向ヨークからなる磁気回路とから構成することができる。
アクチュエータアーム65は,軸受部66の上下2箇所に設けられたボールベアリング(図示せず)によって保持され,ボイスコイルモータ67により回転摺動が自在にできる。その結果,磁気記録ヘッドを記録用媒体ディスク62の任意の位置に移動できる。
以下,実施例を具体的に説明する。
(実施例1)
2.5インチハードディスク形状の非磁性のガラス製基板11(OHARA社製TS−10SX)を,ANELVA社製c−3010型スパッタリング装置の真空チャンバー内に導入した。
スパッタリング装置の真空チャンバー内を1×10−5Pa以下に排気した後,軟磁性下地層18としてCo−5%Zr−5%Nb合金を20nm,非晶質シード層17としてNi−40%Taを5nm,順次成膜した。その後,チャンバー内圧力が5×10−2PaとなるようにAr−1%Oガスを導入し,このAr/O雰囲気中に非晶質シード層17の表面を5秒間曝露した。その後,第2の非磁性下地層16としてCrを5nm,非磁性下地層12としてPtを10nm成膜した。
その後,赤外線ランプヒーターを用いて基板11を300℃に加熱した。昇温時間は13秒であった。加熱後,垂直磁気記録層13(硬磁性記録層131)としてFe−50%Ptを5nm成膜した。さらに,基板11の温度を室温まで冷却したのち,ミリングマスク21としてCを20nm,Siを3nm,順次成膜した。
軟磁性下地層18,非晶質シード層17,第二の非磁性下地層16,非磁性中間層132,軟磁性記録層133,非磁性下地層12,ミリングマスク21の成膜時のAr圧力はいずれも0.7Pa,硬磁性記録層131(FePt)成膜時のAr圧力は8Paであった。スパッタリングターゲットはそれぞれ直径164mmのCo−5%Zr−5%Nbターゲット,Ni−40%Taターゲット,Crターゲット,Ptターゲット,Fe−50%Ptターゲット,Cターゲット,Siターゲットを用い,DCスパッタリング法で成膜した。各ターゲットへの投入電力は全て100Wとした。ターゲットと基板11の間の距離は50mmとした。
このほか,垂直磁気記録層13を,Co−50%Pt,Fe−50%Pdとしたものも,同様の要領で作製した。
このほか,非磁性下地層12をRuに変えたものを,以下の要領で作製した。
スパッタリング装置の真空チャンバー内を1×10−5Pa以下に排気した後,軟磁性下地層18としてCo−5%Zr−5%Nb合金を20nm,第二の非磁性下地層16としてPdを5nm,非磁性下地層12としてRuを20nm,順次成膜した。その後,赤外線ランプヒーターを用いて基板11を300℃に加熱した。昇温時間は13秒であった。加熱後に垂直磁気記録層13(硬磁性記録層131)としてCo−50%Ptを5nm成膜した。さらに,基板11の温度を室温まで冷却した後,ミリングマスク21としてCを20nm,Siを3nm,順次成膜した。
成膜後,以下の要領で垂直磁気記録層13をドットにパターン加工した。基板11をスパッタリング装置から取り出し,PS(ポリスチレン)−PMMA(ポリメチルメタクリレート)ジブロックポリマーを有機溶剤に溶かしたものをスピンコート法で塗布し,200℃で熱処理した。
その後CFガスを用いたRIEで相分離したPMMAを除去した。その後,Oガスを用いたRIEで,Cからなるドット形状のミリングマスク21を形成した。このとき,基板11を加熱していない。即ち,ミリングマスク21の形成時(ミリングマスク21のミリング時)の温度T1は,室温(RT)である。
その後,赤外線ランプヒーターを用いて基板11を300℃に加熱した。この温度を維持した状態で,イオンガンを用いたArイオンミリングで垂直磁気記録層13をエッチングした。即ち,垂直磁気記録層13のミリング時の温度T2は,300℃である。Arイオンの加速電圧は600V,ミリング時間は8s(秒)とした。この結果,17nmピッチのビットパタン配列が作製された。
(比較例1)
比較例として,イオンミリング時に基板11を加熱せずに,パターンド媒体を以下の要領で作製した。イオンミリング時に基板11を加熱しない以外は,実施例1と同様の要領でパターンド媒体を作製した。即ち,ミリングマスク21の形成時(ミリングマスク21のミリング時)の温度T1および垂直磁気記録層13のミリング時の温度T2はいずれも,室温(RT)である。
(比較例2)
比較例として,イオンミリング時に基板11を加熱せず,イオンミリング後にポストアニールを行ったパターンド媒体を以下の要領で作製した。比較例1と同様の要領でイオンミリングした。即ち,ミリングマスク21の形成時(ミリングマスク21のミリング時)の温度T1および垂直磁気記録層13のミリング時の温度T2はいずれも,室温(RT)である。
その後,電気炉を用いて,真空中で基板11を300℃に加熱してパターンド媒体を作製した。昇温時間は30分,温度保持は60分間であった。
得られた各パターンド媒体について,Philips社製X線回折装置X‘pert−MRDを用いて,Cu−Kα線を加速電圧45kV,フィラメント電流40mAの条件で発生させ,θ−2θ法により,結晶構造及び結晶面配向性を評価した。
各パターンド媒体の垂直磁気記録層13の膜垂直方向のHは,ネオアーク社製極Kerr効果評価装置BH−M800UV−HD−10にて,波長408nmのレーザ光源を用い,最大印加磁界20kOe,磁界掃引速度133Oe/sの条件にて評価した。
各パターンド媒体の反転磁界分散(SFD)は,極Kerr効果測定装置を用いたΔH/H法にて評価した。図9に,ΔHとその評価法を示す。すなわち,前述の要領でヒステリシスループ(太い実線)を得た後,ヒステリシスループ上の−Hの点から印加磁界を折り返して,Hまで至らせ,マイナーループ(太い点線)を得る。マイナーループ上におけるθ/2となる磁界とヒステリシスループの第二象限上における磁界との差を2ΔHとし,Hで規格化してΔH/Hを得る。
反転磁界分散(SFD)は,次の式を用いて算出した。
SFD = ΔH/1.38H
また,上記装置を用い,各パターンド媒体の熱揺らぎ耐性指標βを以下の要領で評価した。なお,βの値が大きいほど熱揺らぎ耐性が高い。
βは,残留保磁力の磁界印加時間(t)依存性Hcr(t)より,次の式を用いて得ることができる;
cr(t)=H(1−(ln(f・t)/β)0.5
ここで,Hは時刻ゼロでの保磁力,fは頻度因子(10秒),β=KV/kTであり,Kは磁気異方性エネルギー密度,kはボルツマン定数,Tは絶対温度である。種々のtに対してフィッティングでβとHを求めることができる。
通常のKerr測定の結果をこれに用いるために,挿引速度tswpを変えて測定を行い,得られた保磁力H(tswp)を残留保磁力Hcr(t)に変換した。この変換は,文献(M.P.Sharrock: IEEE Trans. Magn. 35 p.4414 (1999))中にある式をセルフコンシステントに解くことで行った。
各垂直磁気記録媒体の各層の微細構造は,加速電圧400kVのTEMを用いて評価した。各パターンド媒体のドット形状は,走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて評価した。
XRD評価の結果,非磁性下地層12としてCr及びPtを用いた媒体は,いずれも硬磁性結晶粒はL1構造を有していることが分かった。一方,非磁性下地層16としてRuを用いた硬磁性結晶粒は,L1構造を有していることが分かった。いずれの媒体も硬磁性記録層131の結晶粒子もc面配向していることが分かった。
SEM観察の結果,いずれのパターンド媒体の磁性ドットも,ドットピッチ約17nmの規則的配列構造を取っていることが分かった。
表1に,Kerr測定によって得られた保磁力H,反転磁界のばらつきSFD,熱揺らぎ耐性指標β,及びXRD評価によって得られた硬磁性記録層の規則度Sを示す。
Figure 0005535293
実施例1のパターンド媒体は比較例1,2の媒体に比べて,保磁力H,反転磁界のばらつきSFD,熱揺らぎ耐性指標β,及び規則度Sが向上している。イオンミリング中に基板11を加熱することによって,硬磁性結晶粒内の不規則相形成が抑制され,規則度Sが向上した結果,磁気異方性エネルギー密度Kが増加したためと考えられる。
比較例2のパターンド媒体は,比較例1のパターンド媒体に比べて,保磁力H,反転磁界のばらつきSFD,熱揺らぎ耐性指標β,及び規則度Sのいずれも大きな改善が見られなかった。これは,ミリング時に基板11を加熱したときに比べて,ミリング後に基板11を加熱(アニール)したときは,硬磁性結晶が再規則化しにくく,規則度Sが大きく向上しなかったためと考えられる。
以上のように,第1の元素(FeまたはCo),第2の元素(PtまたはPd)を含み,L1またはL1構造を有する硬磁性合金材料を硬磁性記録層131とし,300℃でミリングすることで,保磁力H,反転磁界のばらつきSFD,熱揺らぎ耐性指標β,及び規則度Sが向上することが判った。
(実施例2)
イオンミリング加工時の基板11の温度T2を,200から600℃の範囲で変化させたパターンド媒体を,以下の要領で作製した。
イオンミリング加工時の基板11の温度T2を,200から600℃の範囲で変化させた以外は,実施例1と同様の要領で作製した。
XRD評価の結果,非磁性下地層12としてCr及びPtを用いた媒体は,いずれも硬磁性結晶粒はL1構造を有していることが分かった。一方,非磁性下地層12としてRuを用いた硬磁性化粧粒は,L1構造を有していることが分かった。いずれの媒体も硬磁性記録層131の結晶粒子もc面配向していることが分かった。
SEM観察の結果,イオンミリング時の基板11の温度T2が500℃以下のパターンド媒体の磁性ドットはドットピッチ約17nmの規則的配列構造を取っていることが分かった。一方,基板11の温度T2が500℃を超えるパターンド媒体は,一部のドットで凝集が認められた。
表2に,保磁力H,反転磁界のばらつきSFD,熱揺らぎ耐性指標β,及び規則度Sを示す。
Figure 0005535293
基板11の温度T2が250℃乃至500℃の範囲であれば,保磁力H,反転磁界のばらつきSFD,熱揺らぎ耐性指標β,及び規則度Sが向上している。これは,イオンミリング中に基板11を加熱することによって,硬磁性結晶粒内の不規則相形成が抑制され,規則度Sが向上した結果,磁気異方性エネルギー密度Kが増加したためと考えられる。基板11の温度T2が,300℃乃至400℃の範囲にあれば,さらに好ましいことが分かる。
一方,基板11の温度T2が500℃を超えると,保磁力H及び熱揺らぎ耐性指標βが劣化し,好ましくない。これは,ドット間の凝集や非磁性下地層12と硬磁性結晶粒間の固溶が発生したため,磁気特性が劣化したためと考えられる。
(実施例3)
ミリングマスク21の加工時に基板11を加熱したパターンド媒体を,以下の要領で作製した。基板11を加熱した状態でOガスを用いたRIEでCからなるドット形状のミリングマスク21を形成した以外は実施例1と同様の要領で作製した。
XRD評価の結果,非磁性下地層12としてCr及びPtを用いた媒体は,いずれも硬磁性結晶粒はL1構造を有していることが分かった。一方,非磁性下地層12としてRuを用いた硬磁性結晶粒は,L1構造を有していることが分かった。いずれの媒体も硬磁性記録層131の結晶粒子もc面配向していることが分かった。
SEM観察の結果,いずれのパターンド媒体の磁性ドットも,ドットピッチ約17nmの規則的配列構造を取っていることが分かった。
表3に,保磁力H,反転磁界のばらつきSFD,熱揺らぎ耐性指標β,及び規則度Sを示す。
Figure 0005535293
ミリングマスク21形成時の基板11の温度T1が250℃乃至500℃の範囲であれば,保磁力H,反転磁界のばらつきSFD,熱揺らぎ耐性指標β,及び規則度Sがさらに向上している。これは,イオンミリング中に基板11を加熱することによって,硬磁性結晶粒内の不規則相形成が抑制され,規則度が向上した結果,磁気異方性エネルギー密度Kが増加したためであると考えられる。さらに,基板11の温度T1が,300℃乃至400℃の範囲にあれば,さらに好ましいことが分かる。
一方,ミリングマスク21形成時の基板11の温度T1が500℃を超えると,H及びβが劣化し,好ましくないことが分かった。これは,非磁性下地層12と硬磁性結晶粒間の固溶が発生したため,磁気特性が劣化したためと考えられる。
(実施例4)
垂直磁気記録層13を,硬磁性記録層131と軟磁性記録層133の二層としたパターンド媒体を,以下の要領で作製した。
実施例1と同様の要領で,硬磁性記録層131を成膜したのち,軟磁性記録層133として,Co−50%Ptを1nm成膜した。軟磁性記録層133の成膜時のAr圧力はいずれも0.7Paで行った。このほか,軟磁性記録層133の材料をFe−50%Ptに変えたもの,及びPt組成を変化させたものも作製した。
その後,実施例1と同様の要領で,ミリングマスク材料の成膜,ミリングマスク21の形成(エッチング),垂直磁気記録層13のミリングを順次行った。
XRD評価の結果,非磁性下地層12としてCr及びPtを用いた媒体は,いずれも硬磁性結晶粒はL1構造を有していることが分かった。一方,非磁性下地層12としてRuを用いた硬磁性結晶粒は,L1構造を有していることが分かった。
また,いずれのパターンド媒体の軟磁性記録層133も,規則合金化しておらず,fccまたはhcp構造を有することが分かった。いずれの媒体も硬磁性記録層131の結晶粒子もc面配向していることが分かった。
SEM観察の結果,いずれのパターンド媒体の磁性ドットも,ドットピッチ約17nmの規則的配列構造を取っていることが分かった。
表4に,保磁力H,反転磁界のばらつきSFD,熱揺らぎ耐性指標β,及び規則度Sを示す。
Figure 0005535293
軟磁性記録層133として,fcc構造を有し,かつPt組成が40乃至70原子%の範囲のCo−Pt合金を用いると,好ましいことが分かった。熱揺らぎ耐性指標βを維持したまま保磁力Hを低減できる。Pt組成が40%未満では,顕著な効果が見られなかった。これは,ミリングマスク21形成工程における酸素RIEによって,軟磁性記録層のCo原子の一部が酸化したためであると考えられる。また,Pt組成が70%を超えると,顕著な効果が見られなかった。これは軟磁性記録層の飽和磁化量が低下したためであると考えられる。
同様の傾向は,軟磁性記録層133がFe−Pt合金の場合にも認められた。即ち,軟磁性記録層133として,fcc構造を有し,かつPt組成が40乃至70原子%の範囲のFe−Pt合金を用いると,好ましい。
なお,表4において,硬磁性記録層131の材料,ミリング時の温度T2が同一なので,熱揺らぎ耐性指標β,及び規則度Sは実質的に同一となる。
(実施例5)
垂直磁気記録層13を,硬磁性記録層131,非磁性中間層132,軟磁性記録層133の三層としたパターンド媒体を,以下の要領で作製した。
硬磁性記録層131と軟磁性記録層133の間に非磁性中間層132としてPtを成膜した以外は,実施例4と同様の要領で作製した。
非磁性中間層132としてPtの代わりに,Pd,ZnOを用いたものも同様に作製した。
非磁性中間層132の成膜時のAr圧力はいずれも0.7Pa,スパッタリングターゲットはそれぞれ,直径164mmのPtターゲット,Pdターゲット,ZnO−2wt.%Alターゲットを用い,DCスパッタリング法で成膜した。各ターゲットへの投入電力は全て100Wとした。
XRD評価の結果,非磁性下地層12としてCr及びPtを用いた媒体は,いずれも硬磁性結晶粒はL1構造を有していることが分かった。一方,非磁性下地層12としてRuを用いた硬磁性結晶粒は,L1構造を有していることが分かった。また,いずれのパターンド媒体の軟磁性記録層133も,規則合金化しておらず,fcc構造を有することが分かった。いずれの媒体も硬磁性記録層131の結晶粒子もc面配向していることが分かった。
SEM観察の結果,いずれのパターンド媒体の磁性ドットも,ドットピッチ約17nmの規則的配列構造を取っていることが分かった。
表5に,保磁力H,反転磁界のばらつきSFD,熱揺らぎ耐性指標β,及び規則度Sを示す。
Figure 0005535293
硬磁性記録層131等と軟磁性記録層133の間に,Ptの非磁性中間層132を0.5乃至2nmの範囲で設けることが,好ましいことが分かった。熱揺らぎ耐性指標βを維持したまま,保磁力H及び反転磁界のばらつきSFDを低減できる。
同様の傾向は,非磁性中間層132がPd,ZnOの場合にも認められた。即ち,非磁性中間層132がPd,ZnOの場合でも,膜厚が0.5乃至2nmの範囲であることが,好ましい。
なお,表5において,硬磁性記録層131の材料,ミリング時の温度T2が同一なので,熱揺らぎ耐性指標β,及び規則度Sは実質的に同一となる。
以上の実施形態では,パターンド媒体を説明したが,実施形態の技術は,磁気記録媒体一般にも適用できる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが,これらの実施形態は,例として提示したものであり,発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は,その他の様々な形態で実施されることが可能であり,発明の要旨を逸脱しない範囲で,種々の省略,置き換え,変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は,発明の範囲や要旨に含まれるとともに,特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
10 パターンド媒体
11 基板
12 非磁性下地層
13 垂直磁気記録層
131 硬磁性記録層
132 非磁性中間層
133 軟磁性記録層
14 保護層
15 潤滑剤層
15 潤滑剤層
15 潤滑剤層
16 非磁性下地層
17 非晶質シード層
18 軟磁性下地層
60 磁気記録再生装置
62 記録用媒体ディスク
63 スピンドルモータ
64 サスペンション
65 アクチュエータアーム
66 軸受部
67 ボイスコイルモータ

Claims (6)

  1. 基板上に垂直磁気記録層を形成する工程と,
    前記形成された垂直磁気記録層上に,マスクを形成する工程と,
    前記マスクが形成された垂直磁気記録層を250℃以上,500℃以下の温度に加熱し,ミリングする工程と,
    前記ミリングされた垂直磁気記録層上に保護層を成膜する工程と,を具備し,
    前記垂直磁気記録層は,Fe,Coから選択される第1の元素と,Pt,Pdから選択される第2の元素と,を含み,かつL10またはL11構造を有する硬磁性合金材料を有する,
    パターンド媒体の製造方法。
  2. 前記マスクを形成する工程が,
    前記垂直磁気記録層上にマスク材料層を形成する工程と,
    前記マスク材料層をミリングしてパターニングする工程と,を有し,
    前記マスク材料層のミリング中の基板の温度が,250℃以上,500℃以下である
    請求項1に記載のパターンド媒体の製造方法。
  3. 前記垂直磁気記録層が,
    前記硬磁性合金材料を有する硬磁性記録層と,
    fcc構造の,Co−PtまたはFe−Pt合金を有する,軟磁性記録層と,を有する,
    請求項1または2に記載のパターンド媒体の製造方法。
  4. 前記軟磁性記録層が,40原子%以上,70原子%以下のPtを含む,
    請求項3に記載のパターンド媒体の製造方法。
  5. 前記垂直磁気記録層が,
    前記硬磁性記録層と前記軟磁性記録層の間に配置され,Pt,Pd,またはZnOを含む,非磁性中間層をさらに有する,
    請求項3または4に記載のパターンド媒体の製造方法。
  6. 前記非磁性中間層の膜厚が,0.5nm以上,2nm以下である,
    請求項5に記載のパターンド媒体の製造方法。
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